JP3295623B2 - 蛍光発色する繊維状物、及びこれを使用した偽造防止用紙、及び偽造防止印刷物 - Google Patents

蛍光発色する繊維状物、及びこれを使用した偽造防止用紙、及び偽造防止印刷物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光発色する繊維
状物、及びこれを使用した偽造防止用紙、及び偽造防止
印刷物に関する。詳しくは、紫外線の照射で蛍光発色す
る水不溶性の粒子を高速気流中衝撃法により繊維状物表
面に固着した蛍光発色する繊維状物、及びこれを用紙中
に含む偽造防止用紙、及びこの偽造防止用紙に印刷を施
した偽造防止印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外線の照射で発色する物質を、用紙に
含む偽造防止用紙は種々提案されている。この偽造防止
用紙は、紫外線を用紙に照射することで用紙に含まれた
蛍光発色する物質が可視光領域の特定波長の光を発し、
用紙が偽造されたものであるか否かを判定できる特徴を
有している。
【0003】例えば、特開昭58−54099号や、特
公昭56−16328号には、紙中に、蛍光染色した繊
維を蛍光染色を施していない繊維と配合して抄造するこ
とを特徴とする偽造防止用紙の製造方法が提案されてい
る。また、特開平6−128807号等には、酸化物系
の蛍光顔料を紡糸時に添加した蛍光発色性繊維が提案さ
れている。
【0004】本発明者らは、これらの提案について検討
した結果、種々の問題点があることが判った。前記特開
昭58−54099号や、特公昭56−16328号に
提案されているような蛍光染料を使用した場合は、紫外
線の照射により発色する強度が弱く、発色する色相の種
類に限りがあり、また耐光性が悪く用紙保存中に色相が
変化したり、退色するという大きな問題点がある。
【0005】特開平6−128807号に提案されてい
るような、蛍光染料、或いは蛍光顔料等を合成繊維を紡
糸する際に添加し蛍光発色繊維を製造する方法は繊維中
に蛍光染料や蛍光顔料が含まれるため、上記問題点を解
決できるが、使用できる合成繊維や蛍光剤の種類に制限
があり、また製造に複雑な装置を必要とし、製造量を多
くしないと経済的に引き合わないという問題点がある。
【0006】蛍光顔料を、定着剤を使用して繊維に定着
する場合は、蛍光染料を使用した場合の耐光性が悪いと
いう問題は解消できるが、蛍光顔料の繊維に対する定着
歩留まりが悪く、また、これらの繊維をスラリーに添加
して用紙を抄造する場合、蛍光顔料が繊維状物から離脱
しやすいという問題点がある。
【0007】蛍光発色する繊維状物が上記問題点を有し
ているので、これを用紙に含んだ偽造防止用紙、及びこ
れを使用して製造した偽造防止印刷物は、当然上記した
問題点を有していることとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決することを課題とする。即ち、紫外線の照射
による発色強度が強く、耐光性に優れ、蛍光発色する繊
維状物を製造する際の蛍光剤の歩留まりが良く、用紙製
造中に繊維状物から蛍光剤が離脱することが無く、簡単
な装置で小ロットでも製造でき、抄紙時の歩留まりもよ
い蛍光発色する繊維状物を得ること、及びこれを使用し
た偽造防止用紙、及びこの用紙を使用した偽造防止印刷
物を得ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の発明は、
平均粒径が0.1〜100μmの紫外線の照射で蛍光発
色する水不溶性の粒子(以下蛍光粒子という)を、高速
気流中衝撃法により重量平均繊維長が5mm以下の繊維
状物表面に固着したことを特徴とする蛍光発色する繊維
状物である。
【0010】また、第二の発明は、こうして得られた蛍
光発色する繊維状物を用紙中に含むことを特徴とする偽
造防止用紙である。
【0011】また、第三の発明は、こうして得られた偽
造防止用紙の表面に印刷を施したことを特徴とする偽造
防止印刷物である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳しく説明する。本
発明で使用する高速気流中衝撃法とは、2種類以上の材
料を高速の気流中で互いに衝突させて衝撃を与え材料の
改質を行う方法を意味し、これを実現する装置は、例え
ば特開平5−168895号、日本接着学会誌(Vo
l.33、No.5(1997)26頁〜)などに開示
されている。
【0013】この高速気流中衝撃法は粉体の改質方法と
