JP3258867B2 - 半導体を用いた光走査型ポテンショメトリックセンサ - Google Patents

半導体を用いた光走査型ポテンショメトリックセンサ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体基板の一方の
面に物質に応答するセンシング部を形成した半導体を用
いた電気化学センサ(以下、単に電気化学センサとい
う)に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば微生物の活動で変化する化学物質
は、光走査型ポテンショメトリックセンサを用いて測定
される。この光走査型ポテンショメトリックセンサは、
近年、液体中あるいは物質中にしみこんだ液体中に溶存
している物質のpHを二次元的に測定するため開発され
たものであり、このようなセンサは、例えば、Jpn.
J.Appl.Phys.Vol.33(1994)p
p L394−L397(以下、文献という)に記載さ
れているように、半導体基板の一方の面に物質に応答す
るセンシング部を形成し、前記半導体基板の他方の面に
プローブ光を照射し、そのとき半導体基板中に誘発され
た光電流を信号として取り出すことにより測定を行うこ
とができる。
【0003】前記光走査型ポテンショメトリックセンサ
のセンシング部を直接計測したい対象物質に挿入したり
接触させることによって溶存物質の濃度分布を測定す
る。得られたデータはコンピュータ処理により、二次元
または三次元の濃度分布画像として出力される。ある時
間での濃度分布のみならず、その変化の様子をリアルタ
イムに追跡することができる。リアルタイムに得られた
画像を、目視、CCDカメラなどによって得られた電磁
波画像と容易に比較できる。
【0004】なお、本願出願人は、上記pHなどの二
元分布を測定するのに用いる装置を、「光走査型デバイ
ス」として平成7年2月4日付けにて特許出願しており
(特願平7−39114号)、また、溶存物質の濃度分
布を測定する方法を、「溶存物質の濃度分布計測方法」
として平成7年3月22日付けにて特許出願している
(特願平7−9031号)。
【0005】ところで、上記光走査型ポテンショメトリ
ックセンサの位置分解能を向上させるには、前記文献に
記載されているように、光電流が発生する半導体基板、
特に、主たる材料であるシリコンを単結晶の薄膜化する
ことが好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリコ
ン単結晶薄膜は、機械的強度が小さく、これ単独ではセ
ンシング部を保持することが困難である。
【0007】そこで、前記半導体基板として、サファ
イア基板の上にシリコン層を堆積させてなるSOS(S
iliconon Saphire)基板や、シリコ
ン基板にシリコン単結晶基板を貼り合わせた後、シリコ
ン単結晶基板を研磨してなる貼り合わせSOI(Sil
icon on Insulator)基板などが開発
されつつある。
【0008】前記のSOS基板においては、サファイ
ア基板を用いるところから高価になるとともに、サファ
イアとシリコンの格子定数が必ずしも適合してないた
め、電気的特性が思わしくない。また、前記の貼り合
わせSOI基板においては、シリコン単結晶基板を研磨
によって所定の厚みにする必要があるが、十分な平坦性
を得ることが困難であるといった問題がある。
【0009】上述した問題は、光走査型ポテンショメト
リックセンサのみならず、ISFETなど他の電気化学
センサにおいても共通する問題である。
【0010】この発明は、上述の事柄に留意してなされ
たもので、電気的特性が良好かつ安定な半導体基板を用
いた高性能の光走査型ポテンショメトリックセンサを提
供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明では、半導体基板の一方の面に物質に応答
するセンシング部を形成した半導体を用いた光走査型ポ
テンショメトリックセンサにおいて、前記半導体基板と
して、シリコン単結晶基板上に酸化アルミニウム薄膜を
形成し、この酸化アルミニウム薄膜上にシリコン単結晶
薄膜を形成したシリコン/酸化アルミニウム/シリコン
基板を用いている。前記酸化アルミニウムとして、例え
ばγ−Al2 3 などがある。
【0012】
【作用】前記シリコン/酸化アルミニウム/シリコン基
板は、例えば図5に示すように、シリコン単結晶(10
0)基板1の上面に酸化アルミニウムをエピタキシャル
成長させた酸化アルミニウム薄膜2を形成し、さらに、
この酸化アルミニウム薄膜2の表面にシリコン単結晶
