JP3248020B2 - フェニルポルフィリン系化合物 - Google Patents

フェニルポルフィリン系化合物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶性を示す新規なフェ
ニルポルフィリン系化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポルフィリンおよびそれに類似した構造
を持つフタロシアニンは、機能性材料としての応用が期
待され、様々な角度から研究がなされている。液晶の分
野においてフタロシアニン誘導体は、金属を含む液晶の
中では非常によく研究されて来ているが、それに比べポ
ルフィリン誘導体は、今まであまり研究されていない。
けれどもポルフィリンは、置換基の種類、数、及びその
位置を変化させることにより分子構造を変化させ、円盤
状から棒状に至る多様な液晶相を得ることがフタロシア
ニンに比べて容易である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】有機光電材料として有
用な機能を有するポルフィリン系化合物の利用に際し
て、分子の機能を引き出すために、これら化合物を規則
正しく配列させることが必要となる。その手段の一つと
して化合物そのものがディスコティック相やスメクティ
ック相などの液晶相を示すことは、液晶の配向性を利用
して分子を配列させることができるという意味におい
て、実用的な観点で非常に重要かつ有益なことである。
【0004】また、これら化合物の機能を利用する際に
障害となる問題に不純物の存在が挙げられる。一般的に
言ってポルフィリン系化合物の溶解度は悪く、用いられ
る溶媒には制限がある。従って、ポルフィリン系化合物
の精製は困難であることが多い。従って、安価で汎用性
のある溶媒に溶解できることは実用上の観点において非
常に重要な課題である。
【0005】本発明者らは、ポルフィリン系化合物につ
いて鋭意検討した結果、テトラキス(テトラアルコキシ
−o−ターフェニル)ポルフィリン、ビス(テトラアル
コキシ−o−ターフェニル)ポルフィリン、ビス(テト
ラアルコキシ−o−ターフェニル)ビス(ジアルコキシ
フェニル)ポルフィリンまたはビス(ジアルコキシフェ
ニル)ポルフィリンのアルコキシ基がフェニル基の3
−,4−位に置換された場合には液晶性を示し、4−位
のみでは液晶性を示さないことを見いだし本発明に到達
した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
一般式(A)で表されるフェニルポルフィリン系化合物
である。
【化4】 (ここで、R1 は水素原子または下記一般式(B)で表
される置換基である。
【化5】 ここでR2 は、炭素数4以上22以下の直鎖状または分
岐状のアルコキシ基である。R3 は炭素数4以上22以
下の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基または下記一
般式(C)で表される置換基である。
【化6】 ここでR4 は炭素数4以上22以下の直鎖状または分岐
状のアルコキシ基である。)
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のフェニルポルフィリン系化合物は、ビスフェニル
ポルフィリンまたはテトラキスフェニルポルフィリンで
あり、末端の各フェニル基の3−位および4−位にアル
コキシ置換基を有するものである。本発明のフェニルポ
ルフィリン系化合物は、液晶性を示すことが特徴であ
る。本発明のポルフィリン系化合物は、具体的にはテト
ラキス(テトラアルコキシ−o−ターフェニル)ポルフ
ィリン、ビス(テトラアルコキシ−o−ターフェニル)
ポルフィリン、ビス(テトラアルコキシ−o−ターフェ
ニル)ビス(ジアルコキシフェニル)ポルフィリンおよ
びビス(ジアルコキシフェニル)ポルフィリンに関す
る。ここで、アルコキシ基としては、ブチロキシ、ペン
チロキシ、オクチロキシ、ドデシロキシ、ペンタデシロ
キシ、オクタデシロキシ、エイコシロキシ基等の炭素数
4以上22以下の直鎖状または分岐状のアルコキシ基で
あり、特に炭素数7以上22以下の直鎖状アルコキシ基
が好ましい。
【0008】上記化合物の合成法は、特に限定するもの
ではなく、種々の方法を用いることができる。例えば次
に記載するような方法が用いられる。
【0009】まずテトラキス(テトラアルコキシ−o−
ターフェニル)ポルフィリンは、図1に示すスキーム1
に記載した方法で合成できる。スキーム1において、出
発物質である3,4−ジメトキシベンズアルデヒド(化
合物(1))から3,4−ビス(3,4−ジアルコキシ
フェニル)−4−ヒドロキシ−2−シクロペンテン−1
−オン(化合物(6))までは、例えば、Wenzの方
法、すなわちマクロモレキュラー・ケミストリー・ラピ
ッド・コミュニケーション第6巻577頁(1985
年)に記載の方法で合成できる。
【0010】ついで3,4−ビス(3,4−ジアルコキ
シフェニル)−4−ヒドロキシ−2−シクロペンテン−
1−オン(化合物(6))から3,4,3”,4”−テ
トラアルコキシ−4’−ヒドロキシメチル−o−ターフ
ェニル−4’−カルバルデヒド(化合物(9))までの
合成は、例えば、図2に示すスキーム2に記載した二つ
の方法等で合成できる。なおスキーム1には、スキーム
2に記載した二つの合成法のうち、経路1の場合を示し
た。以下経路1について説明する。
【0011】3,4−ビス(3,4−ジアルコキシフェ
ニル)−4−ヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オ
ン(化合物(6))に、プロピオール酸メチル存在下、
p-トルエンスルホン酸メチルの1,4−ジオキサン溶液
をゆっくりと滴下することによりメチル3,4,3”,
4”−テトラアルコキシ−o−ターフェニル−4’−カ
ルボキシレートを得ることができる。次いで水素下リチ
ウムアルミニウムを用いてアルコール体とし、ピリジニ
ウムジクロメート(以下、PDCと記すことがある。)
酸化で3,4,3”,4”−テトラアルコキシ−o−タ
ーフェニル−4’−カルバルデヒド(化合物(9))を
得る。さらにピロール、プロピオン酸存在下還流を行
い、冷却後水酸化ナトリウムを滴下し、ジエチルエーテ
ルで抽出後、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p
−ベンゾキノン(以下、DDQと記すことがある。)を
用いて不純物であるクマリンを酸化したのち、精製して
目的物であるテトラキス(テトラアルコキシ−o−ター
フェニル)ポルフィリンを得ることができる。
【0012】次にビス(テトラアルコキシ−o−ターフ
ェニル)ポルフィリンの合成について述べる。本化合物
は、例えば、図4に示すスキーム4に記載の方法で合成
できる。すなわち前述したスキーム1記載の方法で、
3,4,3”,4”−テトラアルコキシ−o−ターフェ
ニル−4’−カルバルデヒド(化合物(9))を合成
し、本化合物と2,2’−ジピリルメタン(化合物(2
2))をテトラヒドロン・レター1989年6989頁
記載の方法を参考にしてビス(テトラアルコキシ−o−
ターフェニル)ポルフィリンを合成することができる。
なお2,2’−ジピリルメタン(化合物(22))は、
ピロール−2−カルボン酸(化合物(19))よりジャ
ーナル・アメリカン・ケミカル・ソサイティ第84巻6
30頁(1962年)、オーストラリアン・ジャーナル
・オブ・ケミストリ−第22巻229頁(1969年)
の方法を参考にして、スキーム4に記載した方法で合成
できる。
【0013】さらにビス(ジアルコキシフェニル)ポル
フィリンの合成について述べる。本化合物は、例えば、
図5に示すスキーム5に記載した方法で合成できる。す
なわち3,4−ジヒドロキベンズアルデヒドと臭化アル
キルとを相関移動触媒、例えばアリコット336の存在
下反応させ、3,4−ジアルコキシベンズアルデヒドを
得たのち、例えば、スキーム4に記載した方法で合成し
た2,2’−ジピリルメタン(化合物(22))とを、
テトラヒドロン・レター6989頁(1989年)記載
の方法を参考にして合成できる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 (テトラキス(テトラドデシロキシ−o−ターフェニ
ル)ポルフィリン(Ia)の合成)目的化合物の合成
