JP3265401B2 - スリップフォーム装置 - Google Patents

スリップフォーム装置

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JP3265401B2
JP3265401B2 JP18464692A JP18464692A JP3265401B2 JP 3265401 B2 JP3265401 B2 JP 3265401B2 JP 18464692 A JP18464692 A JP 18464692A JP 18464692 A JP18464692 A JP 18464692A JP 3265401 B2 JP3265401 B2 JP 3265401B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高さ方向の断面寸法
や壁厚が変化する塔状構造物のコアなどに適用するスリ
ップフォーム装置、すなわち、装置全体をクライミング
ジャッキによりクライミングロッドに沿い上昇させるこ
とができるようにしてなるスリップフォーム装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図8は、煙突などのコンクリート壁を途
中まで構築している状態の従来のスリップフォーム装置
の使用例を示す全体図、図9は、同上のスリップフォー
ム装置の一例を示す断面図で、図において、1は塔状構
造物である煙突などの構築中のコンクリート壁cの周り
に配置されるスリップフォーム装置で、このスリップフ
ォーム装置1は作業ステージとなるトラス2に水平移動
可能にかつ揺動自在に吊設されたものである。
【0003】3a,3bは、コンクリート壁cを挟んで
縦方向にそれぞれ設けられる外側柱材および内側柱材
で、このうちの外側柱材3aの上端はトラス下側材2b
に沿って水平移動可能に設けられた上部水平梁4に枢支
され、内側柱材3bの上端はトラス上側材2aから吊設
し、その中間は上部水平梁4に枢支されている。5は案
内レールとしてのトラス下側材2bに上部水平梁4を水
平移動可能に吊設させる吊り腕で、この吊り腕5にはト
ラス下側材2bに沿って転動する可動ローラー6が軸支
されている。
【0004】7は外側柱材3aと内側柱材3bとに架設
されたジャッキ受け梁、8はコンクリート壁cと外側柱
材3aとの間に介挿配置される補助柱材で、この補助柱
材8には腹起し9,9…を介してせき板10aが取り付
けられ、上記補助柱材8が腹起し9,9…およびせき板
10aを介してコンクリート壁cを押圧している。同様
に内側柱材3bにも腹起し9,9…を介してせき板10
bが取り付けられ、上記内側柱材3bが腹起し9,9…
およびせき板10bを介してコンクリート壁cを押圧し
ている。そして、ジャッキ受け梁7、外側柱材3a、内
側柱材3bおよび上部水平梁4は井桁状に組み合わさ
れ、トラス2のトラス下側材2bに沿って水平移動す
る。
【0005】11はトラス2の中央に設置したタワーク
レーン、12はジャッキ受け梁7に装着されたクライミ
ングジャッキで、このクライミングジャッキ12はネジ
付きのクライミングロッド12aに沿ってクライミング
してスリップフォーム装置1全体を上昇させる。
【0006】13,13は手動操作により壁厚を調整す
る壁厚調整装置で、この壁厚調整装置13,13は外側
柱材3aと補助柱材8とに架設され、腹起し9,9…を
介してせき板10aをコンクリート壁cに押圧する。1
4はスリップフォーム装置1をトラス2に沿って水平移
動させて煙突などの塔状構造物の直径を調整する径調整
用ジャッキ、15は柱材角度調整用のターンバックル、
16は上部水平梁4に上端を枢支させた縦材で、この縦
材16は外側柱材3aおよび内側柱材3bに平行に設け
られている。17は縦材16、外側柱材3aおよび内側
柱材3bの中間と下端とにピン結合により架設された足
場である。
【0007】しかして、コンクリート壁cを形成するに
は、径調整用ジャッキ14を調整し、スリップフォーム
装置1をトラス2に沿って水平移動して塔状構造物の直
径寸法を調整する。また、壁厚調整装置13,13によ
って腹起し9,9…およびせき板10aを水平移動させ
て壁厚を適宜調整する。そして、内外のせき板10a,
10b間にコンクリートを打設し、コンクリートが固化
したのちにクライミングシャッキ12によってスリップ
フォーム装置1を上昇させる一連の作業を繰り返し行
う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のスリッ
