JP3270697B2 - 回転位置/速度検出方法 - Google Patents

回転位置/速度検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転位置/速度検
出方法に関し、特に、速度(角速度)センサを用いるこ
となく、時間に基づいて角度演算を実行することによ
り、高精度な角度データ及び速度データを出力するため
の新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、用いられていたこの種の回転位置
/速度検出方法としては、レゾルバから角度データを得
ると共に速度を検出するためのタコジェネ等の速度セン
サを用いて速度データを得ていた。あるいは、R/D変
換器(トラッキング方式)より得られるVEL信号を速
度出力として使用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の回転位置/速度
検出方法は、以上のように構成されていたため、次のよ
うな課題が存在していた。すなわち、センサとしてレゾ
ルバとタコジェネ等の2種類を用いなければならず、信
頼性及びコスト面において実用的ではなかった。また、
角度センサのみを使用して速度信号を作成する方法にお
いては、角度精度への依存度及び励磁周波数成分リップ
ルが大きく実用的な速度信号を得るには難しいものがあ
った。
【0004】本発明は、以上のような課題を解決するた
めになされたもので、特に、速度センサを用いることな
く、時間に基づいて角度演算を実行することにより、角
度データを高精度に出力するようにした回転位置/速度
検出方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による回転位置/
速度検出方法は、回転位置検出器(1)の1回転に要する
時間区間Tn-1、Tn、Tn+1を前記回転位置検出器(1)に
接続された自動補正部(5)にて連続計測し、等速もしく
は等加速回転であると判断された前記時間区間Tnにお
いて前記回転位置検出器(1)の検出角度φnである検出
データ(2a)及び時間計測値(τn)を同時に記録し、前記
時間計測値(τn)を時間/角度諸元変換して角度データ
基準(θn)を算出し、前記角度データ基準(θn)から検
出角度(φn)を減算して得た補正角度データ(6)を前記
自動補正部(5)に接続された補正用メモリ(3)へ記録・保
存し、前記角度データ基準(θn)は検出誤差を有する前
記検出角度(φn)に対する補正された前記補正角度デー
タ(6)に相当し、前記補正角度データ(6)を前記補正用メ
モリ(3)に接続された速度演算部(7)に入力して速度デー
タ(7a)に変換する方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による回
転位置/速度検出方法の好適な実施の形態について説明
する。図1は本発明による回転位置/速度検出方法の機
能を示す概略ブロック図である。図1において符号1で
示されるものは周知の回転位置検出器であるレゾルバで
あり、このレゾルバ1からのレゾルバ出力1aは、周知
のA/D変換と同様のレゾルバ出力1aをデジタル化す
るためのR/D変換器2により検出データ2aとして補
正用メモリ3、電子スイッチング型のスイッチ4及び後
述のオートチューニングを行うための自動補正部5に各
々入力されている。なお、位置検出器としては、レゾル
バ以外の検出器を用いることも可能である。
【0007】前記スイッチ4には、補正用メモリ3の出
力3aすなわち後述の補正角度データ6が接続されてい
ると共に、このスイッチ4からは補正済の前記補正角度
データ6が角度データ6Aとして最終的に出力されると
共に、この補正角度データ6は速度演算部7に入力され
ている。前記自動補正部5には、外部から自動補正スタ
ート指令8及び補正値消去指令9が入力されていると共
に、ステータス出力10が出力されている。
【0008】前記速度演算部7からは、デジタル信号に
よる速度データ7a及びD/A変換器11を介してアナ
ログ信号による速度出力12が出力される。前記速度演
算部7は、前記自動補正部5と接続されたタイミングシ
ステム制御部13と接続されており、このタイミングシ
ステム制御部13には速度時定数設定等の入出力制御信
