JP3272284B2 - ポリ(置換ビフェニレンビニレン)類及びその製造法 - Google Patents

ポリ(置換ビフェニレンビニレン)類及びその製造法

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JP3272284B2 JP31665597A JP31665597A JP3272284B2 JP 3272284 B2 JP3272284 B2 JP 3272284B2 JP 31665597 A JP31665597 A JP 31665597A JP 31665597 A JP31665597 A JP 31665597A JP 3272284 B2 JP3272284 B2 JP 3272284B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐熱性を有
し、有機溶媒に可溶で、電気化学的レドックス反応に対
し活性で、優れた蛍光特性を示すポリ(置換ビフェニレ
ンビニレン)類、その製造方法、及び、それを含有して
なる発光組成物並びに液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子材料や光学材料として種々の
フォトルミネッセンス化合物が使用されてきている。こ
れらのフォトルミネッセンス化合物として、例えば、次
式(V)
【0003】
【化4】
【0004】(式中、Arはパラフェニレン、チオフェ
ン−2、5−ジイル基、ピリジン−2、5−ジイル基等
のアリーレン基を示し、nは重合度を示す。)で表され
るポリ(アリーレンビニレン)類などが知られている。
これらのポリ(アリーレンビニレン)類は、導電性を有
し、また蛍光を示す材料として注目されている。特に、
電圧印加下に発光を示すエレクトロルミネッセンス材料
として注目されている(例えば、雑誌「高分子」、45
巻、344頁(1996年)、雑誌「高分子加工」、4
5巻、338頁(1996年)参照)。
【0005】一般に、高効率のフォトルミネッセンス
(光照射下の発光)を示すものは、エレクトロルミネッ
センス材料としても良い発光性を示す傾向がある。しか
し、これらのポリ(アリーレンビニレン)類は、溶解性
が低かったり、耐熱性に劣ったり、蛍光等の発光効率が
低いなどの問題を有していた。
【0006】また、このようなポリ(アリーレン)型ポ
リマーの合成法としては、次式(VI)
【化5】
【0007】で示されるように、ベンジルクロライド誘
導体をジメチルスルフィドを用いてスルホニウム化し、
これを塩基の存在に重合した後、残ったスルホニウムク
ロライドを脱離させるなどの前駆体ポリマーを経由する
方法(例えば、雑誌「Polymer News」、1
4巻、234頁(1989年)、雑誌「海外高分子研
究」、1988年9号、10頁参照)やウイティッヒ反
応(Wittig反応)を用い合成する方法(例えば、
雑誌「J.Am,Chem.Soc.」、117巻、7
112頁(1995))や、ジハロゲン化アリール化合
物とビニル化合物をパラジウムの存在下に反応させる方
法(エーグレイナーら、「ポリマー」、第32巻10
号、第1857頁(1991年)(A.Greiner, et al.,
POLYMER, 32(10),1857,1991 ))などが知られている。
しかし、これらの公知の合成法は、モノマーの入手が困
難であったり、該重合反応に適用できるモノマーの種類
が限られるなどの合成化学上の問題を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの状
況のもと、簡便に入手し得るモノマーを用い、望ましく
は適応範囲の広い重合法を用いて、可溶性で、望ましく
は耐熱性を有し、蛍光の発光効率のよいポリ(アリーレ
ンビニレン)型重合体を得、また発光性物質として用い
ることを目的としている。さらに、本発明者らは、これ
らの高分子物質が液晶性を有することを見出し、これら
の高分子物質からなる液晶性組成物を提供することを目
的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、次式(I):
【0010】
【化6】
【0011】(式中、R1、R2、R3、R4は同一又は異
なって水素原子又はフェニル環の置換基を示し、R5
6は同一又は異なって水素原子、アルキル基又は置換
基を有してもよいフェニル基を示し、nは重合度を示
す。但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6が同時に水素
原子である場合を除く。)で表されるポリ(置換ビフェ
ニレンビニレン)類に関し、詳細には、次式(II)
【0012】
【化7】
