JP3265834B2 - 発泡絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

発泡絶縁電線及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気信号の伝送特性に優
れた低誘電率の発泡絶縁電線及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】コンピュータや通信機器に用いる電線に
は高速高密度伝送の要求と低価格化の要求が高まってい
る。高速高密度伝送の要求に対しては絶縁体の誘電率を
できるだけ小さくする技術が求められる。具体的には絶
縁体の多孔質化、発泡化技術が挙げられる。良く知られ
た発泡技術で広く利用されているのは、ポリオレフィン
系樹脂にアゾジカルボンアミドやベンゼンスルホニルヒ
ドラジドなどの化学発泡剤を混和した材料を押出機によ
り溶融と同時に化学発泡剤を分解発泡させながら導体上
に被覆する方法である。この技術はしかし、電線が細径
化した場合十分に高い発泡度を得にくい問題がある。一
方、電線分野とは別に断熱材、塗料の軽量フィラなどに
使われている熱膨張性中空粒子は加熱により体積が50〜
100 倍も膨張する(例えば高分子36巻,9月号,P669,1987
年)。この熱膨張性中空粒子はエチレン酢酸ビニルコポ
リマに分散させてそのエマルジョンを基材に塗布して発
泡させる方法や、液状のポリエステル樹脂,エポキシ樹
脂に直接分散し、発泡させる方法などにより壁材や断熱
材、軽量化材料に広く利用されている。
【0003】この熱膨張性中空粒子を上記化学発泡剤の
かわりに用いることができれば細径化電線における高発
泡化が可能になる。事実、ポリエチレン樹脂と熱膨張性
中空粒子を混合しながら発泡させて導体上に押出被覆す
る。あるいは熱膨張性中空粒子を予めポリマに分散混合
したペレットとポリオレフィン系樹脂ペレットを混合し
て導体上に発泡押出被覆するなどの手段で、高発泡の絶
縁電線が得られることを確めた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の方法は
製造安定性が劣り、後者については発泡絶縁体の著しい
機械的強度の低下が生じ実用不能であることが明らかと
なった。理由は壁材などと異なり、電線は曲げ使用や端
末の接続などを必要とする。このとき発泡絶縁体に割れ
や潰れを生じてしまうためである。したがって電線の発
泡絶縁体にはこれに耐える機械的強度が最低限求められ
る。熱膨張性中空粒子を用いた発泡電線においては解決
しなければならない重大な欠点である。
【0005】また、熱膨張性中空粒子を発泡させない条
件でポリオレフィン樹脂などに予め混合して発泡性マス
タバッチペレットとし、これをポリエチレンペレットと
ドライブレンドして押出機により導体上に発泡させなが
ら絶縁体として被覆することが実用上有効な手段である
ことを認めた。しかし、発泡度の高い絶縁体を得ようと
するには発泡性マスターバッチの比率を多くする必要が
あり、発泡絶縁体の機械的強度を低下させる問題を生ず
る。
【0006】本発明の目的は、上記した課題を解消し、
実用可能な高発泡、高強度の発泡絶縁電線及びその製造
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の発泡絶縁電線は、発泡絶縁体を被覆した発
泡絶縁電線において、上記発泡絶縁体を、ポリオレフィ
ン、無水マレイン酸含有ポリマ及び熱膨張性中空粒子で
構成したものである。
【0008】また、本発明の発泡絶縁電線の製造方法
は、熱膨張性中空粒子と無水マレイン酸含有ポリマを熱
膨張性中空粒子が膨張しないように混練した組成物とポ
リオレフィンとをドライブレンドし、これを導体上に発
泡成型したものである。また、熱膨張性中空粒子とポリ
オレフィンからなる発泡性マスターバッチと無水マレイ
ン酸含有ポリマが添加されたポリエチレンとをドライブ
レンドし、これを導体上に発泡成型したものであり、そ
の無水マレイン酸含有ポリマの添加量は1〜30重量%で
あることが好ましい。
【0009】本発明で述べるポリオレフィンは、各種の
ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン酢酸ビニルコ
ポリマ,エチレンアクリル酸メチルコポリマ,エチレン
