JP3255682B2 - アルミニウム膜被着物 - Google Patents

アルミニウム膜被着物

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JP3255682B2 JP02611592A JP2611592A JP3255682B2 JP 3255682 B2 JP3255682 B2 JP 3255682B2 JP 02611592 A JP02611592 A JP 02611592A JP 2611592 A JP2611592 A JP 2611592A JP 3255682 B2 JP3255682 B2 JP 3255682B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばビデオディス
ク、コンパクトディスク、CD−ROM、WO(1回書
込み可能)ディスク、RW(書換え可能)ディスク等の
光学式情報記録媒体、光学部品、装飾雑貨等に用いられ
るものであって、合成樹脂製の基体の表面にアルミニウ
ム膜を被着して成るアルミニウム膜被着物に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂製の基体の表面にアルミニウム
膜を被着して成るアルミニウム膜被着物は、光学式情報
記録媒体を始めとして、そのほか光学部品、装飾雑貨等
として用いられている。例えば、近年需要の伸びが著し
いビデオディスク等の光学式情報記録媒体は、基本的に
は、音声信号や画像信号等に対応したピットが形成され
ている透明合成樹脂から成る基体(いわゆるディスク基
板)、この基体のピットが形成された面を覆うアルミニ
ウム膜(反射膜)およびこのアルミニウム膜を覆う保護
被膜等から構成されている。
【0003】このようなアルミニウム膜は、主として真
空蒸着法、プラズマスパッタ法等で形成されている。
【0004】真空蒸着法は、簡単に言えば、真空容器内
に蒸発源およびそれに対向するように何個かの基体を配
置し、蒸発源から電子ビーム加熱または抵抗加熱によっ
てアルミニウム等の金属粒子を蒸発させてこれを各基体
の表面に入射堆積させ、それによって各基体の表面にア
ルミニウム等の金属膜を形成する方法である。各基体
は、通常は回転式のホルダに取り付けられるが、成膜枚
数を増やすために、円筒状の真空容器の中央部に蒸発源
を配置し、この真空容器の壁面全周に沿って多数の基体
を配置することも行われている。
【0005】プラズマスパッタ法は、簡単に言えば、真
空容器内に、例えば磁石の上部にアルミニウム等の金属
ターゲットを装着したスパッタ源(この場合はマグネト
ロン型のスパッタ源)およびそれに対向するように何個
かの基体を配置し、真空容器内にアルゴンガス等の不活
性ガスを導入し、金属ターゲットの表面近傍に形成した
磁界および各基体(厳密にはそれ用のホルダ)と金属タ
ーゲット間に印加した電界等によって、スパッタ源と各
基体との間にプラズマを発生させ、このプラズマによっ
て金属ターゲットをスパッタして各基体の表面に金属粒
子を入射堆積させてアルミニウム等の金属膜を形成する
ものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法でアルミニウム膜を被着した従来のアルミニ
ウム膜被着物には、アルミニウム膜の光の反射率があま
り高くないという問題があった。即ち、前述したような
真空蒸着法やプラズマスパッタ法によるアルミニウム膜
を例えば光学式情報記録媒体の反射膜とした場合、従来
は反射率が約72〜80%程度、再生出力のSN比が約
38〜41dB程度の性能が通常に得られる限度であ
り、この程度では反射率、SN比のいずれも不充分であ
るという問題があった。特に、高画質を要求される場
合、例えばハイビジョン画像の再生に利用する場合に
は、この程度の性能では画像の鮮明度が充分でないとい
う問題がある。
【0007】また、真空蒸着法による場合は、例えばア
ルミニウム膜中の酸化されたアルミニウムの量を少なく
することにより、更に高反射率(80〜85%)、高S
N比(41〜45dB)のアルミニウム膜を得ることは
