JP3247313B2 - 撥水性被膜とその製造方法及びその装置と撥水性塗料組成物 - Google Patents

撥水性被膜とその製造方法及びその装置と撥水性塗料組成物

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JP3247313B2 JP01713897A JP1713897A JP3247313B2 JP 3247313 B2 JP3247313 B2 JP 3247313B2 JP 01713897 A JP01713897 A JP 01713897A JP 1713897 A JP1713897 A JP 1713897A JP 3247313 B2 JP3247313 B2 JP 3247313B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥水性被膜及びそ
の製造方法及びそれを用いた装置と撥水性塗料組成物に
関するものである。さらに詳しくは、少なくともフッ化
炭素基を含む微結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な薄膜
よりなる撥水性被膜及びその製造方法と装置、それに用
いる撥水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、空調機器等の熱交換器のフィン
は、運転時の結露水の脱離を容易にするため、表面を親
水性樹脂でコートする方法が用いられてきた。しかしな
がら、表面を親水性化する方法では、寒冷地では冬季結
露水が凍結してしまい(着霜)、この凍結水は脱離困難
であり運転効率が低下するため、ときどき空調運転を止
めて凍結水を融解除去(除霜)する必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術は、余分
な除霜用のヒーターを設置したり、除霜エネルギーを必
要とするため効率が極めて悪いという問題があった。ま
た、ときどき空調運転を停止するため快適性にも問題が
あった。
【0004】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、水滴に対する高い接触角と優れた撥水性を有する被
膜及びその製造方法を提供することを目的とする。さら
には、空調機器の結露水の除去を容易にして、熱交換器
のフィンの凍結を防止し、空調運転の連続運転を可能に
する撥水性被膜とその製造方法及びその装置と撥水性塗
料組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の第一の被膜は、基板表面にフッ化炭素基を
含むポリマーで形成された薄膜であって、前記薄膜は微
結晶ポリマーを含む表面が凸凹な薄膜であり、かつ前記
薄膜を構成する分子の一部は基板表面と共有結合してい
ることを特徴とする。
【0006】このような構成とすることにより、水滴に
対する高い接触角と優れた撥水性を有する被膜を提供で
きる。また、基材表面の離水性を向上できる。前記構成
においては、フッ化炭素基を含む微結晶ポリマーが、少
なくともシロキサン(−SiO−)結合またはチタン−
酸素(−TiO−)結合で架橋されていることが好まし
い。この例によれば、耐久性に優れ、さらに基材表面の
離水性を向上させることができる。
【0007】本発明の第二の被膜は、核としての微粒子
またはウイスカーと、前記微粒子またはウイスカーを包
むように形成されたフッ化炭素基を含む微結晶ポリマー
を含む、表面が凸凹な薄膜であることを特徴とする。
【0008】このような構成とすることにより、水滴に
対する高い接触角と優れた撥水性を有する被膜を提供で
きる。また、基材表面の離水性を向上できる。前記構成
においては、フッ化炭素基を含む微結晶ポリマーが、少
なくともシロキサン(−SiO−)結合またはチタン−
酸素(−TiO−)結合で架橋されていることが好まし
い。この例によれば、耐久性に優れ、さらに基材表面の
離水性を向上させることができる。
【0009】また前記構成においては、シロキサン結合
またはチタン−酸素結合で架橋したフッ化炭素基を含む
微結晶ポリマーが加水分解反応で形成されていることが
好ましい。この例によれば、不純物含有量が少なく、耐
久性に優れ、且つ基材表面の離水性を向上できる。
【0010】また前記構成においては、表面の凸凹が、
0.1〜100μmの範囲の凸凹であることが好まし
い。この例によれば、不純物含有量が少なく、耐久性に
優れ、超撥水性があり、且つ基材表面の離水性を向上で
きる。
【0011】また前記構成においては、薄膜の厚さが、
0.1〜100μmの範囲であることが好ましい。この
例によれば、耐久性に優れ、超撥水性があり、且つ基材
表面の離水性を向上できる。
【0012】また前記構成においては、薄膜が、白濁ま
たは不透明であることが好ましい。この例によれば、結
晶の強度が高く、耐久性に優れ、超撥水性があり、且つ
基材表面の離水性を向上できる。
【0013】次に本発明の撥水性熱交換器フィンは、基
材表面にフッ化炭素基を含む表面が凹凸な撥水性被膜を
形成したことを特徴とする。この構成により、空調機器
の結露水の除去を容易にして、熱交換器のフィンの凍結
を防止し、空調運転の連続運転を可能にすることができ
る。
【0014】前記構成においては、表面を凸凹に加工し
た基材の表面に、撥水性被膜が形成されていることが好
ましい。すなわち、表面を凸凹に加工した基材の表面に
フッ化炭素基を含む微結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹
な薄膜を形成したことにより、撥水性熱交換器フィンの
基材表面の離水性を向上させることができる。
【0015】また前記フィンにおいては、基材表面の凸
凹が、0.1〜50μmの範囲の凸凹であることが好ま