して検討されたことはあったが、本発明のように蛍光発
色する繊維状物を得ることに検討されたことは全く無か
った。本発明者らは、この方法の特異な作用に注目し
て、繊維状物に蛍光粒子を固着することを試みた結果、
特定の条件下で本発明の課題を解決できることを見い出
したものである。
【0014】以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、前記特開平5−168895号公報に
開示されたもので、図1は、高速気流衝撃装置の一例を
その前後装置と共に系統的に示した概念的な説明図を、
図2は、図1の装置の側面断面図を示す。
【0015】この装置は、衝撃室8内に、衝撃ピン5を
周設した回転盤4及び衝突リング7を配置した粉体衝撃
装置の前カバー2の開口部から、固体粒子と小さな他の
固体粒子とから構成される固体粒子群を投入し、衝撃室
8を通過させることにより、衝撃式打撃作用を与える場
合において、衝撃ピン5の回転によって発生した気流と
共に、衝突リング7の一部に開口する排出口9より粉体
群の全量を排出して、粉体粒子群を過熱された気流から
分離した後、再び粉体粒子群のみを衝撃室8内に投入す
るようにして外粉体粒子群に前記衝撃式打撃作用を繰り
返し与えることにより、前記固体粒子の表面に前記固体
粒子よりも小さな他の固体粒子を付着させながら、また
は付着させた後、該他の固体粒子を埋設または固着させ
る装置である。
【0016】高速気流衝撃法は、ある臨界以上の応力が
固体に加わるとき、その作用点近くに局所的な原紙・分
子の配列の乱れが生じ、物性が変化するメカノケミカル
現象を利用した粒子設計法の一つである。物性の変化
は、従来は衝撃により部分的に温度の上昇するホットス
ポットによる熱的な現象によって生じると考えられてい
たが、現在は衝撃などの応力による短寿命の高エネルギ
ーフォノンの励起によると考えられている。そのエネル
ギーの一部が非弾性変形によって構造不整として残留し
固体内に蓄積され、それによる物性の変化がメカノケミ
カル現象として観察される。このようなメカノケミカル
現象から、興味ある粒子付着を生じさせていると考えら
れている。
【0017】本発明者らは、この装置を使用して繊維状
物と蛍光剤を用いて蛍光繊維を製造することを試みた。
繊維状物は粉体と異なり形状が大きく、また繊維の形状
であるので複雑に絡み合い、この装置内で繰り返し蛍光
剤の衝撃を受けることが困難である予想されたが、検討
の結果、特定の条件下で容易に繊維状物も処理でき、本
発明の目的を達成できることを見い出した。また、この
方法は数gの少量から数百kgの多量に至る処理量の装
置を自由に設計設置でき、受注ロットの大小に制限され
ることがなく対応できるという特徴がある。
【0018】本発明で使用する繊維状物は、重量平均繊
維長が5mm以下であれば、天然、合成、半合成を問わ
ず、あらゆる繊維状物を使用できる。例えば天然の繊維
状物としては、針葉樹、広葉樹などから製造した木材パ
ルプ繊維や、コウゾ、三椏、麻、コットン、ケナフなど
の非木材繊維などのセルロース繊維を使用できる。ま
た、たんぱく繊維である羊毛、絹、コラーゲンなども使
用できる。化学繊維としては再生繊維、半合成繊維、合
成繊維などが使用できる。具体的には、再生繊維として
はレーヨン、キュプラ、テンセル、キチン、キトサン、
デンプン、アルギン酸などである。半合成繊維として
は、アセテート、トリアセテートなど、合成繊維として
は、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリシアン化
ビニリデン、ビニロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニ
ル、ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどで
ある。また、ポリオレフィン樹脂を使ってフラッシュ法
で製造した合成パルプも使用できる。本発明では、これ
らの繊維状物の1種類、又は2種類以上を使用する。
【0019】本発明使用できる繊維状物は、単繊維の状
態だけでなく、撚糸状のもの、複数本の繊維が絡まった
フロック状のものも含まれ、またフィルムを細く短冊状
に切って繊維状としたものも含まれる。
【0020】後に詳しく述べるが、本発明の繊維状物を
スラリーに添加して常法に従って偽造防止用紙を製造す
る場合、蛍光発色する繊維状物は、用紙を構成する主成
分である木材繊維と強固に結合するほうが好ましい。
