JP3269326B2 - 耐黄変性ポリアミド系繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents

耐黄変性ポリアミド系繊維構造物およびその製造方法

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JP3269326B2
JP3269326B2 JP10243495A JP10243495A JP3269326B2 JP 3269326 B2 JP3269326 B2 JP 3269326B2 JP 10243495 A JP10243495 A JP 10243495A JP 10243495 A JP10243495 A JP 10243495A JP 3269326 B2 JP3269326 B2 JP 3269326B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミド系繊維の黄
変防止に関し、黄変防止性に優れ、染色性良好な黄変し
ないポリアミド系繊維構造物および簡便かつ安全な製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリアミド系繊維に黄変防止効果
を付与する方法として、末端アミノ基をイオン結合的に
封鎖する方法が提案されている。
【0003】しかしながら、イオン結合により末端アミ
ノ基を封鎖する方法では、染色前に行なうと染色により
黄変防止効果の低下、あるいは黄変防止効果がまったく
無くなるといった問題点がある。
【0004】また、イオン結合による黄変防止は通常、
染色同時、染色後に行なわれ、染料と同一機構で結合す
るため染色性に影響する可能性があり、染色に影響しな
い濃度での処理ではアミノ基の封鎖性が低いといった問
題点がある。
【0005】さらにまた、ポリアミド系繊維に黄変防止
効果を付与する方法として、特開平4−272270号
公報で末端アミノ基をアシル化剤を含む溶液で処理する
方法が提案されている。
【0006】しかしながら、この方法では、染色性に影
響しない程度にアミノ基を封鎖することが難しく、発色
性が低いといった問題点がある。
【0007】また、保管期間中の黄変に関しては無防備
であり、このような処理を生機に処理するには浴中処理
でもあることから非常に困難である。
【0008】保管期間中の黄変に関しては高密度のフィ
ルムなどで包装することにより黄変物質から遮断する措
置が取られているが、包装物が破れるとその箇所から黄
変し、後の工程に支障をきたしているのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の欠点を解消し、黄変防止性に優れ、染色性
良好な耐黄変性ポリアミド系繊維構造物および簡便かつ
安全な製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
するため、次の構成を有する。
【0011】すなわち、ポリアミド系繊維構造物のバニ
リンによる黄変が0.1≦ΔYI<1であり、かつ染色
による発色性が、−5<ΔL<5であることを特徴とす
る耐黄変性ポリアミド系繊維構造物である。
【0012】また、本発明の耐黄変性ポリアミド系繊維
構造物の製造方法は以下の構成を有する。
【0013】すなわち、酸無水物の気相および/または
液相によりポリアミド系繊維構造物を処理することを特
徴とする耐黄変性ポリアミド系繊維構造物の製造方法で
ある。
【0014】
【作用】以下、本発明の耐黄変性ポリアミド系繊維構造
物およびその製造方法について詳細に説明する。
【0015】本発明において、ポリアミド系繊維構造物
のバニリンによる黄変とは、ポリアミド系繊維の末端ア
ミノ基とバニリンが結合し、共役系を作ることでできた
黄色物質による黄変である。
【0016】ΔYIとは、光学的手段により測定した黄
変程度であるYI値の差であり、バニリンとの結合を有
しないポリアミド系繊維とバニリンが結合して黄色物質
により黄色呈色されたポリアミド系繊維の呈色差を示し
ている。この値が大きいほど黄変の程度が大きくアミノ
基の封鎖が不完全であり、小さいほど黄変の程度は小さ
くアミノ基の封鎖が完全に近くなる。
【0017】本発明の耐黄変性ポリアミド系繊維構造物
においては0.1≦ΔYI<1とするものである。
【0018】本発明の繊維構造物においては未染色のも
のまたは染色されたものに関わらず、少なくともいずれ
か一方において0.1≦ΔYI<1を満足すればよい。
【0019】ΔYI≧1では黄変の程度が大きくなって
布帛の色相に影響を与える問題がある。
【0020】0.1≦ΔYI<1とは、目視では確認不
可能な黄変程度であり、染色しても、染色後の色相にま
ったく影響を与えない程度の黄変である。このように、
布帛の0.1≦ΔYI<1に保つことによって、高い黄
変防止性が発現できる。
【0021】次に、本発明の耐黄変性ポリアミド系繊維
構造物において、染色による発色性ΔLとは、光学的手
段により測定した標準布帛の明度L値と酸無水物により
処理されたポリアミド系繊維構造物の明度L値との差を
示している。
【0022】発色性を低下させない観点から、本発明の