一応できるが、このアルミニウム膜は、長時間放置して
おくと吸湿酸化、化学反応による腐食等により、ノイズ
の上昇、記録強度の低下といった耐久性の問題が生じや
すく、そのため反射率およびSN比の向上と膜の耐久性
とを両立させることができないという問題があった。
【0008】そこでこの発明は、光の反射率が高く、し
かも耐久性に優れたアルミニウム膜を有するアルミニウ
ム膜被着物を提供することを主たる目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、図1を参照
して、アルミニウム膜被着物2を構成するアルミニウム
膜6が、その膜内であって当該膜が基体4と接する側の
膜面5から600Å以内のいずれかの深さDの所に、
(111)面に垂直な方向の結晶軸〈111〉が前記膜
面5と垂直またはほぼ垂直な関係にあるアルミニウム結
晶を含むことによって達成することができる。
【0010】また、上記目的は、アルミニウム膜被着物
2を構成するアルミニウム膜6が、その膜内であって当
該膜が基体4と接する側の膜面5から600Å以内のい
ずれかの深さDの所に、下記条件のディフラクトメータ
法によるX線回折により測定したときに(111)面の
回折X線スペクトルを示すアルミニウム結晶を含むこと
によっても達成することができる。 ターゲット:Cu X線の種類:Kα線 測定X線出力:電圧40KeV、電流30mA 縦発散制限ソーラススリット:水平型 入射高さ制限スリット:5mm 入射スリット:0.4mm 受光ソーラススリット:垂直型 幅制限スリット:5mm 回折X線モノクロメータ:グラファイト水平板 回折手法:θ/2θ法
【0011】このような発明は、本発明者達が、基体上
に形成するアルミニウム膜の構造に関して鋭意検討した
結果、到達したものである。
【0012】即ち、種々の検討の結果、従来のアルミニ
ウム膜被着物の反射率および耐久性の問題は、基体上に
形成するアルミニウム膜の緻密性や結晶配列が良好でな
いことに起因していることが分かった。即ち、従来のア
ルミニウム膜はポーラス(無配向の多結晶)であるた
め、膜中の酸素含有量を少なくして光の反射に寄与しな
い酸化されたアルミニウムの含有量を少なくすれば、反
射率が高くなる反面、ポーラスな部分を埋める酸化物が
少なくなるので膜中に水分等が浸入しやすくなって耐久
性が悪くなっていたのである。
【0013】従って、高い反射率と耐久性とを得るため
には、アルミニウム膜中に、光の反射に効果的な方向に
優先的に配向したアルミニウム結晶を含有せしめれば良
いことが分かった。より具体的には、光の反射は、入射
光とアルミニウム原子との相互作用により生じ、このた
め入射光に対し垂直な面内において、アルミニウム原子
の面密度が高い方がより高い反射率が得られる。即ち、
アルミニウムは面心立方格子の結晶構造を有していて
(111)面が最密充填面であるので、(111)面に
優先的に配向し、膜面と平行ないしほぼ平行な断面に結
晶格子の最密充填面を有するアルミニウム結晶を含有さ
せる、即ち前述したように(111)面に垂直な方向の
結晶軸〈111〉が膜面と垂直またはほぼ垂直な関係に
あるアルミニウム結晶を含有させることで、反射率の高
いアルミニウム膜が得られる。これは入射光がアルミニ
ウム膜面に垂直ないしほぼ垂直に入る場合に特に有効で
ある。
【0014】また、このような結晶配向をしたアルミニ
ウム膜は緻密であるため、水分等の浸入を抑えて耐久性
にも優れている。
【0015】上記のように配向したアルミニウム結晶が
存在する深さを上記のように600Å以内に限定したの
は、次のような理由による。即ち、光の反射に寄与する
アルミニウム層は、基体側から光を入射させる場合、基
体と接する側のアルミニウム膜面から最大でも600Å
までの深さのものであり、より効果的なのは400Å以
下の深さのものである。従って上記のように配向したア
ルミニウム結晶がこのような深さ内になければ、それを
含有せしめても効果がなく、充分な反射率が得られな
い。
【0016】また、上記アルミニウム膜は、X線光電子
分光法を用いて求めた、アルミニウム膜深さ方向の酸化
