JP3261253B2 - 食肉製品の加工方法 - Google Patents

食肉製品の加工方法

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JP3261253B2
JP3261253B2 JP08212294A JP8212294A JP3261253B2 JP 3261253 B2 JP3261253 B2 JP 3261253B2 JP 08212294 A JP08212294 A JP 08212294A JP 8212294 A JP8212294 A JP 8212294A JP 3261253 B2 JP3261253 B2 JP 3261253B2
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正治 山東
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食肉製品の加工方法に
関し、詳しくは、塊のままの食肉原料を用い、ピックル
液の注入によって、食感や保水性などの品質向上を図
る、ハムなどの食肉製品の加工方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ハムの製造に際して、原料の肉塊にピッ
クル液と呼ばれる液を注入することによって食感や保水
性を改善することが行われている。ピックル液には、食
塩、リン酸塩、調味料、香辛料などが添加されている。
ピックル注入装置は、注射針状のピックル針を備え、こ
のピックル針を肉塊に刺し込み、ピックル液に圧力を加
えてピックル針の先端から肉塊内に送り込む。その後の
タンブリング処理で、ピックル液は、肉塊の内部組織に
拡がって、前記した各配合成分による諸機能が発揮され
る。
【0003】ピックル液の重要な機能に、保水機能があ
る。肉塊に含まれる水分の量は、食肉製品の食感に大き
な影響を与え、十分な保水量がないと加熱時に離水し、
その結果、食感が硬くなり、品質が低下してしまう。保
水機能を果たす配合成分として、肉蛋白に直接影響を与
える材料として食塩やリン酸塩があり、また、卵白など
の各種の熱ゲル性蛋白質も利用されているが、さらに保
水機能に優れた材料が求められている。
【0004】特開昭56−18536号公報には、コラ
ーゲン分解物を用いて、保水性を改良する技術が開示さ
れている。特公平3−69502号公報にも、コラーゲ
ンを用いて、品質向上を図る技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来におけ
るコラーゲン分解物あるいはコラーゲンを用いる技術で
は、ピックル液注入による食肉製品の品質向上には、十
分な効果を挙げることができなかった。例えば、コラー
ゲン分解物を用いる特開昭56−18536号公報の技
術では、ハムなどの製造過程で必要とされる加熱冷却処
理を行うと、コラーゲン分解物が溶解して、製品の表面
に浸み出し、製品内部での保水機能が十分に果たせな
い。また、コラーゲン分解物の添加量が増えるにしたが
って、肉との結着性が悪くなり、離水が生じるという問
題がある。
【0006】特公平3−69502号公報の技術では、
コラーゲンの粉末を、すり身やねり肉に混和している。
このような混和による添加手段が採用できる場合には問
題は少ないのであるが、前記した肉塊に対するピックル
液注入処理において、ピックル液にコラーゲン粉末を添
加していた場合には、肉塊の全体に均一にコラーゲンを
送り込むことができないという問題が生じる。ピックル
液の注入では、まず、ピックル針の狭い孔を、コラーゲ
ン粉末が通過する必要があるが、通常のコラーゲン粉末
では、ピックル液を充填する際に、充填機内の液だまり
部分で沈殿を生じ、この沈殿物がピックル針の内部で詰
まってしまう場合がある。コラーゲン粉末が、ピックル
針から肉塊に注入されたあとは、注入地点から、肉塊の
内部組織の軟らかい部分に集まるため、後工程であるタ
ンブリング処理によって、周辺に広く分散しなければな
らないが、粒径の大きなコラーゲン粉末は、肉塊の内部
組織では分散し難く、組織の軟らかい部分の付近に留ま
ってしまう。したがって、肉塊の全体に均一にコラーゲ
ン粉末を送り込んで、コラーゲンによる保水機能などを
十分に発揮させることができないのである。しかも、肉
