JP3273564B1 - 魚介類の加工食品の製造方法 - Google Patents

魚介類の加工食品の製造方法

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信二 林
紀生 幸田
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株式会社ベニレイ
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Abstract

【要約】 【課題】 味付けに手間がかからず、また、食べ歩きに
充分な強度と保形性を備えた魚介類の加工食品およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 冷凍し、かつ、棒状に形成された魚介類
1の周面に、打ち粉10を介してバッター液20を付着
させ、バッター液20表面に、微細に粉砕した味付け済
みポテトチップス30をまぶして食用油脂で揚げる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚肉、海老、イ
カ、蛸等の魚介類を加工した食品に係り、特に、魚介類
を食用油脂で揚げてなる魚介類の加工食品およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、牛肉等の動物性タンパク質に偏り
がちな食生活が日本をはじめとして、欧米等においても
見直されてきており、健康志向の観点から魚介類の加工
食品が注目されている。
【0003】その一例として、特開平06−27700
4号公報に開示されているように、魚肉等の魚介類を薄
肉状の肉片に加工し、この肉片の外周面にカタクリ粉等
の食用粉体をまぶし、食用油脂で揚げたものが知られて
いる。
【0004】しかしながら、上記公報に開示されている
加工食品は、肉片の外周面にまぶされたカタクリ粉には
味付けがされていないため、外周面の衣のみをそのまま
食してもおいしくなく、また、食用油脂で揚げた後、食
す際には、食塩や香辛料等の調味料を適量加える必要が
あり、味付けに手間がかかるという問題がある。
【0005】また、肉片の外周面にカタクリ粉をまぶし
て揚げただけであるので、厚さが2.0mm程度の薄肉
状に圧延された加工食品の端部を持って食そうとする
と、加工食品はその自重に耐えきれず折れてしまうこと
があり、食べ歩きに適した強度および保形性を備えてい
ないという問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とする
ところは、健康志向に合致し、かつ、味付けに手間がか
からず、また、食べ歩きに充分な強度および保形性を備
えた魚介類の加工食品の製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、比較的万人受けする食
材である味付け済みポテトチップスの食感やその強度に
着目し、魚肉等の魚介類を加工して揚げる際の衣として
用いることで、味付けが不用であり、かつ、食べ歩きに
充分な保形性を備えることができることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0008】上記目的を達成するために、本発明に係る
魚介類の加工食品の製造方法は、魚介類を冷凍して切断
することにより棒状に形成する型形成工程と、上記棒状
に形成された魚介類の周面に打ち粉を介してバッター液
を付着させ、上記バッター液表面に、生のじゃがいもを
一旦粒状に粉砕し、スライス状に成型して揚げた味付け
済みポテトチップスを微細に粉砕してまぶす付着工程
と、上記ポテトチップスがまぶされた魚介類を冷凍する
冷凍工程と、上記ポテトチップスがまぶされた冷凍の
介類を食用油脂で揚げる揚げ工程と、を具備することを
特徴とする。
【0009】また、本発明は上記製造方法において、上
記揚げ工程は、上記食用油脂が大豆油、キャノーラ油
(菜種油)、コーン油、綿実油、米油、サフラワー油、
およびこれらを調合した混合油から選ばれる一つの植物
性油脂であり、上記ポテトチップスがまぶされた冷凍の
魚介類同士が接触しない程度の油量であって、かつ16
0℃乃至180℃の油温の下、3分乃至4分間揚げるこ
とを特徴とする。
【0010】また、本発明は上記製造方法において、
記魚介類は、スケソウタラの魚肉であることを特徴とす
る。
【0011】また、上記製造方法において、打ち粉は、