耐黄変性ポリアミド系繊維構造物においては−5<ΔL
<5の範囲とするものである
【0023】次に本発明の耐黄変性ポリアミド系繊維構
造物の製造方法について説明する。本発明の耐黄変性ポ
リアミド系繊維構造物は、気相の酸無水物、気相および
液相の酸無水物または液相の酸無水物で処理するもので
ある。
【0024】液相の酸無水物とは、実質的に100%液
相である酸無水物をいい、溶液状態のものは含まない。
【0025】この酸無水物処理により、染色性に影響を
与えない程度にアミノ基を封鎖し、染色性良好な耐黄変
性ポリアミド系繊維構造物が製造できる。
【0026】本発明でいう酸無水物とは、2つの酸が脱
水縮合したもの、2価以上の酸が分子内で脱水縮合した
ものを指す。無水酢酸、無水マレイン酸、無水コハク
酸、無水吉草酸、無水グルタル酸、無水安息香酸、無水
フタル酸、無水ヘキサン酸、無水ナフタル酸、トリフル
オロ無水酢酸などを用いることができるがこれに限るも
のではない。
【0027】低温での蒸気圧が高く、しかも安価、安全
性が高いことから無水酢酸を用いるのが好ましい。
【0028】酸無水物で処理するのは、末端アミノ基を
共有結合で封鎖するためである。共有結合により封鎖す
るため、イオン結合とは異なり、精練や染色をしても、
黄変防止効果は持続する。また、精練前(生機)に処理
することにより、保管中の黄変を未然に防ぐことが可能
となり、加工時までの黄変を防止できる。
【0029】気相の酸無水物または液相の酸無水物によ
る処理は、繊維表層部のみの末端アミノ基が封鎖される
ため、繊維内部の染色に関与する染着座席を残したアミ
ノ基の封鎖が可能であり、染色性を阻害しないものとな
ることができる。
【0030】一方、酸無水物を溶媒に溶解して溶液とし
たものによる溶液処理では溶媒の繊維に対する膨潤効果
により繊維内部のアミノ基までもが封鎖されてしまうた
め、黄変防止効果はあるが染色性を著しく阻害してしま
う。
【0031】液相の酸無水物で処理する場合、付与方法
は、浸漬法、スプレー法などが使用可能である。浸漬法
の場合、酸無水物液に浸漬するだけでも効果はあるが、
浸漬状態で加熱、あるいは浸漬/絞り工程を経て加熱処
理を行なってもよい。
【0032】また、スプレー法の場合、酸無水物をスプ
レー塗布するだけでもよいが、適宜加熱処理を行なって
もよい。加熱処理には、各種染色機、オーブン、ピンテ
ンターなどが使用できる。
【0033】酸無水物の気相で処理する場合、酸無水物
の蒸気圧は760mmHg未満、すなわち沸点未満の温
度で処理することが好ましい。凝固点以上、沸点以下の
温度で蒸気圧が0mmHgより大きければ、温度による
黄変防止効果に差は見られない。
【0034】本発明でいうポリアミド系繊維とは、ナイ
ロン6、ナイロン66、ナイロン12などからなる繊維
などのことをいう。また、繊維構造物とは、織編物、不
織布、綿などのことをいうがこれに限るものではない。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0036】実施例中および比較例中の黄変程度(ΔY
I)は下記の方法に従い、未染色布帛、染色布帛につい
て測定した。
【0037】なおYI値は多光源分光測色計(スガ試験
機株式会社)を使用し、C光源、視野2゜で測定した。
【0038】また、染色性に及ぼす影響として発色性
(L値)についても同測定機を使用して測定した。
【0039】[黄変程度(ΔYI)の測定] 1.布帛のYI値を測定する。
【0040】2.布帛を0.5wt%バニリン/エタノ
ール溶液に布帛を浸漬し、ろ紙にはさんで余剰液を吸取
り、風乾後、150℃×1min熱処理を行なう。
【0041】3.熱処理後の布帛のYI値を測定す
る。
【0042】4.YI値からYI値を引き算し、Δ
YIとした。ΔYIが1未満のものを耐黄性ポリアミド
系繊維構造物とした。
【0043】[発色性(L値)の測定] 1.JIS L 0803に規定されている次の標準布
帛を染色し、L値を測定する。
【0044】ナイロンタフタ 原糸:たて 70D、よこ 70D 織密度:たて 214本/5cm、よこ 150本/5
cm 目付:70±5g/m2 2.評価布帛の染色後のL値を測定する。
【0045】3.L値からL値を引き算し、ΔLと
した。
【0046】なお、染色条件は以下の通りである。
【0047】染料:カヤノール ミル ブラック TL
R(Kayanol Mill Black TLR) 濃度:5%owf 浴比:1:20 温度×時間:98℃×60min pH:4(酢酸調整) 実施例1〜10、比較例1〜4に用いた布帛は下記の方
法で作製した。
【0048】[布帛]直延伸法により収縮率9%、50
デニール/17フィラメントのナイロン6セミダル糸を
紡糸し、縦編機でトリコット地布帛を編成した。
【0049】[実施例1]無水酢酸10gを2L−セパ
ラルフラスコに入れ、上記布帛の生機(15cm×10
cm)をフラスコ中に釣下げた。同フラスコを60℃で
15分処理を行なった。処理布帛のΔYI、ΔL、染色
後のΔYIを求めた。この評価結果を表1に示した。Δ
YIは0.4、ΔLは−4.2、染色後のΔYIは0.
