JPH0866625A - 複合中空糸膜の製造法 - Google Patents

複合中空糸膜の製造法

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JPH0866625A
JPH0866625A JP20383094A JP20383094A JPH0866625A JP H0866625 A JPH0866625 A JP H0866625A JP 20383094 A JP20383094 A JP 20383094A JP 20383094 A JP20383094 A JP 20383094A JP H0866625 A JPH0866625 A JP H0866625A
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JP
Japan
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hollow fiber
fiber membrane
solution
porous hollow
liquid
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JP20383094A
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Koji Oguro
宏司 大黒
Atsuo Kumano
淳夫 熊野
Takashi Hayashi
貴史 林
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多孔質中空糸膜の表面に界面重合法により重
合体薄膜からなる分離活性層を形成し、透過性能、分離
性能に優れた複合中空糸膜を安定に効率良く製造できる
製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 多官能性化合物を含む相互に非混合性の第1
溶液および第2溶液を界面重合反応させて多孔質中空糸
膜の外表面にいわゆる界面重合膜を形成させる方法にお
いて、該多孔質中空糸膜を、該第1溶液から続いて該第
2溶液に接触させた後に、該第2溶液と実質的に非混合
性の第3液に少なくとも1カ所接触させることを特徴と
する複合中空糸膜の製造法。 【効果】 本発明の方法によれば、多孔質中空糸膜の外
表面に界面重合法による重合体薄膜を安定に効率よく形
成でき、透過性能、分離性能に優れた複合中空糸膜の製
造が可能となる。かかる本発明による複合中空糸膜は、
例えば、逆浸透膜としては、かん水、海水等の脱塩によ
る淡水化や半導体の製造に用いられる超純水の製造など
に好適に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液状混合物の成分を選
択透過分離するための連続した複合中空糸膜の製造方法
に関する。より詳しくは選択透過性を有する薄膜重合体
をいわゆる界面重合法により多孔質中空糸膜の外表面に
形成させることにより複合中空糸膜を製造する方法に関
するものである。これにより得られた複合中空糸膜によ
り海水の淡水化やカン水の脱塩、水溶液中の有価物の回
収、排水処理、水中の不純物の除去等が可能である。
【0002】
【従来の技術】相互に反応して重合体を形成し得る一方
の多官能性化合物Aを含む第1溶液と他方の多官能性化
合物Bを含み、該第1溶液と非混合性の第2溶液に順
次、多孔質支持膜を接触させ、該多孔質支持膜上で該多
官能性化合物を相互に界面重合反応させて薄膜を形成す
る、いわゆる、界面重合法による複合膜化技術は平膜で
は、逆浸透膜を例にあげると、米国特許第3,744,642 号
明細書、同第4,039,440 号明細書、同第4,259,183 号明
細書、同第4,277,344 号明細書、特開昭55−1471
06号公報、特開昭49−133282号公報、特公平
1−38522号公報などが知られている。これらの方
法は中空糸膜へそのまま適用しようとすると、界面重合
薄膜が多孔質中空糸膜の外表面に形成中に、ローラー等
の多孔質中空糸膜の移送手段への接触が避けられず、形
成された薄膜が剥離、または損傷する。そのため、連続
した多孔質中空糸膜の外表面へ適用できない。
【0003】167215にはピペラジン水溶液浴と酸
クロライドのシクロヘキサン溶液浴を連続して多孔質中
空糸膜を浸漬、通過させる製法が示されている。さらに
特開平2−2842号公報には多孔質中空糸膜の表面に
架橋ポリアミドを形成した複合中空糸膜の例が示されて
おり、その製造方法として、多孔質中空糸膜の外表面に
薄膜を形成させる場合は多孔質中空糸膜を多官能アミン
溶液に含浸し、風乾後、多官能酸クロライド溶液中に浸
漬するという製法が示されている。また、特開平6−1
14246号公報は前記第2溶液に浸漬するための槽と
して、多孔質中空糸膜が出入りするための堰または孔を
設けた槽を用いる製法が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
界面重合法による複合中空糸膜の製造方法で前記第1溶
液と前記第2溶液を接触させ形成された界面を多孔質中
空糸膜を通過させて多孔質中空糸膜の外表面に重合体薄
膜形成する方法(米国特許第4,980,061 号明細書、特開
昭62−95105号公報、特開昭60−87807号
公報)では、多孔質中空糸膜の外表面に形成された薄膜
が形成中にローラー等の多孔質中空糸膜の移送手段に接
触することなく乾燥、熱処理工程へ移送し薄膜の多孔質
中空糸膜への固定化が可能である。しかしながら、前記
界面に平面状に形成された重合膜を曲面である多孔質中
空糸膜上に積層するため多孔質中空糸膜外表面に均一に
薄膜形成できず、界面で形成された重合体薄膜を多孔質
中空糸膜上に単に積層するだけの為、多孔質中空糸膜と
薄膜との密着性が低くなるなどの問題が有り、透過性
能、分離性能ともに高いものは得られにくい。また、前
記2溶液間界面で形成される重合体薄膜のうち多孔質中
空糸膜に随伴されないものは、経過時間とともに厚みを
増し、それが多孔質中空糸膜の外表面への重合体薄膜の
形成を阻害する場合があり、連続して均一な薄膜を多孔
質中空糸膜外表面に形成できにくい。
