JPH09228092A - 耐腐食性鉄メッキ膜およびメッキ方法 - Google Patents

耐腐食性鉄メッキ膜およびメッキ方法

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JPH09228092A
JPH09228092A JP35298096A JP35298096A JPH09228092A JP H09228092 A JPH09228092 A JP H09228092A JP 35298096 A JP35298096 A JP 35298096A JP 35298096 A JP35298096 A JP 35298096A JP H09228092 A JPH09228092 A JP H09228092A
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film
plating
nitrogen
aluminum
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JP35298096A
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Masaki Kajino
正樹 梶野
Kenichi Suzuki
憲一 鈴木
Fusayoshi Miura
房美 三浦
Takehiro Nitou
丈裕 仁藤
Satoshi Kodama
敏 児玉
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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    • C25D3/00Electroplating: Baths therefor
    • C25D3/02Electroplating: Baths therefor from solutions
    • C25D3/20Electroplating: Baths therefor from solutions of iron
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
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    • C25D3/02Electroplating: Baths therefor from solutions
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウムやアルミニウム合金等の補強膜
として好適に利用される、耐食性、特に耐酸性の改良さ
れた鉄メッキ膜、およびメッキ方法を提供することを目
的とする。 【解決手段】 鉄イオンおよび尿素を含む水溶液からな
るメッキ浴を用い、アルミニウムやアルミニウム合金よ
りなる基体表面に窒素を0.02〜0.5重量%含有す
る鉄メッキ膜を電気的な還元によって形成する。鉄メッ
キ膜に窒素を含有させることで、鉄メッキ膜中へ接触、
浸透してくる酸に対し、窒素含有膜がアルカリとして作
用し、酸を中和して、耐腐食性、特に耐酸性を改善す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウムもし
くはアルミニウム合金等の基体表面に形成される耐腐食
性に優れた鉄メッキ膜、およびメッキ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄メッキ膜は、高強度、高電気伝導性、
高熱伝導性のメッキ膜として知られるが、錆びやすいこ
とから応用範囲が限られ、例えば、機械部品の肉盛り補
修や印刷板の製造に、あるいは高純度の鉄原料を得る方
法として利用されているに過ぎなかった。ところが、近
年、鉄メッキ膜をアルミニウムの表面保護膜として用い
ることが提案され、注目されている。アルミニウムは軽
量で耐食性に優れていることから、各種部品、容器、構
造材料として家庭用品や自動車等、種々の分野で応用さ
れており、最近では、摺動部材にも使用されるようにな
ってきた。
【0003】しかしながら、アルミニウムはもともと柔
らかい金属材料であるため、摺動部材として用いる場合