されたアルミニウム(Al−O)と全アルミニウム元素
(Al)との構成モル比(Al−O/Al)の百分率分
布の極小値が30%以下、取り分け10〜25%の範囲
であることが反射率を高める上で好ましい。前述したよ
うに真空蒸着法においても、アルミニウム膜中の酸化ア
ルミニウムの量を少なくすることにより高反射率の膜を
得ることができるが、膜中の酸化アルミニウムの量を3
5%程度に調整しないと、長時間の放置により吸湿酸
化、腐食等が起こり耐久性の点で問題が生じる。これに
対しこの発明のように(111)面に優先的に配向した
アルミニウム結晶を含有するアルミニウム膜の場合は、
緻密で水分等の浸入が少なく耐久性劣化の問題がないの
で、酸化されたアルミニウムの量を低下させることで、
反射率をより高めることができる。
【0017】この発明の基体を構成する合成樹脂は、特
に限定されないが、例えばアクリル樹脂、ポリスチレ
ン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、変性エポキシ
樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、ホモポリマー、
コポリマーまたはこれらの混合物であっても差し支えな
い。この発明においては、光ディスク基板材料として用
いられる光学用透明樹脂である上記のような樹脂が好ま
しく用いられる。
【0018】基体の形状としては、平板、円板など凹凸
の少ない形状のものが好ましいが特に制限はない。また
基体の表面には、目的に応じて情報記録用のピット等が
形成されていても良い。また基体は通常は成形によって
形成されるが、その成形方法としては、注型法、圧縮成
形法、射出成形法等の通常行われている方法を採用する
ことができる。
【0019】基体の表面に被着しているアルミニウム膜
の膜厚は、特に限定されないが、あまり厚くしても前述
したように光の反射に寄与しない部分が増えるだけであ
るので、通常は50〜600Åの範囲内、その内でも反
射率の他に生産性や耐久性を考慮すれば100〜400
Åの範囲内にするのが好ましい。このようにアルミニウ
ム膜の膜厚が600Å以内の場合は、前述したような結
晶配向をしたアルミニウム結晶は、当該アルミニウム膜
内のいずれかの深さの所にあれば良いことになる。勿
論、当該アルミニウム膜内の全領域に存在していても良
い。
【0020】なお、基体上に前述したようなアルミニウ
ム膜を形成する、特に室温程度の低基体温度で形成する
には、種々検討した結果、基体上に堆積させるアルミニ
ウム粒子の持つ運動エネルギーを高めることが有効であ
ることが分かった。
【0021】基体に堆積するアルミニウム粒子の運動エ
ネルギーを高める方法としては、イオンビームスパッタ
法、イオンビーム照射を併用する蒸着法、イオンビーム
堆積法、イオンクラスタビーム法等があり、これらの方
法あるいはこれらの方法の組合せにより、堆積粒子の運
動エネルギーを一般的に数eV程度から数百eVに高め
ることができる。この発明のアルミニウム膜被着物を作
るのに用いられる方法としては、これらの方法の内の特
定のものに限定されないが、その内でも、合成樹脂製の
基体表面がプラズマや熱によるダメージを受けないイオ
ンビームスパッタ法を用いるのが好ましい。
【0022】イオンビームスパッタ法は、不活性ガスイ
オンビームでアルミニウムターゲットの表面を叩き、そ
こから飛び出したアルミニウム粒子を基体表面に入射堆
積させることによってアルミニウム膜を形成するもので
ある。この方法でスパッタリングされたアルミニウム粒
子は、数eV〜20eV程度の適度の運動エネルギーを
持っており、このエネルギーがアルミニウム膜の結晶性
向上に寄与するので、前述したように結晶配向したアル
ミニウム膜を得るのに効果的である。またこの方法は、
原理的に、基体の表面近傍にはプラズマが存在せず、更
にプラズマより放出される加速電子も存在しないので、
従来のプラズマスパッタ法に見られる基体表面の劣化お
よび不純物ガスの発生を防ぐことができ、その結果、密
着性の高いアルミニウム膜を形成することができる。
【0023】上記各方法で用いるイオンやイオンビーム
