JP3276747B2 - 耐熱性を有するプラスチック光ファイバ及び光導波路 - Google Patents

耐熱性を有するプラスチック光ファイバ及び光導波路

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JP3276747B2
JP3276747B2 JP29151093A JP29151093A JP3276747B2 JP 3276747 B2 JP3276747 B2 JP 3276747B2 JP 29151093 A JP29151093 A JP 29151093A JP 29151093 A JP29151093 A JP 29151093A JP 3276747 B2 JP3276747 B2 JP 3276747B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車や電子機器に使用
される耐熱性に優れたプラスチック光ファイバ及び光導
波路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック光ファイバは伝送損失が大
きく長距離伝送用としては通常使用できないが、可とう
性がありしかも端末加工性が容易であることから、自動
車や電子機器の信号伝送路として期待されている。従来
のプラスチック光ファイバはそのほとんどがコア部がポ
リメタクリル酸メチルでできているため、100℃以下
の耐熱性しか有しておらず、自動車のエンジンルーム、
電子機器の耐熱部に使用することはできない。これを改
善するため、コア部にポリカーボネートA(下記構造式
(A)の繰り返し単位を有する)を用いたプラスチック
光ファイバが使用されてきているが、このポリカーボネ
ートを用いたプラスチック光ファイバでも125〜13
0℃程度の耐熱性である。またさらにポリカーボネート
AF(下記構造式(B)の繰り返し単位を有する)をコ
ア層に用いることにより、145℃程度の温度下で使用
可能なプラスチック光ファイバが得られている(特開昭
61−292105号、特開昭64−19307号)。
しかしポリカーボネートAFは加水分解されやすく、高
い温度下における信頼性に乏しく長期間の高湿下の加熱
により伝送損失の増加が生じる。またポリカーボネート
AFをコア部に有するプラスチック光ファイバは高温下
にさらされるとファイバの破断までの伸びが著しく低下
する。またポリカーボネートAFのガラス転移温度は1
60℃程度であり、145℃程度の温度が使用の上限で
ある。
【0003】
【化1】
【0004】さらに高いガラス転移温度を有する変性ポ
リカーボネートをコア材として用いてプラスチック光フ
ァイバの耐熱性の向上の検討がなされているが、成形
性、耐酸化性、化学的安定性に問題があり必ずしも満足
し得る結果が得られていない。例えばポリカーボネート
AP(下記構造式(C)の繰り返し単位を有する:ガラ
ス転移温度179℃)、ポリカーボネートPP(下記構
造式(D)の繰り返し単位を有する:ガラス転移温度1
96℃)、ポリカーボネートZ(下記構造式(E)の繰
り返し単位を有する:ガラス転移温度170℃)など
は、このようにガラス転移温度が高くても酸化性や化学
的安定性に乏しく、高温下でわずかな時間で着色が進行
し伝送損失が増大する。また、下記構造式(F)の繰り
返し単位を有するポリカーボネート(ビフェノール)を
用いてプラスチック光ファイバを作成しようとしたが、
分子が剛直であり成形が不可能であった。また下記構造
式(G)の繰り返し単位を有するポリカーボネート(フ
ルオレン:ガラス転移温度278℃)を用いてプラスチ
ック光ファイバを作成しようとしたが、溶融成形温度が
高くプラスチック光ファイバに成形することは困難であ
った。
【0005】
【化2】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は145
℃以上の温度で使用可能であり、このような高温度で長
期間保持しても、もしくは高温高湿下で保持しても伝送
損失増が小さくまたファイバの伸び性が低下することな
くかつ高温で力を加えても伝送損失増の小さなプラスチ
ック光ファイバを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成せんとしてコア材として用いられる2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロプロパンのポリカーボネートの耐熱性
改善について鋭意検討を重ねた結果、コア材として特定
量の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ンを共重合させた特定の分子量範囲(比粘度)を有する
芳香族ポリカーボネート共重合体を用いることにより、
耐水性を向上させることができ、低い伝送損失を有し、
しかも高温度下において保持しても伝送損失増が小さ