【0005】一方、前記PBレポート81−16721
5に示される2溶液浴を連続して多孔質中空糸膜を浸
漬、通過させる製法では、具体的な製法プロセスが図示
されていないが、データのバラツキが大きく、分離性能
も低いことから前述した平膜の場合のように薄膜が形成
中にローラー等により薄膜が損傷されているものと推察
される。同様に、前記特開平2−2842号公報に示さ
れる多官能アミン溶液、多官能酸クロライド溶液中に浸
漬するという製法では、具体的な製法プロセスが図示さ
れていないため製法自体が明確ではないが、単に間に風
乾工程を入れて浸漬工程を繰り返すだけであり、これも
平膜の場合の例と実質的に同一であり、連続した中空糸
膜に適用した場合は同様な問題が生じるものと推定され
る。本発明は、かかる欠点を解消しようとするものであ
り、透過性能、分離性能に優れた複合中空糸膜を容易に
製造する方法を提供することが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、多孔質中空糸膜を、第1溶液から
続いて第2溶液に垂直的に接触させた後に、第2溶液と
実質的に非混合性の第3液に接触させる方法を用いるこ
とにより、多孔質中空糸膜の外表面上でのみ界面重合を
行うことが可能でかつ、薄膜形成中にローラー等の多孔
質中空糸膜の移送手段に接触することなく、更に薄膜形
成後速やかにアルカリ浸漬、乾燥、熱処理工程へ移送し
薄膜の多孔質中空糸膜への固定化が可能であることを見
いだし、前記目的が達成されるに至った。これは、従来
の第1液、第2液界面上で界面重合した重合体薄膜を多
孔質中空糸膜上に積層する形式のものとは技術思想が全
く異なるものである。また本法は複合中空糸膜製造のた
めの種々の工程を容易かつ確実に経ることができ透過性
能、分離性能共に優れた複合中空糸膜の製造できるもの
であることを見いだし本発明に至った。
【0007】すなわち、本発明は下記の構成から成る。
多孔質中空糸膜の外表面に重合体薄膜からなる分離活性
層を形成させ複合膜化するに際し、相互に反応して該重
合体薄膜を形成し得る少なくとも1種からなる多官能性
化合物Aを含む第1溶液と少なくとも1種からなる多官
能性化合物Bを含み該第1溶液と実質的に非混合性の第
2溶液に順次、該多孔質中空糸膜を接触させ、該多孔質
中空糸膜上で該多官能性化合物A、Bを相互に界面重合
反応させて薄膜を形成し連続した複合中空糸膜を製造す
る方法において、該多孔質中空糸膜を、該第1溶液から
続いて該第2溶液に接触させた後に、該第2溶液と実質
的に非混合性の第3液に少なくとも1カ所接触させるこ
とを特徴とする複合中空糸膜の製造法。
【0008】以下本発明を逆浸透膜の場合を例に説明す
る。本発明において、多孔質中空糸膜は、分離対象物に
対して実質的に分離性能を示さず、上記重合体薄膜を支
えるための膜であり、従来公知の多孔質中空糸膜であれ
ばどのようなものでもよいが、その外表面に好ましくは
0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下の微
細孔を有し、外表面以外の裏面までの構造は流体の透過
抵抗を必要以上に大きくしないために、外表面の微細孔
より大きな細孔からなるものが好ましく、網状、指状ボ
イドまたはそれらの混合構造のいずれでもよい。その透
過性能は逆浸透膜用の場合を例に示すと、単位圧力、単
位面積あたりの透水量は海水淡水化に使用可能な高圧用
逆浸透膜の場合は0.01〜0.2m3/(m2・日・(kg/cm
2)) 、好ましくは0.02〜0.1m3/(m2・日・(kg/cm
2)) 、15kg/cm2以下で使用される低圧用逆浸透膜の場
合は0.2〜10m3/(m2・日・(kg/cm2)))、好ましくは
0.5〜5m3/(m2・日・(kg/cm2)) である。透水量が小
さすぎると得られた複合膜の透過性能も小さくなり、あ
まりにも大きくなりすぎると支持膜としての強度が小さ
くなり操作圧力によっては多孔質中空糸膜が破壊される
場合がある。
【0009】素材は、多孔質中空糸膜に成形できるもの
であればどのようなものでも使用できる。ただし、第1
溶液、第2溶液、第3液に接触した際、溶解、分解など
により膜構造が損傷されないことが必要である。たとえ
ば、第1溶液、第2溶液、第3液がそれぞれアミンと酸
捕捉剤の水溶液、酸クロライドのヘキサン溶液、フッ素
系不活性液体の場合、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリアミドから選ばれる少なくとも一種を主成
分とすることが好ましく、より好ましくはポリスルホ
ン、ポリエ−テルスルホンから選ばれる少なくとも一種
を主成分とするものである。
【0010】寸法は特に限定されないが、製膜時の操作
性、モジュールの膜面積、耐圧性を考慮すると外径が1
00(μm)〜2000(μm)、内径が30(μm)
〜1800(μm)の範囲のものが好ましく、外径が1
50(μm)〜500(μm)、内径が50(μm)〜
300(μm)がより好ましい。。さらに少なくとも複
合中空糸膜としての操作圧力以上の圧力に耐え得ること
が必要である。かかる多孔質中空糸膜は各種市販材料か
ら選択可能であるが、通常は公知の乾湿式製膜法または
溶融製膜法により、製造可能である。さらに必要に応じ
て、製膜後の多孔質中空糸膜をPBレポート76−24
8666に示されているように50〜60℃の湿熱処理
を施したり、特開昭58−199007号公報に開示さ
れているように50℃の湿熱処理を施したり、特開昭6
0−190204号公報に開示されているように90℃
以上の熱水処理をしたりしてもよい。また、必要に応じ
て該第1溶液が含浸し過ぎないように目詰め剤を事前に
含浸しておいても良い。
【0011】本発明において、重合体薄膜からなる分離
活性層は、界面重合法により得られる重合体薄膜からな
り、実質的に分離性能を有するものである。たとえば、
逆浸透膜の場合、多官能性アミンと多官能性酸ハロゲン
化物の界面重縮合反応により得られた架橋ポリアミド膜
やポリアミンと多官能性イソシアネートの界面重合反応
により得られたポリウレアなどがあげられる。厚みはピ
ンホールがなければ薄いほど好ましい。製膜安定性、透
過性能等を考慮すると0.5μm以下が好ましく、0.
