JP3272892B2 - 可溶性ケラチンの不溶化方法および毛髪改質方法ならびに毛髪改質剤 - Google Patents

可溶性ケラチンの不溶化方法および毛髪改質方法ならびに毛髪改質剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フリーのシステイン残
基を有する高分子量の可溶性ケラチンを毛髪表面上およ
び毛髪中で不溶化することにより毛髪中にケラチンを固
定し、その結果毛髪を改質することができる毛髪用化粧
料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、毛髪、爪、獣毛、羽毛、角の
組織中に存在するケラチンを化粧品原料として利用する
試みがなされている。
【0003】組織中におけるケラチンは、分子中のシス
テイン残基が別のケラチン分子のシステイン残基との間
でジスルフィド結合しており、繊維状として存在し不溶
化している。この繊維上ケラチンを可溶化するために
は、還元剤の存在下でケラチンのジスルフィド結合を開
裂させる方法が古くから知られている。
【0004】しかしながら、この還元剤を除去すると開
裂したジスルフィド結合が再び結合し不溶化してしまう
ため、還元剤の除去後も可溶化したケラチンを得ること
は不可能であった。
【0005】一般に、化粧品の素材は水溶性であること
が必要であり、この繊維状のケラチンを還元剤非存在下
でも水に可溶にするために、現在までにつぎのような方
法が報告されている。
【0006】その方法としては、ケラチンを酵素等を用
いて低分子化する方法がある。また、ケラチン中のジス
ルフィド結合を還元剤を用いて開裂させたのち、システ
イン残基をモノヨード酢酸等を用いて化学修飾を施し、
還元剤を除去したのちも可溶性であるケラチン誘導体を
製造する方法がある。
【0007】しかし、低分子化ケラチンは、分子量が小
さいために毛髪にハリやコシを与えるコンディショニン
グ効果や、セット効果が低いという問題点がある。
【0008】また、システイン残基を化学修飾したケラ
チン誘導体は、分子量は高いもののケラチンに特徴的な
ジスルフィド結合が不可逆的に変性されているために、
毛髪内のチオール基/ジスルフィド結合との交換反応
や、毛髪上でのケラチン分子どうしの架橋形成が期待で
きず、毛髪から容易にはずれてしまう問題点があった。
【0009】そこで近年、これらの問題点を解決するた
めに、発明者は、ケラチン含有物質から還元剤を含む尿
素溶液を用いて還元型ケラチンを抽出し、その抽出液
カチオン界面活性剤、あるいは両性界面活性剤を加える
ことにより、還元剤を除去したのちも安定な可溶性ケラ
チンを得る方法を開発した。
【0010】しかしながら、この可溶性ケラチンは安定
であるが不溶化しないため、毛髪内部に浸透しても再び
毛髪の外に洗い流されてしまい、毛髪の感触を変える上
で持続性に問題があった。
【0011】可溶性ケラチンは基本的にはタンパク質で
あるので、不溶化する方法としては、生化学的な手法で
ある硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウムを用いた塩析に
より不溶化する方法や、エタノールやイソプロパノール
のような有機溶媒を用いて変性させて不溶化する方法が
知られている。しかしながら、これらの方法ではいずれ
も高濃度の硫酸アンモニウムやエタノールを用いなけれ
ばならず、産業で利用することは不可能であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的とするところは、可溶性ケラチンを毛髪表面および
内部で不溶化することにより、ケラチンを毛髪に固定す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の、本発明の請求項1は、架橋構造を有するケラチンタ
ンパク繊維を還元処理した後、不溶物を除去して得られ
る可溶性ケラチン水溶液を不溶化する方法において、可
溶性ケラチン水溶液として、還元処理時または不溶物除
去後に、(A)カチオン界面活性剤、(B)両性界面活
性剤からなる界面活性剤の群から選ばれる1種以上を添
加した可溶性ケラチン水溶液を用いること、および得ら
れた可溶性ケラチン水溶液にノニオン界面活性剤を添加
することを特徴とする、可溶性ケラチンの不溶化方法で
ある。
【0014】また、本発明の請求項2は、請求項1記載
の(A)カチオン界面活性剤、(B)両性界面活性剤
らなる界面活性剤の群から選ばれる1種以上を添加した
可溶性ケラチン水溶液、またはその可溶性ケラチンを含
む毛髪化粧料を第1剤とし、ノニオン界面活性剤または
ノニオン界面活性剤を含む毛髪化粧料を第2剤とする毛
髪改質剤である。
【0015】さらに、本発明の請求項3は、請求項2記
載の第1剤および第2剤を、順不同で前後して使用し、