く、ファイバの伸び性が低下することなく、またこの温
度で力を加えても伝送損失増の小さなプラスチック光フ
ァイバが得られることを見いだした。本発明はこの知見
に基づきなされたものである。
【0008】本発明は、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
プロパン(以下、ビスフェノールAFという)53〜9
9.5モル%に対し9,9−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フルオレン(以下、ビスフェノールFLという)
47〜0.5モル%を含有してなるビスフェノール成分
にカーボネート前駆物質を反応させて得られる芳香族ポ
リカーボネート共重合体であって、その0.7gを塩化
メチレン100mlに溶解したときの20℃における比
粘度が0.160〜0.418の範囲である芳香族ポリ
カーボネート共重合体をコア層とすることを特徴とする
プラスチック光ファイバ及び光導波路に係るものであ
る。本発明において、芳香族ポリカーボネートの製造に
用いるビスフェノールAFとビスフェノールFLの割合
はビスフェノールAFが53〜99.5モル%、ビスフ
ェノールFLが47〜0.5モル%である。好ましくは
ビスフェノールAFが53〜95モル%、ビスフェノー
ルFLが47〜5モル%である。またさらに好ましくは
ビスフェノールAFが60〜95モル%、ビスフェノー
ルFLが40〜5モル%である。ビスフェノールFLを
0.5モル%より少なくすると、コア材であるポリカー
ボネートが高温高湿下において加水分解しやすくなり、
これによりプラスチック光ファイバが高湿下高い温度に
長期さらされるとそのプラスチック光ファイバの伝送損
失の増加が大きくなるだけでなく伸びも著しく低下す
る。またさらに高い温度にさらされた際のプラスチック
光ファイバの伸びの低下が大きくなり、プラスチック光
ファイバの信頼性が乏しくなる。
【0009】またビスフェノールFLを好ましくは5モ
ル%以上とするが、これにより上記のような特性の改良
に加えて145℃程度までの長期的耐熱性及び高温度下
におけるプラスチック光ファイバの伸びの低下の抑制が
さらに達成される。また、約150℃程度でプラスチッ
ク光ファイバに縮みが生じることなく、さらにこの温度
下で少し引張っただけでのびてしまうこともなく、15
0℃程度の温度における力学的強度が保証される。また
ビスフェノールAFの割合を53モル%より小さくする
と成形性が悪くなり、また、高温下で成形しなければな
らずプラスチック光ファイバの成形時に着色が生じ伝送
損失が増加し、さらに高温下の使用において縮みや機械
的強度の低下などの力学的変化は生じないものの、伝送
損失の著しい増加が確認される。またポリカーボネート
共重合体はその0.7gを塩化メチレン100mlに溶
解させた20℃における比粘度が0.160〜0.41
8でなければならない。この比粘度が0.160より小
さいとプラスチック光ファイバとしての強度が著しく低
下し、また0.418より大きいと成形が困難となり、
さらに得られたプラスチック光ファイバの伝送損失が高
い値となってしまう。本発明のプラスチック光ファイバ
はコア層のポリカーボネート共重合体が化学的に安定で
ありさらにガラス転移温度も155℃以上であるため、
145℃の温度で長期間さらされても伝送損失の増加は
小さい。またこの温度で長期さらされてもファイバの伸
び値の低下は小さい。
【0010】またさらにビスフェノールFLの割合を5
モル%以上とする場合、プラスチック光ファイバのコア
層のポリカーボネート共重合体はガラス転移温度が16
0℃以上であり150℃程度の温度においてプラスチッ
ク光ファイバが縮んだり、あるいは変形したりすること
はない。またこの温度で力を加えて引張っても伝送損失
増は小さい。さらにこのプラスチック光ファイバは15
0℃の温度にさらされても伝送損失の増加は非常に小さ
い。またこのポリカーボネート共重合体はポリカーボネ
ートAFと比較しても熱安定性にも優れており、成型時
にポリマーの分解を生ずることなくすなわち低い伝送損
失をもって成形加工することが可能である。さらにこの
ポリカーボネート共重合体は250〜290℃程度の比
較的低い温度で成形することが可能であり、成形性は良
好である。また250〜290℃程度の温度で成形可能
であるため、成形時にポリカーボネートが分解すること
なく、透過率が低下せず低い伝送損失のプラスチック光
ファイバが得られる。
【0011】本発明の共重合体を製造するに使用するビ
スフェノールAFはヘキサフルオロアセトンとフェノー
ルの反応によって得られ、再結晶処理をくり返して不純
物の量を液体クロマトグラフィーで0.02%以下に減
少させた純度99.98%以上のものを使用することが
好ましい。不純物の量が増加すると一般にポリカーボネ
