JP3262067B2 - 湿紙層への細片の分散方法 - Google Patents

湿紙層への細片の分散方法

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JP3262067B2
JP3262067B2 JP12211698A JP12211698A JP3262067B2 JP 3262067 B2 JP3262067 B2 JP 3262067B2 JP 12211698 A JP12211698 A JP 12211698A JP 12211698 A JP12211698 A JP 12211698A JP 3262067 B2 JP3262067 B2 JP 3262067B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基紙の表面全面に
細片が遍在し、または基紙の表面に筋状に細片が偏在し
た偽造防止用紙や意匠紙に好適な用紙を製造する際に利
用できる、湿紙層への細片の分散方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】最近の複写機の技術向上は著しく、特に
カラ−複写機の普及は各種の有価証券類等の偽造を容易
にしている。これを防止するため種々の偽造防止手段が
考えられているが、本発明者等は、カラ−複写機で複写
しても元の原稿と異なった色相に複写されれば本物か否
かの判定が出来ることに着目して偽造防止用紙の開発を
進めてきた。例えば、特願平5−114009号(特許
第2670600号)では、光輝性を有し、抄紙工程に
おいて基紙と接着可能な性能を有する細片を基紙の表面
に遍在させた偽造防止用紙を提案した。さらに特開平7
−166498号においては、紫外線の照射により蛍光
色を発するとともに、抄紙工程において基紙と接着可能
な性能を有する細片を、基紙の表面の全面に遍在、もし
くは筋状に偏在させた偽造防止用紙の提案を行った。
【0003】また、紫外線の照射により蛍光色を発する
蛍光染色した繊維を蛍光染色していない繊維と配合して
抄造した偽造防止用紙も、特公昭56−16238号に
記載されている。この用紙には蛍光染色した繊維が内部
に均一に分布されている。
【0004】一方、紙に種々の細片を抄き込んだ意匠紙
も従来から数多く提案されてきた。例えば実公昭35−
23707号には金属粉末を付着させた合成繊維を紙に
抄き込むことが、特開昭62−125099号には粉砕
した綿実殻を紙に抄き込むことが、実開昭63−780
99号には着色した米ヌカを紙に抄き込むことが、実開
平3−241098号には耐水性の塗被層を有する古紙
を離解したものを紙に抄き込むことがそれぞれ提案され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したような偽造防
止用紙や意匠紙においては、細片をどのように基紙に分
散させるかが用紙製造上の課題となる。例えば光輝性の
ある細片を使用する場合には、光輝性が失われることの
ないように細片を基紙表面もしくは表面近くに均一に分
散させることが重要になる。また用紙の用途によって
は、細片が基紙の全面に均一に分散せずに、筋状や波
状、あるいは任意の形状に偏在する方が好ましい場合が
ある。細片を筋状や波状に偏在させた場合には、細片の
存在していない用紙部分に印刷を施すことで、細片の視
認が容易になる。
【0006】本発明者等は、細片を基紙上に均一に遍在
させた、あるいは筋状に偏在させた偽造防止用紙の製造
方法を、特開平7−145600号および特開平7−1
66497号において提案した。この方法においては、
図9に図示したごとき構造の細片振りかけ装置10を使
用する。この振りかけ装置10は、貯留槽11と、貯留
槽中に設置された撹拌羽根12と、貯留槽端部から抄紙
網3の進行方向に斜め下方に取り付けた傾斜板13から
構成されており、供給管14から貯留槽11に供給した
細片の水懸濁液5を、撹拌羽根12の回転によって傾斜
板13上にオーバーフローさせ、抄紙網3上の紙層形成