プフォーム装置はジャッキ受け梁7が外側柱材3aと内
側柱材3bとを連結した構成であるために、ジャッキ受
け梁7の長さによってコンクリート壁cの壁厚が限定さ
れてしまうという課題があった。また、埋め殺しパネル
を用いてコンクリート壁cの一面を形成する場合、ジャ
ッキ受け梁7が外側柱材3aと内側柱材3bとを連結し
て架設されているため、大きな埋め殺しパネルを用いる
ことはできないという課題があった。
【009】さらに、中間の足場17とジャッキ受け梁7
との間の高さが余りないために、せき板10a,10b
の間で鉄筋を組み立てる作業がしにくく、大きな制約を
受けるという課題があった。また、壁厚の調整は壁厚調
整装置13,13を手動で操作するため、施工精度が悪
く、また操作員を多数必要とするという課題があった。
【0010】この発明の目的は、コンクリート壁の壁厚
が限定を受けることなく、大きな埋め殺しパネルを使用
でき、鉄筋の組み立てを容易に行えるようにし、かつ壁
厚を精度よく調整できるようにしたスリップフォーム装
置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明ス
リップフォーム装置は、次の各構成からなる。
【0012】(1−1)内側柱材18と縦材31との間
に内側ヨーク用上部水平梁19,19、中段床34およ
び下段床35をピン結合して構成した内側ヨークを、作
業ステージであるトラス2のコンクリート壁cより内側
に位置する部分に、水平移動および揺動自在に吊設して
いること。 (1−2)上記内側ヨークを上記トラス2に沿って水平
移動させる自動操作の内側ヨーク用径および壁厚調整ジ
ャッキ24を、上記内側ヨーク用上部水平梁19,19
に搭載していること。 (1−3)上記トラス2のトラス下側材2bに複数のボ
ールネジ固定ブロック用孔2c、2c・・・を所要の間
隔で穿設し、その複数のボールネジ固定ブロック用孔2
c、2c・・・のうちの任意のものに上記内側ヨーク用
径および壁厚調整ジャッキ24のボールネジ固定ブロッ
ク30を取り付けることにより、該ジャッキ24を任意
の位置に盛り変えることができるようにしていること。
【0013】(2−1)外側柱材37と縦材41との間
に外側ヨーク用上部水平梁38,38、中段床44およ
び下段床45をピン結合して構成した外側ヨークを、作
業ステージであるトラス2のコンクリート壁cより外側
に位置する部分に、上記内側ヨークとは分離独立させ
て、水平移動および揺動自在に吊設していること。 (2−2)その外側ヨークを上記トラス2に沿って水平
移動させる自動操作の外側ヨーク用径および壁厚調整ジ
ャッキ40を、上記外側ヨーク用上部水平梁38,38
に搭載していること。 (2−3)上記トラス2のトラス下側材2bに複数のボ
ールネジ固定ブロック用孔を所要の間隔で穿設し、その
複数のボールネジ固定ブロック用孔のうちの任意のもの
に、上記外側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ40の
ボールネジ固定ブロックを取り付けることにより、該ジ
ャッキ40を任意の位置に盛り変えることができるよう
にしていること。
【0014】(3)上記内側ヨークに、内側ヨーク用上
部水平梁19,19、中段床34および下段床35を水
平に維持したまま内側柱材18と縦材13の傾斜勾配を
調整する勾配調整用ターンバックル36を付設し、ま
た、上記外側ヨークに、外側ヨーク用上部水平梁38,
38、中段床44および下段床45を水平に維持したま
ま外側柱材37と縦材41の傾斜勾配を調整する勾配調
整用ターンバックル46を、付設したこと。
【0015】(4)上記内側柱材18および外側柱材3
7のうちのいずれか一方にだけジャッキ受け梁22を取
り付け、そのジャッキ受け梁22に装着したクライミン
グジャッキ23を、上記コンクリート壁cに植立したネ
ジ付きのクライミングロッド23bに沿ってクライミン
グさせて装置全体を上昇させることができるようにした
こと。
【0016】(5)上記内側柱材18および外側柱材3
7のうちのいずれか一方あるいは両方に上記コンクリー
ト壁cを押圧するように腹起し9を介してせき板10b
を取り付けたこと。
【0017】請求項2記載の本発明スリップフォーム装
置は、次の各構成からなる。
【0018】(1−1)内側柱材18と縦材31との間
に内側ヨーク用上部水平梁19,19、中段床34およ
び下段床35をピン結合して構成した内側ヨークを、作
業ステージであるトラス2のコンクリート壁cより内側