エチルアクリレートコポリマ,ポリブテン,ポリメチル
ペンテン,エチレンエチルメタアクリレートコポリマ,
エチレンメチルアクリレートコポリマなどを挙げること
ができる。これらは混合して用いてもかまわない。しか
し、電気信号の伝送特性を考慮すると誘電率のあまり大
きくないポリオレフィンを選択することが良く、好まし
いのはポリエチレンである。
【0010】無水マレイン酸含有ポリマは、エチレンエ
チルアクリレート無水マレイン酸コポリマのような3元
共重合体,無水マレイン酸をグラフトしたポリエチレ
ン,同じくエチレン酢酸ビニルコポリマ,同じくエチレ
ンエチルアクリレートコポリマなど無水マレイン酸グラ
フトポリオレフィンを例として挙げることができる。
【0011】熱膨張性中空粒子とは、例えば1990年高分
子3a巻 5月号の紹介にある松本油脂製薬(株)の熱膨張
性マイクロカプセルに代表される発泡材料を示す。これ
はイソブタン・ペンタンなどの低沸点有機溶剤を塩化ビ
ニリデン・アクリロニトリル・アクリル酸エステル・メ
タアクリル酸エステルなどからなる熱可塑性樹脂カプセ
ルの中に含ませた数十μm前後の微粒子である。加熱に
よって熱可塑性樹脂カプセルが軟化すると同時に内部の
有機溶剤が気化膨張して体積で50〜 100倍の発泡粒子と
なる。発泡温度 100〜 150℃の製品が入手可能である。
【0012】発泡性マスターバッチは熱膨張性中空粒子
と例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマ,エチレンアク
リル酸メチルコポリマ,エチレンエチルアクリレートコ
ポリマ,ポリブテン,ポリメチルペンテン,エチレンメ
チルメタアクリレートコポリマ,エチレンメチルアクリ
レートコポリマさらにエチレンα−オレフィンコポリマ
として三井石油化学工業(株)のタフマXR106L,
XR107L,XR110Tなどの混和して得ることが
できる。これらは混合して用いてもかまわない。
【0013】ポリエチレンは高強度,低密度,直鎖状低
密度などいずれを用いてもよいが、機械的強度の点から
高密度ポリエチレンが好ましい。
【0014】熱膨張性中空粒子を発泡剤として用いた発
泡絶縁体を調べたところ発泡度が50%以下では機械的強
度はあまり低下せず、熱膨張性中空粒子を多く含有させ
発泡度が60〜80%になると容易に割れるなどの著しい機
械的強度の低下を示すことがわかった。これは従来の化
学発泡剤による発泡電線においては全く認められたこと
のない結果であった。この大きな相違は化学発泡剤によ
って形成される気泡セルが例えば発泡絶縁体のベースポ
リエチレンそのものであるのに対して熱膨張性中空粒子
発泡剤の場合は塩化ビニリデン・アクリロニトリル系熱
可塑性樹脂が気泡セルとなってベースポリエチレンの中
に異物として存在することに起因するものと考えられ
る。熱膨張性中空粒子はポリエチレン中の機械的欠陥と
して働くことになる。そこで鋭意検討を重ねた結果、
無水マレイン酸含有ポリマを熱膨張性中空粒子と共に用
いることで機械的強度が大巾に改善でき、実用可能な高
発泡絶縁電線を得られること、及びできるだけ熱膨張
性中空粒子の含有量を少なくして高発泡度が得られれば
改善につながることから、ポリエチレンに予め無水マレ
イン酸含有ポリマを溶融混練しておくことによって発泡
度が大巾に高くなることを見出し本発明を完成するに至
った。
【0015】では多分無水マレイン酸含有ポリマが熱
膨張性中空粒子とポリオレフィンの界面接着の役割を果
たして、熱膨張性中空粒子がポリオレフィンの中で機械
的欠陥となる影響を最小限にしているためと思われる。
当然のことながら最大の効果をあげるには無水マレイン
酸含有ポリマの融点や流動性も十分に配慮した選択をす
るべきなのは言うまでもない。
【0016】発泡絶縁体はポリオレフィンを50%以上含
有することが好ましい。
【0017】無水マレイン酸含有ポリマは 5〜40%の範
囲で用いることが好ましい。熱膨張性中空粒子は必要と
する発泡度に応じてその量を調整する必要がある。概略
は 5〜30%好ましくは10〜20%である。発泡絶縁電線の
製造においては熱膨張性中空粒子の性質を配慮して不必
要な加熱や過度な温度設定を避けなければならない。熱
膨張性中空粒子は膨張後も加熱を受けると収縮してしま
うためである。また押出機内での過剰な圧力,滞留を避
けた設備と条件設定を行なうことが好ましい。