しい。この構成により、さらに被膜の剥離が生じ難く、
耐久性に優れ、超撥水性があり、且つ基材表面の離水性
を向上させることができる。
【0016】次に本発明の空調機器は、撥水性被膜を形
成したフィンを熱交換部に用いたものである。この構成
によれば、撥水効率が極めて高く、快適性にも優れた省
エネルギー型の空調機器を提供できる。すなわち、寒冷
地においても空調機器の結露水の除去を容易にして、熱
交換器のフィンの凍結を防止し、空調運転の連続運転を
可能にできる。
【0017】次に本発明の撥水性塗料組成物は、Siま
たはTiを含む加水分解性基及びフッ化炭素基を含む物
質と、微粒子またはウイスカーと非水系の有機溶媒とを
少なくとも含むものである。この塗料によれば、撥水性
被膜の製造効率を極めて高くできる。
【0018】前記撥水性塗料組成物においては、非水系
の有機溶媒がキシレン、トルエン、ノルマルパラフィ
ン、及びシリコーンから選ばれる少なくとも一つである
ことが好ましい。このような溶媒を用いると、撥水性被
膜の製造時微結晶を効率よく成長させることができる。
【0019】また前記撥水性塗料組成物においては、S
iまたはTiを含む加水分解性基とフッ化炭素基を含む
物質が、CF3−(CF2n−(R)m−SiXpCl3-p
(ここで、nは0または整数、Rはアルキレン基、ビ
ニレン基、エチニレン基、フェニレン基を含むアリーレ
ン(arylen)基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換
基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシ
基,イソシアネート基、含フッ素アルキル基又は含フッ
素アルコキシ基の置換基、pは0、1、2または3)で
表される物質を主成分として用いることが好ましい。こ
のような物質を用いることにより、撥水性被膜の撥水性
および耐久性をさらに向上できる。
【0020】前記撥水性塗料組成物においては、Si及
びTiから選ばれる少なくとも一つの元素を含む加水分
解性基及びフッ化炭素基を含む物質の配合量が1〜50
重量%、微粒子及びウイスカーから選ばれる少なくとも
一つのフィラーの配合量が1〜30重量%、非水系の有
機溶媒の配合量が20〜98重量%の範囲であることが
好ましい。
【0021】次に本発明の第一の撥水性被膜の製造方法
は、少なくともSiまたはTiを含む加水分解性基とフ
ッ化炭素基を一分子内に含む物質を基材表面に塗布する
工程と、前記物質よりなる被膜を水分を含む雰囲気中で
加水分解反応させつつ微結晶化させて少なくともシロキ
サン結合またはチタン−酸素(−TiO−)結合で架橋
したフッ化炭素基を含む微結晶ポリマーを含む薄膜を形
成することを特徴とする。この構成によれば、耐久性と
超撥水性と離水性に優れた被膜を効率良く合理的に提供
できる。
【0022】次に本発明の第二の撥水性被膜の製造方法
は、SiまたはTiを含む加水分解性基及びフッ化炭素
基を含む物質と、微粒子またはウイスカーを含む塗料組
成物を塗布する工程と、前記塗料組成物よりなる被膜を
水分を含む雰囲気中で加水分解反応させつつ微結晶化さ
せて、少なくとも微粒子またはウイスカーとシロキサン
結合またはチタン−酸素結合で架橋したフッ化炭素基を
含む微結晶ポリマーとを含む薄膜を作製するものであ
る。この方法により、耐久性に優れ、超撥水性があり、
且つ離水性に優れた被膜を効率良く合理的に提供でき
る。
【0023】前記製造方法においては、SiまたはTi
を含む加水分解性基が、ハロシリル基、アルコキシシリ
ル基、シラン基、イソシアネートシラン基、アルコキシ
チタン基、ハロゲン化チタン基、イソシアネートチタン
基から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
この例によれば、不純物含有量が少なく、さらに耐久性
に優れ、超撥水性があり、且つ離水性に優れた被膜を提
供できる。
【0024】本発明においては、少なくともフッ化炭素
基を含む微結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な薄膜で構
成する。このとき、フッ化炭素基を含む微結晶ポリマー
が少なくともシロキサン結合またはチタン−酸素(−T
iO−)結合で架橋されていると耐久性の点で好都合で
ある。また、シロキサン結合またはチタン−酸素結合で
架橋したフッ化炭素基を含む微結晶ポリマーが加水分解
反応で作製されているとさらに耐久性に優れる。また、
表面の凸凹が少なくとも0.1〜100μm、より好ま
しくは0.5〜50μmの凸凹にしておくと極めて高い
撥水性が得られ、離水性に優れた被膜が得られる。特
に、0.5〜50μmの凸凹であれば、水に対する接触
角160°以上が得られる。
【0025】このような被膜の製造方法には、少なくと
もSiまたはTiを含む加水分解性基とフッ化炭素基を
含む物質を塗布した後、前記物質よりなる被膜を水分を
含む雰囲気中で加水分解反応させつつ微結晶を成長させ
る方法が利用でき、少なくともシロキサン結合またはチ
タン−酸素結合で架橋したフッ化炭素基を含む微結晶ポ
リマーを含む薄膜を作製できる。このとき、Siまたは
Tiを含む加水分解性基がハロシリル基、アルコキシシ
リル基、シラン基やイソシアネートシラン基、またはア
ルコキシチタン基、ハロゲン化チタン基やイソシアネー
トチタン基であると加水分解反応を極めて容易に生じさ
せることが可能であり製造工程上好都合である。
【0026】次に本発明を熱交換器フィンに応用する場
合は、基材表面を凸凹に粗面化する工程と、Siまたは
Tiを含む加水分解性基とフッ化炭素基を含む物質を前
記基材表面に塗布する工程と、前記物質よりなる被膜を
水分を含む雰囲気中で加水分解反応させつつ微結晶化さ
せてシロキサン結合またはチタン−酸素結合で架橋した
