JP3266307B2 - 編成車両における車体傾斜制御システム - Google Patents

編成車両における車体傾斜制御システム

Info

Publication number
JP3266307B2
JP3266307B2 JP11635992A JP11635992A JP3266307B2 JP 3266307 B2 JP3266307 B2 JP 3266307B2 JP 11635992 A JP11635992 A JP 11635992A JP 11635992 A JP11635992 A JP 11635992A JP 3266307 B2 JP3266307 B2 JP 3266307B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
curve
control
tilt
command
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11635992A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05310125A (ja
Inventor
幸三 河西
幸博 渡辺
知都 胡桃澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sharyo Ltd
Original Assignee
Nippon Sharyo Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sharyo Ltd filed Critical Nippon Sharyo Ltd
Priority to JP11635992A priority Critical patent/JP3266307B2/ja
Publication of JPH05310125A publication Critical patent/JPH05310125A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3266307B2 publication Critical patent/JP3266307B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は編成車両における車体傾
斜制御システムに係り、特に連続する曲線間隔が編成車
両長よりも短い場合においても好適な傾斜制御が行える
車体傾斜制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両が曲線路を通過する場
合、高速度で通過でき、また乗客の乗心地をよくするた
めに軌道の曲線部分にカントを施し、さらにいわゆる制
御付振子装置を車両に備えて車体傾斜を行う車体傾斜制
御が知られている。この車体傾斜制御システムを複数の
車両からなる編成車両に適用した場合の一般的構成を説
明する。
【0003】編成の例えば先頭車両には、走行中に曲線
位置を検知して編成車両全体の車体傾斜制御を総括する
ための指令制御装置が搭載される。また、各車両(もち
ろん先頭車両を含む)には、指令制御装置からの指令を
受けて振子装置を作動させ、車両毎の車体傾斜を制御す
る傾斜制御装置がそれぞれ搭載される。
【0004】指令制御装置と各傾斜制御装置とはそれぞ
れ通信線で接続されており、個別に傾斜指令を伝送でき
るようにされている。実際の車体傾斜制御時には、指令
制御装置が、ATS地上子から得た位置情報を基にして
曲線の一定距離(例えば20〜50m)手前の位置を検
知し、この地点を各車両が通過する際に、編成の先頭車
両から順次時間をずらせて各車両の傾斜制御装置に傾斜
タイミング指令と曲線データ(曲線の向き、曲線半径、
曲線長さ、カント量など)とをそれぞれ送る。
【0005】各車両の傾斜制御装置は、傾斜タイミング
指令を受信すると、走行距離算出手段の算出値をリセッ
トしてこの制御開始点からの相対距離を基準として傾斜
制御を行う。具体的には、次にくる曲線のデータと走行
速度等を加味して所定の制御指令量を演算し、振子装置
を作動させて車体傾斜を行わせる。即ち、各傾斜制御装
置は、上述した「制御開始点での算出値リセット→傾斜
制御→制御終了」という一連の制御を繰り返していた。
このように、各車両個別に傾斜タイミング指令を送って
傾斜制御を行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数の
車両が連結された編成車両の場合、連続する曲線の間隔
がその編成車両長より短い場合がある。その場合、従来
のものでは、例えば2番目の曲線に対する先頭車両への