には他の材料による補強が必要とされる。例えば、自動
車用のエンジンでは、アルミニウムで作製したシリンダ
ーやピストンのスカート部のような摺動部を他の材料で
補強する必要がある。鉄メッキ膜は、この摺動部の補強
材として有効で、アルミニウムよりなる摺動部を保護し
て、その強度を大きく向上させることができる。
【0004】鉄メッキ膜を摺動部の保護に用いた例とし
て、例えば特開昭59−13093号公報には、鉄イオ
ンとほう酸を含むメッキ浴から高電流密度で得られる鉄
メッキ膜を、アルミニウム合金製シリンダーの摺動面の
保護膜として用いることが記載されている。この鉄メッ
キ膜は、硬質で、表面に多数の亀裂が入ることによって
優れた潤滑油保持性を示す。また、特開平2−1518
8号公報には、メッキ浴に、カルボニル炭素に炭素また
は窒素が結合しているカルボニル基を有する化合物を含
有させることで品質の優れた鉄系メッキ膜が得られるこ
とが、特公昭56−18678号公報、特開平5−25
688号公報には、メッキ浴に、炭素、ほう素、リン、
窒素またはイオウを含有する化合物を添加し、低電流密
度で電析させることにより鉄メッキ膜の硬度が改善され
ることが記載されている。その他、金属表面技術(
、No. 11(1962))、特開昭50−10913
8号公報等にも同様のメッキ方法の開示があり、浴組成
と電流効率の関係等について記載されている。また、特
開平3−226597号公報には、メッキ浴への鉄イオ
ンの供給方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の方法で得られた鉄メッキ膜は、いずれも耐食性、
特に耐酸性に問題がある。特にアルミニウムシリンダー
内のコーティングにこれら従来の鉄メッキ膜を使用した
場合には、エンジンの燃焼ガスによる腐食を起こしやす
いことがわかっている。これは鉄メッキ膜がメッキ浴中
で金属が析出した電析膜であるためで、例えばアルミニ
ウムエンジンのライナーに通常用いられる溶製鋼材に比
べて、化学的に活性で反応しやすく、耐食性、特に耐酸
性が劣っていた。このため、従来の鉄メッキ膜をアルミ
ニウムエンジンのライナーの代わりに用いた場合、燃焼
ガス中に少量含まれる酸性物質によって腐食が進行し、
磨耗が加速されるおそれがあった。
【0006】また、上記従来の鉄メッキ膜では、適用摺
動部によっては耐磨耗性や耐焼付き性が必ずしも十分で
はない場合があり、これらを向上させて摺動特性のさら
に優れた鉄メッキ膜を得ることが望まれている。
【0007】そこで、本発明では、アルミニウムやアル
ミニウム合金等の補強膜として好適に利用される、耐食
性、特に耐酸性の改良された鉄メッキ膜、およびこの改
良された鉄メッキ膜を得るためのメッキ方法を提供する
ことを目的とする。さらに、耐磨耗性、耐焼付き性が向
上し、摺動特性が特に優れた鉄メッキ膜およびメッキ方
法を提供することを他の目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために鋭意検討し、基体表面を保護する鉄メッ
キ膜として、窒素を0.02〜0.5重量%含有する鉄
メッキ膜が、耐腐食性、特に耐酸性に優れることを見出
した(請求項1)。鉄メッキ膜に窒素を含有させること
で耐腐食性を改善できる理由は、鉄メッキ膜中へ接触、
浸透してくる酸に対し、窒素含有膜がアルカリとして作
用し、酸を中和する効果を有するためと考えられる。酸
に対して中和作用を有する鉄メッキ膜中の窒素含有量が
少ないとこの効果が得られず、また多すぎると脆くなる
ため、窒素含有量を0.02〜0.5重量%とすること
で、耐食性に優れ、膜剥離の生じない保護膜として優れ
た鉄メッキ膜が得られる。
【0009】この窒素を0.02〜0.5重量%含有す
る鉄メッキ膜は、鉄イオンおよび尿素を含む水溶液から
なるメッキ浴を用い電気的な還元によって形成されたも
のであることが望ましい(請求項2)。また、窒素に加
えてさらにイオウを0.08〜0.7重量%含有させる
ことで、鉄メッキ膜の硬さが向上し、耐磨耗性、耐焼付
き性といった摺動特性が大きく向上する。この時、メッ
キ浴に添加するイオウ源として、チオ尿素およびアリル
チオ尿素のうちの少なくとも一種を用いる(請求項
3)。