【0013】(式中、R1、R2、R3、R4は同一又は異
なって水素原子又はフェニル環の置換基を示し、nは重
合度を示す。但し、R1、R2、R3、R4が同時に水素原
子である場合を除く。)で表されるポリ(置換ビフェニ
レンビニレン)類、即ち、前記式(I)のR5及びR6
水素原子である前記式(I)のポリ(置換ビフェニレン
ビニレン)類に関する。また、本発明は詳細には、次式
(III):
【0014】
【化8】
【0015】(式中、R5、R6は同一又は異なって水素
原子、アルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基
を示し、nは重合度を示す。但し、R5、R6が同時に水
素原子である場合を除く。)で表されるポリ(置換ビフ
ェニレンビニレン)類に関する。本発明は、クロロホル
ム中の蛍光収率が20%以上である、前記式(I)、
(II)、又は、(III) で表されるポリ(置換ビフェニ
レンビニレン)類に関する。さらに本発明は、次式(I
V):
【0016】
【化9】
【0017】(式中、R1、R2、R3、R4は同一又は異
なって水素原子又はフェニル環の置換基を示し、R5
6は同一又は異なって水素原子、アルキル基又は置換
基を有してもよいフェニル基を示し、Xはハロゲン原子
を示す。但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6が同時に
水素原子である場合を除く。)で表されるジハロゲン化
物を金属又は金属化合物の存在下に脱ハロゲン化カップ
リングさせることによる、前記式(I)で表されるポリ
(置換ビフェニレンビニレン)類の製造方法に関し、詳
細には、前記金属又は金属化合物が0価のニッケルであ
る前記の製造方法に関する。また、本発明は、前記式
(II)、又は、(III) で表される前記のポリ(置換ビ
フェニレンビニレン)類の製造方法に関する。
【0018】本発明は、前記式(I)、(II)、又は、
(III) で表されるポリ(置換ビフェニレンビニレン)
類を含有してなる発光性組成物に関する。また、本発明
は、前記式(I)、(II)、又は、(III) で表される
ポリ(置換ビフェニレンビニレン)類、好ましくは前記
式(II)で表されるポリ(置換ビフェニレンビニレン)
類を含有してなる液晶組成物に関する。さらに、本発明
は、前記の発光性組成物又は液晶組成物を含有してなる
光学製品に関し、好ましくは、当該光学製品が電子部品
である光学製品に関する。
【0019】本発明の前記式(I)、又は、(II)で表
されるポリ(置換ビフェニレンビニレン)類の置換基の
1、R2、R3、又は、R4としては、水素原子の他に、
炭素数が1〜30、好ましくは1〜15、より好ましく
は4〜10の直鎖又は分鎖したアルキル基、炭素数が2
〜30、好ましくは2〜15、より好ましくは4〜10
の直鎖又は分鎖したアルケニル基、炭素数が2〜30、
好ましくは2〜15、より好ましくは4〜10の直鎖又
は分鎖したアルキニル基などの脂肪族炭化水素基、炭素
数が4〜30、好ましくは4〜15、より好ましくは4
〜10の1個以上の環式基を有する飽和又は不飽和の環
式炭化水素基、炭素数が6〜30、好ましくは6〜1
5、より好ましくは6〜10の1個以上の6員芳香環を
有する芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素
数が1〜30、好ましくは1〜15、より好ましくは4
〜10の前記した炭化水素基で置換されている水酸基
(例えば、アルコキシ基、アルケニルオキシ基な
ど。)、アミノ基、炭素数が1〜30、好ましくは1〜
15、より好ましくは4〜10の前記下炭化水素基で置
換されているアミノ基などを挙げることができるが、直
鎖又は分鎖したアルキル基が好ましく、より好ましくは
炭素数が4〜10の直鎖又は分鎖したアルキル基を挙げ
ることができる。
【0020】本発明の前記式(I)、又は、(II)で表
されるポリ(置換ビフェニレンビニレン)類の置換基の
1、R2、R3、又は、R4をより具体的に例示すれば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n
−ヘキシル基、n−オクチル基、ビニル基、プロペニル
基、ベンジル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ
基などが挙げられ、これらのうちでは、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル
基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などが好ましく、
溶解性の観点からは炭素数4以上のものがより好まし