2μm以下がより好ましい。この分離活性層の表面に必
要に応じて保護層が形成されていてもよい。
【0012】本発明の複合中空糸膜の製造法に用いられ
る多官能性化合物A及びBの種類、組み合わせ、使用さ
れる第1溶液、第2溶液を構成する溶媒の種類は、多官
能性化合物A及びBどうしが界面で直ちに重合反応を起
こすものであればよく、それ以外は特に限定されない。
【0013】重合体薄膜層がポリアミドの場合を例とし
て以下説明する。多官能性化合物Aの例としては芳香族
アミン、脂肪族アミンが挙げられ、このいずれであって
もよい。
【0014】芳香族アミンとしては一分子中に2個以上
のアミノ基を有する芳香族アミンであり、2官能以上の
アミンとしては例えば、m−フェニレンジアミン、p−
フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルアミ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’
−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジ
フェニルアミン、3,5−ジアミノ安息香酸塩、4,
4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミ
ノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニル
スルホン、1,3,5−トリアミノベンゼンなどが挙げ
られ、これらの混合物であってもよい。なかでもm−フ
ェニレンジアミンが最も好ましい。
【0015】脂肪族アミンとしてはジアミンであること
が好ましく、具体例としては、ピペラジンや2−メチル
ピペラジン、エチルピペラジン、2,5−ジメチルピペ
ラジン、のようなピペラジン誘導体、1,3−ビス(4
−ピペリジル)メタン、1,3−ビス(4−ピペリジ
ル)プロパン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、
エチレンジアミン、N,N’−ジメチルプロパンジアミ
ン、シクロヘキサンジアミンなどが挙げられ、これらの
混合物であってもよく、またこれらから構成されるアミ
ドプレポリマーであってもよい。
【0016】多官能性化合物Bの例としては多官能性ア
シルハライドが挙げられ、芳香族、脂肪族のいずれでも
よく、また、前記多官能性アミンと反応して重合体を形
成し得る2官能以上であればよい。芳香族または脂環族
の2又は官能酸ハロゲン化物が好ましく例えば、トリメ
シン酸ハライド、トリメリット酸ハライド、ピロメリッ
ト酸ハライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハライ
ド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライド、ジ
フェニルジカルボン酸ハライド、ナフタレンジカルボン
酸ハライド、ベンゼンスルホン酸ハライド、クロロスル
ホニルイソフタル酸ハライド、ピリジンジカルボン酸ハ
ライド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸ハ
ライド、などが挙げられる。逆浸透膜性能などを考慮す
るとトリメシン酸クロライド、イソフタル酸クロライ
ド、テレフタル酸クロライド、およびこれらの混合物が
好ましい。
【0017】ここに多官能性化合物A及びBはそれぞれ
一種類の化合物に限られず、目的に応じて同じ反応をす
る同族の複数の多官能性化合物を同時に使用することが
できる。通常は各多官能性化合物は3種類以下からなる
ことが多い。
【0018】これらの多官能性化合物の濃度について
は、多官能性化合物の種類、溶媒に対する分配係数によ
り異なる。ピペラジン水溶液を前記第1溶液として、ト
リメシン酸クロライドのn−ヘキサン溶液を前記第2溶
液として用いる場合を例に示すとピペラジンの濃度は約
0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%の
ものが適当であり、トリメシン酸クロライドの濃度は約
0.01〜10重量%、好ましくは約0.1〜5重量%
のものが適当である。これらの濃度が低いと界面重合薄
膜の形成が不完全で欠点が生じやすく分離性能の低下を
招き、逆に高すぎると界面重合薄膜が厚くなり過ぎて透
過性能の低下を生じたり、製造膜中の残留未反応物量が
増加し、膜性能へ悪影響を及ぼすことが有り得る。
【0019】なお、縮合反応で酸が発生する場合は水溶
液に酸捕捉剤としてのアルカリを添加したり、多孔質中
空糸膜との濡れ性を向上させるなどのために界面活性剤
を添加したり、この他多官能性化合物の反応促進剤を必
要に応じて添加してもよい。酸捕捉剤の例としては、水
酸化ナトリウムのようなカ性アルカリ、リン酸三ナトリ
ウムのようなリン酸ソーダ、炭酸ナトリウム、ピリジ
ン、トリエチレンジアミン、3級アミン酢酸ソーダなど
が挙げられ、界面活性剤の例としてはラウリルスルホン
酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム
などが挙げられ、反応促進剤の例としては、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)などがある。これらは予め前記第
1溶液中及び/または第2溶液中に含ませることが可能
である。
【0020】本発明において第1溶液とは多孔質中空糸
膜が先に接触する多官能性化合物を含有する液体をい
い、第2溶液とは第1溶液と反応して界面重合可能なも
う一方の液体をいう。ここでの液体は多官能性化合物を
溶媒により溶解した溶液であり、多官能性化合物が液状
モノマーであれば、その多官能性化合物自身でもよい。
ここでの溶媒は多官能性化合物の溶解性、液の比重の調
整、液々界面の形成状態の調整等の目的で複数の溶媒の
混合物が用いられてもよい。
【0021】第1溶液の溶媒及び第2溶液の溶媒として
はそれぞれ前記多官能性化合物A、同Bを溶解し、各溶
液が接した場合液々界面を形成し多孔質中空糸膜を損傷
しないものであれば特に限定されない。例えば、多官能
性化合物Aが多官能性アミン、多官能性化合物Bが多官
能性酸ハライドの場合、第1溶液の溶媒としては、水
が、第2溶液の溶媒としてはn−ヘキサン、シクロヘキ
サン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−
デカン等の炭化水素系溶剤が例として挙げられる。
【0022】本発明において第3液は第2溶液と実質的
に非混合性の液体であれば特に限定されないが、比重の
大小関係は装置の容易性から第2溶液<第3液が良い。
また好ましくは第1溶液と第2溶液のどちらとも実質的
に非混合性の液体が良い。この場合、第3液は第1溶
液、第2溶液の組み合わせにより設定する必要がある。
また、流動性、凝固点、比重等の調節のため、複数の液
体の混合物となる場合も有り得る。ここでの非混合性と
は相溶性が全く無いかまたは若干の相溶性はあるが溶液
を混合しても相分離し2液体間に界面を形成するものを
いう。各液体間の溶解性は低いほど好ましく、常温(1
5〜25℃)での溶解量は好ましくは10重量%以下、
より好ましくは5重量%以下である。またこの第3液が
第1溶液及び第2溶液と実質的に非混合であることは第
1及び、第2溶液の各溶媒とも実質的に非混合性である
とともに、第1及び、第2溶液中に溶解している多官能
性化合物A及び同Bとも実質的に非混合性であることを
意味する。
【0023】第3液の具体例としては、第1溶液、第2
溶液がそれぞれピペラジン水溶液、トリメシン酸クロラ
イドのn−ヘキサン溶液からなる場合はフッ素系不活性
液体、特にパーフルオロ化合物やパーフルオロアルキル
基を有する化合物が挙げられる。これらは、アミン、エ
ーテル、不飽和化合物、芳香族化合物、脂肪族化合物で
あっても前記特性を満足するものであればよく、好まし
い例としては、例えばパーフルオロアルキル3級アミン
が挙げられる。
【0024】
【化1】 (式中RaおよびRbおよびRcは炭素数4〜6のパー
フルオロアルキル基を示し、炭素数の総和は14〜16
である。)
【0025】より具体的には住友スリーエム株式会社製
フロリナートFC−70が挙げられる。このフッ素系不
活性液体FC−70はCn2n+3N、n=15からなる構
造を主成分とするものである。このフッ素系不活性液体
FC−70と第1溶液の溶媒である水と第2溶液の溶媒
であるn−ヘキサンとの3成分間の溶解性を示すとn−
ヘキサンに対する水の溶解量は0.014重量%(1
5.5℃、溶剤ハンドブック(講談社))、このフッ素
系不活性液体FC−70に対する水の溶解量は0.00
08重量%(25℃、フロリナートカタログ)、このフ
ッ素系不活性液体FC−70に対するn−ヘキサンの溶
解量は1重量%以上、5重量%未満(25℃、フロリナ
ートカタログ、発明者らの実測では約3%(23℃))
である。また、ピペラジン、トリメシン酸クロライドと
もにこのフッ素系不活性液体FC−70にはほとんど溶
解性を示さない。この他、同じく住友スリーエム株式会
社製フロリナートFC−71を好適に用いることができ
る。また、第2溶液の溶媒としてシクロヘキサンを用い
た場合、住友スリーエム株式会社製フロリナートFC−
70、FC−71の他にFC−84,FC−77,FC
−75,FC−40,FC−43等を用いることができ
る。
【0026】これら、第1溶液、第2溶液、第3液の各
温度は特に限定されないが、室温で十分迅速に界面重合
反応が生じる多官能性化合物の組み合わせであれば、操
作上室温程度すなわち10〜35℃の範囲が用いられ
る。温度が高すぎると、多官能性化合物の劣化が促進さ
れたり、溶媒の蒸発が促進される問題が有り、逆に低す
ぎると、多孔質中空糸膜への第1溶液の含浸が不足した
り、界面重合反応速度が小さくなりすぎて重合体薄膜が
完全に形成されなかったり、溶媒の粘度が大きくなりす
ぎて製膜過程に障害を与える。
【0027】本発明において多孔質中空糸膜に各溶液を
接触させるとは多孔質中空糸膜を各液中に浸漬、通過さ
せることである。また第1溶液や第2溶液の界面を通過
させる際は均一な薄膜を形成するために各液界面とでき
るだけ垂直に通過させることが好ましい。
【0028】第1溶液に浸漬した後、多孔質中空糸膜表
