JP3280849B2 - 移植機の苗分送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、キャベツ、レタ
ス、白菜、ブロッコリー等の野菜の苗を圃場に植え付け
るための移植機の苗分送装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、縦横に碁盤目状に配列形成された
多数のポット部を有する苗トレイの該ポット部に床土を
供給し、そこに播種してソイルブロック苗を育苗し、そ
の苗トレイのポット部から直接苗を取り出して畝に自動
的に植え付けるようにした移植機がある。

【０００３】この種の移植機は畝を跨いで走行可能な走
行機体の後方に支持フレームを設け、この支持フレーム
に、苗トレイを載置する苗載せ台と、苗を畝に植え付け
る植付手段と、苗トレイから苗を１つずつ取り出して植
付手段に搬送する苗分送装置とを取付支持し、畝に沿っ
て走行しながら苗を畝に所定間隔をおいて植え付けるよ
うに構成されている。

【０００４】前記移植機における苗分送装置として、保
持体に苗取出爪を支持する爪支持体を進退自在に支持
し、保持体に対して爪支持体を前進させて苗取出爪を苗
の床土部に投入させ、その状態で保持体を苗トレイから
離反する方向に移動させることで、苗をポット部から取
り出し、その後苗を植付手段まで搬送し、該植付手段に
放出させるようにしたものがある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前記したタイプの苗分
送装置において、苗取出爪によって苗の床土部を突き刺
す際にあっては、爪支持体を押出し手段によって押し出
すことによって前進させ、爪支持体を後退させる際にあ
っては、戻しバネによって後退させるようにすることが
考えられている。この場合、苗を植付手段に放出するま
では戻しバネによって爪支持体が後退しないようにする
必要があり、そのため苗取出爪を床土部に突き刺した状
態からの爪支持体の後退を規制するように保持体側に設
けた係合部に係脱自在に係合するロックアームを爪支持
体側に設けることが考えられている。

【０００６】前記構成のものにあっては、ロックアーム
を確実に係合部に係合させるようにするために、苗取出
爪の突き刺し動作を終了した時点で、係合部と該係合部
に係合するロックアームの係合部分との間に隙間が生じ
るようにしなければならない。すなわち、苗取出爪を床
土部に突き刺す際において、ロックアームは爪支持体に
同行移動して、苗取出爪の突き刺し動作を終了した時点
で係合部と係合するのであるが、多少の余裕がなければ
係合不良が生じるので、苗取出爪の突き刺し動作を終了
した時点でロックアームの係合部分が係合部から多少行
き過ぎるように構成される。

【０００７】この場合、苗取出爪の突き刺し動作を終了
した時点で押出し手段を解除すると、係合部とロックア
ームの係合部分との間の隙間分だけ爪支持体及び苗取出
爪が後退することとなる。そして、床土部がポット部内
面に密着している状態で苗取出爪が後退すると、床土部
に対する苗取出爪の突き刺し状態及び苗の取り出し動作
に影響を与える。

【０００８】そこで、本発明は前記問題点に鑑みて、前
記問題点を解消することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明が前記目的を達成
するために講じた技術的手段は、苗トレイＴのポット部
Ｐ内の苗Ｓの床土部Ｅに対して苗取出爪４５を前進させ
て該床土部Ｅに突入させた後、苗取出爪４５を後退させ
て床土部Ｅをポット部Ｐから取り出し、その後取り出し
た苗Ｓを苗取出爪４５から離反させて植付手段４０へと
供給するようにした移植機の苗分送装置において、苗取
出爪４５を支持する爪支持体４９を苗トレイＴに対して
進退自在に支持する保持体５１を設け、保持体５１と爪
支持体４９との間に苗取出爪４５を床土部Ｅに突き刺す
前の状態に戻すべく爪支持体４９を後退させる戻しバネ
７５を設けると共に、苗取出爪４５を床土部Ｅに突き刺
した状態からの爪支持体４９の後退を規制するように、
保持体５１側に設けた係合部９３に係脱自在に係合する
ロックアーム９１を爪支持体４９側に設け、苗取出爪４
５の突き刺し動作を終了した時点で、係合部９３と該係
合部９３に係合するロックアーム９１の係合部分との間
に隙間ｅが生じるようにすると共に、保持体５１を苗ト
レイＴから離反する方向に後退させて床土部Ｅをポット
部Ｐから引き離すまで、前記係合部９３とロックアーム
９１の係合部分との隙間ｅを維持するようにしたことを
特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図４および図５において、野菜移
植機１は、走行機体２の後方に移植装置３及び操縦ハン
ドル４を有する歩行型であって、畝を跨いでその長手方
向に走行しながら、ソイルブロック苗Ｓを畝Ｒに所定間
隔をおいて植付けるものである。