【0010】このような鉄メッキ膜は、保護膜としての
鉄メッキの強度と耐食性が必要な基体に対して施され、
例えば上記基体としてアルミニウムもしくはアルミニウ
ム合金のような柔らかい金属材料を用いた場合に、優れ
た効果を発揮する(請求項4)。すなわち、上記鉄メッ
キ膜をアルミニウムやアルミニウム合金表面に形成する
ことで、アルミニウムやアルミニウム合金が補強され、
これらを摺動部材へ応用することが可能となる。しかも
この窒素を含有する鉄メッキ膜は毒性が小さく、廉価で
あるため、各種用途に使用可能で応用範囲が広い。
【0011】基体表面に窒素を含有する鉄メッキ膜を形
成する方法としては、鉄イオンおよび15〜150g/
lの尿素を含む水溶液からなるメッキ浴に基体を浸漬
し、10〜150A/dm2 の電流密度で電気的な還元
を行うメッキ方法を採用することができ(請求項5)、
尿素含有量と電流密度を適宜選択することで所望の窒素
含有量とすることができる。特に、メッキ浴水溶液中の
尿素含有量を65〜150g/lとするか(請求項
6)、あるいは電流密度を25〜150A/dm2 とす
ることが望ましい(請求項7)。これにより、他の条件
によらず鉄メッキ膜の窒素含有量を0.02〜0.5重
量%の範囲とすることができ、耐酸性を大きく改善でき
る。
【0012】基体表面に窒素に加えてイオウを含有する
鉄メッキ膜を形成する場合には、上記メッキ浴にさらに
チオ尿素およびアリルチオ尿素のうちの少なくとも一種
を添加する(請求項8)。メッキ浴水溶液中のこれら添
加剤の含有量は、チオ尿素0.005〜0.05g/
l、アリルチオ尿素を用いた場合には0.01〜0.2
g/lとするのがよい。いずれの場合も上記基体として
はアルミニウムもしくはアルミニウム合金が挙げられる
(請求項9)。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の鉄メッキ膜は、窒素を0.02〜0.5重量%
の範囲で含有する。鉄メッキ膜中の窒素含有量が0.0
2重量%に満たないと酸に対して中和作用を有する窒素
の含有量が少ないため、鉄メッキ膜の耐食性が低下す
る。また、窒素含有量が0.5重量%を越える時には膜
の硬さは著しく大きくなるが、メッキ膜に多数の亀裂が
入り、脆くなって剥離しやすくなるので好ましくない。
窒素含有量が0.02〜0.5重量%の時、耐食性、特
に耐酸性に優れ、しかも硬度が大きく剥離しにくい鉄メ
ッキ膜となる。
【0014】本発明の鉄メッキ膜は、保護膜としての鉄
メッキの強度と耐食性が必要な基体に対して施される。
基体としては金属、非金属のいずれも用いられるが、電
気メッキがしにくい基体に対しては、通常、前処理を施
すことが望ましい。なお、光沢メッキを得ることは難し
いので装飾性に重きを置く用途にはあまり適するとはい
えない。
【0015】上記基体としては、具体的にはアルミニウ
ムもしくはアルミニウム合金が挙げられ、摺動に弱いア
ルミニウムやアルミニウム合金表面を本発明の鉄メッキ
膜で被覆することによりその欠点を補うことができる。
アルミニウムもしくはアルミニウム合金を基体とする場
合には、基体表面に予め、研磨、エッチング、亜鉛置
換、錫置換等の通常の前処理を施し、電気メッキがしや
すい状態にしておく。これらの処理は必要に応じて行
い、複数の処理を施してもよい。
【0016】本発明の鉄メッキ膜は、鉄イオンと尿素を
含む水溶液からなるメッキ浴より、鉄イオンを電気的に
還元することにより得られる。メッキ浴の鉄イオン源と
しては例えば硫酸第一鉄を使用することができる。メッ
キ浴水溶液中の硫酸第一鉄の含有量は、通常、250〜
500g/lの範囲とするのが望ましい。
【0017】メッキ浴水溶液中の尿素の含有量は、通
常、15〜150g/lとし、一般に、メッキ浴の尿素
濃度が大きい程得られる鉄メッキ膜中の窒素含有量が大
きくなる傾向にある。鉄メッキ浴中の尿素含有量が15
g/l未満の時には鉄メッキ膜中の窒素含有量が0.0
2重量%未満となり十分な耐食性が得られない。また、
メッキ浴中の尿素の含有量が150g/lを越える時に
は、鉄の電着応力が高くなり、十分な密着強度を有する
耐腐食性の鉄メッキ膜が得られない。
【0018】特に、尿素の含有量が65g/l以上の
時、他の条件によらず鉄メッキ膜中の窒素含有量が0.