は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノ
ン等の不活性ガスイオンや不活性ガスイオンビームが好
ましく、それら以外の窒素、酸素等のガスイオンやイオ
ンビームを用いると、それらがアルミニウム膜と反応し
て、アルミニウム膜の反射率を低下させる恐れがあり好
ましくない。
【0024】成膜時の雰囲気の真空度は、実用的には
4.0×10-4Torr程度より高真空であれば良く、
またイオンビームのエネルギーは、スパッタの限界であ
る100eV以上が望ましく、通常は200eV〜10
KeV程度の範囲が利用しやすい。この範囲であれば成
膜速度は1〜500Å/秒の範囲になり、その内でも生
産安定性から200〜400Å/秒以下が望ましい。
【0025】
【実施例】以下に、この発明の実施例および従来技術相
当の比較例を詳しく説明する。
【0026】図2は、アルミニウム膜を形成するために
用いたイオンビームスパッタリング装置の一例を示す概
略図である。真空容器10内に、基板14を保持するホ
ルダ12と、アルミニウムターゲット16をこの基板1
4に対向するように保持するターゲットホルダ18とを
設け、かつ真空容器10の壁面に、ターゲットホルダ1
8上のアルミニウムターゲット16に向くようにイオン
源20を取り付けている。イオン源20は、アルゴン等
の不活性ガスイオンから成る不活性ガスイオンビーム2
2をアルミニウムターゲット16の表面に向けて照射し
てアルミニウムターゲット16をスパッタしてアルミニ
ウム粒子26を叩き出すことができる。
【0027】実施例1 上記のような装置を用いて、次のようにして成膜を行っ
た。即ち、前述した合成樹脂製の基体4の一例として直
径300mmのアクリル樹脂基板14をホルダ12に装
着し、かつ高純度のアルミニウムターゲット16をター
ゲットホルダ18に装着し、真空容器10内の真空引き
を行って2.0×10-7Torrまで排気した。そし
て、イオン源20から不活性ガスイオンビーム22を下
記の条件で引き出してそれをアルミニウムターゲット1
6の表面に照射し、そこからアルミニウム粒子26を叩
き出してそれをアクリル樹脂基板14の表面に入射堆積
させてアルミニウム膜を形成した。このアルミニウム膜
の膜厚は、成膜時間で調整した。 イオン種:アルゴン イオンビームエネルギー:1500eV ビーム電流:300mA
【0028】このようにしてイオンビームスパッタ法に
よりアクリル樹脂基板14上に成膜した膜厚100Å、
200Å、300Å、400Åおよび500Åのアルミ
ニウム膜について、X線回折分析を行った結果を図3な
いし図7にそれぞれ示す。図4ないし図7に示すよう
に、200Å以上の膜厚においてアルミニウムの明瞭な
(111)面の配向性が認められた。このことから、上
記方法で得られたアルミニウム膜、取り分け膜厚200
Å以上のアルミニウム膜は、アルミニウム原子の面密度
の高い膜であることが分かる。
【0029】また同様にしてアクリル樹脂基板14上に
膜厚3000Åのアルミニウム膜を形成した後、そのロ
ッキング曲線の測定を行ったところ、(111)面以外
の結晶性は見られなかった。上記X線回折測定条件およ
びロッキング曲線測定条件を下に示す。
【0030】X線回折条件 測定装置:(株)リガク X線回折装置RAD−2B ターゲット:Cu X線の種類:Kα線 測定X線出力:電圧40KeV、電流30mA 縦発散制限ソーラススリット:水平型 入射高さ制限スリット:5mm 入射スリット:0.4mm 受光ソーラススリット:垂直型 幅制限スリット:5mm ゴニオメータ半径:185mm 回折X線モノクロメータ:グラファイト水平板 測定速度:2度/分 測定幅:0.02度 回折手法:θ/2θ法(X線入射角をθ、X線散乱角を
2θとしたとき、ブラックの条件(2dsinθ=n
λ)を満たす測定方法) 積算回数:10回(注1) (注1)積算回数を複数回としたのは、その平均値を求
めることによりノイズを低減するためである。
