JP3259386B2 - 汚染の評価方法 - Google Patents

汚染の評価方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、汚染の評価方法に関
し、特に、汚染源が被処理体に与える汚染の評価方法、
及び被処理体が汚染源により与えられる汚染の評価方法
に関するものである。本発明は、例えば、半導体ウェハ
に各種処理を施す場合について、該半導体ウェハを支持
する支持台であるサセプタ(これが汚染源になる)がど
の程度被処理体である半導体ウェハを汚染するかを評価
する方法として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】各種分野において、被処理材料にクリー
ン度が厳しく要請されることが多くなっている。例え
ば、電子材料の分野においては、半導体素子の高密度
化、微細化に伴い、種々段階において汚染防止が高度に
要求されている。
【0003】ところで、使用する原材料や環境等に対す
るクリーン化要求が増々厳しいものになって来ている一
方、半導体プロセス装置内部で発生する汚染も決して少
なくなく、ウェハ保持に用いられるサセプタ(一般に、
グラファイトやポリSiやSiCにCVD−SiCやポ
リSi膜等を単独あるいは組合わせてコートして形成す
る)から半導体ウェハに混入する不純物量も相当に多
い。例えばSiウェハのエピタキシャル成長装置では、
サセプタとしてグラファイトにSiCをCVDコートし
更にエピ直前にポリSiコートして用いているが、エピ
形成温度(1100〜1150℃)中にサセプタ中の重
金属(SiCやポリSiに比べグラファイト中に多く含
まれる)がSiウェハ中に拡散し、エピタキシSiの品
質を劣化させている。
【0004】従来行われていたサセプタ起因汚染の評価
法は、主にサセプタ自身の分析であった。例えば、Si
エピ用サセプタではポリSi、SiC、グラファイト
全体を中性子放射化分析する、グラファイトをグライ
ンド、または酸化処理等で除去後、ポリSi、SiCを
粉砕、溶解(例えばHF/HNO3 やNa2 CO3 を使
用)して原子吸光分析やICP−MS法で測定を行って
いた。しかしながら、これらの方法では、サセプタ材料
の全体もしくは個々の純度は測定できるものの、実プロ
セス工程で実際にサセプタからウェハに混入する不純物
量は評価できず、分析結果と、その工程での素子劣化と
は必ずしも1対1に対応が取れない。また多層構造のサ
セプタでは上層の膜質(例えばピンホールの有無等)が
重金属拡散に大きな影響を与えるが、このような影響も
従来法では評価不可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】上述したように、従
来の技術にあっては、半導体ウェハ等の被処理体に、ウ
ェハサセプタ等の汚染源が実際にどの程度の汚染を与え
るかということが、厳密に評価できるものではなかっ
た。
【0006】本発明は、上記従来技術の問題点を解決し
た技術を提供しようとするもので、汚染源が被処理体に
与える実際の汚染量を知ることができる汚染の評価方
法、及び被処理体が実際に汚染源により与えられる汚染
量を知ることができる汚染の評価方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本出願の請求項1の発明
は、汚染源が被処理体に与える汚染の評価方法であっ
て、前記被処理体と同等の材料であって、かつ前記汚染
源との接触部は鏡面をなしており、かつ該接触部には
汚染源の側から汚染を拡散し易い層及び汚染のストッ
パ層が形成されている材料を用い、該材料を前記汚染源
に接触させた後、前記鏡面において全反射蛍光X線分析
を行うことを特徴とする汚染の評価方法であり、これに
より上述した目的を達成するものである。
【0008】本出願の請求項2の発明は、汚染源が被処
理体に与える汚染の評価方法であって、前記被処理体と
同等の材料であって、かつ前記汚染源との接触部は鏡面
をなしており、かつ該接触部には前記汚染源の側から汚
染を拡散し易い層及び汚染のストッパ層が形成されてい
る材料を用い、該材料を前記汚染源に接触させ、前記被
処理体に施される処理と同等の処理を施した後、前記鏡
面において全反射蛍光X線分析を行うことを特徴とする
汚染の評価方法であり、これにより上述した目的を達成
するものである。
【0009】本出願の請求項3の発明は、被処理体が汚
染源により与えられる汚染の評価方法であって、前記
処理体と同等の材料であって、かつ前記汚染源との接触
部は鏡面をなしており、かつ該接触部には前記汚染源の
側から汚染を拡散し易い層及び汚染のストッパ層が形成
されている材料を用い、該材料を前記汚染源に接触させ
た後前記鏡面において全反射蛍光X線分析を行うこと
を特徴とする汚染の評価方法であり、これにより上述し
た目的を達成するものである。
【0010】本出願の請求項4の発明は、被処理体が汚
染源により与えられる汚染の評価方法であって、前記
処理体と同等の材料であって、かつ前記汚染源との接触
部は鏡面をなしており、かつ該接触部には前記汚染源の
側から汚染を拡散し易い層及び汚染のストッパ層が形成
