JP3273196B2 - フユーエルデリバリパイプの製造方法 - Google Patents

フユーエルデリバリパイプの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料噴射式自動車用エ
ンジンの燃料加圧ポンプから送給された燃料をエンジン
の各吸気通路あるいは各気筒に燃料インジエクタ(噴射
ノズル)を介して供給するためのフユーエルデリバリパ
イプの改良に関し、特に内部に燃料通路を有する連通管
(主管)と燃料インジエクタを取付けるソケット(イン
ジエクターハウジング)との接続構造に係るものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来のフユーエルデリバリパイプは、例
えば、実開昭57−84362号「燃料噴射式内燃機関
のデリバリパイプ」や実開昭59−40577号「デリ
バリパイプ」に示すように、燃料噴射弁の導入軸を受入
れる複数個の円筒状ソケットが円形又は四角形断面の主
管上に一定の間隔をおいて配設されている。円筒状ソケ
ットは、主管に溶接されるタイプと、主管に一体形成さ
れるタイプとがある。
【0003】燃料噴射弁はエンジンの吸気マニホールド
の吸気孔にその軸芯を正確に整合させるなどして取付け
なければならないから、ソケット相互間の間隔及び取付
角度などは厳しい許容差内に入らなければならない。こ
のため、ソケットが金属製の主管に溶接されるタイプで
は、ソケット自体の製造につき複雑で精密な加工を行な
う工数と時間を必要とし、さらにソケットと主管との接
続作業において、仮付け及びろう付け工程の後で高い寸
法精度を得るために型合せによる全数検査工程を必要と
する等、コストの上昇等を招いていた。
【0004】ソケットが主管と一体に作られるタイプで
は、例えば実開昭59−107050号「デリバリパイ
プ装置」に開示されるように、フユーエルデリバリパイ
プ全体がアルミダイカストやアルミ押出材で作られる
が、全体を成形した後で表面処理を行なうため表面処理
が不均一になりやすいこと、成形用の型に抜き勾配を必
要とするため肉厚が大きくなって重量が増加すること、
内部の巣等の欠陥を発見することが困難であり品質の保
証が得られないこと、設計変更に対処しにくいこと等の
欠点があった。
【0005】実開昭60−14276号「内燃機関用燃
料分配管」では、フユーエルデリバリパイプ全体が、強
化繊維材料を合成樹脂に混入させた複合材料によって成
形されているが、耐熱強度が不足すること、熱による伸
縮によって全体が撓んだり歪んだりして変形してしまう
こと、燃料が内部を通過することによって合成樹脂が膨
潤を起こして劣化すること等の欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フユ
ーエルデリバリパイプの一部を樹脂で成形することによ
り、加工を容易にすると共に剛性を確保して変形を抑制
し油洩れを防止することにある。本発明の他の目的は、
ソケット相互間の位置決め精度を高めて、燃料噴射弁と
の接続部分からの破損や油洩れのないフユーエルデリバ
リパイプを製造することにある。本発明のさらに他の目
的は、樹脂製の部分を包含するフユーエルデリバリパイ
プの欠点を除去し、熱による変形を抑えると共にコンパ
クトな設計を可能にすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段とその作用】本発明の前述
した目的は、直線状に延びる燃料通路を内部に有する連
通管と、この連通管の長手方向に沿って所定の間隔で位
置決めされた燃料噴射弁取付用の筒状ソケットとを備え
て成るフユーエルデリバリパイプの製造方法であって、
前記連通管の長手方向に沿って所定の間隔で燃料供給用
の孔を穿設し、各燃料供給孔の中に金属製又は樹脂製の
封止用キャップを挿入して固定し、各封止用キャップを
覆うようにして筒状ソケットを前記連通管の周囲にモー
ルド成形し、モールド成形後に各封止用キャップを燃料
供給孔から除去し、かつ連通管の内部あるいはソケット
の内部からフユーエルデリバリパイプの外部へと除去
し、開口した燃料供給孔を形成して前記燃料通路と前記
筒状ソケット内部とを連通せしめることを特徴とするフ
ユーエルデリバリパイプの製造方法によって達成され
る。
【0008】かかる構成によれば、連通管上にフランジ
や枝パイプ等の部品を溶接した後で、複数個の円筒状ソ
ケットを同時にモールド成形して連通管上の所定の位置
に設置することができるから、各ソケット間の寸法精度
が向上し、燃料噴射弁との接続が確実に行なわれて破損
や油洩れが防止できる。溶接時の高温に比べると比較的
低い温度で成形されるので、熱変形が防止できて寸法精
度が保たれる。モールド成形の時点では燃料供給孔に封
止用キャップがかぶせられているので、燃料供給孔の内
部にモールドされた樹脂が入り込むのを防止することが
できる。さらに、モールド成形の型を変更することによ
り設計変更に容易に対処することができる等の利点が得
られる。本発明の他の特徴及び利点は、添付図面の実施
例を参照した以下の記載により明らかとなろう。
【0009】
【実施例】図1は、本発明の方法を用いてフユーエルデ
リバリパイプを製造する工程のうちのモールド成形前の