開始指令と1番目の曲線に対する2番目以降の車両への
開始指令の伝達タイミングとが重なってしまい、指令の
受信が遅れてしまう可能性がある。特に編成数が多く、
また連続する曲線数も多い場合には、指令伝達タイミン
グの重なりによる遅れが顕著になる。
【0007】上述した不都合は、各車両個別に、所定位
置での傾斜タイミング指令を送っているために生じるも
のである。従って、開始指令を全車両に対して一度に伝
送してしまい、後は各車両において個別に距離を演算
し、所定位置にさしかかったら各車両毎に傾斜制御させ
るようにすることも考えられる。
【0008】例えば、曲線に対する先頭車両の位置を基
準として指令制御装置が一度に各車両の傾斜制御装置に
傾斜タイミング指令を送る。各車両の傾斜制御装置は、
傾斜タイミング指令を受信するとその時点で走行距離算
出手段の算出値をリセットしてから走行距離を算出し始
め、算出値を参照してそれぞれ該当する位置(編成の何
番目に位置するか等により各車両毎異なる。)にきたこ
とを判断し、実際の傾斜を行わせるようにするというも
のである。
【0009】しかし、このように傾斜タイミング指令を
全車両に対して一度に伝送する場合にも、上述したよう
に、連続する曲線の間隔がその編成車両長より短い場合
には、次のような不都合が生じる。例えば、先頭車両が
1番目の曲線に対する傾斜制御を終えて2番目の曲線の
手前にさしかかった際、指令制御装置が一度に各車両の
傾斜制御装置に傾斜タイミング指令を送る。このとき、
後続の車両においては、まだ1番目の曲線に対する傾斜
制御が始まってなかったり、制御の途中である可能性も
あるが、その場合においても各車両の走行距離算出手段
の算出値がリセットされてしまう。従って、1番目の曲
線に対する傾斜制御のために算出していた走行距離が、
その制御に用いられない内にリセットされてしまうため
に傾斜制御自体が実行できなくなってしまう車両がでて
きてしまうという不都合が生じるのである。
【0010】そこで本発明は上記の課題を解決すること
を目的とし、開始指令を一括伝送可能でありながら、連
続する曲線間隔が編成車両長よりも短い場合においても
各車両においてそれぞれ該当する曲線に対する好適な傾
斜制御が行える車体傾斜制御システムを提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明の編成車両における車体傾斜制御システム
は、振子装置を介して車体を支持した車両を複数編成し
た編成車両に搭載され、曲線位置を検知して上記編成車
両全体の車体傾斜制御を総括するための指令制御装置を
備えると共に、各車両は、リセット指令が入力される
と、その入力時点からの車両の走行距離を算出する走行
距離算出手段を有し、当該走行距離算出手段の算出値に
基づき、所定位置より上記振子装置を制御して車体傾斜
を行わせる傾斜制御装置をそれぞれ備えた編成車両にお
ける車体傾斜制御システムにおいて、上記指令制御装置
は、上記編成車両が曲線から所定距離だけ手前に位置し
たとき、傾斜制御の開始を指示する傾斜タイミング指令
を上記各傾斜制御装置に対して一度に出力する指令出力
手段を備え、上記各傾斜制御装置は、上記傾斜タイミン
グ指令の入力時に、その指令に対応する曲線より前の曲
線に対する傾斜制御が終了したか否かを判断し、終了し
ていれば上記走行距離算出手段に対してリセット指令を
出し、未終了であればその時点での算出値を記憶値とし
て記憶しておく第1の算出値制御手段と、上記傾斜制御
の終了時に上記記憶値がある場合には、最先に記憶され
た上記記憶値を現在の算出値から減算してプリセットす
る第2の算出値制御手段と、を備えたことを特徴とす
る。
【0012】
【作用】前記構成を有する本発明の編成車両における車
体傾斜制御システムによれば、編成車両全体の車体傾斜
制御を総括するための指令制御装置においては、指令出
力手段により、編成車両が曲線から所定距離だけ手前に
位置したとき、傾斜制御の開始を指示する傾斜タイミン
グ指令が各傾斜制御装置に対して一度に出力される。
【0013】一方、各傾斜制御装置においては、第1
算出値制御手段により、傾斜タイミング指令の入力時に
その指令に対応する曲線より前の曲線に対する傾斜制御
が終了したか否かを判断し、終了していれば走行距離算
出手段の算出値をリセットし、未終了であればその時点
での算出値を記憶値として記憶しておく。そして、第2
の算出値制御手段により、傾斜制御の終了時に記憶値が
ある場合には、最先に記憶された記憶値を現在の算出
から減算してプリセットする。
【0014】そして、各傾斜制御装置は、それぞれの持