毛髪を2段階処理する毛髪改質方法である。
【0016】以下、本発明の構成について詳述する。本
発明に用いるケラチン含有物質としては、ヒト、羊、山
羊、馬、豚、牛、兎等の毛や爪、各種鳥類の羽毛が好ま
しく用いられるが経済的な面からは羊毛が望ましい。
【0017】還元剤としては一般的なもので良く、チオ
グリコール酸、メルカプトエタノールや亜硫酸水素ナト
リウムが用いられる。これら還元剤の濃度は、ケラチン
含有物質10g に対して0.05〜0.5モルで使用さ
れる。
【0018】ケラチン含有物質の還元処理に用いる溶媒
は、使用時の簡便さから水や緩衝液が用いられる。その
量は、ケラチン含有物質の溶媒に対する割合が0.5〜
10重量%程度が好ましい。
【0019】また、毛髪、爪、獣毛、羽毛、角、蹄等
は、ジスルフィド結合が開裂しても水素結合のために液
体媒体に対する溶解性が十分でない時がある。この様な
場合は液体媒体中に尿素、チオ尿素等のタンパク質変性
剤、水酸化ナトリウム、アンモニア等のアルカリ、塩化
ナトリウム等の無機塩などを溶解助剤として含有させ還
元物の溶解性を付与した溶液を用いるのが良い。このよ
うな溶解助剤は、その用量が多いほど有効であるが、液
体媒体に対する溶解性や後の還元剤等の除去操作の効率
を考慮して適当量が決定される。
【0020】還元可溶化反応は中性でも良好な結果が得
られるが、望ましくはアルカリ性下、さらに望ましくは
pH10〜11で行なうことが好ましい。また、反応温度
と反応時間は、還元反応が完全に行なわれるように適宜
組み合わせる。たとえば、室温では3〜6時間、5℃で
は24〜48時間、40〜60℃では30〜120分反
応を行なえば十分である。
【0021】得られたケラチン溶液中には還元剤や溶解
助剤等が含まれており、除去する必要があるが、除去処
理の前に、溶液中に存在している不溶物を予め遠心分離
や濾過によって除去しておく必要がある。
【0022】還元剤の除去は、透析、ゲル濾過、膜濾
過、電気透析等の手段で行なう。この除去によりケラチ
ン溶液は、濁りや不溶物の全くない液として得ることが
できる。
【0023】不溶物の除去後、ケラチン溶液に加える、
(A)カチオン界面活性剤、(B)両性界面活性剤は、
以下の成分により構成される。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】()カチオン界面活性剤としては、第4
級アンモニウム塩である、塩化ステアリルトリメチルア
ンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩
化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、N-ヒドロキ
シエチルプロピルアルキルアマイドニトレート等が用い
られる。
【0028】()両性界面活性剤としては、アルキル
ジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチル
アミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−ヒドロキシイ
ミダゾリウムベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグ
リシン等が用いられる。上記界面活性剤(A)、(B)
添加量は、溶液中に0.1〜10重量%、好ましくは
0.3〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%
が良い。添加量はケラチン溶液の濃度や、原料ケラチン
の種類によって異なるが、10重量%を超えると経済的
に好ましくない傾向になる。
【0029】さらに、これら界面活性剤の添加は、最初
の還元剤添加時に予め加えておいても良い。
【0030】上述の如く操作して得られたケラチン溶液
は、膜や乾燥によって濃縮することができ、またさらに
乾燥させることにより、乾燥粉末を得ることができる。
このようにして得られたケラチンは水溶解性が非常に高
い。また、ケラチンタンパク中のアミノ酸100残基あ
たり、システインを0.5〜5個、シスチンを0.5〜
5個含み、分子量は40,000〜70,000の高分
子ケラチンである。さらに、本発明で得られる可溶性ケ
ラチンの保存安定性は非常に高く、溶液状態で少なくと
も半年間は不溶物を生じなかった。毛髪改善のために
は、この、可溶性ケラチンを含む溶液および化粧料を第
1剤として使用する。
【0031】第1剤に含まれる可溶性ケラチンの量は、
使用量との兼ね合いもあるが、0.01〜80重量%程
度が良く、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ま
しくは1〜5重量%である。
【0032】第2剤の主成分として用いるノニオン界面