2であり、黄変防止性の高い生機の耐黄変性ポリアミド
系繊維構造物が得られた。
【0050】
【表1】 [実施例2]無水酢酸10gを2L−セパラルフラスコ
に入れ、上記布帛の生機(15cm×10cm)をフラ
スコ中に釣下げた。同フラスコを60℃で15分処理を
行なった。処理後、布帛をサンデット29(0.5g/l)、
芒硝(0.5g/l)を溶かした60℃の水溶液中で20分間
精練を行なった。精練後の布帛のΔYI、ΔL、染色後
のΔYIを求めた。この評価結果を併せて表1に示し
た。表1に示すように、精練後のΔYIが0.4、ΔL
が−4.2、染色後のΔYIが0.2であり、精練処
理、染色後も黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性
ポリアミド系繊維構造物が得られた。
【0051】[実施例3]無水酢酸10gを2L−セパ
ラルフラスコに入れ、上記布帛の生機(15cm×10
cm)をフラスコ中に釣下げた。同フラスコを140℃
で3分間処理を行なった。処理後、布帛をサンデット2
9(0.5g/l)、芒硝(0.5g/l)を溶かした60℃の水溶
液中で20分間精練を行なった。精練後の布帛のΔY
I、ΔLを求めた。この評価結果を併せて表1に示し
た。表1に示すように、精練後のΔYIが0.2、ΔL
が−3.4、染色後のΔYIが0.1であり、精練処
理、染色後も黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性
ポリアミド系繊維構造物が得られた。
【0052】[実施例4]無水酢酸10gを2L−セパ
ラルフラスコに入れ、上記布帛の生機(15cm×10
cm)をフラスコ中に釣下げた。同フラスコを80℃で
10分処理を行なった。処理後、50℃で湯洗し、12
0℃、2分間乾燥した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、
染色後のΔYIを求めた。この評価結果を併せて表1に
示した。
【0053】表1に示すように、ΔYIが0.4、ΔL
が−3.5、染色後のΔYIが0.2であり、染色後も
黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系
繊維構造物が得られた。
【0054】[実施例5]無水酢酸10gを2L−セパ
ラルフラスコに入れ、上記布帛の生機(15cm×10
cm)をフラスコ中に釣下げた。同フラスコを80℃で
10分処理を行なった。処理後、布帛をサンデット29
(0.5g/l)、芒硝(0.5g/l)を溶かした60℃の水溶液
中で20分、精練を行なった。精練後の布帛のΔYI、
ΔL、染色後のΔYIを求めた。この評価結果を併せて
表1に示した。
【0055】表1に示すように、ΔYIが0.4、ΔL
が−3.5、染色後のΔYIが0.2であり、精練処
理、染色後も黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性
ポリアミド系繊維構造物が得られた。
【0056】[実施例6]無水酢酸10gを2L−セパ
ラルフラスコに入れ、上記布帛の生機(15cm×10
cm)をフラスコ中に釣下げた。同フラスコを100℃
で3分処理を行なった。処理後、50℃で湯洗し、12
0℃、2分間乾燥した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、
染色後のΔYIを求めた。この評価結果を併せて表1に
示した。
【0057】表1に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が−3.8、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も
黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系
繊維構造物が得られた。
【0058】[実施例7]無水酢酸10gを2L−セパ
ラルフラスコに入れ、上記布帛の生機(15cm×10
cm)をフラスコ中に釣下げた。同フラスコを120℃
で1分処理を行なった。処理後、50℃で湯洗し、12
0℃、2分間乾燥した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、
染色後のΔYIを求めた。この評価結果を併せて表1に
示した。
【0059】表1に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が−3.8、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も
黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系
繊維構造物が得られた。
【0060】[実施例8]無水酢酸10gを2L−セパ
ラルフラスコに入れ、上記布帛の生機(15cm×10
cm)をフラスコ中に釣下げた。同フラスコを140℃
で1分処理を行なった。処理後、50℃で湯洗し、12
0℃、2分間乾燥した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、
染色後のΔYIを求めた。この評価結果を併せて表1に
示した。
【0061】表1に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が−3.4、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も
黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系
繊維構造物が得られた。
【0062】[実施例9]無水酢酸100gを2L−セ
パラルフラスコに入れ、上記布帛の生機(15cm×1
0cm)を浸漬する。同フラスコを60℃で10分処理
を行なった。処理後、50℃で湯洗し、120℃、2分
間乾燥した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔ
YIを求めた。この評価結果を併せて表1に示した。
【0063】表1に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が−3.8、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も
黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系
繊維構造物が得られた。
【0064】[実施例10]無水酢酸が付着率30%と
なるように、上記布帛の生機(15cm×10cm)に
スプレーし、140℃で1分間熱処理を行なった。処理
後、50℃で湯洗し、120℃、2分間乾燥した。乾燥
後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを求めた。こ
の評価結果を併せて表1に示した。
【0065】表1に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が−3.4、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も
黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系
繊維構造物が得られた。
【0066】[比較例1]上記布帛の生機(15cm×
10cm)をサンデット29(0.5g/l)、芒硝(0.5g/
l)を溶かした60℃の水溶液中で20分、精練を行な
った。精練後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを
求めた。この評価結果を併せて表1に示した。
【0067】表1に示すように、ΔYIが15.8、Δ
Lが−4.4、染色後のΔYIが12.3であり、酸無
水物処理を施していないため黄変防止性に劣ったものと
なった。
【0068】[比較例2]上記布帛の生機(15cm×
10cm)をサンデット29(0.5g/l)、芒硝(0.5g/
l)を溶かした60℃の水溶液中で20分、精練を行な
った。精練後、黄変防止剤であるY500(吉村興産株
式会社製)を用いて次の条件で処理し、湯洗、風乾し
た。
【0069】処理濃度=1.5%owf 浴比=1:20 処理温度×時間=95℃×30min pH=3(酢酸調整) 風乾後、ΔYI、ΔL、染色後のΔYIを求めた。この
評価結果を併せて表1に示した。
【0070】酸無水物処理でなく、イオン結合による黄
変防止であるため、末端アミノ基の封鎖性が低く、また
染色によりさらに黄変防止性が劣ったものとなった。
【0071】[比較例3]上記布帛の生機(15cm×
10cm)をサンデット29(0.5g/l)、芒硝(0.5g/
l)を溶かした60℃の水溶液中で20分、精練を行な
った。精練後、無水酢酸の2%メタノール溶液に浸漬
し、常温で10分間処理した。処理後、50℃で湯洗
し、120℃、2分間乾燥した。乾燥後の布帛のΔY
I、ΔL、染色後のΔYIを求めた。この評価結果を併
せて表1に示した。
【0072】酸無水物の溶液による処理を施したため染
色性に劣ったものとなった。
【0073】[比較例4]上記布帛の生機(15cm×
10cm)をサンデット29(0.5g/l)、芒硝(0.5g/
l)を溶かした60℃の水溶液中で20分、精練を行な
った。精練後、無水酢酸の1%水溶液液に浸漬し、40
℃で10分間処理した。処理後、50℃で湯洗し、12
0℃、2分間乾燥した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、
染色後のΔYIを求めた。この評価結果を併せて表1に
示した。酸無水物の水溶液による処理を施したため染色
性に劣ったものとなった。
【0074】[実施例11]無水酢酸10gを2L−セ
パラルフラスコに入れ、JIS L 0803に規定さ
れている布帛の生機(15cm×10cm)をフラスコ
中に釣下げた。同フラスコを60℃で15分処理を行な
った。処理布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを求め
た。この評価結果を表2に示した。ΔYIは0.4、Δ
Lは0.2、染色後のΔYIは0.2であり、黄変防止
性の高い生機の耐黄変性ポリアミド系繊維構造物が得ら
れた。
【0075】
【表2】 [実施例12]無水酢酸10gを2L−セパラルフラス
コに入れ、JIS L 0803に規定されている布帛
の生機(15cm×10cm)をフラスコ中に釣下げ
た。同フラスコを60℃で15分処理を行なった。処理
後、布帛をサンデット29(0.5g/l)、芒硝(0.5g/l)
を溶かした60℃の水溶液中で20分間精練を行なっ
た。精練後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを求
