JP3255974B2 - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JP3255974B2
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  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地震や風等の外力によ
る建造物の振動を低減する制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】構造物に振動低減用のコントロールデバ
イスを備えるとともに、外部からエネルギの供給を受け
て積極的に振動の低減を図るものが知られている。(特
開平2−266139号公報参照。) この装置では、構造物上に載置した付加マスをアクチュ
エータで変位させることにより風や地震などの外力によ
る構造物の揺れを抑制する。アクチュエータを制御する
コントローラには制振効果がそれぞれ異なる複数のフィ
ードバック係数を格納したレギュレータマップを予め複
数個設定しておき、構造物の加振入力に基づいて最適の
レギュレータマップを選択して付加マスを駆動する一
方、各センサより算出された付加マスの所定の速度でレ
ギュレータマップを切り換えてアクチュエータがストロ
ークエンドに到達するのを防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置ではレギュレータマップの切換条件がマスの所
定の速度に基づいて行われ、大きな加振入力に対しては
制振効果の小さいレギュレータマップが、小さな加振入
力に対しては制振効果の大きいレギュレータマップが選
択されるため、加振入力によってはストロークエンドに
至る可能性が少ないにもかかわらずマスの動きを制限す
る方向にアクチュエータを制御する場合もあり、装置が
備える制振能力を有効に利用できないという問題点が発
生した。すなわち、従来の方式では、所定の相対位置で
検出した付加マスの速度のみによりレギュレータマップ
を切換え、ストロークに余裕がある場合と余裕がない場
合を区別して判断していない。即ち、レギュレータマッ
プを選択するに当たって相対位置を全く考慮していな
い。従って、ストロークエンドに達してしまうことを回
避するために、付加マスの動きを小さくして制振効果を
抑制する安全側に設定せざるを得ない問題点があった。
【0004】そこで本発明は、このような問題を解決す
るためになされたもので、アクチュエータがストローク
エンドに到達する可能性を判断し、アクチュエータの有
効ストローク内で効果的な制振動作を行う制振装置を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】 本発明の第1の発明
は、図1に示すように、構造物の振動方向に運動可能な
付加マス41と、この付加マス41を運動させる往復動
型のアクチュエータ42とを備え、付加マス41の変位
とその動作方向に対して付加マス41の変位が中心位置
からストロークエンドに向かうに従って制振効果の小さ
フィードバックゲインを格納したレギュレータマップ
43と、付加マス41の変位44と付加マスの動作方向
を判断する手段45と、これらの信号に応じて前記レギ
ュレータマップ43を参照し、そのときの付加マス変位
とその動作方向に応じたフィードバックゲインを読み出
す手段46と、振動に関係する状態量を検出するセンサ
47と、このセンサ47から得られた状態量から状態量
ベクトルを作り、この状態量ベクトルと前記読み出され
たフィードバックゲインとの内積にて前記アクチュエー
タに与える制御入力を決定する手段58とを備える制振
装置において、前記レギュレータマップ43を同一の付
加マス変位とその動作方向に対して制振効果が異なるよ
う複数51A、51Bと設定し、付加マス41の速度が
その相対位置に対応して変化する許容速度を超えるか否
かを判定する手段52と、前記判定の結果により付加マ
ス41の速度がその相対位置の許容速度を超えない場合
には制振効果の大きいレギュレータマップ51Aを選択
し、付加マス41の速度がその相対位置の許容速度を超
える場合は制振効果の小さいレギュレータマップ51B
選択する手段53と、を備えたことを特徴とする。
た、本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記
付加マスの相対位置に対応して変化する許容速度は、ア
クチュエータの中立点から相対変位が最大ストロークに
接近するにしたがい低下する正弦曲線若しくはその近似
直線で設定されることを特徴とする。
【0006】
【作用】 したがって、付加マス41の速度がその相対
位置に対応して変化する許容速度を超える相対位置にお
いて制振効果をより小さくしないと付加マスがアクチ