は、スキーム1、2に従って行った。以下詳細に述べ
る。なお、化合物(6a)までの合成は、前記のWenzの
方法を参考にした。
【0015】(A:3,4,3',4'-テトラメトキシベンゾイ
ン(2) の合成)500ml ナスフラスコ中に、3,4-ジメトキ
シベンズアルデヒド50.0g(0.30mol)と、エタノール 50m
l、および水 90mlを入れた。さらに、シアン化カリウム
8.61g(0.13mol)をドラフトで計りとり加えた。これら
の混合物を窒素気流下48時間撹拌還流した。還流停止
後、室温まで冷却し、クロロホルムを用いて抽出した。
抽出液を水、飽和食塩水を用いて洗浄し、得られた有機
層は無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去
し、真空減圧乾燥を行い39.7g の(2) を得た。精製は行
わなかった。得られた化合物は、黄褐色シロップ状で、
粗収率は83%であった。
【0016】・1H-NMR (CDCl3/TMS,δppm) 3,77(m,12H) 、5.70(s,1H)、6.70〜7.37(m,6H)、9.73
(s,1H) ・IR (neat, cm-1) 3450(OH)、2950,2850(CH2)、1680(CO)、1590,1520(Ph)
、1270(O-Ph)
【0017】(B:3,4,3',4'-テトラメトキシベンジル
(3) の合成)1000mlナスフラスコ中に、未精製の3,4,
3',4'ーテトラメトキシベンゾイン(2)39.67g(0.12mol)と
硫酸銅五水和物 94.4g(0.38mol) を入れ、ピリジン 225
ml, 水170mlを加え、12時間撹拌還流した。還流停止
後、水浴にて冷却し、フラスコ中に水280ml を加えた。
析出した生成物を吸引濾過し、残留物を水で洗浄後真空
減圧乾燥を行い 13.91g の(3) を得た。精製は行わなか
った。得られた化合物は黄色針状結晶で、融点(以下、
m.p.と記すことがある。)は 226.5℃(文献値228 ℃)
であった。粗収率は、36%であった。
【0018】・1H-NMR (CDCl3/TMS,δppm) 3.75(s,12H) 、6.77〜7.67(m,6H) ・IR(KBr pellet , cm-1) 2940,2850(CH2)、1650(CO)、1590,1510(Ph) 、1270(O-P
h)
【0019】(C:3,4,3',4'-テトラヒドロキシベンジ
ル(4) の合成)500ml ナスフラスコ中に、未精製の 3,
4,3',4'- テトラメトキシベンジル(3)3.50g(10.1mmo
l)、47%臭化水素酸135ml 、及び酢酸135ml を入れ、21
時間撹拌還流を行った。還流停止後、反応混合液を1lビ
ーカーに移し、氷浴中撹拌しながら飽和水酸化ナトリウ
ム水溶液をピペットで滴下して中和した。この溶液をエ
−テルを用いて抽出し、有機層を飽和食塩水で水層が中
性になるまで洗浄した。有機層の溶媒を蒸発させ、水を
溶媒として再結晶を行い、得られた固体を減圧加熱乾燥
して2.33gの(4)を得た。得られた化合物は黄色固体
で、m.p.は240.5 ℃であった。収率は83%であった。 ・IR(KBr pellet ,cm-1) 3300(OH)、1590(Ph)、1290(O-Ph)
【0020】(D:3,4,3',4'-テトラドデシロキシベン
ジル(5a)の合成)200ml 三ツ口フラスコ中に、3,4,3',
4'-テトラヒドロキシベンジル(4) 3.00g(10.9mmol) 、
臭化ラウリル12.20g(49.0mmol)、炭酸カリウム(無水)
6.80g(49.2mmol) およびN,N-ジメチルアセトアミド75ml
を入れ、70〜100 ℃で24時間加熱撹拌した。反応液を室
温まで冷却し、クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食
塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、
溶媒を留去し、残った固体を酢酸エチルを溶媒として再
結晶を行い、得られた結晶を減圧乾燥して、8.55gの白
色結晶(5a)を得た。融点は99.5℃で、収率は84%であっ
た。
【0021】・1H-NMR(CDCl3/TMS, δppm) 0.87〜1.00(m,12H) 、1.13〜1.93(m,80H) 、4.00(t,8
H)、6.63〜7.22(m,6H)・IR(KBr pellet ,cm-1) 2930,2860(CH2)、1660(CO)、1580,1510(Ph) 、1260(O-P
h)
【0022】(E:3,4-ビス(3,4-ジドデシロキシフェ
ニル)-4-ヒドロキシ-2- シクロペンテン-1- オン(6a)の
合成)200ml三ツ口フラスコに 3,4,3',4'−テトラドデ
シロキシベンジル(5a)6.00g(6.33mmol) 、カリウム ter
t-ブトキシド 0.40g(3.56mmol)、蒸留アセトン4.68g(8
0.6mmol) 、無水蒸留エタノール130ml 、および蒸留テ
トラヒドロフラン(以下、THFと記入することがあ
る。)10mlを入れ、窒素気流下19時間撹拌還流した。反
応溶液を室温まで冷却後、クロロホルムで抽出し、有機
層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥
させた後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(n-ヘキサン: 酢酸エチル=2:1(v/v%),
Rf=0.56、またはクロロホルム:酢酸エチル=5:1v/v
%、Rf=0.68 )で精製を行い、4.52gの(6a)を得た。得
られた化合物は黄色液晶で、収率は74%であった。
【0023】・1H-NMR(CDCl3/TMS, δppm) 0.90(m,12H) 、1.27(m,80H) 、2.73(s,2H)、3.40〜4.06
(m,8H)、6.27(s,1H)、6.43〜7.03(m,6H) ・IR(neat,cm-1) 3400(OH)、2930,2860(CH2)、1680(CO)、1600,1510(Ph)
、1260(O-Ph)
【0024】化合物(6a)から(9a)を得るために、以下に
示す2つの経路を用いた (スキーム2)。 (経路1) (F:メチル 3,4,3'',4''- テトラドデシロキシ-o- タ
ーフェニル-4'-カルボキシレート(7a)の合成)100ml 三
ツ口フラスコに3,4-ビス(3,4- ジドデシロキシフェニ
ル)-4-ヒドロキシ-2- シクロペンテン-1- オン(6a)4.60
g(4.66mmol) 、プロピオール酸メチル 1.17g(13.9mmo
l)、o-ジクロロベンゼン50mlをいれ、窒素気流下撹拌し
ながら70℃に加熱した。撹拌しながら、p-トルエンスル
ホン酸一水和物0.0478g(0.25mmol)の 1,4−ジオキサン
(2ml) 溶液をゆっくりと適下した。70℃で4 時間加熱
後、8時間40分撹拌還流した。反応溶液を室温まで冷却
後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗
浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減
圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(n-へキサン:クロロホルム=1:2、Rf=0.60 、またはベ
ンゼン:四塩化炭素=1:1、Rf=0.50 )で精製し、2.24g
の(7a)を得た。得られた化合物は黄褐色固体で、m.p.は
55℃、収率は47%であった。
【0025】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.67-1.12(m,12H)、1.12-2.23(m,80H)、3.18-4.18(m,11
H)、6.30-6.83(m,6H)、7.17-8.02(m,3H) ・IR(neat ,cm-1) 2930,2860(CH2)、1720(CO)、1610(Ph)、1260(O-Ph)
【0026】(G:3,4,3'',4''-テトラドデシロキシ-
4'-ヒドロキシメチル-o- ターフェニル(8a)の合成)100
ml 三ツ口フラスコ中で、水素化リチウムアルミニウム
