JP3250644B2 - 複合中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents

複合中空糸膜およびその製造方法

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JP3250644B2
JP3250644B2 JP08705495A JP8705495A JP3250644B2 JP 3250644 B2 JP3250644 B2 JP 3250644B2 JP 08705495 A JP08705495 A JP 08705495A JP 8705495 A JP8705495 A JP 8705495A JP 3250644 B2 JP3250644 B2 JP 3250644B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、逆浸透膜やナノ濾過膜
として有用な複糸膜及びその製造方法に関する。より詳
しくは選択透過性を有する薄膜重合体をいわゆる界面重
合法により多孔質中空糸膜の外表面に形成させることに
より得られる複合中空糸膜に関するものである。これに
より得られた複合中空糸膜により海水の淡水化やカン水
の脱塩、水溶液中の有価物の回収、排水処理、水中の不
純物の除去が可能である。
【0002】
【従来の技術】相互に反応して重合体を形成し得る一方
の多官能性化合物A含む第1溶液と他方の多官能性化合
物Bを含み、該第1溶液と非混合性の第2溶液に順次、
多孔質支持膜を接触させ、該多孔質支持膜上で該多官能
性化合物を相互に界面反応させて薄膜を形成する、いわ
ゆる、界面重合法による複合膜化技術は平膜では、逆浸
透膜を例にあげると、米国特許第3,744,642 号明細書、
同第4、039、440 号明細書、同第4、259、183 号明細書、同
第4、277、344 号明細書、特開昭55−147106号公
報、特開昭49−133282号公報、特公平1−38
522号公報などが知られている。これらの方法は多孔
質中空糸膜の外表面へそのまま適用しようとすると、界
面重合膜が多孔質中空糸膜の外表面に形成中または直後
に、ローラー等の中空糸膜の移送手段への接触が避けら
れず、形成された薄膜が剥離、または損傷し膜欠点が生
じる。そのため、膜傷等のない均一な薄膜を有する高性
能の複合中空糸膜を安定に連続して得ることはできな
い。
【0003】一方、複合中空糸膜の場合では米国特許第
4、980、061 号明細書、特開昭62−95105号公報、
特開昭60−87807号公報には、前記第1溶液と前
記第2溶液を接触させ形成させた界面に多孔質中空糸膜
を通過させて多孔質中空糸膜の外表面に重合体薄膜を形
成する技術が示されている。またPBレポート81−1
67215にはピペラジン水溶液浴と酸クロライドのシ
クロヘキサン溶液浴に連続して多孔質中空糸膜を浸漬、
通過させて得られる複合中空糸膜及びその製法が示され
ている。さらに特開平2−2842号公報には多孔質中
空糸膜の表面に架橋ポリアミドを形成した複合中空糸膜
の例が示されており、その製造方法として、多孔質中空
糸膜の外表面に薄膜を形成させる場合は多孔質中空糸膜
を多官能アミン溶液に含浸し、風乾後、多官能酸クロラ
イド溶液中に浸漬するという製法が示されている。ま
た、特開平6−114246号公報は前記第2溶液に浸
漬するための槽として、多孔質中空糸膜が出入りするた
めの堰または孔を設けた槽を用いる製法が示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の界面重合法によ
る複合中空糸膜の製造方法で前記第1溶液と前記第2溶
液を接触させ形成させた界面に多孔質中空糸膜を通過さ
せて多孔質中空糸膜の外表面に重合体薄膜を形成する方
法(米国特許第4、980、061 号明細書、特開昭62−95
105号公報、特開昭60−87807号公報)では、
多孔質中空糸膜の外表面に形成された薄膜が形成中また
は形成直後にローラー等の多孔質中空糸膜の移送手段に
接触することなく乾燥、熱処理工程へ移送し薄膜の多孔
質中空糸膜への固定化が可能である。しかしながら、前
記界面に平面状に形成された重合膜を曲面である多孔質
中空糸膜上に積層するため多孔質中空糸膜外表面に均一
に薄膜形成できない。また、界面で形成された重合体薄
膜を多孔質中空糸膜上に単に積層するだけの為、多孔質
中空糸膜と薄膜との密着性が低くなることや該第1溶液
に浸漬した後に多孔質中空糸膜に付着した過剰のアミン
溶液を除去または乾燥する工程を導入できないこと、さ
らに、前記2溶液間界面で形成される重合体薄膜のうち
多孔質中空糸膜に随伴されないものは経過時間とともに
厚みを増し、それが多孔質中空糸膜の外表面への重合体
薄膜の形成を阻害する場合があり、連続して均一な薄膜
を多孔質中空糸膜外表面に形成しにくい、などの問題が
有るため透過性能や分離性能がともに高い複合中空糸膜
は得られていないのが現状である。
【0005】一方、前記PBレポート81−16721
5に示される2つの溶液浴に連続して多孔質中空糸膜を
浸漬、通過させる製法では、具体的な製法プロセスが図
示されていないが、前述した平膜の場合のように薄膜が
形成中または形成直後にローラー等により薄膜が損傷さ
れているものと推察され、データのバラツキが大きく、
分離性能も低い。同様に、前記特開平2−2842号公
報に示される多官能アミン溶液、多官能酸クロライド溶
液中に浸漬するという製法では、具体的な製法プロセス
が図示されていないため製法自体が明確ではないが、単
に間に風乾工程を入れて浸漬工程を繰り返すだけであ
り、これも平膜の場合の例と実質的にはなんら変わって
おらず、得られた複合中空糸膜の性能は低いものしか得
られていない。おそらく、連続した多孔質中空糸膜に適
用した場合は同様な問題が生じるものと推定される。本
発明は、かかる欠点を解消しようとするものであり、多
孔質中空糸膜外表面に均一に薄膜を連続的に安定に形成
することにより、透過性能や分離性能に優れた複合中空
糸膜及びその製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、複合中空糸膜中にフッ素化合物
を含有させることにより、高性能の複合中空糸膜を得る
ことができることを見いだし、前記目的が達成されるに
至った。さらに、このフッ素化合物を含有させるととも
に多孔質中空糸膜外表面に均一に薄膜を連続的に安定に
形成させる方法として以下の方法を見いだし本発明に至
った。すなわち、多孔質中空糸膜を第1溶液から続いて
第2溶液に垂直に接触させた後、第2溶液と実質的に非
混合性であり、第2液と界面を形成できるフッ素化合物
を含む第3液に接触させる方法である。別の方法として
は、多孔質中空糸膜を第1溶液から続いてフッ素化合物
を含む第3液に接触させた後、第2溶液に接触させる方
法であり、この第3液は第1溶液及び第2溶液の両者の
どちらとも実質的に非混合性であり、それぞれ界面を形
成できるものである。これらの新規な方法を導入するこ
とにより、フッ素化合物を複合中空糸膜中に含有させる