前の紙料もしくは湿紙上に振りかけて抄紙するものであ
る。図9に示した傾斜板13においては、細片の水懸濁
液が傾斜板の幅方向に分散して流れ均一に振りかけるこ
とができる。また、図10に示したように傾斜板13上
に複数の堰13aを設けて細片の水懸濁液を堰13aに
よって導くことにより、筋状に細片6を振りかけること
ができる。
【0007】かような振りかけ装置10を用いて細片の
水懸濁液を振りかける場合、抄紙網上の紙料懸濁液の水
が切れて紙層が形成された後にこの紙層すなわち湿紙の
上に細片の水懸濁液を振りかけると、湿紙の地合を悪化
する傾向が大きくなる。そこで、湿紙の地合悪化を防止
するためには、抄紙網上で紙料懸濁液の水切れが起こる
前、すなわち紙層形成前に抄紙網上の紙料に細片の水懸
濁液を振りかけることが望ましい。このようにして紙層
形成前に細片の水懸濁液を振りかけた場合には、水切れ
が生じて紙層が形成されたときに、すべての細片が紙層
表面または表面近くに存在するとは限らず、紙層内部に
埋没するものも多くなる。紙層内部に埋没する細片は、
偽造防止用紙の場合には偽造防止性能に寄与せず、意匠
紙の場合には意匠性に寄与することがないため、高価な
細片を使用するときは細片の材料費がかさむことにな
る。
【0008】また、細片を筋状に偏在させた偽造防止用
紙を図10の振りかけ装置を用いて製造する場合には、
細片の複数の筋が用紙の流れ方向に対して常に平行にな
るような筋状しか形成できず、例えば筋が蛇行した波状
や円形ような任意の形状で細片を偏在させることが困難
である。
【0009】さらに、細片を製造する際には細かい紙粉
や微細繊維などの切り屑が発生し、細片中にこれらの切
り屑が混入している場合が多い。細片の水懸濁液中にか
ような切り屑が含まれていると、切り屑も一緒に抄き込
まれてしまうため、用紙の品質低下をもたらすことにな
り、さらにはオフセット印刷時に切り屑によりブランケ
ット汚れ等を生じることになる。そのため細片を使用す
るに先立って篩い分けを行い、切り屑を予め除去する工
程が必要となる場合もある。
【0010】そこで本発明は、紙層形成後の湿紙の地合
を悪化させることなく湿紙層の上に細片を分散させるこ
とができ、これにより細片を紙層表面または表面近くに
確実に存在させることが可能となり、さらには蛇行した
波状や円形などの任意形状に細片を偏在させることがで
きる、湿紙層への細片の分散方法を提供することを課題
とする。
【0011】さらに本発明は、細片中に切り屑が混入し
ている場合であっても、細片を湿紙層へ分散させる際
に、必要に応じて切り屑を効果的に除去することができ
る、湿紙層への細片の分散方法を提供することを課題と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、湿紙
層と接触しながら回転し細片が通過しない網目を有する
網を表面に設けた細片転写用ロールに、細片の水懸濁液
を振りかけて細片転写用ロールの網上に細片を分散載置
させ、この細片転写用ロールの回転に伴って網上の細片
を湿紙層に転写させることを特徴とする湿紙層への細片
の分散方法である。
【0013】本発明においては、細片の水懸濁液を湿紙
層上に直接振りかけずに、細片転写ロールに振りかける
ことにより、細片を一旦細片転写用ロールの網上に分散
載置させ、次いでこの網上の細片を湿紙層に転写するよ
うにしたため、細片の水懸濁液を直接湿紙上に振りかけ
た場合に生ずるような湿紙の地合の悪化をもたらす心配
がない。また、水切れが終了した状態の湿紙に対して細
片を転写するため、細片が紙層内部に埋没することがな
いから、細片を用紙の表面または表面近くに確実に存在
させることができる。
【0014】細片の水懸濁液を細片転写用ロールの網上
に振りかけるに際しては、湿紙層の流れ速度や流れ方向
とは関係なく任意の速度で任意の方向に振りかけること
ができ、これにより細片転写ロールの網上に任意の形状
で細片を分散載置させることができる結果、この細片を
湿紙層上に転写することによって、任意の形状で細片を