い。
【0021】本発明の前記式(I)又は(II)で表され
るポリ(置換ビフェニレンビニレン)類のフェニル環の
置換基R1、R2、R3、又は、R4は、置換基R5及びR6
が水素原子でない場合には無くてもよい(即ち、これら
が同時に水素原子の場合。)が、各々1〜4個、好まし
くは1〜2個有するほうがよい。
【0022】本発明の前記式(I)又は(III) で表さ
れるポリ(置換ビフェニレンビニレン)類の置換基のR
5又はR6としては、水素原子、アルキル基又は置換基を
有してもよいフェニル基が挙げられる。アルキル基とし
ては炭素数が1〜30、好ましくは1〜15、より好ま
しくは1〜10の直鎖又は分鎖したアルキル基、例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、
n−ヘキシル基、n−オクチル基などが挙げられる。ま
た、フェニル基の置換基としては、本発明の光学特性を
阻害するものでない限り特に制限はなく、水酸基、アル
コキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルア
ミノ基などが挙げられる。フェニル基はこれらの置換基
を有してもよいが、無置換のフェニル基も好ましい。
【0023】本発明の前記式(I)、(II)、又は、
(III) のポリ(置換ビフェニレンビニレン)類の重合
度nには、特に制限はないが、溶液中よりのキャスト等
により成膜した場合に強度のある膜が得られるために
は、nが3以上であることが好ましく、より好ましくは
nが5以上である。また、エレクトロルミネッセンス装
置の作成には、用いる材料を真空蒸着法等により真空中
で基盤上に堆積させるためには、分子量があまり大きく
なくおおよそ5000以下であることが望ましい。
【0024】本発明の前記式(I)で表されるポリ(置
換ビフェニレンビニレン)類は公知の種々の方法に準じ
て製造することもできるが、以下に示す方法により有利
に製造することができる。即ち、次式(IV):
【0025】
【化10】
【0026】(式中、R1、R2、R3、R4は同一又は異
なって水素原子又はフェニル環の置換基を示し、R5
6は同一又は異なって水素原子、アルキル基又は置換
基を有してもよいフェニル基を示し、Xはハロゲン原子
を示す。但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6が同時に
水素原子である場合を除く。)で表されるジハロゲン化
物を金属又は金属化合物の存在下に脱ハロゲン化カップ
リングさせることにより製造することができる。これを
反応式で示すと次の反応式(VII)
【0027】
【化11】
【0028】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
X、及び、nは前記したものを示す。)で表される。こ
のような、脱ハロゲン化重合は多種のモノマーで進行す
ることが知られており(雑誌「高分子」、46巻、68
頁(1997)参照)、これに準じた反応条件で行うこ
とができる。同様な方法で、生成物に対応した原料ジハ
ロゲン化物を使用することにより、前記式(II)、又
は、(III) で表されるポリ(置換ビフェニレンビニレ
ン)類を製造することができる。
【0029】前記式(IV)におけるハロゲン原子として
は、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素などの脱離可能なもの
が挙げられる。また、金属又は金属化合物としては、脱
ハロゲン化作用を有するものであれば特に制限はなく、
例えば、マグネシウム、亜鉛、リチウム、ナトリウム、
カリウム、カルシウム、鉄、アルミニウム、インジウ
ム、錫等の金属、ビス(1,5−シクロオクタジエン)
ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッ
ケル(Ni(PPh3)4)、テトラカルボニルニッケル(Ni(C
O)4 )、2,2´−ビピリジル(1,5−シクロオクタ
ジエン)ニッケル、ビス(o−フェナントロリン)ニッ
ケル、ビス(トリフェニルホスフィン)ジカルボニルニ
ッケルなどのゼロ価ニッケル化合物が挙げられる。これ
らのうちの、ゼロ価ニッケル錯体の使用は特願昭63−
159635号に記載されている方法に準じて行うこと
ができるし、マグネシウムは特願昭51−072322
号の記載に、また、亜鉛は特願昭60−075869号
に記載の方法に準じて使用することができる。
【0030】前記した製造方法における原料となる前記
の式(IV)で表される化合物は、公知の方法により製造
することができる。例えば、このうちの対象体のもの