活性剤は、ノニオン界面活性剤であれば特に規定はな
く、たえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキ
シエチレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルアミノエーテル、ポリエチレングリコ
ール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリプロピレ
ングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリ
ストール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸
アルカノールアミド等、通常のものが用いられ、さらに
はアルキルグルコシド等も用いられる。
【0033】第2剤中のノニオン界面活性剤の濃度は使
用量との兼ね合いもあるが、0.01〜80重量%程度
が良く、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは
5〜10重量%である。
【0034】これら、第1剤と第2剤の形態は、毛髪化
粧料であるローション、クリーム、ミルク、パック、シ
ャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメン
ト、エッセンス等のものであれば良い。
【0035】第1剤の適用方法としては、毛髪に直接塗
布または付けた後、好ましくは1分間以上、さらに好ま
しくは10分間以上放置する。その後、洗い流さなくて
も良いが、毛髪内部で可溶性ケラチンを不溶化させると
いう観点からは表面の余分なケラチンを除くために洗い
流す方が良い。
【0036】ついで、第2剤を毛髪に直接塗布または付
ける。その後の放置時間は1分間以上、より内部で可溶
性ケラチンを不溶化させるという観点からは、好ましく
は10分間以上が望ましい。その後、第2剤を洗い流
す。
【0037】この第1剤と第2剤の適用する順番は逆で
も問題はないが、同時ではその効果が少ししか得られな
い。この第1剤と第2剤の適用は、シャンプーやリンス
の前でも後でも良い。
【0038】本発明の毛髪改質剤を用いることにより、
毛髪にハリ、コシ、ツヤ、しっとり、まとまりやすさ等
の風合いを付与することができる。
【0039】
【作用】毛髪の表面および内部に浸透した可溶性ケラチ
ンをノニオン界面活性剤を添加することによって毛髪内
部で不溶化することができ、その結果毛髪に良好な風合
いや官能を付与することができる。
【0040】
【実施例】つぎに、実施例を挙げてさらに詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】実施例1 羊毛 (雑種) 20g を3%β−メルカプトエタノールと
1mMEDTAを含む8M 尿素水溶液 (6000 ml)に浸
漬し、10%水酸化カリウムでpHを10.5にした。つ
いで脱気操作を行なったのちに密閉した。室温で3時間
攪拌し還元を行なった後、6N HClでpHを中性に戻
し、12,000 r.p.m. 、4℃で30分間遠心分離を
行ない740mlの上清を得た。この溶液に脂肪酸アルカ
リ金属塩であるヤシカリ液 (ヤシカリ液、カネボウ石鹸
製、30%品、中和度100%) を最終濃度2重量%に
なるように加え、完全に均一にした後、還元剤を除去す
るために透析膜を用い、10リットルのイオン交換水に
対して各3時間、3回透析操作を行なった。その結果、
不溶物のない透明なケラチン溶液を得ることができた。
羊毛20gから可溶性ケラチンの回収率は70重量%で
あった。ケラチン濃度は30.0 mg/ml(3%水溶液)
であった。また、分子量を測定したところ、還元剤非存
在下処理で40,000〜70,000であった。な
お、分子量の測定はソジウムドデシルサルフェート−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)
により行った。また、以下分子量の測定は本装置によっ
た。
【0042】実施例2 実施例1で得た可溶性ケラチンを最終濃度1%になるよ
うにイオン交換水で希釈し、第1剤を作製した。また、
ノニオン界面活性であるポリオキシエチレン (10) オク
チルフェニルエーテルを最終濃度10重量%になるよう
に水で希釈し、第2剤を作製した。この第1剤3mlに第
2剤30mlを添加し、10分間攪拌混合することによ
り、可溶性ケラチンの不溶化物を作製することができ
た。また、この不溶化ケラチンは、10分間、3,00
0r.p.m.の遠心分離操作により沈殿として回収できた。
さらに、この沈殿を回収し、30mlのイオン交換水に懸
濁したところ、この不溶化ケラチンは24時間後も不溶
化した状態で存在した。
【0043】実施例3 実施例1で得た可溶性ケラチンを最終濃度1%になるよ