面の過剰溶液の残存は薄膜の剥離を起こす原因となるの
で、過剰溶液は除去することが好ましい。方法として
は、多孔質中空糸膜を空中走行させ自然落下・自然乾燥
させる方法、第3液を用いてかき取る方法、その他空気
の吹きつけ、乾燥器による乾燥などが挙げられる。
【0029】また第3液通過後、中和及び反応停止のた
めに酸捕捉剤の水溶液に浸漬しても良い。酸捕捉剤の例
としては、リン酸三ナトリウムのようなリン酸ソーダ、
炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0030】以下、本発明の製造方法を多孔質中空糸膜
外表面に重合体薄膜を形成させる場合について、多孔質
中空糸膜を各溶液、液に接触する部分をモデル的に示
す。多孔質中空糸膜外表面に第2溶液、第3液を接触さ
せる際、比重の大小関係が第2溶液<第3液の場合の例
を図1に示す。第3液3を溶液槽5に投入し、仕切り6
を越えないように第2溶液2を上から投入する。多孔質
中空糸膜4は第1溶液浸漬後、第2溶液2の上部よりほ
ぼ垂直に入り、ここで界面重合反応が生じ重合体薄膜が
多孔質中空糸膜4上で形成される。その後、第2溶液2
と第3液3の界面S1を通り、第3液3中を通過する。
この第3液3とは界面重合反応は生じない。多孔質中空
糸膜4はこの第3液3中でローラー7’,7を通過し、
第3液3上部よりほぼ垂直方向に出て、速やかに乾燥工
程等の後工程に送られる。本法では第3液3を用いるこ
とによって薄膜形成時に多孔質中空糸膜がローラー
7’,7等と接触すること無く、各液界面と容易にほぼ
垂直に通過させることができる。
【0031】第2溶液2に揮発性の有機溶媒を用いる場
合は上部の大気開放部の表面積をできるだけ小さくする
ことが好ましい。これは溶媒の蒸発をできるだけ防止
し、多官能性化合物Bの濃度変化を少なくし、安定した
複合中空糸膜を製造すると同時にクリーンな作業環境維
持を可能とするためである。大気開放部の表面積を小さ
くするためには細い筒状物を用いその中へ多孔質中空糸
膜を通す方法を用いても良い。
【0032】当然のことであるが図1ではモデル的に多
孔質中空糸膜1本の場合について述べているが同時に2
本以上の多孔質中空糸膜の処理が容易に可能であり必要
に応じて溶液槽5の幅を設定することになる。
【0033】また、前述したように多孔質中空糸膜4を
必要に応じて、乾燥、親水化処理、目詰め剤の含浸等
の、前処理を行っても良い。また、残留未反応多官能性
化合物間の界面重合反応の終結、残留溶剤の除去、重合
体薄膜の多孔質中空糸膜4表面への固着等のために必要
に応じて多孔質中空糸膜4は乾燥、または熱処理装置へ
移る。乾燥、または熱処理条件は多孔質中空糸膜素材、
製膜する重合体薄膜素材、各液の種類により異なるが、
例えば、多孔質中空糸膜4の素材がポリスルホン、重合
体薄膜がポリアミド、第1溶液1が多官能アミン水溶
液、第2溶液2が多官能酸クロライドのn−ヘキサン溶
液の場合は20℃〜100℃で10秒〜20分が好まし
い。さらに必要に応じて形成した重合体薄膜の表面に保
護剤の層を塗布等により形成させる工程を設けても良
い。また、残留未反応性化合物の除去や反応副生物の除
去、中和ための洗浄や処理を必要に応じて行う。さら
に、製膜後の複合中空糸膜を必要に応じて乾燥処理して
も良く、保存方法も乾燥保存、湿潤保存のどちらでも本
発明は制限されない。
【0034】本発明の方法を用いて複合中空糸膜を製造
する場合に、各液の性質に応じて各液の濃度、温度、多
孔質中空糸膜の走行速度、各液の層の高さ、多孔質中空
糸膜の走行距離すなわち滞留時間を最適に設定すること
により、目的に適合した複合中空糸膜を得ることができ
る。多孔質中空糸膜の走行速度については0.5m/分
〜20m/分の速度で複合中空糸膜を製造することが可
能である。また、当然のことであるが長期連続操作する
場合は界面重合反応の進行とともに多官能性化合物等が
消費され溶液濃度が変化するため、必要に応じて各溶液
槽の溶液を連続的に更新し濃度を調整する手段を設けて
も良い。
【0035】図2は複合膜化工程の概略フローを示して
いる。以下工程の概要を説明する。多孔質中空糸膜供給
槽11から湿潤状態の多孔質中空糸膜4を駆動ローラー
19’、19により取り出し、さらに駆動ローラー
9’、9を経由して第1溶液槽10へ導入、浸漬させ
る。続いて第1溶液1が付着、含浸した多孔質中空糸膜
4は駆動ローラー8’、8を経由して第1溶液槽10か
らほぼ垂直に引き出される。その後の空中走行の部分で
過剰の第1溶液が除去される。この空走距離を調節する
ことにより多孔質中空糸膜4へ第1溶液の付着量を調節
すること可能である。続いて多孔質中空糸膜4を第2溶
液2中にほぼ垂直に導入し、多孔質中空糸膜4外表面上
で界面重合反応を生じさせる。第2溶液2と第3液3の
液々界面S1 を貫通させ、第3液3中に浸漬させ、駆動
ローラー7’、7を経由して、第3液3からほぼ垂直に
引き出される。重合体薄膜形成時に多孔質中空糸膜4を
駆動ローラー等に接触させることなく、第3液3を介し
て乾燥筒12へ導入し薄膜を多孔質中空糸膜4へ固着さ
せた後、駆動ローラー13’、13を経由し水洗槽14