【0021】セルロース繊維や再生セルロース繊維は繊
維同士が水素結合で結合されるので本発明では好適に使
用できる。また熱水溶解温度が50〜100℃のビニロ
ン繊維も抄紙機の乾燥ゾーンでその一部が溶解又は膨潤
し、乾燥後にセルロース繊維と強固に接着するので本発
明で好適に使用できる。
【0022】本発明で単繊維状の蛍光発色する繊維状物
を得たい場合は、その重量平均繊維長が0.1〜5m
m、軸比が5〜300であることが好ましい。重量平均
繊維長が5mmより長くなると装置で処理する時に、繊
維が完全に絡み合ってしまい、目的を達成できないから
である。また、重量平均繊維長が0.1mm未満では単
繊維状の蛍光発色する繊維状物が得られず、拡大して見
た場合繊維状というより粉体の形状に近くなってしまう
からである。ここで規定している重量平均繊維長とは、
繊維の長さをl、重量をwとしN本の繊維の全長をL
(=Σl)とすれば、Σ(lw)/Σwで得られる値で
ある。
【0023】また、軸比は、5〜300であることが好
ましい。軸比が5未満であると、やはり、単繊維状の蛍
光発色する繊維状物が得られず、拡大して見た場合繊維
状というより粉体の形状に近くなってしまうからであ
る。また、軸比が300を越えると繊維が絡み合い易く
なる。ここで規定している軸比とは繊維の長軸の長さを
短軸の長さで割った値である。一般的な繊維は短軸の長
さが繊維の直径になり、長軸の長さが繊維長になる。こ
れら値は、繊維を光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察して写
真に撮った後、倍率を確認して実際に測定した長さであ
る。
【0024】次に蛍光粒子について説明する。本発明で
使用する蛍光粒子は、水に不溶性であることが必要であ
る。水に溶解性があると後の抄紙工程で蛍光剤が水に溶
出してしまい本発明の目的を達成できなくなるからであ
る。
【0025】本発明では、無機あるいは有機の蛍光粒子
を使用することができる。有機の蛍光粒子としては具体
的にはポリ塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリメタ
クリル酸エステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の
樹脂にフルオレッセイン、エオシン、ローダミン6G、
ローダミンB、ベーシックイエローHG等の染料を均一
に溶解させ粉砕させたもの等を挙げることが出来る。こ
こで染料が水に溶解性があっても樹脂中に含まれた状態
で粒子になっていると、粒子から染料の溶出が起こらな
くなるので本発明に利用できる。
【0026】また、無機の蛍光粒子としては具体的に
は、銅、銀、マンガン等で活性化した硫化亜鉛、マンガ
ン等で活性化したケイ酸亜鉛、銀、銅等で活性化した硫
化亜鉛カドミウム、ビスマス等で活性化した硫化カルシ
ウム、サマリウム、セリウム等で活性化した硫化ストロ
ンチウム、鉛等で活性化したタングステン酸カルシウ
ム、ユーロピウム等で活性化したSr(PO43Cl、
マンガン等で活性化したZn2GeO2、ユーロピウム等
で活性化したY22S、ユーロピウム等で活性化したY
23等を挙げることが出来る。またこれらにアントラキ
ノン系やアセトフェノン系等の増感剤を併用することも
適宜行うことが出来る。
【0027】本発明で使用する蛍光粒子は、平均粒径が
0.1〜100μmであることが必要である。平均粒径
が、0.1μm未満では粒子が小さすぎ、軽くなりすぎ
るため装置中で舞ってしまい、その結果機械的衝撃を受
けにくくなり繊維状物表面への粒子の効率的固着化がで
きなくなってしまい、また、平均粒径が100μmを越
えると繊維状物表面に付着する粒子の数が少なくなり繊
維表面積に対する粒子の被覆率が低くなり効率的でなく
なるからである。本発明では、粒子の平均粒径は沈降式
粒度分布測定装置(商品名「ミクロン・フォート・サイ
ザーMPS−Z」、(株)セイシン企業製造)で測定し
た値である。
【0028】これらの蛍光発色する粒子は、昼光若しく
は蛍光灯や白熱電球等の室内光(以下本発明では普通光
と呼ぶ)のもとでは色相を有さないか若しくは淡い色相
を有するものが好ましい。これらの蛍光繊維が用紙に含
まれていても、普通光のもとでは含まれていることが判
らず、それだけ偽造防止能が高まるからである。無機系
の蛍光顔料は耐光性に優れ本発明では好適に使用され
る。その中でも普通光では白色か淡い色相のものが特に
好ましい。例を挙げるとユーロピウムで活性化したY2