【００１１】なお、移植機１の進行方向を前後方向とい
い、進行方向に直交する横方向を左右方向という。走行
機体２は、ミッションケース５の前部に前方突出状に架
台６を取付固定し、この架台６上にエンジン７等を搭載
すると共に、これらミッションケース５，架台７，エン
ジン７等を、左右両側に備えた前輪８および後輪９によ
って支持された支持フレーム１０に左右方向移動自在に
支持してなる。

【００１２】支持フレーム１０は、前後方向に配置され
た左右一対のメインフレーム１１Ｌ，１１Ｒを、前方か
ら後方に順次配置された第１〜３連結フレーム１２，１
３，１４によって相互に連結して成り、第１〜３連結フ
レーム１２，１３，１４は筒体１２ａ，１３ａ，１４ａ
と、この筒体１２ａ，１３ａ，１４ａ内に左右方向摺動
自在に内嵌された軸体１２ｂ，１３ｂ，１４ｂとから構
成されて、左右方向に伸縮自在に構成されている。

【００１３】そして、筒体１２ａ，１３ａ，１４ａは左
側のメインフレーム１１Ｌに固定され、軸体１２ｂ，１
３ｂ，１４ｂは右側のメインフレーム１１Ｒに固定され
ており、第１〜３連結フレーム１２，１３，１４の伸縮
によって支持フレーム１０が左右方向に伸縮自在とされ
ており、したがって、支持フレーム１０を左右方向に伸
縮させることによって、前後輪８，９の左右方向の間隔
が、畝幅の広狭に対応して、その他倉庫収納時、道路走
行時等の状況に応じて調節できるようになっている。

【００１４】また、第２，第３連結フレーム１３，１４
の筒体１３ａ，１４ａの右端側には、第２，第３連結フ
レーム１３，１４の左右方向の伸縮を解除可能に規制す
る第１規制手段１５が設けられている。この第１規制手
段１５は筒体１３ａ，１４ａと軸体１３ｂ，１４ｂとに
亘って挿脱自在に挿通されるピン等によって構成されて
おり、また、軸体１３ｂ，１４ｂに形成されるピン挿通
孔（あるいはピン係合溝）は、前後輪８，９の左右間隔
を任意の既定畝幅に対応する間隔に調節した位置で固定
できるように、軸体１３ｂ，１４ｂの軸心方向に複数形
成されている。

【００１５】第２連結フレーム１３の筒体１３ａには第
１可動筒１６が左右方向摺動自在に外嵌され、第３連結
フレーム１４の筒体１４ａには第２可動筒１７が左右方
向摺動自在に外嵌されており、第１可動筒１６には架台
６の前部が固定され、第２可動筒１７には固定フレーム
１８Ａの前部が固定され、また、固定フレーム１８Ａの
前部はミッションケース５にも連結固定されており、固
定フレーム１８Ａの後部には操縦ハンドル４が連結固定
され、さらに、ミッションケース５には該ケース５の左
右側部に左右軸廻りに回動自在に枢着されて上下揺動自
在とされた可動フレーム１８Ｂが取付けられ、前記固定
フレーム１８Ａおよび可動フレーム１８Ｂに移植装置３
が取付支持されている。したがって、エンジン７、ミッ
ションケース５、移植装置３およびハンドル４等は一体
的に左右移動可能とされている。

【００１６】前記第１，第２可動筒１６，１７には、エ
ンジン７、ミッションケース５等の左右移動を解除可能
に規制する第２規制手段１９が設けられている。この第
２規制手段１９は第１，第２可動筒１６，１７と、第
２，第３連結フレーム１３，１４の筒体１３ａ，１４ａ
とに亘って挿脱自在に挿通されるピン等によって構成さ
れており、また、筒体１３ａ，１４ａに形成されるピン
挿通孔は、一条植え，二条，三条植え等に対応させるべ
く移植装置３の植付部を任意の位置で固定できるよう
に、筒体１３ａ，１４ａの軸心方向に複数形成されてい
る。