(100)をエピタキシャル成長させたシリコン単結晶
(100)薄膜3を形成してなるもので、このような三
層構造のシリコン/酸化アルミニウム/シリコン基板4
は、電気的特性が良好かつ安定である。したがって、こ
のシリコン/酸化アルミニウム/シリコン基板4を用い
た半導体を用いた光走査型ポテンショメトリックセンサ
は、電気的特性が良好かつ安定で高性能である。
【0013】
【実施例】以下、この発明の詳細を、図を参照しながら
説明する。
【0014】まず、第1実施例を、図1および図2を参
照しながら説明する。第1実施例では、光走査型ポテン
ショメトリックセンサに適用したものである。
【0015】例えば厚み500μmのシリコン単結晶
(100)基板1を用意する〔図2(A)参照〕。
【0016】前記シリコン単結晶(100)基板1の上
面に、CVD法により酸化アルミニウムをエピタキシャ
ル成長させ、酸化アルミニウム薄膜2を形成する〔図2
(B)参照〕。このときの酸化アルミニウム薄膜2の厚
みは、0.1μm程度である。
【0017】前記酸化アルミニウム薄膜2の上面に、C
VD法によりシリコン単結晶(100)をエピタキシャ
ル成長させ、シリコン単結晶(100)薄膜3を形成す
る〔図2(C)参照〕。このときのシリコン単結晶(1
00)薄膜3の厚みは、1μm程度である。これによっ
て、三層構造のシリコン/酸化アルミニウム/シリコン
基板4が形成される。
【0018】前記シリコン/酸化アルミニウム/シリコ
ン基板4のシリコン単結晶(100)薄膜3に適宜のマ
スクを施してエッチングを行い、シリコン単結晶(10
0)薄膜3を残す〔図2(D)参照〕。なお、符号5は
エッチング部分を示す。
【0019】前記シリコン/酸化アルミニウム/シリコ
ン基板4のエッチングを施したシリコン単結晶(10
0)薄膜3の全面を、酸素ガス流通下で例えば1000
℃で熱酸化して、その表面全体に厚さ50nm程度の酸
化膜(SiO2 層)6を形成する〔図2(E)参照〕。
【0020】前記酸化膜6に適宜のマスクを施して、酸
化膜6のうち、シリコン単結晶(100)薄膜3に対応
する部分以外をエッチングする〔図2(F)参照〕。す
なわち、前記0018において、エッチングされなかっ
た部分以外をエッチングする。なお、符号7はエッチン
グ部分を示す。
【0021】前記酸化膜6およびエッチング部分7の全
面に、減圧CVD法を用いて窒化珪素(Si3 4 )を
堆積させ、窒化珪素膜で覆い、水素イオンに応答するセ
ンシング部8とする〔図2(G)参照〕。
【0022】前記シリコン/酸化アルミニウム/シリコ
ン基板4のシリコン単結晶(100)基板1に適宜のマ
スクを施してエッチングを行い、シリコン/酸化アルミ
ニウム/シリコン基板4を薄くする〔図2(H)参
照〕。なお、符号9はエッチング部分を示す。
【0023】ダイシングを行ってチップ状態とし、個々
のセンサを形成する〔図2(I)参照〕。このようにし
て、図1に示すような水素イオンに応答する光走査型ポ
テンショメトリックセンサ(pHセンサ)10が形成さ
れる。
【0024】上述のようにして製作された光走査型ポテ
ンショメトリックセンサ10は、図1に示すように、シ
リコン単結晶(100)基板1側から可視光線、赤外線
などの光線Lをプローブ光としてX,Y方向に照射する
ことにより、シリコン薄膜3中に誘発された光電流を信
号として取り出すことにより、センシング部8に当接し
た物質のpHの二次元または三次元における分布を測定
することができる。
【0025】なお、上述において、センシング部8を形
成した段階(0021)でダイシングを行い、先に個々
のチップとしてから0022に示したエッチングを行う
ようにしてもよい。
【0026】次に、第2実施例を、図3および図4を参
照しながら説明する。第2実施例では、ISFETに適
用したものである。
【0027】例えば厚み500μmのシリコン単結晶
(100)基板1を用意する〔図4(A)参照〕。
【0028】前記シリコン単結晶(100)基板1の上
面に、CVD法により酸化アルミニウムをエピタキシャ
ル成長させ、酸化アルミニウム薄膜2を形成する〔図4
(B)参照〕。このときの酸化アルミニウム薄膜2の厚
みは、0.1μm程度である。
【0029】前記酸化アルミニウム薄膜2の上面に、C
VD法によりシリコン単結晶(100)をエピタキシャ
ル成長させ、シリコン単結晶(100)薄膜3を形成す
る〔図4(C)参照〕。このときのシリコン単結晶(1
00)薄膜3の厚みは、1μm程度である。これによっ
て、三層構造のシリコン/酸化アルミニウム/シリコン
基板4が形成される。ここまでは、前記第1実施例と同
じである。
