JP3265476B2 - リアルタイム形状変形計測方法 - Google Patents

リアルタイム形状変形計測方法

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JP3265476B2
JP3265476B2 JP17995099A JP17995099A JP3265476B2 JP 3265476 B2 JP3265476 B2 JP 3265476B2 JP 17995099 A JP17995099 A JP 17995099A JP 17995099 A JP17995099 A JP 17995099A JP 3265476 B2 JP3265476 B2 JP 3265476B2
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吉春 森本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業生産物、構造
物、人体等の試料の形状変形をリアルタイムで計測する
形状変形計測方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】テレビカメラおよびプロジェクタ(格子
投影装置)を用いる形状計測装置や、干渉縞を利用した
微小変形計測装置等の従来の形状変形計測装置として、
位相シフト法により格子画像や干渉縞画像(以下、縞画
像と言う)を位相を変化させながら1台のテレビカメラ
で順次撮影し、これら位相を変化させた複数枚の縞画像
に基づいて格子縞の位相分布を求めるようにしたものが
知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術では、テレビカメラで1フレームの縞画像を撮
影する毎に、位相シフトによる縞の動きを停止させるよ
うにしているため、計測に長時間を要することになる。
このため、振動している試料や動いている試料のよう
に、変形量が時間的に変化する場合には、リアルタイム
で変形分布の変化を観察できないという問題がある。
【0004】このような問題を解決するため、本発明者
らは、特許第2903111号公報において、被測定試
料に位相シフトしながら格子を投影して、それぞれの位
相シフト量における複数の格子画像を撮影する第1の工
程と、前記複数の格子画像に基づいて、各画素について
輝度が最大となる位相シフト量を抽出する第2の工程
と、任意の時間経過後に、前記被測定試料に位相シフト
しながら前記格子を投影して、それぞれの位相シフト量
における格子画像を順次撮影し、その順次の撮影におい
て、当該位相シフト量と前記第2の工程で抽出された位
相シフト量とが同じ画素の輝度データを抽出する第3の
工程と、この第3の工程で抽出される輝度データに基づ
いて前記被測定試料の変形量を表す等変位線画像を得る
ようにした形状変形計測方法を提案している。
【0005】かかる形状変形計測方法によれば、位相シ
フト毎に輝度データが更新されるので、リアルタイムで
等変位線が変化する等変位線画像を表示することができ
る。したがって、試料の形状が時間的に変化する場合で
も、その形状変化をリアルタイムで計測することができ
る。
【0006】ところが、かかる形状変形計測方法では、
形状変化をリアルタイムで計測できても、形状変化を表
す等変位線から形状や変形量の数値的情報に換算できな
いため、形状や変形量を客観的に把握しにくいという改
良すべき点があった。
【0007】また、従来提案されている形状変形計測装
置においては、試料の背景などのようにテレビカメラで
撮影した場合の格子または干渉縞のコントラストが小さ
くて計測不可能領域であっても、位相分布としては計算
上何らかの値(一般には、ランダムパターンの値)が得
られてしまうため、計測可能領域と計測不可能領域との
区別がつかないという問題もあった。
【0008】したがって、かかる点に鑑みてなされた本
発明の目的は、試料の形状や変形量の数値的情報をリア
ルタイムで得ることが可能で、かつ計測可能領域と計測
不可能領域とを区別できる試料の位相分布画像をリアル
タイムで得ることができるリアルタイム形状変形計測方
法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1に係るリアルタイム形状変形計測方法の発明は、試