に位置する部分に、水平移動および揺動自在に吊設して
いること。 (1−2)上記内側ヨークを上記トラス2に沿って水平
移動させる自動操作の内側ヨーク用径および壁厚調整ジ
ャッキ24を、上記内側ヨーク用上部水平梁19,19
に搭載していること。 (1−3)上記トラス2のトラス下側材2bに複数のボ
ールネジ固定ブロック用孔2c、2c・・・を所要の間
隔で穿設し、その複数のボールネジ固定ブロック用孔2
c、2c・・・のうちの任意のものに上記内側ヨーク用
径および壁厚調整ジャッキ24のボールネジ固定ブロッ
ク30を取り付けることにより、該ジャッキ24を任意
の位置に盛り変えることができるようにしていること。
【0019】(2−1)外側柱材37と縦材41との間
に外側ヨーク用上部水平梁38,38、中段床44およ
び下段床45をピン結合して構成した外側ヨークを、作
業ステージであるトラス2のコンクリート壁cより外側
に位置する部分に、上記内側ヨークとは分離独立させ
て、水平移動および揺動自在に吊設していること。 (2−2)その外側ヨークを上記トラス2に沿って水平
移動させる自動操作の外側ヨーク用径および壁厚調整ジ
ャッキ40を、上記外側ヨーク用上部水平梁38,38
に搭載していること。 (2−3)上記トラス2のトラス下側材2bに複数のボ
ールネジ固定ブロック用孔を所要の間隔で穿設し、その
複数のボールネジ固定ブロック用孔のうちの任意のもの
に、上記外側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ40の
ボールネジ固定ブロックを取り付けることにより、該ジ
ャッキ40を任意の位置に盛り変えることができるよう
にしていること。
【0020】(3)上記内側ヨークに、内側ヨーク用上
部水平梁19,19、中段床34および下段床35を水
平に維持したまま内側柱材18と縦材13の傾斜勾配を
調整する勾配調整用ターンバックル36を付設し、ま
た、上記外側ヨークに、外側ヨーク用上部水平梁38,
38、中段床44および下段床45を水平に維持したま
ま外側柱材37と縦材41の傾斜勾配を調整する勾配調
整用ターンバックル46を、付設したこと。
【0021】(4)上記内側柱材18および外側柱材3
7のうちのいずれか一方にだけジャッキ受け梁22を取
り付け、そのジャッキ受け梁22に装着したクライミン
グジャッキ23を、上記コンクリート壁cに植立したネ
ジ付きのクライミングロッド23bに沿ってクライミン
グさせて装置全体を上昇させることができるようにした
こと。
【0022】(5)上記内側柱材18および外側柱材3
7のうちのいずれか一方に上記コンクリート壁cを押圧
するように腹起し9を介してせき板10bを取り付けけ
るとともに、他方に取り付けたパネル支持用ローラー4
7を介して上記コンクリート壁cを押圧するように挾持
される埋め殺しパネル48を、コンクリート壁cの所定
位置に設置するために吊り下げるトロリーを装架するパ
ネル移動用ガイドレール49を、内側ヨーク用上部水平
梁19,19または外側ヨーク用上部水平梁38,38
に設置したこと。
【0023】(6)パネル支持用ローラー47を取り付
けた上記内側柱材18または外側柱材37に、上記トロ
リーによりコンクリート壁cの所定位置に設置した上記
埋め殺しパネル48を仮固定するパネル支持金具50を
付設してなること。
【0024】
【作用】この発明におけるスリップフォーム装置は、自
動操作可能な内側ヨーク用および外側ヨーク用の径およ
び壁厚調整ジャッキを用いてコンクリート壁の径寸法お
よび壁厚を調整するとともに、内側ヨークあるいは外側
ヨークのいずれかの柱材に装着したクライミングジャッ
キを用いてクライミングロッドに沿って装置全体を上昇
させるようにしたので、コンクリート壁の壁厚が限定さ
れることなく、鉄筋の組み立てが容易となり、壁厚を精
度よく調整でき、かつ埋め殺しパネルを設置する場合
は、大きな埋め殺しパネルの使用が可能となる。特に、
上記径および壁厚調整ジャッキのボールネジ固定ブロッ
クの固定位置をトラス下側材に穿設したボールネジ固定
ブロック用孔を利用して変更することによって、該ジャ
ッキの据え付け位置をトラスの任意の位置に変更すなわ
ち盛り変えることができるので、コンクリート壁の径寸
法および壁厚の大きな変化にも対応することが可能なも
のである。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。図1はこの発明の一実施例を示す側面図、図2
は同上の正面図、図3は図1のイ部分の拡大正面図、図
