JP3282533B2 - 電子装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電子装置に係り、特
に電子部品を外部からシールドするためのシールドカバ
ーが取り付けられた電子装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に複数の電子部品が組み込まれた電
子装置では、回路基板に実装された電子部品を外部から
の磁気や電磁波の影響から保護するため、回路基板の周
囲をシールドカバーにより覆うシールド構造が用いられ
ている。このようなシールド構造では、組み立て工程で
シールドカバーが取り付けられ、その後の検査工程で回
路基板に設けられた調整ボリュームのつまみを回すとい
った調整作業等を行う必要があるので、シールドカバー
の一部に調整作業用開口を設けていた。そして、調整作
業が終了すると、シールドカバーに別のシールド板をネ
ジ止めすることにより調整作業用開口を覆うようにして
いた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ようにシールドカバーに調整作業用開口を設け、調整作
業後に、別のシールド板をシールドカバーにネジ止めし
て調整作業用開口を閉塞する構成では、シールドカバー
とは別体のシールド板を製作する必要があるので、その
分部品点数が増加していたといった問題がある。

【０００４】また、従来のものは、シールド板をネジ止
めするといった組み付け作業も必要となるので、その分
作業効率を向上させることが難しく、製造コストが高価
となっていた。そこで、本発明は上記課題を解決した電
子装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、以下のような特徴を有する。 上記請求項１
記載の発明は、電子部品を備えた支持体と、 前記電子部
品を外部からシールドするためのものであって、前記電
子部品を覆うカバー部分の周囲にスリットを設け、該ス
リットを除く接続部分をヒンジとして前記カバー部分が
変位可能とされたシールドカバーと、 を備えてなる電子
装置において、 前記シールドカバーは、前記支持体にネ
ジ止めするために設けられた複数のネジ止め部を有して
なり、且つ、該複数のネジ止め部の一部が前記カバー部
に設けられていることを特徴とする。 従って、請求項１
記載の発明によれば、シールドカバーが支持体にネジ止
めするために設けられた複数のネジ止め部を有してな
り、且つ、複数のネジ止め部の一部がカバー部に設けら
れている構成であるので、電子部品の調整後にシールド
カバーを支持体にネジ止めするだけなので、半田付け及
びかしめ等の面倒な作業が不要になり、メンテナンスの
作業効率を高めることができる。

【０００６】上記請求項２記載の発明は、調整機構を有
する複数の電子部品が取り付けられた基板と、 該基板を
保持する支持体と、 前記基板を覆うように前記支持体に
固定され、前記基板全体を収容して前記電子部品を外部
からシールドするように箱状に形成されたシールドカバ
ーと、を備えてなる電子装置において、 前記シールドカ
バーは、 前記支持体に固定される固定部と、 前記電子部
品の上方及び後方に対向するように形成された可動部
と、 該可動部と前記固定部との境界に形成され、前記複
数の電子部品が配置された配置方向と平行な方向に延在
形成された第１スリットと、 該第１スリットと直交する
方向に延在形成された第２スリットと、 前記電子部品の
上方に対向するように形成された第３スリットと、 前記
電子部品から離間した側方に形成された第４スリット
と、 第１乃至第４スリットを除く範囲で前記可動部と前
記固定部とを接続する第１乃至第４の接続部と、 を備え
ており、 前記第１乃至第４の接続部のうち前記複数の電
子部品に近接配置された前記第３、第４の接続部を切断
して前記複数の電子部品から離間した位置に配置された
第１、第２の接続部をヒンジとして前記可動部を回動さ
せて前記複数の電子部品を調整可能に露出させ、前記電
子部品を調整した後、前記可動部を前記電子部品を覆う
位置に復帰させて前記可動部を前記支持体にネジ止めす
ることを特徴とするものである。 従って、請求項２記載
の発明によれば、電子部品の調整後にシールドカバーを
支持体にネジ止めするだけなので、半田付け及びかしめ
等の面倒な作業が不要になり、メンテナンスの作業効率
を高めることができると共に、第３、第４の接続部を切
断して第１、第２の接続部をヒンジとして可動部を回動
させて複数の電子部品を調整可能に露出させるため、複
数の電子部品が配置された配置方向に延在 する第１スリ
ットを広げるようにシールドカバーの可動部を回動させ
て複数の電子部品を同時に露出させて一括して調整作業
が行えるので、メンテナンスの作業効率を高めることが
できる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下図面と共に本発明の実施の形
態について説明する。図１は本発明になる電子装置の一
実施例の分解斜視図、図２は本発明の要部を拡大して示
す分解斜視図である。電子装置１は、デジタルマルチト
ラックレコーダであり、大略、本体部２と、本体部２に
取り付けられる記録再生ユニット３と、本体部２の前面
に取り付けられるフロントパネル４と、本体部２の上面
及び両側面を覆うカバー５とより構成されている。本体
部２は、制御回路や電源回路等の各回路基板が収納され
る回路収納部６と、記録再生ユニット３がネジ止めされ
る記録再生ユニット取付部７とが設けられている。

