JP4284010B2 - 耐熱鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱鋼に関するものである。さらに詳細には、本発明は、高温蒸気タービンロータ材料及び翼材料に特に適した耐熱鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、火力発電設備の高温部品材料として、9〜12%のCrを含有する高Crフェライト系耐熱鋼が多用されている。この種の鋼は、比較的低価格であり製造性に優れるとともに物理的特性値が良好であるため広範な用途があり、高温機器の性能、信頼性および運用性の向上に貢献している。特に、近年、地球環境保全の観点から火力発電プラントの熱効率向上が追求され、この結果600℃以上の高温蒸気を用いた高効率機種が実現し、この実現には高Crフェライト系耐熱鋼の開発が多いに寄与している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、火力発電プラントの熱効率向上の追求と並行して、機器の経済性が以前にも増して重視される傾向にあり、原料費や製造費の低減といった原価低減とともに、製造性に優れた材質が要求される傾向にある。
【0004】
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、製造性、鋼塊の均質性が高く、かつ、高温の蒸気環境中で安定に運用できる蒸気タービンロータ素材及び翼素材として好適な耐熱鋼を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、高Crフェライト系耐熱鋼において、とくに高温強度と製造性、経済性を兼ね備えた蒸気タービン用耐熱鋼を開発すべく研究を行った結果、本発明に至ったものである。すなわち、本発明は、従来、未固溶の粗大炭化物として鋼中に残存する、あるいは凝固時の偏析傾向が高く鋼塊の均質性の低下に繋がるNbを意図的に添加しない耐熱鋼に関するものである。
【0007】
また、第一の発明は、重量%で、C:0.13〜0.17、Si:0.1以下、Mn:0.3〜0.7、Ni:0.4〜0.8、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.8〜1.2、W:0.8〜1.5、N:0.03〜0.06の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなり、Nbを主構成元素とする析出物を形成しないことを特徴とする、耐熱鋼である。
【0008】
また、第二の発明は、重量%で、C:0.08〜0.13、Si:0.1以下、Mn:0.01〜0.3、Ni:0.1〜0.4、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.5〜0.8、W:1.5〜2.0、N:0.01〜0.03の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなり、Nbを主構成元素とする析出物を形成しないことを特徴とする、耐熱鋼である。
【0009】
また、第三の発明は、重量%で、C:0.08〜0.13、Si:0.1以下、Mn:0.3〜0.7、Ni:0.4〜0.8、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.05〜0.5、W:2.0〜3.0、N:0.01〜0.03の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなり、Nbを主構成元素とする析出物を形成しないことを特徴とする、耐熱鋼である。
【0010】
また、第四の発明は、重量%で、B:0.005〜0.015をさらに含有することを特徴とする、第一の発明の耐熱鋼である。
【0011】
また、第五の発明は、重量%で、Co:1.5〜3.5及びB:0.005〜0.015をさらに含有することを特徴とする、第二の発明の耐熱鋼である。
【0012】
また、第六の発明は、重量%で、Re:0.1〜0.6、Co:0.5〜1.5及びB:0.005〜0.015をさらに含有することを特徴とする、第三の発明の耐熱鋼である。
【0013】
また、第七の発明は、定常時の最高蒸気温度が566〜610℃の蒸気タービンロータとして用いられることを特徴とする、第一、第二、第四及び第五のいずれかの発明の耐熱鋼である。
【0014】