【0031】ロッキング曲線測定条件 測定装置:(株)リガク X線回折装置RAD−2B ターゲット:Cu X線の種類:Kα線 測定X線出力:電圧40KeV、電流30mA 縦発散制限ソーラススリット:水平型 入射高さ制限スリット:5mm 入射スリット:0.4mm 受光ソーラススリット:垂直型 幅制限スリット:5mm ゴニオメータ半径:185mm 回折X線モノクロメータ:グラファイト水平板 測定速度:2度/分 測定幅:0.02度 回折手法:2θ固定(注2) 積算回数:1回 (注2)2θ固定の角度は、JCPDS(粉末回析標準
共同委員会)からのアルミニウム多結晶のデータの位置
に固定した。
【0032】実施例2 実施例1と同様にしてイオンビームスパッタ法で形成し
たアルミニウム膜の膜厚と反射率との関係を測定した。
その結果を図8に示す。この図から分かるように、膜厚
が600Åまでは反射率の増加が見られるが、それ以上
の膜厚では反射率は一定となっている。この結果から、
反射率に寄与するアルミニウム層は基板表面より約60
0Åまでの範囲であることが分かる。なお、反射率測定
は、光ディスク用の半導体レーザの波長である780n
mを用いた(他の実施例および比較例においても同
様)。
【0033】実施例3 アルミニウム膜の(111)面の回折X線スペクトル強
度と反射率との関係を確認するため、ガラス基板上に回
折X線強度の異なる約3000Åのアルミニウム膜を実
施例1と同様にしてイオンビームスパッタ法により形成
してその反射率を測定した。この場合、アルミニウム膜
中の酸化されたアルミニウムの比率の違いによって反射
率が左右されないように、同比率は30%に固定してお
いた。得られた測定結果から、(111)面の回折X線
スペクトル強度と反射率との関係を図9に示す。この図
から、(111)面の回折X線スペクトル強度が低下す
ると反射率も明らかに低下していることが分かる。なお
X線回折測定は実施例1と同様の条件で行った。
【0034】実施例4 ビデオディスク用アクリル樹脂基板上に実施例1と同様
にして(111)面に配向した膜厚400Åのアルミニ
ウム膜を形成した後、レーザー光の反射率および再生出
力について測定をしたところ、反射率が89%、SN比
が46dBという良好な結果が得られた。
【0035】また、上記の方法で得られたものを用いて
ビデオディスクを製作し、これを60℃、60%の恒温
恒湿状態で加速劣化試験を行ったところ、2000時間
後においても再生画像の劣化は全く見られなかった。
【0036】比較例1、2 真空蒸着法およびプラズマスパッタ法(マグネトロンス
パッタ法)でアクリル樹脂基板上に2000Åおよび3
000Åのアルミニウム膜をそれぞれ成膜し、それらの
膜のX線回折分析を行った。この結果、図10および図
11に示すように、下記X線回折条件では、回折角2θ
が20度〜80度の範囲でノイズレベル以上のピーク
(回折X線スペクトル)は見られなかった。この結果か
ら、従来の方法で形成されたアルミニウム膜の結晶構造
は無配向の膜であることが分かる。
【0037】X線回折条件 測定装置:(株)リガク X線回折装置RAD−2B ターゲット:Cu X線の種類:Kα線 測定X線出力:電圧40KeV、電流30mA 縦発散制限ソーラススリット:水平型 入射高さ制限スリット:5mm 入射スリット:0.4mm 受光ソーラススリット:垂直型 幅制限スリット:5mm ゴニオメータ半径:185mm 回折X線モノクロメータ:グラファイト水平板 測定速度:2度/分 測定幅:0.02度 回折手法:θ/2θ法 積算回数:1回
【0038】比較例3、4 真空蒸着法により真空度2×10-4Torr(比較例
3)および1×10-5Torr(比較例4)の条件下で
形成したアルミニウム膜の膜厚と反射率との関係を図1
2に示す。この結果から、いずれの例の場合も、膜厚が
600Åまでは反射率の増加が見られるが、それ以上の
膜厚では反射率は一定となっていることが分かる。これ
は図8に示した実施例2の場合と同様である。また、成
膜時の真空度を良くした方が反射率が高いことが分か
る。これは前述したように、真空度を良くすると、アル
ミニウム膜中の反射に寄与しない酸化されたアルミニウ
ムの割合が減るからである(より詳しくは以下の説明参