フッ化炭素基を含む微結晶ポリマーを含む薄膜を前記基
板表面に形成する工程を含むことを特徴とする。前記方
法により、耐久性に優れ、超撥水性があり、且つ離水性
に優れた熱交換器フィンを効率良く合理的に製造でき
る。
【0027】前記方法においては、SiまたはTiを含
む加水分解性基がハロシリル基、アルコキシシリル基、
シラン基、イソシアネートシラン基、アルコキシチタン
基、ハロゲン化チタン基及びイソシアネートチタン基か
ら選ばれる少なくとも一つの有機基であることが好まし
い。この構成により、不純物含有量が少なく、さらに耐
久性に優れ、超撥水性があり、且つ離水性に優れた熱交
換器フィンを提供できる。 次に本発明の加水分解硬化
性塗料塗布装置は、加水分解硬化性の塗料を入れる浸漬
槽と、前記浸漬槽に入れた加水分解硬化性の塗料の表面
が大気中の湿気成分と直接接触しないようにするための
シール気体供給手段を、前記浸漬槽の気相部に備えたも
のである。このようにしたことにより、加水分解硬化性
の塗料を塗布する際、空気中の水分による塗料の劣化を
防止しつつ、開放系システムを用いて連続的に塗布処理
することができる。
【0028】前記装置においては、シール気体が乾燥し
た空気、または空気より重い気体であることが好まし
い。前記において、乾燥空気を用いる場合は連続的に流
通させることが好ましく、空気より重い気体を用いる場
合は拡散の程度に応じて時々流通させる。
【0029】次に本発明の加水分解硬化性塗料の塗布方
法は、少なくともSiまたはTiを含む加水分解性基と
フッ化炭素基を含む化合物と非水性溶媒を含む加水分解
硬化性の塗料を入れる浸漬槽と、前記浸漬槽の気相部に
シール気体供給手段を接続した塗布装置を用いて、シー
ル気体を供給して前記浸漬槽に入れた加水分解硬化性の
塗料の表面が、大気中の湿気成分と直接接触しないよう
にシールし、前記シール気体を通過させて基材を浸漬し
て引き上げることにより基材表面に加水分解硬化性の塗
料を塗布するものである。この方法により、加水分解硬
化性の塗料を塗布する際、空気中の水分による塗料の劣
化を防止しながら塗布できる。もちろん、開放系システ
ムを用いて連続的に塗布処理することができる。
【0030】前記方法においては、SiまたはTiを含
む加水分解性基が、ハロシリル基、アルコキシシリル
基、シラン基、イソシアネートシラン基、アルコキシチ
タン基、ハロゲン化チタン基、及びイソシアネートチタ
ン基から選ばれる少なくとも一つの有機基であることが
好ましい。前記化合物は、加水分解硬化性が優れており
塗料を塗布後硬化する際、極めて短時間で硬化できる。
【0031】また前記方法においては、基材表面に加水
分解硬化性の塗料を塗布した後、水分を含む雰囲気中で
加水分解反応させつつ微結晶化させて、少なくともシロ
キサン(−SiO−)結合またはチタン−酸素(−Ti
O−)結合で架橋したフッ化炭素基を含む微結晶ポリマ
ーを含む薄膜を作製することが好ましい。この方法によ
り、加水分解硬化性の塗料を塗布する際、空気中の水分
による塗料の劣化を防止しながら撥水性被膜を製造でき
る。
【0032】また前記方法においては、基材が空調機器
用熱交換器のフィンであることが好ましい。空調機器用
熱交換器フィンに適用すると、効率が極めて高い、快適
性にも優れた省エネルギー型の空調機器とすることがで
きる。
【0033】また前記方法においては、シール気体が乾
燥した空気、または空気より重い気体であることが好ま
しい。また前記方法においては、空気より重い気体が、
二酸化炭素及びアルゴンから選ばれる少なくとも一つの
ガスであることが好ましい。二酸化炭素またはアルゴン
を用いると、空気中の水分が塗料中に拡散するのを効率
よく防止できる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図1を用いて説明する。図1A〜Cは本発明の第一の
撥水性被膜の製造工程を示し、図1Aは基材の断面図、
図1Bは基材の表面にフッ化炭素基を含む微結晶ポリマ
ーを含んだ表面が凸凹な薄膜を形成した概念断面図、図
1Cは、Bの基材表面のX部分をミクロンレベルまで拡
大した概念断面図である。フィン11は空調機器と外気と
の熱交換の作用を行うものであり熱電導に優れたアルミ
ニウム板等で構成されている。フッ化炭素基を含む微結
晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な薄膜12は着霜防止の作
用を行うものであり、シロキサン結合で架橋したフッ化
炭素基を含む微結晶ポリマーで構成されている。
【0035】なお、以上の説明では、フッ化炭素基を含
む微結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な薄膜12を、シロ
キサン結合で架橋したフッ化炭素基を含む微結晶ポリマ
ーで構成した例を示したが、チタン−酸素(−TiO
−)結合で架橋しても同様に実施可能である。
【0036】本発明の第二の撥水性被膜は、少なくとも
核としての微粒子またはウイスカーと前記微粒子または
ウイスカーを包むように形成されたフッ化炭素基を含む
微結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な薄膜で構成する。
このとき、フッ化炭素基を含む微結晶ポリマーが少なく
ともシロキサン結合またはチタン−酸素結合で架橋され
ていると耐久性の点で好都合である。また、シロキサン
結合またはチタン−酸素結合で架橋したフッ化炭素基を
含む微結晶ポリマーが加水分解反応で作製されていると
さらに耐久性に優れる。また、微粒子またはウイスカー
としては、アルミナ、シリカ、ガラス、フッ素樹脂等の
微粒子、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム等のウイ
