JP3254098B2 - 回転体用低合金鋼 - Google Patents

回転体用低合金鋼

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不二光 増山
知充 横山
敦朗 伊勢田
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は火力発電用蒸気タービン
ロータなどに適用できる回転体用低合金鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギ及び経済性の面からロ
ータ材の特性への要求も厳しくなり、それに合わせて材
料開発が行われてきた。ロータ材に求められる特性とし
ては引張強さ、クリープ強度、破壊靱性等であり、現在
使用されている主要な低合金鋼としてはクリープ強度が
要求される高圧用として1Cr−Mo−V鋼などが、ま
た引張強度と破壊靱性が要求される低圧用として2.5
Cr−Mo−V鋼などが使用されている。プラントの大
容量化にともない蒸気タービンの単機容量が大きくな
り、材料技術においてもより高度なものが要求されるよ
うになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はロータ材に要
求される常温での引張強さ、破壊靱性、クリープ強度に
優れ、かつ経済的な低合金鋼を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】以下に示す成分と熱処理
により、回転体用部材として常温引張強さ、破壊靱性、
クリープ破断強度に優れた材料を発明した。すなわち、
本発明は 重量%でC:0.02〜0.2%、Si:
0.05〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、Ni:
0.01〜1%、Cr:0.8〜3.5%、W:0.1
〜3%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜
0.2%、N:0.005〜0.03%、B:0.00
1〜0.01%を含み残部は鉄及び不可避的不純物から
なり、焼きならし後、700℃以下で焼戻し、常温の引
張強さが75kgf/mm2 以上であることを特徴とす
る高温強度の優れた回転体用低合金鋼及び 上記の
成分に加えてそれぞれ0.01〜0.2重量%のLa,
Ca,Y,Ce,Ti,ZrおよびTaからなる群から
選択した1種以上を含有する、焼きならし後、700℃
以下で焼戻し、常温の引張強さが75kgf/mm2
上であることを特徴とする高温強度の優れた回転体用低
合金鋼である。本発明の低合金鋼はそれぞれを構成する
多数の合金成分の複合効果によって、総合的に優れた性
能をもつのであるが、以下に各成分の作用とその含有量
の選定理由を説明する。
【0005】
【作用】
C:CはCr,Fe,W,V,Nbと結合して炭化物を
形成し、高温強度に寄与するとともに、それ自身がオー
ステナイト安定化元素として組織を安定化する。0.0
2%未満では炭化物析出が不十分で、かつδ−フェライ
ト量が多くなり強度、靱性が不足になる。また、0.2
%を越える場合は炭化物が過剰析出して鋼が著しく硬化
し、加工性が悪くなる。そこで、Cの適正含有量を0.
02〜0.2%とする。
【0006】Si:Siは脱酸剤として働き、また耐水
蒸気酸化特性を高める元素であるが、0.7%を越える
と靱性が著しく低下し、強度に対しても有害である。と
くに大型鍛鋼品では焼戻し脆化が問題となる。そこでS
iの含有量を0.05〜0.7%とする。
【0007】Mn:Mnは鋼の熱間加工性を改善し、組
織の安定化に有効であるが、0.1%未満では十分な効
果が得られず、1.5%を越えると鋼を硬化させ加工性
を損なうとともに、Siと同様に焼戻し脆化感受性を高
める。そこでMnの含有量を0.1〜1.5%とする。
【0008】Ni:Niはオーステナイト安定化元素で
あり、かつ靱性改善に寄与するが、その含有量が1%を
越えると高温クリープ強度を損なう。また経済性を鑑み
ても大量添加は不利である。従ってNiの含有量は0.
01〜1%とする。
【0009】Cr:Crは低合金鋼の耐酸化性、高温腐
食性の点から不可欠な元素であり、その含有量が0.8
%未満では十分な耐酸化性、高温腐食性が得られない。
一方3.5%を越えると靱性、熱伝導性が低くなり低合
金鋼の利点が少なくなる。従って、Crの含有量は0.