【０００８】また、フロントパネル４には、各種操作ス
イッチのノブやつまみが配設されると共に、記録再生ユ
ニット３に挿入されるカセット挿入口８が設けられてい
る。そして、記録再生ユニット３は、カセット挿入口８
からテープカセット（図示せず）が装填されると、テー
プカセット内の磁気テープを引き出すテープローディン
グ動作をした後、磁気記録又は再生動作を行うように構
成されている。

【０００９】また、記録再生ユニット３は、テープロー
ディング動作により磁気テープが螺旋状に巻付けられて
磁気ヘッドを回転させるドラム９と、回路基板１０が取
り付けられるブラケット１１と、回路基板１０を覆うよ
うにブラケット１１に取り付けられたシールドカバー１
２とを有する。尚、回路基板１０には、磁気ヘッドから
出力された再生信号を増幅する増幅回路と、記録信号を
磁気ヘッドに供給する回路等を有する。

【００１０】図２に示すように、ブラケット１１は、記
録再生ユニット３にネジ止めされる取付部１１ａと、記
録再生ユニット３に接続されたフレキシブル配線板１３
を挿通するための凹部１１ｂとが設けられている。回路
基板１０は、裏面に記録信号のボリュームを調整するた
めの複数の調整ボリューム（調整機構付電子部品）１４
ａ〜１４ｄが配設され、表面の上部にはフレキシブル配
線板１３が接続される第１コネクタ１５が配設されてい
る。また、回路基板１０の表面の下部には、フレキシブ
ル配線板１６が接続される第２コネクタ１７が配設され
ている。

【００１１】シールドカバー１２は、回路基板１０の表
面に対向する背面１２ａと、回路基板１０の上方を覆う
上面１２ｂと、回路基板１０の左方を覆う左側面１２ｃ
と、回路基板１０の右方を覆う右側面１２ｄと、回路基
板１０の下方を覆う下面１２ｅとよりなる。また、シー
ルドカバー１２は、回路基板１０を収納できるように１
枚のブリキ板を折り曲げて箱状に形成したものであり、
上面１２ｂ、左側面１２ｃ、右側面１２ｄ、下面１２ｅ
により形成される各角部は、分離可能に突き合わされて
いるだけである。そして、回路基板１０に対向する背面
１２ａには、水平方向に延在形成された第１スリット１
８と、上下方向に延在形成された第２スリット１９とが
設けられている。

【００１２】この第１スリット１８及び第２スリット１
９のスリット幅は、シールド洩れが最小値となるように
小さい寸法に設定されている。そのため、スリット１
８，１９は、シールドカバー１２のシールド性能が低下
しないように設けられている。尚、第１スリット１８
は、右側の端部１８ａが右側面１２ｄまで延在し、左側
の端部１８ｂが第２スリット１９の直前まで延在してい
る。そして、第２スリット１９は、上端１９ａが上面１
２ｂの手前まで延在し、下端１９ｂが第１スリット１８
の端部１８ｂに近接する位置まで延在している。

【００１３】図３に示すように、第１スリット１８及び
第２スリット１９に囲まれた部分は、上面１２ｂと共
に、回路基板１０に取り付けられた複数の調整ボリュー
ム１４ａ〜１４ｄを覆うように形成された可動部２０Ａ
を形成している。そして、背面１２ａのうち可動部２０
Ａを除く部分が固定部２０Ｂとして機能する。また、可
動部２０Ａの右側端部は、第１ 、 第２の接続部２１，２
２を介して右側面１２ｄに支持され、可動部２０Ａの左
側端部は、第２スリット１９の両端に形成された第３ 、
第４の接続部２３，２４を介してシールドカバー１２の
固定部２０Ｂに支持されている。