スカーが取扱い易く、一次粒子の平均直径が5nm〜1
00μm、より好ましくは7nm〜50μmであり、塗
膜形成後の膜表面の凸凹が0.1〜100μm、より好
ましくは0.5〜50μmの凸凹になるものを選択する
と極めて高い撥水性が得られ、離水性に優れた被膜が得
られる。特に、0.5〜50μmの凸凹にしておくと、
水に対する接触角160度以上が得られる。
【0037】このような被膜の製造方法には、少なくと
もSiまたはTiを含む加水分解性基とフッ化炭素基を
含む物質と微粒子またはウイスカーを含む塗料を塗布す
る工程と、前記物質と微粒子またはウイスカーよりなる
被膜を水分を含む雰囲気中で加水分解反応させつつ微結
晶化させる方法が使用でき、少なくとも微粒子またはウ
イスカーとシロキサン結合またはチタン−酸素結合で架
橋したフッ化炭素基を含む微結晶ポリマーとを含む薄膜
を作製できる。このとき、SiまたはTiを含む加水分
解性基がハロシリル基、アルコキシシリル基、シラン基
やイソシアネートシラン基、またはアルコキシチタン
基、ハロゲン化チタン基やイソシアネートチタン基であ
ると加水分解反応を極めて容易に生じさせることが可能
であり製造工程上好都合である。
【0038】なお、フッ化炭素基と加水分解性基を含む
物質としては、たとえば次式(化1)または次式(化
2)のような化合物が使用できる。
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】前記試薬に加えて、さらに具体的物質を挙
げると、次式(化3)のような化合物が使用できる。
【0042】
【化3】
【0043】なお、ここでは、直鎖分子ばかり例示した
が、少なくともSiまたはTiを含む加水分解性基とフ
ッ化炭素基を含む物質であれば、側鎖基を含む分子であ
っても何等支障はない。
【0044】なお、基材表面を粗面化する方法を併用し
ても良いが、この場合は、金属ブラシによる研磨やサン
ドブラスト、あるいは化学エッチング法などが利用可能
である。しかしながら、基材表面をミクロンレベルで粗
面化できる方法であればこれらの方法に限定されるもの
ではない。この場合、基材表面の凸凹が少なくとも0.
1〜50μm、より好ましくは0.3〜10μmの凸凹
にしておくと極めて高い撥水性が得られ、離水性に優れ
たた被膜が得られる。特に、0.3〜10μmの凸凹で
あれば、水に対する接触角170度以上が容易に得られ
る。
【0045】また、少なくともSiまたはTiを含む加
水分解性基とフッ化炭素基を含む物質を塗布する方法
は、ディッピング法や、スプレー法、刷毛塗り法等何れ
でも適用可能である。さらにまた、前記物質は、そのま
ま塗布しても良いし、ノルマルパラフィンやキシレン等
の非水系の溶媒に希釈して塗布しても良い。希釈する場
合は、全く水を含まない非水系の溶媒を用いると揮発性
を高くでき、塗布乾燥時間を短くでき、しかも塗布前の
加水分解性基を保護する上で好都合である。
【0046】なお、少なくともSiまたはTiを含む加
水分解性基とフッ化炭素基を含む物質の配合量は、1〜
50重量%が好ましい。これよりも配合量が少ないと薄
膜が薄くなりすぎて撥水性が悪くなる。また、これより
も配合量が多いと溶液の粘度が大きくなり塗布しにくく
なる。
【0047】また、前記物質を含む溶液を塗布する際
に、微粒子及びウイスカーから選ばれる少なくとも一つ
のフィラーを添加すれば、本発明の第二の被膜である微
粒子またはウイスカーを含む薄膜が構成できる。この際
のフィラーの配合量は1〜30重量%が好ましい。これ
よりもフィラーの配合量が少ないとフィラーの効果が出
ず、これよりも配合量が多いと被膜がもろくなり、耐久
性が低下する。
【0048】前記溶液においては、少なくともSiまた
はTiを含む加水分解性基とフッ化炭素基を含む物質及
びフィラー以外の部分は非水系の有機溶媒であることが
好ましい。よって非水系有機溶媒の配合量は、20〜9
8重量%の範囲であることが好ましい。
【0049】また、このような少なくともフッ化炭素基
を含む微結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な薄膜を空調
機器の熱交換器のフィンの表面に形成することで、余分
な解凍用のヒーターを必要とせず、効率が極めて高い、
快適性にも優れた空調機器を提供できる。
【0050】次に本発明の加水分解硬化性塗料の塗布装
置について図2を用いて説明する。図2は、本発明の塗
布装置の実施例を示し、加水分解硬化性の塗料21を入れ
る浸漬槽22を有し、前記浸漬槽22に入れた加水分解硬化
性の塗料の表面に前記塗料と空気との接触防止用の空気
より重い気体(例えば二酸化炭素)層(ガスシール層)
23を設けたことを特徴とした塗布装置の概念図である。
図2において、加水分解硬化性の塗料を入れた浸漬槽の
前記塗料の表面に空気より重い気体ノズル24から連続的
に空気より重い気体を吹き付け、前記塗料の表面に前記
塗料と空気との接触防止用の空気より重い気体層23を生
成させながら、前記空気より重い気体層23を横切るよう
に組立の終わった空調機器用熱交換器フィン25をリフト
26を用いて浸漬して引き上げ空気中に取り出す。このこ
とによりフィン表面に加水分解硬化性の塗料を塗布し、
しかも、蓋を閉めること無く加水分解硬化性の塗料21と
空気が接触するのを防止し、連続的に塗料の塗布がおこ
なえる構造をしている。
【0051】
【実施例】次に、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、下記の実施例において、水滴に対す
る接触角はレスカ社製動的塗れ性試験機(Wetability me
asuring appratus, MODEL WET-6000, RHESCA CO.LTD)を
用いてウイルヘルミー法(Wilhelmy method)で測定し
