JP3273353B2 - 硫酸プラント排ガスの乾式脱硫方法 - Google Patents

硫酸プラント排ガスの乾式脱硫方法

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  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫酸製造プラント
等から排出される、水分がほとんど含まれない排ガス中
から微量の硫黄酸化物(SOx)を環境基準値まで添加
物や副生成物なしで、簡単でかつ効率良く除去する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】精練
所等に併設されている硫酸プラントから排出される排ガ
ス中には約2,000ppmのSOxが含まれており、
これを環境基準値まで除去する必要がある。SOxの除
去には一般的に発電プラント等で採用されている湿式脱
硫装置が用いられている。湿式脱硫装置では、排ガスに
水と石灰(炭酸カルシウム)を添加し、これをSOxと
反応させて副生成物として石膏を生産する。
【0003】しかし、この方法は湿式法であるために、
脱硫処理後の排ガスの拡散および白煙の発生等の問題が
ある。また、この方法では装置自身が複雑で、排ガス中
のSOxを除去するためには大量の水と石灰が必要であ
り、副生成物の石膏の利用方法にも限度があるという問
題がある。そのため、湿式法に代わって乾式脱硫方法の
開発に対する期待が大きい。
【0004】発電プラント等の排ガスのような水分を含
む排ガスの処理においては、吸着剤として活性炭を用い
た乾式脱硫法が採用されている。しかし乾式脱硫法では
SOxの脱離に高温が必要であり、そのため活性炭の酸
化による消耗が著しい。
【0005】本発明は上記状況に鑑みてなされたもので
あり、従来の方法で使用される水と石灰を必要とせず、
かつ副生成物も発生しない利点を有し、活性炭の酸化に
よる消耗を極力抑えることができて低コストで実施でき
る乾式脱硫方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、硫酸製造プ
ラント等から排出される排ガスには水分がほとんど含ま
れていないことに着目して、活性炭法を用いて温度変動
吸着(TSA)試験を実施した結果、活性炭の酸化によ
る消耗が起こらない温度域でSO2 の吸脱着が可能であ
ることを見出だした。
【0007】すなわち、本発明は、硫酸プラントから出
る排ガス中の微量の硫黄酸化物を温度変動吸着(TS
A)法により除去する方法において、吸着を室温〜10
0℃で行い、脱着を100〜200℃で行い、吸着と脱
着を繰り返すことを特徴とする脱硫方法である。
【0008】より具体的には、本発明は、吸着剤として
好ましくは活性炭を使用し、吸脱着方法としてはTSA
法を採用し、吸着塔において室温〜100℃、好ましく
は室温〜70℃でSO2 を吸着し(吸着工程)、活性炭
の酸化温度よりも低い温度である100〜200℃、好
ましくは150〜200℃でSO2 を脱着し(再生工
程)、これら吸着と脱着のサイクルを繰り返すことによ
り、活性炭の消耗を最少限に抑えることを特徴とする脱
硫方法である。
【0009】吸着剤から脱着されたSO2 は原料ガスと
して硫酸プラントへ戻される。
【0010】吸着塔を複数設け、各塔で吸着と脱着を交
互にないしは順次行うのが好ましい。これにより、連続
的なSOx吸着除去が行われる。
【0011】温度変動吸着(TSA)法自体は公知の方
法であり、温度のスイング、すなわち冷却と昇温の繰り
返しにより吸着と脱着を行うもので、特に稀薄なガスの
吸着除去に適している。従来、TSA法は排ガス処理に
は適合性がないと見られており、その適用例もない。
【0012】吸着および脱着を行わせるための温度制御
は、例えば硫酸プラント内の水蒸気等の熱源、冷却水等
を吸着塔内に導入する、またはファンなどで吸着塔内を
冷やすなどの方法によって行われる。
【0013】本発明方法によれば、TSA法を採用し、
かつ温度を特定範囲に制御して吸着と脱着を繰り返すこ
とにより、従来の方法で使用される水と石灰を必要とせ
ず、かつ副生成物も発生しない利点を有する乾式脱硫方
法を提供することができ、装置のランニングコストの低
減が達成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明による乾式脱硫方法を図1
により具体的に説明する。
【0015】精練所等に併設されている硫酸プラント
(1) から排出される排ガス中には、約2,000ppm
のSO2 と約10%のO2 が含まれており、水分はほと
んど含まれていない。硫酸プラント排ガスは吸着剤が充
填されている2基の吸着塔(2A)(2B)へ送られ、吸着剤と
しては活性炭が用いられている。
【0016】一方の吸着塔(2A)で吸着工程を行い、他方