は、次式(VIII)で示される反応式
【0031】
【化12】
【0032】(式中、R1、R2、R5、及び、Xは前記
したものを示す。)で示されるマックマリー還元(Mc
Murry還元(「有機化学用語事典」344頁、朝
倉書店刊(1990年)))によって容易に製造するこ
とができる。
【0033】本発明の式(I)で示されるポリ(置換ビ
フェニレンビニレン)類、特に、式(II)で示されるベ
ンゼン環に2個のアルキル基を有するポリマーは、有機
溶媒に可溶であり、クロロホルム中で20%以上の高い
蛍光収率を示す、極めて有用なものである。一方、前記
式(I)の置換基R1、R2、R3、R4、R5、及び、R6
が同時に水素原子である場合の化合物、即ち、次式(I
X)
【0034】
【化13】
【0035】(式中、nは重合度を示す。)で表される
ポリ(ビフェニレンビニレン)は、低い溶解性しか示さ
ず、膜等に成型することが困難であった。したがって、
本発明は溶解性が極めて改善され、膜等を容易に成型す
ることができる前記式(I)、特に、式(II)、及び、
(III) で表されるポリ(置換ビフェニレンビニレン)
類を提供するものである。さらに、本発明のこれらの式
で表されるポリ(置換ビフェニレンビニレン)類は、前
記の反応式(VIII)の反応により容易に入手可能なモノ
マーを用い、式(VII) の重合反応により容易に製造す
ることができるものである。
【0036】さらに、本発明の式(I)で表されるポリ
(置換ビフェニレンビニレン)類、特に、ビニレン部分
の炭素原子の置換基R5及びR6が水素原子である式(I
I)で表されるポリ(置換ビフェニレンビニレン)類
は、有機溶媒に対する溶解性が優れているのみならず、
蛍光収率においても優れた性質を有するものである。
【0037】本発明のポリ(置換ビフェニレンビニレ
ン)類を含有する発光性組成物は、クロロホルムなどの
溶媒に溶解させた溶液状としてもよいし、それをフィル
ム状にしたものでもよく、また、アクリル系ポリマーな
どとの分散混合物であってもよい。さらにこれを発光体
として光学製品に用いる場合には、溶媒中に溶かして用
いてもよいし、溶液中からキャストしたフィルムとして
用いてもよいし、蒸着、スパッタリング等の方法で真空
中で堆積した膜として用いてもよいし、また、ポリ(メ
タクリル酸メチル)等の汎用ポリマー中に分散させて用
いてもよい。
【0038】また、本発明の式(I)で表されるポリ
(置換ビフェニレンビニレン)類は、液晶性を示し、液
晶化合物として有用である。例えば、次の実施例におけ
るポリマー3(R1、R2、R3、及び、R4がn−オクチ
ル基であり、R5及びR6が水素原子である場合の高分子
化合物)や、ポリマー5(R1、R2、R3、及び、R4
水素原子であり、R5及びR6がn−ヘキシル基である場
合の高分子化合物)は、配向性を持ち高分子液晶として
の特性を示した。本発明の液晶組成物は、本発明の前記
化合物を単独で使用することもできるし、また、他の液
晶性化合物の1種以上と混合して使用することもでき
る。本発明の液晶組成物は、これらの1種又は2種以上
の液晶性化合物のほかにさらに他の添加成分を含有させ
ることもできる。
【0039】
【実施例】以下、本発明について、さらに具体的かつ詳
細に実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0040】実施例1 (モノマーの合成) 次式(X)
【0041】
【化14】
【0042】(式中、R7及びR8は、水素原子又は下記
のアルキル基を示す。)で表される各々の化合物を用い
て、当該化合物1モルに対して、1.5モルのTiCl
4(トルエン中の1MのTiCl4溶液として用いた)、
3モルの粉末状亜鉛を使用して、前記の反応式(IX)に
示すマックマリー還元反応(Mc Murry還元反
応)を行い、それぞれに対応する次式(XI)
【0043】
【化15】
【0044】(式中、R7及びR8は、水素原子又は下記
のアルキル基を示す。)で表される各々の原料化合物に
対応するジブロモ体を得た。すなわち、ジオキサンにT
iCl4のトルエン溶液を加え、ここに式(XI) で示され
る化合物を加えた後に、0℃において粉末状亜鉛を加え
た。この混合物を還流下、4時間反応させた後に室温に
戻し、Na2CO3の水溶液を加え反応を停止した後にジ
エチルエーテルで抽出した。抽出液をNa2SO4で乾燥
した後に再結晶した。また、必要に応じて、再結晶前に
シリカゲルカラムを通して精製した。このようにして、
次の「表1」に示すモノマー1から5の5種類のモノマ
ーを合成した。
【0045】
【表1】
【0046】これらのモノマーの分析は、元素分析、1
H−NMR法、IR法により行い、分子構造と一致する