うにイオン交換水で希釈し、第1剤を作製した。また、
ノニオン界面活性であるポリオキシエチレン (10) オク
チルフェニルエーテルを最終濃度20重量%になるよう
に水で希釈し、第2剤を作製した。この第1剤30mlに
ヒト毛髪10g を浸し、10分間放置した。その後毛髪
を水道水ですすいだ。ついで、第2剤30mlに毛髪を浸
し、さらに10分間放置した。その後毛髪を水道水です
すぎ、ドライヤーで乾燥した。
【0044】乾燥後の毛髪と未処理の毛髪を比較し、表
1の結果を得た。
【0045】
【表1】
【0046】表1の通り、明らかに第1剤処理と第2剤
処理を施すことにより、毛髪に良好な風合いや官能を付
与させることができた。
【0047】実施例4(ローションの作製) 実施例1で得た可溶性ケラチンを用い、表2に示す、ロ
ーション組成物の第1剤および第2剤を作製した。使用
に際しては、ヒト毛髪に、第1剤ついで第2剤の順に、
また第2剤を先に使用しその後第1剤を適用する試みも
行った。
【0048】
【表2】
【0049】第1剤、ついで第2剤の順に使用した場
合、毛髪に良好な風合いや官能を付与させることができ
た。また、第2剤を先に使用しその後第1剤を適用して
も同様の効果を得ることができた。
【0050】実施例5 羊毛 (雑種) 20g を3%β−メルカプトエタノールと
1mMEDTAを含む8M 尿素水溶液 (6000 ml)に浸
漬し、10%水酸化カリウムでpHを10.5にした。つ
いで脱気操作を行なったのちに密閉した。室温で3時間
攪拌し還元を行なった後、6N HClでpHを中性に戻
し、12,000 r.p.m. 、4℃で30分間遠心分離を
行ない740mlの上清を得た。この溶液にカチオン界面
活性剤である塩化ステアリルトリメチルアンモニウム
(カチオンAB600、63重量%純度) を最終濃度1
重量%になるように加え、完全に均一にした後、還元剤
を除去するために透析膜を用い、10リットルのイオン
交換水に対して各3時間、3回透析操作を行なった。そ
の結果、不溶物のない透明なケラチン溶液を得ることが
できた。羊毛20gから可溶性ケラチンの回収率は70
重量%であった。ケラチン濃度は30.0 mg/ml(3%
水溶液)であった。また、分子量を測定したところ、還
元剤非存在下処理で40,000〜70,000であっ
た。
【0051】実施例6 実施例4で得た可溶性ケラチンを最終濃度1%になるよ
うにイオン交換水で希釈し、第1剤を作製した。また、
ノニオン界面活性であるポリオキシエチレン (10) オク
チルフェニルエーテルを最終濃度10重量%になるよう
に水で希釈し、第2剤を作製した。この第1剤3mlに第
2剤30mlを添加し、10分間攪拌混合することによ
り、可溶性ケラチンの不溶化物を作製することができ
た。また、この不溶化ケラチンは、10分間、3,00
0r.p.m.の遠心分離操作により沈殿として回収できた。
さらに、この沈殿を回収し、30mlのイオン交換水に懸
濁したところ、この不溶化ケラチンは24時間後も不溶
化した状態で存在した。
【0052】実施例7 実施例5で得た可溶性ケラチンを最終濃度1%になるよ
うにイオン交換水で希釈し、第1剤を作製した。また、
ノニオン界面活性であるポリオキシエチレン (10) オク
チルフェニルエーテルを最終濃度20重量%になるよう
に水で希釈し、第2剤を作製した。この第1剤30mlに
ヒト毛髪10g を浸し、10分間放置した。その後毛髪
を水道水ですすいだ。ついで第2剤30mlに毛髪を浸
し、さらに10分間放置した。その後毛髪を水道水です
すぎ、ドライヤーで乾燥した。
【0053】乾燥後の毛髪と未処理の毛髪を比較し、表
3の結果を得た。
【0054】
【表3】
【0055】表3の通り、明らかに第1剤処理と第2剤
処理を施すことにより、毛髪に良好な風合いや官能を付
与させることができた。
【0056】実施例8(ローションの作製) 実施例5で得た可溶性ケラチンを用い表4に示す、ロー
ション組成物の第1剤および第2剤を作製した。使用に
際しては、ヒト毛髪に、第1剤、ついで第2剤の順に、
また第2剤を先に使用しその後第1剤を適用する試みも
行った。
【0057】
【表4】
【0058】第1剤、ついで第2剤の順に使用した場
合、毛髪に良好な風合いや官能を付与させることができ
た。また、第2剤を先に使用しその後第1剤を適用して
も同様の効果を得ることができた。
【0059】実施例9 羊毛 (雑種) 20g を3%β−メルカプトエタノールと
1mMEDTAを含む8M 尿素水溶液 (6000 ml)に浸
漬し、10%水酸化カリウムでpHを10.5にした。つ
いで、脱気操作を行なったのちに密閉した。室温で3時
間攪拌し還元を行なった後、6N HClでpHを中性に戻
し、12,000 r.p.m. 、4℃で30分間遠心分離を