照)。但しそのようにすると膜の耐久性が低下すること
は前述のとおりである。
【0039】実施例5 実施例2、4および比較例3、4におけるアルミニウム
膜中の酸素量(より厳密には酸化されたアルミニウム
量)をX線光電子分光法(XPS)により分析した。具
体的には島津製作所製のX線光電子分光装置ESCA−
750を用い、アルミニウム膜表面から基板方向に基板
含有元素である炭素(C)が主成分となるまで30〜5
0回アルゴンイオンビームエッチングを行い(条件:イ
オンビームエネルギー2KeV、ビーム電流20mA、
真空度3.8×10-6Torr)、各層において下記各
測定条件により分析を行った。
【0040】X線光電子分光法測定条件 測定元素:Al2P1/2 、Al2P3/2 、C1S、O1S 測定X線出力:8KeV、30mA ターゲット:Mg X線の種類:Kα線 測定圧力:7.5×10-8Torr 測定範囲:68〜82eV、278〜295eV、52
6〜540eV 測定幅:0.1eV 測定時間:200msec/ステップ 積算回数:2回
【0041】得られた各層のAl2P1/2 、Al2P3/2
ペクトルは、酸化されたアルミニウム(Al−O)と金
属アルミニウム(Al)の混合状態であることが多いた
め、酸化されたアルミニウムと金属アルミニウムとに各
スペクトルを分割し、全アルミニウム(Al)に対する
酸化されたアルミニウムの面積百分率(即ち構成モル比
Al−O/Al)を求め、これを膜の深さ方向にプロッ
トし、その分布の極小値を求めた。このようにして分析
した結果、実施例2および実施例4のアルミニウム膜
は、極小値が15%、比較例3および比較例4のアルミ
ニウム膜は極小値がそれぞれ35%および20%であっ
た。
【0042】実施例6 上記実施例2、比較例3および比較例4のアルミニウム
膜の耐久性を含めた特性を、膜厚が300Åおよび60
0Åの場合を取り上げて、表1にまとめて示す。ここで
各反射率は、図8および図12に示したものと同じであ
る。耐久性は、アルミニウム膜を各例とそれぞれ同条件
で成膜したビデオディスクを60℃、60%の恒温恒湿
槽に入れて加速劣化試験を行い、再生画像の劣化状態で
評価した。
【0043】
【表1】
【0044】この表から分かるように、実施例2のアル
ミニウム膜は、いずれの膜厚においても高い反射率と良
好な耐久性を示している。これに対して、比較例3のア
ルミニウム膜は、酸化されたアルミニウム(Al−O)
の含有量が多いので耐久性は良いものの、反射率が低
い。逆に比較例4のアルミニウム膜は、反射率はある程
度高いものの、酸化されたアルミニウムの含有量が少な
いので耐久性が悪い。
【0045】なお、この発明に係るアルミニウム膜被着
物は、光学式情報記録媒体に好適なのは勿論のこと、そ
の他、光学部品、装飾雑貨等、特に高い反射率と耐久性
を要する物品にも好適である。
【0046】
【発明の効果】以上のようにこの発明に係るアルミニウ
ム膜被着物は、アルミニウム膜が、その膜内に前述した
ように配向したアルミニウム結晶を含んでいるので、光
の反射率が高く、しかも耐久性に優れている。従って例
えば、このようなアルミニウム膜被着物を光学式情報記
録媒体として利用すれば、反射率およびSN比を向上さ
せることができると共に、耐久性能にも優れたものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るアルミニウム膜被着物の一例
を概略的に示す断面図である。
【図2】 イオンビームスパッタリング装置の一例を示
す概略図である。
【図3】 イオンビームスパッタ法で形成したアルミニ
ウム膜のX線回折による分析結果の一例を示す概略図で
あり、このときのアルミニウム膜厚は100Åである。
【図4】 イオンビームスパッタ法で形成したアルミニ
ウム膜のX線回折による分析結果の一例を示す概略図で
あり、このときのアルミニウム膜厚は200Åである。
【図5】 イオンビームスパッタ法で形成したアルミニ
ウム膜のX線回折による分析結果の一例を示す概略図で
あり、このときのアルミニウム膜厚は300Åである。
【図6】 イオンビームスパッタ法で形成したアルミニ