ことが可能となり、さらに多孔質中空糸膜の外表面上で
のみ界面重合反応を行うことができ、かつ、薄膜形成中
及び/または形成直後にローラー等の多孔質中空糸膜の
移送手段に接触しないように、乾燥、熱処理工程、必要
によってはアルカリ処理工程へ移送し薄膜の多孔質中空
糸膜への固定化が可能であることを見いだした。これ
は、従来の第1溶液と第2溶液の界面で界面重合した重
合体薄膜を多孔質中空糸膜上に積層する形式のものや、
第1溶液槽と第2溶液槽に多孔質中空糸膜を通過させる
だけのものとは技術思想が全く異なるものである。さら
にこの第3液により多孔質中空糸膜表面上に付着した過
剰の第1溶液をかきとり、第1溶液の液膜厚みの制御し
た状態でそのまま連続で第2溶液と接触させ、界面反応
を生じさせることが可能となり、透過性能や分離性能に
優れた複合中空糸膜の製造できるものであることを見い
だし本発明に至った。
【0007】すなわち、本発明は下記の構成から成る。 (1)多孔質中空糸膜と該多孔質中空糸膜の外表面を被
覆するポリアミド系重合体薄膜からなる複合中空糸膜に
おいて、該複合中空糸膜がフッ素化合物を含有している
ことを特徴とする複合中空糸膜。 (2)上記(1)に記載の複合中空糸膜の製造方法であ
って、2つ以上の反応性のアミノ基を有し少なくとも1
種類からなる多官能性化合物Aを含む第1溶液と、少な
くとも1種類の多官能性酸ハロゲン化物からなる多官能
性化合物Bを含み該第1溶液と実質的に非混合性の第2
溶液に順次、多孔質中空糸膜を接触させ、該多孔質中空
糸膜上で該多官能性化合物A,Bを相互に界面重合させ
て薄膜を形成し連続した複合中空糸膜を製造するにあた
り、該多孔質中空糸膜を、該第1溶液から続いて該第2
溶液に接触させた後に、該第2溶液と実質的に非混合性
であって、フッ素化合物を含む第3液に少なくとも1カ
所接触させることを特徴とする複合中空糸膜の製造方
法。(以下製法Iと略記する。) (3)上記(1)に記載の複合中空糸膜の別の製造方法
であって、2つ以上の反応性のアミノ基を有し少なくと
も1種類からなる多官能性化合物Aを含む第1溶液と、
少なくとも1種類の多官能性酸ハロゲン化物からなる多
官能性化合物Bを含み該第1溶液と実質的に非混合性の
第2溶液に順次、多孔質中空糸膜を接触させ、該多孔質
中空糸膜上で該多官能性化合物A,Bを相互に界面重合
させて薄膜を形成し連続した複合中空糸膜を製造するに
あたり、該多孔質中空糸膜を、該第1溶液から続いて該
第2溶液に接触させる間に、該第1溶液と該第2溶液の
どちらにも実質的に非混合性であって、フッ素化合物を
含む第3液に少なくとも1カ所接触させることを特徴と
する複合中空糸膜の製造方法。(以下製法IIと略記す
る。)
【0008】本発明において、多孔質中空糸膜は分離対
象物に対して実質的に分離性能を示さず、上記重合体薄
膜を支えるための支持膜であり、従来公知の多孔質中空
糸膜であればどのようなものでもよいが、その外表面に
好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μ
m以下の微細孔を有し、外表面以外の裏面までの構造は
流体の透過抵抗を必要以上に大きくしないために、外表
面の微細孔より大きな細孔からなるものが好ましく、網
状、指状ボイドまたはそれらの混合構造のいずれでもよ
い。その透過性能の例を示すと、単位圧力、単位面積あ
たりの透水量は海水淡水化に使用可能な高圧用逆浸透膜
の場合は例えば0.01〜0.2m3/(m2・日・(kg/c
m2))、好ましくは0.02〜0.1m3/(m2・日・(kg/c
m2))、15kg/cm2以下で使用される低圧用逆浸透膜の場
合は0.2〜10m2/(m2・日・(kg/cm2)))、好ましくは
0.5〜5m3/(m2・日・(kg/cm2))、さらに低圧で用いら
れるいわゆるナノ濾過膜の場合は例えば0.5〜50m3
/(m2・日・(kg/cm2))、好ましくは1〜20m3/(m2・日・
(kg/cm2))である。透水量が小さすぎると得られた複合
膜の透過性能も小さくなり、逆にあまりにも大きくなり
すぎると支持膜の強度が小さくなり操作圧力によっては
多孔質中空糸膜が破壊される場合がある。
【0009】素材は多孔質中空糸膜に成形できるもので
あればどのようなものでも使用できる。ただし、第1溶
液、第2溶液、第3液に接触した際に溶解や分解などに
より膜構造が損傷されないことが必要である。たとえ
ば、第1溶液、第2溶液、第3液がそれぞれアミンと酸
捕捉剤の水溶液、酸クロライドのヘキサン溶液、フッ素
系不活性液体の場合、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリアミドから選ばれる少なくとも一種を主成
分とすることが好ましく、より好ましくはポリスルホ
ン、ポリエ−テルスルホンから選ばれる少なくとも一種
を主成分とするものである。
【0010】寸法は特に限定されないが、製膜時の操作
性、モジュールの膜面積、耐圧性を考慮すると外径が1
00(μm)〜2000(μm)、内径が30(μm)
〜1800(μm)の範囲のものが好ましく、外径が1
50(μm)〜500(μm)、内径が50(μm)〜
300(μm)がより好ましい。さらに少なくとも複合
膜としての操作圧力以上の圧力に耐え得ることが必要で
ある。かかる多孔質中空糸膜は各種市販材料から選択可
能であるが、通常は公知の乾湿式製膜法または溶融製膜
法により製造可能である。さらに必要に応じて、製膜後
の多孔質中空糸膜を特開昭58−199007号公報に
開示されているように50℃の湿熱処理を施したり、特
開昭60−190204号公報に開示されているように
90℃以上の熱水処理をしたりしてもよい。また、必要
に応じて該第1溶液が含浸し過ぎないように目詰め剤を
事前に含浸しておいても良い。
【0011】本発明において、重合体薄膜は界面重合法
により得られるポリアミド系重合体薄膜であり、いわゆ
るアミド結合を有する重合体を主成分とするものであ
る。たとえば、逆浸透膜の場合、多官能性アミンと多官
能性酸ハロゲン化物の界面重縮合反応により得られた架
橋ポリアミド膜などがあげられる。厚みはピンホールが
なければ薄いほど好ましい。製膜安定性、透過性能等を
考慮すると0.5μm以下が好ましく、0.2μm以下
がより好ましい。この分離活性層の表面に必要に応じて
保護層が形成されていてもよい。
【0012】本発明の複合中空糸膜中に含有するフッ素
化合物はパーフルオロ化合物またはパーフルオロアルキ
ル基を有する化合物であることが好ましい。これらが複
合中空糸膜中に含有することにより均一な薄膜が形成で
き、かつ高透過性能、高分離性能が得られるメカニズム
は明かではないが、これらは一般に低誘電率、低表面張
力、低屈折率の特徴があり、これらが薄膜形成中、また
は直後に存在していることにより薄膜が均一な分散状態
で生成し、結果として均一で欠点のない薄膜を連続して
安定に形成できるもの考えられる。
【0013】また、このフッ素化合物が含有するとは、
分離活性層である重合体薄膜の表面、内部、重合体薄膜
と多孔質中空糸膜の間、多孔質中空糸膜中などに存在し