湿紙層上に偏在させることが可能となる。
【0015】さらに、細片転写用ロールを中空円筒構造
とし、この中空部に液体回収用樋を細片転写用ロールと
共に回転しないように配設することにより、切り屑の混
入した細片の水懸濁液を細片転写用ロールに振りかけた
場合でも、切り屑は細片転写用ロールの網を通過して水
懸濁液として液体回収用樋に収容されて回収でき、切り
屑が細片と一緒に湿紙中に混入することを防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面を参照して詳細
に説明する。図1および図2は本発明の1つの実施形態
を示すものであり、本発明者等が先に出願した特開平7
−1456000号に示したような細片振りかけ装置1
0を利用して、本発明方法を長網抄紙機に適用した例で
ある。細片振りかけ装置10は図9に図示したと同様な
構成を有し、貯留槽11と、貯留槽中に設置された撹拌
羽根12と、貯留槽端部から斜め下方に取り付けた傾斜
板13からなる。撹拌羽根12はモーターMにより回転
可能とされている。傾斜板13下端は、細片転写用ロー
ル1の上方に位置し、細片転写用ロール1の表面には細
片が通過しない網目の網2がロールの幅方向全面に設け
られている。この転写用ロール1は抄紙網3上に形成さ
れた湿紙層4と接触しながら回転するようになってい
る。湿紙層4の流れ方向と細片転写用ロール1の回転方
向は、図中の矢印で示すとおりである。
【0017】供給管14から貯留槽11に供給された細
片の水懸濁液5は、撹拌羽根12の回転によって傾斜板
13上にオーバーフローされ、傾斜板13を幅方向に広
がって流れ落ち細片転写用ロール1上に振りかけられ
る。このとき細片6は、転写用ロール1表面の網2を通
過せずに網上に分散載置され、転写用ロール1の回転に
伴って抄紙網3上の湿紙層4に転写されて、湿紙層4の
全幅にわたって均一に遍在されることになる。また、細
片の水懸濁液5を転写用ロール1に振りかけることによ
り、転写用ロール1表面の網目構造が水で洗浄される効
果も奏することができる。
【0018】細片転写用ロール1の設置位置は、長網抄
紙機のウエットパート上の紙料懸濁液の水が抄紙網3を
通して脱水された後の湿紙4に接触するように設けるこ
とができるが、通常は紙料懸濁液の水切れが終了した直
後の湿紙に接触するように設置することが好ましい。
【0019】図1および図2の例においては、転写用ロ
ール1を中空円筒構造とし、この中空部に液体回収用樋
7を配設してあり、液体回収用樋7は転写用ロール1と
共に回転しないようにされている。かような液体回収用
樋7を設置することにより、細片製造時に発生する切り
屑などが細片の水懸濁液中に混入している場合でも、切
り屑は細片転写用ロールの網2を通過して水懸濁液とと
もに樋7に収容されて回収することができ、切り屑が湿
紙層4中に混入するのを防止することができる。
【0020】なお図2に示したように、細片振りかけ装
置10の貯留槽11内に仕切15を設けて前室16と後
室17とに分け、供給管14から前室16に供給された
細片の水懸濁液5をここで撹拌均一化した後、仕切15
の下方を通って後室17へ導くようにすることにより、
水懸濁液中での細片の分散性をより一層高めることがで
きる。
【0021】本発明で使用する細片転写用ロール1とし
ては、長網抄紙機のウェットパート上で地合の改善など
を目的として従来から慣用されているダンディロールと
呼ばれるロールを好適に利用することができる。図3は
ロール両端部の円筒タイヤを支持するトラニオン型のダ
ンディロールを利用した細片転写用ロール1aの例を示
し、図4は中心軸で支持するジャーナル型のダンディロ
ールを利用した細片転写ロール1bの例を示す。いずれ
の場合でも、ダンディロールのフレーム1cの上に、細
片が通過しない網目を有する網2を取り付けて作製され
る。網2としては、ステンレスや青銅などで製造した金
属線を織り機で編んだもの、金属板にエッチング法で網
目を設けたもの、金属シートやプラスチックシートにレ