号14及び入出力用のシリアル通信信号15が接続され
ている。従って、このタイミングシステム制御部13に
より自動補正部5及び速度演算部7の動作が所定のタイ
ミングで作動するように制御されている。
【0009】次に、動作について述べる。本発明による
自動補正は、レゾルバ1とR/D変換器2を組合せた状
態にてある一定の回転を与えることにより得られた検出
データ2aと、後述の時間計測により割り出された角度
データ基準θnとを比較することにより検出誤差を算出
し、R/D変換器2の検出出力に対応した補正値5aを
不揮発性の補正用メモリー3上に収納することにより、
回転角度に対応した補正角度データ6(補正された角度
データ)を引き出すものである。
【0010】補正値5aの算出方法補正値5aの算出に
当たっては、以下の手順による。 (1) 初期設定 補正を要するレゾルバ1及びR/D変換器2を組合せた
状態にて立ち上げ、レゾルバ1に機械的回転を与える。 (2) 検出データ2a(非補正値)の取得 レゾルバ1の回転速度が概ね一定である状態にて、図2
で示すようにレゾルバ1の1回転に要する時間を連続的
に計測するとともに、R/D変換器2の出力データであ
る検出データ2aと後述の時間計測値(角度データ基準
θn)を同時にレゾルバ1の1回転分の範囲にて記録す
る。基本的な考え方は図2によるが、レゾルバ1の1回
転に要する時間Tn-1,Tn,Tn+1を自動補正部5にて
連続計測することにより、等速若しくは等加速回転であ
ると判断されたとき、区間Tnにおける検出角度(φ
n)及び時間計測値(τn)を有効として、補正値5a
を算出するための基礎データとする。なお、検出角度φ
nの分解能により、より正確な補正をするための回転速
度条件が決められる。例えば、12ビット/回転の分解
能で250μsecのデータ出力タイミング(サンプリ
ングレート)を有するR/D変換器2の場合、 Tn≧212×250×10−6=1,024sec となり、58.6rpm以下であることが好都合とな
る。
【0011】 (3) 角度データ基準(θn)の算出(時間/角度諸元変
換) 基礎データとして取得された図2の時間計測値(τn)
を、時間/角度諸元変換(演算)して角度データ基準
(θn)を算出する。検出角度(φn)を12ビット/
回転 分解能とすると、以下となる。 (i) 等速回転(Tn=const.)の場合 θn=K・τn 但し、K=212/Tn ・・・(1) (ii) 等加速回転(△Tn=Tn+1−Tn=const.)
の場合 θn=1/2α×τn2+υ0×τn ・・・(2) 但し、αは加速度 υ0は速度の初期値
【0012】
【数1】
【0013】なお、回転速度等の関係により、レゾルバ
1の検出角度(φn)の取得データが、φnの分解能に
対して連続的に取得できない場合、すなわちデータ抜け
があったり重複したりした場合は、前後関係より抜けデ
ータの推定をしたり重複に対しては平均化等の統計的手
法に基づいて、検出角度(φn)のとり得る全範囲にお
いて補正値5aがきちんと対応する様考慮する必要があ
る。 (4) 補正値5aの記録・保存 前記手順により求められた図2の角度データ基準(θ
n)は、検出誤差を有する検出角度(φn)に対する補
正された補正角度データ6に相当するものであり、電源
のON/OFFに関与しない不揮発性メモリー等からな
る補正用メモリー3へ記録・保存する。なお、補正用メ
モリー3へ記録・保存される補正角度データ6の値その
ものは、[θn−φn]となる。
【0014】前述の運用状態において自動補正を実現す
るには、誤差を有する検出角度(φn)をアドレスとし
て、図1に示す如く補正用メモリー3に書き込まれた補
正値5aをリアルタイムに引き出して補正すると、前記
角度データ基準θnに相当する補正角度データ6が得ら
れる。
【0015】次に、速度信号機能について説明する。速
度信号は角度データ6Aの微分値であり、単位時間にお
ける角度データ6Aの変化量として速度演算部7により
演算処理により求めることができる。すなわち、本発明
においては、速度出力12を従来のように速度センサー
より直接得るのではなく、誤差補正された角度データ6
Aを基準として微分処理することにより速度データ7a
を求めるものとする。 速度信号演算方法 一般的に、ある一定時間間隔(△tn=const.)