2Sは、普通光のもとでは白色であるが紫外線を照射
することで赤色に発色する。またマンガンで活性化した
Zn2GeO2は、普通光のもとでは白色であるが紫外線
を照射することで緑色に発色する。またマンガンで活性
化した硫化亜鉛は、普通光のもとでは淡い赤色であるが
紫外線を照射することで橙色に発色する。
【0029】本発明では、紫外線の照射で蛍光発色する
水不溶性の粒子が、紫外線の照射で異なった色相で蛍光
発色する2種類以上の粒子であることが好ましい。1種
類の蛍光粒子を用いた場合と比較して、種々の色相を自
在に得ることが出来ること、顕微鏡的な観察等で2種類
以上の蛍光粒子を使用していることを特定でき、それだ
け偽造防止効果を高めることができるからである。
【0030】また、本発明では、本発明の目的を阻害し
ない範囲で、蛍光粒子と繊維状物の他に添加剤、例えば
白色顔料、着色顔料、プラスチック粉体、等を添加でき
る。特に、蛍光粒子と繊維状物の固着強度が弱い場合
は、強度を向上する目的でプラスチック粉体を併用する
ことが効果がある。
【0031】以下、本発明の蛍光発色する繊維状物の製
造例を述べる。製造例1 紫外線の照射で緑色に発色する蛍光発色繊維の製造の一
重量平均繊維長が2.8mmであり、軸比が50〜20
0程度の針葉樹漂白クラフトパルプ100gと、蛍光顔
料(平均粒子径3.0μmのMn活性化Zn2GeO2
子)100gを高速気流中衝撃処理装置(商品名「ハイ
ブリタイザー」、(株)奈良機械製作所製造)に投入
し、5分間処理することによってパルプ繊維の表面へ蛍
光顔料を固着させた蛍光発色繊維を得た。この繊維は可
視光のもとでは無色であるが紫外線の照射(ブラックラ
イトの照射)で赤色に発色した。
【0032】製造例2 紫外線の照射で赤色に発色する蛍光発色繊維の製造の一
重量平均繊維長が4mmであり、軸比が200の熱水溶
解温度が80℃のビニロン繊維100gと、蛍光顔料
(平均粒子径2.2μmのEu活性化Y22S粒子)1
00gを前記高速気流中衝撃処理装置に投入し、5分間
処理することによってレーヨン繊維の表面へ蛍光顔料固
着させた蛍光発色繊維を得た。この繊維は可視光のもと
では無色であるが紫外線の照射(ブラックライトの照
射)で赤色に発色した。
【0033】製造例3 紫外線の照射でオレンジ色に発色する蛍光発色繊維の製
造の一例 重量平均繊維長が2.8mmであり、軸比が50〜20
0程度の針葉樹漂白クラフトパルプ100gと、蛍光顔
料(平均粒子径2.5μmのMn活性化ZnS粒子)1
00gを前記高速気流中衝撃処理装置に投入し、5分間
処理することによってパルプ繊維の表面へ蛍光顔料を固
着させた蛍光発色繊維を得た。この繊維は可視光のもと
では無色であるが紫外線(ブラックライトの照射)の照
射でオレンジ色に発色した。
【0034】製造例4 紫外線の照射で青色に発色する蛍光発色繊維の製造の一
重量平均繊維長が4mmであり、軸比が200程度のレ
ーヨン繊維100gと、蛍光顔料(平均粒子径0.8μ
mのEu活性化St5(PO43Cl粒子)100gを
前記高速気流中衝撃処理装置に投入し、5分間処理する
ことによってレーヨン繊維の表面へ蛍光顔料固着させた
蛍光発色繊維を得た。この繊維は可視光のもとでは無色
であるが紫外線の照射(ブラックライトの照射)で青色
に発色した。
【0035】このようにして製造した蛍光発色繊維を電
子顕微鏡で1000倍程度に拡大して観察してみると、
繊維の表面に蛍光粒子が固着している様子が観察され
た。製造例1で得られた蛍光発色繊維状物の電子顕微鏡
の観察結果(写真)を図3に示す。図3で判るように蛍
光粒子は繊維の内部にまで進入して固着しているので、
後で述べるように偽造防止用紙の抄造に際してスラリー
に添加しても、蛍光粒子が繊維から脱落することはほと
んどないという特徴を有している。
【0036】次に偽造防止用紙の製造について、例を挙
げて説明する。針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルフ
ァイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ
(TMP)等の製紙用パルプを主体としこれに乾燥紙力
増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留り向
上剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、着色顔料などを適
宜併用した紙料を調製しこれに前述したような方法で製