でん粉を主成分とし、微量の食塩および炭酸カルシウム
を混ぜ合わせてなるものを使用する。
【0012】また、上記製造方法において、バッター液
は、でん粉を主成分とし、微量の食塩、とうもろこし
粉、小麦タンパク、および香辛料を混ぜ合わせてなる
のを使用する。
【0013】また、上記製造方法において、微細に粉砕
したポテトチップスの最大片は、3.0mm乃至5.0
mmである
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【作用】本発明によれば、冷凍した魚肉、海老、イカ、
蛸等の魚介類を棒状に成型し、成型された魚介類の外周
面に打ち粉、バッター液、味付け済みポテトチップスを
まぶして食用油脂で揚げてあるため、ポテトチップスを
揚げるための揚げ工程と魚介類を揚げるための揚げ工程
の2度の揚げ工程を経ることにより、余分な水分が蒸発
するため、さくさくとした食感(クリスピー感)を実現
することができ、また、加工食品の端を持っても自重に
耐えうるだけの保形性を備えているため、食べ歩きが可
能となる。
【0018】また、衣であるポテトチップスには予め味
付けがなされており、調味料等を加える必要がなく、味
付けの手間が省けるために、スナック菓子のような感覚
で気軽に食することができるとともに、気分や趣好に合
わせてポテトチップスの味付けを選択すれば、味付けの
バリエーションを楽しむこともできる。
【0019】以下、本発明に係る魚介類の加工食品の製
造方法の実施形態について添付図面を参照しながら詳細
に説明する。
【0020】本発明方法による魚介類の加工食品は、図
1に示すように、魚介類1の皮および骨を取り除いた魚
肉等を所定形状の箱に複数詰め込み、魚肉の上から押圧
し冷凍することにより、所定形状のポーション1aを形
成し、このポーション1aを複数回切断することにより
棒状の裸ポーション1bを形成する型形成工程と、棒状
に形成された裸ポーション1bの周面に適量の打ち粉1
0を付着させて打ち粉付裸ポーション11を形成し、そ
の周面に適量のバッター液20を付着させてバッター液
付裸ポーション21を形成し、バッター液20表面に微
細に粉砕された味付け済みポテトチップス30をまぶす
付着工程と、ポテトチップスがまぶされたポテトチップ
ス付裸ポーション31を冷凍する冷凍工程と、この冷凍
したポテトチップス付き裸ポーション31を食用油脂で
揚げる揚げ工程とを経ることにより製造される。
【0021】上記型形成工程において、素材となる魚介
類1としては、スケソウタラ、鱈、ホキ、メルルーサ、
アジ、鮭等の比較的癖の少ない魚肉を使用する。また、
素材となる魚介類1の水分含有量、脂分含有量等の特性
を考慮して、後段の付着工程における打ち粉10、バッ
ター液20の成分比、粘度、付着量等を適宜調整するこ
とにより、魚肉以外の海老、イカ、蛸等のすり身を使用
することもできる。
【0022】上記付着工程において、棒状に形成された
裸ポーション1bの周面に付着させる打ち粉10とは、
バッター液20を裸ポーション1bに付着させるための
接着剤的な役割を果たすものであり、でん粉を主成分と
し、でん粉に微量の食塩、炭酸カルシウム(CaC
3 )を混ぜ合わせたものを使用する。
【0023】また、バッター液20とは、ポテトチップ
ス30を裸ポーション1bに付着させるためのつなぎ的
な役割を果たすものであり、でん粉を主成分とし、でん
粉に微量の食塩、とうもろこし粉、小麦タンパク、白コ
ショウ等の香辛料を混ぜ合わせたバッターに対して、同
重量比の水を加えてよく練り合わせたものを使用する。
【0024】なお、バッター液20内にその他の調味料
を加えることにより独特の味付けを施すことも可能であ
る。
【0025】また、衣となるポテトチップス30には、
保形性および強度の面から、生のじゃがいもを一旦粒状
に粉砕し、スライス状に成型して揚げた後に食塩等で味
付けしたものを使用し、生パン粉を粉砕するための粉砕
機等を用いてポテトチップス30の最大片が3.0mm
乃至5.0mm程度となるように粒状に粉砕する。
【0026】なお、既に成型された市販の味付け済みポ
テトチップスを使用してもよく、本発明においては、P
RINGLES/プリングルズ(ザ プロクター アンド
ギヤンブル カンパニー社製、商品名)を使用してい
る。
【0027】上記揚げ工程において、食用油脂として
は、大豆油、キャノーラ油(菜種油)、コーン油、綿実
油、米油、サフラワー油、およびこれらを調合した混合
油等の植物性油脂を使用し、揚げる際には、ポテトチッ