た。すなわち、微結晶ポリマーを形成した基材を水面に
対して垂直に挿入し、その時の水面からの応力により、
接触角を測定し、基材を挿入しているときの応力より前
進接触角、基材を引き上げているときの応力より後退接
触角が測定算出される。ここで、接触角とは水滴が静止
している場合の角度のことであり、動的接触角とは水滴
が滑り落ちているときの接触角であり、水滴の前方部分
の接触角が前進接触角、後方部分の接触角が後退接触角
である。
【0052】(実施例1)予め、よく洗浄したアルミニ
ウム(Al)製のフィン11を用意した(図1A)。次
に、少なくともSiまたはTiを含む加水分解性基とフ
ッ化炭素基を含む物質として、CF3(CF27−(C
22−SiCl3を用い、非水系の溶媒として、シク
ロヘキサメチルトリシロキサンに10vol.%の濃度で希
釈調製した被膜形成溶液を、刷毛で1〜10μmの厚み
になるよう塗布した。その後、室温で相対湿度75%
(60%以上でよい結果が得られた)の雰囲気中でシク
ロヘキサメチルトリシロキサンを蒸発させ、雰囲気中の
水分でフィン上に残ったCF3(CF27−(CH22
−SiCl3を急速に加水分解した。このとき、空気中
の水分と−SiCl3基が脱塩酸反応して、下記式(化
4)となり、約10分で反応は終了し、シロキサン結合
で架橋されフッ化炭素基を含む微結晶ポリマー12がフィ
ン11の上に形成した(図1B)。
【0053】
【化4】
【0054】この薄膜は、図1C(図1BのX部分の拡
大図)に示したように基材表面とも−SiO−結合で共
有結合しており、ほとんど剥離することがなく耐候性は
極めて高かった。また、表面荒さを測定すると1〜40
μmの範囲であり、水に対する接触角は171゜であっ
た。さらに、空調機器への応用を前提として動的接触角
を測定した。結果を後にまとめて表1に示す。
【0055】なお、Ti系の加水分解性基を有する物質
を用いた場合もほぼ同様の結果が得られた。さらにま
た、SiまたはTiを含む加水分解性基がハロシリル
基、アルコキシシリル基、シラン基やイソシアネートシ
ラン基、またはアルコキシチタン基、ハロゲン化チタン
基やイソシアネートチタン基であっても、反応速度に違
いはあったが同様の結果が得られた。
【0056】なお、フッ化炭素基と加水分解性基を含む
物質としては、前記(化3)に示す化合物を用いてもほ
ぼ同様の結果が得られた。なお、上記実験の過程で、脱
塩酸反応(実施例では加水分解反応)の見掛けの反応速
度、すなわち反応雰囲気中の湿度が、極めて重要なこと
が判明した。さらに詳しく調べると、基材の表面粗さと
加水分解反応のスピードと微結晶の成長が密接な関係に
あり、反応速度を早くするほど被膜の表面凹凸を大きく
できることが判明した。ちなみに、実施例1と同様の実
験では、湿度を35%以上とすることで、水滴の前進と
後退の接触角のCOSθの差が0.1以下にでき、実用的
に好ましいことが判明した。
【0057】(実施例2)予め、よく洗浄したAl製の
フィン31を用意した(図3(A))。つぎに、平均粒径
20nmのシリカ微粒子(アルミナやガラス微粒子やフッ
素樹脂微粒子または酸化物ウィスカーでも良い)5重量
%と、SiまたはTiを含む加水分解性基とフッ化炭素
基を含む塗料成分化合物として、CF3(CF27
(CH22−SiCl3(10重量%の濃度)とを、非
水系の溶媒のノルマルパラフィン(沸点150℃)に希
釈調製した。この被膜形成用塗料を刷毛を用いて、前記
Al製のフィン31に、1〜10μmの厚みになるよう塗
布した。その後、室温で相対湿度75%(相対湿度60
%以上でよい結果が得られた)の雰囲気中でノルマルパ
ラフィンを蒸発させ、雰囲気中の水分でフィン上に残っ
た微粒子32を核として前記塗料成分化合物を急速に加水
分解した。このとき、空気中の水分と-SiCl3基が脱
塩酸反応して前記式(化4)に示す被膜が形成された。
【0058】この反応は、約10分で終了し、シロキサ
ン結合で架橋されフッ化炭素基を含む微結晶ポリマー33
を含んだ表面が凸凹な薄膜34がフィン31の上に形成され
た(図3(B))。この薄膜は、図3(C)に示したよ
うに基材表面とも−SiO−結合で結合しており、ほと
んど剥離することがなく耐候性は極めて高かったかっ
た。また、表面荒さを測定すると平均1〜40μmであ
り、水に対する接触角は172゜であった。さらに、空
調機器への応用を前提として動的接触角を測定した。結
果を後にまとめて表1に示す。
【0059】なお、Ti系の加水分解性基を有する物質
を用いた場合もほぼ同様の結果が得られた。さらにま
た、SiまたはTiを含む加水分解性基がハロシリル
基、アルコキシシリル基、シラン基やイソシアネートシ
ラン基、またはアルコキシチタン基、ハロゲン化チタン
基やイソシアネートチタン基であっても同様の結果が得
られた。
【0060】(実施例3)予め、アルミニウム(Al)
板をワイヤブラシで擦り、表面に8〜10μmの凸凹を
形成し、よく洗浄したAl製のフィン基材41を用意した
(図4(A))。つぎに、少なくともSiまたはTiを
含む加水分解性基とフッ化炭素基を含む物質として、C
3(CF27−(CH22−SiCl3を用い、非水系
の溶媒としてトルエンに10重量%の濃度で希釈調製し
た。この被膜形成溶液を刷毛で1〜10μmの厚みにな
るよう塗布した。その後、室温で相対湿度40%(相対
湿度30〜60%でよい結果が得られた)の雰囲気中で
トルエンを蒸発させ、雰囲気中の水分でフィン基材上に
残ったCF3(CF27−(CH22−SiCl3を急速
に加水分解した。このとき、空気中の水分と-SiCl3
基が脱塩酸反応して、前記式(化4)に示す被膜が形成
された。
【0061】反応は約10分でほぼ終了し、前記シロキ
サン結合で架橋されフッ化炭素基を含む微結晶ポリマー
を含んだ表面が凸凹な薄膜42がフィン基材41の上に形成