一次組立体(サブアッセンブリ)10を表わしており、
内部に燃料供給通路17(図2参照)を有している連通
管11の長手方向に一定の間隔をおいて3個の貫通孔1
8が穿設されている。図2に示すように、各貫通孔18
の中には、合成樹脂製の封止用キャップ19が挿入さ
れ、その弾性によって保持され固定されている。後述す
るように、各封止用キャップ19を覆うようにして燃料
噴射弁取付用の円筒状ソケットが合成樹脂でモールド成
形され、その後封止用キャップ19は除去される。
【0010】連通管11は円形の断面を有し、その一端
側には燃料ポンプから送出された高圧の燃料を圧力調整
弁を介して導入するためのフランジ13が設けられ、他
端側には余った燃料を他のシリンダや燃料タンクへと送
り出すための接続管14が取付けられている。図示の一
次組立体10は、1対が組み合わされて6気筒のV型エ
ンジンに用いられるものである。連通管11にはさら
に、フユーエルデリバリパイプをエンジンに取付けるた
めの厚肉で堅固なブラケット15が固着されている。
【0011】図2は、連通管11、燃料供給通路17、
燃料供給孔となる貫通孔18、及び封止用キャップ19
の連結関係を表わしており、封止用キャップ19は貫通
孔18の中に押し込まれた状態で保持され固定されてい
る。
【0012】図3、図4は、図1に示した一次組立体1
0の各封止用キャップ19を覆うようにして燃料噴射弁
取付用の円筒状ソケット12をモールド成形した状態を
表わしている。図5に断面で示すように、ソケット12
は燃料噴射弁を受入れる筒状延伸部21と連通管11の
まわりに巻回されるバンド部22とで構成され、これら
は合成樹脂で一体にモールド成形されている。
【0013】図4に断面で示すように、ソケット12を
モールド成形した後で、筒状延伸部21からソケット内
部に工具が挿入され、封止用キャップ19が工具の先端
によって外側から押し込まれて脱落し、燃料供給孔18
が開口した状態の孔になる。燃料通路17の底部に落下
した封止用キャップ19は、フランジ13の中央開口2
3から外部へと排出される。
【0014】かくして、図4及び図5に示すように、燃
料通路17と筒状ソケット12内部とが連通することに
なる。この結果、フランジ13の中央開口23から供給
された燃料は、連通管11内部の燃料供給通路17を通
り、側壁の孔18からソケットの筒状延伸部21内に装
着されている燃料噴射弁(インジエクタ)へと送り込ま
れる。余った燃料は、燃料供給通路17から接続管14
を通って他のシリンダ又は燃料タンクへ等と送られる。
【0015】ソケット12のモールド成形は、連通管1
1上にフランジ13、接続管14、ブラケット15をろ
う付け又は溶接し、必要に応じて表面処理を施した後
で、モールド成形を実施することが望ましい。この方法
によれば、表面処理後に溶接やろう付けを行なった場合
に生じる表面の汚れや耐食性の低下を防止することがで
きる。
【0016】図6乃至図8は本発明の他の実施例を表わ
しており、ソケットの中心軸線が燃料供給通路の中心軸
線と交差せずオフセットしているタイプのフユーエルデ
リバリパイプに対して本発明の方法を適用する例であ
る。
【0017】図6はモールド成形前の一次組立体(サブ
アッセンブリ)40を表わしており、内部に燃料供給通
路47を有する連通管41の長手方向側部に一定の間隔
をおいて3個の凹所50が設けられている。
【0018】図6及び図7に示すように、各凹所50内
には1対の貫通孔56,57が対向して穿設されてい
る。各貫通孔56,57の中にはそれぞれ合成樹脂製の
封止用キャップ58,59が挿入され、弾性によって保
持され固定されている。後述するように、各封止用キャ
ップ58,59を覆うようにして燃料噴射弁取付用の円
筒状ソケットがモールド成形され、その後封止用キャッ
プ58,59は引き抜かれて除去される。
【0019】連通管41は円形の断面を有し、その一端
側には燃料ポンプから送出された高圧の燃料を圧力調整
弁を介して導入するためのフランジ43が設けられ、他
端側には余った燃料を他のシリンダや燃料タンクへと送
り出すための接続管44が取付けられている。連通管4
1にはさらに、フユーエルデリバリパイプをエンジンに
取付けるための厚肉で堅固なブラケット45が固着され
ている。
【0020】図8は、図6に示した一次組立体10の各
封止用キャップ58,59を覆うようにして燃料噴射弁
取付用の円筒状ソケット42をモールド成形した状態を
表わしている。ソケット42は、燃料噴射弁を受入れる
筒状延伸部51と、連通管41のまわりに巻回されるバ
ンド部52と、相手側の燃料インジエクタを固定するた
めのフランジ部53とで構成され、これらは合成樹脂で
一体にモールド成形されている。
【0021】図8に示す状態で、ソケット42の筒状延
伸部51から工具が挿入され、貫通孔56,57内に挿
入されている封止用キャップ58,59が工具の先端に
よって引き抜かれて取り出され、そこに開口した燃料供
給孔が作られる。
【0022】かくして、燃料通路47と筒状ソケット4
2内部とが連通することになる。この結果、フランジ4
3の中央開口53から供給された燃料は、連通管41内
部の燃料通路47を通り、キャップ58が除去された後