02重量%以上となる。よって、好ましくは、尿素の含
有量を65〜150g/lとするのがよく、窒素含有量
を0.02〜0.5重量%の範囲とすることができる。
このように、尿素含有量を65〜150g/lとしたメ
ッキ浴にてメッキを行う場合には、定電流、定電位、定
電圧、電流規制状態、電圧規制状態のいずれでも行うこ
とができる。尿素含有量が上記範囲以下である場合に
は、以下に詳述する電流規制状態あるいは定電流下で行
うことが好ましい。
【0019】電析時の電流密度は、通常、10〜150
A/dm2 の範囲とし、電流密度が10A/dm2 未満であ
ると鉄メッキ膜中の窒素含有量が0.02重量%未満と
なり十分な耐食性が得られない。また、電流密度が15
0A/dm2 を越える時には、鉄メッキ膜が脆くなるとと
もに膜に過度の亀裂が生じるため、メッキが膜剥離しや
すくなる。特に、電流密度が25A/dm2 以上の時、他
の条件によらず鉄メッキ膜中の窒素含有量を0.02重
量%以上とすることができるので、好ましくは、電流密
度を25〜150A/dm2 の範囲とすることで、窒素含
有量を0.02〜0.5重量%の範囲に制御できる。
【0020】このように、得られる鉄メッキ膜中の窒素
含有量は、メッキ浴の尿素濃度、あるいは電析時の電流
密度を調整することによって制御可能であり、これらを
適宜組み合わせることで、所望の窒素含有量とすること
ができる。上記のようなメッキ浴を用いることにより、
窒素もしくは窒素含有物質が鉄の析出を進行していく過
程において、電析物に巻き込まれ取り込まれていく。こ
れにより、窒素を0.02〜0.5重量%含有する耐腐
食性の鉄メッキ膜を得ることができる。
【0021】メッキは基体を陰極とし、その他の導電材
を陽極として、これらの電極を鉄イオン、好ましくは第
一鉄イオン、尿素、その他ほう酸等のメッキ助剤を溶か
したメッキ浴中に浸漬する。必要に応じて陰陽極間に隔
膜を設けてもよく、電池やその他の電源を用いて鉄を陰
極上に電析する。電析に際しては、均一なメッキ膜を得
るためにメッキ浴を必要に応じて攪拌してもよい。
【0022】また陽極はメッキ浴への鉄イオンの補給源
とするために純鉄を用いることができる。この場合、陽
極では酸化反応が起こっているので、金属鉄が溶解し鉄
イオンとなって浴中へ溶けていく。ただし、メッキ膜の
膜厚や組成を均質にしたい場合には、このような陽極を
用いると陰陽極間の間隔が変化するので、好ましくない
場合もある。このような時には陽極として不溶性の陽極
を用いることが好ましい。この不溶性の陽極はチタン板
の表面にルテニウム、イリジウム、タンタル、タングス
テン、ロジウム、コバルト、マンガン等の酸化物の被膜
を形成したものであり、酸化に対して強く食塩電解工業
等においてよく用いられるものである。
【0023】メッキ浴を攪拌する場合は、通常の手段で
あるスターラやスクリューを用いて攪拌を行うこともで
きるが、シリンダー状のものの内壁に均一なメッキを行
う場合には、陰極とするシリンダーの筒状の空間の中間
部分に不溶性の陽極を配置し、シリンダー内をメッキ液
が高速で流れ抜けるように強力な噴射装置で攪拌した方
がよい。電源としては電池や定電圧定電流電源を用いる
ことができる。
【0024】本発明の鉄メッキ膜は、窒素に加えてさら
にイオウを0.08〜0.7重量%含有させることで、
耐磨耗性、耐焼付き性がさらに向上する。摺動特性の改
善には、メッキ膜の硬さをさらに向上させるのがよいこ
とが判明し、その対策として、高電流高密度化、浴温の
低下、尿素添加量の増加等が検討されたが、電流密度、
浴温といった電解条件は容易に変更できない場合が多
く、尿素量も上記範囲を超えることは望ましくない。イ