走行距離算出手段の算出値に基づき、所定位置より各
車両毎に設けられた振子装置を制御して車体傾斜を行わ
せる。このように、傾斜タイミング指令の入力時にそれ
以前の曲線に対する傾斜制御が終了していない場合にで
も、その時点での算出値を記憶値として記憶した上で
行距離の算出を続ける。従って、上述したように連続す
る曲線の間隔がその編成車両長より短く、例えば先頭車
両は2番目の曲線にさしかかっているが、後尾の車両に
おいてはまだ1番目の曲線に対する傾斜制御が行われて
いない場合にでも、その1番目の曲線に対する傾斜制御
のために算出していた算出値が制御に用いられない内に
リセットされてしまうことがない。
【0015】また、傾斜制御の終了時には、最先に記憶
された記憶値を現在の算出値から減算してプリセットし
ていく。従って、これから傾斜制御しようとする曲線に
対応する例えば制御開始位置の判断や曲線データと実際
の位置との対応を取るために用いられる算出値は、常
に、対応する傾斜タイミング指令が入力した時点からの
走行距離を示す値となり、各車両においてそれぞれ該当
する曲線に対する好適な傾斜制御が行える。
【0016】
【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。図1は、本発明の一実施例である車体傾斜制
御システムの概略構成を示すブロック図である。本シス
テムは後述する振子装置を介して車体を支持した車両を
複数編成した編成車両に搭載されるものであるので、最
初に振子装置の説明を簡単に説明しておく。
【0017】本発明に使用される振子装置はいわゆる制
御付振子方式であり、例えば、台車のコロ式自然振子装
置に車体傾斜角制御用の空気シリンダ40を取り付けた
もの等が用いられる。この場合には、装置の小型化とコ
スト低減のため車体傾斜には遠心力を有効に利用でき
る。また万一、制御装置が動作不能となっても直ちにコ
ロ式自然振子方式に切り替えることができ、安全上問題
のないようにできる。
【0018】本実施例では、このような振子装置を備え
た車両が8両連結された編成車両について以下の説明を
続けていく。なお、便宜上先頭車両から順番に1号車V
1、2号車V2、…と表し、最後尾車を8号車V8と表
す。1号車V1には、走行中に曲線位置を検知して編成
車両全体の車体傾斜制御を総括するための指令制御装置
(Master Controller )MCが配備され、1号車V1
〜8号車V8には、指令制御装置MCからの指令を受け
てそれぞれ対応する振子装置を作動させ、車両毎の車体
傾斜を制御する傾斜制御装置(Sub Controller )S
C1〜SC8(SCの後の番号が車両番号に対応す
る。)がそれぞれ配備されている。なお、図1には8号
車V8の傾斜制御装置SC8のみ示す。
【0019】指令制御装置MCは、ATS地上子の位置
情報を記憶しておく地点情報記憶手段11、曲線情報記
憶手段13、地点検知手段15、指令出力手段17を備
えている。曲線情報記憶手段13には、走行線区の全曲
線情報(曲線番号,起点とするATS地上子番号,AT
S地上子と曲線入口までの距離,曲線の向き,緩和曲線
と円曲線の長さ,曲線半径,カント量など)が記憶され
ている。
【0020】また、地点検知手段15は、ATS車上子
21、ATS受信器23を介してATS地上子の存在を
検知すると共に、車軸に取り付けた速度発電機TGから
のパルス信号を入力し、上記地点情報記憶手段11内の
位置情報に基づいて現在位置を検知するものである。
【0021】指令出力手段17は、曲線情報記憶手段1
3からは曲線情報を入力し、地点検知手段15からは現
在位置を入力して、曲線の所定手前位置、本実施例では
各緩和曲線の入口から50m手前の地点を通過した際
に、各傾斜制御装置SC1〜SC8に対して傾斜タイミ
ング指令を送るものである。
【0022】一方、上記指令出力手段17から送られた
傾斜タイミング指令と曲線情報は、各傾斜制御装置SC
1〜SC8の傾斜制御手段31に入力される。この傾斜
制御手段31は送られた曲線情報を一時記憶しておくメ
モリ(図示せず)を持ち、所定の曲線情報に基づいて、
空気圧シリンダ40に指令を出して車体傾斜角を制御可
能にされている。
【0023】また各傾斜制御装置SC1〜SC8は、各
車両V1〜V8に設けられた速度発電機TGからのパル
ス信号を入力して相対距離に応じた積算値をカウントす
る積算カウンタ33を備えている。そして、先頭の1号
車V1以外の車両V2〜V8の傾斜制御装置SC2〜S
C8には、後述するカウンタ記憶値を記憶しておくカウ
ンタ値記憶手段35を備えている。
【0024】次に、こうして構成された本実施例の車体