されている材料を用い、該材料を前記汚染源に接触さ
せ、前記被処理体に施される処理と同等の処理を施した
後、前記鏡面において全反射蛍光X線分析を行うことを
特徴とする汚染の評価方法であり、これにより上述した
目的を達成するものである。
【0011】本発明において、被処理体と同等の材料と
は、汚染評価のために形成する鏡面、汚染を拡散し易い
層、汚染のストッパ層以外は実際の被処理体と同じも
の、あるいは同じものとしての測定対象となり得るもの
を言う。
【0012】また、被処理体に施される処理と同等の処
理とは、実際の処理工程で行うのと同じ処理、または同
じ効果のある処理を言う。
【0013】本発明において、全反射蛍光X線分析と
は、TRXRF(Total Reflection X-Ray Fluorescenc
e)と称される分析方法で、これは光学的に平坦な試料面
に励起X線を全反射が生じる角度〔θ=5.4×1010
・Z・ρ・λ/A)1/2 、Z、A、ρ;λは反射試料の
原子番号、質量数、密度;X線の波長〕で入射させ、発
生した固有X線を測定する手法である。この手法は、一
般にSiに限らず光学的鏡面を有する試料の表面元素分
析に広く応用されている。また、材料バルクを評価する
蛍光X線分析も広く使用されている。
【0014】半導体分野でSiウェハ表面の不純物をT
RXRFで測定することは公知であり(例えば特開平4
−1441519参照)、半導体分野での専用の装置も
市販されている。
【0015】本発明の構成の概要について、後記詳述す
る本発明の一実施例を示す図1の例示を用いて説明する
と、次のとおりである。
【0016】図1は、被処理体1であるSiウェハにつ
いて、エピ形成を行うため、これを熱処理する場合に、
ウェハ支持部であるサセプタに支持させるが、このとき
サセプタが汚染源2となるので、このサセプタ(汚染源
2)が被処理体1であるウェハに与える汚染を評価しよ
うとする例を示している。
【0017】このような場合に具体化できるように、本
発明は、汚染源2であるサセプタが被処理体であるSi
ウェハに与える汚染を評価する場合に、被処理体と同等
の材料であって、即ち図示例の場合Siウェハであっ
て、かつ汚染源2との接触部は鏡面11をなしており、
かつ該接触部12は汚染源の側から汚染を拡散し易い層
12(ここではSiO膜)及び汚染のストッパ層13
(ここではSi膜)が形成されている材料1を用
い、該材料1を汚染源に接触させ、必要に応じ被処理
体に施される処理と同等の処理を施した後、鏡面11に
おいて全反射蛍光X線分析を行い、汚染源2が被処理体
に与える汚染を評価するものである。
【0018】また、本発明は、被処理体であるSiウェ
ハが汚染源2であるサセプタにより与えられる汚染を評
価する場合に、被処理体と同等の材料であって、即ち図
示例の場合Siウェハであって、かつ汚染源2との接触
部は鏡面11をなしており、かつ該接触部12は汚染源
の側から汚染を拡散し易い層(ここではSiO膜)及
び汚染のストッパ層13(ここではSi膜)が形
成されている材料1を用い、該材料1を汚染源に接触
させ、必要に応じ被処理体に施される処理と同等の処理
を施した後、鏡面11において全反射蛍光X線分析を行
い、汚染源2により被処理体が与えられる汚染を評価す
るものである。
【0019】
【作用】本発明によれば、実際に汚染源が被処理体に汚
染を与えるのと全く同等の条件で処理を行った材料を分
析するので、実際に汚染源が被処理体に与えるのと同じ
汚染を忠実に評価できる。
【0020】
【実施例】以下、本出願の発明の実施例について、図面
を参照して説明する。なお当然のことではあるが、本発
明は以下の実施例により限定を受けるものではない。
【0021】実施例1 この実施例は、本発明を、Siウェハのエピタキシ処理
の場合の熱処理における、サセプタがSiウェハに与え
る汚染の評価のために用いた例である。
【0022】即ち、本実施例では、半導体製造プロサセ
ス中にウェハ保持サセプタから半導体ウェハに混入する
汚染を簡単に評価できるようにした。
【0023】本実施例では、図1に示すように、汚染の
ストッパ層13であるSi3 4 膜と、その上に10nm
以下のSiO2 膜を汚染を吸収し易い層12として形成し
たSiウェハを汚染評価用材料1として用い、この鏡面
11が汚染源2であるサセプタと接触するように保持し、
該サセプタを有する半導体製造装置で通常行うのと同じ
または同じ効果が期待される熱処理以上の処理を施した
後に、該材料1(Siウェハ)を取り出して、そのミラ
ー面を全反射蛍光X線分析(TRXRF)により表面不
純物測定する。汚染源2(サセプタ)から拡散した不純
物元素のうち、素子特性に影響を及ぼす重金属は、汚染
を拡散し易い層12として機能するSiO2 膜を介して進
行し、ほとんどの元素はSi3 4 /SiO2 界面近傍
でトラップされ、Siウェハまで拡散しない。Si3
4 膜が汚染のストッパとして機能するからである。な
お、TRXRFでは、表面から約10nmの深さの不純
物に起因した蛍光X線を検出しているので、SiO2
は10nm以下にした。
【0024】Si3 4 膜上のSiO2 膜は、サセプタ