ーザー彫刻で網目を設けたもの等の何れも使用できる。
【0022】図1に示した細片振りかけ装置10の例で
は、湿紙層4の全幅にわたって均一に細片を遍在させる
ための傾斜板13を使用しているが、本発明者等が先に
出願した特開平7−166497号に示した細片振りか
け装置で使用していた図10に示したような複数の堰1
3aを設けた傾斜板13を使用することもできる。かよ
うな傾斜板13を用いることにより、細片転写用ロール
の網2上に筋状に細片6を分散載置させることができ、
これによって細片を筋状に湿紙層4に転写させることが
できる。なお、傾斜板に堰13aを設ける代わりに、傾
斜板に溝を設けたり、傾斜板上にパイプを取り付けても
よい。
【0023】本発明の転写方法は、図1に示したような
細片振りかけ装置10を必ずしも用いる必要はなく、細
片の水懸濁液を供給管14から細片転写用ロール1の網
上に直接振りかることもできる。図5は、幅方向全面に
網2を取り付けた細片転写用ロール1に、供給管14か
ら細片の水懸濁液を直接振りかけている例を示してい
る。図示の例では、供給管14を矢印に示すように水平
方向に往復運動させながら細片の水懸濁液を転写用ロー
ル1に振りかけ、蛇行した波状に細片6を網上に分散載
置させ、この形状をそのまま湿紙層4へ転写している。
なお図5は、細片転写用ロール1の中空部に液体回収用
樋7を設置していない例を示している。液体回収用樋7
は、細片の水懸濁液中に混入する切り屑を除去したい場
合に、必要に応じて設置すればよい。
【0024】上述した細片転写用ロール1はいずれも、
ロールの幅方向全面に網2を取り付けた例を示したが、
所望の形状の網を転写用ロールの任意の位置に部分的に
設けることもできる。例えば図6に示したように、所定
幅の複数の網2aを細片転写用ロール1の幅方向に間隔
をあけて部分的に取り付けることもできる。さらに図7
に示したように、複数の円形の網2bを細片転写用ロー
ル1の任意の位置に部分的に取り付けることもできる。
かような細片転写用ロールを使用すれば、細片の水懸濁
液を転写用ロールの全面に振りかけても、細片6は網上
のみに分散載置されるため、網2a,2bの設置形状に
相当した形状で細片を湿紙層へ転写させることができ
る。
【0025】また図1および図5では、長網抄紙機によ
り本発明を実施する例を説明したが、本発明は円網抄紙
機による抄紙に際しても実施することができる。例えば
図8に示したような円網抄紙機20によれば、紙料懸濁
液21を収容した槽22内でシリンダーモールド23を
回転させると、水頭差によりシリンダーモールド23の
抄紙網上に湿紙層が形成される。抄紙網上の湿紙層は次
いでクーチロール24によりフェルト25に移される
が、フェルト25に移された直後の湿紙層に接するよう
に細片転写用ロール1を配置することにより、フェルト
25上の湿紙層に細片を転写することができる。この
際、湿紙の地合を悪化させないようにするために、細片
転写用ロールは図1や図2に図示したような中空円筒構
造のロールを使用し、中空部に液体回収用樋を配設した
構造とすることが好ましい。図中の番号10は細片振り
かけ装置を表し、番号13は傾斜板を表している。ま
た、多槽式円網抄紙機を用いて多層抄合わせを行う場合
には、1つの槽から他の槽へ移送される途中の湿紙に接
するように、細片転写用ロールを設置することもでき
る。
【0026】本発明に用いられる細片は、従来から意匠
紙を製造するために使用されていた着色繊維、金属粉を
付着した繊維、細片化した樹皮、スクリ−ン粕、粉砕し
た綿実殻、米ヌカ、粉砕した籾殻、細片化した印刷紙、
細片化した金属箔、細片化した金属蒸着フィルム等をい
ずれも利用できる。また、偽造防止用紙の製造を目的と
する場合には、着色繊維、蛍光染料を付着させた繊維、
金属粉を付着した繊維、細片化した金属箔、細片化した
金属蒸着フィルム、細片化した真珠顔料塗工紙、細片化
した蛍光顔料塗工紙、本発明者らが先に提案した特願平
5−114009号に記載の光輝性を有し抄紙工程にお