プス30がまぶされた裸ポーション31同士が接触しな
い程度の油量で、160℃乃至180℃の油温の下、約
3分乃至4分間程度揚げる必要がある。
【0028】なお、食用油脂の中でもラード(豚脂)、
牛脂、鯨油等の動物性油脂、あるいはごま油は、それぞ
れ特有の臭気が強く、本発明の目的とする味覚、風味が
得られないため使用は避けることが好ましい。
【0029】また、上記付着工程を経た後に、ポテトチ
ップス付裸ポーション31を適量並べて冷凍したものを
袋等に詰めて出荷し、出荷先で冷凍された状態の裸ポー
ション31を上記条件の食用油脂で揚げることにより、
魚介類の加工食品を完成させる。
【0030】上記製造方法により製造された魚介類の加
工食品40は、図2に示すように、棒状に形成した魚介
類1の周面に衣として、粉砕された味付け済みのポテト
チップス30を満遍なくまぶすことにより、魚介類1の
うまみ成分がポテトチップス30により包まれた状態で
揚げられており、また、ポテトチップス30を揚げるた
めの揚げ工程とポテトチップス30をまぶした魚介類1
を揚げるための揚げ工程の2度の揚げ工程を経ることに
より、余分な水分が蒸発するため、従来にはなかったさ
くさくとした食感(クリスピー感)を実現することがで
き、ポテトチップス30の衣のみをそのまま食してもお
いしくなるとともに、経時での食感の劣化が少なくな
る。
【0031】また、魚介類1が食用油脂で揚げられ、か
つ、魚介類1の外周面がポテトチップス30の衣により
覆われているため、完成した棒状の加工食品40の端部
を持っても自重に耐え得るだけの強度および保形性を有
しており、端部を持ち上げても折れにくいため、加工食
品40の端部を持って食べ歩きが可能となるとともに、
衣であるポテトチップス30には予め味付けがなされて
おり、調味料等を加える必要がなく、味付けの手間が省
けるために、スナック菓子のような感覚で気軽に食する
ことができる。
【0032】さらに、気分や趣好に合わせて衣であるポ
テトチップス30の味付けを選択すれば、味付けのバリ
エーションを楽しむこともできる。
【0033】このように、本発明では、比較的万人受け
するポテトチップスを魚介類の加工食品における衣とし
て用いるとともに、魚介類として、中でも特に癖の少な
いスケソウタラの魚肉を用いることによりポテトチップ
スのうまみを充分に引き出すことができ、魚肉が嫌いな
若年層等であっても、比較的抵抗感がなくおいしく食す
ることができる。
【0034】また、魚肉を用いることにより、牛肉等の
動物性タンパク質に偏りがちな食生活が見直され、健康
志向の観点から水産物への期待が高まっている市場のニ
ーズに合致する。
【0035】また、魚介類としては、スケソウタラの
他、鱈、ホキ、メルルーサ、アジ、鮭等の魚肉を使用す
ることができ、また、素材となる魚介類の水分含有量、
脂分含有量等の特性を考慮して、打ち粉、バッター液の
成分比、粘度、付着量等を適宜調整することにより、魚
肉以外の海老、イカ、蛸等のすり身を用いることもでき
るため、豊富な魚介類のバリエーションを楽しむことが
できる。
【0036】
【実施例】以下、本発明に係る魚介類の加工食品の製造
方法の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0037】<実施例1>本実施例では、魚介類として
比較的癖の少ないスケソウタラの魚肉を用いた例につい
て説明する。
【0038】まず、スケソウタラを3枚におろし、その
皮および骨を取り除いた魚肉1を、長さ480.0m
m、幅240.0mm、厚さ64.0mmの箱に複数個
詰め込み、魚肉1を押圧して冷凍することにより、図3
(a)に示すような総重量7.5kgのポーション1a
を形成した。
【0039】次に、冷凍されたポーション1aをハンド
ソーにより、同図(b)に示すように、長さ方向に5等
分に一次切断し、長さ96.0mm、幅240.0m
m、厚み64.0mmの一次カットポーション1a’を
形成し、この一次カットポーション1a’を同図(c)
に示すように、幅方向に12等分に二次切断し、長さ9
6.0mm、幅20.0mm、厚み64.0mmの二次
カットポーション1a’’を形成し、この二次カットポ
ーション1a’’を同図(d)に示すように、厚み方向
に6等分に三次切断することにより、同図(e)に示す
ように、長さ96.0mm、幅20.0mm、厚み1
0.0mm、重量19.0gの棒状の裸ポーション1b
を360個形成した。
