JP3250463B2 - アルミ押出し用ダイスの窒化処理法及びアルミ押出し用ダイス - Google Patents

アルミ押出し用ダイスの窒化処理法及びアルミ押出し用ダイス

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基材の軟化が抑制され
耐摩耗性が良好な表面層をもつアルミ押出し用ダイスを
製造する窒化処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミの熱間押出しでは、高温のアルミ
材料を無潤滑でメタルフローさせ、ダイスのベアリング
部を通過させることにより所定形状の押出し形材を製造
している。ダイス素材としては、Cr,Mo等の合金元
素を含むSKD61等の熱間工具鋼が使用される。ま
た、過酷な摩耗環境に曝されるベアリング面には、塩浴
窒化,ガス窒化等の窒化処理により硬質表面層を形成し
ている。窒化処理で形成された硬質表面層は、ビッカー
ス硬さで1000〜1300に達し、耐摩耗性に富み、
高温硬さが高い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】硬質表面層は、熱間押
出しを繰返し行うときダイス表面から消失・剥離し易
い。硬質表面層がなくなると、熱間押出しが円滑に行わ
れず、押出し形材の形状が悪化する。そこで、硬質表面
層が消失又は減少したダイスは、熱間押出しの工程間で
ベアリング面を修正して窒化処理することにより硬質表
面層を形成した後、繰返し使用されている。一つのダイ
スについてみると、数回以上の窒化処理が繰返されるこ
とが通常である。しかし、窒化処理時の加熱中にダイス
鋼の軟化が進み、ダイスに要求される熱間での耐力が低
下し、塑性撓みが進み易くなる。たとえば、ダイス基材
として代表的に使用されているSKD61,SKD62
等の鋼材は、焼入れ焼戻し硬さを通常HRC45〜50に
調整した後で窒化処理している。ところが、SKD61
製のダイスについてみると、初期硬さがHRC48である
のに対し、廃材時にHRC45まで硬さが低下している。
この硬度低下は、ダイスの摩耗を促進させ、ダイス寿命
を短くする原因の一つである。本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、窒化処理される
ダイス鋼の硬さを調整することにより、また、窒化雰囲
気を調整することにより、窒化時間の短縮を図るととも
に、基材の硬度低下及び摩耗を抑制し、かつ靭性を確保
して寿命の長い熱間押出し用ダイスを提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化処理法は、
その目的を達成するため、ダイス基材である熱間工具鋼
を焼入れ焼戻しにより硬さHRC50〜53に調整した
後、カーボン源を有するガスを添加したNH3−N2雰囲
気中で480〜550℃に5〜10時間加熱して窒化処
理することを特徴とする。また、本発明に従ったアルミ
押出し用ダイスは、熱間工具鋼を基材とし、窒化処理後
の基材の硬度がHRC50〜53,表面窒化層のビッカー
ス硬さがHV1050〜1150,表面窒化層の厚みが
0.025〜0.15mm,白層の厚みが4〜8μmで
ある。
【0005】
【作用】本発明では、熱間工具鋼の初期硬さをHRC50
〜53と従来の基材よりも高く設定し、窒化処理を施し
ている。高い初期硬さは、本発明者等が知見した現象で
あり、従来の窒化処理に比較してメカニズムは不明であ
るが窒化層を厚く成長させる原因となる。そのため、基
材の硬度低下に起因した摩耗が抑制される。また、窒化
処理としてもカーボン源を有するガスを添加したNH3
−N2雰囲気中で480〜550℃に加熱する低温ガス
窒化を採用するとき、窒化処理時間の短縮化が図れると
ともに、窒化処理時にダイス鋼の硬度低下が防止され、
靭性が確保される。
【0006】
【実施の形態】ダイス基材として使用される熱間工具鋼
は、鋼種によって焼入れ温度,冷却方法等が異なる。た
とえばSKD61では、図1に示すパターンで熱処理さ
れる。本発明が要求するHRC50〜53を得るために
は、このヒートパターンにおいて焼戻し時に冷却開始温
度を従来では550〜680℃であったが、500〜5
50℃と低く設定する。この温度範囲から冷却を開始す
ることにより、微細な炭化物が析出すると共に、残留オ
ーステナイトがマルテンサイト化され、HRC50〜53
という高い初期硬さが得られる。この点、従来法では、
焼戻し時の冷却開始温度を550〜680℃と比較的高
く設定しているため、硬さがHRC45〜50と低くなっ
ている。
【0007】このように初期硬さを高くした熱間工具鋼
に窒化処理,特に低温でのガス窒化を施すと、窒化処理
された熱間工具鋼の表面硬さ及び窒化層の深さが改善さ
れる。具体的には、後述する実施例でも説明している通
り、HRC43,48と比較的低い硬さに調整された熱間
工具鋼に比較して、HRC53に調整された熱間工具鋼を
窒化処理した場合、図4(c)にみられるように窒素拡
散層が一段と厚く、表層部に形成される白層も厚くなっ
ている。このように厚い窒素拡散層が形成されること
は、HRC53に調整された熱間工具鋼では基材鋼の結晶
粒が微細化し、結晶粒界が多数存在することによって窒
素の拡散が促進された結果であると推察される。ただ
し、焼き戻した鋼材の硬さがHRC53を超えるようにな
ると、シャルピー衝撃値が低下し、ダイスが割れ易くな
るので好ましくない。