【0030】前記シリコン単結晶(100)薄膜3上に
適宜のマスクを施して有機シリコンとドーパントとを含
む反応ガスを流しながらArFレーザを照射することに
より、ソース11、ドレイン12を形成する〔図4
(D)参照〕。なお、前記ドーパントとしては、ボロ
ン、硼素、砒素などがある。
【0031】次いで、前記シリコン単結晶(100)薄
膜3に適宜のマスクを施してエッチングを行い、ソース
11、ドレイン12とが対になるようにしてシリコン単
結晶(100)薄膜3を残す〔図4(E)参照〕。な
お、符号13はエッチング部分を示す。
【0032】ソース11、ドレイン12の形成されたシ
リコン単結晶(100)薄膜3およびエッチング部分1
3の全面を酸素ガス流通下で例えば1000℃で熱酸化
して、その表面全体に厚さ50nm程度の酸化膜(Si
2 層)14を形成する〔図4(F)参照〕。
【0033】前記酸化膜14に適宜のマスクを施して、
酸化膜14のうち、シリコン単結晶(100)薄膜3に
対応する部分以外をエッチングする〔図4(G)参
照〕。すなわち、前記0030において、エッチングさ
れなかった部分以外をエッチングする。なお、14Gは
シリコン単結晶(100)薄膜3の上部の酸化膜で、ゲ
ートとなる。また、符号15はエッチング部分を示す。
【0034】前記ゲート14Gおよびエッチング部分1
5の全面に、減圧CVD法を用いて窒化珪素(Si3
4 )を堆積させ、窒化珪素膜で覆い、水素イオンに応答
するセンシング16部とする〔図4(H)参照〕。
【0035】ダイシングを行ってチップ状態とし、個々
のセンサを形成する〔図4(I)参照〕。このようにし
て、図3に示すような水素イオンに応答するISFET
(pHセンサ)17が形成される。
【0036】また、上述の各実施例においては、センシ
ング部8,16がSi3 4 膜よりなるものであり、水
素イオンに応答するpHセンサであったが、応答物質と
してクラウンエーテルやバリノマイシンや四級アンモニ
ウム塩や錫化合物、ポルフィリン化合物などを用い、水
素イオン以外のナトリウムイオン、カリウムイオン、塩
化物イオンなどに応答する電気化学センサを得ることも
できる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、一方の面に物質に応答するセンシング部が形成され
る半導体基板を、シリコン単結晶基板上に酸化アルミニ
ウム薄膜を形成し、この酸化アルミニウム薄膜上にシリ
コン単結晶薄膜を形成してなる三層構造のシリコン/酸
化アルミニウム/シリコン基板を用いているので、電気
的特性が良好かつ安定で高性能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の半導体を用いた電気化学センサの
一例を示す図である。
【図2】前記センサの製造工程の一例を示す図である。
【図3】第2実施例の半導体を用いた電気化学センサの
一例を示す図である。
【図4】前記センサの製造工程の一例を示す図である。
【図5】この発明で用いる半導体基板の構成を示す図で
ある。
【符号の説明】
1…シリコン単結晶基板、2…酸化アルミニウム薄膜、
3…シリコン単結晶薄膜、4…シリコン/酸化アルミニ
ウム/シリコン基板、8,16…センシング部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 聡 京都府京都市南区吉祥院宮の東町2番地 株式会社堀場製作所内 (72)発明者 田辺 裕貴 京都府京都市南区吉祥院宮の東町2番地 株式会社堀場製作所内 (72)発明者 中尾 基 京都府京都市南区吉祥院宮の東町2番地 株式会社堀場製作所内 (56)参考文献 石田誠・李栄泰,応用物理,平成7年 7月10日,第64巻,第7号,p700−704 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/414 G01N 27/416 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板の一方の面に物質に応答する
    センシング部を形成した半導体を用いた光走査型ポテン
    ショメトリックセンサにおいて、前記半導体基板とし
    て、シリコン単結晶基板上に酸化アルミニウム薄膜を形
    成し、この酸化アルミニウム薄膜上にシリコン単結晶薄
    膜を形成したシリコン/酸化アルミニウム/シリコン基
    板を用いたことを特徴とする半導体を用いた光走査型ポ
    テンショメトリックセンサ
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