【0040】次に、成分比85%のでん粉に10%の食
塩、5%の炭酸カルシウムを混ぜ合わせた打ち粉10を
入れた専用ボール内に適量の裸ポーション1b,…を入
れた後、手で混ぜ合わせることにより裸ポーション1b
の周面に打ち粉10を適量付着させた打ち粉付裸ポーシ
ョン11を形成し、この打ち粉付裸ポーション11をピ
ンセットで摘み、成分比72.5%のでん粉に12.5
%の食塩、5%のとうもろこし粉、5%の小麦タンパ
ク、5%の香辛料を混ぜ合わせたバッターに同重量比の
水を加えたバッター液20を入れた専用ボール内のバッ
ター液20内に浸漬させ、打ち粉付裸ポーション11周
面に満遍なくバッター液20を付着させたバッター液付
裸ポーション21を形成した。
【0041】次に、バット(大サイズのトレー)に用意
された最大片が5.0mmの粒状に粉砕されたポテトチ
ップス30の上に、バッター液20中から取り出して周
面に付着した余分なバッター液20を振り落としたバッ
ター液付裸ポーション21を載せ、裸ポーション21の
周囲からポテトチップス30を手で包みつつ適量を押さ
え付けることにより、裸ポーション21の周面にポテト
チップス30が満遍なくまぶされたポテトチップス付裸
ポーション31を形成した。
【0042】最後に、周面に付着した余分なポテトチッ
プス30を振り落とし、重量約37.0gに斤量された
ポテトチップス付裸ポーション31を冷凍した後に10
個(約370.0g)まとめて、170℃に熱したキャ
ノーラ油(菜種油)6.0リットル中で、3分30秒間
揚げることにより、図2に示す、長さ(L)100.0
mm、幅(W)25.0mm、厚み(T)15.0mm
の大きさの加工食品40を製造した。
【0043】この加工食品40は上記のように、その端
部を掴んで食することができる程度の手頃なサイズに形
成されており、その端部を持って持ち上げてみたとこ
ろ、加工食品40はその自重に耐え得る強度および保形
性を備えていることが分かった。
【0044】また、加工食品40を食してみたところ、
従来にはなかったさくさくとした食感(クリスピー感)
を得ることができ、また、通常のフライ物は油で揚げた
後の商品が冷めるとともに食感、味覚、風味が劣化して
いくが、加工食品40を常温で2時間放置した後に食し
てみたところ、食感、味覚、風味は失われず、経時での
食感の劣化が少ないことも判明した。
【0045】<実施例2>本発明者等は、棒状に形成し
た裸ポーションの強度および保形性について以下のよう
な実験を行なった。
【0046】なお、魚介類の素材としては、上記実施例
1と同様に、冷凍したスケソウタラを用いた。
【0047】第1の例は、長さ480.0mm、幅24
0.0mm、厚さ64.0mmのポーションを長さ方向
に5等分した後に、上記実施例1と同様に幅および厚み
方向に切断し、長さ96.0mm、幅20.0mm、厚
み10.0mmの大きさの裸ポーションを形成した。
【0048】第2の例は、上記ポーションを長さ方向に
3等分した後に、上記実施例1と同様に幅および厚み方
向に切断し、長さ160.0mm、幅20.0mm、厚
み10.0mmの大きさの裸ポーションを形成した。
【0049】第3の例は、上記ポーションを長さ方向に
4等分した後に、上記実施例1と同様に幅および厚み方
向に切断し、長さ120.0mm、幅20.0mm、厚
み10.0mmの大きさの裸ポーションを形成した。
【0050】そして、上記第1、第2および第3の裸ポ
ーションを用いて上記実施例1と同様な方法によりそれ
ぞれ加工食品を製造し、完成した加工食品の端部を持っ
てその自重に耐え得る強度および保形性を備えているか
否かの実験を行なった。
【0051】その結果、上記第1の裸ポーションは目的
の強度が得られたが、上記第2および第3の裸ポーショ
ンについては、自重により折れてしまい目的の強度を得
ることができなかった。
【0052】すなわち、このことは加工食品の端部を持
って食べ歩き可能かどうかを意味しており、本発明方法
による加工食品は、裸ポーションの長さを96.0mm
程度に設定することで、完成した加工食品の端部を持っ
ても自重に耐え得る強度および保形性が得られることが
判明した。
【0053】<実施例3>魚介類の素材として、上記実
施例1と同様に、冷凍したスケソウタラを用い、その衣
としてどのような食材を用いればよいかについて、以下
のような実験を行なった。
【0054】第1の例は、上記実施例1と同様な方法に
より、長さ96.0mm、幅20.0mm、厚み10.