傾斜制御システムにおける作動について説明する。ここ
では連続する曲線の間隔がその編成車両長より短い場
合、特に図2に示すように、第1曲線の終了点から第3
曲線の開始点までの距離が編成車両長よりも短い場合を
例にとって以下の説明を進める。なお、図2には、実際
の路線上位置における先頭の1号車V1と最後尾の8号
車V8の積算カウンタの距離積算値を示す。
【0025】走行中、指令出力手段17は地点検知手段
15から現在位置を入力し、本実施例では、各曲線の緩
和曲線の入口から50m手前の地点を通過した際に、各
傾斜制御装置SC1〜SC8に対して一度に傾斜タイミ
ング指令を送る。各傾斜制御装置SC1〜SC8の傾斜
制御手段31において実行される制御処理を図3及び図
4を参照して説明する。
【0026】カウンタ値制御ルーチン(図3)に示すよ
うに、傾斜タイミング指令が入力されるのを待ち(ステ
ップ100)、入力されると前回の傾斜制御が終了した
か否かを判断する(ステップ110)。そして、前回の
傾斜制御が終了していれば積算カウンタ33の値を
「0」にプリセットして(ステップ120)、ステップ
100に戻り以下の処理を繰り返す。なお、1号車V1
はカウンタ値記憶手段35を備えておらず、また前回の
傾斜制御が終了しない内に次の傾斜タイミング指令が入
力されることはないので、必ずステップ120の処理に
移行する。
【0027】また、前回の傾斜制御が終了していなけれ
ば、その時点でのカウンタ値をカウンタ記憶値としてカ
ウンタ値記憶手段35に保存し(ステップ130)、ス
テップ100に戻る。カウンタ記憶値については後で詳
述する。一方、上記カウンタ値制御ルーチンとは別ルー
チンの傾斜制御ルーチン(図4)に示すように、積算カ
ウンタ33より距離積算値を読み出して(ステップ20
0)、制御開始位置に到達したか否かを判断する(ステ
ップ210)。この制御開始位置は、実際に車体を傾斜
させる位置であり、本実施例では、各緩和曲線入口の5
0m手前を制御開始位置としている。1号車V1〜8号
車V8までそれぞれ各車両長さ分づつ後方に位置するこ
とになるので、緩和曲線入口の50m手前であることを
判断する距離積算値も、各車両分づつ大きくなる。
【0028】制御開始位置に到達したら、空気圧シリン
ダ40に指令を出して傾斜制御を開始する(ステップ2
20)。この車体傾斜制御は、台車に取り付けた図示し
ない振子角変位計からの信号をフィードバックさせ、時
々刻々(例えば50ms毎)行うことにより、車体の傾
斜角を走行速度の変化に合わせて修正するようにしてい
る。
【0029】そして、曲線を通過して傾斜制御が終了し
たら(ステップ230:YES)、カウンタ値記憶手段
35の記憶状態を参照し(ステップ240)、カウンタ
記憶値があるか否かを判断する(ステップ250)。カ
ウンタ記憶値がない場合には、以下の処理を行うことな
くステップ200に戻り以下の処理を繰り返す。
【0030】1号車V1(即ちここでは先頭車を意味す
る。)の傾斜制御装置SC1の場合は、上述したよう
に、1つの曲線に対する傾斜制御が終了しない内に次の
曲線に対する傾斜タイミング指令が傾斜制御手段31に
入力されることはないので、上述した積算値制御ルーチ
ンのステップ120において常に積算カウンタ33が
「0」にプリセットされる。そのため、1号車V1にお
ける傾斜制御ルーチンでは、常にステップ250におい
てカウンタ記憶値なしと判断され、ステップ260,以
降の処理は実行しない。
【0031】従って、図2に示すように、1号車V1の
積算カウンタ33は、位置d11で第1曲線に対する傾斜
タイミング指令が入力することによりリセットされて
(ステップ120)、「0」からカウントし始め、次
に、位置d12で第2曲線に対する傾斜タイミング指令が
入力するまでそのままカウントし続ける。そして、位置
d12でリセットされ、また「0」からカウントし始め
る。同様に、位置d13で第3曲線に対する傾斜タイミン
グ指令が入力することによりリセットされる。
【0032】一方、例えば1号車V1が第2曲線にさし
かかっているのに、後続の車両ではまだ第1曲線に対す
る制御開始位置にきていない場合がある。その例とし
て、最後尾の8号車での制御を説明する。まず、8号車
V8においてカウンタ記憶値が保存される状況を説明す
る。図2に示すように、位置d81で第1曲線に対する傾
斜タイミング指令が入力することによりリセットされて
(ステップ120)、「0」からカウントし始める。傾
斜タイミング指令が入力するのは車両V1〜V8の区別
なく同時であるので、1号車V1の積算カウンタ33が
位置d11でリセットされるのと、8号車V8の積算カウ