された(図4(B))。この薄膜42は、Z部の拡大図と
して図4(C)に示したように、基材表面とも−SiO
−結合で結合している効果と、さらに基材表面の凸凹の
効果によりほとんど剥離することがなく、耐候性は極め
て高かった。また、表面荒さを測定すると1〜12μm
であり、水に対する接触角は174゜であった。さら
に、空調機器への応用を前提として動的接触角を測定し
た。結果を表1に示す。
【0062】なお、基材の表面粗さは、0.1〜50μ
mの範囲が適当であり、この表面粗さを実現できるな
ら、表面を粗面化する方法は、サンドブラスト法やエッ
チング法などどの方法を用いても同様の結果が得られ
た。
【0063】被膜形成溶液を刷毛塗布した後のトルエン
を蒸発させる雰囲気の湿度は、表面粗さに依存し、例え
ば表面粗さが0.1μm〜8μmの範囲の場合、相対湿
度60%(相対湿度40〜80%でよい結果が得られ
た)で行うことが望ましく、表面粗さが8μm〜50μ
mの範囲の場合、相対湿度40%(相対湿度30〜60
%でよい結果が得られた)で行うことが望ましい。前記
範囲よりも湿度が低い場合は、微結晶ポリマーが生成し
にくく、溌水性が低下する傾向になる。また前記範囲よ
りも湿度が高い場合には、膜がもろくなり耐久性に劣る
傾向になる。
【0064】また、Ti系の加水分解性基を有する物質
を用いた場合もほぼ同様の結果が得られた。さらにま
た、SiまたはTiを含む加水分解性基がハロシリル
基、アルコキシシリル基、シラン基、イソシアネートシ
ラン基、アルコキシチタン基、ハロゲン化チタン基、ま
たはイソシアネートチタン基等であっても同様の結果が
得られた。結果を後にまとめて表1に示す。
【0065】(実施例4)予め、図2に示したような加
水分解硬化性の塗料21を入れる浸漬槽22と空気より重い
気体として二酸化炭素ガス(アルゴンガスでも効果は同
じである)吹き出し用のノズル24を有する塗布装置を用
い、前記浸漬槽22に所定量の加水分解硬化性の塗料(C
3(CF27−(CH22−SiCl3をノルマルパラ
フィン(沸点150℃)に10重量%の濃度で希釈調製
した塗料)をいれる。その後直ちに二酸化炭素ガスのノ
ズル24から一定量の二酸化炭素ガスを連続的に吹き出
す。このことにより、塗料の表面に前記塗料と空気との
接触防止用の二酸化炭素ガス層(ガスシール層)23が形
成される。
【0066】そこで、この状態で、前記二酸化炭素ガス
層23を横切るように組立の終わった空調機器用熱交換器
フィン25をリフト26を用いて浸漬して引き上げ空気中に
取り出す。この方式で、1日中連続して塗布作業を続け
てみたが、塗料は全く劣化せず、白濁もなかった。すな
わち、浸漬槽の蓋を閉めること無く連続的に加水分解硬
化性の塗料21と水分を含む空気が接触するのを防止しつ
つ、フィン表面に前記加水分解硬化性の塗料を1〜10
μmの厚みでまんべんなく塗布できた。また、前記加水
分解硬化性の塗料の空気中の水分による劣化もなかっ
た。
【0067】その後、室温で相対湿度75%(相対湿度
60%以上でよい結果が得られた)の空気雰囲気中でノ
ルマルパラフィンを蒸発させ、雰囲気中の水分でフィン
上に残ったCF3(CF27−(CH22−SiCl3
急速に加水分解する。このとき、空気中の水分と−Si
Cl3基が脱塩酸反応して、前記式(化4)に示す被膜
が形成された。
【0068】約10分で反応は終了し、シロキサン結合
で架橋されフッ化炭素基を含む微結晶ポリマーを含んだ
表面が凸凹な薄膜が熱交換器フィン25の上に形成され
た。この薄膜は、基材表面とも−SiO−結合で結合し
ており、ほとんど剥離することがなく耐候性は極めて高
かったかった。また、表面荒さを測定すると1〜40μ
mであり、水に対する接触角は171゜であった。さら
に、空調機器への応用を前提として動的接触角を測定し
た。結果を後にまとめて表1に示す。なお、Ti系の加
水分解性基を有する物質を用いた場合もほぼ同様の結果
が得られた。さらにまた、SiまたはTiを含む加水分
解性基がハロシリル基、アルコキシシリル基、シラン基
やイソシアネートシラン基、またはアルコキシチタン
基、ハロゲン化チタン基やイソシアネートチタン基であ
っても同様の結果が得られた。
【0069】(比較例1)実施例1において、反応雰囲
気以外は同様の条件で、反応雰囲気を変え脱塩酸反応を
室温で相対湿度20%の空気中でおこなった。このばあ
いも同様に、約14〜15分で反応は終了し、シロキサ
ン結合で架橋されフッ化炭素基を含む微結晶ポリマーを
含んだ表面が凸凹な薄膜を放熱板の上に形成した。ま
た、この薄膜も、基材表面とも−SiO−結合で結合し
ており、ほとんど剥離することがなく耐候性は極めて高
かったかった。しかしながら、表面荒さを測定すると大
きなうねりはあるが、0.1μm以下であり、水に対す
る接触角は149゜であった。動的接触角の測定結果は
実施例1とともに表1に示す。
【0070】(比較例2)実施例4において、二酸化炭
素ガス層をなくした以外は同様の条件、すなわち、シー
ル気体の吹き出しを行わなかった場合には、1時間ほど
で塗料表面が白濁し、塗料が劣化してしまった。
【0071】
【表1】
【0072】表1において、COSθの差とは、前進接触
角(θa)と後退接触角(θr)のそれぞれのCOSの差(C
OSθr−COSθa)のことである。このCOSの差は、水滴の
転落角(水滴が滑りはじめる角度):αと以下のような
関係がある。
【0073】mgsinα=2Rγ(COSθr−COSθa) m:水滴の質量 g:重力の加速度 R:水滴が基材表面に接触する面の半径 γ:水の表面張力 つまり、コサインの差が小さいほど水滴が落ちやすいこ
とを示している。
【0074】表1から明らかなように、本発明方法の実
施例で処理したものでは、指で擦った程度ではほとんど
剥離せず、動的接触角が極めて高く、COSθの差も0.