めた。この評価結果を併せて表2に示した。表2に示す
ように、精練後のΔYIが0.4、ΔLが0.2、染色
後のΔYIが0.2であり、精練処理、染色後も黄変防
止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系繊維構
造物が得られた。
【0076】[実施例13]無水酢酸10gを2L−セ
パラルフラスコに入れ、JIS L 0803に規定さ
れている布帛の生機(15cm×10cm)をフラスコ
中に釣下げた。同フラスコを140℃で3分間処理を行
なった。処理後、布帛をサンデット29(0.5g/l)、芒
硝(0.5g/l)を溶かした60℃の水溶液中で20分間精
練を行なった。精練後の布帛のΔYI、ΔLを求めた。
この評価結果を併せて表2に示した。表2に示すよう
に、精練後のΔYIが0.2、ΔLが1.0、染色後の
ΔYIが0.1であり、精練処理、染色後も黄変防止性
が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系繊維構造物
が得られた。
【0077】[実施例14]無水酢酸10gを2L−セ
パラルフラスコに入れ、JIS L 0803に規定さ
れている布帛の生機(15cm×10cm)をフラスコ
中に釣下げた。同フラスコを80℃で10分処理を行な
った。処理後、50℃で湯洗し、120℃、2分間乾燥
した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを
求めた。この評価結果を併せて表2に示した。
【0078】表2に示すように、ΔYIが0.4、ΔL
が0.9、染色後のΔYIが0.2であり、染色後も黄
変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系繊
維構造物が得られた。
【0079】[実施例15]無水酢酸10gを2L−セ
パラルフラスコに入れ、JIS L 0803に規定さ
れている布帛の生機(15cm×10cm)をフラスコ
中に釣下げた。同フラスコを80℃で10分処理を行な
った。処理後、布帛をサンデット29(0.5g/l)、芒硝
(0.5g/l)を溶かした60℃の水溶液中で20分、精練
を行なった。精練後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔ
YIを求めた。この評価結果を併せて表2に示した。
【0080】表2に示すように、ΔYIが0.4、ΔL
が0.9、染色後のΔYIが0.2であり、精練処理、
染色後も黄変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリ
アミド系繊維構造物が得られた。
【0081】[実施例16]無水酢酸10gを2L−セ
パラルフラスコに入れ、JIS L 0803に規定さ
れている布帛の生機(15cm×10cm)をフラスコ
中に釣下げた。同フラスコを100℃で3分処理を行な
った。処理後、50℃で湯洗し、120℃、2分間乾燥
した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを
求めた。この評価結果を併せて表2に示した。
【0082】表2に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が0.6、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も黄
変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系繊
維構造物が得られた。
【0083】[実施例17]無水酢酸10gを2L−セ
パラルフラスコに入れ、JIS L 0803に規定さ
れている布帛の生機(15cm×10cm)をフラスコ
中に釣下げた。同フラスコを120℃で1分処理を行な
った。処理後、50℃で湯洗し、120℃、2分間乾燥
した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを
求めた。この評価結果を併せて表2に示した。
【0084】表2に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が0.6、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も黄
変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系繊
維構造物が得られた。
【0085】[実施例18]無水酢酸10gを2L−セ
パラルフラスコに入れ、JIS L 0803に規定さ
れている布帛の生機(15cm×10cm)をフラスコ
中に釣下げた。同フラスコを140℃で1分処理を行な
った。処理後、50℃で湯洗し、120℃、2分間乾燥
した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを
求めた。この評価結果を併せて表2に示した。
【0086】表2に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が1.0、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も黄
変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系繊
維構造物が得られた。
【0087】[実施例19]無水酢酸100gを2L−