ンタ33が位置d81でリセットされるのとは同時であ
る。
【0033】そして、1号車V1の第1曲線に対する傾
斜制御が終了し(ステップ230)、次の傾斜タイミン
グ指令(即ち第2曲線に対する指令)が入力されるのを
待つ(ステップ100)。そして、位置d12に到達する
と、傾斜タイミング指令が各傾斜制御装置SC1〜SC
8の傾斜制御手段31に入力される。
【0034】このとき、8号車V8は、まだ第1曲線の
制御開始位置に到達していないので(ステップ210:
NO)、第2曲線に対する傾斜タイミング指令に対する
前回の(即ち第1曲線に対する)傾斜制御が終了してい
ないと判断される(ステップ110:NO)。そして、
その時点でのカウンタ値X1がカウンタ記憶値としてカ
ウンタ値記憶手段35に保存される(ステップ13
0)。
【0035】さらに、位置d13に到達すると第3曲線に
対する傾斜タイミング指令が各傾斜制御装置SC1〜S
C8の傾斜制御手段31に入力されるが、8号車V8は
まだ第1曲線の制御開始位置に到達していない。そのた
め、第3曲線に対する傾斜タイミング指令が入力された
時点でのカウンタ値X2がカウンタ記憶値としてカウン
タ値記憶手段35に保存される。
【0036】こうして2つのカウンタ記憶値X1,X2
を保存した状態で、第1曲線に対する制御位置に到達し
たら傾斜制御を開始し(ステップ210,220)、図
2中の位置d91で傾斜制御が終了したらカウンタ値記憶
手段35の記憶状態を参照する(ステップ230,24
0)。この場合、2つのカウンタ記憶値X1,X2が存
在するので(ステップ250:YES)、第1曲線に対
する傾斜タイミング指令が入力された時点で0からカウ
ントし始めた積算カウンタ33の値からカウンタ記憶値
X1が減算される(ステップ260)。
【0037】カウンタ記憶値X1は、第2曲線に対する
傾斜タイミング指令が入力された時点でのカウンタ値で
あるので、減算した後の距離積算値は、第2曲線に対す
る傾斜タイミング指令が入力された時点(図2中の位置
d82)で「0」からカウントし始めた値となる。
【0038】そして、カウンタ記憶値のシフト処理を行
ってから(ステップ270)、ステップ200に戻る。
このカウンタ記憶値のシフト処理により、本実施例で
は、カウンタ記憶値X2からカウンタ記憶値X1を減算
した値(=X2−X1)を新しいカウンタ記憶値X1と
して更新し再保存させる。なお、カウンタ記憶値X2は
なくなる。
【0039】ステップ260で減算した後の距離積算値
を読み出し(ステップ200)、その距離積算値に基づ
いて第2曲線に対する制御開始位置に到達したことを判
断すると(ステップ210)、第2曲線に対する傾斜制
御が開始される(ステップ220)。そして、図2中の
位置d92で傾斜制御が終了したらカウンタ値記憶手段3
5の記憶状態を参照する(ステップ230,240)。
【0040】この場合、上記したステップ270のシフ
ト処理で更新されたカウンタ記憶値X1が存在するので
(ステップ250:YES)、第2曲線に対する傾斜タ
イミング指令の入力時点(図2中の位置d82)で「0」
からカウントし始めた値と同じになる積算カウンタ33
の値から、その時点で記憶されているカウンタ記憶値X
1が減算される(ステップ260)。
【0041】このカウンタ記憶値X1は、第3曲線に対
する傾斜タイミング指令が入力された時点でのカウンタ
値であるので、減算した後の距離積算値は、第3曲線に
対する傾斜タイミング指令が入力された時点(図2中の
位置d83)で「0」からカウントし始めた値とみなせる
こととなる。そして、ステップ270でカウンタ記憶値
のシフト処理を行うと、この場合はカウンタ記憶値X1
しか存在していないので、カウンタ記憶値X1はなくな
る。
【0042】従って、第3曲線に対する傾斜制御終了後
はカウンタ記憶値はないので(ステップ250)、ステ
ップ260以下の処理は行わず、そのままカウンタ値を
積算していく。なお、その後曲線が近づくと傾斜タイミ
ング指令が入力されるが、図3の積算値制御ルーチンに
おけるステップ110において、前回の傾斜制御終了と
判断されるため、その時点で積算カウンタ33の値が
「0」にプリセットされて(ステップ120)、積算が
再開される。
【0043】なお、図3のカウンタ値制御ルーチンの処
理の実行が第1カウンタ値制御手段として働き、図4中
のステップ240〜270に示す処理の実行が第2カウ
ンタ値制御手段として働く。ここで、上述したカウンタ
記憶値のシフト処理を一般化して説明するため、図5に
示すように、初期状態では4つのカウンタ記憶値X1〜
X4が存在する場合を考える。例えば、1号車V1は第