ュエータのストロークエンドに到達すると判定して制振
効果のより小さいレギュレータマップへ選択を変更する
ため、制振効果の大きいレギュレータマップでの制振効
果を発揮させる領域を大きくできる。
【0007】
【実施例】図2〜4に本発明の実施例を示す。
【0008】図2、3において、構造物1の上部には制
振装置が設置され、底部に車輪10を有する直方体の付
加マス2が構造物1の最上部の床上に移動可能に配設さ
れる。付加マス2の周面には図3において上下左右から
複動型の油圧シリンダ6が固定され、この油圧シリンダ
6のロッド7の一端が付加マス2を囲むように構造物1
に立設した壁8に連結される。9は油圧シリンダ6に作
動油を供給する油圧ユニットである。
【0009】図4は図2、3で示した制御装置を制御対
象とする制御モデルである。ただし、簡略化のために付
加マス2は1本のシリンダ6で移動するようになってい
る。実際の装置では、構造物1、付加マス2が図2にお
いて例えば水平方向に揺れれば、図4のモデルでは上下
方向に振動することになる。
【0010】構造物1と付加マス2には状態量を検出す
る手段としての変位センサ11a、11bと速度センサ
12a、12bがそれぞれ設けられ、状態量として構造
物1の絶対変位x1、絶対速度v1、付加マス2の絶対変
位x2、絶対速度v2がそれぞれ検出される。絶対変位x
1、x2は構造物1、付加マス2がそれぞれ中心位置にあ
る場合を0として正負の値をとるようにする。また相対
速度V1、V2も付加マス2の動作方向によって正負の値
をとる。
【0011】 4つのセンサ11a、11b及び12
a、12bからの信号は、減算器32、33に入力さ
れ、ここで構造物1と付加マス2の相対変位X2(=x2
−x1)及び相対速度V2(=v2−v1)が求められる。
あるいは、付加マスの変位については、相対変位が直接
検出される付加マスの相対変位信号X2と相対速度信号
2により判定手段52から適用するレギュレータマッ
プを判定し、この判定結果と付加マスの相対変位X2
動作方向判定結果(ソレノイド励磁電流iの正負で判定
する)に応じたフィードバックゲインf=(f1、f2
3、f4)を読み出す。ただし、fはフィードバックゲ
インを表す行列である。
【0012】乗算器35〜38では前述の状態量x1
2、v1、V2にフィードバックゲインfの各成分f1
2、f3、f4が乗じられ、これらが加算器39により
加えられて、制御入力u=f11+f22+f31+f
42が得られる。前述の4つの状態量x1、X2、v1
2を状態ベクトルx=(x1、X2、v1、V2)で表す
と、u=f・xである。
【0013】コントローラ31から出力される制御入力
uは、サーボ弁13のソレノイド15に流す電流iに変
換され、このソレノイド電流iに応じてスプール14が
図中左右方向に移動する。なお、サーボ弁13の上側に
位置する3つのポートのうち、中央のポート16がポン
プP(図示せず)に、左右のポート17、18がタンク
T(図示せず)にそれぞれ連通する。また、下側に位置
する2つのポート19、20がそれぞれシリンダ6の上
下の部屋と連通する。
【0014】ここで、構造物1が、地震や風などの外力
を受けて図中上方向(図2、3では右方向)へ揺れ始め
ると、この揺れの状況を入力したコントローラ31によ
り、図示の位置までスプール14が右方向に摺動され
る。この状態ではシリンダ6の下方のシリンダ室に作動
油が供給され、上方のシリンダ室の作動油がタンクTに
戻されるので、シリンダ6内のピストンが押し上げられ
る。つまり、このピストンと一体となって動くロッド7
が、付加マス2を構造物1の動きに遅れて同じ側である
上側へと移動させる。一方、これとは逆に構造物1が下
方に揺れると、制御入力uの符号が反対になるので、ス
プール14が図中左に摺動して付加マス2が下方へと移
動される。ここに、付加マス2を動かすことによって発
生する反力が、構造物1に加えられた外力に対抗して反
対になるので、構造物1の振動が低減される。
【0015】この実施例では図5(A)、(B)に示す
ように2種類のレギュレータマップMAPa49、MA
Pb50が用意される。これらの図において、〜で
示した基準フィードバックゲインは付加マス変位X2
その動作方向に応じてからの順およびからの順
に制振効果の小さくなる(付加マスの動きが小さくな
る)ものが割り振られており、各マップについては図6
に示すように中心位置からストロークエンドに向かうに
従って制振効果の小さなフィードバックゲインが採用さ
れる。また、これら2つのレギュレータマップについて
は付加マス相対変位X2と動作方向が同じである場合
に、MAPa49、MAPb50の順で制振効果が小さ
くなる基準フィードバックゲインが与えられる。なお、