行ない740mlの上清を得た。この溶液に両性界面活性
剤であるラウリン酸アミドプロピルベタイン (アンホレ
ックスLB2、30重量%純度)を最終濃度3重量%に
なるように加え、完全に均一にした後、還元剤を除去す
るために透析膜を用い、10リットルのイオン交換水に
対して各3時間、3回透析操作を行なった。その結果、
不溶物のない透明なケラチン溶液を得ることができた。
羊毛20gから可溶性ケラチンの回収率は70重量%で
あった。ケラチン濃度は30.0 mg/ml(3%水溶液)
であった。また、分子量を測定したところ、還元剤非存
在下処理で40,000〜70,000であった。
【0060】実施例10 実施例9で得た可溶性ケラチンを最終濃度1%になるよ
うにイオン交換水で希釈し、第1剤を作製した。また、
ノニオン界面活性であるポリオキシエチレン (10) オク
チルフェニルエーテルを最終濃度10重量%になるよう
に水で希釈し、第2剤を作製した。この第1剤3mlに第
2剤30mlを添加し、10分間攪拌混合することによ
り、可溶性ケラチンの不溶化物を作製することができ
た。また、この不溶化ケラチンは、10分間、3,00
0r.p.m.の遠心分離操作により沈殿として回収できた。
さらに、この沈殿を回収し、30mlのイオン交換水に懸
濁したところ、この不溶化ケラチンは24時間後も不溶
化した状態で存在した。
【0061】実施例11 実施例9で得た可溶性ケラチンを最終濃度1%になるよ
うにイオン交換水で希釈し、第1剤を作製した。また、
ノニオン界面活性であるポリオキシエチレン (10) オク
チルフェニルエーテルを最終濃度20重量%になるよう
に水で希釈し、第2剤を作製した。この第1剤30mlに
ヒト毛髪10g を浸し、10分間放置した。その後毛髪
を水道水ですすいだ。ついで第2剤30mlに毛髪を浸
し、さらに10分間放置した。その後毛髪を水道水です
すぎ、ドライヤーで乾燥した。
【0062】乾燥後の毛髪と未処理の毛髪を比較し、表
5の結果を得た。
【0063】
【表5】
【0064】表5の通り、明らかに第1剤処理と第2剤
処理を施すことにより、毛髪に良好な風合いや官能を付
与させることができた。
【0065】実施例12(ローションの作製) 実施例9で得た可溶性ケラチンを用い表6に示す、ロー
ション組成物の第1剤および第2剤を作製した。使用に
際しては、ヒト毛髪に、第1剤ついで第2剤の順に、ま
た第2剤を先に使用しその後第1剤を適用する試みも行
った。
【0066】
【表6】
【0067】第1剤、ついで第2剤の順に使用した場
合、毛髪に良好な風合いや官能を付与させることができ
た。また、第2剤を先に使用しその後第1剤を適用して
も同様の効果を得ることができた。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、可溶性ケラチンを毛髪
表面および内部で不溶化することにより、ハリ、コシ、
ツヤ、しっとり、まとまりやすさ等の風合いを付与する
ことができるといった毛髪の感触を変えることのできる
化粧料を提供できる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋構造を有するケラチンタンパク繊維
    を還元処理した後、不溶物を除去して得られる可溶性ケ
    ラチン水溶液を不溶化する方法において、可溶性ケラチ
    ン水溶液として、還元処理時または不溶物除去後に、
    (A)カチオン界面活性剤、(B)両性界面活性剤から
    なる界面活性剤の群から選ばれる1種以上を添加した可
    溶性ケラチン水溶液を用いること、および得られる可溶
    性ケラチン水溶液にノニオン界面活性剤を添加すること
    を特徴とする、可溶性ケラチンの不溶化方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の(A)カチオン界面活性
    剤、(B)両性界面活性剤からなる界面活性剤の群から
    選ばれる1種以上を添加した可溶性ケラチン水溶液、ま
    たはそれらの可溶性ケラチンを含む毛髪化粧料を第1剤
    とし、ノニオン界面活性剤またはノニオン界面活性剤を
    含む毛髪化粧料を第2剤とする毛髪改質剤。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の第1剤および第2剤を、
    順不同で前後して使用し、毛髪を2段階処理する毛髪改
    質方法。
JP33633994A 1994-12-22 1994-12-22 可溶性ケラチンの不溶化方法および毛髪改質方法ならびに毛髪改質剤 Expired - Fee Related JP3272892B2 (ja)

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