に作られた燃料供給孔56からD方向(図6)に流れて
ソケットの筒状延伸部51内に装着されている燃料噴射
弁へと送り込まれる。余った燃料は、キャップ59が除
去された後に作られた燃料供給孔57からE方向(図
6)へと流れ、燃料通路47から接続管44を通って他
のシリンダ又は燃料タンクへ等と送られる。
【0023】ソケット42のモールド成形は、連通管4
1上にフランジ43、接続管44、ブラケット45をろ
う付け又は溶接し、必要に応じて表面処理を施した後
で、モールド成形を実施することが望ましい。この方法
によれば、表面処理後に溶接やろう付けを行なった場合
に生じる表面の汚れや耐食性の低下を防止することがで
きる。
【0024】
【発明の効果】以上詳細に説明した如く、本発明によれ
ば、フユーエルデリバリパイプの一部が樹脂で成形され
るので、機械加工工程の一部が省略できて加工が容易に
なる。ソケット相互間のピッチやソケットの取付角度は
モールド成形時に定められるので、正確な位置決めが可
能になる。溶接作業後にモールド成形を行なえば、表面
の汚れや耐食性の低下を防止することができる。モール
ド成形では、溶接時の高温に比べると比較的低い温度で
成形されるので、熱変形が防止できて寸法精度が保たれ
る。
【0025】ソケットをモールド成形する時点では、封
止用キャップが装着されているため燃料供給孔は貫通し
ていないので、燃料供給孔の内部にモールドされた樹脂
が入り込むのを防止することができる。さらにモールド
成形の型を変更することにより設計変更に容易に対処す
ることができる等の利点が得られる。かくして、充分な
剛性と寸法精度を有するフユーエルデリバリパイプが得
られ、品質の向上とコストの低減が達成されるようにな
る等、その技術的効果には極めて顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による製造方法を用いたフユーエルデリ
バリパイプの一次組立体を表わす斜視図である。
【図2】図1における貫通孔とキャップ部分の縦断面図
である。
【図3】本発明による製造方法を用いたフユーエルデリ
バリパイプの完成組立体を表わす斜視図である。
【図4】図3のフユーエルデリバリパイプを軸線方向に
沿って切断した一部破断縦断面図である。
【図5】図4の線B−Bに沿って切断したソケット部分
の縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施例による製造方法を用いたフ
ユーエルデリバリパイプの一次組立体を表わす一部を断
面とした平面図である。
【図7】図6の実施例による一次組立体の側面図であ
る。
【図8】図6の実施例による製造方法を用いたフユーエ
ルデリバリパイプの完成組立体を表わす斜視図である。
【符号の説明】
10 一次組立体 11 連通管 12 ソケット 17 燃料通路 18 燃料供給孔 19 封止用キャップ 20 フユーエルデリバリパイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平4−71766(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 39/00 - 71/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線状に延びる燃料通路を内部に有する
    連通管と、この連通管の長手方向に沿って所定の間隔で
    位置決めされた燃料噴射弁取付用の筒状ソケットとを備
    えて成るフユーエルデリバリパイプの製造方法におい
    て、 前記連通管の長手方向に沿って所定の間隔で燃料供給用
    の孔を穿設し、 各燃料供給孔の中に金属製又は樹脂製の封止用キャップ
    を挿入して固定し、 各封止用キャップを覆うようにして筒状ソケットを前記
    連通管の周囲にモールド成形し、モールド成形後に 各封止用キャップを燃料供給孔から除
    去し、かつ連通管の内部あるいはソケットの内部からフ
    ユーエルデリバリパイプの外部へと除去し、 開口した燃料供給孔を形成して前記燃料通路と前記筒状
    ソケット内部とを連通せしめることを特徴とするフユー
    エルデリバリパイプの製造方法。
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DE19937444C1 (de) 1999-08-07 2001-01-18 Winkelmann & Pannhoff Gmbh Vorrichtung zur Verteilung von Kraftstoff für Kraftstoffeinspritzanlagen von Verbrennungsmotoren
DE102017104608B4 (de) 2017-03-06 2022-12-29 Gkn Powder Metallurgy Engineering Gmbh Rohrleitungsabschnitt einer Common-Rail-Leitung und Verfahren zu dessen Herstellung

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