4は図1のロ部分の拡大側面図、図5は図1のロ部分の
拡大正面図、図6は図1のハ部分の拡大正面図で、図1
乃至図6において図8および図9と同一または均等な構
成部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0026】18は内側柱材で、この内側柱材18の上
端部は作業ステージであるトラス2のコンクリート壁c
より内側に位置する部分のトラス上側材2aに吊設され
ている。19,19はトラス2のトラス下側材2bに沿
って配置された内側ヨーク用上部水平梁で、この内側ヨ
ーク用上部水平梁19,19の一端側は内側柱材18を
その両側から挟んでいる。20は内側ヨーク用上部水平
梁19,19の外側に取り付けられた支持プレートで、
この支持プレート20の下側は内側柱材18および内側
ヨーク用上部水平梁19,19を貫通する軸20aに止
着されている。21,21はトラス下側材2bに沿って
転動する可動ローラーで、この可動ローラー21,21
は支持プレート20の上側に回転自在に軸支されてい
る。
【0027】22は内側柱材18に装着されたジャッキ
受け梁、23はジャッキ受け梁22に装着されたクライ
ミングジャッキで、このクライミングジャッキ23に
は、コンクリート壁cに植立のさや管23aに挿入した
ネジ付のクライミングロッド23bを貫通させ、そのク
ライミングジャッキ23を作動させることによりトラス
2を含むスリップフォーム装置1全体が上昇するように
してある。
【0028】24は内側ヨーク用上部水平梁19,19
の他端側に取り付けられた固定プレート25上に載置さ
れた内側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキで、この内
側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ24はブレーキ付
ギヤードモーター26の回転をチェーン27を介してベ
アリングケース28のギヤー28aに伝達している。ベ
アリングケース28は内側ヨーク用上部水平梁19に固
着されている。29はギヤー28aに噛合するボールネ
ジで、このボールネジ29はボールネジ固定ブロック3
0に止着されている。そして、ボールネジ固定ブロック
30はトラス下側材2bに穿設された複数のボールネジ
固定ブロック用孔2c,2c…のいずれか任意のものに
取り付けられるようになっている。
【0029】31はトラス下側材2bに沿って水平移動
する縦材で、この縦材31の上端には支え板32が取り
付けられている。33はトラス下側材2bに沿って転動
する可動ローラーで、この可動ローラー33は支え板3
2に回転自在に軸支されている。
【0030】34は内側柱材18と縦材31とに架設さ
れた中段床、35は内側柱材18と縦材31とに架設さ
れた下段床で、内側柱材18および縦材31を縦方向に
平行に立設させ、内側ヨーク用上部水平梁19,19、
中段床34および下段床35を横方向に平行に配置して
ピン結合により内側ヨークを構成している。36は内側
柱材18の傾斜勾配を調整する勾配調整用ターンバック
ルである。
【0031】37は外側柱材で、この外側柱材37の上
端部は作業ステージであるトラス2のコンクリート壁c
より外側に位置する部分のトラス下側材2bに吊設され
ている。38,38はトラス下側材2bに沿って配置さ
れた外側ヨーク用上部水平梁(一方図示省略)で、この
外側ヨーク用上部水平梁38の一端側は外側柱材37を
その両側から挾持している。39は外側ヨーク用上部水
平梁38の外側に取り付けられた支持プレートで、この
支持プレート39の下側は外側柱材37と外側ヨーク用
上部水平梁38とを貫通する軸(図示省略)に止着され
ている。なお、外側柱材37をトラス下側材2bに沿っ
て水平移動させるために可動ローラー21,21を軸支
する構成は内側柱材18を水平移動させるために可動ロ
ーラー21,21を軸支した構成と同様であるので、そ
の説明は省略する。
【0032】40は外側ヨーク用上部水平梁38の他端
側に装着された外側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ
で、この外側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ40の
構成は上記内側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ24
の構成と同一であるので、その説明は省略する。