〜および〜のフィードバックゲインはそれぞれ
最適レギュレータ理論に基づき、片ロッドシリンダ用と
して動作方向毎に独立した系として設計したものであ
る。
【0016】上記2つのレギュレータマップは、加振入
力に応じて変位する付加マス2の速度に応じて下記のよ
うに切り換えられる。
【0017】構造物1に地震などの外力により振動が発
生し、これに呼応して付加マス2がアクチュエータに駆
動される。このとき付加マス2が構造物1の一次の固有
角振動数ωnで正弦波運動すると仮定した場合、シリン
ダ6の中立点からの最大ストロークをYSTとすると、付
加マス2の構造物1に対する相対変位X2
【0018】
【数1】
【0019】で表され、このときの付加マス2のストロ
ーク位置を示す相対位置X2に対応した付加マス2の構
造物1に対する相対速度の最大値V2max及び許容最大速
度V2limは次のように表される。
【0020】
【数2】
【0021】したがって、付加マス2の相対変位がX2
であるとき、最大値V2max及び許容最大速度V2limは相
対変位X2に応じて変化する。
【0022】(2)式で算出される許容速度V2limを、
付加マス2がシリンダ6のストロークエンドまでに減速
可能な許容最大速度とすると、速度センサ12a、12
bの検出値より算出される付加マス2の相対速度V
2が、その時点の相対変位X2から求められる許容最大速
度V2limを超えると、付加マス2がシリンダ6のストロ
ークエンドに到達すると判定してレギュレータマップを
より制振効果の小さいもの、すなわち、MAPa49か
らMAPb50へと切り換えて付加マス2がシリンダ6
のストロークエンドに到達することのないように駆動す
ることが可能となる。
【0023】この相対速度V2と相対変位X2との関係か
らレギュレータマップMAPa49、MAPb50の切
換領域は図7に示すように設定され、大地震などの大き
な加振入力が加わった場合、付加マス2は加振入力に応
じて制振効果の大きなMAPa49に基づいて変位を開
始した後、シリンダ6の最大ストロークYSTへ接近する
にしたがって相対速度V2が許容速度V2limを超えるた
め、レギュレータマップは制振効果の小さいMAPb5
0に切り換えられて付加マス2の変位を減少させてシリ
ンダ6がストロークエンドに到達するのを防ぎ、制振装
置又は構造物1の損傷を防止しながら最大の制振効果を
得ることが可能となる。
【0024】図8は図4において、コントローラ31を
マイクロプロセッサで構成した場合の制御動作の一例を
示すものである。
【0025】この図8のフローチャートを参照してコン
トローラ31の制御動作を説明すると、ステップ61で
付加マス2の相対速度V2と相対変位X2とを読み込んだ
後に、ステップ62でサーボ弁13を駆動する電流値i
を読み込むとともに、この電流値iの正負から付加マス
2の変位方向を判定する。
【0026】この判定結果が正であればステップ63に
おいて相対速度V2が前記(2)式により相対変位X2
ら求めた許容最大速度V2limを超えていないかを比較
し、相対速度V2が許容最大速度V2lim以下であればス
テップ65で制振効果の高いレギュレータマップMAP
a49を選択し、付加マス2を大きく変位させて高い制
振効果を得る。一方、ステップ63の比較において相対
速度V2が許容最大速度V2limを越えていればステップ
64で制振効果の小さいレギュレータマップMAPb5
0を選択し、付加マス2の変位を制限してシリンダ6が
ストロークエンドに到達するのを防止する。
【0027】一方、前記ステップ62の判定が負である
場合はステップ66で負の許容最大速度V2limと相対速
度V2とを比較し、相対速度V2が許容最大速度V2lim以
上であればステップ65で制振効果の大きいレギュレー
タマップMAPa49を選択し、相対速度V2が許容最
大速度V2lim未満であれば制振効果の小さいレギュレー
タマップMAPb50を選択する。
【0028】このようにして大きな加振入力に応じて大
きな制振効果が得られるレギュレータマップMAPa4
9を選択して付加マス2を駆動し、相対速度V2が付加
マス2の相対変位X2に応じて変化する許容最大速度V2
limを越える位置まで付加マス2が変位すると、レギュ
レータマップを制振効果の小さいMAPb50に切り換
えてシリンダ6がストロークエンドに到達して制振装置
や構造物1へ損傷を与えることがなく、付加マス2をシ
リンダ6のストローク範囲内で最大の制振効果が得られ
るように駆動することが可能となり、大きな加振入力に
対して大きな制振効果を得ることができる。また、加振
入力が大きなものから小さなものへ変化した場合は、付
加マス2の同一の変位と同一の動作方向に対して制振効
果のより大きなレギュレータマップ、すなわち、MAP
b50からMAPa49に切り換えられて大きな制振効