8〜3.5%とする。
【0010】W:Wは固溶強化および微細炭化物析出強
化元素としてクリープ強度の向上に有効であり、0.1
%未満では効果がなく、3%を越えると鋼を硬化させて
加工性を損なうため0.1〜3%の範囲とする。575
℃以上の高温では、Wの含有量が多い方がクリープ強度
は高い。
【0011】V:VはC,Nと結合してV(C,N)等
の微細析出物を形成する。この析出物は高温での長時間
クリープ強度の向上に大きく寄与するが、0.01%未
満では十分な効果が得られず、0.5%を越える場合に
はかえってクリープ強度を損なうため、Vの含有量は
0.01〜0.5%とする。
【0012】Nb:NbはVと同様C,Nと結合してN
b(C,N)を形成しクリープ強度に寄与する。特に6
00℃以下の比較的低温では著しい強度改善効果を示
す。0.01%未満では上記の効果が得られず、また
0.2%を越える場合は未固溶NbCが増え、クリープ
強度と靱性を損なう。したがってNb含有量は0.01
%〜0.2%が適当である。
【0013】N:NはV,Nbとの炭窒化物形成に必要
で、0.005%未満ではその効果がない。しかしなが
ら0.03%を越える場合は、組織が微細化するととも
に窒化物が粗大化し、強度と靱性、加工性を損なう。そ
のため、Nの含有量は0.005〜0.03%とする。
【0014】B:Bは極微量の添加により炭化物の分
散、安定化させる効果があ。0.001%未満ではその
効果が小さく、0.01%を越えると加工性を損なうか
ら、Bの添加はその含有量を0.001%〜0.01%
とする。
【0015】上記の各成分の外に、次の成分を必要に応
じて添加することができる。La,Ca,Y,Ce,T
i,ZrおよびTaは鋼中の不純物元素(P,S,O)
とそれらの析出物(介在物)の形態制御を目的として添
加できる。これらの元素のうち少なくとも1種をそれぞ
れの元素について0.01%以上添加することによって
不純物であるO,P,Sと安定で無害な化合物として固
定、清浄化し、強度と靱性を向上させる。しかしそれぞ
れ0.2%を越えると析出物(介在物)が増加し、かえ
って靱性を損なうので各々の含有量は0.01〜0.2
%とする。
【0016】本発明の鋼は前述の成分のほか、残部はF
eと不可避の不純物からなる。鋼の不純物として代表的
なものはP,Sである。Pは0.025%以下、Sは
0.015%以下に抑えるのが望ましい。これらはいず
れも靱性、加工性に有害な元素で、Sが極微量であって
も粒界やCr2 3 スケール皮膜を不安定にし、強度、
靱性、加工性劣化の原因となるから、上記の許容上限値
以下でもできるだけ少ないほうがよい。
【0017】上記の成分により焼きならし後、700℃
以下で焼戻すことで、高速回転するロータがタービン翼
から受ける引張応力に耐えうる常温で引張強さ75kg
f/mm2 以上の機械的性質をもつようになる。
【0018】
【実施例】表1に本発明鋼と比較鋼の化学成分および焼
戻温度を示す。比較鋼の内でI1〜N2で示す鋼はI3
〜N5の本発明鋼と同成分とし、焼戻温度を変えたもの
である。A1鋼、A2鋼はSTBA24、B1鋼、B2
鋼は高圧用ロータ材として使用されているASTM A
470−8に準じた代表的なCr−Mo鋼である。
【0019】それぞれの供試鋼は高周波真空溶解炉でそ
れぞれ50kg溶解、鋳造後、1100℃で熱間鍛造を
行い40×60×1000mmの角材とした。通常の熱
処理(焼きならし、焼戻し)として比較鋼であるA1鋼
〜H2鋼はそれぞれ960℃で1時間保持後、空冷し、
680℃と720℃の2種類の温度でそれぞれ1時間保
持して空冷を行った。I1〜N2は1040℃×1時間
保持後、空冷した後、710℃と730℃で1時間保持
後空冷した。本発明鋼のI3鋼〜N5鋼は1040℃×
1時間→空冷のあと、650℃〜690℃の温度範囲で
20℃刻み、3種類の焼戻温度にて1時間保持後、空冷
した。
【0020】引張試験は試験形状をφ6mm×GL30
mmとし、室温にて行った。クリープ破断試験としては
引張試験片と同形状のφ6mm×GL30mmを用い
て、500℃〜600℃で最長10000時間程度の試
験を行った。シャルピー衝撃試験はJIS4号試験片を
用い、FATT(シャルピー衝撃試験片の脆性破面率が
50%になる温度)を求めた。各供試鋼の試験結果を表
2にまとめて示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】本発明鋼の引張り強さはすべて比較鋼を上
回っており、焼戻温度が低いほど引張強さが高くなる傾
向が見られる。0.2%耐力についても同様の傾向が見
られる。引張強さが大きいものほど、伸びは小さくなっ
ており、引張強さが高い本発明鋼では比較鋼より全般的
に伸びが小さいが、回転体用低合金鋼として要求される
伸び特性は十分満たしている。靱性をあらわすFATT
においては引張強さと逆に焼戻し温度が低くなるほどF
ATTが大きくなっているが、本発明鋼のFATTは室
温以下の値を示しており、実用上なんら問題のないレベ
ルである。クリープ破断強度は比較鋼に比べて2〜3k
gf/mm2 高い強度を示している。
【0025】以上具体的に示したとおり、本発明鋼は請
求項に示した成分と700℃以下の焼戻熱処理により、
回転体用低合金鋼として要求されている引張強さが75
kgf/mm2 以上で、かつ靱性および耐クリープ性に
すぐれた特性を有することがわかる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば従来の低合金鋼では困難
であった高温強度、靱性、耐クリープ特性を同時に満足
する低合金鋼を提供することができる。この鋼は高温強
度、靱性、耐クリープ性、経済性を兼ね備えた新しい材
料として回転体用材料のみならず、耐熱耐圧部材として
管、板、その他さまざまな形状の鍛鋼品等に広く適用で
きるものである。
フロントページの続き (72)発明者 横山 知充 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社本社内 (72)発明者 伊勢田 敦朗 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−268040(JP,A) 特開 平2−217438(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.02〜0.2%、S
    i:0.05〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、N
    i:0.01〜1%、Cr:0.8〜3.5%、W:
    0.1〜3%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.0
    1〜0.2%、N:0.005〜0.03%、B:0.
    001〜0.01%を含み残部は鉄及び不可避的不純物
    からなり、焼きならし後、700℃以下で焼戻し、常温
    の引張強さが75kgf/mm2 以上であることを特徴
    とする高温強度の優れた回転体用低合金鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1の成分に加えてそれぞれ0.0
    1〜0.2重量%のLa,Ca,Y,Ce,Ti,Zr
    およびTaからなる群から選択した1種以上を含有す
    る、焼きならし後、700℃以下で焼戻し、常温の引張
    強さが75kgf/mm2 以上であることを特徴とする
    高温強度の優れた回転体用低合金鋼。
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