0.17g(4.48mmol) を15mlの蒸留ジエチルエーテル(Et2
O)中に懸濁させた。窒素気流下室温で、懸濁液を撹拌
しながらメチル 3,4,3'',4''- テトラドデシロキシ-o-
ターフェニル-4'-カルボキシレート(7a) 1.15g(1.12mmo
l)の蒸留ジエチルエーテル(20ml)溶液を徐々に滴下し、
滴下終了後、1時間緩やかに撹拌還流させた。氷水で反
応系を冷却した後、少量の水で未反応の水素化リチウム
アルミニウムを急冷し、生じた沈澱を少量の20%硫酸で
溶解させた。反応混合物をジエチルエーテル(以下、Et
2Oと記すことがある。)で抽出し、有機層を飽和食塩水
で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒
を留去して得られた物質は、薄層クロマトグラフィー
(シリカゲル、クロロホルムで展開)によって、単一成
分(8a)である事を確認した。得られた化合物は薄い黄褐
色のシロップで、収率は93%であった。
【0027】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.90(m,12H) 、1.30(m,80H) 、1.70(s,1H)、3.43-4.00
(m,8H) 、4.60(s,2H)、6.40-7.23(m,9H). ・IR(neat ,cm-1) 3330(OH)、2930,2860(CH2)、1610(Ph)、1260(O-Ph)
【0028】(H:ピリジウムジクロメート酸化による
3,4,3'',4''-テトラドデシロキシ-o-ターフェニル-4'-
カルバルデヒド(9a)の合成)10mlナスフラスコに、3,4,
3'',4''-テトラドデシロキシ-4'-ヒドロキシメチル-o-
ターフェニル(8a) 1.54g(1.54mmol)、ピリジウムジクロ
メート(PDC) 0.87g(2.31mmol) 、ジクロロメタン 3mlを
入れ、室温で10時間撹拌した。反応混合物を溶媒(クロ
ロホルム)で洗い込みを行った。次に溶媒を蒸発させ、
シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ベンゼン、Rf=
0.70 )で精製し、1.46g の(9a)を得た。得られた化合
物は、黄白色固体(m.p. 64 〜65℃)で、収率は95%で
あった。
【0029】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.70〜1.10(m,12H)、1.10〜1.97(m,80H)、3.40〜4.13
(m,8H)、6.40〜7.85(m,9H)、9.92(s,1H) ・IR(neat ,cm-1) 2930,2860(CH2)、1700(CO)、1600,1510(Ph)
【0030】(経路2) (I:3,4,3'',4''-テトラドデシロキシ-o- ターフェニ
ル-4'-カルボニトリル(10)の合成)50ml三ツ口フラスコ
に、3,4-ビス(3,4- ジドデシロキシフェニル)-4-ヒドロ
キシ-2- シクロペンテン-1- オン(6a) 1.98g(2.00mmo
l)、シアノアセチレン0.40ml(0.33gに相当,6.39mmol)
、および o−ジクロロベンゼン20mlを入れ、窒素気流
下30℃で撹拌しながら、p-トルエンスルホン酸一水和物
0.02g(0.11mmol)の1,4-ジオキサン2ml溶液を滴下ロー
トでゆっくりと滴下した。滴下終了後、5時間30〜35℃
に保って撹拌した後、16.5時間撹拌還流した。反応溶液
を室温まで冷却し、クロロホルムで抽出した。有機層を
飽和食塩水で洗浄した後無水硫酸ナトリウムで乾燥さ
せ、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィ−(トルエン、Rf=0.68 )で精製し、0.50g の(10)
を得た。得られた化合物は、うす褐色固体(m.p.32℃)
で、収率は27%であった。
【0031】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.63〜1.06(m,12H) 、1.06〜2.00(m,80H) 、3.43〜4.00
(m,8H)、6.27〜7.63(m,9H)、 ・IR(neat ,cm-1) 2930,2860(CH2)、 2230(CN) 、1610(Ph)
【0032】(J:水素化ジイソブチルアルミニウム還
元による3,4,3'',4''-テトラドデシロキシ-o- ターフェ
ニル-4'-カルバルデヒド(9a)の合成)50ml三ツ口フラス
コに3,4,3'',4''-テトラドデシロキシ-o- ターフェニル
-4'-カーボニトリル(10)の 乾燥ベンゼン(20ml)溶液を
入れ、窒素気流下撹拌しながら水素化ジイソブチルアル
ミニウム(以下、DIBAHと記すことがある。)1.5M
トルエン溶液 0.35ml(0.53mmol相当) をシリンジを用い
て滴下し、45℃で8時間撹拌した。反応溶液を氷水で冷
却した後、メタノール0.40g(12.5mmol)のベンゼン(4m
l) 溶液をゆっくり加え、次に水0.20g(11.1mmol) のメ
タノール(4ml) 溶液を加えた。生じた沈澱を20%硫酸で
溶かし、混合液をベンゼンで抽出し、有機層を飽和食塩
水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶
媒を除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(ベンゼン, Rf=0.64 )で精製し、0.29gの(9a)を
得た。これは黄白色の固体(m.p. 62 〜65℃)で、収率
は68%であった。
【0033】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.70〜1.10(m,12H) 、1.10〜1.97(m,80H) 、3.40〜4.13
(m,8H)、6.40〜7.85(m,9H)、9.92(s,1H) ・IR(neat ,cm-1) 2930,2860(CH2)、 1700(CO) 、1600,1510(Ph)
【0034】(K:テトラキス( テトラドデシロキシ-o
- ターフェニル) ポルフィリン(Ia)の合成)50mlナスフ
ラスコに、3,4,3'',4''-テトラドデシロキシ-o- ターフ
ェニル-4'-カルバルデヒド(9a) 1.48g(1.49mmol)、ピロ
ール0.23g(3.43mmol) 、プロピオン酸10mlをいれ、30分
間撹拌還流した。反応溶液を室温まで冷却後水酸化ナト
リウム 5.20g(0.13mol) を加え、ジエチルエーテルを用
いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を除去し、アルミナカ
ラムクロマトグラフィー(べンゼン、Rf=1.00)で精製を
行った。粗収量は0.38g で、粗収率は24%であった。
【0035】この粗生成物はクロリンを含むため、次の
手順でクロリンの酸化を行った。50mlナスフラスコに、
粗テトラキス( テトラドデシロキシ-o- ターフェニル)
ポルフィリン(Ia)0.38g(0.09mmol) 、2,3-ジクロロ-5,6
- ジシアノ-p- ベンゾキノン(以下、DDQと記すこと
がある。)0.14g(0.62mmol) をいれ、溶媒として適量の
クロロホルムと少量のベンゼンをいれ、3時間撹拌還流
した。室温まで冷却し、反応溶媒を除去した後、シリカ
ゲル(ベンゼン,Rf=1.00)次にアルミナ(n−ヘキサ
ン,Rf=0.00、クロロホルム、Rf=1.00 )カラムクロマト
グラフィ−によって精製し、0.22g の( Ia)を得た。こ
れは赤紫色固体で、収率は14%であった。
【0036】・1H-NMR(CDCl3/TMS,δppm) -2.63(s,2H) 、0.56〜0.98(m,48H) 、0.98〜1.93(m,320
H)、3.44〜4.10(m,12H) 、6.52〜8.24(m,36H) 、8.90
(s,8H)、 ・IR(neat,cm-1) 3320(NH)、2930,2860(CH2)、1600,1580(Ph) 、1260(O-P
h) ・UV-Vis(CHCl3, nm) λmax(log ε)=406.3(4.88), 426.7(5.64), 454.8(4.3
4), 519.4(4.28),556.7(4.15), 594.0(3.84), 650.5(3.