オウは、尿素と併用されることで鉄メッキ膜の硬さをさ
らに向上させる役割を果たし、耐磨耗性、耐焼付き性と
いった摺動特性を大きく向上させると考えられる。鉄メ
ッキ膜中のイオウの含有量が0.08重量%に満たない
と、十分な効果が得られず、また、0.7重量%を超え
ると、正常な膜質の皮膜が得られないので望ましくな
い。
【0025】イオウを含有する鉄メッキ膜を得るには、
上述した尿素を含むメッキ浴に、イオウ源として、チオ
尿素およびアリルチオ尿素のうちの少なくとも一種を添
加する。これにより、鉄メッキ膜中にイオウが電気的な
還元によって共析し、尿素で硬化された鉄メッキ膜をさ
らに硬くする。メッキ浴水溶液中のこれら化合物の含有
量は、チオ尿素を用いる場合で、通常、0.005〜
0.05g/l、アリルチオ尿素の場合は0.01〜
0.2g/lの範囲となるようにするのがよく、含有量
が上記範囲より少ないとメッキ膜の硬さは尿素量によっ
て決まり、上記範囲より多いと黒色のスマット状の膜と
なって正常な電析を行うことができなくなる。これら化
合物の含有量を所定範囲とし、他の電析条件を適宜選択
することで、イオウ含有量が上記範囲にある鉄メッキ膜
を得ることができる。イオウ源として、他のイオウ化合
物を用いた場合、尿素との共存下では、硬化作用が認め
られなかったり、逆に硬さを低下させるおそれがある。
【0026】
【実施例】
(実施例1〜10)被メッキ物としてAl合金鋳物(J
IS AC2C材、大きさ50×80×10mm)を用
い、前処理としてダブル亜鉛置換処理を行った。まず、
市販のアルカリ系脱脂剤を用いて表面の脂汚れを除去し
た後、アルカリエッチングを行い、主に表面の自然酸化
皮膜を除去した。続いて、スマットを除去すると共に均
質な活性表面を得るため、硝フッ酸洗浄を行った。次に
被メッキ物をNaOH120g/l、ZnO20g/
l、ロッセル塩10g/lの組成でZn置換浴に入れて
Zn皮膜を形成した後、30%硝酸で溶解させた。その
後、上記工程に沿って、再度、亜鉛置換処理を行った。
【0027】上記のようにしてダブル亜鉛置換処理を行
った被メッキ物を、表1に示す種々の組成のメッキ浴に
浸漬し、表面に鉄メッキ膜を形成した。メッキ浴は、硫
酸第1鉄(FeSO4 ・7H2 O)と尿素、および支持
塩として50g/lの硫酸アンモニウム((NH42
SO4 )から、尿素濃度が15g/l〜150g/lの
範囲にある種々のメッキ浴を調製した。また、電析時の
電流密度は10〜150A/dm2 の範囲で変更した。表
1にメッキ浴組成とメッキ条件を示す。なお、各メッキ
膜は膜厚が100μmとなるようにメッキ時間を調整
し、メッキ陽極は不溶性のものを用いた。
【0028】
【表1】
【0029】次に、得られた各メッキ膜中の窒素含有量
を知るために、表面が平滑なステンレス板(JIS S
US304、厚さ0.2mm)よりなる試料を用意し、
メッキ部分を残して電極枠にテープで固定した。表面を
アルカリ水溶液中でカソード電解脱脂した後、硝酸水溶
液中に浸漬して表面を軽く不動態化した(この処理は皮
膜の剥離を容易にするために行われる)。この試料の表
面に各実施例と同様の条件で鉄メッキ膜を形成し、十分
水洗して乾燥した。この時、メッキ膜の厚さが200μ
m程度となるようにした。その後、下地ごと折り曲げて
メッキ膜を剥離し、N共析量を窒素分析計(不活性ガス
搬送融解−熱伝導度検出(JIS G1228によ
る))で定量した。また、各メッキ膜のかたさをビッカ
ース硬度計で測定し、さらに、各メッキ膜の耐酸性を1
%HCl水溶液中に8時間浸漬後、重量減量を測定し、
同一表面積の鋳鉄の腐食減量に対する比として求めた。