01以下にでき、ほとんど水滴が付着しないレベルの表
面特性が達成できた。
【0075】さらに、実施例1と実施例3との比較によ
り、基材表面の表面粗さを0.1〜50ミクロンの範囲
にしておくと、COSθの差が0.01以下にでき、平坦
な基材に比べてより高い性能が得られることが判明し
た。また、表1から明らかなように、本発明の方法で処
理したものでは、動的接触角が極めて高く、前進接触角
と後進接触角のCOSθの差も0.05以下にでき、ほと
んど水滴が付着しないレベルの表面特性が達成できた。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように本発明の第一の薄膜
によれば、基板表面にフッ化炭素基を含む分子で形成さ
れた薄膜であって、前記薄膜は微結晶ポリマーを含む表
面が凸凹な薄膜であり、かつ前記薄膜を構成する分子の
一部は基板表面と共有結合していることにより、水滴に
対する高い接触角と超撥水性を有する被膜を提供でき
る。また、基材表面の離水性を向上できる。
【0077】また、本発明の第二の薄膜によれば、少な
くとも微粒子またはウイスカーとフッ化炭素基を含む微
結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な薄膜となり、水滴に
対する撥水性をさらに高めた被膜を提供できる。また、
基材表面の離水性を向上できる。
【0078】また本発明によれば、少なくともフッ化炭
素基を含む微結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な薄膜を
空調機器の熱交換器のフィンの表面に形成することで、
冬期間寒冷地において余分な解凍用のヒーターを必要と
せず、効率が極めて高い、快適性にも優れた空調機器を
提供できるという効果がある。
【0079】次に本発明の撥水性被膜の製造方法によれ
ば、少なくともSiまたはTiを含む加水分解性基とフ
ッ化炭素基を一分子内に含む物質を基材表面に塗布する
工程と、前記物質よりなる被膜を水分を含む雰囲気中で
加水分解反応させつつ微結晶化させて少なくともシロキ
サン結合またはチタン−酸素(−TiO−)結合で架橋
したフッ化炭素基を含む微結晶ポリマーを含む薄膜を形
成することを特徴とする。この構成によれば、耐久性と
超撥水性と離水性に優れた被膜を効率良く合理的に提供
できる。
【0080】次に本発明を撥水性熱交換器フィンの製造
方法に応用する場合は、基材表面を凸凹に粗面化する工
程と、SiまたはTiを含む加水分解性基とフッ化炭素
基を含む物質を前記基材表面に塗布する工程と、前記物
質よりなる被膜を水分を含む雰囲気中で加水分解反応さ
せつつ微結晶化させてシロキサン結合またはチタン−酸
素結合で架橋したフッ化炭素基を含む微結晶ポリマーを
含む薄膜を前記基材表面に形成する工程を含むことを特
徴とする。前記方法により、耐久性に優れ、超撥水性が
あり、且つ離水性に優れた熱交換器フィンを効率良く合
理的に製造できる。
【0081】次に本発明を空調機器に応用する場合は、
少なくとも表面を凸凹に加工した基材の表面にフッ化炭
素基を含む微結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な薄膜を
形成したフィンを熱交換部に用いたという構成を備えた
ものである。この構成により、効率が極めて高い、快適
性にも優れた省エネルギー型の空調機器を提供できる。
【0082】次に本発明の加水分解硬化性塗料塗布装置
は、加水分解硬化性の塗料を入れる浸漬槽と、前記浸漬
槽に入れた加水分解硬化性の塗料の表面が大気中の湿気
成分と直接接触しないようにするためのシール気体供給
手段を、前記浸漬槽の気相部に備えたことにより、加水
分解硬化性の塗料を塗布する際、空気中の水分による塗
料の劣化を防止しつつ、開放系システムを用いて連続的
に塗布処理することができる。
【0083】次に本発明の加水分解硬化性塗料の塗布方
法は、加水分解硬化性の塗料を入れる浸漬槽と、前記浸
漬槽の気相部にシール気体供給手段を接続した塗布装置
を用いて、シール気体を供給して前記浸漬槽に入れた加
水分解硬化性の塗料の表面が、大気中の湿気成分と直接
接触しないようにシールし、前記シール気体を通過させ
て基材を浸漬して引き上げることにより基材表面に加水
分解硬化性の塗料を塗布することにより、加水分解硬化
性の塗料を塗布する際、空気中の水分による塗料の劣化
を防止しながら塗布できる。もちろん、開放系システム
を用いて連続的に塗布処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A〜Cは本発明の実施例1の製造工程を
示し、図1Aは基材の断面図、図1Bは基材の表面にフ
ッ化炭素基を含む微結晶ポリマーを含んだ表面が凸凹な
薄膜を形成した概念断面図、図1Cは、Bの基材表面の
X部分を拡大した概念断面図である。
【図2】 本発明の実施例4の塗布装置及び塗布方法を
概念的に説明するための模式断面図である。
【図3】 図3Aおよび図3Bは、本発明の実施例2に
おける表面処理工程を説明するためのもので、図3Cは
図3BのY部の基材表面を拡大した模式断面図である。
【図4】 図4Aおよび図4Bは、本発明の実施例3に
おける表面処理工程を説明する模式的断面図であり、図
4Cは、図4BのZの部分の基材表面を拡大した模式的
断面図である。
【符号の説明】