91), 679.0(3.87).
【0037】・元素分析 C284H446N4O16 の計算値(%) C:81.75、H:10.77 、N:1.34 実験結果(%) C:82.04、H:10.73 、N:1.19
【0038】〔液晶性の確認〕液晶性の確認は、示差走
査熱量計(理学電機社製サーモフレックス DSC-823
0)、温度制御装置(メトラー社製 FP-82 ホットステ
ージ、メトラー社製 FP-80セントラルプロセッサー)を
備えた偏光顕微鏡装置(オリンパス社製 BH−2)お
よび加熱粉末X線回折装置(理学電機社製、ガイガーフ
レックス)を用いて行った。図6に相転移挙動を、表1
に粉末X線回折測定の結果をまとめた。図6及び表1よ
り明らかなように、本化合物は液晶相としてディスコテ
ィックヘキサゴナルディスオーダードカラムナー
(Dhd)相を示した。
【0039】〔溶解性の確認〕本化合物の各種溶媒への
室温における溶解性を検討したところ、クロロホルム、
ジクロロメタン、ベンゼン、THF、n−ヘキサンおよ
び酢酸エチル等の溶媒に極めて容易に溶解した。またア
セトンには室温では難溶であったが、加熱することによ
り溶解した。エタノールおよびイソプロパノール(以
下、IPAと記すことがある。)には不溶であった。
【0040】実施例2 (テトラキス( テトラオクチロキシ-o- ターフェニル)
ポルフィリン(Ib)の合成)目的化合物の合成は、ス
キーム1に従って行った。なお、化合物(4) の合成まで
は、実施例1と同様の方法で行った。
【0041】(A:3,4,3',4'-テトラオクチロキシベン
ジル(5b)の合成)200ml 三ツ口フラスコ中に、3,4,
3',4'-テトラヒドロキシベンジル (4) 3.12g(11.4mmo
l)、臭化オクチル9.90g(51.3mmol) 、炭酸カリウム(無
水)7.09g(51.3mmol) およびN,N-ジメチルアセトアミド
75mlを入れ、70〜100 ℃で18時間加熱撹拌した。反応液
を室温まで冷却し、クロロホルムで抽出し、有機層を飽
和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた
後、溶媒を留去し、残った固体を酢酸エチルを溶媒とし
て再結晶を行い、得られた結晶を減圧乾燥して、5.63g
の(5b)を得た。これは白色結晶(m.p. 94 ℃)で、収率
は68%であった。
【0042】・ -NMR(CDCl3/TMS, δppm) 0.67〜1.06(m,12H) 、1.10〜2.00(m,48H) 、3.80〜4.13
(t,8H)、6.60〜7.50(m,6H) ・IR(KBr pellet ,cm-1) 2930,2860(CH2)、1660(C=O) 、1580,1505(Ph) 、1260(O
-Ph)
【0043】(B:3,4-ビス(3,4- ジオクチロキシフェ
ニル)-4-ヒドロオキシ-2- シクロペンテン-1- オン(6b)
の合成)200ml 三ツ口フラスコに 3,4,3',4'- テトラオ
クチロキシベンジル (5b) 5.63g(7.79mmol) 、カリウム
tert-ブトキシド 0.22g(1.96mmol)、蒸留アセトン2.26
g(38.9mmol) 、無水蒸留エタノール130ml を入れ、窒素
気流下10時間撹拌還流した。反応溶液を室温まで冷却
後、クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄
した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホル
ム:酢酸エチル=5:1v/v%、Rf=0.60)で精製を行
い、3.24gの(6b)を得た。これは黄色液晶で、収率は55
%であった。
【0044】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.63〜1.07(m,12H) 、1.07〜2.00(m,48H) 、2.67(s,2
H)、3.47(s,1H)、3.57〜3.97(m,8H)、6.37(s,1H)、6.47
〜7.28(m,6H) ・IR(neat ,cm-1) 3350(OH)、2930,2860(CH2)、1675(C=O) 、1590,1510(P
h)、1260(O-Ph)
【0045】(C:メチル 3,4,3'',4''−テトラオクチ
ロキシ-o- ターフェニル-4'-カーボキシレート(7b)の合
成)100ml 三ツ口フラスコに3,4-ビス(3,4- ジオクチロ
キシフェニル)-4-ヒドロオキシ-2- シクロペンテン-1-
オン(6b) 3.23g(4.23mmol)、プロピオール酸メチル1.07
g(12.7mmol) 、o-ジクロロベンゼン30mlをいれ、窒素気
流下撹拌しながら70℃に加熱した。撹拌しながら、p-ト
ルエンスルホン酸一水和物0.04g(0.21mmol)の 1,4- ジ
オキサン(2ml) 溶液をゆっくりと適下した。70℃で4 時
間加熱撹拌後、7時間撹拌還流した。反応溶液を室温ま
で冷却後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩
水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶
媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィ−(ベンゼン、Rf=0.60 )で精製し、1.49gの(7b)を
得た。これは黄褐色シロップ状で、収率は44%であっ
た。
【0046】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.63-1.03(m,12H)、1.03-1.97(m,48H)、3.27-4.00(m,11
H)、6.30-8.00(m,9H)、 ・IR(neat cm-1) 2930,2860(CH2)、1725(ester C=O) 、1600,1580,1510(P
h)
【0047】(D:3,4,3'',4''-テトラオクチロキシ-
4'-ヒドロキシメチル-o- ターフェニル(8b)の合成)1
00ml 三ツ口フラスコ中で、水素化リチウムアルミニウ
ム0.30g(7.91mmol) を20mlの無水ジエチルエーテル中に
懸濁させた。窒素気流下室温で、懸濁液を撹拌しながら
メチル− 3,4,3'',4''- テトラオクチロキシ-o- ターフ
ェニル-4'-カーボキシレート(7b)1.49g(18.6mmol) の無
水エチルエーテル(15ml)溶液を徐々に滴下し、滴下終了
後、1時間緩やかに撹拌還流させた。氷水で反応系を冷
却した後、少量の水で未反応の水素化リチウムアルミニ
ウムを急冷し、生じた沈澱を少量の20%硫酸水溶液で溶
解させた。反応混合物をEt2Oで抽出し、有機層を飽和食
塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(クロロホルム、Rf=0.21 )で精製し、1.30g の
(8b)を得た。これは薄い褐色のシロップ状で、収率は90
%であった。
【0048】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.67-1.03(m,12H)、1.03-1.83(m,48H)、2.26(s,1H)、3.