ート共重合体の透過率が低下し、プラスチック光ファイ
バの伝送損失が高い値となってしまうからであり、さら
に高温下の使用において伝送損失の増加が大きくなるか
らである。またビスフェノールFLはフルオレノンとフ
ェノールの反応によって得られる。またこれは再結晶処
理をくり返して不純物の量を液体クロマトグラフィーで
1.0重量%以下に減少させた純度99.0%以上のも
のであることが好ましい。この不純物の量が1.0%を
超えると得られるポリカーボネート共重合体の透過率は
低下し、得られたプラスチック光ファイバの伝送損失は
高い値となってしまうことがあるからである。
【0012】ポリカーボネート共重合体を製造にするに
当り上記ビスフェノール成分と反応させるカーボネート
前駆物質(炭酸成分)としては、例えばホスゲン、ジフ
ェニルカーボネート等があげられる。本発明の芳香族ポ
リカーボネート共重合体を製造するには、通常のビスフ
ェノールAポリカーボネートを製造する際に採用する方
法、例えばビスフェノールとホスゲンとの反応、または
ビスフェノールとビスアリールカーボネートとのエステ
ル交換反応が採用される。二価フェノールとホスゲンの
モル比は、通常、二価フェノール1モルに対してホスゲ
ン1.05〜1.50モルが好ましい。ビスフェノール
とホスゲンとの反応では、通常、酸結合剤及び溶媒の存
在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、
ピリジン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチ
レン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いら
れる。また、反応促進のために例えば第三級アミン、第
四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子
量調節剤として例えばフェノール、p−tert−ブチ
ルフェノール等の末端停止剤を用いることが好ましい。
反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、
反応中のpHは通常10以上に保つのが好ましい。
【0013】一方、エステル交換反応では、不活性ガス
存在下にビスフェノールとビスアリールカーボネートを
混合し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減
圧度は段階的に変化させ、最終的には1mmHg以下に
して生成したフェノール類を系外に留去させる。反応時
間は通常1〜4時間程度である。また、必要に応じて分
子量調節剤や酸化防止剤を加えてもよい。酸化防止剤と
してはホスファイト系、フェノール系、有機イオウ系の
ものが挙げられる。かかる酸化防止剤の配合量は芳香族
ポリカーボネート共重合体100重量部に対して0.0
01〜1.0重量部が好ましい。また得られたポリカー
ボネートも水洗などの十分な精製が常法により行われ
る。またゴミなどの異物をとり除くため、フィルター等
を通して精製することも行われる。また本発明のプラス
チック光ファイバ及び光導波路において、二価フェノー
ル成分としてビスフェノールAFとビスフェノールFL
を用いた場合に関する説明は、ビスフェノールFLに代
えて、ビスフェノールFLと1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1−フェニルエタン(以下ビスフェノ
ールAPという)の組合わせを含有させた場合に適用さ
れる。本発明はそのような場合も包含する。この場合、
二価フェノール成分中の含有量は、ビスフェノールFL
とビスフェノールAPとを合計で、前記ビスフェノール
FLと同じ含有量、すなわち、47〜0.5モル%含有
していてもよい。さらに、この際のビスフェノールFL
とビスフェノールAPとの前記含有量の技術的意義、及
び得られた共重合体の比粘度など要求物性は、ビスフェ
ノールAFに対しビスフェノールFLを用いた場合と同
様である。
【0014】また、本発明に用いられる芳香族ポリカー
ボネート樹脂の製造において、少量であれば(通常10
モル%以下)、上記ビスフェノールAF、ビスフェノー
ルFL以外の二価フェノールをビスフェノール成分とし
て含有させて共重合させることができる。このような他
の二価フェノールとしては、例えば4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3
−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,
2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルオキシド等があげられる。
【0015】本発明のプラスチック光ファイバのクラッ