ていることであり、複合中空糸膜に含有していればその
存在位置はいずれでもかまわない。ただし、これらは薄
膜を形成する重合体及び/または多孔質中空糸膜と化学
的に結合して存在しているものではない。また、このフ
ッ素化合物の含有量は微量でも十分に上記効果が得られ
るが、含有量が多すぎるとフッ素化合物の疎水性の影響
が大きくなり、透水性能は低下するため,乾燥した複合
中空糸膜の重量当たりのフッ素(F)量が1ppm以
上、1000ppm以下が好ましい。
【0014】次に複合中空糸膜の製造方法について説明
する。本発明の複合中空糸膜の製造方法に用いられる多
官能性化合物A及びBの種類、組み合わせ、使用される
第1溶液、第2溶液を構成する溶媒の種類は、多官能性
化合物A及びB同志が界面で直ちに重合反応を起こし、
ポリアミド系重合体を生成するものであればよく、それ
以外は特に限定されない。以下に例をあげて説明する。
多官能性化合物Aの例としては芳香族アミン、脂肪族ア
ミンが挙げられ、このいずれであってもよい。
【0015】芳香族アミンとしては一分子中に2個以上
のアミノ基を有する芳香族アミンであり、2官能以上の
アミンとしては例えば、m−フェニレンジアミン、p−
フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルアミ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’
−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジ
フェニルアミン、3,5−ジアミノ安息香酸塩、4,
4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミ
ノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニル
スルホン、1,3,5−トリアミノベンゼンなどが挙げ
られ、これらの混合物であってもよい。なかでもm−フ
ェニレンジアミンが最も好ましい。脂肪族アミンとして
は2官能以上のアミンであればいずれでもよく、具体例
としては、ピペラジンや2−メチルピペラジン、エチル
ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ホモピペラ
ジン、t−2,5−ジメチルピペラジンのようなピペラ
ジン誘導体、ビス(4−ピペリジル)メタン、1,2−
ビス(4−ピペリジル)エタン、1,3−ビス(4−ピ
ペリジル)プロパン、N,N' −ジメチルエチレンジア
ミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、プロピ
レントリアミン、N,N' −ジメチルプロパンジアミ
ン、4−(アミノメチル)ピペリジン、シクロヘキサン
ジアミン、などが挙げられ、これらの混合物であっても
よく、またこれらから構成されるアミドプレポリマーで
あってもよい。
【0016】多官能性化合物Bの例としては多官能性ア
シルハライドが挙げられ、芳香族、脂肪族のいずれでも
よく、また、前記多官能性アミンと反応して重合体を形
成し得る2官能以上であればよい。芳香族または脂環族
の2または3官能酸ハロゲン化物が好ましく例えば、ト
リメシン酸ハライド、トリメリット酸ハライド、ピロメ
リット酸ハライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハ
ライド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライ
ド、ジフェニルジカルボン酸ハライド、ナフタレンジカ
ルボン酸ハライド、ベンゼンジスルホン酸ハライド、ク
ロロスルホニルイソフタル酸ハライド、ピリジンジカル
ボン酸ハライド、1,3,5−シクロヘキサントリカル
ボン酸ハライド、などが挙げられる。逆浸透膜性能など
を考慮するとトリメシン酸クロライド、イソフタル酸ク
ロライド、テレフタル酸クロライド、およびこれらの混
合物が好ましい。ここに多官能性化合物A及びBはそれ
ぞれ一種類の化合物に限られず、目的に応じて同じ反応
をする同族の複数の多官能性化合物を同時に使用するこ
とができる。通常は各多官能性化合物は3種類以下から
なることが多い。
【0017】これらの多官能性化合物の濃度について
は、多官能性化合物の種類、溶媒に対する分配係数によ
り異なる。ピペラジン水溶液を前記第1溶液として、ト
リメシン酸クロライドのn−ヘキサン溶液を前記第2溶
液として用いる場合を例に示すとピペラジンの濃度は約
0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%の
ものが適当であり、トリメシン酸クロライドの濃度は約
0.01〜10重量%、好ましくは約0.1〜5重量%
のものが適当である。これらの濃度が低いと界面重合膜
の形成が不完全で欠点が生じやすく分離性能の低下を招
き、逆に高すぎると界面重合膜が厚くなり過ぎて透過性
能の低下を生じたり、製造膜中の残留未反応物量が増加
し、膜性能へ悪影響を及ぼすことが有り得る。
【0018】なお、縮合反応で酸が発生する場合は水溶
液に酸捕捉剤としてのアルカリを添加したり、多孔質中
空糸膜との濡れ性を向上させるなどのために界面活性剤
を添加したり、この他多官能性化合物の反応促進剤を必
要に応じて添加してもよい。酸捕捉剤の例としては、水
酸化ナトリウムのようなカ性アルカリ、リン酸三ナトリ
ウムのようなリン酸ソーダ、ピリジン、トリエチレンジ
アミン、トリエチルアミン、3級アミン酢酸ソーダなど
が挙げられ、界面活性剤の例としてはラウリルスルホン
酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム
などが挙げられ、反応促進剤の例としては、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)などがある。これらは予め前記第
1溶液中及び/または第2溶液中に含ませることが可能
である。
【0019】本発明において第1溶液とは多孔質中空糸
膜が先に接触する多官能性化合物を含有する液体をい
い、第2溶液とは第1溶液と反応して界面重合可能なも
う一方の液体をいう。ここでの液体は多官能性化合物を
溶媒により溶解した溶液であり、多官能性化合物が液状
モノマーであれば、その多官能性化合物自身でもよい。
ここでの溶媒は多官能性化合物の溶解性、液の比重の調
整、液々界面の形成状態の調整等の目的で複数の溶媒の
混合物が用いられてもよい。
【0020】第1溶液の溶媒及び第2溶液の溶媒として
はそれぞれ前記多官能性化合物A、同Bを溶解し、各溶
液が接した場合液々界面を形成し多孔質中空糸膜を損傷
しないものであれば特に限定されない。例えば、多官能
性化合物Aが多官能性アミン、多官能性化合物Bが多官
能性酸ハライドの場合、第1溶液の溶媒としては、水
が、第2溶液の溶媒としてはn−ヘキサン、シクロヘキ
サン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−
デカン、n−ウンデカン等の炭化水素系溶剤が例として