料に投影する格子パターンまたは試料の変形を表す干渉
縞の位相を連続的にシフトしながら、1周期の位相シフ
ト毎に4つの格子画像または干渉縞画像を順次取得して
それぞれ対応する第1〜第4フレームメモリに更新しな
がら格納し、これら第1〜第4フレームメモリに格納さ
れた各画像の対応する画素の輝度差に基づいて、予め演
算して求めた位相値に対応する輝度値を格納する位相算
出マップから対応する位相値の輝度値を画素毎に読み出
して、前記試料の位相分布画像をリアルタイムで得るこ
とを特徴とするものである。
【0010】請求項1に係る発明によると、試料に投影
する格子パターンまたは試料の変形を表す干渉縞の位相
を連続的にシフトしながら、リアルタイムで試料の位相
分布画像が得られるので、その位相分布画像から試料の
形状や変形量の数値的情報をリアルタイムで得ることが
可能になると共に、計測可能領域と計測不可能領域とを
区別することが可能になる。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
リアルタイム形状変形計測方法において、前記試料の位
相分布画像の取得と同様にして、前記試料に対して基準
となる基準位相分布画像を予め取得して第5フレームメ
モリに格納し、その基準位相分布画像と前記試料の位相
分布画像との差を演算して、位相差分布画像をリアルタ
イムで得ることを特徴とするものである。
【0012】請求項2に係る発明によると、試料の位相
差分布画像がリアルタイムで得られるので、その位相差
分布画像から試料の形状や変形量を客観的に容易に把握
することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明に係るリアルタイ
ム形状変形計測方法を実施する装置の原理的構成を示す
ブロック図である。このリアルタイム形状変形計測装置
は、縞画像撮影装置1、リアルタイム位相解析回路2お
よびモニター3を有している。縞画像撮影装置1は、格
子投影装置を有する形状計測装置、あるいは干渉縞を利
用した微小変形計測装置を用いて構成し、CCDカメラ
等のテレビカメラ4から一定時間の光量を時間積分して
輝度値とする縞画像を出力させ、その縞画像をリアルタ
イム位相解析回路2で位相値の分布を表す位相分布画
像、あるいは試料の高さ分布や変形量分布を表す位相差
分布画像に変換してモニター3にリアルタイムで表示さ
せる。
【0014】図2(a)および(b)は、格子投影装置
を有する形状計測装置による縞画像撮影装置1の構成例
を示す平面図および側面図である。格子投影装置5に
は、格子スライド6の位置をフィルム面内方向に移動さ
せる格子スライド移動機構7を設け、これにより格子ス
ライド6をテレビカメラ4が4フレーム撮影する時間
で、格子1ピッチ分の距離を連続的に移動させる。テレ
ビカメラ4は、位置調整用のリニアガイド8上に取り付
ける。また、テレビカメラ4または格子投影装置5には
あおり機構を設け、リニアガイド8によってテレビカメ
ラ4の位置を調整して、格子投影装置5とテレビカメラ
4のレンズ中心位置とが光軸方向に対して同一位置にな
るようにする。図示の場合には、z軸座標が同じ位置に
なるように格子投影装置5とテレビカメラ4のレンズ中
心位置とを調整する。
【0015】このようにして、テレビカメラ4により、
1フレーム(1/30sec)毎に1/4ピッチ分だけ移
動(位相シフト)されて試料9に投影された格子画像を
撮影する。したがって、テレビカメラ4の各画素に入射
する光量は、シャッタが開いている間に位相シフトによ
って変化し、その時間積分がその画素の輝度となるの
で、テレビカメラ4からは、後述の積分型位相シフト法
による画像が得られることになる。
【0016】図3は、干渉縞を利用した微小変形計測装
置による縞画像撮影装置1の構成例を示す平面図であ
る。この例では、ヘリウムネオンレーザ11からのレー
ザ光をビームエキスパンダ12を経てコリメータレンズ
13で平行光に変換し、その平行光をハーフプリズム1
4で2分して、その一方を鏡面物体からなる試料15
に、他方を参照ミラー16に照射する。試料15および
参照ミラー16での反射光は、再びハーフプリズム14
で合成してスクリーン17上に投影し、これにより干渉