5曲線にさしかかり、第5曲線に対する傾斜タイミング
指令が入力されたのに、8号車V8ではまだ第1曲線に
対する傾斜制御開始位置に到達していない場合である。
【0044】まず第1曲線に対する傾斜制御が終了する
と、上記ステップ260で示したように、積算カウンタ
33の値からカウンタ記憶値X1が減算される(図5中
に記号で示す)。それに伴い、ステップ270でのシ
フト処理は、以下の表1に示すカウンタ記憶値状態表中
の、記号で示す欄のように、カウンタ記憶値X2から
カウンタ記憶値X1を減算した値(=X2−X1)を新
しいカウンタ記憶値X1として更新して保存させる。
【0045】同様に、カウンタ記憶値X3からカウンタ
記憶値X1を減算した値(=X3−X1)を新しいカウ
ンタ記憶値X2とし、また、カウンタ記憶値X4からカ
ウンタ記憶値X1を減算した値(=X4−X1)を新し
いカウンタ記憶値X3として更新して保存させる。な
お、カウンタ記憶値X4はなくなる。
【0046】
【表1】
【0047】そして、次に第2曲線に対する傾斜制御が
終了すると、ステップ260において、積算カウンタ3
3の値からカウンタ記憶値状態表中に記号で示す欄中
のカウンタ記憶値X1が減算される(図5中に記号で
示す)。それに伴うステップ270でのシフト処理は、
記号で示す欄のように、カウンタ記憶値X2からカウ
ンタ記憶値X1を減算した値(=X2−X1)を新しい
カウンタ記憶値X1とし、カウンタ記憶値X3からカウ
ンタ記憶値X1を減算した値(=X3−X1)を新しい
カウンタ記憶値X2として更新しする。なお、カウンタ
記憶値X3はなくなる。
【0048】同様に、第3曲線に対する傾斜制御が終了
すると、ステップ260で、積算カウンタ33の値から
カウンタ記憶値状態表中に記号で示す欄中のカウンタ
記憶値X1が減算される(図5中に記号で示す)。そ
れに伴うステップ270でのシフト処理は、記号で示
す欄のように、カウンタ記憶値X2からカウンタ記憶値
X1を減算した値(=X2−X1)を新しいカウンタ記
憶値X1として更新する。なお、カウンタ記憶値X2は
なくなる。
【0049】その後、第4曲線に対する傾斜制御が終了
すると、ステップ260で、積算カウンタ33の値から
カウンタ記憶値状態表中に記号で示す欄中のカウンタ
記憶値X1が減算される(図5中に記号で示す)。ま
た、それに伴うステップ270でのシフト処理によりカ
ウンタ記憶値はなくなる。
【0050】このように、各傾斜制御装置SC1〜SC
8では、図3のカウンタ値制御ルーチンにより、傾斜タ
イミング指令の入力時にその指令に対応する曲線より前
の曲線に対する傾斜制御が終了したか否かを判断し、終
了していれば積算カウンタ33のカウンタ値をリセット
し、未終了であればその時点でのカウンタ値をカウンタ
記憶値として記憶しておく。
【0051】そして、傾斜制御の終了時にカウンタ記憶
値がある場合には、最先に記憶されたカウンタ記憶値X
1を現在のカウンタ値から減算してプリセットする(ス
テップ260)。そして、その減算してプリセットした
後の積算カウンタ33のカウンタ値に基づき制御開始位
置を判断し、車体傾斜を行わせる。
【0052】このように、傾斜タイミング指令の入力時
にそれ以前の曲線に対する傾斜制御が終了していない場
合にでも、その時点でのカウンタ値をカウンタ記憶値と
して記憶した上で積算を続ける。従って、上述したよう
に連続する曲線の間隔がその編成車両長より短い場合に
おいても、第1曲線に対する傾斜制御のために積算して
いたカウンタ値がその制御に用いられない内にリセット
されてしまうといった不都合は生じない。
【0053】また、傾斜制御の終了時には、上記表1に
示すように、最先に記憶されたカウンタ記憶値を現在の
カウンタ値から減算してプリセットしていく。従って、
これから傾斜制御しようとする曲線に対応する例えば制
御開始位置の判断や曲線データと実際の位置との対応を
取るために用いられるカウンタ値は、常に、対応する傾
斜タイミング指令が入力した時点からの積算値となり、
各車両においてそれぞれ該当する曲線に対する好適な傾
斜制御が行える。
【0054】一方、指令制御装置MCからは、編成車両
が曲線から所定距離だけ手前に位置したとき、傾斜制御
の開始を指示する傾斜タイミング指令が各傾斜制御装置
SC1〜SC8に対して一度に出力されるため、従来の
ような、指令伝達タイミングの重なりによる遅れという
不都合は生じない。
【0055】上述したように、本実施例の車体傾斜制御
システムによれば、開始指令を一括伝送可能でありなが
ら、連続する曲線間隔が編成車両長よりも短い場合にお
いても各車両V1〜V8においてそれぞれ該当する曲線