へ導かれ、水洗水15中を駆動ローラー16’、16を
経由して通過させた後、駆動ローラー17’、17を経
由して複合中空糸膜受入槽18に導かれる。
【0036】図3は第3液通過後、界面重合反応生成物
の中和及び未反応基の末端処理のための酸捕捉剤水溶液
の浸漬を行った例である。第3液が第1溶液及び第2溶
液のどちらにも実質的に非混合性で界面を形成する場
合、第3液は酸捕捉剤水溶液とも界面を形成する。液の
比重の大小が第2溶液<第3液かつ酸捕捉剤水溶液<第
3液の場合、第3液3を溶液槽5に投入し、仕切り6を
越えないように第2溶液2及び酸捕捉剤水溶液20をそ
れぞれ上から投入する。多孔質中空糸膜4は第1溶液浸
漬後、第2溶液2の上部よりほぼ垂直に入り、ここで界
面重合反応が生じ重合体薄膜が多孔質中空糸膜4上で形
成される。その後、第2溶液2と第3液3の界面S1を
通り、第3液3中でローラー7’,7を通過する。その
後、第3液3と酸捕捉剤水溶液20の界面S2を通り、
酸捕捉剤水溶液20中で中和等を行った後、酸捕捉剤水
溶液20上部より出て、速やかに乾燥工程等の後工程に
送られる。本法ではこのように第3液を用いることによ
って、複合中空糸膜の一連の製造工程を非常に容易かつ
確実に行うことができる。
【0037】図4は第1溶液浸漬後の多孔質中空糸膜表
面の過剰な第1溶液を除去するために、第1溶液浸漬後
に第3液による第1溶液の除去を行った例である。以下
工程の概要を説明する。図2の場合と同様、多孔質中空
糸膜供給槽11から湿潤状態の多孔質中空糸膜4を駆動
ローラー19’、19により取り出し、さらに駆動ロー
ラー9’、9を経由して第1溶液槽10へ導入、浸漬さ
せる。続いて第1溶液1が付着、含浸した多孔質中空糸
膜4は駆動ローラー8’、8を経由して第1溶液槽10
からほぼ垂直に引き出される。その後の第3液槽21通
過部分で過剰の第1溶液が除去される。第3液3が第1
溶液1と非混合性である場合、第1溶液1の濃度を変え
ること無く、第3液槽21走行深さを調節することによ
り多孔質中空糸膜4へ第1溶液の表面付着量を調節する
こと可能である。多孔質中空糸膜4外表面から除去され
た過剰の第1溶液は第3液槽21内の第3液上部より容
易に排出することが可能である。続いて多孔質中空糸膜
4を第2溶液2中にほぼ垂直に導入させて、多孔質中空
糸膜4外表面上で界面重合反応を生じさせる。第2溶液
2と第3液3の液々界面S1を貫通させ、第3液3中に
浸漬させ、駆動ローラー7’、7を経由して、第3液3
からほぼ垂直に引き出される。重合体薄膜形成時に多孔
質中空糸膜4を駆動ローラー等に接触させることなく、
第3液3を介して乾燥筒12へ導入し薄膜を多孔質中空
糸膜4へ固着させた後、駆動ローラー13’、13を経
由し水洗槽14へ導かれ、水洗水15中を駆動ローラー
16’、16を経由して通過させた後、駆動ローラー1
7’、17を経由して複合中空糸膜受入槽18に導かれ
る。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものでは
ない。
【0039】実施例1 まず、多孔質中空糸膜について説明する。ポリスルホン
(Amoco 社製 Udel P-3500 )29重量%、ポリエチレ
ングリコール(平均分子量600)14.5重量%、ラ
ウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%、お
よびジメチルアセトアミド(DMAc)56重量%から
なる紡糸原液を、100℃で12時間溶解撹拌し、紡糸
原液が均一に溶解したことを確認後、−50cmHg、
100℃で1時間脱泡を行い、次いで紡糸原液を50℃
に冷却した後、紡糸原液吐出部外直径0.66mm、内
直径0.5mm、芯ガス吐出部直径0.2mmを有する
二重管構造の中空糸製造用ノズルから紡糸原液、芯ガス
(窒素ガス)をそれぞれ0.75cm3 /分、0.30
cm3 /分で吐出させ、15m/分の紡糸速度で乾湿式
紡糸を行い連続した多孔質中空糸膜を得た。エアーギャ
ップの長さは0.5cmであり、凝固液として25℃の
DMAc5重量%水溶液を用いた。凝固後水洗いし、更
に90℃の熱水で1時間熱水処理を施し、複合膜化に使
用されるまで純水に浸漬保存した。得られた多孔質中空
糸膜の外径は0.3mmで内径は0.2mmであった。
また、この多孔質中空糸膜の断面構造は内外表面に緻密
層を有しそれ以外は全体一様に網状組織であった。この
多孔質中空糸膜を20本束ねてループにし片端をホルダ
ーにいれてエポキシ樹脂で固め、多孔質中空糸膜を開口
させ多孔質中空糸膜束有効長35cm(外径基準膜面積
132cm2 )のミニモジュールを得た。この多孔質中
空糸膜の単位膜面積、単位圧力あたりの純水透過量は、
1.0m3 /(m2 ・日・(kg/cm2)) で平均分子量1
8.5万のデキストランの除去率は95%であった。な
お、多孔質中空糸膜性能は次のようにして求めた。上記
多孔質中空糸膜ミニモジュ−ルに操作圧力5kg/cm2、温
度25℃にてRO水(東洋紡績(株)製HOLLOSE
P使用)を透過させ、60分後、透水量を測定し、操作
圧力5kg/cm2における純水透過量とした。また、多孔質