【００１７】架台６と右側のメインフレーム１１Ｒとの
間には油圧シリンダ２０が左右方向に設けられ、この油
圧シリンダ２０のシリンダ本体２０Ａは架台６側に枢着
され、ピストンロッド２０Ｂの先端部には連結プレート
２１が後方突出状に固定され、この連結プレート２１の
後端側は第３連結フレーム１４の軸体１４ｂにピン等か
らなる連結手段２２を介して着脱自在に連結されてい
る。

【００１８】したがって、第１規制手段１５を解除する
と共に、第２規制手段１９によってエンジン７，ミッシ
ョンケース５等の支持フレーム１０に対する左右移動を
規制し、この状態で油圧シリンダ２０のピストンロッド
２０Ｂを出退させることによって、左右の前後輪８，９
の左右間隔を調節することができる。そして、この前後
輪８，９のトレッド調節をする場合において、図５に示
す状態からピストンロッド２０Ｂを最長の状態まで突出
させた、図６の仮想線で示す状態に、左右前後輪８，９
のトレッドを採り、この状態からさらに左右前後輪８，
９の左右間隔を広げる場合には、連結プレート２１の軸
体１４ｂとの連結を解除して、一旦シリンダロッド２０
Ｂを図７の実線で示す位置まで収縮させ、その位置で再
び連結プレート２１を軸体１４ｂに連結し、その後シリ
ンダロッド２０Ｂを伸長させることによって、左右の前
後輪８，９の左右間隔を、油圧シリンダ２０のシリンダ
ストローク以上の間隔に採れるように考慮されている。

【００１９】また、前後輪８，９の左右間隔を調節した
後、第１規制手段１５によって支持フレーム１０の伸縮
を規制すると共に、第２規制手段１９を解除し、この状
態で油圧シリンダ２０のピストンロッド２０Ｂを出退さ
せることによって、エンジン７，ミッションケース５等
を支持フレーム１０に対して左右に移動させて移植装置
３の植付部の左右位置を調節することができる。

【００２０】前記第１連結フレーム１２の下方には、こ
れと平行に前輪支軸２３が配置されており、この前輪支
軸２３は、断面六角形の筒体２３ａと、筒体２３ａに左
右方向摺動自在に内嵌された断面六角形の軸体２３ｂと
から構成され、筒体２３ａと軸体２３ｂとは左右方向の
軸心廻りに一体回動自在であると共に、前輪支軸２３は
左右方向に伸縮自在に構成されている。

【００２１】なお、前輪支軸２３の筒体２３ａは図示省
略の軸受体によって第１連結フレーム１２の筒体１２ａ
に左右軸廻りに回動自在に支持される。図５に示すよう
に、軸体２３ｂの右端部には昇降アーム２４の基部が固
定され、この昇降アーム２４の基部右側には軸体２３ｂ
と同心状とされた回動軸２５が固定され、昇降アーム２
４の先端側には、右側のメインフレーム１１Ｒ上に設け
れた昇降シリンダ２７のピストンロッド２７ａの先端部
が枢着されている。

【００２２】また、回動軸２５には支持筒２８が左右軸
廻りに回動自在に外嵌され、この支持筒２８および筒体
２３ａの左端側には前輪支持アーム２９の前端側が連結
固定され、各前輪支持アーム２９の後端側に前輪８が左
右軸廻りに回転自在に取付けられている。また、左右各
前輪８の後方には左右メインフレーム１１Ｌ，１１Ｒに
固定の固定筒３０が設けられ、各固定筒３０には伝動ケ
ース３２の上端側が固定され、各伝動ケース３２の下端
側に後輪１１が左右軸廻りに回転自在に取付けられ、支
持筒２８および筒体２３ａには第１連動アーム３３Ａが
突設され、伝動ケース３２の前端側には第２連動アーム
３３Ｂが突設され、第１連動アーム３３Ａと第２連動ア
ーム３３Ｂとは連動ロッド３４によって連動連結されて
いる。

【００２３】回動軸２５の右端部には第３連動アーム３
３Ｃの基部が固定され、第３連動アーム３３Ｃの先端部
には連結ロッド３６の前端が左右軸廻りに回動自在に枢
着されると共に、この連結ロッド３６後端にはモンロー
シリンダ３７が固定され、モンローシリンダ３７のピス
トンロッドの先端部は右側の連動ロッド３４の前後方向
中途部に左右軸廻りに回動自在に枢着されている。