各メッキ膜についてのこれら測定結果を表1にまとめて
示す。
【0030】(比較例1〜3)次に、比較のため、尿素
濃度が5g/l、鉄イオン濃度が90g/lのメッキ浴
を用い、電析時の電流密度を5A/dm2 として、上記実
施例と同様の方法で被メッキ物表面に鉄メッキ膜を形成
した(比較例1)。また、尿素に代えて亜リン酸を添加
したメッキ浴(比較例2)、尿素に代えてクエン酸とア
スコルビン酸を添加したメッキ浴(比較例3)を調製
し、電流密度を50A/dm2 として、同様の方法で被メ
ッキ物表面に鉄メッキ膜を形成した。
【0031】得られた各メッキ膜のそれぞれについて、
皮膜かたさ、N共析量および耐酸性を同様の方法で測定
した。各メッキ膜についてのこれら測定結果を表1に併
記する。
【0032】表1に明らかなように、実施例1〜10の
条件においてN共析量が0.02〜0.5重量%の範囲
にある鉄メッキ膜が得られ、これら本発明の鉄メッキ膜
は、耐酸性が対鋳鉄比でいずれも0.7以上と良好な値
を示した。一方、比較例1〜3の条件において得られた
鉄メッキ膜はN共析量が0.01重量%以下と窒素をほ
とんど含まず、他成分の添加によりかたさの改善が見ら
れるものもあるが、耐酸性はいずれも0.3以下の低い
値しか示さなかった。
【0033】(実施例11〜16)鉄メッキの基本浴組
成を、硫酸第1鉄400g/l、尿素80g/l、およ
び支持塩として硫酸アンモニウム50g/lとし、硫酸
でpH2.0に調整した後、60℃まで加温した。この
基本浴に、チオ尿素またはアリルチオ尿素を表2に示す
濃度となるように添加した種々のメッキ浴を調製した。
【0034】被メッキ材(陰極)として円板状のAl展
伸材(JIS A2017、直径48mm、厚さ5m
m)を用い、上記実施例と同様の前処理、亜鉛置換処理
を行った後、上記メッキ浴に浸漬して表面に鉄メッキ膜
を形成した。陰極電流密度は50A/dm2 と一定にし、
陽極には電解鉄板を用いた。各メッキ膜は膜厚が約10
0μmとなるようにし、♯1500のエメリー紙で表面
を平滑にした後、バフ研磨を行って仕上げた。
【0035】得られた各メッキ膜の摺動特性をボールオ
ンディスク摩擦磨耗試験機で評価し、結果をS共析量と
ともに表2に併記した。なお、各メッキ膜中のN共析量
は0.15重量%前後であった。耐磨耗性は上記円板状
メッキ試料を速度10M/分で回転し、これに1/4イ
ンチ径のSUJ2球を押しあてて行った。その時の荷重
条件は、0.5kgf−5分のならし運転をした後、5
kgf−60分の本試験とし、試験中の潤滑としてn−
ヘキサデカンを摺動面に滴下し続けた。メッキ皮膜の磨
耗量は磨耗痕を横切る形で粗さ計による形状測定を行
い、最大磨耗深さを求めた。
【0036】
【表2】
【0037】耐焼付き性は、上記円板状メッキ試料を速
度5M/分で回転し、これに1/4インチ径のSUJ2
球を押しあてて行った。荷重は1分ごとに0.5kgの
重りを加え、摩擦係数が急増した時を焼付きと判定し、
焼付き荷重とした。潤滑は、n−ヘキサデカンをヘキサ
ンで50倍に希釈した中にメッキ試料を浸漬した後、自
然乾燥し、試験中の潤滑は無しとした。
【0038】(比較例4〜8)さらに、比較のため、チ
オ尿素、アリルチオ尿素以外のイオウ化合物を添加し、
あるいはイオウ化合物を添加しないメッキ浴を用い、上
記実施例11〜16と同様の方法で被メッキ物表面に鉄
メッキ膜を形成した。得られた各メッキ膜のそれぞれに
ついて、同様の方法で摺動特性を評価し、結果を表2に
併記した。
【0039】図1、2は、上記の結果を基に、メッキ浴
中のチオ尿素、アリルチオ尿素濃度とS共析量の関係を
それぞれ示したもので、チオ尿素、アリルチオ尿素の添
加によって無添加の場合よりイオウが増加し、その量が
添加量に比例して増加している。
【0040】一方、表2によれば、チオ尿素、アリルチ
オ尿素を添加することにより(実施例11〜16)、無
添加の場合(比較例4)に比べて摺動特性が改善され、
チオ尿素、アリルチオ尿素の濃度が増加するに従って、
磨耗深さが減少し、焼付き荷重が増大している。以上よ
り、チオ尿素、アリルチオ尿素から析出したイオウが摺
動特性向上に寄与しており、その量の増加とともに摺動
特性が向上していることがわかる。なお、上記電解条件
では、チオ尿素、アリルチオ尿素をこの範囲を超えて添
加すると、黒色のスマット状の析出となり、正常な皮膜
を得ることができなかった。
【0041】また、チオ尿素、アリルチオ尿素以外のイ
オウ化合物を添加した場合には、S共析量が所定の範囲
内であっても効果が得られず、逆に耐磨耗性、耐焼付き
性が低下した(比較例5〜8)。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はチオ尿素濃度とイオウ共析量の関係を示
す図である。
【図2】図2はアリルチオ尿素濃度とイオウ共析量の関
係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 憲一 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 三浦 房美 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 仁藤 丈裕 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 児玉 敏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体表面に形成される鉄メッキ膜であっ
    て、窒素を0.02〜0.5重量%含有することを特徴
    とする耐腐食性鉄メッキ膜。
  2. 【請求項2】 鉄イオンおよび尿素を含む水溶液からな
    るメッキ浴から電気的な還元によって形成される請求項
    1記載の耐腐食性鉄メッキ膜。
  3. 【請求項3】 イオウを0.08〜0.7重量%含有
    し、イオウ源としてチオ尿素およびアリルチオ尿素のう
    ち少なくとも一種を用いた請求項2記載の耐腐食性鉄メ
    ッキ膜。
  4. 【請求項4】 上記基体がアルミニウムもしくはアルミ
    ニウム合金である請求項1ないし3のうちいずれか記載
    の耐腐食性鉄メッキ膜。
  5. 【請求項5】 鉄イオンおよび15〜150g/lの尿
    素を含む水溶液からなるメッキ浴に基体を浸漬し、10
    〜150A/dm2 の電流密度で電気的な還元を行うこ
    とによって、基体表面に窒素を含有する耐腐食性鉄メッ
    キ膜を形成することを特徴とするメッキ方法。
  6. 【請求項6】 メッキ浴水溶液中の尿素含有量が65〜
    150g/lである請求項5記載のメッキ方法。
  7. 【請求項7】 電流密度が25〜150A/dm2 であ
    る請求項5または6記載のメッキ方法。
  8. 【請求項8】 メッキ浴水溶液が、チオ尿素およびアリ
    ルチオ尿素のうち少なくとも一種を含む請求項5ないし
    7のうちのいずれか記載のメッキ方法。
  9. 【請求項9】 上記基体がアルミニウムもしくはアルミ
    ニウム合金である請求項5ないし8のうちのいずれか記
    載のメッキ方法。
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