現象によって試料15および参照ミラー16の形状の差
に対応する干渉縞をスクリーン17上に形成させて、そ
の干渉縞をテレビカメラ4で撮影する。ここで、スクリ
ーン17上に形成される干渉縞は、試料15および参照
ミラー16の形状の差(面外方向の光路差)がレーザ光
の波長の半分になる毎に1本現れるので、干渉縞の位相
値を解析すれば形状の差を知ることができる。また、変
形前後の形状の差の差から、試料15の変形量を知るこ
とができる。
【0017】ハーフプリズム14は、ピエゾステージ1
8上に取り付け、このピエゾステージ18を三角波発生
回路19からの三角波信号に基づいてピエゾステージド
ライバ20により駆動して、ハーフプリズム14を参照
ミラー16の方向に微小に連続的に移動させ、これによ
り試料15および参照ミラー16の方向に2分される平
行光の光路長を変化させて、スクリーン17上に形成さ
れる干渉縞の位相を変化させる。ここで、三角波発生回
路19からの三角波信号は、スクリーン17上に形成さ
れる干渉縞の位相の変化がテレビカメラ4の4フレーム
で1周期分変化するように設定する。
【0018】このようにして、テレビカメラ4により、
1フレーム(1/30sec)毎に1/4周期だけ位相シ
フトされてスクリーン17上に形成される干渉縞画像を
撮影する。したがって、この場合も、テレビカメラ4の
各画素に入射する光量は、シャッタが開いている間に位
相シフトによって変化し、その時間積分がその画素の輝
度となるので、テレビカメラ4からは、積分型位相シフ
ト法による画像が得られることになる。
【0019】図4は、図1に示したリアルタイム位相解
析回路2の一例の構成を示すブロック図である。縞画像
撮影装置1のテレビカメラ4から得られる4フレームで
1周期分の位相シフトが行われた縞画像の画像信号は、
タイミングコントローラ21の制御のもとに、A/Dコ
ンバータ22でデジタル信号に変換して切り替え器23
を介してフレームメモリ24A,24B,24C,24
Dに順番に分けて格納する。ここでは、説明の便宜上、
フレームメモリ24A,24B,24C,24Dに順次
格納される画像データをA,B,C,Dの符号で示す。
【0020】フレームメモリ24Aおよび24Cに格納
された画像データAおよびCは、減算回路25Xに供給
して対応する画素のコントラストを表す輝度差(A−
C)を演算し、フレームメモリ24Bおよび24Dに格
納された画像データBおよびDは、減算回路25Yに供
給して同様に対応する画素のコントラストを表す輝度差
(D−B)を演算する。これら減算回路25Xおよび2
5Yの出力は、位相算出テーブル26に供給する。
【0021】位相算出テーブル26には、減算回路25
Xおよび25Yの出力に対応して予め算出した位相値φ
に基づく輝度値を格納しておき、この位相算出テーブル
26から減算回路25Xの出力をX座標値、減算回路2
5Yの出力をY座標値として対応する画素の輝度値を読
み出して、フレームメモリ24Aに格納された縞画像の
位相値の分布を表す位相分布画像を得る。以上の処理を
1フレーム以内の時間で行う。実際には、テレビカメラ
4から得られる画像は、1フレーム毎にフレームメモリ
24A,24B,24C,24Dの順に格納されるの
で、例えばフレームメモリ24Bに新たな1フレームの
画像が格納されたときには、残りのフレームメモリ24
A,24C,24Dには以前の画像が格納されたままに
なっているが、フレームメモリ24A,24B,24
C,24Dに格納される画像は、1フレーム毎にそのど
れかが更新されるので、位相算出テーブル26から出力
される輝度値、すなわち位相値φも1フレーム毎に更新
され、結果としてリアルタイムで位相分布画像を得るこ
とができる。
【0022】また、位相算出テーブル26から得られる
位相分布画像(例えば、試料変形前の基準位相分布画
像)は、タイミングコントローラ21の制御のもとにス
イッチ27を選択的にオンすることでフレームメモリ2
8に格納し、このフレームメモリ28に格納された基準
位相分布画像と、その後、スイッチ27をオフした現在
の位相分布画像とを位相差分布計算回路29に供給し
て、フレームメモリ28に格納された基準位相分布画像
の位相値φ0と現在の位相分布画像の位相値φとの差を
対応する画素毎に求めて、試料の高さ分布や変形量分布