11 Al(アルミニウム)フィン 12 フッ化炭素基を含む微結晶ポリマーの部分 21 加水分解硬化性塗料 22 浸漬槽 23 二酸化炭素ガス層(シールガス層) 24 二酸化炭素ガス吹き出しノズル 25 熱交換器フィン 26 リフト 31 Alフィン 32 微粒子(シリカ微粒子) 33 フッ化炭素基を含む微結晶ポリマー 34 フッ化炭素基を含む微結晶ポリマーを含んだ表面が
凸凹な薄膜 41 アルミニウム(Al)フィン基材 42 表面が凸凹な薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 185/00 C09D 185/00 201/00 201/00 (31)優先権主張番号 特願平8−70054 (32)優先日 平成8年3月26日(1996.3.26) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−12930 (32)優先日 平成9年1月27日(1997.1.27) (33)優先権主張国 日本(JP) (56)参考文献 特開 平8−283703(JP,A) 特開 平5−287096(JP,A) 特開 平7−251130(JP,A) 特開 昭63−135435(JP,A) 特開 平4−249146(JP,A) 特開 平8−141494(JP,A) 特開 平7−92305(JP,A) 特開 平5−39451(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 C09D 183/04 C09D 185/00 C09D 201/00

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板表面にフッ化炭素基を含むポリマー
    で形成された薄膜であって、前記薄膜は微結晶ポリマー
    を含む表面が凸凹な薄膜であり、かつ前記薄膜を構成す
    る分子の一部は基板表面と共有結合していることを特徴
    とする撥水性被膜。
  2. 【請求項2】 フッ化炭素基を含む微結晶ポリマーが、
    シロキサン(−SiO−)結合及びチタン−酸素(−T
    iO−)結合から選ばれる少なくとも一つの結合で架橋
    されている請求項1に記載の撥水性被膜。
  3. 【請求項3】 薄膜が核としての微粒子及びウイスカー
    から選ばれる少なくとも一つの物質を含む請求項1に記
    載の撥水性被膜。
  4. 【請求項4】 フッ化炭素基を含む微結晶ポリマーが、
    シロキサン(−SiO−)結合及びチタン−酸素(−T
    iO−)結合から選ばれる少なくとも一つの結合で架橋
    されており、かつ微粒子及びウイスカーから選ばれる少
    なくとも一つの物質と化学結合している請求項3に記載
    の撥水性被膜。
  5. 【請求項5】 シロキサン結合及びチタン−酸素(−T
    iO−)結合から選ばれる少なくとも一つの結合で架橋
    したフッ化炭素基を含む微結晶ポリマーが加水分解反応
    によって形成されている請求項2または4に記載の撥水
    性被膜。
  6. 【請求項6】 表面の凸凹が、0.1〜100μmの範
    囲の凸凹である請求項1〜5のいずれかに記載の撥水性
    被膜。
  7. 【請求項7】 薄膜の厚さが、0.1〜100μmの範
    囲である請求項1〜6のいずれかに記載の撥水性被膜。
  8. 【請求項8】 薄膜が白濁または不透明である請求項1
    に記載の撥水性被膜。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の撥水性
    被膜が、熱交換器のフィンの表面に形成されていること
    を特徴とする撥水性被膜。
  10. 【請求項10】 フィンの基材表面が、凸凹に加工され
    ている請求項9に記載の撥水性被膜。
  11. 【請求項11】 基材表面の凸凹が、0.1〜50μm
    の範囲の凸凹である請求項10に記載の撥水性被膜。
  12. 【請求項12】 フィンが、空調機器の熱交換部に組み
    込まれている請求項9に記載の撥水性被膜。
  13. 【請求項13】 Si及びTiから選ばれる少なくとも
    一つの元素を含む加水分解性基及びフッ化炭素基を一分
    子内に含む物質を一成分とする塗料組成物とし、前記塗
    料組成物を基材表面に塗布し、次いで前記物質よりなる
    塗料組成物を水分を含む雰囲気中で加水分解反応させつ
    つ微結晶化させて少なくともシロキサン結合またはチタ
    ン−酸素(−TiO−)結合で架橋したフッ化炭素基を
    含む微結晶ポリマーを含む薄膜を形成することを特徴と
    する撥水性被膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 塗料組成物に微粒子及びウイスカーか
    ら選ばれる少なくとも一つのフィラーをさらに加える請
    求項13に記載の撥水性被膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 Si及びTiから選ばれる少なくとも
    一つの元素を含む加水分解性基が、ハロシリル基、アル
    コキシシリル基、シラン基、イソシアネートシラン基、
    アルコキシチタン基、ハロゲン化チタン基、イソシアネ
    ートチタン基から選ばれる少なくとも一つである請求項
    13に記載の撥水性被膜の製造方法。
  16. 【請求項16】 基材表面をあらかじめ凸凹に粗面化し
    ておく請求項13に記載の撥水性被膜の製造方法。
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