挙げられる。
【0021】本発明において第3液は、該製法Iの場合
は第2溶液と実質的に非混合性の液体であれば特に限定
されないが、比重の大小関係は装置上の容易性から第2
溶液<第3液が良い。また第1溶液と第2溶液のどちら
とも実質的に非混合性の液体が好ましい。該製法IIの場
合においては第3液は第1溶液と第2溶液のどちらとも
実質的に非混合性の液体であれば特に限定されない。こ
のような第3液は、第1溶液と第2溶液の組み合わせに
より設定する必要があり、また、流動性、凝固点、比重
等の調節のため、複数の液体の混合物となる場合も有り
得る。ここでの非混合性とは相溶性が全く無いかまたは
若干の相溶性はあるが溶液を混合しても相分離し2液体
間に界面を形成するものをいう。各液体間の溶解性は低
いほど好ましく、常温(15〜25℃)での溶解量は好
ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下
である。またこの第3液が第1溶液及び第2溶液と実質
的に非混合であることは第1及び、第2溶液の各溶媒と
も実質的に非混合性であるとともに、第1及び、第2溶
液中に溶解している多官能性化合物A及び同Bとも実質
的に非混合性であり、かつ反応も生じないことを意味す
る。
【0022】第3液の具体例としては、第1溶液、第2
溶液がそれぞれピペラジン水溶液、トリメシン酸クロラ
イドのn−ヘキサン溶液からなる場合はフッ素系不活性
液体、特にパーフルオロ化合物やパーフルオロアルキル
基を有する化合物が挙げられる。これらは、アミン、エ
ーテル、不飽和化合物、芳香族化合物、脂肪族化合物で
あっても前記特性を満足するものであればよく、好まし
い例としては、例えば下記のパーフルオロアルキル3級
アミンが挙げられる。
【0023】
【化1】 (式中Ra 、Rb およびRc はそれぞれ炭素数4〜6の
パーフルオロアルキル基を示し、炭素数の総和は14〜
16である。)
【0024】より具体的には住友スリーエム株式会社製
フロリナートFC−70が挙げられる。このフッ素系不
活性液体FC−70はCn2n+3N、n=15からなる構
造を主成分とするものである。このフッ素系不活性液体
FC−70と第1溶液の溶媒である水と第2溶液の溶媒
であるn−ヘキサンとの3成分間の溶解性を示すとn−
ヘキサンに対する水の溶解量は0.014重量%(1
5.5℃、溶剤ハンドブック(講談社))、このフッ素
系不活性液体FC−70に対する水の溶解量は0.00
08重量%(25℃、フロリナートカタログ)、このフ
ッ素系不活性液体FC−70に対するn−ヘキサンの溶
解量は1重量%以上、5重量%未満(25℃、フロリナ
ートカタログ、発明者らの実測では約3%(23℃))
である。また、ピペラジン、トリメシン酸クロライドと
もにこのフッ素系不活性液体FC−70にはほとんど溶
解性を示さない。この他、同じく住友スリーエム株式会
社製フロリナートFC−71を好適に用いることができ
る。また、この他に、第2溶液の溶媒としてシクロヘキ
サンを用いた場合、住友スリーエム株式会社製フロリナ
ートFC−70、FC−71の他にFC−84、FC−
77、FC−75、FC−40、FC−43等を用いる
ことができる。
【0025】これら、第1溶液、第2溶液、第3液の各
温度は特に限定されないが、室温で十分迅速に界面反応
が生じる多官能性化合物の組み合わせであれば、操作上
室温程度すなわち5〜35℃の範囲が用いられる。温度
が高すぎると、多官能性化合物の劣化が促進されたり、
溶媒の蒸発が促進される問題が有り、逆に低すぎると、
多孔質中空糸膜への第1溶液の含浸が不足したり、界面
反応速度が小さくなりすぎて重合体薄膜が完全に形成さ
れなかったり、溶媒の粘度が大きくなりすぎて製膜過程
に障害を与える。
【0026】本発明において多孔質中空糸膜に各溶液を
接触させるとは多孔質中空糸膜を各液中に浸漬、通過さ
せることである。また第1溶液や第2溶液の界面を通過
させる際は均一な薄膜を形成するために各液界面とでき
るだけ垂直に通過させることが好ましい。
【0027】第1溶液に浸漬した後、多孔質中空糸膜表
面の過剰溶液の残存は薄膜の剥離を起こす原因となるの
で過剰溶液は除去することが好ましい。除去方法の一例
としては、多孔質中空糸膜を空中走行させ自然落下・自
然乾燥させる方法、第3液を用いてかき取る方法、その
他空気や不活性ガスの吹き付け、乾燥器による乾燥など
が挙げられる。また、第3液通過後、中和及び反応停止
のために酸捕捉剤の水溶液に浸漬しても良い。酸捕捉剤
の例としては、リン酸三ナトリウムのようなリン酸ソー
ダ、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0028】以下、本発明の製法Iについて、多孔質中
空糸膜を各溶液、液に接触させる部分をモデル的に示
す。多孔質中空糸膜外表面に第2溶液、第3液を接触さ
せる際、比重の大小関係が、第2溶液<第3液の場合の
例を図1に示す。第3液3を溶液槽5に投入し、仕切6
を越えないように第2溶液2を上から投入する。多孔質
中空糸膜4は第1溶液浸漬後、第2溶液2の上部よりほ
ぼ垂直に入り、ここで界面重合反応が生じ重合体薄膜が
多孔質中空糸膜4上で形成される。その後、第2溶液2
と第3液3の界面S1を通り、第3液3中を通過する。
この第3液3とは界面重合反応は生じないが、第3液と
接触直後で多孔質中空糸膜表面上に残留する多官能性化
合物Aと多官能性化合物Bの反応が続いている場合は、
第3液の一部は膜中に取り込まれる。多孔質中空糸膜4
はこの第3液3中でローラー7’、7を通過し、第3液
3上部よりほぼ垂直方向に出て、速やかに乾燥工程等の
後工程に送られる。本法では第3液を用いることによっ
て、多孔質中空糸膜が第2溶液と接触する際にローラー
7’、7等と接触することなく、各液界面と容易にほぼ
垂直に通過させることができる。
【0029】第2溶液に揮発性の有機溶媒を用いる場合
は上部の大気開放部の表面積をできるだけ小さくするこ
とが好ましい。これは溶媒の蒸発をできるだけ防止し、
多官能性化合物Bの濃度変化を少なくし、安定した複合
中空糸膜を製造すると同時にクリーンな作業環境維持を
可能とするためである。大気開放部の表面積を小さくす
るためには細い筒状物を用い、その中へ多孔質中空糸膜
を通す方法を用いても良い。
【0030】当然のことであるが図1ではモデル的に多
孔質中空糸膜1本の場合について述べているが同時に2
本以上の多孔質中空糸膜の処理が容易に可能であり必要
に応じて溶液槽5の幅を設定することになる。
【0031】また、前述したように多孔質中空糸膜を必
要に応じて、乾燥、親水化処理、目詰め剤の含浸等の前
処理を行っても良い。また、残留未反応多官能性化合物
間の界面反応の終結、残留溶剤の除去、重合体薄膜の多
孔質中空糸膜4表面への固着等のために必要に応じて多
孔質中空糸膜4は乾燥、または熱処理装置へ移る。乾
燥、または熱処理条件は多孔質中空糸膜素材、製膜する
重合体薄膜素材、各液の種類により異なるが、例えば多
孔質中空糸膜の素材がポリスルホン、重合体薄膜がポリ
アミド、第1溶液1が多官能アミン水溶液、第2溶液2