を表す位相差分布画像を得、その位相差分布画像をフレ
ームメモリ30に格納する。ここで、位相算出テーブル
26から出力される位相分布画像は、1フレーム毎に更
新されるので、位相差分布計算回路29から得られる位
相差分布画像も1フレーム毎に更新され、結果としてリ
アルタイムで位相差分布画像を得ることができる。
【0023】このようにしてリアルタイム位相解析回路
2からリアルタイムで得られる位相分布画像および位相
差分布画像を、モニター3に適宜表示する。
【0024】以下、上記の縞画像撮影装置1からの縞画
像から位相分布画像を得る積分型位相シフト法の原理を
説明する。縞画像撮影装置1のテレビカメラ4で撮影さ
れる画像上のある画素における格子の輝度をI、1フレ
ームの撮影に要する時間をTとすると、1〜4フレーム
目までにその画素に蓄えれる光量は、1〜4フレームに
応じて格子の輝度分布を領域A〜Dに分けた場合の輝度
の時間積分となり、テレビカメラ4からはその積分値が
その画素の輝度となる画像が得られる。
【0025】図5(a)〜(e)に示すように、格子の
輝度分布がコサイン波状の場合、時間t=0での位相を
φとすると、輝度が最大になる点の縦軸からのずれが位
相値となる。例えば図5(a)に示すように、t=0で
コサイン波が最大輝度になる時は位相φは0である。位
相がφの場合の時間に対する輝度I(t,φ)は次のように
表すことができる。
【0026】
【数1】 ここで、I0およびI1は、それぞれコサイン波格子の最小
輝度および最大輝度を表す。
【0027】また、領域A〜Dの面積は、次のようにな
る。
【数2】 ここで、XおよびYを、A〜Dを用いてそれぞれ、 X=A−C Y=D−B と定義すると、XおよびYは、それぞれ以下のようにな
る。
【数3】
【0028】したがって、Xを横軸、Yを縦軸としたと
きの偏角をθとすると、位相φはθを用いて、
【数4】 と表すことができるので、この計算を行うことによっ
て、領域A〜Dの面積、すなわち1〜4フレームでの輝
度値から位相φを得ることができる。
【0029】また、図6(a)〜(e)に示すように、
格子の輝度分布が矩形波の場合には、矩形波を表す関数
Rを次のように定義すると、
【数5】
【0030】位相がφの場合の時間に対する輝度I(t,
φ)は、次のようになる。
【数6】 ここで、I0およびI1は、それぞれ矩形波格子の最小輝度
および最大輝度を表す。
【0031】(1)0≦φ<π/2の場合 領域A〜Dの面積は、次のようになる。
【数7】 ここで、XおよびYを、A〜Dを用いてそれぞれ、 X=A−C Y=D−B と定義すると、XおよびYは、それぞれ以下のようにな
る。
【数8】
【0032】したがって、Xを横軸、Yを縦軸としたと
きの偏角をθとすると、位相φはθを用いて、次のよう
に表すことができる。
【数9】
【0033】(2)π/2≦φ<πの場合 (1)の場合と同様に、X,Yおよび位相φを求める
と、次のようになる。
【数10】
【0034】(3)π≦φ<3π/2の場合 (1)の場合と同様に、X,Yおよび位相φを求める
と、次のようになる。
【数11】
【0035】(4)3π/2≦φ<2πの場合 (1)の場合と同様に、X,Yおよび位相φを求める
と、次のようになる。
【数12】
【0036】以上のことから、矩形格子の場合も、領域
A〜Dの面積、すなわち1〜4フレームでの輝度値から
位相φを得ることができる。
【0037】次に、上記のコサイン波格子画像を撮影す
る場合と矩形波格子画像を撮影する場合とのそれぞれに
ついて、図4に示したリアルタイム位相解析回路2にお
ける位相算出テーブル26の作成手順を説明する。な
お、いずれの場合も、画像の解像度は8ビット(256
段階)とし、変数は以下のように定義する。 X;フレームメモリ24A,24Cに格納されている画
像データの輝度値の差(X=A−C)で、−255〜+
255の整数値 Y;フレームメモリ24D,24Bに格納されている画
像データの輝度値の差(Y=D−B)で、−255〜+
255の整数値 Tc(X,Y);コサイン波格子画像の場合のXおよび
Yの値に対する位相算出 テーブル26の各要素の値で、位相算出テーブル26を
参照することによって得られる0〜255の整数値の輝
度値 Tr(X,Y);矩形格子画像の場合のXおよびYの値
に対する位相算出テーブル26の各要素の値で、位相算