【0018】従って、発泡絶縁体を、ポリオレフィン、
無水マレイン酸含有ポリマ及び熱膨張性中空粒子で構成
すること、及び熱膨張性中空粒子と無水マレイン酸含有
ポリマを熱膨張性中空粒子が膨張しないように混練した
組成物とポリオレフィンとをドライブレンドし、これを
導体上に発泡成型することで、発泡絶縁体は強度に優れ
て実用可能になり、高速高密度伝送可能な細径の高発泡
絶縁電線が得られる。
【0019】では同じ発泡度を必要とするなら熱膨張
中空粒子の含有量を大巾に低減できることが判明した。
ポリエチレンへの無水マレイン酸添加量は1〜30wt%
が好ましい。1wt%未満では効果が少なく30%を越え
ると効果が飽和すると共に逆に機械的強度が低下する。
特に好ましくは3〜10wt%である。
【0020】また、熱膨張性中空粒子とポリオレフィン
からなる発泡性マスターバッチと無水マレイン酸含有ポ
リマが添加されたポリエチレンとの両者を予め溶融混練
しておくことが好ましい。これは単なるドライブレンド
では高発泡度を得ることは難しいからである。また無水
マレイン酸溶融混練ポリエチレンは50〜80%、発泡性マ
スターバッチ(熱膨張性中空粒子50%含有の場合)20〜
50%の混合比の範囲で用いることが好ましい。発泡絶縁
電線の製造においては熱膨張性中空粒子の性質を配慮し
て不必要な加熱や過度な温度設定を避けなければならな
い。熱膨張性中空粒子は膨張後も加熱を受けると収縮し
てしまうためである。また押出機内での過剰な圧力,滞
留を避けた設備と条件設定を行なうことが好ましい。
【0021】従って、熱膨張性中空粒子とポリオレフィ
ンからなる発泡性マスターバッチと無水マレイン酸含有
ポリマが添加されたポリエチレンとをドライブレンドす
ることで、ポリエチレンに予め無水マレイン酸含有ポリ
マを添加しておくことによって発泡度が大巾に高くなる
ため、発泡性マスターバッチの含有量を少なくすること
ができ、発泡絶縁体の機械的強度の低下を防止でき、高
速高密度伝送可能な細径の高発泡絶縁電線を製造するこ
とが可能となる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0023】(実施例1)先ず、熱膨張性中空粒子(松
本油脂製薬(株)マツモトマイクロスフェア F−85
D 粒径20〜30μm,発泡温度 150℃)45重量部と無水
マレイン酸含有ポリマ(住化シーディエフ化学(株)エ
チレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸共重合
体,ボンダインHX8140密度 0.94 ,MI=20g/10
min ,融点80℃)55重量部とを8インチミキシングロー
ルにより温度90℃で熱膨張性中空粒子が膨張しないよう
に注意して混練し、コンパウンドを得た。これを切断し
て発泡性ペレットとした。
【0024】次にこの発泡性ペレットとポリエチレンペ
レット(三井ポリケミカル(株)ミラソン3530 密
度 0.924,MI=0.3g/10min) を4:6の割合でドライ
ブレンドして40mmスクリュ押出機に投入した。押出機は
シリンダ部を 130〜 150℃としヘッド部を 165℃に設定
し、導体(外径φ0.38mmのスズメッキ銅線)上に上記ブ
レンドペレット溶融体を発泡させながら被覆して外径φ
1.50mmの発泡絶縁電線を得た。この発泡度を測定したと
ころ71%という極めて高い値を得た。この電線を自己径
で6回の巻付を行なったが全く割れを生じなかった。ま
た電線を撚り合わせても特に潰れ変形を生じなかった。
【0025】(実施例2)実施例1に従い、発泡性ペレ
ットとポリエチレンペレットの混合比を変えて発泡度の
異なる各種電線(発泡性ペレットの混合率(%)が10,
20,30,40,50の5つの電線)を製造した。それぞれの
電線の発泡度を測定すると共に自己径巻付時の割れ発生
を確認し、その結果を図1に示した。これら電線につい
て全く割れは生じなかった。
【0026】(実施例3)無水マレイン酸含有ポリマと
してボンダインTX8030(密度0.94,MI=3,融
点95℃)を用いると共に、ミキシングロール温度を 100
℃とした以外は実施例1と全く同様にして発泡絶縁電線
を製造した。発泡度は69%と高い値を示し曲げによる割
れも全く発生しなかった。
【0027】(実施例4)実施例1に従い、外径をφ0.