【0033】41はトラス下側材2bに沿って水平移動
する縦材で、この縦材41の上端には支え板42が取り
付けられている。43はトラス下側材2bに沿って転動
する可動ローラーで、この可動ローラー43は支え板4
2に回転自在に軸支されている。
【0034】44は外側柱材37と縦材41とに架設さ
れた中段床、45は外側柱材37と縦材41とに架設さ
れた下段床で、外側柱材37および縦材41を縦方向に
平行に立設させ、外側ヨーク用上部水平梁38、中段床
44および下段床45を横方向に平行に配置してピン結
合により外側ヨークを構成している。46は外側柱材3
7の傾斜勾配を調整する勾配調整用ターンバックルであ
る。
【0035】47は埋め殺しパネル48をコンクリート
壁cの表面に密着接合させるパネル支持用ローラーで、
このパネル支持用ローラー47は外側柱材37の側面に
回転自在に軸支されている。
【0036】49は埋め殺しパネル48を吊り下げるト
ロリー(図示せず)を設置するパネル移動用ガイドレー
ル、50は埋め殺しパネル48を所定位置に設置後に仮
固定するパネル支持金具である。
【0037】51は塔状構造物の形状に対応して放射状
に設けられたトラス2に沿って水平移動する内側ヨーク
の隣接する相互間を連結する平行リンクで、この平行リ
ンク51の一端は内側柱材18に軸支され、その他端に
はローラー(図示せず)が軸支され、他端が内側柱材1
8に沿って上下に移動して内側柱材18の間隔を調節す
ることができる。
【0038】まず、内側ヨーク用径および壁厚調整ジャ
ッキ24のブレーキ付ギヤードモーター26を回転させ
てギアー28aを回転させることによりボールネジ29
の螺合位置に対してベアリングケース28を適宜進退さ
せる。そして、内側柱材18をトラス2に沿って水平移
動させて内側柱材18に腹起し9,9…を介在させて取
り付けられたせき板10bを既設のコンクリート壁cに
密接させる。
【0039】次いで、内側柱材18の位置を基準として
外側柱材37とコンクリート壁cとの間に埋め殺しパネ
ル48を介在させ、パネル支持ローラー47によって埋
め殺しパネル48を支持しながら外側ヨーク用径および
壁厚調整ジャッキ40を、内側ヨーク用径および壁厚調
整ジャッキ24の場合と同様に適宜進退させて外側柱材
37をトラス2に沿って水平移動させ、塔状構造物であ
るコンクリート壁cの径および壁厚を設定させる。
【0040】さらに、内側ヨーク用上部水平梁19,1
9に対する内側柱材18の勾配を、勾配調整用ターンバ
ックル36を適宜調整して所望の角度に設定する。同様
に、外側ヨーク用上部水平梁38に対する外側柱材37
の勾配を、勾配調整用ターンバックル46を適宜調整し
て所望の角度に設定する。
【0041】そして、埋め殺しパネル48とせき板10
bとの間にクライミングロッド23bを埋設させた状態
でコンクリートを打設し、コンクリートが固化したのち
にクライミングロッド23bに沿ってスリップフォーム
装置1を上昇させる。次いで、パネル移動用ガイドレー
ル49に設置されたトロリーより新たな埋め殺しパネル
48を吊り下げ、これをパネル支持用ローラー47とコ
ンクリート壁cとの間に介在させ、パネル支持金具50
に埋め殺しパネル48の上端を仮止めする。
【0042】内側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ2
4と外側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ40とを、
必要に応じて可変させ、塔状構造物の壁厚および直径を
設定するとともに、既設のコンクリート壁cの側面に新
たな埋め殺しパネル48およびせき板10bを密着させ
る。そののち、コンクリートを埋め殺しパネル48とせ
き板10bとの間に打設し、コンクリートの固化を待っ
てスリップフォーム装置1を上昇させ、再度新たな埋め
殺しパネル48を補充して塔状構造物の壁厚および直径
を設定する一連の作業を行う。このような操作を繰り返
して塔状構造物を所定の高さまで建築する。
【0043】上記において、内側柱材18したがってま
た内側ヨークをトラス2に沿って水平移動させて、コン
クリート壁cの径や壁厚に対応設定する操作は、内側ヨ
ーク用径および壁厚調整ジャッキ24のベアリングケー
ス28をボールネジ29に適宜進退させて行っている
が、このベアリングケース28の進退だけで対応できな
い大きな移動を必要な場合には、ボールネジ固定ブロッ
ク30を、トラス下側材2bに穿設された複数のボール
ネジ固定ブロック用孔2c,2c…の所要のものに付け