ド層としてはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テト
ラフルオロエチレン共重合体、フッ素化ポリメタクリル
酸メチル、テフロンAF(デュポン社製、登録商標)、
サイトップ(旭硝子社製、登録商標)などのフッ素樹脂
やシリコーン樹脂、イミド化アクリル樹脂などが挙げら
れる。プラスチック光ファイバは常法の2重紡糸法、あ
るいはその他の手法を用いても形成できる。プラスチッ
ク光ファイバを2重紡糸法で行う際のヘッドの温度は2
40〜280℃程度である。またプラスチック光ファイ
バの伝送損失を低下させるためには、特願平2−245
433号の加熱減圧加圧法を用い、プリフォームを作成
した後にこれを紡糸しプラスチック光ファイバを作成し
てもよい。本発明において前記の芳香族ポリカーボネー
ト共重合体をコア材とし常法に従って種々の光導波路を
製造することができる。
【0016】
【実施例】以下実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例中の部及び%は重量部及び重量%であ
る。試験法は次の通りである。 (イ)比粘度はポリマー0.7gを塩化メチレン100
mlに溶解して20℃で測定した。 (ロ)プラスチック光ファイバの伝送損失は、光源とし
て660nmのLEDを用いて10m−1mカットバッ
ク法を用いて行った。 (ハ)プラスチック光ファイバの150℃における引張
テストは図1の装置にプラスチック光ファイバ3mをセ
ットし、150℃の恒温槽に入れ評価した。伝送損失増
は光源として660nmのLEDを用いて連続モニター
を行い、初期値の出力光量と相対比較で評価した。図中
1は直径60mmの滑車、2は光源(660nm:LE
D)、3は出力である。 (ニ)プラスチック光ファイバの伸びは、円筒チャック
を用い標線間100mm、引張速度100mm/分で引
っ張り、伸びの絶対値を計測した。 (ホ)プラスチック光ファイバの熱処理後の伸びの変化
は、145℃7日間熱処理を行った後、円筒チャックを
用い標線間100mm、引張速度100mm/分で引っ
張り、伸びの絶対値を計測した。 (ヘ)プラスチック光ファイバの耐湿加熱試験は120
℃におけるスチーム下にファイバを4日間の処理を行っ
た後、円筒チャックを用い標線間100mm、引張速度
100mm/分で引っ張り、伸びの絶対値を計測した。
【0017】実施例1 撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応槽にイオン
交換水249部及び48.5%水酸化ナトリウム水溶液
16.4部を入れ、窒素ガスで30分間バブリングして
脱酸素した。これにハイドロサルファイト0.05部を
加え、99.98%純度のビスフェノールAF27.1
部及び99.8%純度の9,9−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)フルオレン3.14部を溶解した後、塩化メ
チレン267部を加え、撹拌下14〜16℃でホスゲン
10.4部を約60分を要して吹込んだ。次いでp−t
ert−ブチルフェノール0.67部及び48.5%水
酸化ナトリウム水溶液5.6部を添加し、撹拌して乳化
させた後トリエチルアミン0.02部を加え、30℃で
約2時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を
塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にしてさら
に水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じにな
ったところで塩化メチレンを蒸発して共重合ポリマーを
得た。この共重合ポリマーの比粘度は0.211、ガラ
ス転移温度は167℃と高かった。
【0018】コア層として0.1μmのフィルターを通
してゴミをとり除いた上述のポリカーボネート共重合体
を樹脂導入路に加え、ヘッド温度245℃で紡糸した。
紡糸途中にダイスを設置し、その中に熱硬化性シリコー
ン樹脂(X−38−040HAB:信越化学社製)を加
え、さらに下部の炉で硬化させることにより、コア−ク
ラッド層を有するプラスチック光ファイバを得た。得ら
れたプラスチック光ファイバはコア径が0.96mm、
外径が1.02mmであり、伝送損失は、940dB/km
(660nm:LED)であった。得られたプラスチッ
ク光ファイバを150℃で1カ月間放置したところ、伝
送損失は1000dB/km (660nm:LED)であっ
た。また図1のように100gの荷重を加えこれを15
0℃の恒温槽にいれ、3日後プラスチック光ファイバの
伝送損失の増加を測定したところ、増加は80dB/km で
あった。また得られたプラスチック光ファイバの伸びを
測定したところ、伸び値は80%であった。さらに14
5℃7日間熱処理した後の伸びを測定したところ、伸び