に対する好適な傾斜制御が行えるという効果を奏する。
【0056】以上本発明はこの様な実施例に何等限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にお
いて種々なる態様で実施し得る。上記実施例では、1号
車V1が常に先頭車両となるため、1号車の傾斜制御手
段SC1にはカウンタ値記憶手段35が不要であった。
しかし、例えば、路線の上りでは1号車V1が先頭車
両、逆に下りでは8号車V8が先頭車両となるように走
行させる場合には、1号車V1の傾斜制御装置SC1に
もカウンタ値記憶手段35を設けて、上り・下り両方に
対応できるようにするとよい。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の編成車両に
おける車体傾斜制御システムによれば、傾斜タイミング
指令が各傾斜制御装置に対して一度に出力され、各傾斜
制御装置においては、傾斜タイミング指令の入力時にそ
れ以前の曲線に対する傾斜制御が終了していない場合に
でも、その時点での算出値を記憶値として記憶した上で
走行距離の算出を続ける。また、傾斜制御の終了時に
は、最先に記憶された記憶値を現在の算出値から減算し
てプリセットするため、これから傾斜制御に用いられる
算出値は、常に対応する傾斜タイミング指令が入力した
時点からの走行距離を示す値となり、各車両においてそ
れぞれ該当する曲線に対する好適な傾斜制御が行えると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車体傾斜制御装置のブ
ロック図である。
【図2】第1曲線の終了点から第3曲線の開始点までの
距離が編成車両長よりも短い場合の、路線上位置におけ
る1号車と8号車の積算カウンタの距離積算値を示すグ
ラフである。
【図3】本実施例のカウンタ値制御ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図4】本実施例の傾斜制御ルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図5】カウンタ記憶値の更新の経過を説明するための
グラフである。
【符号の説明】
MC…指令制御装置、 SC1〜SC8…傾斜制御
装置、X1〜X4…カウンタ記憶値、 11…地
点情報記憶手段、13…曲線情報記憶手段、
15…地点検知手段、17…指令出力手段、
31…傾斜制御手段、33…積算カウンタ、
35…カウンタ値記憶手段、40…空気
圧シリンダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−199364(JP,A) 特公 昭49−13723(JP,B1) 実公 昭48−27367(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B61F 5/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振子装置を介して車体を支持した車両を
    複数編成した編成車両に搭載され、曲線位置を検知して
    上記編成車両全体の車体傾斜制御を総括するための指令
    制御装置を備えると共に、各車両は、リセット指令が入
    力されると、その入力時点からの車両の走行距離を算出
    する走行距離算出手段を有し、当該走行距離算出手段の
    算出値に基づき、所定位置より上記振子装置を制御して
    車体傾斜を行わせる傾斜制御装置をそれぞれ備えた編成
    車両における車体傾斜制御システムにおいて、 上記指令制御装置は、上記編成車両が曲線から所定距離
    だけ手前に位置したとき、傾斜制御の開始を指示する傾
    斜タイミング指令を上記各傾斜制御装置に対して一度に
    出力する指令出力手段を備え、 上記各傾斜制御装置は、 上記傾斜タイミング指令の入力時に、その指令に対応す
    る曲線より前の曲線に対する傾斜制御が終了したか否か
    を判断し、終了していれば上記走行距離算出手段に対し
    てリセット指令を出し、未終了であればその時点での
    出値を記憶値として記憶しておく第1の算出値制御手段
    と、 上記傾斜制御の終了時に上記記憶値がある場合には、最
    先に記憶された上記記憶値を現在の算出値から減算して
    プリセットする第2の算出値制御手段と、 を備えたことを特徴とする編成車両における車体傾斜制
    御システム。