結果が得られた。なお、モノマー3の原料となる4−ブ
ロモ−2、5−ジオクチルベンズアルデヒドは、予め合
成した1,4−ジブロモ−ジオクチルベンゼンを無水エ
ーテル中でブチルリチウムと反応させた後にさらにN,
N−ジメチルホルムアミドと反応させる方法により合成
単離(収率71%)した。 また、モノマー5の原料と
なる1−(4−ブロモフェニル)−1−ヘプタノンは、
ブロモベンゼンとヘプタン酸クロリドとのAlCl3
在下における、フリーデルクラフツ反応(Friede
l−Crafts反応)により合成した。
【0047】実施例2 (ポリマーの合成) 実施例1で得られたジブロモ体であるモノマー1ないし
モノマー5について、ゼロ価ニッケル錯体を脱ハロゲン
化剤とする重合(前記の反応式(VIII)及び特願昭63
−159635号を参照。)を行った。すなわち、該モ
ノマー1モルに対し、1.2モルのビス(1,5−シク
ロオクタジエン)ニッケル(0)、1.2モルの2,
2’−ビピリジル及び1,5−シクロオクタジエンを加
え、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中60℃
で反応させポリマーを得た(反応時間は、モノマー5以
外は48時間、モノマー5は12時間であった。)。こ
のポリマーをアンモニア水、エチレンジアミン四酢酸ニ
ナトリウム水溶液、水、メタノール等で洗浄し重合体を
得た。収率は90〜96%であった。モノマー1ないし
5から得られたポリマーを各々ポリマー1ないし5とし
て、以下の分析値、1H−NMRデーター(CDCl
3中)、IRデーター(KBr法)、ゲルパーミエショ
ンクロマトグラフ法(ポリスチレン基準)による分子量
測定により同定した。
【0048】 ポリマー1(比較例) : 元素分析 実測値 C,87.6% ; H,5.9% 計算値 C,88.1% ; H,6.0% ((C1410・0.7H2O)nとして) IR(cm-1) :3450w,3030w,1595
w,1500s,1405w,970s,820s,5
35m(w,s,mは各々、弱い、強い、中程度の吸収
を表す)。また、このIRスペクトルにはモノマー1に
見られた1005cm-1のC−Br伸縮吸収はほとんど
見られず、脱ハロゲン化重合が進行していることが分か
った。 ポリマー1は、溶媒にほとんど不溶であり、NMR法に
よる同定及び分子量測定はできなかった。
【0049】 ポリマー2 : 元素分析 実測値 C,86.6% ; H,8.3% 計算値 C,86.9% ; H,7.9% ((C1818・0.8H2O)nとして)1 H−NMR (δ,ppm) :2.4(12H),
6.8−7.5(6H)。 IR(cm-1) :3450m,3040w(肩ピー
ク),2860−3000(多重ピーク、s又はm),
1605w,1495s,1450s,1035m,9
60s,885m 数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、
各々1410、2030であった。
【0050】 ポリマー3 : 元素分析 実測値 C,87.1% ; H,11.9% 計算値 C,88.1% ; H,11.9% ((C4674)nとして)1 H−NMR (δ,ppm) :0.8(12H),
1.0−1.8(48H),2.3−2.8(8H),
6,8−7.6(6H) IR(cm-1) :3005w(肩ピーク),2910
s,2845s,1480w,1460s,960m,
895m Mn、Mwは、各々3780、6250であった。
【0051】 ポリマー4 : 元素分析 実測値 C,89.9% ; H,6.9% 計算値 C,90.0% ; H,7.0% ((C1614・0.2H2O)nとして)1 H−NMR (ppm) :1.9−2.3(6
H),6.8−7.7(8H) IR(cm-1) :3450w,3060w,3010
m,2970w,2900m,2850w,1485
s,1380m,720s Mn、Mwは、各々1940、2960であった。
【0052】 ポリマー5 : 元素分析 実測値 C,88.8% ; H,10.0% 計算値 C,89.2% ; H, 9.9% ((C2634・0.2H2O)nとして)1 H−NMR (ppm) :0.8(6H),1.0
−1.6(16H),2,5(4H),6.8−7.6
(8H) IR (cm-1) :3450w,3080w,303
0w,2840−2970(多重ピーク、s又はm),
1495s,1470s,1120m,1000s,8
25s Mn、Mwは、各々2670、3700であった。
【0053】さらに、モノマー4を用いる重合におい
て、マグネシウムを脱ハロゲン化剤として用い、NiC