値は70%であった。また120℃におけるプラスチッ
ク光ファイバの耐湿加熱試験を行ったところ、120℃
4日後の伸びは50%であった。
【0019】実施例2 実施例1で使用したと同じ装置にイオン交換水1897
部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液125部及びハ
イドロサルファイト0.5部を入れ、実施例1と同様に
して脱酸素した後、99.98%純度のビスフェノール
AF183.5部及び99.8%純度の9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン47.9部を溶
解し、塩化メチレン2038部を加え、撹拌下13〜1
6℃でホスゲン79.1部を約50分を要して吹込ん
だ。次いでp−tert−ブチルフェノール6.7部及
び48.5%水酸化ナトリウム水溶液42.5部を添加
し、撹拌して乳化させた後、トリエチルアミン0.17
部を加え、30℃で約2時間撹拌して反応を終了した。
このものを実施例1と同様に処理して共重合ポリマーを
得た。この共重合ポリマーの比粘度は0.177、ガラ
ス転移温度は178℃と高かった。
【0020】コア層として0.1μmのフィルターを通
してゴミをとり除いた上述のポリカーボネート共重合体
を樹脂導入路に加え、ヘッド温度255℃で紡糸した。
紡糸途中にダイスを設置しその中に熱硬化性シリコーン
樹脂(X−38−040HAB:信越化学社製)を加
え、さらに下部の炉で硬化させることによりコア−クラ
ッド層を有するプラスチック光ファイバを得た。得られ
たプラスチック光ファイバはコア径が0.96mm、外
径が1.02mmであり、伝送損失は1000dB/km で
あった。(660nm:LED)得られたプラスチック
光ファイバは150℃で1カ月間放置したところ、伝送
損失は1100dB/km (660nm:LED)であっ
た。また図1のように100gの荷重を加えこれを15
0℃の恒温槽に入れ、3日間放置したところ伝送損失の
増加は60dB/km であった。また得られたプラスチック
光ファイバの伸びを測定したところ、伸び値は70%で
あった。さらに145℃7日間熱処理した後の伸びを測
定したところ、伸び値は70%であった。
【0021】実施例3 実施例1で使用したと同じ装置にイオン交換水2371
部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液156部及びハ
イドロサルファイト0.6部を入れ、実施例1と同様に
して脱酸素した後、99.98%純度のビスフェノール
AF200.7部及び99.8%純度の9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン89.7部を溶
解し、塩化メチレン2548部を加え、撹拌下13〜1
6℃でホスゲン98.5部を約50分を要して吹込ん
だ。次いでp−tert−ブチルフェノール8.5部及
び48.5%水酸化ナトリウム水溶液53.2部を加
え、撹拌して乳化させた後、トリエチルアミン0.2部
を加え、30℃で約2時間撹拌して反応を終了した。こ
のものを実施例1と同様に処理して共重合ポリマーを得
た。この共重合ポリマーの比粘度は0.178、ガラス
転移温度は196℃と高かった。
【0022】コア層として0.1μmのフィルターを通
してゴミをとり除いた上述のポリカーボネート共重合体
を樹脂導入路に加え、ヘッド温度280℃で紡糸した。
紡糸途中にダイスを設置し、その中に熱硬化性シリコー
ン樹脂(X−38−040HAB:信越化学社製)を加
え、さらに下部の炉で硬化させることにより、コア−ク
ラッド層を有するプラスチック光ファイバを得た。得ら
れたプラスチック光ファイバはコア径が0.96mm、
外径が1.02mmであり、伝送損失は1250dB/km
(660nm:LED)であった。得られたプラスチッ
ク光ファイバを150℃で1カ月間放置したところ、伝
送損失は1450dB/km (660nm:LED)であっ
た。また図1のように100gの荷重を加えこれを15
0℃の恒温槽に入れ、3日後プラスチック光ファイバの
伝送損失の増加を測定したところ、60dB/km であっ
た。また得られたプラスチック光ファイバの伸びを測定
したところ、伸び値は75%であった。さらに145℃
7日間熱処理した後の伸びを測定したところ、伸び値は
75%であった。
【0023】実施例4 実施例1で使用したと同じ装置にイオン交換水2276
部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液150部及びハ
イドロサルファイト0.6部を入れ、実施例1と同様に
して脱酸素した後、99.98%純度のビスフェノール
AF261.6部及び99.8%純度の9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン14.3部を溶