ウム膜のX線回折による分析結果の一例を示す概略図で
あり、このときのアルミニウム膜厚は400Åである。
【図7】 イオンビームスパッタ法で形成したアルミニ
ウム膜のX線回折による分析結果の一例を示す概略図で
あり、このときのアルミニウム膜厚は500Åである。
【図8】 実施例2による(111)面に配向したアル
ミニウム膜の膜厚と反射率との関係を示す図である。
【図9】 アルミニウム膜の(111)面の回折X線ス
ペクトル強度と反射率との関係を示す図である。
【図10】 真空蒸着法で形成したアルミニウム膜のX
線回折による分析結果の一例を示す概略図である。
【図11】 マグネトロンスパッタ法で形成したアルミ
ニウム膜のX線回折による分析結果の一例を示す概略図
である
【図12】 真空蒸着法で形成したアルミニウム膜の膜
厚と反射率との関係を示す図である。
【符号の説明】
2 アルミニウム膜被着物 4 基体 5 膜面 6 アルミニウム膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 窪津 彰 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会 社クラレ内 (72)発明者 野川 修一 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電機株式会社内 (72)発明者 緒方 潔 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電機株式会社内 (72)発明者 井上 大輔 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−174438(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 16/56

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学用透明樹脂から成る合成樹脂製の基
    体の表面にアルミニウム膜を被着して成り、かつ前記基
    体側からアルミニウム膜に光を入射させるアルミニウム
    膜被着物において、前記アルミニウム膜、その膜内で
    あって当該膜が前記基体と接する側の膜面から600Å
    以内の全領域に、(111)面に垂直な方向の結晶軸
    〈111〉が前記膜面と垂直またはほぼ垂直な関係にあ
    るアルミニウム結晶を含むことを特徴とするアルミニウ
    ム膜被着物。
  2. 【請求項2】 光学用透明樹脂から成る合成樹脂製の基
    体の表面にアルミニウム膜を被着して成り、かつ前記基
    体側からアルミニウム膜に光を入射させるアルミニウム
    膜被着物において、前記アルミニウム膜、その膜内で
    あって当該膜が前記基体と接する側の膜面から600Å
    以内の全領域に、下記条件のディフラクトメータ法によ
    るX線回折により測定したときに(111)面の回折X
    線スペクトルを示すアルミニウム結晶を含むことを特徴
    とするアルミニウム膜被着物。 ターゲット:Cu X線の種類:Kα線 測定X線出力:電圧40KeV、電流30mA 縦発散制限ソーラススリット:水平型 入射高さ制限スリット:5mm 入射スリット:0.4mm 受光ソーラススリット:垂直型 幅制限スリット:5mm 回折X線モノクロメータ:グラファイト水平板 回折手法:θ/2θ法
  3. 【請求項3】 X線光電子分光法を用いて求めた、前記
    アルミニウム膜の深さ方向における酸化されたアルミニ
    ウム(Al−O)と全アルミニウム元素(Al)との構
    成モル比(Al−O/Al)の百分率分布の極小値が、
    30%以下の値である請求項1または2記載のアルミニ
    ウム膜被着物。
  4. 【請求項4】 当該アルミニウム膜被着物が、光学式情
    報記録媒体である請求項1、2または3記載のアルミニ
    ウム膜被着物。
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