中空糸膜のデキストラン除去率は濃度が300g/m3
のデキストランの水溶液を操作圧力5kg/cm2、温度25
℃にて供給し60分後に測定し、デキストラン除去率を
求めた。なおデキストラン除去率は次式で定義した。 [1−(膜透過液中のデキストランの濃度/供給原液中
のデキストランの濃度)]×100(%)
【0040】次に、複合膜化について説明する。複合膜
化は図2の工程に従って行った。多孔質中空糸膜4の走
行速度は7m/分とした。ピペラジン2重量%、トリエ
チレンジアミン0.5重量%、ラウリルスルホン酸ナト
リウム0.1重量%を純水に溶解したアミン水溶液1を
作製し、この溶液に前記の純水に浸漬した連続した多孔
質中空糸膜4を3m浸漬、通過させた。続いてこの多孔
質中空糸膜4を75cm空中走行させた後、トリメシン
酸クロライド(以下TMCと略す)1重量%をn−ヘキ
サンに溶解したTMC/n−ヘキサン溶液2中をほぼ垂
直に10cm通過させ界面重合反応を生じさせた。第3
液としてのフッ素系不活性液体3(住友スリーエム株式
会社製フロリナートFC−70)とTMC/n−ヘキサ
ン溶液2との液々界面S1を貫通させた後、フッ素系不
活性液体3中を20cm通過させた。この際、フッ素系
不活性液体3とTMC/n−ヘキサン溶液2との液々界
面S1には重合膜は全く形成されておらず、多孔質中空
糸膜4の外表面でのみ界面重合反応が生じているものと
推察された。これらの工程は室温(約25℃)で行われ
た。続いて多孔質中空糸膜4を50℃の乾燥塔12内に
1.5m通過させ、水洗槽14の水洗水15(25℃の
純水)中に3m浸漬、通過させた後、複合中空糸膜を得
た。得られた湿潤状態の複合中空糸膜を20本束ねてル
ープにし片端をホルダーに入れてエポキシ樹脂で固め、
複合中空糸膜を開口させ複合中空糸膜束有効長35cm
(膜面積132cm2 )のミニモジュールを得た。この
複合中空糸膜の性能を表1に示す。特公平1−3852
2号公報の実施例7にはピペラジンとトリメシン酸クロ
ライドとの界面重合により得られた複合平膜の性能とし
て塩(NaCl)除去率50%が示されている。評価圧
力が13.6気圧と評価条件が異なるが、本発明の実施
例1の塩(NaCl)除去率はこれと同等以上と見なせ
ることより、本発明により多孔質中空糸膜の外表面に界
面重合による重合体薄膜が均一に形成された複合中空糸
膜が得られていると推察された。なお、複合中空糸膜性
能は次のようにして求めた。上記複合中空糸膜ミニモジ
ュ−ルに温度25℃にてNaClの500g/m3 水溶
液を複合中空糸膜の外側に操作圧力5kg/cm2で供給して
脱塩を行い、60分後に測定を開始し透過水の単位膜面
積あたりの透水量、塩濃度を測定した。この場合の回収
率すなわち供給水量に対する透過水量の割合は5%以下
と十分に小さいものであった。CaCl2 の場合も同様
にして求めた。なお、塩除去率は次式で定義した。 [1−(膜透過液中の塩の濃度/供給原液中の塩の濃
度)]×100(%)
【0041】実施例2 複合膜化は図3の工程に従って行い、第3溶液通過後の
酸捕捉剤水溶液として1重量%炭酸ナトリウム水溶液を
用いた以外は実施例1と同様にして複合中空糸膜を作製
し、性能評価を実施した。その性能を表1に示す。
【0042】実施例3 複合膜化は図4の工程に従って行い、アミン溶液浸漬後
の多孔質中空糸膜表面の過剰アミン水を第3液により除
去を行った以外は実施例1と同様にして複合中空糸膜を
作製し、性能評価を実施した。第3液としてフッ素系不
活性液体(住友スリーエム株式会社製フロリナートFC
−70)を用い、20cm通過させた。その性能を表1
に示す。
【0043】実施例4 複合膜化は図2の工程に従って行い、アミン溶液浸漬後
の多孔質中空糸膜表面の過剰アミン水を乾燥塔により除
去を行った以外は実施例1と同様にして複合中空糸膜を
作製し、性能評価を実施した。乾燥条件としては温度4
0℃の乾燥塔を2m通過させた。その性能を表1に示
す。
【0044】比較例1 実施例1に従って多孔質中空糸膜を作製し、第3液を用
いない図5に示すフローの工程で複合中空糸膜を作製し
た。実施例1と異なる部分を説明する。多孔質中空糸膜
4をアミン水溶液1に3m浸漬、通過させ、続いてこの
多孔質中空糸膜4を75cm空中走行させた後、TMC
/n−ヘキサン溶液2中を10cm通過させ界面重合反
応を生じさせた後、50℃の乾燥筒12を通過させ、そ
れ以降は実施例1と同様に処理した。実施例1と同様に
性能評価を実施した。その性能を表1に示す。実施例1
に比較して分離性能、すなわち塩除去率は低い結果であ
った。この方法において、TMC/n−ヘキサン溶液2
中では、多孔質中空糸膜外表面上で界面重合膜が形成さ
れると共に、駆動ローラー7’、7と多孔質中空糸膜4
外表面とが接触するため、形成された重合体薄膜は剥離
するなど損傷を受けているためと推察された。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明の方法によれば、多孔質中空糸膜
の外表面に界面重合法による重合体薄膜を安定に効率よ
く形成でき、透過性能、分離性能に優れた複合中空糸膜
の製造が可能となる。かかる本発明による複合中空糸膜