0mmの大きさに形成された裸ポーションの衣として、
最大片が5.0mmの粒状に設定されたポテトチップス
を100%まぶし、170℃に熱したキャノーラ油(菜
種油)で、3分30秒間揚げて加工食品を製造した。
【0055】第2の例は、上記実施例1と同様な方法に
より、長さ96.0mm、幅20.0mm、厚み10.
0mmの大きさに形成された裸ポーションの衣として、
最大片が5.0mmの粒状に設定されたポテトチップス
を50%、最大片が7.0mmに設定された白生パン粉
を50%まぶし、170℃に熱したキャノーラ油(菜種
油)で、3分30秒間揚げて加工食品を製造した。
【0056】第3の例は、上記実施例1と同様な方法に
より、長さ96.0mm、幅20.0mm、厚み10.
0mmの大きさに形成された裸ポーションの衣として、
最大片が5.0mmの粒状に設定されたポテトチップス
を70%、最大片が7.0mmに設定された白生パン粉
を30%まぶし、170℃に熱したキャノーラ油(菜種
油)で、3分30秒間揚げて加工食品を製造した。
【0057】そして、上記第1、第2および第3の加工
食品の端部を持ってその自重に耐え得る強度および保形
性を備えているか否かと、さくさくとした食感(クリス
ピー感)が得られるか否かの実験を行なった。
【0058】その結果、上記第1の加工食品は目的の強
度および食感が得られたが、上記第2および第3の加工
食品については、自重により折れてしまい目的の強度を
得ることができず、また、目的とするさくさくとした食
感(クリスピー感)を得ることができなかった。
【0059】すなわち、本発明方法による加工食品は、
裸ポーションの衣として最大片が5.0mmの粒状に設
定されたポテトチップスを100%まぶして揚げること
で、完成した加工食品の端部を持っても自重に耐え得る
強度および保形性を得ることができ、かつ、従来にはな
かったさくさく感を実現できることが判明した。
【0060】<実施例4>魚介類の素材として、上記実
施例1と同様に、冷凍したスケソウタラを用い、上記実
施例3と同様に、その衣としてどのような食材を用いれ
ばよいかについて、以下のような実験を行なった。
【0061】第1の例は、上記実施例1と同様な方法に
より、長さ96.0mm、幅20.0mm、厚み10.
0mmの大きさに形成された裸ポーションの衣として、
生のじゃがいもを一旦粒状に粉砕した後にスライス状に
成型して揚げたポテトチップス100%を最大片が5.
0mmの粒状となるように粉砕してまぶし、170℃に
熱したキャノーラ油(菜種油)で、3分30秒間揚げて
加工食品を製造した。
【0062】第2の例は、上記実施例1と同様な方法に
より、長さ96.0mm、幅20.0mm、厚み10.
0mmの大きさに形成された裸ポーションの衣として、
生のじゃがいもをそのままスライスして揚げたポテトチ
ップス100%を最大片が5.0mmの粒状となるよう
に粉砕してまぶし、170℃に熱したキャノーラ油(菜
種油)で、3分30秒間揚げて加工食品を製造した。
【0063】第3の例は、上記実施例1と同様な方法に
より、長さ96.0mm、幅20.0mm、厚み10.