【0008】ガス窒化処理は、カーボン源を有するガス
を添加したNH3−N2雰囲気中で窒化処理温度480〜
550℃,好ましくは500〜520℃に5〜10時間
加熱する処理条件が採用される。窒化処理温度が550
℃を超えると、鋼材が軟化し硬度が低下することから好
ましくない。逆に480℃に満たない窒化処理温度で
は、窒素の拡散反応が遅く、所定の窒化層を形成するま
でに長時間を要する。窒化処理雰囲気には、カーボン源
をもつCO2等の炭素源補給剤を添加している。炭素源
補給剤は、窒化処理時間を短縮させる作用を呈する。窒
化処理時に表面にCを補給し靭性を確保する作用を呈す
る。すなわち、500℃付近の窒化処理温度での鋼材中
の拡散係数がNよりCの方が約1.14倍と大きいた
め、Cが先に鋼材中に拡散してFe3Cを形成し、この
Fe3Cが核となってNの拡散を促進させる。また、炭
素源補給剤は、窒化処理時に表面にCを補給し靭性を確
保する上でも有効である。
【0009】
【実施例】実施例1: 熱間工具鋼SKD61の基材硬度をHRC53(本発明
例),HRC43(従来例)及びHRC48(従来例)に調
整し、44%NH3,56%N2の雰囲気中で510℃に
7時間加熱するガス窒化を施した。窒化処理後に深さ方
向の硬度分布を測定し、基材硬度の影響を調査した。図
2の調査結果にみられるように、基材硬度が高いほど表
面硬さが高くなっており、硬化層も内部まで深くなって
いた。次いで、繰返し窒化による基材の劣化を調査する
ため、1回目と同じ条件下で2回目の窒化処理を施し
た。そして、深さ方向の硬度分布を測定した。測定結果
を示す図3から明らかなように、基材硬度をHRC43及
びHRC48に調整した従来例に比較して、HRC53に調
整した本発明では表面硬さが高く、硬化層も深くなって
いた。深い硬化層は、図4に示す断面ミクロ写真からも
観察される。
【0010】窒化処理されない内部の硬度変化をみる
と、何れの場合も窒化を2回繰り返すことによって基材
の硬度が若干低下しており、2回窒化後の内部の基材硬
度は初期硬度に依存している。この点でも、初期値をH
RC53と高く設定することにより、基材の軟化が抑制さ
れ、耐撓み性,耐ヘタリ性に優れた押出し用ダイスが得
られることが判る。窒化処理された各押出し用ダイスを
使用し、アルミ合金6063を押出し加工した。押出し
条件は、ダイス予熱温度450℃,押出し速度40m/
分に設定した。その結果、本発明に従って初期硬さをH
RC53と高く設定したダイスでは、押出し形材の断面厚
さが基準値を超える厚みになるまでに大量の押出しが可
能であり、ベアリング面の摩耗が抑制されていることが
観察された。これに対し、初期硬さをHRC43に設定し
たダイスでは押出し可能な長さがHRC53のダイスの約
3/5、初期硬さをHRC48に設定したダイスでは約4
/5に止まっており、ベアリング面にかなりの摩耗が観
察された。
【0011】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、熱間工具鋼を窒化処理し押出し用ダイスとして使用
する際、基材である鋼の硬さをHRC50〜53に調整す
ることにより、その後の窒化処理で形成される窒化層の
表面硬さが高くなり、また窒化層の硬度分布も深くでき
る。さらに窒化雰囲気をカーボン源を有するガスを添加
したNH3−N2雰囲気とすることにより、窒化処理時間
を短縮することができる。そのため、押出し時の摩耗が
軽減されると共に、繰返し使用のために施される再窒化
に際して基材硬度の低下が少なくなるとともに靭性も確
保することができる。その結果、ダイス寿命が向上する
と共に、生産性も改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ダイス基材として使用される熱間工具鋼の焼
入れ焼戻しヒートパターン
【図2】 1回目の窒化処理が施されたダイス鋼の硬さ
分布と基材硬度との関係
【図3】 2回目の窒化処理が施されたダイス鋼の硬さ
分布と基材硬度との関係
【図4】 基材硬度がHRC43(a),HRC48(b)
及びHRC53(c)の熱間工具鋼を2回窒化処理したと
きの表面部の金属組織を示すミクロ写真
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−140695(JP,A) 特開 平8−104972(JP,A) 特開 平5−253613(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 8/26 B21C 25/02 B21C 25/10 C21D 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイス基材である熱間工具鋼を焼入れ焼
    戻しにより硬さHRC50〜53に調整した後、カーボン
    源を有するガスを添加したNH 3 −N 2 雰囲気中で480
    〜550℃に5〜10時間加熱して窒化処理することを
    特徴とするアルミ押出し用ダイスの窒化処理法。
  2. 【請求項2】 熱間工具鋼を基材とし、窒化処理後の基
    材の硬度がH RC 50〜53,表面窒化層のビッカース硬
    さがHV1050〜1150,表面窒化層の厚みが0.
    025〜0.15mm,白層の厚みが4〜8μmである
    アルミ押出し用ダイス。
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