セパラルフラスコに入れ、JIS L 0803に規定
されている布帛の生機(15cm×10cm)を浸漬す
る。同フラスコを60℃で10分処理を行なった。処理
後、50℃で湯洗し、120℃、2分間乾燥した。乾燥
後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを求めた。こ
の評価結果を併せて表2に示した。
【0088】表2に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が0.6、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も黄
変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系繊
維構造物が得られた。
【0089】[実施例20]無水酢酸が付着率30%と
なるように、JIS L 0803に規定されている布
帛の生機(15cm×10cm)にスプレーし、140
℃で1分間熱処理を行なった。処理後、50℃で湯洗
し、120℃、2分間乾燥した。乾燥後の布帛のΔY
I、ΔL、染色後のΔYIを求めた。この評価結果を併
せて表2に示した。
【0090】表2に示すように、ΔYIが0.2、ΔL
が1.0、染色後のΔYIが0.1であり、染色後も黄
変防止性が高く、染色性良好な耐黄変性ポリアミド系繊
維構造物が得られた。
【0091】[比較例5]JIS L 0803に規定
されている布帛の生機(15cm×10cm)をサンデ
ット29(0.5g/l)、芒硝(0.5g/l)を溶かした60℃
の水溶液中で20分、精練を行なった。精練後の布帛の
ΔYI、染色後のΔYIを求めた。この評価結果を併せ
て表2に示した。
【0092】表2に示すように、ΔYIが15.8、染
色後のΔYIが12.3であり、酸無水物処理を施して
いないため黄変防止性に劣ったものとなった。
【0093】[比較例6]JIS L 0803に規定
されている布帛の生機(15cm×10cm)をサンデ
ット29(0.5g/l)、芒硝(0.5g/l)を溶かした60℃
の水溶液中で20分、精練を行なった。精練後、黄変防
止剤であるY500(吉村興産株式会社製)を用いて次
の条件で処理し、湯洗、風乾した。
【0094】処理濃度=1.5%owf 浴比=1:20 処理温度×時間=95℃×30min pH=3(酢酸調整) 風乾後、ΔYI、ΔL、染色後のΔYIを求めた。この
評価結果を併せて表2に示した。
【0095】酸無水物処理でなく、イオン結合による黄
変防止であるため、末端アミノ基の封鎖性が低く、また
染色によりさらに黄変防止性が劣ったものとなった。
【0096】[比較例7]JIS L 0803に規定
されている布帛の生機(15cm×10cm)をサンデ
ット29(0.5g/l)、芒硝(0.5g/l)を溶かした60℃
の水溶液中で20分、精練を行なった。精練後、無水酢
酸の2%メタノール溶液に浸漬し、常温で10分間処理
した。処理後、50℃で湯洗し、120℃、2分間乾燥
した。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを
求めた。この評価結果を併せて表2に示した。
【0097】酸無水物の溶液による処理を施したため染
色性に劣ったものとなった。
【0098】[比較例8]JIS L 0803に規定
されている布帛の生機(15cm×10cm)をサンデ
ット29(0.5g/l)、芒硝(0.5g/l)を溶かした60℃
の水溶液中で20分、精練を行なった。精練後、無水酢
酸の1%水溶液液に浸漬し、40℃で10分間処理し
た。処理後、50℃で湯洗し、120℃、2分間乾燥し
た。乾燥後の布帛のΔYI、ΔL、染色後のΔYIを求
めた。この評価結果を併せて表2に示した。酸無水物の
水溶液による処理を施したため染色性に劣ったものとな
った。
【0099】
【発明の効果】本発明の耐黄変性ポリアミド系繊維構造
物は、優れた黄変防止効果を有し、また、耐久性も優れ
たものである。
【0100】本発明の方法によればポリアミド系繊維構
造物に後加工で生機にも簡単に耐黄変性処理ができ、保
管中の黄変にも効果があり、精練、染色後も効果は維持
され、染色にも影響を与えないものである。しかも、工
程の安全性も高く、低コストで製造することが可能で、
すべてのポリアミド系繊維に適応することが可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−272270(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/00 - 13/535

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミド系繊維構造物のバニリンによる
    黄変が0.1≦ΔYI<1であり、かつ染色による発色
    性が、−5<ΔL<5であることを特徴とする耐黄変性
    ポリアミド系繊維構造物。
  2. 【請求項2】酸無水物の気相および/または液相により
    ポリアミド系繊維構造物を処理することを特徴とする耐
    黄変性ポリアミド系繊維構造物の製造方法。
  3. 【請求項3】酸無水物が無水酢酸であることを特徴とす
    る請求項に記載の耐黄変性ポリアミド系繊維構造物の
    製造方法。
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