替えることによって、すなわち、上記ジャッキ24自体
のトラス2に対する据え付け位置を変更すること、換言
すると、ジャッキ24の盛り変えをすることにより対応
する。
【0044】上記実施例によれば、埋め殺しパネル48
の装着をパネル移動用ガイドレール49に設置されたト
ロリーより吊り下げることで、足場などを仮設する必要
がなくなり、省力化施工が可能となる。また、径寸法お
よび壁厚を調整するためのジャッキの数を減らすことが
できるとともに、大型の埋め殺しパネルを使用すること
ができ、鉄筋の組み立てが容易に行え、コンクリートの
打設能率を向上させることができる。
【0045】上記実施例では、埋め殺しパネル48をパ
ネル支持用ローラー47により支持するようにしたが、
このパネル支持用ローラーに代えてバネ構造体により埋
め殺しパネル48を支持するようにしてもよい。
【0046】次に図7に示す他の実施例を説明する。こ
の実施例のスリップフォーム装置は外側柱材37に腹起
し9,9…を介してせき板10aを取り付けたもので、
他の構成は上記実施例と同一に構成したものであり、同
一または均等な構成部分には同一符号を付してその説明
を省略する。すなわち、図7に示すスリップフォーム装
置はコンクリート壁cを所謂両面せき板10a,10b
により形成させるようにしたものである。なお、コンク
リート壁cの外側面に埋め殺しパネルを張り付ける構成
の片面せき板に代えて内側面に埋め殺しパネルを張り付
ける構成の片面せき板にすることも容易にできる。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したところから明らかなよう
に、本発明によれば次のような効果を奏する。
【0048】内側ヨークと外側ヨークとが分離独立
し、かつ内側ヨークと外側ヨークとがそれぞれの径およ
び壁厚調整ジャッキにより各別に調整できる構成なの
、壁厚が限定されることなく、従来必要としていた補
助柱材およびこの補助柱材と外側柱材とに架設された壁
厚調整装置が不必要となる。
【0049】径の調整および壁厚の調整を自動的に動
作する径および壁厚調整ジャッキにより行うようにした
ので、精度よく壁厚を調整できる。
【0050】上記径および壁厚調整ジャッキのボール
ネジ固定ブロックの固定位置をトラス下側材に穿設した
ボールネジ固定ブロック用孔を利用して変更することに
よって、該ジャッキの据え付け位置をトラスの任意の位
置に変更すなわち盛り変えることができるので、コンク
リート壁の径寸法および壁厚の大きな変化にも対応する
ことが可能である。
【0051】内側ヨークと外側ヨークとを連結するジ
ャッキ受け梁がなくなったので、せき板の前面での鉄筋
の組み立てが容易となり、コンクリートの打設能率の向
上が計れるとともに、コンクリート壁の片面に埋め殺し
パネルを設置する場合は、大型の埋め殺しパネルを用い
ることができる。
【0052】内側ヨークを、内側柱材と縦材との間に
内側ヨーク用上部水平梁、中段床および下段床をピン結
合して構成し、また、外側ヨークを、外側柱材と縦材と
の間に外側ヨーク用上部水平梁、中段床および下段床を
同じくピン結合して構成しているので、勾配調整用ター
ンバックルによって、内、外側柱材と各縦材の傾斜勾配
を調整する場合にも、各ヨークの上部水平梁、中段床お
よび下段床を水平に維持でき、該調整作業を効率よく簡
単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るスリップフォーム装置の一実施
例を示す側面図である。
【図2】同上の正面図である。
【図3】同上のイ部分の拡大正面図である。
【図4】同上のロ部分の拡大側面図である。
【図5】同上のロ部分の拡大正面図である。
【図6】同上のハ部分の拡大正面図である。
【図7】この発明に係るスリップフォーム装置の他の実
施例を示す側面図である。
【図8】煙突などのコンクリート壁を途中まで構築して
いる状態の従来のスリップフォーム装置の使用例を示す
全体図である。
【図9】従来のスリップフォーム装置の一例を示す断面
図である。
【符号の説明】