果を得ることができる。
【0029】なお、上記実施例において付加マス2がス
トロークエンドに達する可能性を判定する際に相対速度
2を用いたが、絶対速度v2を使用しても上記実施例と
同様となる。
【0030】また、上記実施例において2つのレギュレ
ータマップをMAPa、MAPbの2種類より構成した
が、レギュレータマップの数をさらに増やすことによっ
てより細かな制御が可能となる。
【0031】また、正弦曲線で示される前記(1)式ま
たは(2)式の代わりにこの正弦曲線を(1)式または
(2)式に直線近似させた1次式を使用することもで
き、演算内容を簡素化することで処理速度を向上させ、
付加マス2の追従性も向上させることができる。
【0032】
【発明の効果】 以上のように、第1の発明によれば、
付加マスの速度がアクチュエータのストローク位置に応
じて変化する許容速度を越える相対位置において制振効
果のより小さいレギュレータマップを選択するようにし
たため、アクチュエータがストロークエンドに到達して
制振装置や構造物へ損傷を与えることがなく、付加マス
をアクチュエータのストローク範囲内で最大の制振効果
が得られるように駆動することが可能となり、大きな加
振入力に対して大きな制振効果を得ることができる。
2の発明においては、制振効果が異なる複数のレギュレ
ータマップを加振入力に応じて最大の制振効果が得られ
るよう適切に切換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーム対応図である。
【図2】本発明の実施例を示す側面図である。
【図3】同じく平面図である
【図4】同じく制御モデルの構成図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれレギュレータマップ
の一例を示す図表である。
【図6】付加マスの変位と制振効果の関係を示す図であ
る。
【図7】付加マスの相対変位と相対速度によるマップの
切換条件を示す図である。
【図8】制御の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 構造物 2 付加マス 6 シリンダ 11a、11b 変位センサ 12a、12b 速度センサ 31 コントローラ 41 付加マス 42 アクチュエータ 43 レギュレータマップ 44 変位センサ 45 動作方向判断手段 46 読み出し手段 47 状態量センサ 49、50 レギュレータマップ 51A、51B レギュレータマップMAPa、b 52 判定手段 53 選択手段 58 制御入力決定手段
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02 341 F16F 15/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の振動方向に運動可能な付加マス
    と、 この付加マスを運動させるアクチュエータとを備え、 付加マスの変位とその動作方向に対して付加マスの変位
    が中心位置からストロークエンドに向かうに従って制振
    効果の小さなフィードバックゲインを格納したレギュレ
    ータマップと、 付加マスの変位と付加マスの動作方向を判断する手段
    と、 これらの信号に応じて前記レギュレータマップを参照
    し、そのときの付加マス変位とその動作方向に応じたフ
    ィードバックゲインを読み出す手段と、 振動に関係する状態量を検出するセンサと、 このセンサから得られた状態量から状態量ベクトルを作
    り、この状態量ベクトルと前記読み出されたフィードバ
    ックゲインとの内積にて前記アクチュエータに与える制
    御入力を決定する手段とを備える制振装置において、前記レギュレータマップを同一の付加マス変位とその動
    作方向に対して制振効果が異なるよう複数設定し、 付加マスの速度がその相対位置に対応して変化する許容
    速度を超えるか否かを 判定する手段と、 前記判定の結果により付加マスの速度がその相対位置の
    許容速度を超えない場合には制振効果の大きいレギュレ
    ータマップを選択し、付加マスの速度がその相対位置の
    許容速度を超える場合は制振効果の小さいレギュレータ
    マップを選択する手段と、を備えたことを特徴とする制
    振装置。
  2. 【請求項2】 前記付加マスの相対位置に対応して変化
    する許容速度は、アクチュエータの中立点から相対変位
    が最大ストロークに接近するにしたがい低下する正弦曲
    線若しくはその近似直線で設定されることを特徴とする
    請求項1に記載の制振装置。
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