30-4.00(m,8H) 、4.58(s,2H)、6.33-7.26(m,9H). ・IR(neat cm-1) 3400(OH)、2930,2860(CH2)、1600,1510(Ph) 、1260(O-P
h)
【0049】(E:3,4,3'',4''-テトラオクチロキシ-o
- ターフェニル-4'-カルバルデヒド(9b)の合成)10mlナ
スフラスコに、3,4,3'',4''-テトラオクチロキシ-4'-ヒ
ドロキシメチル-o- ターフェニル (8b) 1.28g(1.66mmo
l) 、ピリジウムジクロメート(PDC) 0.94g(2.50mmol)
、ジクロロメタン 3mlを入れ、室温で13時間撹拌し
た。反応混合物をTHF溶媒で洗い込み、次に溶媒を蒸
発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロ
ホルム、Rf=0.65 )で精製し、1.26g の(9b)を得た。こ
れは褐色がかった黄色シロップ状で、収率は98%であっ
た。
【0050】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.60〜1.00(m,12H)、1.07〜2.00(m,48H)、3.17〜4.00
(m,8H)、6.27〜7.80(m,9H)、9.83(s,1H) ・IR(neat,cm-1) 2930,2860(CH2)、1695(C=O) 、1595,1510(Ph)
【0051】(F:テトラキス( テトラオクチロキシ-o
- ターフェニル) ポルフィリン(Ib)の合成)50mlナスフ
ラスコに、 3,4,3'',4''- テトラオクチロキシ-o- ター
フェニル-4'-カルバルデヒド(9b)1.24g(1.61mmol) 、ピ
ロール0.16g(2.41mmol) 、プロピオン酸9ml をいれ、30
分間撹拌還流した。反応溶液を室温まで冷却後水酸化ナ
トリウム4.80g(0.12mol)を加え、ジエチルエーテルで抽
出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥させた後、溶媒を除去し、アルミナカラムク
ロマトグラフィー( クロロホルム、 Rf=1.00) で精製を
行った。粗収量は0.78gで、粗収率は59%であった。
【0052】この粗生成物はクロリンを含むため、次の
手順でクロリンの酸化を行った。50mlナスフラスコに、
粗テトラキス( テトラオクチロキシ-o- ターフェニル)
ポルフィリン(Ib) 0.78g(0.24mmol)、2,3-ジクロロ-5,6
- ジシアノ-p- ベンゾキノン(DDQ)0.38g(1.67mmo
l) をいれ、溶媒として適量のクロロホルムと少量のベ
ンゼンをいれ、3時間撹拌還流した。室温まで冷却し、
反応溶媒を除去した後、シリカゲル(ベンゼン、クロロ
ホルム、共にRf=1.00 )次にアルミナ(n−ヘキサン、
Rf=0.00 、ベンゼン、Rf=1.00 )カラムクロマトグラフ
ィ−によって精製した。溶媒を除いた残留物をアセトン
から再沈させ、0.22g の(Ib)を得た。これは赤紫色固
体で、収率は17%であった。
【0053】・1H-NMR(CDCl3/TMS, δppm) -2.63(s,2H) 、0.57〜1.00(m,48H) 、1.00〜2.33(m,192
H)、3.44〜4.17(m,32H)、6.47〜8.27(m,36H) 、8.90
(s,8H) ・IR(neat,cm-1) 3320(NH)、2930,2860(CH2)、1600,1580(Ph) 、1260(O-P
h) ・UV-Vis(CHCl3,nm) λ max(log ε)=402.7(4.84), 426.9(5.68), 461.5(4.
34), 519.5(4.31),555.7(4.18), 593.2(3.85), 650.5
(3.94), 683.3(3.89).
【0054】・元素分析 C220H318N4O16 の計算値(%) C:80.69、H:9.79、N:1.71 実験値(%) C:80.71、H:9.80、N:1.55
【0055】〔液晶性の確認〕液晶性の確認は、示差走
査熱量計(理学電機社製サーモフレックス DSC-823
0)、温度制御装置(メトラー社製 FP-82 ホットステ
ージおよびメトラー社製 FP-80 セントラルプロセッサ
ー)を備えた偏光顕微鏡装置(オリンパス社製 BH−
2))を用いて行った。図6に相転移挙動を示した。本
化合物も明らかに液晶相を発現した。
【0056】〔溶解性の確認〕本化合物の各種溶媒への
室温における溶解性を検討したところ、クロロホルム、
ジクロロメタン、ベンゼン、THF、n−ヘキサンおよ
び酢酸エチル等の溶媒に極めて容易に溶解した。またア
セトンには室温では難溶であったが、加熱することによ
り溶解した。エタノールおよびIPAには不溶であっ
た。
【0057】比較例1 (テトラキス( ジドデシロキシ-o- ターフェニル) ポル
フィリン(II)の合成)目的化合物の合成は、図3に
示すスキーム3に従って行った。以下詳細に述べる。
【0058】(A:4,4'ー ジメトキシベンゾイン(11)
の合成)200ml 三ツ口フラスコ中に、p-アニスアルデヒ
ド 25.0g(0.18mol) と、エタノール 50ml,水 25ml を入
れた。さらに、シアン化カリウム 5.06g(77.7mmol)をド
ラフトで計りとり加えた。これらの混合物を窒素気流下
40時間撹拌還流した。還流停止後、室温まで冷却し、
クロロホルムを用いて抽出した。抽出液を水、飽和食塩
水を用いて洗浄し、得られた有機層は無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥させた後、溶媒を除去し、真空減圧乾燥を行い
16.9g の(11)を得た。精製は行わなかった。これは褐色
シロップ状で、粗収率は69%であった。 ・IR(neat ,cm-1) 3450(OH)、3020(Ph)、2950,2840(CH2)、1680(CO)
【0059】(B:4,4'- ジメトキシベンジル(12) の
合成)300ml ナスフラスコ中に、未精製の4,4'ー ジメト
キシベンゾイン(11) 16.87gと硫酸銅五水和物 30.96g
(0.12mol)を入れ、ピリジン 60ml 、および水 40ml を
加え、10時間30分撹拌還流した。還流停止後、水浴にて
冷却し、フラスコ中に水を加えた。析出した生成物を吸
引濾過し、残留物を水で数回洗浄後少量のメタノールで
洗浄し、真空減圧乾燥を行い 8.20gの(12)を得た。これ
は黄色固体(m.p.128℃)で、粗収率は49%であった。 ・1H-NMR (CDCl3/TMS,δppm) 3.80(s,6H)、6.77〜7.67(m,8H) ・IR(Nujol mull ,cm-1) 2930,2860(CH2)、1660(CO)
【0060】(C:4,4'- ジヒドロキシベンジル(13)
の合成)500ml ナスフラスコ中に、未精製の 4,4'-ジメ
トキシベンジル(12) 3.50g(13.0mmol)、47%臭化水素酸
190ml 、及び酢酸120ml を入れ、11時間撹拌還流を行っ
た。還流停止後、反応混合液を1lビーカーに移し、氷浴
中撹拌しながら飽和水酸化ナトリウム水溶液をピペット
で滴下して中和した。この溶液をエ−テルを用いて抽出
し、有機層を飽和食塩水で水層が中性になるまで洗浄し
た。有機層の溶媒を蒸発させ、残留物をメタノール−水
から再結晶し、得られた結晶を減圧加熱乾燥して2.64g
の(13)を得た。これは褐色の針状結晶(m.p.247-249.5
℃)で、収率は84%であった。 ・IR(KBr pellet ,cm-1) 3400(OH)、1640(CO)、1590(Ph)
【0061】(D:4,4'- ジドデシロキシベンジル(14)
の合成)200ml 三ツ口フラスコ中に、4,4'- ジヒドロ
キシベンジル(13) 4.00g(16.5mmol)、臭化ラウリル 1
0.25g(41.0mmol)、炭酸カリウム(無水)5.67g(41.0mmo
l)およびN,N-ジメチルアセトアミド85mlを入れ、90℃で
12時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、クロロ
ホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水
硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去し、残った
固体をイソプロピルアルコールから再結晶し、得られた
結晶を減圧乾燥して7.90g の(14)を得た。これは黄白色