c コンクリート壁 2 トラス 2b トラス下側材 2c ボールネジ固定ブロック用孔 9 腹起し 10a せき板 10b せき板 18 内側柱材縦材 19 内側ヨーク用上部水平梁 22 ジャッキ受け梁 23 クライミングジャッキ 23b クライミングロッド 24 内側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ 30 ボールネジ固定ブロック 31 縦材 34 中段床 35 下段床 36 勾配調整用ターンバックル 37 外側柱材 38 外側ヨーク用上部水平梁 40 外側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ 41 縦材 44 中段床 45 下段床 46 勾配調整用ターンバックル 47 パネル支持ローラー 48 埋め殺しパネル 49 パネル移動用ガイドレール 50 パネル支持金具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴村 雄三 東京都千代田区三番町2番地 飛島建設 株式会社内 (72)発明者 笠井 和弘 東京都千代田区三番町2番地 飛島建設 株式会社内 (72)発明者 佐藤 暁生 東京都千代田区三番町2番地 飛島建設 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭50−35930(JP,A) 特開 昭59−122666(JP,A) 実願 昭56−125271号(実開 昭58− 31346号)の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム (JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】装置全体をクライミングジャッキによりク
    ライミングロッドに沿い上昇させることができるように
    してなるスリップフォーム装置において、 (1−1)内側柱材18と縦材31との間に内側ヨーク
    用上部水平梁19,19、中段床34および下段床35
    をピン結合して構成した内側ヨークを、作業ステージで
    あるトラス2のコンクリート壁cより内側に位置する部
    分に、水平移動および揺動自在に吊設していること、 (1−2)上記内側ヨークを上記トラス2に沿って水平
    移動させる自動操作の内側ヨーク用径および壁厚調整ジ
    ャッキ24を、上記内側ヨーク用上部水平梁19,19
    に搭載していること、 (1−3)上記トラス2のトラス下側材2bに複数のボ
    ールネジ固定ブロック用孔2c、2c・・・を所要の間
    隔で穿設し、その複数のボールネジ固定ブロック用孔2
    c、2c・・・のうちの任意のものに上記内側ヨーク用
    径および壁厚調整ジャッキ24のボールネジ固定ブロッ
    ク30を取り付けることにより、該ジャッキ24を任意
    の位置に盛り変えることができるようにしていること、 (2−1)外側柱材37と縦材41との間に外側ヨーク
    用上部水平梁38,38、中段床44および下段床45
    をピン結合して構成した外側ヨークを、作業ステージで
    あるトラス2のコンクリート壁cより外側に位置する部
    分に、上記内側ヨークとは分離独立させて、水平移動お
    よび揺動自在に吊設していること、 (2−2)その外側ヨークを上記トラス2に沿って水平
    移動させる自動操作の外側ヨーク用径および壁厚調整ジ
    ャッキ40を、上記外側ヨーク用上部水平梁38,38
    に搭載していること、 (2−3)上記トラス2のトラス下側材2bに複数のボ
    ールネジ固定ブロック用孔を所要の間隔で穿設し、その
    複数のボールネジ固定ブロック用孔のうちの任意のもの
    に、上記外側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ40の
    ボールネジ固定ブロックを取り付けることにより、該ジ
    ャッキ40を任意の位置に盛り変えることができるよう
    にしていること、 (3)上記内側ヨークに、内側ヨーク用上部水平梁1
    9,19、中段床34および下段床35を水平に維持し
    たまま内側柱材18と縦材13の傾斜勾配を調整する勾
    配調整用ターンバックル36を付設し、また、上記外側
    ヨークに、外側ヨーク用上部水平梁38,38、中段床
    44および下段床45を水平に維持したまま外側柱材3
    7と縦材41の傾斜勾配を調整する勾配調整用ターンバ
    ックル46を、付設したこと、 (4)上記内側柱材18および外側柱材37のうちのい
    ずれか一方にだけジャッキ受け梁22を取り付け、その
    ジャッキ受け梁22に装着したクライミングジャッキ2
    3を、上記コンクリート壁cに植立したネジ付きのクラ
    イミングロッド23bに沿ってクライミングさせて装置