【００１４】このように形成された可動部２０Ａは、右
側面１２ｄとの接続部２１，２２がヒンジとして機能す
ることにより水平方向に回動させることができるように
設けられている。尚、組み立て前に可動部２０Ａがふら
つくと接続部２１，２２に不要な負担がかかるため、可
動部２０Ａは左側端部が第１スリット１８の端部１８ｂ
と第２スリット１９の下端１９ｂとの間に形成された接
続部２３と、第２スリット１９の上端１９ａと上面１２
ｂとの間に形成された接続部２４とによりガタツキを防
止された状態で支持されている。すなわち、組み立て前
の可動部２０Ａは、左右両側が４箇所の接続部２１〜２
４により安定的に保持されている。

【００１５】尚、接続部２１と２２との間には、第３ス
リット２５が設けられ、上面１２ｂと背面１２ａとの角
部の左側には第４スリット２６が設けられている。ま
た、シールドカバー１２は、左側面１２ｃ及び右側面１
２ｄの端部には、ブラケット１１にネジ止めされる取付
部１２ｆが両側に突出している。また、下面１２ｅに
は、フレキシブル配線板１６が挿通される開口１２ｇが
設けられている。

【００１６】さらに、回路基板１０は、シールドカバー
１２の左側面１２ｃ、右側面１２ｄ、下面１２ｅに設け
られた複数の当接部２７に当接された状態で半田付けに
より固定される。尚、複数の当接部２７は、外側から内
側に切り起こされた三角形状の突起であり、回路基板１
０の周縁部分に当接して回路基板１０をシールドカバー
１２の内部空間のほぼ中央に保持するように設けられて
いる。

【００１７】ここで、上記のように構成されたシールド
カバー１２をブラケット１１の取り付けた後の調整作業
について説明する。シールドカバー１２は、内部に回路
基板１０が収納された状態でブラケット１１に固定さ
れ、記録再生ユニット３の後部に装着される。その後、
検査工程で調整ボリューム１４ａ〜１４ｄの調整作業を
行う。

【００１８】その際、可動部２０Ａを支持する４箇所の
接続部２１〜２４のうち第２スリット１９の両端に位置
する左側の接続部２３，２４をニッパ等の工具により切
断する。これにより、可動部２０Ａは右側の接続部２
１，２２をヒンジとして水平方向に回動させることが可
能になる。図４は可動部２０Ａを右側の接続部２１，２
２をヒンジとして回動させた状態を示す平面図である。

【００１９】可動部２０Ａが接続部２１，２２を中心に
Ａ方向に回動変位すると、回路基板１０の上方を覆う上
面１２ｂが側方にずれるため、回路基板１０の上部に設
けられた調整ボリューム１４ａ〜１４ｄ及びコネクタ１
５が露出する。そして、コネクタ１５にフレキシブル配
線板１３を挿入した後、調整ボリューム１４ａ〜１４ｄ
のつまみを回動操作して各チャンネルのボリュームの大
きさを調整する。このように調整ボリューム１４ａ〜１
４ｄの調整作業が終了すると、可動部２０Ａを右側の接
続部２１，２２を中心にＢ方向に回動変位させて回動動
作前の位置に復帰させる。

【００２０】これにより、調整ボリューム１４ａ〜１４
ｄの上方が上面１２ｂにより覆われた状態となる。そし
て、上面１２ｂより突出した取付部２８がブラケット１
１の取付部１１ａにネジ止めされる。そのため、可動部
２０Ａは、右側が接続部２１，２２により支持され、左
側がブラケット１１の取付部１１ａにネジ止めされて固
定される。

【００２１】このように、シールドカバー１２は、調整
ボリューム１４ａ〜１４ｄの調整作業を行う際に可動部
２０Ａの右側の接続部２１，２２をヒンジとして回動さ
せて調整ボリューム１４ａ〜１４ｄを露出させることが
でき、調整ボリューム１４ａ〜１４ｄの調整終了後は、
可動部２０Ａを回動前の位置に復帰させることができる
ので、従来のようにボリューム調整用開口を設ける必要
がない。従って、従来のようにシールドカバー１２と別
体のシールド板を製作する必要がなく、その分部品点数
を削減できると共に、組み立て作業の手間を削減して製
造コストを安価に抑えることができる。

【００２２】また、本実施例では、可動部２０Ａが右側
の接続部２１，２２をヒンジとして回動させることがで
きるので、蝶番を設ける必要がなく、且つシールドカバ
ー１２を１枚の金属板から作成することができ、部品点
数を削減して製造コストを安価に抑えることができる。
尚、上記実施例では、電子装置１がデジタルマルチトラ
ックレコーダよりなるものとして説明したが、これに限
らず、これ以外の装置にも適用できるのは勿論である。