結晶(m.p. 67.5 ℃)で、収率は84%であった。
【0062】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.67〜1.03(m,12H) 、1.08〜1.93(m,40H) 、3.97(t,8H,
J=6.0Hz)、6.77(d,4H,J=8.4Hz)、7.77(d,4H,J=8.4Hz). ・IR(Nujol mull,cm-1) 2930,2860(CH2)、1655(CO)、1595(Ph)、1265(O-Ph)
【0063】(E:3,4-ビス(4- ドデシロキシフェニ
ル)-4-ヒドロキシ-2- シクロペンテン-1- オン (15) の
合成)200ml 三ツ口フラスコに 4,4'-ジドデシロキシベ
ンジル(14) 6.00g (10.4mmol) 、カリウム tert-ブトキ
シド 0.29g(2.58mmol)、蒸留アセトン4.02g(69.2mmol)
、無水蒸留エタノール100ml を入れ、窒素気流下18時
間撹拌還流した。反応溶液を室温まで冷却後、溶媒を除
去した後、残留物をクロロホルムと水で抽出し、有機層
を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥さ
せた後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(クロロホルム:酢酸エチル=5:1v/v%、Rf=
0.54 )で精製を行い、3.16g の(15)を得た。これは黄
白色固体(m.p.66〜69℃)で、収率は49%であった。
【0064】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.65〜1.00(m,6H)、1.13〜1.90(m,40H)、2.70(s,2H)、
3.50(s,1H)、3.80(t,4H)、6.27(s,1H)、6.47〜7.57(m,8
H) ・IR(neat ,cm-1) 3380(OH)、2930,2860(CH2)、1680(CO)、1605,1510(Ph)
、1250(O-Ph)
【0065】(F:メチル 4,4''- ジドデシロキシ-o-
ターフェニル-4'-カーボキシレート(16)の合成)100ml
三ツ口フラスコに3,4-ビス(4- ドデシロキシフェニル)-
4-ヒドロキシ-2- シクロペンテン-1- オン (15) 3.00g
(4.85mmol) 、プロピオール酸メチル1.22g(14.5mmol)
、o-ジクロロベンゼン30mlを入れ、撹拌しながら70℃
に加熱した。撹拌しながら、p-トルエンスルホン酸一水
和物0.05g(0.26mmol)の 1,4-ジオキサン(2ml)溶液を徐
々に適下した。70℃で3 時間加熱後、16時間撹拌還流し
た。反応溶液を室温まで冷却後、クロロホルムで抽出し
た。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去した後、シリカゲル
カラムクロマトグラフィ−(ベンゼン:四塩化炭素=1:
1、Rf=0.50 )で精製し、2.26g の(16)を得た。これは
黄褐色シロップ状で、粗収率71%であった。
【0066】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.90(m,6H)、1.27(m,40H) 、3.80(m,7H)、6.47-7.87(m,
11H). ・IR(neat cm-1) 2930,2860(CH2)、1725(CO)、1610(Ph)、1250(O-Ph).
【0067】(G:4,4''-ジドデシロキシ-4'-ヒドロキ
シメチル-o- ターフェニル(17)の合成)200ml 三ツ口フ
ラスコ中で、水素化リチウムアルミニウム0.51g(13.4mm
ol) を20mlの蒸留Et2O中に懸濁させた。窒素気流下室温
で、懸濁液を撹拌しながらメチル 4,4''- ジドデシロキ
シ-o- ターフェニル-4'-カーボキシレート(16) 2.25g
(3.42mmol)の蒸留Et2O(30ml)溶液を徐々に滴下し、滴下
終了後1時間緩やかに撹拌還流させた。氷水で反応系を
冷却した後、少量の水で未反応の水素化リチウムアルミ
ニウムを急冷し、生じた沈澱を少量の20%硫酸水溶液で
溶解させた。反応混合物をEt2Oで抽出し、有機層を飽和
食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ
た。溶媒を留去して得られた物質をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(クロロホルム、Rf=0.40 )によっ
て、0.91g の(17)を得た。これは黄色固体(m.p.47.5
℃)で、収率は42%であった。
【0068】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.90(m,6H)、1.27(m,40H) 、1.93(s,1H)、3.80(t,4H,J=
6Hz)、4.53(s,2H)、6.47-7.13(m,11H). ・IR(neat cm-1) 3330(OH)、2930,2860(CH2)、1610(Ph)、1250(O-Ph)
【0069】(H:4,4''-ジドデシロキシ-o- ターフェ
ニル-4'-カーボアルデヒド(18) の合成)10mlナスフラ
スコに、4,4''-ジドデシロキシ-4'-ヒドロキシメチル-o
- ターフェニル(17) 0.84g(1.34mmol)、ピリジニウムジ
クロメート(PDC) 0.75g(1.99mmol) 、ジクロロメタン 2
mlを入れ、室温で10時間撹拌した。反応混合物をクロロ
ホルムで洗い込み、得られた溶液の溶媒を蒸発させた。
残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ベンゼ
ン、Rf=0.60 )で精製し、0.80g の(9a)を得た。これは
黄色シロップ状で、収率は95%であった。
【0070】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.90(m,6H)、1.30(m,40H) 、3.83(t,4H,J=6.0Hz)、6.40
〜7.77(m,11H) 、9.87(s,1H) ・IR(neat ,cm-1) 2930,2860(CH2)、1700(CO)、1610,1515(Ph)
【0071】(I:テトラキス( ジドデシロキシ-o- タ
ーフェニル) ポルフィリン(II)の合成)30mlナスフ
ラスコに、 4,4''-ジドデシロキシ-o-ターフェニル-4'-
カルバルデヒド(18) 0.76g(1.21mmol)、ピロール0.29g
(4.32mmol) 、プロピオン酸8ml をいれ、30分間撹拌還
流した。反応溶液を室温まで冷却後水酸化ナトリウム
4.28g(0.11mol) を加え、ジエチルエーテルを用いて抽
出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥させた後、溶媒を除去し、アルミナカラムク
ロマトグラフィー( クロロホルム、 Rf=1.00) で精製を
行った。粗収量は0.33gで、粗収率は40%であった。
【0072】この粗生成物はクロリンを含むため、次の
手順でクロリンの酸化を行った。50mlナスフラスコに、
粗テトラキス( ジドデシロキシ-o- ターフェニル) ポル
フィリン (II) 0.33g 、2,3-ジクロロ-5,6- ジシアノ-p
- ベンゾキノン(DDQ)0.19g(0.84mmol) を入れ、溶
媒として適量のクロロホルムと少量のベンゼンをいれ、
3時間撹拌還流した。室温まで冷却し、反応溶媒を除去
した後、シリカゲル(クロロホルム、Rf=1.00 )次にア
ルミナ(四塩化炭素、Rf=0.00 およびベンゼン、Rf=1.0
0 )カラムクロマトグラフィ−によって精製し、n−ヘ
キサン及び酢酸エチルから再結晶させ、0.12gの(II)
を得た。これは紫色固体で、収率は15%であった。
【0073】・1H-NMR(CDCl3/TMS, δppm) -2.53(s,2H) 、0.90(m,24H) 、1.67(m,160H)、3.77(m,1
6H) 、6.40〜8.30(m,44H) 、8.90(s,8H) ・IR(Film,cm-1) 3320(NH)、2930,2860(CH2)、1610,1510(Ph) ・UV-Vis(CHCl3,nm) λmax log ε)=426.6(5.89), 462.3(4.96), 519.7(4.2
7), 556.9(4.17),594.2(3.83), 650.7(3.92), 678.4(3.
92). ・元素分析 C188H254N4O8の計算値(%) C:83.69、H:9.49、N:2.08 実験結果(%) C:83.78、H:9.46、N:1.99
【0074】〔液晶性の確認〕液晶性の確認は、示差走
査熱量計(理学電機社製サーモフレックス DSC-823
0)、温度制御装置(メトラー社製 FP-82 ホットステ
ージおよびメトラー社製 FP-80 セントラルプロセッサ
ー)を備えた偏光顕微鏡装置(オリンパス社製 BH−
2))を用いて行った。図6に相転移挙動を示した。表
2から明らかなように、本化合物は液晶性を示さず、二
重融解挙動が200℃を越える高温で観察されたのみで
あった。
【0075】実施例3 (ビス( テトラドデシロキシ-o- ターフェニル) ポルフ
ィリン(III) の合成)目的化合物の合成は、スキーム1
およびスキーム4の経路に従って行った。以下詳細に述
べる。ここで、化合物(19)から(21)までの合成法は、Ra
poportらの方法、すなわちジャーナル・オブ・アメリカ
ン・ケミカル・ソサイエティ第84巻630頁(196
2年)記載の方法に従い、(22)の合成は、Chong らの方
法、すなわち、オーストラリアン・ジャーナル・オブ・
ケミストリー第22巻229頁(1969年)に記載の
方法を参考にした。尚、化合物(1) から(9a)までの合成
は、実施例1に記載の方法に準じて行った。
【0076】(A:ピロール−2−カルボン酸ナトリウ
ム(20) の合成)ピロール−2−カルボン酸(19) 1.11g
(10.0mmol)を少量の水に溶かし、0.1N水酸化ナトリウム
水溶液を徐々に加え、pH=8に調製した。溶媒を除去して
得られた結晶を減圧乾燥し、1.31g の(20)を得た。これ
は白色結晶で、粗収率は98%であった。 ・IR(KBr pellet,cm-1) 3250(NH) 1430
【0077】(B:2,2'−ジピリルケトン(21)の合成)
200ml 三ツ口フラスコ中に、ピロール−2−カルボン酸
ナトリウム(20)1.31gを乾燥ベンゼン25mlに懸濁させ、
オイルバスで50℃に加熱した。オキサリルクロライド1.
22g(9.5mmol)の乾燥ベンゼン(25ml)溶液を滴下し、50℃
で45分間加熱撹拌した。そこへ新たに調製したピリルグ
リニャール試薬のエーテル溶液をシリンジで加え、50℃
で30分間撹拌した。30mlの飽和塩化アンモニウム水溶液
を加えて反応を止め、有機層と水層を分離した。水層は
クロロホルムで抽出し、有機層は飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾
燥させた後、溶媒を除去し、残留物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(クロロホルム、Rf=0.17 )で精製
し、0.64g の(21)を得た。これは濁ったサーモンピンク
色の結晶(m.p. 158〜159.5 ℃)(文献値160 〜161
℃)で、収率は41%であった。なおピリルグリニャール
試薬は以下に記載する方法で調製した。100ml 三ツ口フ
ラスコに、マグネシウム(削状)0.41g(16.9mmol) と、
マグネシウムが浸るくらいの無水Et2Oを入れ、ヨウ化エ
チル2.62g(16.8mmol) の無水Et2O(10ml)溶液を撹拌しな
がら穏やかに還流するようにゆっくりと滴下した。滴下
終了後、室温で1時間撹拌した。ピロール1.00g(14.9mm
ol) の無水Et2O(14ml)溶液を加え、45分間撹拌還流さ
せ、その後室温まで冷却した。 ・1H-NMR(CDCl3/TMS, δppm) 6.13〜7.17(m,6H)、8.23(br,2H) ・IR(Nujol mull,cm-1) 3330, 1590, 1570, 1550, 1410.
【0078】(C:2,2'−ジピリルメタン (22) の合
成)50ml三ツ口フラスコ中に、2,2'−ジピリルケトン
(21)0.34g(2.12mmol) 、水素化ホウ素ナトリウム1.02
g(27.0mmol) 、エタノール10ml、モルホリン0.4ml を入
れ、撹拌還流した。還流30分後に水3ml を加え、更に4
時間30分撹拌還流した。室温まで冷却し、石油エーテル
を用いて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機
層は無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を除去
し、0.28g の(22)を得た。これは白色結晶(m.p. 74.5
〜75℃(文献値73℃))で、粗収率は90%であった。
【0079】・1H-NMR(CDCl3/TMS, δppm) 3.77(s,2H)、5.73〜6.57(m,6H)、7.37(br,2H) ・IR(Nujol mull,cm-1) 3340
【0080】(D:ビス( テトラドデシロキシ-o- ター
フェニル) ポルフィリン(III) の合成)500ml 三ツ口フ
ラスコ中に、3,4,3'',4''-テトラドデシロキシ-o- ター
フェニル-4'-カルバルデヒド(9a) 1.43g(1.44mmol)、2,
2'−ジピリルメタン(22) 0.22g(1.50mmol)、ジクロロメ
タン250ml 、およびトリフルオロ酢酸 7滴をいれ、室温
で15時間撹拌した。その後クロラニル 1.42g(5.78mmol)
を加え、1時間撹拌還流した。室温まで冷却後、溶媒を
除去し、残留物をアルミナ(クロロホルム;Rf=1.00、
ベンゼン;Rf=1.00、四塩化炭素;Rf=0.00 )およびシ
リカゲル(クロロホルム;Rf=1.00 )カラムクロマトグ
ラフィーによって精製し、更に酢酸エチルを溶媒として
2回再結晶を行って、0.48g の(III) を得た。これは赤
茶色の固体で、収率は30%であった。
【0081】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) -3.00(br,2H)、0.87(m,24H) 、1.23(m,160H)、3.50〜4.