が多官能酸クロライドのn−ヘキサン溶液の場合は20
℃〜100℃で10秒〜20分が好ましい。さらに必要
に応じて形成した重合体薄膜の表面に保護剤の層を塗布
等により形成させる工程を設けても良い。また、残留未
反応性化合物の除去や反応副生物の除去、中和ための洗
浄や処理を必要に応じて行う。さらに、製膜後の複合中
空糸膜を必要に応じて乾燥処理しても良く、保存方法も
乾燥保存、湿潤保存のどちらでも本発明は制限されな
い。
【0032】本発明に基づいて複合中空糸膜を製造する
場合に、各液の性質に応じて各液の濃度、温度、多孔質
中空糸膜の走行速度、各液の層の高さ、多孔質中空糸膜
の走行距離すなわち滞留時間を最適に設定することによ
り、目的に適合した複合中空糸膜を得ることができる。
多孔質中空糸膜の走行速度については0.5m/分〜2
0m/分が可能であり、この速度で複合中空糸膜を製造
することが可能である。また、当然のことであるが長期
連続操作する場合は界面反応の進行とともに多官能性化
合物等が消費され溶液濃度が変化するため、必要に応じ
て各溶液槽の溶液を連続的に更新し濃度を調整する手段
を設けても良い。
【0033】図2は複合膜化工程の概略フローを示して
いる。以下、工程の概要を説明する。多孔質中空糸膜供
給槽11から湿潤状態の多孔質中空糸膜4を駆動ローラ
ー19’、19により取り出し、さらに駆動ローラー
9’、9を経由して第1溶液槽10へ導入、浸漬させ
る。続いて第1溶液1が付着、含浸した多孔質中空糸膜
4は駆動ローラー8’、8を経由して第1溶液槽10か
らほぼ垂直に引き出される。その後の空中走行の部分で
過剰の第1溶液が除去される。この空中走行距離を調節
することにより多孔質中空糸膜4へ第1溶液への第1溶
液の付着量を調節することが可能である。続いて多孔質
中空糸膜4を第2溶液2中にほぼ垂直に導入し、多孔質
中空糸膜4外表面上で界面重合反応を生じさせる。第2
溶液2と第3液3の液々界面S1を貫通させ、第3液3
中に浸漬させ、駆動ローラー7’、7を経由して、第3
液3からほぼ垂直に引き出される。第2溶液との接触の
際に多孔質中空糸膜4を駆動ローラー等に接触させるこ
となく、第3液3を介して乾燥筒12へ導入し薄膜を多
孔質中空糸膜4へ固着させた後、駆動ローラー13’、
13を経由し水洗槽14へ導かれ、水洗水15中を駆動
ローラー16’、16を経由して通過させた後、駆動ロ
ーラー17’、17を経由して複合中空糸膜受入槽18
に導かれる。
【0034】図3は第3液通過後、界面重合反応生成物
の中和及び未反応基の末端処理のための酸捕捉剤水溶液
の浸漬を行った例である。第1溶液の溶媒が水で、第3
液が第1溶液及び第2溶液のどちらにも実質的に非混合
性で界面を形成する場合、第3液は酸捕捉剤水溶液とも
界面を形成する。液の比重の大小が第2溶液<第3液か
つ酸捕捉剤水溶液<第3液の場合、第3液3を溶液槽5
に投入し、仕切り6を越えないように第2溶液2及び酸
捕捉剤水溶液20をそれぞれ上から投入する。多孔質中
空糸膜4は第1溶液浸漬後、第2溶液2の上部よりほぼ
垂直に入り、ここで界面重合反応が生じ重合体薄膜が多
孔質中空糸膜4上で形成される。その後、第2溶液2と
第3液3の界面S1を通り、第3液3中でローラー
7’、7を通過する。その後、第3液3と酸捕捉剤水溶
液20の界面S2を通り、酸捕捉剤水溶液20中で中和
等を行った後、酸捕捉剤水溶液20上部より出て、速や
かに乾燥工程等の後工程に送られる。本法ではこのよう
な第3液を用いることによって、複合中空糸膜の一連の
製造工程を非常に容易かつ確実に行うことができる。
【0035】図4は第1溶液浸漬後の多孔質中空糸膜表
面の過剰な第1溶液を除去するために、第1溶液浸漬後
に第3液による第1溶液の除去を行った例である。以
下、工程の概要を説明する。図2の場合と同様に多孔質
中空糸供給槽11から湿潤状態の多孔質中空糸膜4を駆
動ローラー19’、19により取り出し、さらに駆動ロ
ーラー9’、9を経由して第1溶液槽10へ導入、浸漬
させる。続いて第1溶液1が付着、含浸した多孔質中空
糸膜4は、駆動ローラー8’、8を経由して第1溶液槽
10からほぼ垂直に引き出される。その後の第3液槽2
1通過部分で過剰の第1溶液が除去される。第3液3が
第1溶液1と非混合性である場合、第3液槽21走行深
さを調節することにより、第1溶液をその濃度を変える
こと無く多孔質中空糸膜4への表面付着量を調節するこ
とが可能である。多孔質中空糸膜4外表面から除去され
た過剰の第1溶液は第3液槽21内の第3液上部より容
易に排出することが可能である。続いて多孔質中空糸膜
4を第2溶液2中にほぼ垂直に導入させて多孔質中空糸
膜4外表面上で界面重合反応を生じさせる。第2溶液2
と第3液の液々界面S1を貫通させ、駆動ローラー
7’、7を経由して第3液からほぼ垂直に引き出され
る。第2溶液との接触の際に多孔質中空糸膜4を駆動ロ
ーラー等に接触させることなく第3液3を介して乾燥筒
12へ導入し、薄膜を多孔質中空糸膜4へ固着させた
後、駆動ローラー13’、13を経由し水洗槽14へ導
かれ、水洗水15中を駆動ローラー16’、16を経由
して通過させた後、駆動ローラー17’、17を経由し
て複合中空糸膜受入空槽18に導かれる。
【0036】以下、本発明に使われる製法IIについて、
製法Iとの差異を中心に説明する。まず、多孔質中空糸
膜を各溶液、液に接触させる部分をモデル的に示す。多
孔質中空糸膜外表面に第2溶液、第3液を接触させる場
合、各溶液の比重の大小により接触方法が異なる。比重
の大小関係が、第2溶液<第1溶液<第3液の場合の例
を図5に示す。第3液3を溶液槽に投入し、仕切6を越
えないように第1溶液、第2溶液2をそれぞれ上から投
入し、第1溶液1と第2溶液2を互いの液々界面が形成
しないように設置する。多孔質中空糸膜4は第1溶液1
中を浸漬、通過する。この際、多孔質中空糸膜4に第1
溶液1が付着、含浸する。その後、第1溶液1と第3液
3の界面S3を通過し、この際、第1溶液1の過剰付着
量の一部はかき取られ、第3液3中を通過する。この第
3液3は第1溶液1、第2溶液2ともに実質的に非混合
という特徴を有するため、この第3液中では実質的に界
面重合反応は生じない。さらに、第3液3と第2溶液2
との界面S1を通過し、第2液2中を浸漬、通過し、こ
こで界面重合反応が生じ重合体薄膜が多孔質中空糸膜上
で形成される。この際、微量の第3液が多孔質中空糸膜
表面上に存在するため多官能性化合物Aと多官能性化合
物Bの反応時に、第3液の一部は膜中に取り込まれる。
多孔質中空糸膜4はこの第3液3中でローラー7’、7
を通過し、第3液3上部よりほぼ垂直方向に出て、速や
かに乾燥工程等の後工程に送られる。本法では第3液を
用いることによって、多孔質中空糸膜が第2溶液と接触
する際にローラー7’、7等と接触することなく、各液
界面と容易にほぼ垂直に通過させることができる。
【0037】図6は多孔質中空糸膜への第1溶液の付
着、含浸を強化させ、かつ、多孔質中空糸膜を空中走行
させることにより過剰の第1溶液の除去も強化した場合
の例を示している。以下この工程の概略を説明する。多
孔質中空糸膜4を第1溶液槽11に浸漬させ、駆動ロー
ラー8’、8を経由して空中走行させる。この空中走行
の部分で過剰の第1溶液が除去される。続いて、多孔質
中空糸膜を第3液3中に浸漬させ、駆動ローラー7’、
7を経由して、第3液3と第2溶液2の液々界面S1を
貫通させて第2溶液2中に導入させて、多孔質中空糸膜
外表面上で界面重合反応を生じさせる。重合体薄膜が外
表面に形成された多孔質中空糸膜4は駆動ローラー等に
接触させることなく乾燥筒12へ導入し、それ以降は製
法Iの第2図の場合と同様である。この空走距離を調節
することにより多孔質中空糸膜へ第1溶液の付着量を調
節すること可能である。
【0038】各溶液、液の比重の大小関係が第2溶液<
第3液<第1溶液の場合において中空糸膜を各溶液、液
に接触する部分をモデル的に示したものが図7である。
多孔質中空糸膜4は第1溶液1中を浸漬、通過し、続い
て駆動ローラー7’、7を経て第1溶液1と第3液3と
の液々界面S3を貫通し、第3液3中を通過する。続い
て、中空糸膜4は第3液3と第2溶液3の液々界面S1
を貫通し、第2溶液2中をに浸漬、通過し多孔質中空糸
膜外表面上で界面重合反応が生じ、重合体薄膜が形成さ
れる。この際、微量の第3液が多孔質中空糸膜表面上に
存在するため多官能性化合物Aと多官能性化合物Bの反
応時に、第3液の一部は膜中に取り込まれる。続いて、
駆動ローラー等に接触することなく乾燥処理工程等へ移
行できる。この図の場合、第3液3中においても多孔質
中空糸膜は駆動ローラーと接触することがないため、多
孔質中空糸膜の外表面上の第1溶液の付着状態を駆動ロ
ーラー等で乱すことなく第2溶液2中での界面重合反応
を生じさせることが可能である。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものでは
ない。
【0040】実施例1 まず、多孔質中空糸膜について説明する。ポリスルホン
(Amoco 社製 Udel P-3500)29重量%、ポリエチレン
グリコール(平均分子量600)14.5重量%、ラウ
リルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%、およ
びジメチルアセトアミド(DMAc)56重量%からな
る紡糸原液を、100℃で12時間溶解撹拌し、紡糸原
液が均一に溶解したことを確認後、−50cmHg、1
00℃で1時間脱泡を行い、次いで紡糸原液を50℃に
冷却した後、紡糸原液吐出部外直径0.66mm、内直
径0.5mm、芯ガス吐出部直径0.2mmを有する二
重管構造の中空糸製造用ノズルから紡糸原液、芯ガス
(窒素ガス)をそれぞれ0.75cm3 /分、0.30
cm3 /分で吐出させ、15m/分の紡糸速度で乾湿式
紡糸を行い連続した多孔質中空糸膜を得た。エアーギャ
ップの長さは0.5cmであり、凝固液として25℃の
DMAc5重量%水溶液を用いた。凝固後水洗いし、更
に90℃の熱水で1時間熱水処理を施し、複合膜化に使
用されるまで純水に浸漬保存した。得られた多孔質中空
糸膜の外径は0.3mmで内径は0.2mmであった。
また、この多孔質中空糸膜の断面構造は内外表面に緻密
層を有しそれ以外は全体一様に網状組織であった。
【0041】この多孔質中空糸膜を20本束ねてループ
にし片端をホルダーにいれてエポキシ樹脂で固め、多孔
質中空糸膜を開口させ多孔質中空糸膜束有効長35cm
(外径基準膜面積132cm2 )のミニモジュールを得
た。この多孔質中空糸膜の単位膜面積、単位圧力あたり
の純水透過量は、1.0m3 /(m2・日・(kg/cm2))で平
均分子量18.5万のデキストランの除去率は95%で
あった。なお、多孔質中空糸膜性能は次のようにして求
めた。
【0042】上記多孔質中空糸膜ミニモジュ−ルに操作
圧力5kg/cm2、温度25℃にてRO水(東洋紡績(株)
製HOLLOSEP使用)を透過させ、60分後、透水
量を測定し、操作圧力5kg/cm2における純水透過量とし
た。また、多孔質中空糸膜のデキストラン除去率は濃度
が300g/m3 のデキストランの水溶液を操作圧力5
kg/cm2、温度25℃にて供給し60分後に測定し、デキ
ストラン除去率を求めた。なおデキストラン除去率は次
式で定義した。 〔1−(膜透過液中のデキストランの濃度/供給原液中
のデキストランの濃度)〕×100(%)
【0043】次に、複合膜化の例を図2の工程に従って
説明する。多孔質中空糸膜4の走行速度は7m/分とし
た。ピペラジン2重量%、トリエチレンジアミン0.5
重量%、ラウリルスルホン酸ナトリウム0.1重量%を
純水に溶解したアミン水溶液1を作製し、この溶液に前
記の純水に浸漬した連続した多孔質中空糸膜4を3m浸
漬、通過させた。続いてこの多孔質中空糸膜4を75c
m空中走行させた後、トリメシン酸クロライド(以下T
MCと略す)1重量%をn−ヘキサンに溶解したTMC
/n−ヘキサン溶液2中をほぼ垂直に10cm通過させ
界面反応を生じさせた。第3液としてのフッ素系不活性
液体3(住友スリ−エム株式会社製フロリナ−トFC−
70)とTMC/n−ヘキサン溶液2との液々界面S1
を貫通させた後、フッ素系不活性液体3中を20cm通
過させた。この際、フッ素系不活性液体3とTMC/n
−ヘキサン溶液2との液々界面S1には重合膜は全く形
成されておらず、多孔質中空糸膜4の外表面でのみ界面
重合反応が生じているものと推察された。これらの工程
は室温(約25℃)で行われた。
【0044】続いて多孔質中空糸膜4を50℃の乾燥塔
12内に1.5m通過させ、水洗槽14の水洗水15
(25℃の純水)中に3m浸漬、通過させた後、複合中
空糸膜を得た。得られた湿潤状態の複合中空糸膜を20
本束ねてループにし片端をホルダーに入れてエポキシ樹
脂で固め、中空糸を開口させ複合中空糸膜束有効長35
cm(膜面積132cm2 )のミニモジュールを得た。
この複合中空糸膜の性能を表1に示す。同じように特公
平1−38522号公報の実施例7にはピペラジンとト
リメシン酸クロライドとの界面重合により得られた複合
平膜の性能として塩(NaCl)除去率50%が示され
ている。評価圧力が13.6気圧と評価条件が異なる
が、本発明の実施例1の塩(NaCl)除去率はこれと
同等以上と見なせることより、本発明により多孔質中空
糸膜の外表面に界面重合による重合体薄膜が均一に形成
された複合中空糸膜が得られていると推察された。
【0045】なお、複合中空糸膜性能は次のようにして
求めた。上記複合中空糸膜ミニモジュ−ルに温度25℃
にてNaClの500g/m3 水溶液を複合中空糸膜の
外側に操作圧力5kg/cm2で供給して脱塩を行い、60分
後に測定を開始し透過水の単位膜面積あたりの透水量、
塩濃度を測定した。この場合の回収率すなわち供給水量
に対する透過水量の割合は5%以下と十分に小さいもの
であった。CaCl2の場合も同様にして求めた。な
お、塩除去率は次式で定義した。 〔1−(膜透過液中の塩の濃度/供給原液中の塩の濃
度)〕×100(%)
【0046】また、得られた複合中空糸膜を常温で3昼
夜真空乾燥した後、試料0.1gにエチレングリコール
0.3mlを助燃剤として添加し、アルカリ吸収液20
mlが入った高圧酸素ボンブで燃焼し、液中のFイオン
をイオンクロマトグラフィーで定量した。その結果、乾
燥した複合中空糸膜の重量あたり215ppmのFが検
出され、複合中空糸膜にフッ素系化合物(フロリナ−ト
FC−70)の含有が確認された。
【0047】実施例2 複合膜化の例を図3の工程に従って行い、第3液通過後
の酸捕捉剤水溶液として1重量%炭酸ナトリウム水溶液
を用いた以外は実施例1と同様にして複合中空糸膜を作
製し、性能評価を実施した。その性能を表1に示す。な
お、この複合中空糸膜中には200ppmのFが検出さ
れた。
【0048】実施例3 複合膜化の例を図4の工程に従って行い、アミン水溶液
浸漬後の多孔質中空糸膜表面の過剰アミン水溶液を第3
液により除去を行った以外は実施例1と同様にして複合
中空糸膜を作製し、性能評価を実施した。なお、第3液
としてフッ素系不活性液体(住友スリーエム株式会社製
フロリナートFC−70)を用い、20cm通過させ
た。その性能を表1に示す。なお、この複合中空糸膜中
には331ppmのFが検出された。
【0049】実施例4 複合膜化の例を図2の工程に従って行い、アミン水溶液
浸漬後の多孔質中空糸膜表面の過剰アミン水溶液を乾燥
筒により除去を行った以外は実施例1と同様にして複合
中空糸膜を作製し、性能評価を実施した。なお、乾燥条
件としては温度40℃の乾燥筒を2m通過させた。その
性能を表1に示す。なお、この複合中空糸膜中には17
0ppmのFが検出された。
【0050】実施例5 紡糸原液のポリスルホン濃度、ポリエチレングリコー
ル、DMAcの濃度がそれぞれ29重量%、23.2重
量%、47.3重量%であり、紡糸原液吐出流量、芯ガ
ス流量、紡糸速度、エアーギャップの長さ、凝固液のD
MAc濃度がそれぞれ、0.54cm3 /分、0.86
cm3 /分、30m/分、1cm、30重量%である以
外は実施例1と同様の製法で、連続した多孔質中空糸膜
を得た。この多孔質中空糸膜を実施例1と同様にして評
価した結果、純水透過量は0.77m3 /(m2・日・(kg/c
m2))、デキストランの除去率は88.8%であった。
【0051】複合膜化の例を図6の工程に従って行っ
た。多孔質中空糸膜4の走行速度は1m/分である。実
施例1と同様にして多孔質中空糸膜4をアミン水に含浸
させた。続いてこの多孔質中空糸膜4を40cm空中走
行させた後、第3液としてのフッ素系不活性液体3(住
友スリーエム株式会社製フロリナートFC−70)中を
20cm通過させ、TMC1重量%をn−ヘキサンに溶
解したTMC/n−ヘキサン溶液2とこのフッ素系不活
性液体3との液々界面S1を貫通させた後このTMC/
n−ヘキサン溶液2中を10cm通過させ界面反応を生
じさせた。この際、フッ素系不活性液体3とTMC/n
−ヘキサン溶液2との液々界面S1には重合膜は全く形
成されておらず、多孔質中空糸膜4の外表面でのみ界面
重合反応が生じているものと推察された。これらの工程
は室温(約20℃)で行われた。続いて多孔質中空糸膜
4を50℃の乾燥塔12内に3m通過させ、以下、実施
例1と同様の処理、性能評価を行って得られた性能を表
1に示す。なお、この複合中空糸膜中には375ppm
のFが検出された。
【0052】比較例1 実施例1に従って多孔質中空糸膜を作製し、第3液を用
いない図8に示すフロ−の工程で複合中空糸膜を作製し
た。実施例1と異なる部分を説明する。多孔質中空糸膜
4をアミン水溶液1に3m浸漬、通過させ、続いてこの
多孔質中空糸膜4を75cm空中走行させた後、TMC
/n−ヘキサン溶液2中を10cm通過させ界面重合反
応を生じさせた後、50℃の乾燥筒12を通過させ、そ
れ以降は実施例1と同様に処理し、実施例1と同様に性
能評価を実施した。その性能を表1に示す。実施例1に
比較して分離性能、すなわち塩除去率は低い結果であっ
た。なお、この複合中空糸膜中にはFは検出されなかっ
た。この方法において、TMC/n−ヘキサン溶液2中
では、多孔質中空糸膜外表面上で界面重合膜が形成され
ると共に、駆動ローラー7’、7と多孔質中空糸外表面
4とが接触するため、形成された重合体薄膜は剥離する
など損傷を受けているためと推察された。
【0053】比較例2 実施例5に従って多孔質中空膜を作製し、第3液を用い
ない図8に示すフロ−の工程で複合中空糸膜を作製し
た。実施例5と異なる部分を説明する。多孔質中空糸膜
4をアミン水溶液1に3m浸漬、通過させ、続いてこの
多孔質中空糸膜4を40cm空中走行させた後、TMC
/n−ヘキサン溶液2中を10cm通過させ界面重合反
応を生じさせた後、50℃の乾燥筒12を通過させ、そ
れ以降は実施例5と同様に処理し、性能評価を実施し
た。その性能を表1に示す。実施例5に比較して分離性
能、すなわち塩除去率は低い結果であった。なお、この
複合中空糸膜中にはFは検出されなかった。この方法に
おいて、TMC/n−ヘキサン溶液2中では、多孔質中
空糸膜外表面上で界面重合膜が形成されると共に、駆動
ローラー7’、7と多孔質中空糸外表面4とが接触する
ため、形成された重合体薄膜は剥離するなど損傷を受け
ているためと推察された。
【0054】比較例3 実施例5に従って多孔質中空糸膜を作製し、第3液を用
いない図9に示すフロ−の工程で複合中空糸膜を作製し
た。実施例5と異なる部分を説明する。多孔質中空糸膜
4をアミン水溶液1に3m浸漬、通過させ、続いてこの
多孔質中空糸膜4を40cm空中走行させた後、再度ア
ミン水溶液1中を20cm浸漬、通過させ、アミン水溶
液1とTMC/n−ヘキサン溶液2の液々界面S4を貫
通させた。この液々界面S4では界面重合反応によると
推察される重合体薄膜が形成されていた。続いて、TM
C/n−ヘキサン溶液2中を10cm通過させて、50
℃の乾燥筒12を通過させ、それ以降は実施例5と同様
に処理し、性能評価を実施した。その性能を表1に示
す。実施例5に比べ分離性能すなわち塩除去率は低い結
果であった。なお、この複合中空糸膜中にはFは検出さ
れなかった。この方法においては、第3液を用いていな
いため、アミン水溶液とTMC/n−ヘキサン溶液の液
々界面S4に界面重合による重合体薄膜が形成し、複合
膜化操作時間の経過とともにその厚みが増加し、多孔質
中空糸膜外表面への重合体薄膜の形成を阻害するため、
分離性能、すなわち塩除去率は低いものと推察される。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明の複合中空糸膜は、多孔質中空糸
膜の外表面に界面重合法によりポリアミド系重合体薄膜
を連続的に安定に形成したものであり、透過性能、分離
性能に優れた複合中空糸膜である。従って、本発明の複
合中空糸膜は、逆浸透膜としては、かん水、海水等の脱
塩による淡水化や半導体の製造に用いられる超純水の製
造、ナノ濾過膜としては、小型純水製造機器、浄水器用
途、高度浄水器用途、有価物の回収用途、排水処理用途
などの様々な分野で用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製法Iにおいて、比重の大小関係が第2溶液<
第3液の場合の多孔質中空糸膜への各液の接触方法の一
例のモデル図を示す。
【図2】製法Iにおいて、第2溶液と第3液とが液々界
面を形成している場合の複合膜化工程の一例の概略フロ
−を示す。
【図3】製法Iにおいて、第3液通過後、酸捕捉剤水溶
液の浸漬を行った場合の多孔質中空糸膜への各液の接触
方法の一例のモデル図を示す。
【図4】製法Iにおいて、第1溶液浸漬後の多孔質中空
糸膜表面の過剰な第1溶液を第3液により除去を行った
場合の複合膜化工程の一例の概略フロ−を示す。
【図5】製法IIにおいて、比重の大小関係が第2溶液<
第1溶液<第3液の場合の多孔質中空糸膜への各液の接
触方法の一例のモデル図を示す。
【図6】製法IIにおいて、第2溶液と第3液とが液々界
面を形成している場合の複合膜化工程の一例の概略フロ
−を示す。
【図7】製法IIにおいて、比重の大小関係が第2溶液<
第3液<第1溶液の場合の多孔質中空糸膜への各液の接
触方法の一例のモデル図を示す。
【図8】比較例1および2での複合膜化工程の概略フロ
−を示す。
【図9】比較例3での複合膜化工程の概略フロ−を示
す。
【符号の説明】
1:第1溶液(アミン水溶液) 2:第2溶液(TMC/n−ヘキサン溶液) 3:第3液 (フッ素系不活性液体) 4:多孔質中空糸膜 5:溶液槽 6:仕切 7、7’:駆動ローラー 8、8’9、9’:駆動ローラー 10:第1溶液槽 11:多孔質中空糸膜供給槽 12:乾燥筒 13、13’:駆動ローラー 14:水洗槽 15:水洗水 16、16’:駆動ローラー 17、17’:駆動ローラー 18:複合中空糸膜受入槽 19、19’:駆動ローラー 20:酸捕捉剤水溶液 21:第3液槽 22:駆動ロ−ラ− S1:第2溶液と第3液の界面 S2:酸捕捉剤水溶液と第3液の界面 S3:第1溶液と第3液の界面 S4:第1溶液と第2溶液の界面 ( )内は実施例および比較例における説明
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 71/56 B01D 69/08 B01D 71/06 B01D 71/68

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質中空糸膜と該多孔質中空糸膜の外
    表面を被覆するポリアミド系重合体薄膜からなる複合中
    空糸膜において、該複合中空糸膜がフッ素化合物を含有
    していることを特徴とする複合中空糸膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の複合中空糸膜であっ
    て、フッ素化合物がパーフルオロ化合物および/または
    パーフルオロアルキル基を有する化合物であることを特
    徴とする複合中空糸膜。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の複合中空糸膜
    であって、フッ素化合物の含有量が複合中空糸膜の重量
    あたりのフッ素量として1〜1000ppmであること
    を特徴とする複合中空糸膜。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の複合中
    空糸膜であって、該ポリアミド系重合体が架橋ポリアミ
    ド系重合体であることを特徴とする複合中空糸膜。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の複合中
    空糸膜であって、該多孔質中空糸膜の素材がポリスルホ
    ン系重合体からなることを特徴とする複合中空糸膜。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の複合中
    空糸膜であって、操作圧力5kg/cm2、温度25℃、pH
    6における透水量が0.5m3 /m2 ・日以上であり、
    かつ0.05重量%の食塩水の食塩除去率が50%以上
    の性能を有することを特徴とする複合中空糸膜。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の複合中
    空糸膜の製造方法であって、2つ以上の反応性のアミノ
    基を有し少なくとも1種類からなる多官能性化合物Aを
    含む第1溶液と、少なくとも1種類の多官能性酸ハロゲ
    ン化物からなる多官能性化合物Bを含み該第1溶液と実
    質的に非混合性の第2溶液に順次、該多孔質中空糸膜を
    接触させ、該多孔質中空糸膜の外表面に該多官能性化合
    物A,Bを相互に界面重合させて薄膜を形成し連続した
    複合中空糸膜を製造するにあたり、該多孔質中空糸膜
    を、該第1溶液から続いて該第2溶液に接触させた後
    に、該第2溶液と実質的に非混合性であって、フッ素化
    合物を含む第3液に少なくとも1カ所接触させることを
    特徴とする複合中空糸膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の複合中
    空糸膜の製造方法であって、2つ以上の反応性のアミノ
    基を有し少なくとも1種類からなる多官能性化合物Aを
    含む第1溶液と、少なくとも1種類の多官能性酸ハロゲ
    ン化物からなる多官能性化合物Bを含み該第1溶液と実
    質的に非混合性の第2溶液に順次、該多孔質中空糸膜を
    接触させ、該多孔質中空糸膜の外表面に該多官能性化合
    物A,Bを相互に界面重合させて薄膜を形成し連続した
    複合中空糸膜を製造するにあたり、該多孔質中空糸膜
    を、該第1溶液から続いて該第2溶液に接触させる間
    に、該第1溶液と該第2溶液のどちらにも実質的に非混
    合性であって、フッ素化合物を含む第3液に少なくとも
    1カ所接触させることを特徴とする複合中空糸膜の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載の製造方法にお
    いて、該第2溶液と該第3液とが液々界面を形成してい
    ることを特徴とする複合中空糸膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の製造方法において、
    該第1溶液と該第3液とが液々界面を形成していること
    を特徴とする複合中空糸膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項7に記載の製造方法において、
    該第3液が該第1溶液及び該第2溶液と実質的に非混合
    性であることを特徴とする複合中空糸膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項7または8に記載の製造方法に
    おいて、該第1溶液を接触させた後該多孔質中空糸膜表
    面上の過剰な該第1溶液を除去する手段を設けたことを
    特徴とする複合中空糸膜の製造方法。
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