0mmの大きさに形成された裸ポーションの衣として、
原料小麦粉のクラッカー100%を粉砕したオレンジク
ラッカーをまぶし、170℃に熱したキャノーラ油(菜
種油)で、3分30秒間揚げて加工食品を製造した。
【0064】そして、上記第1、第2および第3の加工
食品の端部を持ってその自重に耐え得る強度および保形
性を備えているか否かと、さくさくとした食感(クリス
ピー感)が得られるか否かの実験を行なった。
【0065】その結果、上記第1の加工食品は目的の強
度および食感が得られたが、上記第2および第3の加工
食品については、自重により折れてしまい目的の強度を
得ることができず、また、その食感はしっとりとしたも
のとなり、目的とするさくさくとした食感(クリスピー
感)を得ることができなかった。
【0066】すなわち、本発明方法による加工食品は、
裸ポーションの衣として、生のじゃがいもを一旦粒状に
粉砕した後にスライス状に成型して揚げたポテトチップ
ス100%を最大片が5.0mmの粒状となるように粉
砕してまぶして揚げることで、完成した加工食品の端部
を持っても自重に耐え得る強度および保形性を得ること
ができ、かつ、従来にはなかったさくさく感を実現でき
ることが判明した。
【0067】<実施例5>上記実施例1と同様な方法に
より製造されたポテトチップス付裸ポーションを、17
0℃程度の温度に熱した下記の食用油脂で3分30秒間
揚げた加工食品の食感(さくさく感)、味覚(うま
み)、臭覚(風味)を比較したところ、下記の表1に示
すような観察結果が得られた。
【0068】
【表1】
【0069】表1に示すように、ごま油、ラード(豚
脂)で油調したものはそれぞれ特有の臭気が強く、本発
明の目的とする味覚(うまみ)、臭覚(風味)とは大き
く異なることが分かった。
【0070】したがって、本発明方法による加工食品
は、大豆油、キャノーラ油(菜種油)、コーン油、綿実
油、米油、サフラワー油、およびこれらを調合した混合
油で揚げることにより目的の食感、味覚、風味(臭覚)
を得られることが判明した。
【0071】<実施例6>魚介類の素材として海老を用
い、海老の殻および内臓を取り除いてすり身とし、この
すり身を上記実施例1と同様な方法により、長さ96.
0mm、幅20.0mm、厚み10.0mmの大きさに
形成された裸ポーションを形成し、この裸ポーションの
衣として、最大片が5.0mmの粒状に粉砕されたポテ
トチップスを100%まぶし、170℃に熱したキャノ
ーラ油(菜種油)で、3分30秒間揚げて加工食品を製
造した。
【0072】そして、この加工食品の端部を持ってその
自重に耐え得る強度および保形性を備えているか否か
と、さくさくとした食感(クリスピー感)が得られるか
否かの実験を行なったところ、素材としてスケソウタラ
を用いた上記実施例1と同様な強度および保形性と食感
が維持できることが分かった。
【0073】また、イカ、蛸のすり身を用いて上記と同
様の条件の下で加工食品を製造したところ、目的とする
強度および保形性と食感とを得ることができた。
【0074】したがって、本発明方法による加工食品
は、その素材として海老、イカ、蛸をすり身として用い
ることで、スケソウタラ等の魚肉と同様に、目的とする
強度および保形性と食感が得られ、豊富な魚介類の味の
バリエーションが楽しめることが判明した。
【0075】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る魚介類の加工食品の製造方法によれば、以下のよう
な効果を奏する。
【0076】(1)魚介類の加工食品における衣とし
て、比較的万人受けするポテトチップスを用いるととも
に、魚介類として、特に癖の少ないスケソウタラの魚肉
を用いることによりポテトチップスのうまみを充分に引
き出すことができ、魚肉が嫌いな若年層等であっても、
比較的抵抗感が少なく、おいしく食することができると
ともに、魚肉を用いることにより、牛肉等の動物性タン
パク質に偏りがちな食生活が見直され、健康志向の観点
から水産物への期待が高まっている市場のニーズに合致
する。
【0077】(2)素材となる魚介類の水分含有量、脂
分含有量等の特性を考慮して、打ち粉、バッター液の成
分比、粘度、付着量等を適宜調整することにより、鱈、
ホキ、メルルーサ、アジ、鮭等の魚肉や、魚肉以外の海
老、イカ、蛸等のすり身を用いることもでき、豊富な魚
介類のバリエーションを楽しむことができる。
【0078】(3)棒状に形成した魚介類の周囲に衣と
して、ポテトチップスをまぶして食用油脂で揚げること