【００２４】したがって、昇降シリンダ２７のピストン
ロッド２７ａを出退させることによって昇降アーム２４
が回動し、前輪支軸２３および回動軸２５が回動し、前
輪支軸２３の回動によって左側前輪支持アーム２９が上
下揺動して左側前輪８が昇降すると共に、左側の、第１
連動アーム３３Ａ、連動ロッド３４、第２連動アーム３
３Ｂを介して左側伝動ケース３２が上下揺動して左側後
輪１１が昇降し、また、回動軸２５の回動によって第３
連動アーム３３Ｃが回動し、連結ロッド３６、モンロー
シリンダ３７を介して右側連動ロッド３４が前後移動さ
れ、右側第１連動アーム３３Ａを介して支持筒２８が回
動することによって右側前輪支持アーム２９が上下揺動
して右側前輪８が昇降すると共に、右側の第２連動アー
ム３３Ｂを介して右側伝動ケース３２が上下揺動して右
側後輪９が昇降する。

【００２５】以上のようにして、昇降シリンダ２７の伸
縮によって支持フレーム１０、エンジン７、ミッション
ケース５、移植装置３、ハンドル４等が昇降し、これに
よって、異なる畝高さに対応させることができると共
に、畝の凹凸に対応して植付手段を昇降させることがで
きるように構成されている。また、モンローシリンダ３
７のピストンロッドを出退させることによって右側連動
ロッド３４が前後移動し、右側の前後輪８，９が昇降す
る。このようにモンローシリンダ３７によって右側の前
後輪８，９のみを昇降させることによって、傾斜地にお
いて、走行機体２および移植装置３を水平に保持させる
ことができるように構成されている。

【００２６】なお、ミッションケース５の左右両側には
出力軸３８が左右方向突出状に設けられ、エンジン７の
動力はミッションケース５内に入力されると共にミッシ
ョンケース５内の変速装置等を介して左右の出力軸３８
に伝達され、該出力軸３８が回転駆動され、さらに出力
軸３８から左右方向に伸縮自在な伝動軸３９を介して伝
動ケース３２内のチェーン巻掛伝動機構に動力が伝達さ
れ、このチェーン巻掛伝動機構を介して後輪９に動力が
伝達されて該後輪９が回転駆動されるように構成されて
いる。

【００２７】前記移植装置３は、苗Ｓを畝Ｒに植付ける
植付カップ（植付手段）４０と、苗Ｓを植付カップ４０
に供給する苗供給装置４１と、覆土・鎮圧ローラ４２と
を備えて主構成されている。なお、畝Ｒがマルチフィル
ムによって被覆されている場合には、該マルチフィルム
に植付用の孔を形成する穿孔装置が設けられる。植付カ
ップ４０は、苗供給装置４１から苗Ｓが落下供給される
よう上方開放状とされると共に、上下および前後に揺動
自在に支持する揺動リンク機構を介して可動フレーム１
８Ｂに取り付けられており、該植付カップ４０はその軌
跡の上部で苗Ｓが落下供給され、軌跡の下部で畝Ｒに突
入し、植付カップ４０の下部に備えた前後に開閉自在な
オープナによって畝Ｒに植付用孔を形成すると共に、該
植付用孔に植付カップ４０内に保持した苗Ｓを植付け得
るようになっている。

【００２８】覆土・鎮圧ローラ４２は、畝Ｒ上を転動し
て植付後の苗Ｓに対する土寄せと鎮圧とを行うと共に可
動フレーム１８Ｂの後部を支持する。苗供給装置４１
は、固定フレーム１８Ａ上に装着されており、苗Ｓを備
えたポット部Ｐが碁盤目状に多数配設された苗トレイＴ
を、ポット部Ｐの配列方向に移動させる苗送り装置４４
と、苗トレイＴから、所定の苗取出位置にて苗取出爪４
５により苗Ｓを一つずつ取り出して、該苗Ｓを植付カッ
プ４０の上方まで搬送した後に植付カップ４０内に落と
し込む苗分送装置４６とから構成されている。