JP11635992A 1992-05-08 1992-05-08 編成車両における車体傾斜制御システム Expired - Fee Related JP3266307B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11635992A JP3266307B2 (ja) 1992-05-08 1992-05-08 編成車両における車体傾斜制御システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11635992A JP3266307B2 (ja) 1992-05-08 1992-05-08 編成車両における車体傾斜制御システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05310125A JPH05310125A (ja) 1993-11-22
JP3266307B2 true JP3266307B2 (ja) 2002-03-18

Family

ID=14685012

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11635992A Expired - Fee Related JP3266307B2 (ja) 1992-05-08 1992-05-08 編成車両における車体傾斜制御システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3266307B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6845765B2 (ja) * 2017-08-10 2021-03-24 川崎重工業株式会社 鉄道車両の車上子支持装置及びそれを備えた台車ユニット

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05310125A (ja) 1993-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110015322B (zh) 列车唤醒方法及装置、列车休眠方法及装置
CN1704862B (zh) 适应性车辆行驶控制系统和适应性车辆行驶控制方法
RU2524410C2 (ru) Способ функционирования рельсового транспортного средства
CN107206913B (zh) 列车控制装置、列车控制方法及程序
CN110758467B (zh) 基于时间间隔比值的在先列车完整性判定方法及装置
CN109305198B (zh) 列车控制方法及装置
CN105501221A (zh) 一种基于车车通信的自适应巡航系统和控制方法
JP3632533B2 (ja) 車両の自動走行制御方法および自動走行制御装置
JP2006232211A (ja) 列車長算出方法及び列車制御システム
CN108138739A (zh) 用于运行启停系统的方法和机动车
JP2010004662A (ja) 列車制御装置
JP4879106B2 (ja) 自動列車運転装置
JP3266307B2 (ja) 編成車両における車体傾斜制御システム
JP2000099890A (ja) 車群走行制御装置
JPH0799708A (ja) 列車自動運転装置
CN111114594B (zh) 轨道列车辅助驾驶控制方法、装置和列车
JP4660842B2 (ja) 振子制御式鉄道車両の車輪径自動補正方法
JP3633706B2 (ja) 車群走行制御装置
JP3663303B2 (ja) 車両運行制御方法及び車両運行支援装置
JP2507691B2 (ja) 車体の傾斜制御装置の異常検出方法
JP2006136041A (ja) 列車停止制御装置
JP3602950B2 (ja) 車両群形成制御装置
JP3968627B2 (ja) 車上主体型自動列車制御装置
JP3571426B2 (ja) 移動閉そく方式の列車停車位置制御方法及び装置
JP3010770B2 (ja) 荷搬送設備

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080111

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090111

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090111

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100111

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees