JP3264455B2 - 硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

硬質ポリウレタンフォームの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリウレタンフォームの
製造方法に関する。更に詳しくは発泡剤としての特定フ
ロン、クロロフルオロカーボン類の使用量を低減、或は
代替した上で良好な強度を有し、しかも熱伝導率の低い
ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタンフォーム、特に硬質ウレタ
ンフォームは断熱特性、低温寸法安定性に優れているた
め、冷蔵庫、冷凍倉庫、建築用等の断熱材として、広範
囲に使用されている。周知の通り、ポリイソシアナート
化合物と活性水素基を2以上有する活性水素化合物を発
泡剤の存在下で反応させてポリウレタンフォームを製造
することは広く行われている。重合反応の際の発熱によ
り発泡剤が気化し微細なセルを有する低密度発泡体が得
られる。これらの反応は通常、ポリイソシアナート化合
物と、発泡剤、整泡剤、触媒等の必要な添加剤を予め溶
解せしめた活性水素化合物との2液を発泡機を通して衝
突混合して金型内に注入して行われる。得られたポリウ
レタンフォームの性状はポリイソシアナート原料と活性
水素化合物原料を適宜選択することにより決定される。
従来、硬質ポリウレタンフォーム用の活性水素化合物と
してはポリヒドロキシ化合物や、ポリアミン化合物が知
られている。ポリヒドロキシ化合物の1例としてショ糖
/グリセリン/トリレンジアミン混合物にプロピレンオ
キシドを付加したポリエーテルポリオール等が知られて
いる。これら従来公知のポリエーテルポリオールはトリ
クロロフルオロメタン(以下R−11と略)と適度な溶
解性を有しておりR−11を発泡剤として使用すること
により非常に微細なセル構造を有する熱伝導率の低い硬
質ポリウレタンフォームを製造することが可能である。
すなわち、従来から発泡剤としてはその優れた発泡特性
からR−11が好適に使用されている。またR−11に
代表されるクロロフルオロカーボン類を使用することに
よってレジン原料の低粘度化が可能となり、作業性のみ
ならずイソシアナートとの混合性が改良されるという利
点もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら近年、ク
ロロフルオロカーボン類はきわめて安定であるために地
表で分解されずに成層圏にまで到達し有害な紫外線をカ
ットしているオゾン層を破壊することが報告された。そ
のため地球のオゾン層保護のため、クロロフルオロカー
ボン類の使用規制が考えられ、現在実施されようとして
いる。この規制対象には今まで硬質ウレタンフォーム用
発泡剤として用いられていたR−11も含まれている。
これら特定フロンは1995年末に全廃されることが既
に決まっている。そのためにR−11にかわる発泡剤と
してモノクロロジフルオロメタン(以下R−22と
略)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(以下R
−142bと略)、2,2−ジクロロ−1,1,1−ト
リフルオロエタン(以下R−123と略)、1,1−ジ
クロロ−1−フルオロエタン(以下R−141bと略)
等のオゾン破壊係数(以下ODPと略)の低いクロロフ
ルオロカーボン類、更には1,1,1,2−テトラフル
オロエタン(以下R−134aと略)等のODPがゼロ
のHCFC類(以下代替フロン類と総称する)の開発が
急がれている。これに伴ってこれらの発泡剤を使用した
ウレタンフォームの開発が急務となっているのは周知の
通りである。
【0004】しかしながら、発泡剤として上記代替フロ
ン類を使用した場合、従来のR−11を用いて発泡した
フォ−ムに比べ、 1)初期の反応性が遅延され 2)発泡効率が低下し 3)低温寸法安定性及び圧縮強度等のフォーム物性が低
下する。 4)熱伝導率(Kファクター)が高くなる 5)レジンプレミックス粘度の低下 等の種々の問題が生じ、従来の硬質ウレタンフォ−ムの
原料では実用に適合した良好なフォームが得られない。
本発明は上記の問題点を改良する目的でなされたもので
あり、その目的は代替フロン類を使用した場合でも良好
な強度を有し、且つ熱伝導率の低いポリウレタンフォー
ムの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成する為に鋭意検討した結果、ポリオール原料として
特定のウレタン基含有ポリオールを使用するならば、R
−11に代わる代替フロン類を発泡剤として使用した場
合でも前述した1)〜5)の問題点をすべて解決する良
好なポリウレタンフォームを製造することが可能である
との知見を得、本発明の完成に至った。すなわち、本発
明は有機ポリイソシアナート、ポリオール、発泡剤、触
媒、整泡剤及びその他助剤から製造される硬質ポリウレ
タンフォームにおいて、ポリオールの1部が少なくとも
2以上のヒドロキシル基を有するヒドロキシル価が80
0〜2000のアルキレングリコールに、アルキレング
リコールに対して1/2当量及びまたはそれ以下のイソ
シアナート基を少なくとも2以上含有する有機ポリイソ
シアナートを反応させて得られたものであり、その使用
量がポリオール100重量部当り1〜70重量部であっ
て、発泡剤として、ハイドロクロロフルオロカーボンを
使用することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームに
関する。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
使用される有機ポリイソシアナート原料としては公知の
ものがすべて使用できるが、最も一般的なものはトルエ
ンジイソシアナート(以下TDIと略)及びまたはジフ
ェニルメタンジイソシアナート(以下MDIと略)であ
る。TDIは異性体の混合物すなわち2,4−体100
%品、2,4−体/2,6−体=80/20及びまたは
65/35(それぞれ重量比)等のものをはじめ、三井
TDI−TRCとして知られる多官能性のタールを含有
する、いわゆる粗TDIも使用できる。また、MDIと
しては、4,4’−体を主成分とする純品の他に、3核
体以上の多核体を含有する商品名三井コスモネートM−
200等のいわゆるポリメリックMDIが特に好適に使
用される。またこれら有機ポリイソシアナートと後述の
ポリオールより得られるイソシアナート基を分子末端に
有するプレポリマーも有機ポリイソシアナートの一部ま
たは全部として使用できる。
【0007】本発明に使用されるウレタン基含有ポリオ
ールとしては少なくとも2以上のヒドロキシル基を有す
るヒドロキシル価が800〜2000のアルキレングリ
コールに、アルキレングリコールに対して1/2当量及
びまたはそれ以下のイソシアナート基を少なくとも2以
上含有する有機ポリイソシアナートを反応させて得られ
たものである。
【0008】ウレタン基含有ポリオールを合成する際に
使用される有機ポリイソシアナートとしてはTDI
(2,4−トリレンジイソシアナート及び/または2,
6−トリレンジイソシアナート)が好ましく使用され
る。また4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート
単独および上記イソシアナートとの任意の比率での混合
物も使用できる。ウレタン基含有ポリオールを合成する
際に使用されるポリオールとしては少なくとも2以上の
ヒドロキシル基を有するヒドロキシル価800〜200
0の低分子量アルキレングリコールが使用できる。具体
的には、モノエチレングリコール、モノプロピレングリ
コール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、グリセリン及びジグリセリンから選ばれる1種類ま
たは2種類以上の混合物である。
【0009】低分子量アルキレングリコール成分はフロ
ンとの相溶性及び官能基数の観点により適宜決定され
る。例えばR−123或は141bのようにR−11よ
りもポリオールに対する溶解性が優れている場合は親水
性の強いモノエチレングリコール、及び/またはジエチ
レングリコールが好ましく選択される。またR−123
或はR−141bを発泡剤として使用した場合、R−1
1と比べて低温寸法安定成が著しく低下する。この場合
は官能基数の高いグリセリンを使用することにより改良
効果が認められる。低分子量アルキレングリコールは脱
水乾燥後使用することが好ましいが系中に存在する微量
水分を意図的に反応させても良い。この場合ウレア結合
を一部有することになる。また上記ポリオール中に含ま
れるウレタン及びウレア結合に対してアロファネート及
びビュレット反応が起こる様な条件で反応をさせても良
い。
【0010】これらのウレタン基含有ポリオールは、あ
る組成においては不安定であるが、安定化する目的で末
端水酸基、及び/または末端アルキル基を有する有機珪
素系その他の界面活性剤を反応時に添加することにより
安定なウレタン基含有ポリオールを得ることができる。
またこれらウレタン基含有ポリオールの粘度は水酸基価
の設定により適宜決定される。特にR−123,R−1
41bの様に従来のR−11と比較してポリエーテルポ
リオールと相溶性の良い代替フロンはレジンプレミック
スにした場合の粘度の低下が顕緒である。そのため発泡
時にスプラッシュ状になり良好なフォームが出来ない場
合がある。この場合変成率を上げることによりレジン粘
度の低下を抑制することが可能となる。また、上記記載
のウレタン基含有ポリオールを使用することにより、い
わゆる蛇行(フォーム先端部の巻き込み)についても改
良効果が認められる。
【0011】上記ウレタン基含有ポリオールと併用して
本発明に使用されるポリオールとしては公知のものがす
べて使用できるが、ショ糖/グリセリン/トリレンジア
ミン混合物にプロピレンオキシドを付加した水酸基価4
50mgKOH/gのポリオールが好適である。それ以
外に例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソル
ビトール、ショ糖等の多価アルコール、トリレンジアミ
ン等の芳香族アミン類やエチレンジアミン、トリエタノ
ールアミン等の脂肪族アミン類の単独または混合系にア
ルキレンオキシドを付加重合させて得たヒドロキシル価
350−800mgKOH/gのポリエーテルポリオー
ル等がある。
【0012】本発明に使用される触媒としては公知のも
のがすべて使用できるが、例えばトリエチルアミン、ト
リプロピルアミン、Nーメチルモルフォリン、Nーエチ
ルモルフォリン、トリエチレンジアミン、テトラメチル
ヘキサメチレンジアミン等のアミン系ウレタン化触媒が
使用できる。これらの触媒は、単独で、または混合して
用いることができ、その使用量は活性水素をもつ化合物
100部に対して0.0001〜20.0部が適当であ
る。整泡剤としては、従来公知の有機珪素系の界面活性
剤が用いられる。例えば、日本ユニカ−社製のL−54
20、L−5421等、東レダウコーニングシリコーン
社製のSH−193等、信越化学工業社製のF−32
7、F−345、F−305等が適当である。これらの
整泡剤の使用量は、活性水素を持つ化合物と有機ポリイ
ソシアナートの総和100部に対して0.1〜10部で
ある。その他難燃剤、可塑剤、安定剤、着色剤等を必要
に応じて添加することができる。
【0013】本発明を実施するには、ポリオール、触
媒、発泡剤、整泡剤の所定量を混合してレジン液とす
る。レジン液と有機ポリイソシアナートとを一定の比率
で高速混合し得られたポリウレタンフォーム原液を空隙
または型に注入する。この際、有機ポリイソシアナート
とレジン液の活性水素との当量比(NCO/OH)が
0.7:1〜5:1となるように有機ポリイソシアナー
トとレジン液との液比を調整する。
【0014】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明するが本発明は、その要旨を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。。実施例
及び比較例において、使用した原料は以下に記載した。 イソシアナート−1.:三井東圧化学(株)製 コスモネート T−80 2,4−トリレンジイソシアナート80重量%と2,6
−トリレンジイソシアナート20重量%の混合物。 NCO%:48.3 イソシアナート−2.:三井東圧化学(株)製、コスモ
ネート M−200、粗ジフェニルメタンジイソシアナ
ート、NCO%:31.3
【0015】 プロピレングリコール:三井東圧化学(株)製、水酸基
価:1476mgKOH/g。 エチレングリコール :三井東圧化学(株)製、水酸基
価:1808mgKOH/g。 ポリオール−A :ショ糖/グリセリン/トリレン
ジアミンの混合物にプロピレンオキシドを付加したポリ
エーテルポリオール。水酸基価:450mgKOH/
g。 ポリオール−B :モレキュラシーブ400Aによ
り1昼夜、脱水乾燥したジエチレングリコール100重
量部にイソシアナート−1、70.0重量部を、80℃
を越えないように注意しながら攪拌添加した。すべて添
加し終わった後、80℃で1.5hr窒素雰囲気下で反
応させた。冷却後排出しこれをポリオール−Bとした。
水酸基価:350mgKOH/g ポリオール−C :モレキュラシーブ400Aによ
り1昼夜、脱水乾燥したモノエチレングリコール100
重量部にイソシアナート−1、67.0重量部を、80
℃を越えないように注意しながら攪拌添加した。すべて
添加し終わった後、80℃で1.5hr窒素雰囲気下で
反応させた。冷却後排出しこれをポリオール−Cとし
た。水酸基価:820mgKOH/g
【0016】 整泡剤 :日本ユニカー(株)製 L−5
420 触媒 :活剤ケミカル(株)製 Min
ico TMHD 発泡剤(フロン) R−11 :トリクロロフルオロメタン R−123 :2、2−ジクロロ−1、1、1
−トリフルオロエタン R−141b :1、1−ジクロロ−1−フルオ
ロエタン 実施例及び比較例をまとめて表1及び表2に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】実施例1〜12及び比較例1〜6 表1に示す配合のレジン液(20℃)を所定量作り、こ
れに所定量の有機ポリイソシアナート(20℃)を加
え、4秒間高速混合し、直ちに、予め45℃に余熱して
おいたアルミ製縦型パネル(360 ×380 ×35mm)のオー
プンモールドに注入し発泡させた。注入後、10分で脱
型し硬質ウレタンフォームを得た。発泡後、23℃、湿
度65%の恒温室で24時間放置したフォームの熱伝導
率を測定した。熱伝導率はEKOオートλ(英弘社製)
を使用し測定した。サンプルサイズ(200×200 ×20。
【0020】表1に示す実施例と比較例の対照から、本
発明に係る特定のウレタン基含有ポリオール原料を使用
する実施例の硬質ポリウレタンフォームは、比較例のも
のに比べて熱伝導率が低く、低温寸法安定性ガすぐれて
いることがわかる。
【0021】
【発明の効果】上記のように本発明によれば、特定のウ
レタン基含有ポリオール原料を使用することにより、発
泡剤としてのR−11を代替フロンに置き換えた場合で
も熱伝導率が低く、低温寸法安定性の良好なポリウレタ
ンフォームが提供される。従って本発明はオゾン層破壊
に伴うフロン使用規制の強化に適合しており、その工業
的利用価値は大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 雄二 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 審査官 佐藤 健史 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/00 - 18/87

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ポリイソシアナート、ポリオール、
    発泡剤、触媒、整泡剤及びその他助剤から製造される硬
    質ポリウレタンフォームにおいて、ポリオールの1部が
    少なくとも2以上のヒドロキシル基を有するヒドロキシ
    ル価が800〜2000のアルキレングリコールに、ア
    ルキレングリコールに対して1/2当量及びまたはそれ
    以下のイソシアナート基を少なくとも2以上含有する有
    機ポリイソシアナートを反応させて得られたものであ
    り、その使用量がポリオール100重量部当り1〜70
    重量部であって、発泡剤として、ハイドロクロロフルオ
    ロカーボンを使用することを特徴とする硬質ポリウレタ
    ンフォーム。
  2. 【請求項2】 少なくとも2以上のヒドロキシル基を有
    するヒドロキシル価800〜2000のアルキレングリ
    コールがモノエチレングリコール、モノプロピレングリ
    コール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー
    ル、グリセリン及びジグリセリンから選ばれる1種類ま
    たは2種類以上の混合物であることを特徴とする請求項
    1記載の硬質ポリウレタンフォーム。
  3. 【請求項3】 イソシアナート基を少なくとも2以上有
    する有機ポリイソシアナートとして2,4−トリレンジ
    イソシアナート及び/または2,6−トリレンジイソシ
    アナートであることを特徴とする請求項1記載の硬質ポ
    リウレタンフォーム。
  4. 【請求項4】 発泡剤としてのハイドロフルオロカーボ
    ンが1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、2,2−
    ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンであり、そ
    の使用量がポリオール100重量部当り、10〜70重
    量部使用することを特徴とする請求項1記載の硬質ポリ
    ウレタンフォーム。
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