2を触媒として用い、乾燥テトラヒドロフラン中で重
合(60℃で48時間)を行った(特願昭51−072
322号参照)。その結果、ポリマー4とほとんど同じ
IRスペクトルを示す重合体が80%の収率で得られ
た。
【0054】実施例3 (溶解性試験) 実施例2で得られた重合体のうち、ポリマー1(比較
例)は、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエ
ン、N,N−ジメチルホルムアミド等の各種溶媒に実質
的に不溶であり、クロロホルム溶液はわずかに着色(吸
収極大343nmにおける吸光度は0.04程度)する
のみであった。これに対して、本発明のポリマー2、
3、4、及び、5はいずれもクロロホルム、テトラヒド
ロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドに
可溶であった。このように、フェニレン基又はビニレン
基へのアルキル基などの置換基を導入することによりポ
リマーの溶解性が著しく増大することが判った。
【0055】実施例4 (蛍光の測定) モノマー1から5までを用いて得られたポリマー1から
5までについて、クロロホルム溶液及びクロロホルムか
らキャストして得られたフィルムについて蛍光を測定
た。各々の結果をそれぞれ「表2」及び「表3」に示
す。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】表2に示されるように、本発明のポリマー
2及び3は比較例のポリマー1に比べて、クロロホルム
中において蛍光収率の低下がみられるが、実用的な範囲
においては問題にならないことがわかった。また、本発
明のポリマー4及び5はクロロホルム中での蛍光収率は
著しく低下するが、キャストフィルムにおいては低下し
ないことがわかった。このように、本発明のポリマー
2、3、4、及び、5は、溶解性を増大したのみなら
ず、蛍光収率もそれほど減少しないことが分かった。
【0059】実施例5 (ポリマーの熱安定性) モノマー1ないし5から得られるポリマー1ないし5に
ついて、窒素下の熱重量分析によって、5%の重量減少
を起こす温度を測定した。その結果、ポリマー1,2,
3,4,5について、各々389℃、348℃、417
℃、368℃、425℃が得られ、本発明のポリマー
2、3、4、及び、5も高い熱安定性を有することが分
かった。
【0060】実施例6 (ポリマーの粉末X線回折) ポリマー3の粉末X線回折を行った。ポリマー3は、2
θ(CuKα)=4.49°(d=19.7オングストロ
ーム)に鋭いピークを示し、2θ=約19.7°(d=約
4.5オングストローム)にブロードなピークを示し
た。この結果は、ポリマー3の主鎖中の炭素−炭素二重
結合がトランス構造をとり、ビフェニル基の部分で多少
のねじれが生じているとしてもポリマー分子全体として
はほぼ剛直な平面構造を有し、このような平面状のポリ
マー分子が隣り合って整然と集合している状態になって
いることを示している。粉末X線回折の結果のd=1
9.7オングストロームは、側鎖アルキル基などにより
ポリマー分子鎖が隔てられている距離を示しており、d
=約4.5オングストロームはポリマー分子面間の距離
を示していると考えられる。このように、ポリマー3
は、ほぼ剛直な平面構造を保ちつつ、整然とポリマー分
子が整列した構造を有していることが判明した。また、
ポリマー5についても同様に粉末X線回折を行ったとこ
ろ、2θ(CuKα)=約18.1°(d=4.9オング
ストローム)のところにブロードなピークが観察され、
このものもポリマー3と同様に整然とした構造を有する
ことが判明した。
【0061】実施例7 (ポリマーの液晶性) 実施例6によりポリマー3が配向性を有し、高分子液晶
としての特性を示すことが明らかとされたが、これをよ
り具体的に試験することにした。ポリマー3を100℃
に加熱し、ガラス板上にスパチュラで塗りつけ、室温に
戻した後、直交ニコル下で光の透過を観察した。ポリマ
ー3は明瞭に光の透過部が認められ、高分子液晶に特徴
的な挙動が確認された。同様に、ポリマー5についても
光の透過部が認められる。
【0062】
【発明の効果】本発明は、各種の溶媒に対する優れた溶
解性を有し、成型性に優れているのみならず、蛍光収率
においても十分な性能を有し、高分子液晶性を有し、さ
らに熱安定性にも優れているポリ(置換ビフェニレンビ
ニレン)類を提供するものである。また、本発明のポリ
(置換ビフェニレンビニレン)類は、簡便で工業的な方
法でかつ高収率で製造することができる。したがって、
本発明は実用的な発光体組成物及び高分子液晶組成物を
提供するものであり、優れた光学製品を提供するもので