塊中に固まって存在するコラーゲン粉末は、いわゆるゼ
リースポットを形成して、食肉製品の品質を大幅に低下
させてしまう。
【0007】そこで、本発明の課題は、前記したよう
に、肉塊にピックル液を注入する方法において、肉塊の
全体に良好な保水機能を付与することができる食肉製品
の加工方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、本
発明にかかる食肉製品の加工方法は、肉塊にピックル液
を注入して、食肉製品の品質向上を図る方法において、
ピックル液に、粒径0.1mm以下の豚皮コラーゲン微粉
を添加しておく。肉塊は、通常のハム製造に使用される
ような、豚や牛の食肉からなり、ある程度の大きさを有
する塊状をなすものである。本発明では、ピックル液の
注入処理を行わなくても良いような、細片あるいはすり
身などからなる食肉材料は対象にしない。但し、肉塊と
すり身などを混合して食肉製品を製造するものであって
も構わない。
【0009】ピックル液の注入処理は、通常のハム製造
の場合と基本的に同様の処理を行えばよい。ピックル針
などの処理装置や器材も、通常のピックル液注入処理と
同様でよい。ピックル液の配合成分としては、食肉製品
の種類や改善しようとする特性に合わせて、任意の成分
を配合しておくことができる。具体的には、食塩、リン
酸塩、砂糖、香辛料などが挙げられ、これらの配合成分
を水に溶解させて、ピックル液となす。
【0010】本発明では、ピックル液に、粒径0.1mm
以下の豚皮コラーゲン微粉を添加しておく。通常、コラ
ーゲンは、豚や牛などの皮や骨などから精製製造される
が、本発明では、豚皮を原料として精製製造された豚皮
コラーゲンを用いる。豚皮コラーゲンは、粒径0.1mm
以下に微粉化しておく。微粉化のための手段は、通常の
微粉砕手段が適用できる。
【0011】ピックル液には、保水性成分として、上記
豚皮コラーゲン微粉の他に、既知の保水性成分も配合し
ておくことができる。例えば、熱ゲル性材料として、卵
白などの動物性蛋白質や大豆などの植物性蛋白質が用い
られる。
【0012】
【作用】コラーゲンは、保水機能に優れた材料である。
コラーゲンのうち、牛皮コラーゲンは不溶性のコラーゲ
ンの割合が多いのに対し、豚皮コラーゲンは可溶性コラ
ーゲンの割合が多いため、豚皮コラーゲンを微粉にして
おけば、ピックル液中に適度に膨潤させることができ、
ピックル針による注入や肉塊内への分散が比較的スムー
ズに行われる。しかも、豚皮コラーゲンは、コラーゲン
分解物やゼラチンのように、食肉製品の加工処理時にお
ける通常の加熱処理で、完全に溶けてしまうようなこと
はないので、肉塊内で確実に水分を保持した状態を維持
することもできる。
【0013】粒径0.1mm以下の豚皮コラーゲン微粉
は、ピックル針内で詰まりを起こす心配がなく、肉塊に
注入されたあとは、肉塊の内部組織を容易に拡がってい
く。なお、牛皮コラーゲンの場合でも、高い圧力をかけ
れば、肉塊に注入することは可能であるが、そうする
と、高圧で肉塊に注入された粉体が、肉塊の内部組織を
破壊してしまい、食感を低下させるとともに、離水を甚
だしくしてしまう。粒径の大きな豚皮コラーゲンの場合
も、ピックル針内には詰まらなくても、肉塊に注入され
たあと内部組織を破壊してしまうという問題が生じる。
【0014】
〔コラーゲン粉末〕
豚皮コラーゲン:新田ゼラチン製豚皮コラーゲンKP、
粒径0.1mm 牛皮コラーゲン:新田ゼラチン製豚皮コラーゲンCP、
粒径0.1mm 〔ピックル液の製造〕下記工程〜を経て、ピックル
液を製造した。表1にピックル液の配合を示している。
【0015】 高速回転ミキサーに5℃の水を投入し
攪拌する。 リン酸塩を投入し溶解させる。 砂糖、調味料、ソルビン酸カリウムを投入し溶解さ
せる。 蛋白製剤、コラーゲンを投入し分散させる。 食塩、亜硝酸ナトリウムを投入し溶解させる。
【0016】 得られた液体を、5℃で一晩保持す
る。 アスコルビン酸ナトリウムを添加する。 PH調整剤で、PH6.5に調整する。
【0017】