【００２９】なお、苗トレイＴは樹脂製で可撓性を有
し、ポット部Ｐが背面に突出して備えられており、各ポ
ット部Ｐは正面側が開口された有底四角筒状で且つ底に
向かって若干先窄まり状とされている。そして、各ポッ
ト部Ｐに床土を投入し、そこへ播種し育苗することで、
ソイルブロック苗Ｓが備えられている。苗送り装置４４
は、ポット部Ｐが前方を向くように苗トレイＴを上方に
向かうにしたがって後方に移行する傾斜状に載置支持す
ると共に、固定フレーム１８Ａ及び操縦ハンドル４に左
右方向移動自在に支持された苗載せ台４７を備え、苗取
出爪４５により苗Ｓが取り出されると苗載せ台４７はポ
ット部Ｐの横配列方向（左右方向）の１ピッチ分移動す
るように横送り機構によって駆動され、横一列の苗Ｓが
取り出されると、縦配列方向（前記苗トレイＴの傾斜方
向）下方にポット部Ｐ縦配列方向の１ピッチ分移動する
ように縦送り機構によって駆動される。

【００３０】苗分送装置４６は苗載せ台４７の前方に配
置され、図１〜図３に示すように、前述した苗取出爪４
５を有すると共に、この苗取出爪４５を駆動させる爪動
作機構４８を有する。苗取出爪４５は先端が尖った丸棒
材で構成され、左右一対設けられると共に、先端側に移
行するにしたがって相互に近接するように並設されてい
る。

【００３１】爪動作機構４８は、苗取出爪４５を苗トレ
イＴと植付カップ４０との間で苗取出爪４５を姿勢変更
しながら、爪先が図９に仮想線でＸ示す軌跡を描くよう
に往復動作させるものであって、この一対の苗取出爪４
５が取り付けられる爪支持体４９と、一対の苗取出爪４
５の進退を案内する爪ガイド５０と、前記爪支持体４９
及び爪ガイド５０をそれぞれ長手方向往復動自在に支持
する保持体５１とを有している。

【００３２】この爪動作機構４８は、固定フレーム１８
Ａ上に固定の支持体５２に取付姿勢調節自在に取付固定
されるギアボックス５３に取付けられ、このギアボック
ス５３は、入力軸５４と、左右側方に突出する出力軸５
５とを備え、出力軸５５はベベルギヤ伝動機構を介して
入力軸５４に連動連結され、この出力軸５５の回転動力
により爪動作機構４８及び苗送り装置４４が駆動され
る。

【００３３】なお、入力軸５４には、ミッションケース
５の後面から突出するＰＴＯ軸５６にユニバーサルジョ
イント５７を介してエンジン７の動力が伝動される。出
力軸５５にはクランク体５８が設けられ、このクランク
体５８にはクランクピン５８ａが側方に突設され、ま
た、出力軸５５には、クランク体５８と同軸心として駆
動カム５９が備えられている。

【００３４】また、ギアボックス５３には、クランク体
５８の下方で揺動アーム６０の下部が揺動軸６１により
枢結され（図８乃至図１２参照）、この揺動アーム６０
の中途部には上下方向（アーム長手方向）に延びる溝カ
ム６２が形成され、この溝カム６２にクランク体５８の
クランクピン５８ａに外嵌されたローラ６４が挿通係合
されている。

【００３５】揺動アーム６０の上部には保持体５１がピ
ン６５を介して枢結されている。この保持体５１は筒形
状に形成されており、軸方向移動自在にパイプ製の爪支
持体４９が挿通案内され、この爪支持体４９は苗トレイ
Ｔに向かって出退可能とされている。この爪支持体４９
の先端部に前記一対の苗取出爪４５の基部が取り付けら
れている。

【００３６】ギアボックス５３の上面には板状の支持部
材６６がボルトにより取付固定されている。保持体５１
にはブラケット６７を介して遊転自在にローラ６８が取
り付けられ、このローラ６８は、支持部材６６にピン６
９を介して揺動自在に取付けられたガイド板７０に形成
されたカム溝７１に係合されている。

【００３７】前記ガイド板７０は下方への突出腕の先端
に転動ローラ７２を有し、この転動ローラ７２は駆動カ
ム５９上に当接されていて、駆動カム５９の反時計方向
の回転によりガイド板７０をピン６９を中心として揺動
可能にしている。また、ガイド板７０は、支持部材６６
との間に介装されたスプリング７３によって、ローラ７
２が駆動カム５９に押し付けられる方向に付勢されてい
る。

【００３８】爪支持体４９の基端部に設けた基体７４
と、爪支持体４９を内嵌保持する保持体５１との間に
は、爪支持体４９を後退させる方向（苗取出爪４５が苗
Ｓの床土部Ｅを突き刺す方向とは逆の方向）に付勢する
コイルスプリング（戻しバネ）７５が介装されており、
爪支持体４９の前端部には爪取付具７６が嵌合固定され
ている。

【００３９】この爪取付具７６に一対の苗取出爪４５の
基部がそれぞれ軸７７を介して枢支されており、一対の
苗取出爪４５は爪取付具７６に対して先端が遠近移動す
るように揺動可能になっている。保持体５１の下部には
支持プレート７８が固定され、この支持プレート７８の
下端部には、押出リンク７９がピン８０を介して左右軸
廻りに回動自在に枢結されている。この押出リンク７９
の先端部には長溝（又は長孔）８１が形成され、爪取付
具７６の突出腕８２に設けたピン８３と係合されてい
る。押出リンク７９には、クランクピン６３に外嵌され
たローラ６４と当接可能な略円弧状のカム板８４が設け
られている。

【００４０】前記爪支持体４９、基体７４及び爪取付具
７６には、爪ガイド５０が長手方向摺動自在に挿入さ
れ、この爪ガイド５０は丸棒等で形成されていて、その
前端に苗取出爪４５を挿通案内するガイド孔を備えたガ
イド部８５が設けられ、後端に側面視Ｌ字状の作動部材
８６が装着され、中途部に止め具８７が固着され、この
止め具８７と基体７４との間にコイルスプリング８８が
圧縮状に嵌装されている。

【００４１】前記保持体５１には作動片８９が枢支さ
れ、スプリング９０によって図１時計方向に付勢される
と共にストッパに接当して回動規制されている。この作
動片８９は１本の足と両腕とを有する略Ｔ字形状であ
り、一方の腕にはロック部８９ａが、他方の腕には解除
部８９ｂが、足には押動部８９ｃが形成されている。前
記爪ガイド５０に固着の作動部材８６は爪ガイド５０と
平行な部分を有し、この平行部分は保持体５１によって
回り止め状態で摺動自在に案内され、その摺動面に突出
した前記作動片８９のロック部８９ａと係合して、爪ガ
イド５０の突出方向の移動が規制されるようになってい
る。

【００４２】前記爪支持体４９の後端の基体７４にはロ
ックアーム９１が枢支されており、このロックアーム９
１はスプリング９２によって図２の時計回り方向に付勢
されており、先端部に支持プレート７８の係合部９３と
係合可能な鉤部９４が形成されている。また、支持部材
６６には、図８乃至図１２に示すように、作動片８９の
押動部８９ｃが接当可能なロック解除部材９５と、カム
板８４が接当可能な後退規制部材９６とが設けられてい
る。これら部材９５，９６は頭付ボルトから構成され、
軸心方向に移動調節可能とされていて、接当位置が調節
可能とされている。

【００４３】前記構成において、図８に示す状態から、
出力軸５５が反時計方向に回転すると、クランク体５８
が同行回転してクランクピン６３に嵌合されたローラ６
４がカム板８４を下方から押動する。すると、図１及び
図９に示すように、押出リンク７９がピン８０廻りに苗
トレイＴ側へと揺動し、これによって、保持体５１に対
して爪支持体４９，基体７４及び爪取付具７６が苗トレ
イＴ側へ向けて押動されて、コイルスプリング７５，８
８を圧縮しながら、苗取出爪４５を苗Ｓに向けて突出さ
せ、該苗取出爪４５で苗Ｓの床土部Ｅを突き刺す。この
コイルスプリング７５が圧縮力されることによって爪支
持体４９を後退させるための付勢力が保有され、コイル
スプリング８８が圧縮力されることによって爪ガイド５
０を突出させるための付勢力が保有されることとなる。

【００４４】また、ロックアーム９１の鉤部９４は支持
プレート７８の後部の摺動面７８ａ上を摺動しながら爪
支持体４９と同行移動し、苗取出爪４５の床土部Ｅの突
き刺し動作の終端部で摺動面７８ａ上から外れ、スプリ
ング９２の付勢力によって下方に揺動する。そして、特
に図２に示すように、苗取出爪４５の床土部Ｅの突き刺
し動作が終わった時点では、鉤部９４と係合部９３との
間には、隙間ｅが存在する。これは、苗取出爪４５の床
土部Ｅの突き刺し動作が終わった時点で、鉤部９４が摺
動面７８ａ上から確実に外れるようにするために、鉤部
９４が摺動面７８ａの鉤部摺動方向終端から少し行き過
ぎるようにしてあるためである。