70mmと細くした発泡絶縁電線を製造した。発泡度は71%
と高く薄肉化にしても高発泡度を保持することが示され
た。自己径巻付でも全く割れを生じなかった。
【0028】(比較例1)無水マレイン酸含有ポリマの
代りにエチレン酢酸ビニルコポリマ(三井デュポンポリ
ケミカル社エバフレックスP−1407 密度 0.93 ,
MI=15g/10min,融点90℃)を用いた以外は実施例1
と全く同様にして発泡絶縁電線を得た。発泡度を測定し
たところ68%であった。この電線を自己径で6回巻付け
たところ割れを生じてしまった。また電線を撚り合わせ
たところ、約 5〜10%の潰れ変形を生じた。
【0029】(比較例2)比較例1のエチレン酢酸ビニ
ルコポリマとしてエバフレックスP−2085(密度0.
95,MI=6g/10min,融点73℃) を用いた以外は比較例
1と全く同様にして発泡絶縁電線を得た。発泡度は69%
であった。しかし自己径巻付けによって割れを生じ、電
線の撚り合わせ時も10〜15%の潰れ変形を生じた。
【0030】(比較例3)比較例1のエチレン酢酸ビニ
ルコポリマの代りにエチレン・エチルアクリレートコポ
リマ(日本ユニカー社EEA DPDJ−6169 密
度 0.93 ,MI=6g/10min,融点98℃)を用いた以外は
比較例1と全く同様にして発泡絶縁電線を得た。発泡度
は66%であるが、自己径6回の巻付で割れを発生した。
電線を撚り合わせたときの潰れ変形は6%であった。
【0031】従って、発泡絶縁体を、ポリオレフィン、
無水マレイン酸含有ポリマ及び熱膨張性中空粒子で構成
することで、細径の高発泡絶縁電線を容易に得ることが
でき、かつ実用上の重大欠点であった機械的強度を大巾
に向上させることができる。これによって高速高密度伝
送可能な低誘電率の絶縁電線を実用できるので、その工
業的価値は極めて大であるといえる。
【0032】尚、本発明の電線は材料組成面から発泡絶
縁体の機械特性を改善したものであるが、さらにその効
果を高めるために電子線などのエネルギ線による照射架
橋を行なってもよいし、電線構造面から発泡絶縁体の外
層に補強層を被覆してもかまわない。
【0033】また、本発明の目的から明らかなように無
水マレイン酸含有ポリマと同様の界面接着作用が期待さ
れる他の有機酸変成ポリマを無水マレイン酸含有ポリマ
のかわりに用いることも全く差し支えないことは言うま
でもない。
【0034】さらに、本発明によれば高発泡電線で必ず
直面する導体と発泡絶縁体との間の著しい剥離を防止す
る効果がある。
【0035】(実施例5)先ず、熱膨張性中空粒子(松
本油脂製薬(株)マツモトマイクロスフェア F−85
D 粒径20〜30μm,発泡温度 150℃)50重量部とエチ
レン酢酸ビニルコポリマ(三井デュポンポリケミカル社
エバフレックスP−1407 密度 0.93,MI=15g/1
0min ,融点90℃)50重量とを8インチミキシングロー
ルにより温度95℃で熱膨張性中空粒子が膨張しないよう
に注意して混練し、混練後、これを切断して発泡性マス
ターバッチペレットを得た。
【0036】これと別にポリエチレン(三井ポリケミカ
ル(株)ミラソン3530 密度 0.924,MI=0.3g/1
0min)95 wt%と無水マレイン酸含有ポリマ(住化シー
ディエフ化学(株)エチレン・アクリル酸エステル・無
水マレイン酸共重合体,ボンダインHX8140 密度
0.94 ,MI=20g/10min ,融点80℃)5wt%とを40
mm押出機によって 150℃で押出溶融混練し、ポリエチレ
ンベースペレットとした。
【0037】次に、このようにして準備した発泡性マス
ターバッチペレットとポリエチレンベースペレットをド
ライブレンドして20mm押出機によりφ0.8mm のダイを用
いて165℃で押出ストランドに成形した。ストランドは
発泡体となっており、比重を測定して発泡度を求めた。
また、その発泡性マスターバッチペレットとポリエチレ
ンベースペレットとの混合比を変えて各種のストランド
を成形し、それぞれのストランドの発泡度を測定した。
その結果を図2に□で示した。マスターバッチを28%以
上にすれば70%以上の発泡度になり、40%マスターバッ
チとすれば発泡度80%を得ることができる。
【0038】(実施例6)実施例5のポリエチレンを高
密度ポリエチレン(昭和電工(株)ショウレックス50
03 密度 0.945,MI=0.3g/10min)にした以外は実
施例5と全く同様にしてストランド発泡体を成形し、そ
の発泡度を求めた。その結果を同じく図2に△で示し
た。発泡度が大巾に向上する。マスターバッチ量21%で
発泡度70%となり25%以上で発泡度80%となり最終的に
90%もの高発泡度を得ることができる。
【0039】(実施例7)実施例6においてポリエチレ
ンと無水マレイン酸含有ポリマの溶融混練比率を変えた