出テーブル26を参照することによって得られる0〜2
55の整数値の輝度値 φ;位相値 θ;偏角
【0038】(1)コサイン波格子画像の場合 先ず、XおよびYの値に対するφの値を求める。コサイ
ン波格子の場合、図7にXおよびYの値に対する位相値
φの関係を示すように、XおよびYの値によって定まる
点Pcは、位相値φに対して円形の軌跡を描く。この円
形軌跡の半径は、コサイン波格子のコントラストによっ
て決まる。
【0039】したがって、XおよびYの値から位相値φ
を求めるには、点Pcの偏角θを、tan-1関数を用いて
求め、その偏角θからπ/4を引けばよい。実際には、
図8に示すように、XとYの値に対して領域を分け、各
領域毎に図8に示す値を位相値φとする。
【0040】位相値φを求めたら、各要素の輝度値Tc
(X,Y)を、 Tc(X,Y)=[256×φ/2π] により求めて、図9に示すような位相算出テーブル26
を作成する。ここで、[x]は、xを越えない最大の整
数を意味する。なお、コサイン波格子画像を撮影する好
適実施の形態では、XおよびYの値が(0,0)点近傍
の円形領域、すなわちコントラストの低い領域では、輝
度値を0とする。この円形領域の半径は、位相シフト時
の試料表面での縞の輝度変化の最小値と背景部分の輝度
変化の最大値との間の値に設定する。
【0041】(2)矩形波格子画像の場合 先ず、XおよびYの値に対する偏角θの値を求める。矩
形波格子の場合、図10にXおよびYの値に対する偏角
θと位相値φとの関係を示すように、XおよびYの値に
よって定まる点Prは、位相値φに対して正方形状の軌
跡を描く。この正方形状の辺の長さは、矩形波格子のコ
ントラストによって決まる。
【0042】したがって、XおよびYの値から位相値φ
を求めるには、先ず、点Prの偏角θを、tan-1関数を
用いて求め、次にその偏角θおよび位相値φの関係式か
らφを算出すればよい。具体的には、先ず、図11に示
すように、XとYの値に対して領域を分け、各領域毎に
図11に示す値を偏角θとする。次に、図12に示す算
出式を用いて偏角θの値から位相値φを算出する。
【0043】その後、算出した位相値φを用いて、各要
素の輝度値Tr(X,Y)を、 Tr(X,Y)=[256×φ/2π] により求めて、図13に示すような位相算出テーブル2
6を作成する。ここで、[x]は、xを越えない最大の
整数を意味する。なお、この矩形波格子画像を撮影する
好適実施の形態では、XおよびYの値が(0,0)点近
傍の正方形領域、すなわちコントラストの低い領域で
は、輝度値を0とする。この正方形領域の辺の長さは、
その1/2の値が位相シフト時の試料表面での縞の輝度
変化の最小値と背景部分の輝度変化の最大値との間の値
になるように設定する。
【0044】以下、図1に示したリアルタイム形状変形
計測装置による計測例について説明する。図14および
図15は、図1において、縞画像撮影装置1を図2に示
した形状計測装置で構成し、試料9として電球を持つ手
を撮影した場合に得られる各画像の写真である。すなわ
ち、図14(a)〜図14(d)は、連続的な位相シフ
トによって撮影した位相がπ/2ずつシフトされた1フ
レーム目から4フレーム目の矩形波格子の投影格子画像
を示すもので、それぞれ図4に示したフレームメモリ2
4A〜24Dに格納される。図15(a)および図15
(b)は、フレームメモリ24A〜24Dに格納された
画像データに基づいて位相算出テーブル26から輝度値
を抽出して得られた位相分布画像を示すもので、図15
(a)は図13において説明したように、位相算出テー
ブル26のコントラストの低い領域に対応するXおよび
Yの値が(0,0)点近傍の正方形領域の輝度値を0と
した場合に得られた位相分布画像を、図15(b)は上
記の(0,0)点近傍の正方形領域の輝度値を0にしな
かった場合に得られた位相分布画像を示している。
【0045】図15(c)は、位相算出テーブル26の
(0,0)点近傍の正方形領域の輝度値を0としなかっ
た場合に得られた位相差分布画像を示すものである。こ
の位相差分布画像は、平板に格子を投影した場合の位相
分布画像を予め同様の方法で求めて、その位相分布画像
をスイッチ27をオンにしてフレームメモリ28に格納
し、その後、スイッチ27をオフとして図15(b)に