また、第八の発明は、定常時の最高蒸気温度が593〜630℃の蒸気タービンロータとして用いられることを特徴とする、第一、第二、第四及び第五のいずれかの発明の耐熱鋼である。
【0015】
また、第九の発明は、定常時の最高蒸気温度が566〜610℃での蒸気タービン翼として用いられることを特徴とする、第一ないし第六のいずれかの発明の耐熱鋼である。
【0016】
また、第十の発明は、定常時の最高蒸気温度が593〜630℃での蒸気タービン翼として用いられることを特徴とする、第二、第三、第五及び第六のいずれかの発明の耐熱鋼である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に組成範囲の限定理由を説明する。なお、以下の説明において組成を表す%は、特に断らない限り重量%とする。
【0018】
(a) C
Cは、焼入れ性の確保とともに、析出強化に寄与する炭化物の構成元素としても有用な元素である。本発明に係わる耐熱鋼では0.08%未満では上述の効果が小さく、0.17%を超えると炭化物の凝集が促進されるため、その含有量を0.08〜0.17%とした。なお、他の添加元素とのバランスにより、Cの添加範囲は0.08〜0.13%の場合と、0.13〜0.17%の場合とに大別でき、前者はNを0.01〜0.03%含有する場合、後者はNを0.03〜0.06%含有する場合である。
【0019】
(b) Si
Siは、脱酸剤として有用な成分である。しかし、その含有量が過度に高い場合は靭性の低下及び脆化を促進するため、この点からは含有量は可能な限り抑制することが望ましい。本発明に係わる耐熱鋼においてはその含有量が0.1%を超えると上記特性が著しく低下するため、その含有量を0.1%以下とした。
【0020】
(c) Mn
Mnは、脱硫剤として有用な元素である。しかし、0.01%未満では脱硫効果が認められず、0.7%を超えて添加するとクリープ抵抗を低下させるため、その含有量を0.01〜0.7%とした。なお、他の添加元素とのバランスにより、Mnの添加範囲は0.01〜0.3%の場合と、0.3〜0.7%の場合とに大別でき、前者はCoを1.5〜3.5%含有する場合、後者はCoを含有しないか、もしくは0.5〜1.5%含有する場合である。
【0021】
(d) Ni
Niは、焼入れ性及び靭性を向上させ、本発明に係わる耐熱鋼においては0.1%以上でその効果が認められる。しかし、0.8%を超えるとクリープ抵抗を低下させるため、その含有量を0.1〜0.8%とした。なお、他の添加元素とのバランスにより、Niの添加範囲は0.1〜0.4%の場合と、0.4〜0.8%の場合とに大別でき、前者はMnを0.01〜0.3%含有する場合、後者はMnを0.3〜0.7%含有する場合である。
【0022】
(e) Cr
Crは、析出強化に寄与する析出物の構成元素として有効であるとともに耐酸化性、耐食性の確保にも不可欠な成分である。しかし、本発明に係わる耐熱鋼では9.5%未満では上述の効果が小さく、11.5%を超えるとフェライトの生成を促進するとともに靭性が低下するため、その含有量を9.5〜11.5%とした。
【0023】
(f) V
Vは、固溶強化及び微細な炭窒化物の形成に寄与する。本発明に係わる耐熱鋼では0.15%以上の添加でこれらの微細析出物が十分に析出し回復を抑制する。しかし、0.30%を超えると炭窒化物の凝集が促進されるため、その含有量を0.15〜0.30%とした。
【0024】
(g) Mo
Moは、固溶強化元素及び炭化物の構成元素として有用であり、0.05%以上の添加によりその効果が発揮される。しかし、1.2%を超える添加は本発明の耐熱鋼においては靭性の低下及びフェライトの生成を促進するため、その含有量を0.05〜1.2%とした。なお、本発明の耐熱鋼においては、とくにWの添加量とのバランスによってフェライトの生成を回避しており、Moの添加範囲は0.8〜1.2%の場合と、0.5〜0.8%の場合と、0.05〜0.5%の場合とに大別できる。0.8〜1.2%の場合はWの添加量が0.8〜1.5%である場合、0.5〜0.8%の場合はWの添加量が1.5〜2.0%である場合、0.05〜0.5%の場合はWの添加量が2.0〜3.0%とすることでマルテンサイト単相組織が得られる。
【0025】
(h) W