いて基紙と接着可能な性能を有する細片等をいずれも利
用できる。
【0027】本発明を実施するに際しては、先ず、針葉
樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパ
ルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NB
SP)、サ−モメカニカルパルプ(TMP)等の製紙用
パルプを主体とした紙料懸濁液を調製し、これに乾燥紙
力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留り向上剤、濾水性向
上剤、消泡剤、染料、着色顔料、蛍光剤などの製紙用副
資材を適宜添加して、通常フリ−ネス550〜250m
lC.S.Fで長網抄紙機や円網抄紙機等の周知の抄紙
機を使用して抄紙する。
【0028】次いで抄紙網上に形成された湿紙層に接す
るように細片転写用ロールを設置し、例えば図1に示し
たような細片振りかけ装置10を用いて細片の水懸濁液
を細片転写用ロ−ル1に振りかける。細片の水懸濁液
は、予めタンク等に入れた水に細片を混入し撹拌装置で
撹拌して調製し、流送ポンプ等を使用して振りかけ装置
10に導く。この細片の水懸濁液には、細片の均一な分
散を促進するために、必要に応じてタモ、ポリエチレン
オキサイド等の粘剤を添加したり、パルプスラリーを少
量添加することもできる。
【0029】細片を転写した湿紙は、次いで常法に従い
脱水、乾燥を行うが、抄紙工程上で用紙にすき入れを施
すことや、紙面に澱粉、ポリビニ−ルアルコ−ル、各種
表面サイズ等をサイズプレス装置等で塗工することも可
能である。さらに必要に応じ、マシンカレンダ−処理を
施して表面平滑性を向上させることもできる。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述す
る。なお、「%」はいずれも重量%を表す。
【0031】[実施例1:意匠紙の製造]針葉樹晒クラ
フトパルプ(NBKP)150kg、広葉樹晒クラフト
パルプ(LBKP)390kgを450mlC.S.
F.に叩解し、これにロジンサイズ剤(商品名「SPN
700」、荒川林産化学(株)製)7.2kg、澱粉
(商品名「アミコ−ル」、日澱化学(株)製)3kg、
定着剤(硫酸バンド)30kg、染料(商品名「LEVACE
LL FAST YELLOW GFN L」、BAYER社製)0.02%(対
パルプ)、染料(商品名「LEVACELL FAST BLACK G」、B
AYER社製)0.002%(対パルプ)を添加して紙料を
調製した。
【0032】熱水溶解温度80℃のPVAフィルム(厚
さ25μm)に金属アルミニウムを500オングストロ
−ム真空蒸着し、表裏両面に黄色染料(商品名「オレオ
ゾ−ルファ−ストイエロ−」、住友化学(株)製)をア
ルカリ可溶型ニトロセルロ−ス系樹脂100重量部に対
して15重量部添加した塗料を厚さ3μm(乾燥厚み)
となるように塗工した。次いで打ち抜き機を使用して直
径3mmの円形の金色の金属光沢を有する細片を製造し
た。
【0033】長網抄紙機を使用して上記で調製した紙料
により坪量100g/m2の基紙を抄造する際に、抄紙
網上で紙料の水切れが終了した直後の湿紙層表面に接触
するように細片転写用ロールを配置した。この細片転写
用ロール表面には12メッシュの金網を全面に設けてあ
る。細片の水懸濁液を細片転写用ロールに振りかけるに
際しては、図1に示した細片振りかけ装置を使用し、細
片転写用ロ−ルの幅全面に均一に振りかけた。細片転写
用ロールの網上に分散載置された細片は、ロールの回転
に伴い湿紙層表面に転写された。細片を転写された湿紙
は次いで常法に従い脱水し、多筒式シリンダ−ドライヤ
−で乾燥した。得られた意匠紙は1m2当たり平均11
00個の金属光沢を有する細片が均一に分散した状態で
用紙表面に遍在しており、意匠性に優れていた。
【0034】[実施例2:偽造防止用紙の製造]NBK
P20重量部、LBKP80重量部を350mlC.