示した位相分布画像とフレームメモリ28に格納されて
いる平板の位相分布画像との差を求めたもので、試料9
の形状(予め位相分布画像を求めた平板からの距離分
布)を表している。
【0046】この計測例によれば、図15(a)から明
らかなように、位相算出テーブル26において、1〜4
フレームの画像データに基づいて算出されるX,Yの値
が(0,0)点近傍のコントラストの低い正方形領域の
輝度値を0とすることで、その輝度値を0としない図1
5(b)の場合と比較して、試料9とその背景とが明瞭
に区別された位相分布画像がリアルタイムで得られるこ
とがわかる。また、位相算出テーブル26を用いて得ら
れる位相分布画像に基づいて、図15(c)に示すよう
な試料9の形状を表す位相差分布画像をリアルタイムで
得ることができるので、試料9の形状を客観的に容易に
把握することができる。なお、図示していないが、位相
算出テーブル26の(0,0)点近傍の正方形領域の輝
度値を0とすれば、図15(c)の場合よりも試料9と
その背景とが明瞭に区別された位相差分布画像をリアル
タイムで得られることは明らかである。
【0047】図16〜図18は、図1において、縞画像
撮影装置1を図3に示した微小変形計測装置で構成し、
試料15としてガラス製のカンチレバーを用いた場合に
得られる各画像を示すものである。すなわち、図16
(a)〜図16(d)は、試料15を変形させる前に、
連続的な位相シフトによって撮影した位相がπ/2ずつ
シフトされた1フレームめから4フレームめの干渉縞画
像を示すもので、それぞれ図4に示したフレームメモリ
24A〜24Dに格納される。図17(a)は、フレー
ムメモリ24A〜24Dに格納された画像データに基づ
いて位相算出テーブル26から輝度値を抽出して得られ
た試料15の変形前の干渉縞の位相分布画像を示し、図
17(b)は試料15に荷重をかけて変形させた後の干
渉縞の位相分布画像を示すものである。なお、ここで
は、位相算出テーブル26は、図9で説明したコントラ
ストの低い領域に対応するXおよびYの値が(0,0)
点近傍の円形領域の輝度値を0としていない。
【0048】図18(a)は変形前の位相差分布画像を
示すものである。この位相差分布画像は、変形前の時点
でスイッチ27をオンにして図17(a)の位相分布画
像をフレームメモリ28に格納し、その後、スイッチ2
7をオフとして変形前の位相分布画像とフレームメモリ
28に格納されている位相分布画像との差を求めたもの
で、変形前同士の位相差分布であるため、画像全面で同
じ輝度分布となっている。
【0049】図18(b)は変形後の位相差分布画像を
示すものである。この位相差分布画像は、変形前の時点
でフレームメモリ28に格納した図17(a)の位相分
布画像と、変形後に求めた図17(b)に示す位相分布
画像との差を求めたもので、試料15の変形分布を表し
ている。
【0050】この計測例によれば、上記の計測例の場合
と同様に、位相分布画像をリアルタイムで得ることがで
きる。また、このようにして得られる位相分布画像に基
づいて、図18(b)に示すような試料15の変形分布
を表す位相差分布画像をリアルタイムで得ることができ
るので、試料15の変形量を客観的に容易に把握するこ
とができる。勿論、この計測例においても、図9で説明
したように、位相算出テーブル26のコントラストの低
い領域に対応するXおよびYの値が(0,0)点近傍の
円形領域における輝度値を0とすれば、試料15とその
背景とが明瞭に区別された位相分布画像や位相差分布画
像をリアルタイムで得ることができる。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、試料に
投影する格子パターンまたは試料の変形を表す干渉縞の
位相を連続的にシフトしながら、リアルタイムで試料の
位相分布画像を得ることができる。また、その位相分布
画像の取得と同様にして、試料に対して基準となる基準
位相分布画像を予め取得し、その基準位相分布画像と試
料の位相分布画像との差を演算することで、試料の位相
差分布画像をリアルタイムで得られるので、その位相差
分布画像から試料の形状や変形量を客観的に容易に把握
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るリアルタイム形状変形計測方法
