JP3255862B2 - 摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

摺動部材およびその製造方法

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    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、船舶等の
輸送機械、一般産業機械等に使用される摺動部材、およ
びその製造方法に関するものであり、より具体的にはエ
ンジン部品として好適な摺動部材およびその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジン等で使用されるアルミニウム合
金などの非鉄金属製摺動部材は、一般に、非鉄金属製基
体、又は裏金材に摺動部材用非鉄金属合金を接合させて
形成された基材を所望の形状、例えばすべり軸受の場合
には、円筒状ブッシュまたは半割状に加工して製造され
ている。
【0003】摺動部材用合金としては、銅−鉛系合金又
はアルミニウム系合金が主として使用されているが、近
年ではエンジンの高回転、高出力化への対応や生産コス
ト低減のためアルミニウム合金又は強化材含有アルミニ
ウム合金の使用が増加する傾向にある。
【0004】摺動部材用アルミニウム合金としては、ア
ルミニウム−錫系合金又はアルミニウム−シリコン合金
が使用される場合、Snの含有率が高い場合はオーバレ
イ層なしでも使用できるが、高性能摺動部材では一般に
Sn含有率を5〜7%程度に低くし、その耐疲労性、お
よび耐食性を向上させている。
【0005】この場合、初期なじみ性(rapid b
reak−in)を改善するために、アルミニウム合金
層上に軟質のSn系やPb系オーバレイめっきを施して
おく必要があった。
【0006】このようなオーバレイめっき層を必要とす
る摺動部材用合金としては、例えばJIS H5402
AJ−1(10%Sn−0.75Cu−0.5Ni−
AlBal)、JIS H5402 AJ−2(6%S
n−2.5Cu−1.0Ni−Al Bal)、および
JIS AC8A(12%Si−1.0Cu−1.5N
i−Al Bal)などが知られている。
【0007】しかし、これらの摺動部材用合金上に軟質
金属のオーバレイめっきを施した摺動部材においても、
オーバレイめっきの溶融温度が低いことにより、高負荷
条件下では潤滑油の温度上昇による潤滑面の高温化のた
めに疲労、焼付きおよび摩耗などの現象が生じ、使用に
耐えない場合が発生する。
【0008】また、摺動部材用金属材料を機械加工し、
その後にオーバレイ形成用電気めっきを施す方法も知ら
れているが、この方法は、多数の処理工程を必要とし、
このため生産性が低く、コストが高いという問題点を有
している。
【0009】これに対し、アルミニウム合金層表面に、
耐熱性に優れた化成処理皮膜を施した摺動部材の例とし
て、欧州特許EP−PS 0059273や特開昭64
−49713記載の化成すべり軸受がある。
【0010】前者は、アルミニウム軸受合金層上に、り
ん酸亜鉛皮膜を形成したもので、局部的集中荷重を除
き、軸受面に一様な分荷重を与え、なじみ性を向上させ
たものであり、後者はこれを改良し、軸受層の外周面に
りん酸亜鉛皮膜が形成することを防止したものである。
【0011】しかし、前掲のりん酸亜鉛皮膜を形成した
アルミニウム合金軸受においても、りん酸亜鉛は結晶質
であるため十分な平滑性が得られず、かつ摩耗しやすい
という欠点を有し、このため得られる摺動部材は高荷重
下における耐焼付き性や耐摩耗性において不十分なもの
であった。
【0012】また、特開昭64−49713に示される
ように、軸受裏面に付着した粗大なりん酸亜鉛結晶が、
軸受を軸受ハウジングに固定したとき、この固定に緩み
を生じる原因となる。この固定緩み防止のために、予め
軸受裏面に対し、りん酸塩皮膜の形成を防止する処理を
施しておく必要があるなどの問題点がある。
【0013】即ち、現在に至るまでアルミニウム合金又
は強化材含有アルミニウム合金により形成された摺動面
に優れた耐焼付き性や耐摩耗性を付与する表面処理皮膜
や表面処理方法は見出されていないのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記問題を解決するため、摺動部材の、アルミニウム合
金又は強化材含有アルミニウム合金により形成された摺
動面上にオーバレイめっきを施すことなく、その代りに
平滑で、潤滑性および耐摩耗性に優れた特殊無機化成皮
膜層を設けることにより、従来よりも優れた耐焼付き
性、耐摩耗性を有する摺動部材、およびその製造方法を