Wは、固溶強化とともに炭化物中及び金属間化合物中へ置換し析出強化にも寄与する。これらの効果を発揮させるためには0.8%以上の添加が必要である。しかし、3.0%を超えると靭性の低下及びフェライトの生成を促進するため、その含有量を0.8〜3.0%とした。なお、本発明の耐熱鋼においては、とくにMoの添加量とのバランスによってフェライトの生成を回避しており、Wの添加範囲は0.8〜1.5%の場合と、1.5〜2.0%の場合と、2.0〜3.0%の場合とに大別できる。0.8〜1.5%の場合はMoの添加量を0.8〜1.2%とし、1.5〜2.0%の場合はMoの添加量を0.5〜0.8%とし、2.0〜3.0%の場合はMoの添加量を0.05〜0.5%とすることでマルテンサイト単相組織が得られる。
【0026】
(i) N
Nは、窒化物あるいは炭窒化物を形成することにより析出強化に寄与する。さらに母相中に残存するNは固溶強化にも寄与するが、本発明に係わる耐熱鋼では0.01%未満ではこれらの効果が認められない。一方、0.06%超過では窒化物あるいは炭窒化物の粗大化を促進しクリープ抵抗が低下するとともに粗大生成物の生成を促進するため、その含有量を0.01〜0.06%とした。なお、他の添加元素とのバランスにより、Nの添加範囲は0.01〜0.03%の場合と、0.03〜0.06%の場合とに大別でき、前者はCを0.08〜0.13%含有する場合、後者はCを0.13〜0.17%含有する場合である。
【0027】
(j) Co
Coは、固溶強化に寄与するとともにフェライトの生成傾向を抑制する効果を有する。これらの効果を発揮させるためには0.5%以上の添加が必要である。しかし、3.5%を超えるとこれらの効果は飽和するとともに、大型鋼塊としては経済性を著しく損なうため、Coの添加範囲は0.5〜3.5%とした。なお、Coを添加する場合は、他の添加元素とのバランスにより、Coの添加範囲は0.5〜1.5%の場合と、1.5〜3.5%の場合とに大別でき、前者はMnを0.3〜0.7%含有しかつNiを0.4〜0.8%含有してフェライト生成傾向を低下させた場合、後者はMn添加量が0.01〜0.3%でかつNi含有量が0.1〜0.4%でありフェライト生成傾向が高い場合である。
【0028】
(k) Re
Reは、固溶強化とともに母相中のWの固溶量を高く維持することに寄与する。これらの効果を発揮させるためには0.1%以上の添加が必要であるが、0.6%を超えるとフェライトの生成を促進するとともに、大型鋼塊としては経済性を著しく損なうため、その含有量を0.1〜0.6%とした。
【0029】
(l) B
Bは、微量の添加で焼入れ性を高めるとともに、炭窒化物の高温長時間安定化を可能にする。本発明に係わる耐熱鋼ではその効果は0.005%以上の添加で認められ、結晶粒界及びその近傍に析出する炭化物の粗大化抑制効果を発揮するが、0.015%を超えると著しい鍛造性の低下と粗大生成物の形成を促進するため、その含有量を0.005〜0.015%とした。
【0030】
上記成分ならびに主成分であるFeを添加する際に付随的に混入する不純物は、極力低減することが望ましい。
【0031】
上記成分からなる耐熱鋼のうち、重量%で、C:0.13〜0.17、Si:0.1以下、Mn:0.3〜0.7、Ni:0.4〜0.8、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.8〜1.2、W:0.8〜1.5、N:0.03〜0.06の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなる耐熱鋼、もしくは重量%で、C:0.08〜0.13、Si:0.1以下、Mn:0.01〜0.3、Ni:0.1〜0.4、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.5〜0.8、W:1.5〜2.0、N:0.01〜0.03の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなる耐熱鋼であって、場合によっては重量%で、B:0.005〜0.015、あるいはCo:1.5〜3.5及びB:0.005〜0.015の双方を含有する耐熱鋼は、定常時の最高蒸気温度が566〜630℃の高温蒸気タービンロータ材料として良好な特性を発揮する。566℃未満ではより安価な低合金鋼を用いることで十分であり、630℃を上回ると軟化が著しく運転中の変形が著しく促進される。
【0032】