S.Fに叩解し、これに白土10重量部、紙力増強剤
(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業(株)
製)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパイン
E」、荒川化学工業(株)製)1.0重量部、硫酸バン
ドを適量添加して紙料を調製した。
【0035】坪量35g/m2のサイズ紙の両面に、真
珠顔料(雲母粉末に酸化チタンを被覆したもの、粒径4
0μm、酸化チタン被覆率28%)100重量部、ポリ
ビニルアルコ−ル200重量部よりなる塗料を、エア−
ナイフコ−タ−を使用して片面7g/m2ずつ塗工し
た。次いで打ち抜き機を使用して3mm×4mmの長方
形の光輝性を有する細片を製造した。
【0036】長網抄紙機を使用して上記で調製した紙料
により坪量110g/m2の基紙を抄造する際に、抄紙
網上で紙料の水切れが終了した直後の湿紙層表面に接触
するように細片転写用ロールを配置した。この細片転写
用ロールは図6に示したように、巾10mmの12メッ
シュ金網2aをロールの幅方向に160mmの間隔をあ
けて筋状に6本取り付けてある(図6では簡略化のため
に3本のみ図示している)。細片の水懸濁液を細片転写
用ロールに振りかけるに際しては、図1に示した細片振
りかけ装置10を使用し、細片転写用ロールの幅全面に
均一に振りかけた。水懸濁液中の細片は細片転写用ロー
ルの網上のみに分散載置され、転写用ロールの回転に伴
い湿紙層表面に筋状に転写された。細片を転写された湿
紙は次いで常法に従い脱水し、多筒式シリンダ−ドライ
ヤ−で乾燥した。得られた偽造防止用紙は、160mm
間隔で巾約10mmの6本の筋状に光輝性のある細片が
用紙表面に偏在していた。この偽造防止用紙をカラ−複
写機(商品名「キャノンピクセル」、キャノン(株)
製)で複写したところ、細片の光輝色は再現されず、目
視による判断で原稿と複写物の差は明確に認められた。
【0037】[実施例3:偽造防止用紙の製造]坪量2
0g/m2の薄葉紙に、紫外線照射により赤、青または
黄色に蛍光発色するインキ(商品名「ルミライト」、シ
ンロイヒ(株)製)3種類をそれぞれ12g/m2塗工
して乾燥させた後、家庭用ミキサーでこれら3種類の薄
葉紙を別々に離解させて結束繊維状の蛍光細片の水懸濁
液を調製した。
【0038】この細片の水懸濁液を使用し、細片転写用
ロールとして図7に示したような直径40mmの円形の
12メッシュ金網2bを複数個それぞれ30mmの間隔
をあけて取り付けた細片転写用ロールを使用した以外は
実施例2と同様にして、偽造防止用紙を製造した。得ら
れた偽造防止用紙は、細片転写用ロールに設けた金網2
bに対応した位置に、繊維状細片が用紙表面に偏在して
いた。この偽造防止用紙は、普通光のもとでは細片の存
在が明確に視認できないが、市販のブラックライトを用
いて紫外線を照射すると細片が赤、青、黄色の蛍光色を
発し視認することができた。
【0039】
【発明の効果】以上述べたところからわかるように本発
明によれば次のような効果が奏せられる。
【0040】1)細片の水懸濁液を一旦細片転写用ロー
ルに振りかけて網上に細片を分散載置した後、この細片
を湿紙層に転写するようにしたため、抄紙網における湿
紙層の流れ速度や流れ方向と関係なく任意の形状(筋
状、波状、円形状等)で細片を細片転写用ロールの網上
に形成させることができ、この形状に相当する任意の形
状で細片を湿紙層に転写することが可能となる。
【0041】2)抄紙網上の湿紙層表面に細片の水懸濁
液を直接振りかけた場合には、水懸濁液により湿紙層の
地合を悪化させる危険もあるが、細片転写用ロールを介
して細片を湿紙層表面に転写するため、湿紙層の地合を
悪化させることがない。
【0042】3)抄紙網上で紙料懸濁液の水切れが終了
した後の湿紙層に細片を転写するため、細片が湿紙層の
内部に埋没することなく湿紙層表面または表面近くに確
実に存在させることができる。その結果、光輝性のある
細片を使用した場合には細片の光輝性が失われることな
く明瞭に視認でき、また、紫外線の照射により蛍光発色
する細片を使用した場合には発光強度が大きくなり偽造
の確認が確実に行える。
【0043】4)細片転写用ロールを中空円筒構造と
し、この中空部に液体回収用樋を細片転写用ロールと共