【表1】 ───────────────────────────────── 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 ───────────────────────────────── 食塩 3.0 3.0 3.0 3.0 亜硝酸Na 0.04 0.04 0.04 0.04 アスコルビン酸Na 0.16 0.16 0.16 0.16 リン酸塩 0.8 0.8 0.8 0.8 ソルビン酸K 0.2 0.2 0.2 0.2 砂糖 10.5 10.0 11.0 10.0 調味料 2.6 2.6 2.6 2.6 蛋白製剤 12.0 12.0 12.0 12.0 豚皮コラーゲン微粉 0.5 1.0 0 0 牛皮コラーゲン微粉 0 0 0 1.0 色素 0.2 0.2 0.2 0.2 氷水 70 70 70 70 ───────────────────────────────── 単位は重量部 〔ハムの製造〕上記で得られたピックル液を用い、以下
の工程を経て、ハムを製造した。
【0018】工程:肉整形→ピックル液注入→タンブリ
ング(第1〜3工程)→充填→乾燥→スモーク→蒸煮
(ハムの中心温度72℃)→冷却→製品 −製造条件− ピックル注入:注入圧力4.0kg/cm2 タンブリング処理:表2に示す処理条件で、通常のタン
ブリング装置を用いて、第1〜3工程を行った。
【0019】
【表2】 ───────────────────── 第1工程 第2工程 第3工程 ───────────────────── 回転数 rpm 15 7 7 運転時間 hr 3 6 14 庫内温度℃ 5 5 5 ───────────────────── 加熱処理:表3に示す処理条件で加熱を行った。処理装
置は、通常のハム製造用の装置を用いた。
【0020】
【表3】 ハムの中心温度72℃ 〔評価試験〕各実施例および比較例で得られたハムにつ
いて、その品質性能を評価した。試験条件は以下のとお
りであった。
【0021】ピックル粘度:東京計器製B型粘度計を用
いた。 (1号ロータ、回転数60rpm 、測定温度5℃) 離水率:重量測定法を適用した。 切断強度:不動工業製レオメーターを用いた。 (6cm/sec tabie speed、ピアノ線を使用) 表4に試験結果を示している。
【0022】
【表4】 ───────────────────────────────── 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 ───────────────────────────────── ピックル粘度 cps 57 72 48 54 製品歩留り % 173 175 174 174 離水率 % 1日目 7.3 5.3 8.0 6.9 7日目 8.9 6.2 11.4 9.2 切断強度 g 610.5 655.2 546.8 ―― ───────────────────────────────── 総合評価: (1) 比較例1(ブランク)は蛋白ゲルが強く口当りの悪
い食感であった。
【0023】実施例1、2は、繊維感のある口当りの良
い食感であった。比較例2(牛皮コラーゲン)は、実施
例1、2に比べて硬い食感があった。 (2) 実施例1、2では、ハムの結着性が向上し、スライ
ス時の「割れ」が軽減された。比較例1、2では「割
れ」が生じた。 (3) 実施例1、2では、コラーゲンが製品中に均一に分
散していたが、比較例2では、組織の軟らかい部分に線
状に黄褐色のコラーゲン層が認められた。
【0024】(4) 実施例1、2では、スライス時の離水
が改善された。
【0025】
【発明の効果】以上に述べた、本発明にかかる食肉製品
の加工方法によれば、粒径0.1mm以下の豚皮コラーゲ
ン微粉が添加されたピックル液を用いて、肉塊にピック
ル液注入処理を行うことによって、肉塊の全体にわたっ
て保水性を向上させることができる。
【0026】その結果、ハムなどの食肉製品の品質向上
に大きく貢献することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23B 4/00 - 5/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肉塊にピックル液を注入して、食肉製品
    の品質向上を図る方法において、ピックル液に、粒径
    0.1mm以下の豚皮コラーゲン微粉を添加しておくこと
    を特徴とする食肉製品の加工方法。
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