また、上記成分からなる耐熱鋼のうち、重量%で、C:0.13〜0.17、Si:0.1以下、Mn:0.3〜0.7、Ni:0.4〜0.8、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.8〜1.2、W:0.8〜1.5、N:0.03〜0.06の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなる耐熱鋼、もしくは重量%で、C:0.08〜0.13、Si:0.1以下、Mn:0.01〜0.3、Ni:0.1〜0.4、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.5〜0.8、W:1.5〜2.0、N:0.01〜0.03の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなる耐熱鋼であって、場合によっては重量%で、B:0.005〜0.015、あるいはCo:1.5〜3.5及びB:0.005〜0.015の双方、あるいはRe:0.1〜0.6、Co:0.5〜1.5及びB:0.005〜0.015の3種類を含有する耐熱鋼は、定常時の最高蒸気温度が566〜630℃の高温蒸気タービン翼材料として良好な特性を発揮する。566℃未満ではより安価な鋼を用いることで十分であり、630℃を上回ると軟化が著しく運転中の変形が著しく促進される。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を表1に示した化学組成範囲の耐熱鋼を用いた実施例により説明する。
[実施例1]
実施例1では、本発明の記載の化学組成範囲にある耐熱鋼が優れた特性を有することを説明する。供試鋼は30kg真空誘導溶解後、鋳込んだ鋳塊を熱間圧延し、続いて焼鈍、焼ならし後油焼入れを行い、さらに焼戻しを施した。これらの化学組成は、表1に示される通りである。
【0034】
このうち、鋼種1〜鋼種26が本発明に係わる組成範囲にある耐熱鋼であり、鋼種27〜鋼種34はその組成が本発明記載の化学組成範囲にない比較例である。これらのうち、鋼種1〜鋼種4、鋼種11〜鋼種18、鋼種27、鋼種29、鋼種31及び鋼種34はタービンロータに適した700MPa程度の常温0.02%耐力に調整されており、鋼種5〜鋼種7、鋼種19〜鋼種26、鋼種30、鋼種32及び鋼種33はタービン翼に適した740〜770MPa程度の常温0.02%耐力に調整されている。また、鋼種8〜鋼種10及び鋼種28については上記双方に適した常温0.02%耐力に調整されたものを準備した。これらの常温0.02%耐力を表2に示す。なお、表中では各請求項に対応する実施例と比較例をひとつの組合せとして記載した。
【0035】
各鋼について実施した630℃−196MPaでのクリープ破断試験におけるクリープ破断時間は表2に示される通りである。本発明記載の化学組成範囲にある耐熱鋼は、添加元素の種類とバランス、及び常温0.02%耐力がA〜Hの各グループ間で異なるため、グループ分けした実施例間での比較は困難であるが、A〜Hに区分けした各実施例ごとに、当該グループの比較例と比べ同等かもしくは比較例を上回るクリープ破断時間を示した。
【0036】
各鋼についてJIS 4号2mmVノッチ試験片を用いて20℃でシャルピー衝撃試験を実施した。得られた衝撃吸収エネルギーは表2に示される通りである。本発明記載の化学組成範囲にある耐熱鋼は、添加元素の種類とバランス、及び常温0.02%耐力がA〜Hの各グループ間で異なるため、グループ分けした実施例間での比較は困難でえあるが、A〜Hに区分けした各実施例ごとに、当該グループの比較例と比べ同等かもしくは比較例を上回る衝撃吸収エネルギーを示した。
【0037】
以上のことから、本発明の各請求項ごとに区分けされた化学組成範囲にある耐熱鋼は、同等の常温0.02%耐力に調整した場合、その組成範囲にない添加元素量を有する比較例に比べ、クリープ破断時間及び衝撃吸収エネルギー双方で同等以上の値を示すことがわかる。
【0038】
[実施例2]
実施例2では、本発明の化学組成範囲にある耐熱鋼が高い組織清浄度を有することを説明する。供試鋼は、表1中の鋼種3、鋼種7〜鋼種9、鋼種11、鋼種14、鋼種15、鋼種19、鋼種23及び鋼種24を本発明の化学組成範囲にある実施例として用い、表1中の鋼種28〜鋼種31及び鋼種34を本発明の化学組成範囲にない比較例として用いた。なお、これらの製造方法は実施例1と同様である。
【0039】