造した蛍光発色する繊維状物を添加し、通常フリーネス
550〜250mlC.S.F.で長網抄紙機や円網抄
紙機等の公知の抄紙機を使用して抄紙する。あるいは長
網抄紙機へのスラリーの流送途中で蛍光発色する繊維状
物を添加し抄紙する。あるいは円網抄紙機のバット中に
蛍光発色する繊維状物を流送し抄紙する。多槽型円網抄
紙機の場合は抄合わせにより用紙を製造できるので、任
意の紙層に蛍光発色する繊維状物を添加出来る。あるい
は、従来種々提案されているように、蛍光発色する繊維
状物をストライプ状に添加したり、ノズルを使用して間
欠的にワイヤ上の紙匹に噴射してもよい。この際、抄紙
途上で紙面に澱粉、ポリビニルアルコール、各種表面サ
イズ等をサイズプレス装置等で塗工することも可能であ
る。さらに必要に応じ、マシンカレンダー処理やスーパ
ーカレンダー処理を施し、表面平滑性を向上させること
も適宜行われる。
【0037】
【発明の効果】
1.本発明で得られる蛍光発色する繊維状物は、発色強
度が強く、耐光性に優れ、蛍光発色する繊維状物を製造す
る際の蛍光粒子の歩留まりも高く製造できる。 2.この繊維状物を使用して偽造防止用紙を製造すれ
ば、用紙製造中に繊維状物から蛍光粒子が離脱すること
が無く抄紙できる。 3.このようにして製造した偽造防止用紙に所定の印刷
を施し、偽造防止印刷物を得ることができ、例えば、商
品券、株券、紙幣、身分証明書、各種チケット類、パス
ポート等、偽造防止を要求される分野に利用できる。 4.また、前記蛍光繊維の特徴を利用して、不織布の製
造時に添加したり、撚糸製造時等に添加することで、フ
ァッション性に特徴を持たせた不織布や織物を製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高速気流衝撃装置の一例をその前後装置と共
に系統的に示した概念的な説明図である。
【図2】 図1の装置の側面断面図を示す。粉体処理装
置の一例をその前後装置と共に系統的に示した概念的な
説明図である。
【図3】 製造例1の電子顕微鏡の観察結果(写真)で
ある。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 前カバー 3 後カバー 4 回転盤 5 衝撃ピン 6 回転軸 7 衝突リング 8 衝撃室 9 排出口 10 投入口 11 排出管 12 固気分離装置 13 投入管 14 原料供給用のシュート 15 原料ホッパー 16 開閉弁 17 切替弁 18 切替制御装置 19 循環回路 20 捕集器 21 排風管 22 吸引ブロワー 23 送風管 24 エアフィルター 25 調節弁 26 原料計量フィーダー 27 プレプロセッサー 28 ジャケット 29 ジャケット 30 ジャケット

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.1〜100μmの紫外線
    の照射で蛍光発色する水不溶性の粒子を、高速気流中衝
    撃法により重量平均繊維長が5mm以下の繊維状物表面
    に固着したことを特徴とする蛍光発色する繊維状物。
  2. 【請求項2】 前記紫外線の照射で蛍光発色する水不溶
    性の粒子が、紫外線の照射で異なった色相で蛍光発色す
    る2種類以上の粒子であることを特徴とする請求項1記
    載の蛍光発色する繊維状物。
  3. 【請求項3】 繊維状物がセルロース繊維状物、若しく
    は再生セルロース繊維状物であることを特徴とする請求
    項1記載の蛍光発色する繊維状物。
  4. 【請求項4】 繊維状物が熱水溶解温度が50〜100
    ℃のビニロン繊維状物であることを特徴とする請求項1
    記載の蛍光発色する繊維状物。
  5. 【請求項5】 繊維状物が単繊維であり、その重量平均
    繊維長が0.1〜5mm、軸比が5〜300であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の蛍光発
    色する繊維状物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の蛍光発色する繊維状
    物を用紙中に含むことを特徴とする偽造防止用紙。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の偽造防止用紙の表面に印
    刷を施したことを特徴とする偽造防止印刷物。
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