    全体を上昇させることができるようにしたこと、 (5)上記内側柱材18および外側柱材37のうちのい
    ずれか一方あるいは両方に上記コンクリート壁cを押圧
    するように腹起し9を介してせき板10bを取り付けた
    ことを特徴とするスリップフォーム装置。
  2. 【請求項2】装置全体をクライミングジャッキによりク
    ライミングロッドに沿い上昇させることができるように
    してなるスリップフォーム装置において、 (1−1)内側柱材18と縦材31との間に内側ヨーク
    用上部水平梁19,19、中段床34および下段床35
    をピン結合して構成した内側ヨークを、作業ステージで
    あるトラス2のコンクリート壁cより内側に位置する部
    分に、水平移動および揺動自在に吊設していること、 (1−2)上記内側ヨークを上記トラス2に沿って水平
    移動させる自動操作の内側ヨーク用径および壁厚調整ジ
    ャッキ24を、上記内側ヨーク用上部水平梁19,19
    に搭載していること、 (1−3)上記トラス2のトラス下側材2bに複数のボ
    ールネジ固定ブロック用孔2c、2c・・・を所要の間
    隔で穿設し、その複数のボールネジ固定ブロック用孔2
    c、2c・・・のうちの任意のものに上記内側ヨーク用
    径および壁厚調整ジャッキ24のボールネジ固定ブロッ
    ク30を取り付けることにより、該ジャッキ24を任意
    の位置に盛り変えることができるようにしていること、 (2−1)外側柱材37と縦材41との間に外側ヨーク
    用上部水平梁38,38、中段床44および下段床45
    をピン結合して構成した外側ヨークを、作業ステージで
    あるトラス2のコンクリート壁cより外側に位置する部
    分に、上記内側ヨークとは分離独立させて、水平移動お
    よび揺動自在に吊設していること、 (2−2)その外側ヨークを上記トラス2に沿って水平
    移動させる自動操作の外側ヨーク用径および壁厚調整ジ
    ャッキ40を、上記外側ヨーク用上部水平梁38,38
    に搭載していること、 (2−3)上記トラス2のトラス下側材2bに複数のボ
    ールネジ固定ブロック用孔を所要の間隔で穿設し、その
    複数のボールネジ固定ブロック用孔のうちの任意のもの
    に、上記外側ヨーク用径および壁厚調整ジャッキ40の
    ボールネジ固定ブロックを取り付けることにより、該ジ
    ャッキ40を任意の位置に盛り変えることができるよう
    にしていること、 (3)上記内側ヨークに、内側ヨーク用上部水平梁1
    9,19、中段床34および下段床35を水平に維持し
    たまま内側柱材18と縦材13の傾斜勾配を調整する勾
    配調整用ターンバックル36を付設し、また、上記外側
    ヨークに、外側ヨーク用上部水平梁38,38、中段床
    44および下段床45を水平に維持したまま外側柱材3
    7と縦材41の傾斜勾配を調整する勾配調整用ターンバ
    ックル46を、付設したこと、 (4)上記内側柱材18および外側柱材37のうちのい
    ずれか一方にだけジャッキ受け梁22を取り付け、その
    ジャッキ受け梁22に装着したクライミングジャッキ2
    3を、上記コンクリート壁cに植立したネジ付きのクラ
    イミングロッド23bに沿ってクライミングさせて装置
    全体を上昇させることができるようにしたこと、 (5)上記内側柱材18および外側柱材37のうちのい
    ずれか一方に上記コンクリート壁cを押圧するように腹
    起し9を介してせき板10bを取り付けけるとともに、
    他方に取り付けたパネル支持用ローラー47を介して上
    記コンクリート壁cを押圧するように挾持される埋め殺
    しパネル48を、コンクリート壁cの所定位置に設置す
    るために吊り下げるトロリーを装架するパネル移動用ガ
    イドレール49を、内側ヨーク用上部水平梁19,19
    または外側ヨーク用上部水平梁38,38に設置したこ
    と、 (6)パネル支持用ローラー47を取り付けた上記内側
    柱材18または外側柱材37に、上記トロリーによりコ
    ンクリート壁cの所定位置に設置した上記埋め殺しパネ
    ル48を仮固定するパネル支持金具50を付設してなる
    ことを特徴とするスリップフォーム装置。
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