提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来オー
バレイめっきなどが必要であるとされていたアルミニウ
ム合金製摺動部材について、上記めっきを施すことなく
耐焼付き性、耐摩耗性を向上させるため、アルミニウム
合金層又は強化材含有アルミニウム合金層の表面に、種
々の化成処理皮膜を形成して、それらの摺動性能につい
て鋭意検討した。
【0016】その結果、基体の、アルミニウム合金又は
強化材含有アルミニウム合金により形成された摺動面
に、りん酸亜鉛、フッ化アルミニウムナトリウム、りん
酸マンガンなど、従来知られている結晶性化合物から化
成皮膜を形成した場合、この摺動面が結晶径3〜4μm
以上の粗大な化成結晶で覆われ、それにより摺動面の平
滑性が低下し、当該摺動面の摩擦係数(μ)が高くなる
ため高荷重下で焼付きを起し易くなることを見出した。
【0017】本発明者らはこれらの知見から、摺動面に
非晶質または結晶性が低く、平滑、かつ硬質であって、
しかも耐摩耗性、および耐熱性に優れた化成皮膜を形成
するため、さらに研究を重ねた。
【0018】
【0019】発明者らは、摺動部材基体のアルミニウム
合金又は強化材含有アルミニウム合金から形成された摺
動面上に、化成処理法によりモリブデン、タングステ
ン、またはクロムの少なくとも1種の金属と、アルミニ
ウムと、りんとを含み、残部が実質的に酸素からなる無
機酸化物の皮膜を形成することにより、さらに優れた耐
焼付き性および耐摩耗性を有し、またはなじみ性にすぐ
れた摺動部材が得られること、およびこの無機酸化物皮
膜は、モリブデン、タングステン、およびクロムから選
ばれた少なくとも1種の金属合計2〜48重量%と、ア
ルミニウムを1〜25重量%と、りん1〜25重量%と
を含み、残部が実質的に酸素からなるものであることを
見出した。
【0020】また発明者らは、本発明の摺動部材を製造
する方法についても鋭意検討し、モリブデン酸イオン、
タングステン酸イオン、および/またはクロム酸イオン
を含み、さらに弗素イオンと、りん酸などの無機りん化
合物イオンとを含む水溶液に、摺動部材基体上にアルミ
ニウム合金又は強化材含有アルミニウム合金により形成
された摺動面を接触させる化成処理方法により、本発明
の摺動部材を製造することが可能であることを見出し本
発明方法を完成した。
【0021】
【0022】本発明の他の摺動部材は、アルミニウム合
金又は強化材含有アルミニウム合金により形成されてい
る摺動面を有する基体と、前記基体摺動面上に形成され
た化成皮膜層とを含むものであって、この化成皮膜層
が、モリブデン、タングステンおよびクロムから選ばれ
た少なくとも1種の金属を、合計2〜48重量%、アル
ミニウムを、1〜25重量%、りんを、1〜25重量
%、および、実質的に酸素からなる残部を含む無機酸化
物からなり、かつ0.1〜20μmの膜厚を有すること
を特徴とするものである。
【0023】
【0024】
【0025】前記本発明の摺動部材を製造する本発明方
法は、アルミニウム合金又は強化材含有アルミニウム合
金により形成されている摺動面を有する基体の前記摺動
面を、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、お
よびクロム酸イオンから選ばれた少なくとも1種と、り
ん酸、亜りん酸、および縮合りん酸から選択された少な
くとも1種のりん化合物のイオンと、弗素イオンとを含
む水溶液に接触させることを特徴とするものである。
【0026】
【0027】また、本発明の摺動部材は、上記化成処理
方法および電解処理方法の他に、CVD法(化学的蒸着
法)、PVD法(物理的蒸着法)、常圧CVD法(パイ
ロゾル法)、または溶射法によって製造することも可能
である。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の摺動部材の一実施態様と
してすべり軸受材をあげることができる。このすべり軸
受材は、図1に示されているように金属製裏面例えば鋼
製裏金1上にアルミニウム合金又は強化材含有アルミニ
ウム金層の層2が形成されており、さらにその上に無機
化合物皮膜層3が形成されているものである。このよう
な本発明の摺動部材において、アルミニウム合金層又は
強化材含有アルミニウム合金により形成された摺動面上
に、モリブデン、タングステン、およびクロムのうち少
なくとも1種の金属と、アルミニウムおよびりんと、残
部が実質的に酸素からなる無機酸化物からなる化成皮膜
層が形成されていることを特徴とするものである。この
場合、この無機化成皮膜層は、モリブデン、タングステ
ン、および/又はクロムの合計含有率が2〜48重量
%、アルミニウムの含有率が1〜25重量%、りんの含
有率が1〜25重量%、残部が実質的に酸素からなるも
のである。すべり軸受を除く他の摺動部材においては、
その摺動面を強化材含有アルミニウム合金により形成す
ることができる。本発明の摺動部材において、無機酸化
物からなる化成皮膜を以下、無機化成皮膜と略称する。
【0029】本発明が適用可能な摺動部材の基体は、ア
ルミニウム合金又は強化材含有アルミニウム合金による
摺動面を有するものであって、上記摺動合金層は金属製
裏金、例えば鋼製裏金上に形成されていてもよい。アル
ミニウム合金の種類としては、JIS H5402 A
J−1(10%Sn−0.75Cu−0.5Ni−Al
Bal)、およびJIS H5402 AJ−2(6
%Sn−2.5Cu−1.0Ni−Al Bal)など
のAl−Sn−Cu系合金、並びにAl−Si合金、A
l−Sn−Si−Pb−Cu合金、Al−Pb合金、お
よびAl−Zn−Si−Cu−Pb合金等が包含され
る。また、強化材含有アルミニウム合金は、アルミナ繊
維、シリカ繊維、アルミナ粒子及び/又はシリカ粒子な
どの無機材料により補強された上記アルミニウム合金を
包含する。この場合、強化材は、太さ0.1〜200μ
m、長さ1〜100mmのアルミナ、又はシリカ繊維或
は、粒径0.1〜500μmのアルミナ粒子又はシリカ
粒子などから選ばれ、その含有量は1〜40体積%であ
る。
【0030】このような摺動部材は、そのアルミニウム
合金層又は強化材含有アルミニウム合金層が内面(摺動
面)を形成するように配置され、機械加工され、かつ表
面仕上げされ、その後に、その上に本発明に係る無機化
成皮膜層が形成される。
【0031】摺動面上に形成される無機化成皮膜層の厚
さは、0.1〜20μmであり、好ましくは0.2〜4
μmである。この厚さが0.1μm未満では得られる摺
動部材の摺動面の耐摩耗性が不十分となり、またそれが
20μmを超えると当該無機化成皮膜層のアルミニウム
合金層又は強化材含有アルミニウム合金層に対する密着
性が不十分になる。
【0032】摺動面上形成された無機化成皮膜は、モリ
ブデン、タングステン、およびクロムの酸化物、水和酸
化物、又は複酸化物等などから選ばれた1種以上の金属
化合物を含み、必要によりこの他にりん酸アルミニウム
や亜りん酸アルミニウム等のアルミニウム化合物および
りん化合物を含む無機複合皮膜であり、この皮膜層は、
上記成分に加えてモリブドりん酸塩などのヘテロポリ酸
塩等の化合物を含んでいてもよい。この無機化合物皮膜
層の外観は、灰色、黄金色〜茶色、又は黒色、などの色
調を呈し、干渉色を呈することもある。
【0033】無機化成皮膜層中には、これらの他に摺動
合金中に含まれる少量のSn,Ni,Pb,Si、また
は処理浴中に含まれるNa,Fなどが不純物として共析
する場合があるが、これらは少量であれば摺動性能に悪
影響を与えることはない。
【0034】本発明の摺動部材において、基体のアルミ
ニウム合金層又は強化材含有アルミニウム合金層の上に
形成される無機化成皮膜層は、モリブデン、タングステ
ン、およびクロムの少なくとも1種の金属を合計で2〜
48重量%好ましくは10〜42重量%と、アルミニウ
ムを1〜25重量%、好ましくは5〜20重量%と、り
んを1〜25重量%、好ましくは5〜23重量%含み、
残部が実質的に酸素からなる無機酸化物により形成され
るものである。最も好ましい無機化成皮膜層の無機酸化
物の組成は、モリブデン、タングステン、およびクロム
のうち少なくとも1種の金属の合計含有率が25〜42
重量%であり、アルミニウムの含有率が5〜15重量%
であり、りんの含有率が7〜17重量%であり、残部が
酸素からなるものである。
【0035】無機化成皮膜層形成処理直後は、得られた
皮膜には、水和酸化物等の水和水や吸着水を構成する多
量の水素原子が含まれているが、処理後の乾燥、加熱乾
燥時に脱水してその多くが失われ、これに伴い皮膜が硬
化、安定化するため、皮膜成分を構成する原子のうち、
上記水分に由来する水素原子の含有率は実質的には無視
できるほど少ないものとなる。
【0036】無機化成皮膜成分中の、モリブデン、タン
グステン、およびクロムのうち、モリブデンおよびタン
グステンの酸化物が皮膜の密着性および耐熱性を向上さ
せるという点からより好ましいものである。
【0037】本発明のすべり軸受材において、その無機
化成皮膜層中の、モリブデン、タングステン、およびク
ロムの含有率の合計が2重量%未満の場合、アルミニウ
ムの含有率が25重量%を超える場合、および/又はり
んの含有率が25重量%を超える場合には、得られる無
機化成皮膜層の表面粗さが過大になり、それにより耐焼
付性能が不十分になる。
【0038】また、本発明の摺動部材の無機化成皮膜層
において、前記モリブデン、タングステン及び/又はク
ロムの含有率の合計が2重量%未満の場合、アルミニウ
ム含有率が25重量%を超える場合、及び/又はりん含
有率が25重量%を超える場合には、得られる無機化成
皮膜層の表面粗さが過大になり、耐焼付性能が不十分に
なる。さらに本発明の摺動部材において、無機化成皮膜
層中のモリブデン、タングステン、およびクロムの含有
率の合計が48重量%を超えた場合、アルミニウムの含
有率が1重量%未満の場合、および/又はりんの含有率
が1%未満の場合には、得られる皮膜層の表面粗さが過
大になる。
【0039】また、本発明の方法により摺動部材の摺動
面上に無機化成皮膜層を形成するとき、金属製、特に鋼
製裏金の反対側面(裏面)の上にも、同時に干渉色〜黒
色のモリブデン、タングステン、またはクロムの酸化物
やりん酸鉄を成分として含む薄膜が形成されるが、この
薄膜には鋼製裏金に耐食性を付与し発錆を防止する効果
があるため、本発明方法は、裏面を含む摺動部材全体に
一括して施されることがより好ましい。
【0040】次に本発明の摺動部材の製造方法について
詳細に説明する。
【0041】表面加工仕上げされた摺動部材の基体表面
には、切削油等の油分等が付着しているため、前処理と
してあらかじめ有機溶剤または界面活性剤を含む水系洗
浄液等による脱脂洗浄を施しておく必要がある。
【0042】
【0043】また、本発明の摺動部材を製造するには、
基体のアルミニウム合金層又は強化材含有アルミニウム
合金層の摺動面に、モリブデン酸イオン、タングステン
酸イオン、およびクロム酸イオンから選ばれた少なくと
も1種と、りん酸、亜りん酸、および縮合りん酸から選
択された少なくとも1種のりん化合物イオンと、弗素イ
オンとを含む水溶液を、上記と同様にして接触させる化
成処理を施す本発明の摺動部材製造方法を用いることが
できる。
【0044】本発明方法に用いられるモリブデン酸イオ
ン、タングステン酸イオン、およびクロム酸イオンと
は、これらのオルト酸、又はポリ酸などを水中に溶解す
ることにより生成する。従って処理浴中におけるこれら
の金属含有イオンの存在形態は、Mo7 24- ,W8
26 4-などのポリモリブデン酸、ポリタングステン酸や
Cr2 7 2- などの重クロム酸イオンなどを包含する。
【0045】モリブデン酸イオン、タングステン酸イオ
ン、およびクロム酸イオンは、モリブデン酸アンモニウ
ム、モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸カリウ
ム、重クロム酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩または
アンモニウム塩を水中に溶解することにより形成される
ことが好ましい。
【0046】本発明方法に用いられる処理浴中のモリブ
デン酸イオン、タングステン酸イオン、およびクロム酸
イオンは、何れの場合もそれらの濃度の合計が0.1〜
400g/リットルの範囲であることが好ましい。この
金属含有イオン濃度が0.1g/リットル未満では十分
な厚さの皮膜層が得られず、またそれが400g/リッ
トルを超えると最大溶解度を超えて沈澱を生じるため実
用が困難となる。より好ましい濃度範囲は1〜100g
/リットルである。
【0047】本発明摺動部材を製造するために前記化成
処理を用いる本発明摺動部材製造方法において、処理浴
中のりん酸、亜りん酸、または縮合りん酸から選択され
る無機りん化合物のイオンは、これらの酸から生成した
ものであってもよいが、りん酸ナトリウム、りん酸アン
モニウム、亜りん酸カリウム、ピロりん酸ナトリウムな
どの可溶性塩から生成したものであることが好ましく、
りん酸モノナトリウム、りん酸モノアンモニウムなどの
酸性りん酸塩を用いることが最も好ましい。
【0048】この場合、りん酸、亜りん酸、または縮合
りん酸のイオンの好ましい濃度範囲は、0.1〜300
g/リットルであり、より好ましい範囲は0.5〜10
0g/リットルである。
【0049】また、本発明方法において、処理液中に弗
素イオンが含まれる場合、この弗素イオンは、フッ化ナ
トリウム、酸性フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フ
ッ化アンモニウム、硼フッ化ナトリウム、珪フッ化ナト
リウム、フッ化水素酸、硼フッ化水素酸、珪フッ化水素
酸、ジルコンフッ化水素酸、チタンフッ化水素酸などの
化合物によって供給されるものであってよく、これらの
化合物は、適宜に選択使用することができる。
【0050】この場合、弗素イオンメータ等によって測
定される弗素イオンの濃度は、0.02〜100g/リ
ットルであることが好ましく、最も好ましい範囲は0.
1〜5g/リットルである。
【0051】弗素イオン濃度が0.02g/リットル未
満ではアルミニウム合金層又は強化材含有アルミニウム
合金層に対するエッチング効果が不十分であるために無
機化合物皮膜層が形成されず、また、それが100g/
リットルを超えると、得られる摺動部材の摺動面の表面
粗度が過大となって摺動性能が低下するため好ましくな
い。
【0052】また、上記水溶液接触法用処理浴中には硝
酸イオン、過酸化水素などの酸化剤を添加することによ
り皮膜形成速度や浴の安定性を向上させることも可能で
ある。
【0053】平滑で十分な皮膜付着量を得るためには、
上記処理浴のpH値が、2〜7の範囲内にあることが好ま
しく、3〜6が最も好ましい。一般にりん化合物の供給
源としてりん酸モノナトリウム、りん酸モノアンモニウ
ムなどの酸性りん酸塩を使用すれば、特にpH値を調整す
ることなく適正なpH値を得ることができる。
【0054】また、上記水溶液接触法用処理液の処理温
度は20〜80℃であることが好ましく、処理時間は弗
素イオン濃度、処理温度によっても異なるが通常5秒〜
600秒で十分である。
【0055】本発明方法において、陰極電解法により無
機化成皮膜層を形成する場合、この電解処理における陰
極電流密度は0.2〜20A/dm2 であることが好まし
く、このとき、白金被覆チタン、DSE、カーボン、ス
テンレス等の不溶性電極を陽極として使用することが好
ましい。
【0056】また、通電開始前に電解液中で数秒〜数十
秒間浸漬処理することにより皮膜の密着性をさらに改善
することができる。
【0057】電解浴中には、上記成分の他に、硝酸イオ
ン、過酸化水素などの酸化剤を添加することにより皮膜
形成速度や浴の安定性を向上することが可能である。ま
た電解浴中に弗素イオンが含まれることは、陽極寿命に
悪影響を与えるために、一般には好ましくないが、それ
が低濃度であれば実用上許容される。
【0058】電解処理温度は20〜70℃が適してお
り、処理時間は電流密度によって異なるが、通常は10
〜180秒の範囲が好ましい。
【0059】上記本発明方法により、無機化成皮膜層形
成が終了したならば、それを速やかに水洗し、乾燥して
処理を完了する。この乾燥において、水和酸化物の脱水
を促進して摺動性能を安定させるためには80〜150
℃程度の温度で数秒〜数分間加熱乾燥することがより好
ましい。
【0060】本発明の摺動部材は、アルミニウム合金層
又は強化材含有アルミニウム合金層の表面にモリブデ
ン、タングステンやクロム、アルミニウム、りん及び酸
素を含む無機酸化物からなる化成皮膜が形成されている
が、この無機化成皮膜層に含まれる化合物は極めて微細
な結晶質、または非晶質であるため、摺動面の表面粗さ
を増加させることがなく、それとともに、摩擦抵抗が小
さく密着性に優れた硬質皮膜であるという特徴を有して
いる。
【0061】このため、比較的軟質なアルミニウム合金
層又は強化材含有アルミニウム合金層上に上記無機化成
皮膜を形成した場合、単に摺動面の耐摩耗性が向上する
だけでなく、摺動部材に部分的に大きな荷重がかかった
場合でも、アルミニウム合金層又は強化材含有アルミニ
ウム合金層の弾性変形、塑性変形に対して無機酸化物化
成皮膜層が容易に追随変形することができるため、剥離
することがなく、また荷重が分散されることにより耐焼
付き性が向上し、馴染み性を損なうこともない。
【0062】生成した無機化成皮膜は、乾燥または加熱
乾燥により無機化合物の水和水の多くが失われる。この
ときある程度の体積収縮を伴うため、皮膜に微細な亀裂
を生ずることがあるが、摺動面に荷重がかかった場合で
も密着性は失われず、耐摩耗性が良好であるため優れた
摺動性能を示す。
【0063】本発明の上記摺動部材は、アルミニウム合
金、強化材含有アルミニウム合金、HV400以上のス
チール、鋳鉄、並びに窒化処理、又は金属めっき処理を
施されたスチールから選ばれた1種よりなり、前記摺動
部材の前記摺動面に当接して互いに相対的に摺動する当
接部材と組み合わされて摺動部材−当接部材複合体を構
成する。
【0064】前記複合体において、例えば前記摺動部材
をエンジン用ピストンの溝部およびスカート部、シリン
ダーボア、バルブリフター、A/T油圧制御用バルブス
プール、ブレーキマスターシリンダー用ピストン、およ
びすべり軸受などから選び、前記当接部材を、前記摺動
部材に対応するピストンリング、シリンダーボアー、シ
リンダーヘッド、バルブボデー、およびシャフトなどか
ら選ぶことができる。
【0065】
【実施例】本発明を下記実施例により具体的に説明す
る。
【0066】実施例1〜8および比較例1〜3 供試軸受基材として、鋼製裏金に軸受用アルミニウム合
金(Al−6Sn−1Cu−Ni)薄板をロール圧延法
により圧延接合し、これに温度350℃で4時間の焼鈍
を施してバイメタルを製造した。
【0067】次に、得られたバイメタルを切断し、機械
加工して軸受試験片を作製し、これをアルミニウム用脱
脂剤(ファインクリーナー315:日本パーカライジン
グ製)を使用して濃度20g/リットル、70℃で2分
間脱脂し、水洗したのち各実施例、比較例に記載の無機
化合物皮膜層形成処理を施し、さらに水洗した後、12
0℃で5分間熱風乾燥した。
【0068】表1および表2に、実施例1〜8および比
較例1〜3の各々の表面処理条件と皮膜付着量および皮
膜組成を示す。
【0069】
【0070】上記実施例および比較例は、スプレー法ま
たは浸漬法により軸受試験片を処理液と接触させる化成
処理法により軸受試験片上に無機化合物皮膜層を形成し
た。
【0071】処理液中のモリブデン酸イオンはモリブデ
ン酸アンモニウムを添加して形成し、タングステン酸イ
オンは、タングステン酸ナトリウムを添加して形成し、
クロム酸イオンは、重クロム酸アンモニウムを添加して
形成し、弗素イオンは、フッ化ナトリウムまたはフッ化
アンモニウムを添加して形成し、各イオン濃度は、表1
および2に示された数値となるように調整した。
【0072】また、りん酸イオンは、りん酸一ナトリウ
ムを添加して生成させ、亜りん酸イオンは亜りん酸一ナ
トリウムを添加して生成させ、ピロりん酸イオンおよび
トリポリりん酸イオンは、これらのカリウム塩を添加す
ることにより生成させた。
【0073】比較例3におけるりん酸亜鉛皮膜の形成に
おいて、酸化亜鉛3.8gをりん酸30gに溶解し、こ
れに水を加えて全量を1リットルとし、これに水酸化ナ
トリウムを加えてpHを3〜3.5として処理液を調製
し、この処理液により軸受試験片を処理した。
【0074】無機化成皮膜中のモリブデン、タングステ
ン、クロム、りん、の含有率(%)は、X線光電子分光
分析装置(XPS:島津製作所製 ESCA−850
M)を使用して定量分析し、実施例および比較例の各々
の皮膜成分のうち、モリブデン、タングステン、クロ
ム、りんを除く残部は酸素が主であることを確認した。
【0075】また、皮膜全体の付着量は、裏金部をマス
キングした後、皮膜のみを36%硝酸で溶解し、溶解前
後の重量差から算出した。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】各実施例および比較例で得られた軸受試験
片は、回転荷重試験機を用いて焼付き試験、および摩耗
試験に供された。焼付き試験および摩耗試験条件を下記
に示し、試験結果を図2および図3に示す。
【0079】 〔焼付き試験条件〕 試験装置:静荷重軸受試験機 回転数:5000rpm 、 給油量:0.1 リットル/分 周速度:12.5m/sec 、潤滑油:SAE 10W−30 給油温度:100±2℃、 軸材質:S50C(焼入れ、表面粗さRz:0. 8μm) 判定方法:軸受背面温度が急激に上昇した時、またはモーター過負荷時点の負 荷値による。
【0080】 〔摩耗試験条件〕 試験装置:静荷重軸受試験機 回転数:5000rpm 、 給油量:0.1 リットル/分 周速度:12.5m/sec 、潤滑油:SAE 10W−30 面圧:50MPa 、 軸材質:S50C(焼入れ、表面粗さRz:0. 8μm) 試験時間:10Hr
【0081】表1、表2、図2、および図3に示された
実施例および比較例の結果から明らかなように、軸受材
のアルミニウム合金層上に、本発明に係る無機化合物皮
膜層を設けることにより、優れた耐焼付き性、耐摩耗性
が発揮される。また本発明の無機化合物皮膜層は、比較
例3に示されるような従来のりん酸亜鉛皮膜を形成した
場合よりも優れた摺動性能を発揮することが明らかであ
る。
【0082】実施例9〜13および比較例4〜6 実施例9〜13および比較例4〜6の各々において、実
施例1と同様にして摺動部材を作製した。但し、使用さ
れた表面処理液の組成、処理時間、および処理液温度は
表3に示す通りであった。
【0083】
【表3】
【0084】供試摺動部材基体として、(A)アルミニ
ウム合金(JIS AC8A)の平板(30mm×30mm
×2mm)、又は(B)アルミナ−シリカ繊維により強化
されたアルミニウム合金(MMC)の平板(30mm×3
0mm×2mm)を用いた。これをアルミニウム用脱脂剤
(ファインクリーナー315:日本パーカライジング
製)を使用して濃度20g/リットル、70℃で2分間
脱脂し、水洗したのち、この供試基体に無機化合物皮膜
層形成処理を施し、さらに水洗した後、120℃で5分
間熱風乾燥した。
【0085】表4に、実施例9〜13および比較例4〜
6の各々に用いられた供試材、表面処理条件、およびそ
れに組み合わされた当接部材の材質および表面処理方法
を示す。当接部材としては、円筒試験片(直径:25m
m)を用いた。この円筒試験片は、スチール(SUS4
40C)の摺動面(2mm2 )に、ガス軟窒化処理を施し
たもの、クロムメッキを施したもの、SiC分散Ni−
P合金めっきを施したもの、又は未処理のものであっ
た。
【0086】
【表4】
【0087】実施例14〜16および比較例7および8 実施例14〜16および比較例7〜8の各々において、
供試材A(アルミニウム合金板)に、実施例9と同様の
前処理を施した後、表5に記載の表面処理液を用いて無
機化成皮膜層形成処理を施した。但し、比較例7におい
ては、電気錫めっき皮膜が形成され、比較例8において
は無電解鉄めっき皮膜が形成された。当接部材の円筒試
験片(φ:25mm)としては、表5に示されているよう
に、鋳鉄(FC23)、アルミナ−シリカ強化材含有ア
ルミニウム合金、又は、その上に無機化成皮膜形成処理
を施したものを用いた。
【0088】
【表5】
【0089】実施例17および比較例9および10 実施例17および比較例9〜10の各々において、供試
材A(アルミニウム合金板)を用い、実施例11と同様
の無機化合物皮膜形成処理を行った。但し、処理液は表
6に示したものを用いた。比較例9〜10においては、
皮膜形成処理を行わなかった。また、当接部材として用
いられた円筒試験片(φ:25mm)は、未処理のアルミ
ニウム合金(AC2C又はADC10)、又はこれらの
アルミニウム合金材に、アルマイト処理を施したもの、
Fe−C系溶射処理を施したもの、無電解Ni−P合金
めっきを施したものを用いた。
【0090】
【表6】
【0091】前記実施例9〜17および比較例4〜10
により得られた摺動材料−当接部材組合せを下記試験に
供した。 〔焼付き試験条件〕 試験装置:鈴木式スラスト試験機(リングオンプレート
試験機) 回転数:1500rpm (2.0m/s) 荷重 :ステップアップ漸増法(10kgf /ステップ) 潤滑油:5W−30ベースオイル(温度なりゆき) 潤滑油量:200ccオイルバス
【0092】〔摩耗試験条件〕 試験装置:鈴木式スラスト試験機(リングオンプレート
試験機) 回転数:1500rpm (2.0m/s) 荷重 :150kgf 試験時間:2Hr 潤滑油:5W−30ベースオイル(温度なりゆき) 潤滑油量:200ccオイルバス
【0093】焼付試験は、表4〜6に示された試験片
(摺動部材および当接部材)の各種組合せについて、平
均試験片(摺動部材)と円筒試験片(当接部材)との接
触部に潤滑油を供試し、円筒試験片を回転数1500rp
m にて回転させつつ平板試験片に対する円筒試験片の押
し付け荷重を10kgf から徐々にステップアップさせ、
これにより焼付限界荷重を決定した。また、摩耗試験
は、焼付試験と同様に平板試験片と円筒試験片を潤滑油
中で摺動させながら、150kgf ×2Hrの試験を終了し
た後の平板試験片の摩耗深さを測定した。試験結果を図
4および図5に示す。
【0094】図4は、実施例9〜15において、無機化
成皮膜層を設けることにより、比較例4〜6に比べて耐
焼付性が大幅に向上していることを示している。その中
でも、平板試験片の母材がアルミニウム合金の場合より
セラミック繊維で強化されたMMCの方が耐焼付性が高
い。また、相手材の違いによっても焼付荷重には差がみ
られ、スチール+窒化処理品と組み合わせた場合が最も
特性が良かった。実施例14〜16において、平板試験
片の母材は実施例9と同じであるが、相手材が異なり、
鋳鉄やMMCを相手材とした時(ピストンスカート*シ
リンダーボアーの組合せ)の結果である。実施例9の場
合と同様、本発明の無機化成皮膜層を設けた場合、比較
例のSnめっきやFeめっきよりも優れた耐焼付性が得
られた。実施例17の場合も、当接部材の円筒試験片の
材質、表面処理が実施例9〜13および14〜17とは
異なるケースであるが、比較例9,10のようにアルマ
イト処理(陽極酸化処理)を当接部材面に処理したもの
よりも、平板試験片の表面に本発明の無機化合物皮膜層
を形成した場合の方が、優れた焼付特性を示した。
【0095】次に、図5は、平板試験片の表面に本発明
の無機化成皮膜層を設けた実施例9〜13の場合は、比
較例5〜6に比べて耐摩耗性が向上していることを示し
ている。(なお、比較例4と比較例9は、摩耗試験中に