にサンプリングされた角度データ6A(θn)を用いて
速度信号を求めるには、図3の方法による。時刻τnに
おける速度:υnは次の数2の(4)式で求められる。
【0016】
【数2】
【0017】なお、この方法により求めた速度値は△t
n区間内における始点及び終点の2値平均値であり、よ
り厳密を期すのであれば位置の積分値を求め平均値とす
るのが好ましいが、△tnの値を考慮することで実用上
支障のない範囲を選択すれば良い。又、△tnの値は可
能な限り小さくすることが好ましいものの、角度データ
6A(θn)の有する誤差特性がなめらかで連続性を有
しない限り△tnを小さくする程速度誤差に対して角度
誤差の絶対値が無視できないものとなる。
【0018】次に、前記R/D変換器2として、サンプ
リングパルス20のサンプリング間隔△tnと角度変化
量△θnとが1対1の対応を有する動作波形を有する構
成を用いた場合の具体的な速度演算方法について述べ
る。このサンプリング間隔△tnと角度変化量△θnと
の間には、次の数3の(5)式及び(6)式が成立す
る。
【0019】
【数3】 一方、レゾルバ1の等速回転運動の場合、軸の回転角周
波数すなわち角速度(fθ)とサンブリング間隔(△t
n)の間には、次の数4の(7)式が成立する。
【0020】
【数4】
【0021】従って、前述の(5)式から(7)式より
角速度(fθ)を求めると次の(8)式及び(9)式と
なる。
【0022】
【数5】
【0023】しかるに、今まで求めてきた方法はサンプ
リング1区間(△tn:約250μsec)における角
速度の値であり、△tnが小さいためにたとえ補正され
た角度データ6A(θn)であっても補正後の角度誤差
εθにより、速度誤差は次の数6の(10)式となり得
る。
【0024】
【数6】
【0025】そのため、この速度誤差を少なくして精度
を向上させるために、サンプリング間隔を変更し、始点
と終点の平均値を移動平均として速度出力することで、
可変長の速度時定数を有し約250μsec毎に出力可
能な速度出力を提供することができる。以下にその方法
を図5に示す。なお、この図5のkの値を設定すること
により、従来のサンプリング間隔(約250μsec)
のk倍のサンプリング間隔に変更する。又、これにより
速度時定数もk倍となり、前述の角速度fθは次の数7
の(11)式及び(12)式の通りとなる。
【0026】
【数7】
【0027】ここで、前述の図4の特性を有するR/D
変換器2の検出誤差をε(εt,εθ)とすると、求め
られる検出速度及び速度リップルは、次の数8の(1
3)式から(18)式で示す通りとなり、その速度出力
特性及び速度リップル特性の具体的イメージは、図6で
示す速度出力特性、図7から図9で示す速度リップル特
性(εθ=0.1°)、図10から図12で示す速度リ
ップル特性(εθ=0.5°)で示されている。
【0028】
【数8】
【0029】
【発明の効果】本発明による回転位置/速度検出方法
は、以上のように構成されているため、次のような効果
を得ることができる。すなわち、R/D変換器からの検
出データを補正した補正角度データ6から速度データを
得ているため、従来のような速度センサを用いる必要が
なく、小型で高精度化された回転位置(角度)/速度検
出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転位置/速度検出方法を示す機
能構成図である。
【図2】自動補正時の波形図である。
【図3】速度信号を得る時の状態図である。
【図4】図3とは異なる他のR/D変換器による速度信
号を得る時の状態図である。
【図5】図4のサンブリング間隔を変更した状態を示す
状態図である。
【図6】速度出力特性図である。
【図7】速度リップル特性図である。
【図8】速度リップル特性図である。
【図9】速度リップル特性図である。
【図10】速度リップル特性図である。
【図11】速度リップル特性図である。
【図12】速度リップル特性図である。
【符号の説明】
1 レゾルバ(回転位置検出器) 1a レゾルバ出力 θn 角度データ基準 2a 検出データ 3 補正用メモリ 5a 補正値 6 補正角度データ 7a 速度データ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 櫛原 弘 長野県飯田市大休1879番地 多摩川精機 株式会社内 (72)発明者 中島 源美 長野県飯田市大休1879番地 多摩川精機 株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−204161(JP,A) 特開 平1−174914(JP,A) 特開 昭63−179259(JP,A) 特開 昭61−10715(JP,A) 実開 平2−32014(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01P 3/42 H03M 1/24 G01D 5/245 G01B 7/00 G01B 7/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転位置検出器(1)の1回転に要する時
    間区間Tn-1、Tn、Tn+1を前記回転位置検出器(1)に接
    続された自動補正部(5)にて連続計測し、等速もしくは
    等加速回転であると判断された前記時間区間Tnにおい
    て前記回転位置検出器(1)の検出角度φnである検出デ
    ータ(2a)及び時間計測値(τn)を同時に記録し、前記時
    間計測値(τn)を時間/角度諸元変換して角度データ基
    準(θn)を算出し、前記角度データ基準(θn)から検出
    角度(φn)を減算して得た補正角度データ(6)を前記自
    動補正部(5)に接続された補正用メモリ(3)へ記録・保存
    し、前記角度データ基準(θn)は検出誤差を有する前記
    検出角度(φn)に対する補正された前記補正角度データ
    (6)に相当し、前記補正角度データ(6)を前記補正用メモ
    リ(3)に接続された速度演算部(7)に入力して速度データ
    (7a)に変換することを特徴とする回転位置/速度検出方
    法。
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