との密着性向上と、拡散不純物のトラップ領域として形
成することにより、高感度分析が可能となる。
【0025】更に具体的には、本実施例はSiエピ装置
に本発明を適用した例であるので、以下のように構成し
た。CZSiウェハに、LP−CVDでストッパ層13と
して約100nmのSi3 4 膜(50〜500nmの
範囲で適宜選定するのが好ましい)を形成後、1000
℃の湿式酸化で、Si3 4 表面に約5nmのSiO2
膜を形成する(X線検知できる厚みとするため、10n
m以下、特に5〜10nmの範囲で適宜選定するのが好
ましい)。ミラー面が汚染源2となるサセプタに接触す
るようにセットする。サセプタはグラファイト21にCV
D−SiC22を約100μmコートし、その上にポリS
i23を10μmコートして成る。
【0026】通常のエピ形成熱処理、例えば1150℃
−20分から1100℃−10分(昇降温速度は70℃
/分)の処理を施す。この時のガス雰囲気はN2 やH2
で、熱シュミレーションのみを行っても良いし、実プロ
セスと同じにしてエピ成長しても良い。
【0027】熱処理後Siウェハをエピ炉から取出し、
ミラー面のTRXRF分析を行い、サセプタからの汚染
量を評価する。
【0028】図2は本実施例を用いて、メーカーの異な
るサセプタA,BからのFeの汚染量を測定した結果で
ある。本発明によりサセプタからの汚染量が簡便に測定
でき、有効であることが分かる。なお、図2中、Ref
はブランクテストを示す。
【0029】実施例2 本実施例は、LCD(Liquid Crystal
Display,液晶表示デバイス)に汚染源が与える
汚染を評価するのに、本実施例を用いた。
【0030】ここでは、図3に示す評価材料1を使用し
た。即ち、LCD基板を構成する石英に、汚染のストッ
パ層13であるSi3 4 膜及び汚染を拡散し易い層12と
してのSiO2 膜を形成して、評価用の材料1とした。
【0031】その他の評価プロセスは実施例1と同様の
操作で、LCDに対して実際に施される処理に対応して
実施した。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、汚染源が被処理体に与
える実際の汚染量を知ることができる汚染の評価方法、
及び被処理体が実際に汚染源により与えられる汚染量を
知ることができる汚染の評価方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の汚染評価方法を説明する構成図であ
る。
【図2】実施例1の汚染評価方法による評価結果を示す
図である。
【図3】実施例2の汚染評価方法の評価材料の構成図で
ある。
【符号の説明】
1 (汚染評価)材料 2 汚染源(サセプタ) 11 鏡面(ミラー面) 12 汚染を拡散し易い層(SiO2 膜) 13 汚染のストッパ層(Si3 4 膜)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】汚染源が被処理体に与える汚染の評価方法
    であって、前記 被処理体と同等の材料であって、かつ前記汚染源と
    の接触部は鏡面をなしており、かつ該接触部には前記
    染源の側から汚染を拡散し易い層及び汚染のストッパ層
    が形成されている材料を用い、 該材料を前記汚染源に接触させた後、前記鏡面において
    全反射蛍光X線分析を行うことを特徴とする汚染の評価
    方法。
  2. 【請求項2】汚染源が被処理体に与える汚染の評価方法
    であって、前記 被処理体と同等の材料であって、かつ前記汚染源と
    の接触部は鏡面をなしており、かつ該接触部には前記
    染源の側から汚染を拡散し易い層及び汚染のストッパ層
    が形成されている材料を用い、 該材料を前記汚染源に接触させ、前記被処理体に施され
    る処理と同等の処理を施した後、前記鏡面において全反
    射蛍光X線分析を行うことを特徴とする汚染の評価方
    法。
  3. 【請求項3】被処理体が汚染源により与えられる汚染の
    評価方法であって、前記 被処理体と同等の材料であって、かつ前記汚染源と
    の接触部は鏡面をなしており、かつ該接触部には前記
    染源の側から汚染を拡散し易い層及び汚染のストッパ層
    が形成されている材料を用い、 該材料を前記汚染源に接触させた後前記鏡面において
    全反射蛍光X線分析を行うことを特徴とする汚染の評価
    方法。
  4. 【請求項4】被処理体が汚染源により与えられる汚染の
    評価方法であって、前記 被処理体と同等の材料であって、かつ前記汚染源と
    の接触部は鏡面をなしており、かつ該接触部には前記
    染源の側から汚染を拡散し易い層及び汚染のストッパ層
    が形成されている材料を用い、 該材料を前記汚染源に接触させ、前記被処理体に施され
    る処理と同等の処理を施した後、前記鏡面において全反
    射蛍光X線分析を行うことを特徴とする汚染の評価方
    法。
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