各鋼の焼戻し後の鋼材の圧延方向から20×15mmの板を採取し、これらを研磨後、JIS G 0555記載の試験方法に基づいて清浄度の判定を実施した。これらの結果は、表3に示される通りである。介在物と判断したものには、MnS、未固溶のNb炭窒化物、BN等を含む。比較例における介在物の合計値は0.036〜0.057であるのに対し、本発明の化学組成範囲にある耐熱鋼における介在物の合計値は0.008〜0.024と比較例の数分の1に減少したことがわかる。
【0040】
次に、各鋼の介在物が存在した部位及び介在物が存在しない部位についてJIS 4号2mmVノッチ試験片を用いて20℃でシャルピー衝撃試験を実施した。得られた衝撃吸収エネルギーは表3に示される通りである。本発明記載の化学組成範囲にある各耐熱鋼は、介在物の有無に係わらず衝撃吸収エネルギーは同等であったが、比較例の各耐熱鋼では、鋼種29及び鋼種31の様に一部は同等の値を示すものもあるが、大半は衝撃吸収エネルギーが低下した。
【0041】
以上のことから、本発明の各請求項ごとに区分けされた化学組成範囲にある耐熱鋼は、Nbを無添加とし、さらにその他の元素の添加量を効果的に制限したことで鋼の清浄度が大幅に向上するため製造性が良好であり、かつ、介在物が存在することによる局所的な特性の不均一が生じないことがわかる。
【0042】
【表1】
【表2】
【表3】
【0043】
【発明の効果】
以上の結果、本発明の化学組成範囲にある耐熱鋼は優れた特性及び組織清浄度を有しており、これらの耐熱鋼からなる蒸気タービンロータ及び翼は、蒸気タービンの性能、運用性、経済性の向上に貢献できる等、産業上有益な効果がもたらされる。
Claims (10)
- 重量%で、C:0.13〜0.17、Si:0.1以下、Mn:0.3〜0.7、Ni:0.4〜0.8、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.8〜1.2、W:0.8〜1.5、N:0.03〜0.06の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなり、Nbを主構成元素とする析出物を形成しないことを特徴とする、耐熱鋼。
- 重量%で、C:0.08〜0.13、Si:0.1以下、Mn:0.01〜0.3、Ni:0.1〜0.4、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.5〜0.8、W:1.5〜2.0、N:0.01〜0.03の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなり、Nbを主構成元素とする析出物を形成しないことを特徴とする、耐熱鋼。
- 重量%で、C:0.08〜0.13、Si:0.1以下、Mn:0.3〜0.7、Ni:0.4〜0.8、Cr:9.5〜11.5、V:0.15〜0.30、Mo:0.05〜0.5、W:2.0〜3.0、N:0.01〜0.03の範囲に調整され、残部はFe及び不可避的不純物からなり、Nbを主構成元素とする析出物を形成しないことを特徴とする、耐熱鋼。
- 重量%で、B:0.005〜0.015をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の耐熱鋼。
- 重量%で、Co:1.5〜3.5及びB:0.005〜0.015をさらに含有することを特徴とする、請求項2に記載の耐熱鋼。
- 重量%で、Re:0.1〜0.6、Co:0.5〜1.5及びB:0.005〜0.015をさらに含有することを特徴とする、請求項3に記載の耐熱鋼。
- 定常時の最高蒸気温度が566〜610℃の蒸気タービンロータとして用いられることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の耐熱鋼。
- 定常時の最高蒸気温度が593〜630℃の蒸気タービンロータとして用いられることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の耐熱鋼。
- 定常時の最高蒸気温度として566〜610℃の蒸気タービン翼として用いられることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の耐熱鋼。
- 定常時の最高蒸気温度として593〜630℃の蒸気タービン翼として用いられることを特徴とする、請求項2、請求項3、請求項5、請求項6のいずれか1項に記載の耐熱鋼。
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