は、例えば、逆浸透膜としては、かん水、海水等の脱塩
による淡水化や半導体の製造に用いられる超純水の製造
などに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比重の大小関係が第2溶液<第3液の場合の多
孔質中空糸膜への各液の接触方法の一例のモデル図を示
す。
【図2】第2溶液と第3液とが液々界面を形成している
場合の複合膜化工程の一例の概略フローを示す。
【図3】第3液通過後、酸捕捉剤水溶液の浸漬を行った
場合の多孔質中空糸膜への各液の接触方法の一例のモデ
ル図を示す。
【図4】第1溶液浸漬後の多孔質中空糸膜表面の過剰な
第1溶液を第3液により除去を行った場合の複合膜化工
程の一例の概略フローを示す。
【図5】比較例1での複合膜化工程の概略フローを示
す。
【符号の説明】
1:第1溶液(アミン水溶液) 2:第2溶液(TMC/n−ヘキサン溶液) 3:第3液 (フッ素系不活性液体) 4:多孔質中空糸膜 5:溶液槽 6:仕切り 7、7’:駆動ローラー 8、8’9、9’:駆動ローラー 10:第1溶液槽 11:多孔質中空糸膜供給槽 12:乾燥筒 13、13’:駆動ローラー 14:水洗槽 15:水洗水 16、16’:駆動ローラー 17、17’:駆動ローラー 18:複合中空糸膜受入槽 19、19’:駆動ローラー 20:酸捕捉剤水溶液 21:第3液槽 22:駆動ローラー S1:第2溶液と第3液の界面 S2:酸捕捉剤水溶液第と第3液の界面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 15/00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質中空糸膜の外表面に重合体薄膜か
    らなる分離活性層を形成させ複合膜化するに際し、相互
    に反応して該重合体薄膜を形成し得る少なくとも1種か
    らなる多官能性化合物Aを含む第1溶液と少なくとも1
    種からなる多官能性化合物Bを含み該第1溶液と実質的
    に非混合性の第2溶液に順次、該多孔質中空糸膜を接触
    させ、該多孔質中空糸膜上で該多官能性化合物A、Bを
    相互に界面重合反応させて薄膜を形成し、連続した複合
    中空糸膜を製造する方法において、該多孔質中空糸膜
    を、該第1溶液から続いて該第2溶液に接触させた後
    に、該第2溶液と実質的に非混合性の第3液に少なくと
    も1カ所接触させることを特徴とする複合中空糸膜の製
    造法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製造法において、該第
    2溶液と該第3液とが液々界面を形成していることを特
    徴とする複合中空糸膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の製造法において、該第
    3液が該第1溶液及び該第2溶液と実質的に非混合性で
    あることを特徴とする複合中空糸膜の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の製造法において、該第
    1溶液と第2溶液の間に該多孔質中空糸膜表面上の過剰
    な該第1溶液を除去する手段を設けたことを特徴とする
    複合中空糸膜の製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の製造法であって、該重
    合体薄膜がポリアミド系樹脂からなることを特徴とする
    複合中空糸膜の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の製造法であって、該ポ
    リアミド系樹脂が架橋ポリアミド系樹脂からなることを
    特徴とする複合中空糸膜の製造法。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項6に記載の製造法
    であって、該多孔質中空糸膜の素材がポリスルホン系樹
    脂からなることを特徴とする複合中空糸膜の製造法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の製造法であって、多孔
    質中空糸膜は平均分子量18.5万のデキストランの除
    去率が50%以上であることを特徴とする複合中空糸膜
    の製造法。
JP20383094A 1994-08-29 1994-08-29 複合中空糸膜の製造法 Pending JPH0866625A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20170039828A (ko) * 2015-10-02 2017-04-12 주식회사 엘지화학 탄소나노튜브 고분자 복합체를 이용한 탄소섬유 코팅방법
CN114392656A (zh) * 2022-02-28 2022-04-26 启成(江苏)净化科技有限公司 一种多尺度纳米纤维反渗透膜的制备方法

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