解し、塩化メチレン2447部を加え、撹拌下13〜1
6℃でホスゲン95.0部を約50分を要して吹込ん
だ。次いでp−tert−ブチルフェノール7.0部及
び48.5%水酸化ナトリウム水溶液51部を加え、撹
拌して乳化させた後、トリエチルアミン0.20部を加
え、30℃で約2時間撹拌して反応を終了した。このも
のを実施例1と同様に処理して共重合ポリマーを得た。
この共重合ポリマーの比粘度は0.186、ガラス転移
温度は163℃であった。コア層として0.1μmのフ
ィルターを通してゴミをとり除いた上述のポリカーボネ
ート共重合体を樹脂導入路に加え、ヘッド温度245℃
で紡糸した。紡糸途中にダイスを設置し、その中に熱硬
化性シリコーン樹脂(X−38−040HAB:信越化
学社製)を加え、さらに下部の炉で硬化させることによ
り、コア−クラッド層を有するプラスチック光ファイバ
を得た。得られたプラスチック光ファイバはコア径が
0.96mm、外径が1.02mmであり、伝送損失は
800dB/km (660nm:LED)であった。得られ
たプラスチック光ファイバを150℃で1カ月間放置し
たところ、伝送損失は820dB/km (660nm:LE
D)であった。
【0024】また図1のように100gの荷重を加えこ
れを150℃の恒温槽に入れ、3日後プラスチック光フ
ァイバの伝送損失の増加を測定したところ、増加は15
0dB/km であった。また得られたプラスチック光ファイ
バの伸びを測定したところ、伸び値は95%であった。
さらに145℃7日間熱処理した後の伸びを測定したと
ころ、伸び値は75%であった。
【0025】実施例5 実施例1で使用したと同じ装置にイオン交換水543
部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液54.8部及び
ハイドロサルファイト0.2部を入れ、実施例1と同様
にして脱酸素した後、99.98%純度のビスフェノー
ルAF98.2部及び99.8%純度の9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン1.04部を溶
解し、塩化メチレン472部を加え、撹拌下13〜16
℃でホスゲン34.5部を約50分を要して吹込んだ。
次いでp−tert−ブチルフェノール2.44部及び
48.5%水酸化ナトリウム水溶液18.4部を加え、
撹拌して乳化させた後、トリエチルアミン0.1部を加
え、30℃で約2時間撹拌して反応を終了した。このも
のを実施例1と同様に処理して共重合ポリマーを得た。
この共重合ポリマーの比粘度は0.172、ガラス転移
温度は159℃であった。コア層として0.1μmのフ
ィルターを通してゴミをとり除いた上述のポリカーボネ
ート共重合体を樹脂導入路に加え、ヘッド温度240℃
で紡糸した。紡糸途中にダイスを設置し、その中に熱硬
化性シリコーン樹脂(X−38−040HAB:信越化
学社製)を加え、さらに下部の炉で硬化させることによ
り、コア−クラッド層を有するプラスチック光ファイバ
を得た。得られたプラスチック光ファイバはコア径が
0.96mm、外径が1.02mmであり、伝送損失は
780dB/km (660nm:LED)であった。
【0026】得られたプラスチック光ファイバを150
℃で1カ月間放置したところ、伝送損失は790dB/km
(660nm:LED)であった。また図1のように1
00gの荷重を加えこれを150℃の恒温槽に入れ、3
日後プラスチック光ファイバの伝送損失の増加を測定し
たところ、増加は410dB/km であった。また引張テス
トを145℃の恒温槽下で行ったところ、140dB/km
の増加であった。また得られたプラスチック光ファイバ
の伸びを測定したところ、伸び値は80%であった。さ
らに145℃7日間熱処理した後の伸びを測定したとこ
ろ、伸び値は50%であった。また120℃におけるプ
ラスチック光ファイバの耐湿加熱試験を行ったところ、
120℃4日後の伸びは30%であった。このようにプ
ラスチック光ファイバは145℃程度の温度では十分信
頼して使用できるものであった。この実施例1〜5の結
果を表1にまとめた。
【0027】
【表1】
【0028】比較例1 9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを
使用せずに99.90%純度のビスフェノールAFを3
0.2部使用する以外は実施例1と同様にしてビスフェ
ノールAFのホモポリマーを得た。このホモポリマーの
比粘度は0.194であり、ガラス転移温度は157℃
であった。コア層として0.1μmのフィルターを通し
てゴミをとり除いた上述のポリカーボネートAFを樹脂
導入路に加え、ヘッド温度240℃で紡糸した。紡糸途
中にダイスを設置し、その中に熱硬化性シリコーン樹脂
(X−38−040HAB:信越化学社製)を加え、さ