ある。

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4は同一又は異なって水素原
    子又はフェニル環の置換基を示し、R5、R6は同一又は
    異なって水素原子、アルキル基又は置換基を有してもよ
    いフェニル基を示し、nは重合度を示す。但し、R1
    2、R3、R4、R5、R6が同時に水素原子である場合
    を除く。)で表されるポリ(置換ビフェニレンビニレ
    ン)類。
  2. 【請求項2】 R1、R2、R3、R4が、同一又は異なっ
    て水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基である請求
    項1に記載のポリ(置換ビフェニレンビニレン)類。
  3. 【請求項3】 R5及びR6が同時に水素原子であり、R
    1、R2、R3、R4が同一又は異なってフェニル環の置換
    基である請求項1又は2に記載のポリ(置換ビフェニレ
    ンビニレン)類。
  4. 【請求項4】 R5及びR6が炭素数1〜30のアルキル
    基又はフェニル基であり、R1、R2、R3、R4が同時に
    水素原子である請求項1又は2に記載のポリ(置換ビフ
    ェニレンビニレン)類。
  5. 【請求項5】 クロロホルム中の蛍光収率が20%以上
    である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリ(置換ビ
    フェニレンビニレン)類。
  6. 【請求項6】 次式(IV): 【化2】 (式中、R1、R2、R3、R4は同一又は異なって水素原
    子又はフェニル環の置換基を示し、R5、R6は同一又は
    異なって水素原子、アルキル基又は置換基を有してもよ
    いフェニル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。但し、
    1、R2、R3、R4、R5、R6が同時に水素原子である
    場合を除く。)で表されるジハロゲン化物を金属又は金
    属化合物の存在下に脱ハロゲン化カップリングさせるこ
    とによる、次式(I) 【化3】 (式中、R1、R2、R3、R4は同一又は異なって水素原
    子又はフェニル環の置換基を示し、R5、R6は同一又は
    異なって水素原子、アルキル基又は置換基を有してもよ
    いフェニル基を示し、nは重合度を示す。但し、R1
    2、R3、R4、R5、R6が同時に水素原子である場合
    を除く。)で表されるポリ(置換ビフェニレンビニレ
    ン)類の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属化合物が0価のニッケルである請求
    項6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 R5及びR6が水素原子である請求項6又
    は7に記載のポリ(置換ビフェニレンビニレン)類の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 R5及びR6がアルキル基又は置換基を有
    してもよいフェニル基である請求項6又は7に記載のポ
    リ(置換ビフェニレンビニレン)類の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から5までのいずれかに記載
    のポリ(置換ビフェニレンビニレン)類を含有してなる
    発光性組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1から5までのいずれかに記載
    のポリ(置換ビフェニレンビニレン)類以外の高分子化
    合物をさらに含有してなる請求項10に記載の発光組成
    物。
  12. 【請求項12】 請求項1から5までのいずれかに記載
    のポリ(置換ビフェニレンビニレン)類を含有してなる
    液晶組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1から5までのいずれかに記載
    のポリ(置換ビフェニレンビニレン)類以外の液晶化合
    物をさらに含有してなる請求項12に記載の液晶組成
    物。
  14. 【請求項14】 請求項10から13に記載の発光性組
    成物又は液晶組成物を含有してなる光学製品。
  15. 【請求項15】 光学製品が電子部品である請求項14
    に記載の光学製品。
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