焼付が発生したため、摩耗強度データは得られなかっ
た。)実施例14〜16および実施例17においても、
比較例に比べ摩耗量が大幅に少なくなっており、平板試
験片の表面に本発明の無機化成皮膜層を形成することに
より、自身の耐摩耗性が向上することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摺動部材の−実施態様として示された
すべり軸受の断面説明図。
【図2】実施例1〜8および比較例1〜3の摺動部材の
焼付き試験結果を示すグラフ。
【図3】実施例1〜8および比較例1〜3の摺動部材の
摩耗試験結果を示すグラフ。
【図4】実施例9〜17および比較例4〜10の摺動部
材−当接部材複合体の焼付き試験結果を示すグラフ。
【図5】実施例9〜17および比較例4〜10の摺動部
材−当接部材複合体の摩耗試験結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1…鋼製裏金 2…アルミニウム合金層 3…無機化合物皮膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 隆 東京都中央区日本橋1丁目15番1号 日 本パーカライジング株式会社内 (72)発明者 不破 良雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 道岡 博文 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−147983(JP,A) 特開 昭56−9389(JP,A) 特開 平5−271928(JP,A) 特開 平7−173553(JP,A) 特開 平4−94494(JP,A) 特開 平6−235096(JP,A) 特開 昭47−30543(JP,A) 特公 平2−58345(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 7/00 C25D 7/10 C23C 22/00 - 22/86 C23C 28/00 C25D 9/12 C25D 11/36 C25D 11/38

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金又は強化材含有アルミ
    ニウム合金により形成されている摺動面を有する基体
    と、前記基体摺動面上に化成処理により形成された無機
    化成被膜層とを有し、前記化成被膜層がモリブデン、タ
    ングステンおよびクロムから選ばれた少なくとも1種の
    金属を合計2〜48重量%、アルミニウムを1〜25重
    量%、りんを1〜25重量%、および、酸素からなる残
    部を含む無機酸化物からなり、かつ0.1〜20μmの
    膜厚を有することを特徴とする摺動部材。
  2. 【請求項2】 アルミニウム合金又は強化材含有アルミ
    ニウム合金により形成されている摺動面を有する基体の
    前記摺動面を、モリブデン酸イオン、タングステン酸イ
    オン、およびクロム酸イオンから選ばれた少なくとも1
    種と、りん酸、亜りん酸、および縮合りん酸から選択さ
    れた少なくとも1種のりん化合物のイオンと、弗素イオ
    ンとを含む水溶液に接触させ、これに化成処理を施し
    て、請求項1に記載の摺動部材を得ることを特徴とす
    る、摺動部材を製造する方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項1に記載の摺動部材と、前記
    摺動部材の前記摺動面に当接して互いに相対的に摺動す
    る当接部材とからなり、 前記当接部材が、アルミニウム合金、強化材含有アルミ
    ニウム合金、HV400以上のスチール、鋳鉄、並びに
    窒化処理、又は金属めっき処理を施されたスチールから
    選ばれた1種よりなることを特徴とする、摺動部材−当
    接部材複合体。
  4. 【請求項4】 前記複合体の前記摺動部材が、エンジン
    用ピストンの溝部およびスカート部、シリンダーボア、
    バルブリフター、A/T油圧制御用バルブスプール、ブ
    レーキマスターシリンダー用ピストン、およびすべり軸
    受から選ばれ、前記当接部材が、前記摺動部材に対応す
    るピストンリング、シリンダーボアー、シリンダーヘッ
    ド、バルブボデー、およびシャフトから選ばれる、請求
    項4に記載の摺動部材−当接部材複合体。
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