13(m,16H) 、6.47〜8.40(m,18H) 、9.23(s,8H)、10.1
(s,2H) ・IR(neat ,cm-1) 3300(NH)、2930,2860(CH2)、1610,1590(Ph) ・UV-Vis(CHCl3, nm) λmax (logε)=412.7(5.46), 505.6(4.17), 542.4(4.0
7), 578.0(3.83),632.5(3.49). ・元素分析 C152H230N4O8の計算値(%) C:81.45、H:10.34 、N:2.50 実験値(%) C:81.72、H:10.36 、N:2.38
【0082】〔液晶性の確認〕液晶性の確認は、示差走
査熱量計(理学電機社製サーモフレックス DSC-823
0)、温度制御装置(メトラー社製 FP-82 ホットステ
ージ、メトラー社製 FP-80セントラルプロセッサー)を
備えた偏光顕微鏡装置(オリンパス社製 BH−2)お
よび加熱粉末X線回折装置(理学電機社製 ガイガーフ
レックス)を用いて行った。図6に相転移挙動を、表1
に粉末X線回折測定の結果をまとめた。図6及び表1よ
り明らかなように、本化合物は液晶相としてディスコテ
ィックレクタンギュラーディスオーダードカラムナー
(Drd)相を示した。
【0083】〔溶解性の確認〕本化合物の各種溶媒への
室温における溶解性を検討したところ、クロロホルム、
ジクロロメタン、ベンゼン等の溶媒に極めて容易に溶解
した。またn−ヘキサンおよび酢酸エチルには室温では
難溶であったが、加熱することにより溶解した。アルコ
ール類には不溶であった。
【0084】実施例4 (ビス(ジドデシロキシフェニル)ポルフィリン(I
V)の合成)目的化合物の合成は、スキーム5の経路に
従った。以下詳細に述べる。 (A:3,4-ジドデシロキシベンズアルデヒド(23)の合
成)200ml 三ツ口フラスコに、3,4-ジヒドロキシベンズ
アルデヒド 3.00g(21.7mmol)、臭化ラウリル 11.9g(47.
8mmol)、水酸化カリウム 2.68g(47.8mmol)、および相間
移動触媒アリコット336を1滴入れ、120 ℃で3 時間
加熱撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、エーテル
を用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、得ら
れた固体をメタノールを溶媒として2度再結晶を行い、
5.48g の(23)を得た。これは白色結晶(m.p. 72.5 ℃)
で、収率は53%であった。
【0085】・1H-NMR(CCl4/TMS,δppm) 0.88(m,6H)、1.30(m,40H) 、4.00(t,4H,J=6.00Hz) 、6.
67〜7.40(m,3H)、9.67(s,1H) ・IR(Nujol mull ,cm -1 ) 2930,2860(CH2)、1690(C=O) 、1590(Ph).
【0086】(B:ビス( ジドデシロキシフェニル) ポ
ルフィリン(IV)の合成)300ml 三ツ口フラスコ中
に、3,4-ジドデシロキシベンズアルデヒド(23) 0.39g
(0.82mmol)、2,2'−ジピリルメタン(22) 0.12g(0.82mmo
l)、ジクロロメタン150ml 、およびトリフルオロ酢酸 4
滴をいれ、室温で15時間撹拌した。その後クロラニル
0.80g(3.25mmol)を加え、1時間撹拌還流した。室温ま
で冷却後、溶媒を除去し、残留物をシリカゲル(クロロ
ホルム;Rf=0.95、ベンゼン;Rf=0.95)およびアルミナ
(ベンゼン;Rf=1.00)カラムクロマトグラフィーによ
って精製し、更にアセトンを溶媒として再結晶を行っ
て、0.02g の(IV)を得た。これは紫色の固体で、収
率は4%であった。
【0087】・1H-NMR(CDCl3/TMS, δppm) -3.00(br,2H)、0.90(m,12H) 、1.30(m,80H) 、4.13, 4.
27(t+t,8H)、 7.30 〜7.80(m,6H)、9.07, 9.27(d+d,8
H)、10.2(s,2H) ・IR(neat ,cm-1 3300(NH)、2930,2860(CH2)、1600,1580(Ph) ・UV-Vis(CHCl3, nm) λmax (logε)=412.5(5.58), 443.2(4.27)(sh), 504.9
(4.30), 542.2(4.19),580.4(4.06), 636.2(3.78).
【0088】・元素分析 C80H118N4O4 の計算値(%) C:80.08、H:9.91、N:4.67 実験値(%) C:80.17、H:9.94、N:4.26
【0089】〔液晶性の確認〕液晶性の確認は、示差走
査熱量計(理学電機社製サーモフレックス DSC-823
0)、温度制御装置(メトラー社製 FP-82 ホットステ
ージ、メトラー社製 FP-80セントラルプロセッサー)を
備えた偏光顕微鏡装置(オリンパス社製 BH−2)お
よび加熱粉末X線回折装置(理学電機社製 ガイガーフ
レックス)を用いて行った。図6に相転移挙動を、表1
に粉末X線回折測定の結果をまとめた。図6及び表1よ
り明らかなように、本化合物は液晶相としてディスコテ
ィックラメラ(DL )相を示した。
【0090】〔溶解性の確認〕本化合物の各種溶媒への
室温における溶解性を検討したところ、クロロホルム、
ジクロロメタン、ベンゼンおよびn−ヘキサン等の溶媒
に極めて容易に溶解した。アセトンには難溶であった。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】本発明のポリフィリン系化合物は、温度
によりヘキサゴナルカラムナー相とディスコティックラ
メラ相等の液晶性を有し、また分子内に多くの共役構造
を有するので有機光電材料、例えば表示材料、光導電性
材料として有用である。また、汎用の溶媒に溶解するの
で合成反応を行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】テトラキス(テトラアルコキシ−o−ターフェ
ニル)ポリフィリンの合成経路を示す図(スキーム
1)。
【図2】3,4−ビス(3,4−ジアルコキシフェニ
ル)−4−ヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン
から3,4,3”,4”−テトラアルコキシ−4’−ヒ
ドロキシメチル−o−ターフェニル−4’−カルバルデ
ヒドまでの合成経路を示す図。
【図3】(テトラキス(ジヒドロキシ−o−ターフェニ
ル)ポリフィリンの合成経路を示す図(比較例1)。
【図4】ビス(テトラアルコキシ−o−ターフェニル)
ポリフィリンの合成経路を示す図(スキーム4)。
【図5】ビス(ジアルコキシフェニル)ポリフィリンの
合成経路を示す図(スキーム5)
【図6】相転移挙動を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 487/22 C09K 19/34 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(A)で表されるフェニルポル
    フィリン系化合物。 【化1】 (ここで、R1 は水素原子または下記一般式(B)で表
    される置換基である。 【化2】 ここでR2 は、炭素数4以上22以下の直鎖状または分
    岐状のアルコキシ基である。R3 は炭素数4以上22以
    下の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基または下記一
    般式(C)で表される置換基である。 【化3】 ここでR4 は炭素数4以上22以下の直鎖状または分岐
    状のアルコキシ基である。)
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