の吸着塔(2B)で脱着工程を行う。すなわち、排ガス入口
バルブ(3A)および処理ガス出口バルブ(4A)を開き、排ガ
ス入口バルブ(3B)および処理ガス出口バルブ(4B)を閉
じ、かつキャリヤーガス入口バルブ(5A)およびキャリヤ
ーガス出口バルブ(6A)を閉じ、キャリヤーガス入口バル
ブ(5B)およびキャリヤーガス出口バルブ(6B)を開き、さ
らに、水蒸気入口バルブ(7A)を閉じ、水蒸気入口バルブ
(7B)を開く。このバルブ操作によって、一方の吸着塔(2
A)に、硫酸プラント(1) から出た温度70℃の排ガスが
そのまま通され、排ガス中のSOxが吸着剤に吸着され
る。また、他方の吸着塔(2B)に排ガスの一部がキャリヤ
ーガスとして通されると共に、硫酸プラント(1) 内の水
蒸気が熱源として通され、活性炭が酸化しない程度の温
度である200℃以下、具体的には150℃に塔内が昇
温される。こうして、一方の吸着塔(2A)で吸着が、他方
の吸着塔(2B)で脱着が行われる。
【0017】一方の吸着塔(2A)の出口ガスの脱硫率を連
続的ないしは一定時間置きに測定し、この測定値が所定
値を上回った時に、上記吸着工程と脱着工程を切り替え
る。すなわち、排ガス入口バルブ(3A)および処理ガス出
口バルブ(4A)を閉じ、排ガス入口バルブ(3B)および処理
ガス出口バルブ(4B)を開き、かつキャリヤーガス入口バ
ルブ(5A)およびキャリヤーガス出口バルブ(6A)を開き、
キャリヤーガス入口バルブ(5B)およびキャリヤーガス出
口バルブ(6B)を閉じ、さらに、水蒸気入口バルブ(7A)を
開き、水蒸気入口バルブ(7B)を閉じる。このバルブ操作
によって、一方の吸着塔(2A)で脱着が、他方の吸着塔(2
B)で吸着が行われる。
【0018】キャリヤーガスによって運ばれた脱着SO
2 は硫酸製造の原料ガスとして硫酸プラント(1) に戻さ
れる。以降は、上記操作を繰り返す。
【0019】このように、本発明方法では、吸着工程と
再生工程は温度を最適値に制御して繰り返し行われ、使
用する吸着剤の消耗を最少限に抑えながら排ガス中のS
2を除去する。
【0020】図2は活性炭を使用し、吸着工程と再生工
程を繰り返し行って脱硫を連続的に実施した時のSO2
濃度とSOx吸着量の関係を示すグラフである。吸着温
度例として70℃(曲線a)、再生温度例として150
℃(曲線b)をそれぞれ設定した。この結果、繰り返し
吸着量が活性炭との重量比で約5%確保することができ
た(aとbの吸着量の差)。実験を繰り返し行った結
果、活性炭の酸化による減少や失活を防いでいることも
確認できた。
【0021】
【発明の効果】本発明の脱硫方法によれば、湿式脱硫装
置のように大量の水と石灰を使用しないで、副生成物が
発生しないことから、システムを簡素にまとめられ、ラ
ンニングコストを安くすることができる。
【0022】また、本発明方法では、水分がほとんど含
まれない硫酸プラントからの排ガスを対象とすることに
より、100℃以下で吸着し、活性炭の酸化温度よりも
低い温度である200℃以下で脱着するサイクルを繰り
返し、本システムに使用される活性炭の消耗を最大限防
ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示すフローチャートであ
る。
【図2】 SO2 濃度と吸着量の関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1:硫酸プラント 2A、2B:吸着塔本体 3A、3B:排ガス入口バルブ 4A、4B:処理ガス出口バルブ 5A、5B:キャリヤーガス入口バルブ 6A、6B:キャリヤーガス出口バルブ 7A、7B:水蒸気入口バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−71778(JP,A) 特開 昭53−100027(JP,A) 特開 昭56−45736(JP,A) 特開 昭57−15821(JP,A) 特開 昭57−87815(JP,A) 特開 昭58−67322(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 17/74 B01D 53/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸プラントから出る排ガス中の微量の
    硫黄酸化物を温度変動吸着法により除去する方法におい
    て、吸着を室温〜100℃で行い、脱着を100〜20
    0℃で行い、吸着と脱着を繰り返すことを特徴とする硫
    酸プラント排ガスの乾式脱硫方法。
JP33287795A 1995-12-21 1995-12-21 硫酸プラント排ガスの乾式脱硫方法 Expired - Fee Related JP3273353B2 (ja)

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