を実施する装置の原理的構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す縞画像撮影装置を格子投影装置を
有する形状計測装置を用いて構成した場合の平面図およ
び側面図である。
【図3】 同じく、図1に示す縞画像撮影装置を干渉縞
を利用した微小変形計測装置を用いて構成した場合の平
面図である。
【図4】 図1に示すリアルタイム位相解析回路の一例
の構成を示すブロック図である。
【図5】 コサイン波格子を用いる積分型位相シフト法
の原理を説明するための図である。
【図6】 矩形波格子を用いる積分型位相シフト法の原
理を説明するための図である。
【図7】 コサイン波格子画像を用いる場合の図4に示
す位相算出テーブルの作成手順を説明するためのコサイ
ン波格子画像の輝度差X,Yと位相値φとの関係を示す
図である。
【図8】 同じく、輝度差X,Yに対する位相値φの算
出式を示す図である。
【図9】 同じく、位相算出テーブルにおける輝度値を
説明するための図である。
【図10】 矩形波格子画像を用いる場合の図4に示す
位相算出テーブルの作成手順を説明するための矩形波格
子画像の輝度差X,Yと位相値φとの関係を示す図であ
る。
【図11】 同じく、輝度差X,Yと偏角θとの関係を
示す図である。
【図12】 同じく、偏角θに対する位相値φの算出式
を示す図である。
【図13】 同じく、位相算出テーブルにおける輝度値
を説明するための図である。
【図14】 図1に示したリアルタイム形状変形計測装
置による計測例で、矩形波格子の連続的な位相シフトに
よって撮影した位相がπ/2ずつシフトされた1〜4フ
レームの投影格子画像を示す写真である。
【図15】 同じく、投影格子画像に基づく位相分布画
像および位相差分布画像を示す写真である。
【図16】 図1に示したリアルタイム形状変形計測装
置による計測例で、干渉縞の連続的な位相シフトによっ
て撮影した位相がπ/2ずつシフトされた1〜4フレー
ムの干渉縞画像を示す写真である。
【図17】 同じく、試料の変形前後の干渉縞の位相分
布画像を示す写真である。
【図18】 同じく、試料の変形前後の干渉縞の位相差
分布画像を示す写真である。
【符号の説明】
1 縞画像撮影装置 2 リアルタイム位相解析回路 3 モニター 4 テレビカメラ 5 格子投影装置 6 格子スライド 7 格子スライド移動機構 8 リニアガイド 9 試料 11 ヘリウムネオンレーザ 12 ビームエキスパンダ 13 コリメータレンズ 14 ハーフプリズム 15 試料 16 参照ミラー 17 スクリーン 18 ピエゾステージ 19 三角波発生回路 20 ピエゾステージドライバ 21 タイミングコントローラ 22 A/Dコンバータ 23 切り替え器 24A〜24D フレームメモリ 25X,25Y 減算回路 26 位相算出テーブル 27 スイッチ 28 フレームメモリ 29 位相差分布計算回路 30 フレームメモリ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料に投影する格子パターンまたは試料
    の変形を表す干渉縞の位相を連続的にシフトしながら、
    1周期の位相シフト毎に4つの格子画像または干渉縞画
    像を順次取得してそれぞれ対応する第1〜第4フレーム
    メモリに更新しながら格納し、これら第1〜第4フレー
    ムメモリに格納された各画像の対応する画素の輝度差に
    基づいて、予め演算して求めた位相値に対応する輝度値
    を格納する位相算出マップから対応する位相値の輝度値
    を画素毎に読み出して、前記試料の位相分布画像をリア
    ルタイムで得ることを特徴とするリアルタイム形状変形
    計測方法。
  2. 【請求項2】 前記試料の位相分布画像の取得と同様に
    して、前記試料に対して基準となる基準位相分布画像を
    予め取得して第5フレームメモリに格納し、その基準位
    相分布画像と前記試料の位相分布画像との差を演算し
    て、位相差分布画像をリアルタイムで得ることを特徴と
    する請求項1に記載のリアルタイム形状変形計測方法。
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