ポリエチレンベースペレット70wt%と発泡性マスター
バッチ30wt%をドライブレンドしてストランド発泡体
を作った。他の条件は実施例6に従った。その結果を図
3に示す。無水マレイン酸含有ポリマが本発明で定める
1〜30wt%の範囲の場合には発泡度が高くなり30wt
%を超えると逆に低下してしまうことがわかる。
【0040】(比較例4)ポリエチレンベースペレット
をミラソン3530単独(無水マレイン酸含有ポリマを
含まない)として実施例5と全く同様にしてストランド
発泡体を作った。その結果を図2に○で示した。実施例
に比べて大巾に発泡度が低下している。
【0041】(比較例5)ポリエチレン95wt%と無水
マレイン酸含有ポリマ 5wt%をドライブレンドしてポ
リエチレンベースペレットとした以外は実施例5と全く
同様にしてストランド発泡体を作った。その結果を図2
に●で示した。実施例に比べて発泡度が大きく低下して
いる。
【0042】(比較例6)ポリエチレンベースペレット
を高密度ポリエチレン単独とした以外は実施例6と全く
同様にしてストランド発泡体を作った。発泡性マスタバ
ッチを40%の場合発泡度が77%であり実施例の89%に比
べ大きく低下していた。
【0043】従って、熱膨張性中空粒子とポリオレフィ
ンからなる発泡性マスターバッチと無水マレイン酸含有
ポリマが添加されたポリエチレンとをドライブレンドす
ることで、所望する発泡度を得るのに非常に少ない発泡
性マスターバッチとすることが可能となる。すなわち、
発泡性マスターバッチの含有量を少なくすることがで
き、発泡体の機械的強度の低下を防止できる。さらに高
密度ポリエチレンはより好ましい発泡度を与えることも
判明した。
【0044】これらによって発泡絶縁体の機械的強度を
同一発泡度において 1.5〜 3倍も高めることができる。
発泡絶縁電線の製造において高発泡・高強度絶縁体が得
られるので、高速高密度伝送可能な細径の高発泡絶縁電
線を製造することが可能となり、その工業的価値は極め
て大である。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、実
用可能な高発泡、高強度の発泡体を得られ、高速高密度
伝送可能な細径の高発泡絶縁電線を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】発泡性ペレットとポリエチレンの混合率と電線
の発泡度の関係を示す図である。
【図2】ポリエチレンベースペレットと発泡性マスター
バッチのドライブレンド比と発泡度の関係を示す図であ
る。
【図3】ポリエチレンベースペレット中の無水マレイン
酸含有ポリマの混和量と発泡度の関係を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 105:04 B29K 105:04 C08L 23:04 C08L 23:04 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 7/02 H01B 3/30 H01B 13/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡絶縁体を被覆した発泡絶縁電線にお
    いて、上記発泡絶縁体を、ポリオレフィン、無水マレイ
    ン酸含有ポリマ及び熱膨張性中空粒子で構成したことを
    特徴とする発泡絶縁電線。
  2. 【請求項2】 熱膨張性中空粒子と無水マレイン酸含有
    ポリマを熱膨張性中空粒子が膨張しないように混練した
    組成物とポリオレフィンとをドライブレンドし、これを
    導体上に発泡成型したことを特徴とする発泡絶縁電線の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 熱膨張性中空粒子とポリオレフィンから
    なる発泡性マスターバッチと無水マレイン酸含有ポリマ
    が添加されたポリエチレンとをドライブレンドし、これ
    を導体上に発泡成型したことを特徴とする発泡絶縁電線
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記無水マレイン酸含有ポリマの添加量
    が1〜30重量%である請求項3記載の製造方法。
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JP2021005729A (ja) * 2020-10-01 2021-01-14 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シート、及び、それを用いてなる太陽電池モジュール

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