らに下部の炉で硬化させることにより、コア−クラッド
層を有するプラスチック光ファイバを得た。得られたプ
ラスチック光ファイバはコア径が0.96mm、外径が
1.02mmであり、伝送損失は780dB/km (660
nm:LED)であった。得られたプラスチック光ファ
イバを150℃で1カ月間放置したところ、伝送損失は
790dB/km (660nm:LED)であった。
【0029】また図1のように100gの荷重を加えこ
れを150℃の恒温槽に入れ、3日後プラスチック光フ
ァイバの伝送損失の増加を測定したところ、増加は45
0dB/km であった。また得られたプラスチック光ファイ
バの伸びを測定したところ、伸び値は80%であった。
さらに145℃7日間熱処理した後の伸びを測定したと
ころ、伸び値は約10%であった。また120℃におけ
るプラスチック光ファイバの耐湿加熱試験を行ったとこ
ろ、120℃4日後の伸びは10%以下であり、ファイ
バが脆く折れやすい状況であった。
【0030】比較例2 ビスフェノールAFを使用せずに99.8%純度の9,
9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)のフルオレンのみ
を使用して得た9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)のフルオレンのホモポリカーボネートは、ガラス転
移温度は287℃と十分に高いが、成形が不可能であっ
た。 比較例3 ビスフェノールAF、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレンを使用せずに純度99.96%ビス
フェノールAP250gを使用した他は実施例1と同様
な方法でビスフェノールAPのホモポリマーを得た。こ
のホモポリマーの比粘度は0.188であり、ガラス転
移温度は179℃と高かった。コア層として0.1μm
のフィルターを通してゴミをとり除いた上述のポリカー
ボネートAPを樹脂導入路に加え、ヘッド温度270℃
で紡糸した。紡糸途中にダイスを設置し、その中に熱硬
化性シリコーン樹脂(X−38−040HAB:信越化
学社製)を加え、さらに下部の炉で硬化させることによ
り、コア−クラッド層を有するプラスチック光ファイバ
を得た。得られたプラスチック光ファイバはコア径が
0.96mm、外径が1.02mmであり、伝送損失は
1450dB/km (660nm:LED)であった。得ら
れたプラスチック光ファイバを150℃で1カ月間放置
したところ、伝送損失は3000dB/km 以上で測定不可
能であった。この比較例1、2及び3の結果を表2にま
とめた。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明のプラスチック光ファイバは耐水
性に優れ、高温高湿下で使用しても伝送損失の増加が小
さい。また、本発明のプラスチック光ファイバはコア層
に特定のポリカーボネート共重合体を使用することによ
り、耐熱性の優れるものであり、高温度下で保持されて
も伸び性の低下を生じることなく、あるいは高温下で力
を加えても伝送損失の増加が小さいという優れた作用効
果を奏する。したがって、これは光導波路として、自動
車、電子機器など耐熱性を要求される各種の分野に利用
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスチック光ファイバに力を加えた場合の伝
送損失を測定する引張テストの説明図である。
【符号の説明】
1 滑車 2 光源 3 出力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/00 - 6/02 G02B 6/10 G02B 6/16 - 6/22 G02B 6/44 C08G 64/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
    ル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
    ン53〜99.5モル%に対し9,9−ビス(4−ヒド
    ロキシフェニル)フルオレン47〜0.5モル%を含有
    してなるビスフェノール成分にカーボネート前駆物質を
    反応させて得られる芳香族ポリカーボネート共重合体で
    あって、その0.7gを塩化メチレン100mlに溶解
    したときの20℃における比粘度が0.160〜0.4
    18の範囲である芳香族ポリカーボネート共重合体をコ
    ア層とすることを特徴とするプラスチック光ファイバ。
  2. 【請求項2】 コア層が請求項1のポリカーボネート共
    重合体からなることを特徴とする光導波路。
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