【００２３】また、調整機構としては、上記調整ボリュ
ーム１４ａ〜１４ｄ以外のものでも良いのは言うまでも
ない。また、シールドカバー１２に形成されたスリット
１８，１９は、上記実施例の形状に限らず、例えば上面
１２ｂと背面１２ａとの角部に沿って延在するスリット
を設けて上面１２ｂを上下方向に回動させて調整ボリュ
ーム１４ａ〜１４ｄを露出させるようにしても良いのは
勿論である。

【００２４】

【発明の効果】上述の如く、請求項１記載の発明によれ
ば、シールドカバーが支持体にネジ止めするために設け
られた複数のネジ止め部を有してなり、且つ、複数のネ
ジ止め部の一部がカバー部に設けられている構成である
ので、電子部品の調整後にシールドカバーを支持体にネ
ジ止めするだけなので、半田付け及びかしめ等の面倒な
作業が不要になり、メンテナンスの作業効率を高めるこ
とができる。 請求項２記載の発明によれば、電子部品の
調整後にシールドカバーを支持体にネジ止めするだけな
ので、半田付け及びかしめ等の面倒な作業が不要にな
り、メンテナンスの作業効率を高めることができると共
に、第１、第２の接続部を切断して第３、第４の接続部
をヒンジとして可動部を回動させて複数の電子部品を調
整可能に露出させるため、複数の電子部品が配置された
配置方向に延在する第１スリットを広げるようにシール
ドカバーの可動部を回動させて複数の電子部品を同時に
露出させて一括して調整作業が行えるので、メンテナン
スの作業効率を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になる電子装置の一実施例の分解斜視図
である。

【図２】本発明の要部を拡大して示す分解斜視図であ
る。

【図３】シールドカバーの取付状態を示す背面図であ
る。

【図４】可動部を右側の接続部をヒンジとして回動させ
た状態を示す平面図である。

【符号の説明】

１ 電子装置 ２ 本体部 ３ 記録再生ユニット ４ フロントパネル ５ カバー １０ 回路基板 １１ ブラケット １２ シールドカバー １２ａ 背面 １２ｂ 上面 １４ａ〜１４ｄ 調整ボリューム １８ 第１スリット １９ 第２スリット ２０Ａ 可動部 ２０Ｂ 固定部 ２１〜２４ 接続部

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電子部品を備えた支持体と、 前記電子部品を外部からシールドするためのものであっ
   て、前記電子部品を覆うカバー部分の周囲にスリットを
   設け、該スリットを除く接続部分をヒンジとして前記カ
   バー部分が変位可能とされたシールドカバーと、 を備えてなる電子装置において、 前記シールドカバーは、前記支持体にネジ止めするため
   に設けられた複数のネジ止め部を有してなり、且つ、該
   複数のネジ止め部の一部が前記カバー部に設けられてい
   る ことを特徴とする電子装置。
2. 【請求項２】 調整機構を有する複数の電子部品が取り
   付けられた基板と、 該基板を保持する支持体と、 前記基板を覆うように前記支持体に固定され、前記基板
   全体を収容して前記電子部品を外部からシールドするよ
   うに箱状に形成されたシールドカバーと、を備えてなる
   電子装置において、 前記シールドカバーは、 前記支持体に固定される固定部と、 前記電子部品の上方及び後方に対向するように形成され
   た可動部と、 該可動部と前記固定部との境界に形成され、前記複数の
   電子部品が配置された配置方向と平行な方向に延在形成
   された第１スリットと、 該第１スリットと直交する方向に延在形成された第２ス
   リットと、 前記電子部品の上方に対向するように形成された第３ス
   リットと、 前記電子部品から離間した側方に形成された第４スリッ
   トと、 第１乃至第４スリットを除く範囲で前記可動部と前記固
   定部とを接続する第１乃至第４の接続部と、 を備えており、 前記第１乃至第４の接続部のうち前記複数の電子部品に
   近接配置された前記第３、第４の接続部を切断して前記
   複数の電子部品から離間した位置に配置された第１、第
   ２の接続部をヒンジとして前記可動部を回動させて前記
   複数の電子部品を調整可能に露出させ、前記電子部品を
   調整した後、前記可動部を前記電子部品 を覆う位置に復
   帰させて前記可動部を前記支持体にネジ止めすることを
   特徴とする電子装置。