【００４５】また、苗取出爪４５が突出して苗Ｓの床土
部Ｅを突き刺す際にあっては、苗取出爪４５がガイド部
８５のガイド孔に規制されて、左右の苗取出爪４５の先
端間距離が狭められながら該苗取出爪４５が床土部Ｅに
突き刺されるように構成されている。なお、溝カム６２
の、苗取出爪４５が床土部Ｅを突き刺し動作する間にロ
ーラ６４が移動する部分は、出力軸５５を中心とする円
弧状に形成されているので、苗取出爪４５が床土部Ｅを
突き刺す際には、揺動アーム６０は動かない。また、転
動ローラ７２は、駆動カム５９の、出力軸５５を中心と
する円弧状部分を転動するので、ガイド板７０は揺動し
ない。

【００４６】図９に示す状態から、さらに出力軸５５が
反時計方向に回転すると、ローラ６４が揺動アーム６０
の溝カム６２内を摺動することで揺動アーム６０が揺動
軸６１廻りに苗トレイＴから離反する方向に揺動して、
爪支持体４９，爪ガイド５０及び保持体５１と共に苗取
出爪４５が苗トレイＴに対して後退し、図１０に示すよ
うに、苗Ｓの床土部Ｅがポット部Ｐから取り出される。

【００４７】このとき、床土部Ｅがポット部Ｐから取り
出されるまでローラ６４はカム板８４に接当しており、
また、カム板８４は、溝カム６２の、床土部Ｅがポット
部Ｐから取り出されるまでの間にローラ６４が移動する
部分に沿った円弧状に形成されていることから、床土部
Ｅがポット部Ｐから取り出されるまで鉤部９４と係合部
９３との間の隙間ｅは維持される。

【００４８】図１０に示す状態から、さらに出力軸５５
が反時計方向に回転すると、図１１に示すように、ロー
ラ６４がカム板８４から外れてスプリング７５（及び８
８）の付勢力によって、保持体５１に対して爪支持体４
９，基体７４，爪取付具７６及び苗取出爪４５が若干後
退して、鉤部９４が係合部９３に接当し、保持体５１に
対する爪支持体４９，基体７４，爪取付具７６及び苗取
出爪４５の後退を規制する。このとき、苗Ｓも同行移動
するので、該苗Ｓがガイド部８５に接当しないように充
分間隔を設けておく。

【００４９】図１１に示す状態から、さらに出力軸５５
が反時計方向に回転すると、図１２に示すように、爪支
持体４９，爪ガイド５０及び保持体５１と共に苗取出爪
４５が苗トレイＴから離反する方向に移動すると共に、
ローラ６８がカム溝７１の前上がり状部分を摺動して、
苗取出爪４５等が略下向き姿勢に変更し、苗Ｓを下向き
姿勢にすると共に、苗Ｓを上昇状態にある植付カップ４
０の前部上方に位置させる。

【００５０】そして、図１２に示す状態から、さらに出
力軸５５が反時計方向に回転すると、駆動カム５９の突
出部によってローラ７２が押動されてガイド板７０がピ
ン６９廻りに上方に揺動し、保持体５１がピン６５廻り
に回動し、作動片８９の押動部８９ｃがロック解除部材
９５と当接し、作動片８９が反時計方向に回動する。作
動片８９が回動すると、まず作動片８９のロック部８９
ａによる作動部材８６に対するロックが解除され、スプ
リング８８の付勢力により爪ガイド５０が突出して、苗
取出爪４５に保持されている苗Ｓをガイド部８５によっ
て苗取出爪４５から押し出し離脱させ、植付カップ４０
に上方から落下投入する。

【００５１】その後に、さらに作動片８９が回動する
と、解除部８９ｂによりロックアーム９１を押し上げて
鉤部９４と係合部９３との係合が解除され、コイルスプ
リング７５の付勢力により爪ガイド５０を伴って爪支持
体４９が後退可能とされる。このとき、カム板８４が後
退規制部材９６に接当して、コイルスプリング７５によ
る爪支持体４９の後退を規制し、揺動アーム６０の苗ト
レイＴ側への揺動動作に伴って、徐々に後退するように
なっている。