により、ポテトチップスを揚げるための揚げ工程とポテ
トチップスをまぶした魚介類を揚げるための揚げ工程の
2度の揚げ工程を経ることにより、余分な水分が蒸発す
るため、従来にはないさくさくとした食感(クリスピー
感)を実現することができ、ポテトチップスの衣のみを
そのまま食してもおいしくなるとともに、経時での食感
の劣化が少なくなる。
【0079】(4)外周面がポテトチップスの衣により
覆われ、棒状の加工食品の端部を持っても自重に耐え得
るだけの強度と保形性を有しており、端部を持ち上げて
も折れにくいため、加工食品の端部を持って食べ歩きが
可能となるとともに、衣であるポテトチップスには予め
味付けがなされており、調味料等を加える必要がなく、
味付けの手間が省けるために、スナック菓子のような感
覚で気軽に食することができる。また、気分や趣好に合
わせて衣であるポテトチップスの味付けを選択すれば、
味付けのバリエーションを楽しむこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る魚介類の加工食品の製造工程を示
すフローチャート図。
【図2】(a)は本発明に係る魚介類の加工食品の外観
を示す斜視図、(b)は同図(a)の拡大断面図。
【図3】本発明に係る魚介類の加工食品の製造工程の一
実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 魚介類 1a ポーション 1a’ 一次カットポーション 1a’’ 二次カットポーション 1b 裸ポーション 10 打ち粉 11 打ち粉付裸ポーション 20 バッター液 21 バッター液付裸ポーション 30 ポテトチップス 31 ポテトチップス付裸ポーション 40 加工食品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A23L 1/217 A23L 1/217 (73)特許権者 501150428 591 MOO 2,SOI HAAD AMARA,TAIBAN RD, T AMBOL TAIBAN,AMPHU R MUANG, SAMUTPRAK AN 10280,THAILAND (72)発明者 林 信二 東京都港区芝浦4丁目9番25号 株式会 社ベニレイ内 (72)発明者 幸田 紀生 東京都港区芝浦4丁目9番25号 株式会 社ベニレイ内 (56)参考文献 特開 昭57−189633(JP,A) 特開2001−112445(JP,A) 特開 昭58−190348(JP,A) 実開 昭63−143187(JP,U) 実開 昭59−87286(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/325 A23L 1/01 A23L 1/176 A23L 1/217

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚介類を冷凍して切断することにより棒
    状に形成する型形成工程と、上記棒状に形成された魚介
    類の周面に打ち粉を介してバッター液を付着させ、上記
    バッター液表面に、生のじゃがいもを一旦粒状に粉砕
    し、スライス状に成型して揚げた味付け済みポテトチッ
    プスを微細に粉砕してまぶす付着工程と、上記ポテトチ
    ップスがまぶされた魚介類を冷凍する冷凍工程と、上記
    ポテトチップスがまぶされた冷凍の魚介類を食用油脂で
    揚げる揚げ工程と、を具備することを特徴とする魚介類
    の加工食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記揚げ工程は、上記食用油脂が大豆
    油、キャノーラ油(菜種油)、コーン油、綿実油、米
    油、サフラワー油、およびこれらを調合した混合油から
    選ばれる一つの植物性油脂であり、上記ポテトチップス
    がまぶされた冷凍の魚介類同士が接触しない程度の油量
    であって、かつ160℃乃至180℃の油温の下、3分
    乃至4分間揚げることを特徴とする請求項1に記載の魚
    介類の加工食品の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記魚介類は、スケソウタラの魚肉であ
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚
    介類の加工食品の製造方法。
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