に回転しないように設けることにより、細片の製造時に
生ずる微細な切り屑や異物が細片の水懸濁液に混入して
いる場合でも、切り屑や異物は水懸濁液と一緒に樋を介
して回収できる。その結果、微細な切り屑や異物が抄き
込まれるのを防止でき、切り屑の篩い分け工程を省くこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】長網抄紙機を用いて本発明を実施する際に使用
する装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の装置の垂直断面図である。
【図3】トラニオン型ダンディロールを利用した本発明
で使用する細片転写用ロールの斜視図である。
【図4】ジャーナル型ダンディロールを利用した本発明
で使用する細片転写用ロールの斜視図である。
【図5】長網抄紙機を用いて本発明を実施する際に使用
する装置の他の例を示す斜視図である。
【図6】網を筋状に部分的に設けた細片転写用ロールの
例を示す斜視図である。
【図7】網を円形状に部分的に設けた細片転写用ロール
の他の例を示す斜視図である。
【図8】円網抄紙機を用いて本発明を実施する際の装置
の配置例を示す説明図である。
【図9】細片の水懸濁液を抄紙網上の湿紙の全面に均一
に直接振りかけるための従来装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図10】細片の水懸濁液を抄紙網上の湿紙に筋状に直
接振りかけるための従来装置の一例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1,1a、1b:細片転写用ロール 2,2a、2b:網 3:抄紙網 4:湿紙(湿紙層) 5:細片の水懸濁液 6:細片 7:液体回収樋 10:細片振りかけ装置 11:貯留槽 12:撹拌羽根 13:傾斜板 13a:堰 14:供給管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−98599(JP,A) 特開 平6−306799(JP,A) 特開 平8−13393(JP,A) 特開 平7−120957(JP,A) 特開 平7−145599(JP,A) 実開 昭62−203300(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿紙層と接触しながら回転し細片が通過
    しない網目を有する網を表面に設けた細片転写用ロール
    に、細片の水懸濁液を振りかけて細片転写用ロールの網
    上に細片を分散載置させ、この細片転写用ロールの回転
    に伴って網上に分散した細片を湿紙層に転写させること
    を特徴とする湿紙層への細片の分散方法。
  2. 【請求項2】 前記細片転写用ロールを中空円筒構造と
    し、この中空部に液体回収用樋を細片転写用ロールと共
    に回転しないように配設することを特徴とする請求項1
    記載の湿紙層への細片の分散方法。
  3. 【請求項3】 前記細片転写ロールにはその幅方向全面
    に前記網を設け、細片の水懸濁液を前記網上の全面に振
    りかけることを特徴とする請求項1または2に記載の湿
    紙層への細片の分散方法。
  4. 【請求項4】 前記細片転写ロールにはその幅方向全面
    に前記網を設け、細片の水懸濁液を前記網上に筋状に振
    りかけることを特徴とする請求項1または2に記載の湿
    紙層への細片の分散方法。
  5. 【請求項5】 前記細片転写ロールには所望の形状の前
    記網を任意の位置に部分的に設け、前記網の設置形状に
    相当した形状で細片を湿紙層に転写させることを特徴と
    する請求項1または2に記載の湿紙層への細片の分散方
    法。
  6. 【請求項6】 細片の水懸濁液を収容する貯留槽と、こ
    の貯留槽内に設置した撹拌羽根と、この貯留槽からオ−
    バ−フロ−する水懸濁液を前記細片転写用ロールの網上
    に導く傾斜板とからなる細片振りかけ装置を用いて、細
    片の水懸濁液を細片転写用ロールに振りかけることを特
    徴とする請求項1または2に記載の湿紙層への細片の分
    散方法。
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