【００５２】その後は、出力軸５５の反時計方向の回転
によって、図８に示す状態に移動し、前記動作を繰り返
す。

【００５３】

【発明の効果】本発明によれば、苗取出爪４５を支持す
る爪支持体４９を苗トレイＴに対して進退自在に支持す
る保持体５１を設け、保持体５１と爪支持体４９との間
に苗取出爪４５を床土部Ｅに突き刺す前の状態に戻すべ
く爪支持体４９を後退させる戻しバネ７５を設けると共
に、苗取出爪４５を床土部Ｅに突き刺した状態からの爪
支持体４９の後退を規制するように、保持体５１側に設
けた係合部９３に係脱自在に係合するロックアーム９１
を爪支持体４９側に設け、苗取出爪４５の突き刺し動作
を終了した時点で、係合部９３と該係合部９３に係合す
るロックアーム９１の係合部分との間に隙間ｅが生じる
ようにしたので、ロックアーム９１を係合部９３に確実
に係合させることができるとと共に、保持体５１を苗ト
レイＴから離反する方向に後退させて床土部Ｅをポット
部Ｐから引き離すまで、前記係合部９３とロックアーム
９１の係合部分との隙間ｅを維持するようにしたので、
苗取出爪４５の床土部Ｅに対する突き刺し状態及び苗Ｓ
の取り出し動作が不良とはならず、良好に苗Ｓを取り出
すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】苗分送装置の側面断面図である。

【図２】苗分送装置の要部の側面断面図である。

【図３】苗分送装置の平面図である。

【図４】移植機の全体側面図である。

【図５】移植機の全体平面図である。

【図６】走行機体のドレッド調整を示す平面図である。

【図７】走行機体のドレッド調整を示す平面図である。

【図８】苗分送装置の動作を示す側面図である。

【図９】苗分送装置の動作を示す側面図である。

【図１０】苗分送装置の動作を示す側面図である。

【図１１】苗分送装置の動作を示す側面図である。

【図１２】苗分送装置の動作を示す側面図である。

【符号の説明】

４０ 植付カップ（植付手段） ４５ 苗取出爪 ４９ 爪支持体 ５１ 保持体 ７５ コイルスプリング（戻しバネ） ９１ ロックアーム ９３ 係合部 Ｔ 苗トレイ Ｐ ポット部 Ｓ 苗 Ｅ 床土部 ｅ 隙間

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福本 仁志 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ 堺製造所内 (56)参考文献 特開 平６−311805（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−100315（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01C 11/00 - 11/02 303

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗トレイ（Ｔ）のポット部（Ｐ）内の苗
   （Ｓ）の床土部（Ｅ）に対して苗取出爪（４５）を前進
   させて該床土部（Ｅ）に突入させた後、苗取出爪（４
   ５）を後退させて床土部（Ｅ）をポット部（Ｐ）から取
   り出し、その後取り出した苗（Ｓ）を苗取出爪（４５）
   から離反させて植付手段（４０）へと供給するようにし
   た移植機の苗分送装置において、 苗取出爪（４５）を支持する爪支持体（４９）を苗トレ
   イ（Ｔ）に対して進退自在に支持する保持体（５１）を
   設け、保持体（５１）と爪支持体（４９）との間に苗取
   出爪（４５）を床土部（Ｅ）に突き刺す前の状態に戻す
   べく爪支持体（４９）を後退させる戻しバネ（７５）を
   設けると共に、苗取出爪（４５）を床土部（Ｅ）に突き
   刺した状態からの爪支持体（４９）の後退を規制するよ
   うに、保持体（５１）側に設けた係合部（９３）に係脱
   自在に係合するロックアーム（９１）を爪支持体（４
   ９）側に設け、苗取出爪（４５）の突き刺し動作を終了
   した時点で、係合部（９３）と該係合部（９３）に係合
   するロックアーム（９１）の係合部分との間に隙間
   （ｅ）が生じるようにすると共に、保持体（５１）を苗
   トレイ（Ｔ）から離反する方向に後退させて床土部
   （Ｅ）をポット部（Ｐ）から引き離すまで、前記係合部
   （９３）とロックアーム（９１）の係合部分との隙間
   （ｅ）を維持するようにしたことを特徴とする移植機の
   苗分送装置。