JP3246797U - ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】外導水トリーの発生の抑制と、外部半導電層の剥離性の向上と、を両立可能なケーブルを提供すること。【解決手段】ケーブル1は、導体2と、導体2の外周を取り囲むように配置される絶縁体4と、絶縁体4の外周面に塗布される導電性塗布材5と、導電性塗布材5を介して絶縁体4の外周に巻き付けられる半導電層(外部半導電層6)と、備える。導電性塗布材5は、当該ケーブル1の全周に亘って絶縁体4と半導電層(外部半導電層6)との間を埋めるように介在する。【選択図】図2
Description
本考案は、ケーブルに関する。
従来から、架橋ポリエチレン等を絶縁体に用いたケーブルの技術としては、例えば、特許文献1に開示されているような技術が知られている。この種のケーブルは、CVケーブル(Cross-linked polyethylene insulated Vinyl sheath cable:架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)とも呼ばれ、中心となる導体からケーブルの径方向外側に向けて、内部半導電層、絶縁体、及び外部半導電層が順に積層されている。なお、内部半導電層は、一般に、導体と絶縁体との間に生じ得る微小な隙間を低減して、送電時にそのような微小な隙間に局所的なコロナ放電(いわゆる部分放電)が生じて絶縁体が損傷することを抑制する目的で、設けられている。外部半導電層についても同様である。
上述したケーブルにおいて、ケーブル内に侵入した水分は、例えば、ノイズ遮蔽用の金属層の腐食や絶縁用の樹脂層の劣化(いわゆる水トリー)等を引き起こし、ケーブルの耐用期間を短くする原因となり得る。特許文献1には、絶縁体中にシリコンを添加することで、絶縁体中の微小隙間(ボイド)を起点とする水トリーを抑制するケーブルが開示されている。
しかしながら、特許文献1のケーブルは、絶縁体内のボイドを起点とするボウタイ状水トリーに対する対策であり、外部半導電層から発生する水トリー(いわゆる外導水トリー)に対しては十分に対策されているとはいえない。一般に、この外導水トリーの対策としては、内部半導電層、絶縁体、及び外部半導電層の3層を同時に押出成形するケーブルがある。ただし、この種のケーブルを実際に使用する際、通常、ケーブルの端部において外部半導電層及びその外側にある各層を絶縁体から剥離した上で、接続相手先への終端接続処理等を行うことになる。このため、このような処理の作業性を向上する観点においては、外部半導電層を絶縁体から容易に剥離可能であることが好ましく、上述した3層押出成形によって製造されるケーブルは好ましいものではない。
一方、絶縁体から外部半導電層を容易に剥離可能にする(外部半導電層の「剥離性を向上する」ともいう。)には、例えば内部半導電層、及び絶縁体、の2層を同時に押出成形した後に、絶縁体の外面にテープ状の外部半導電層を巻き付けるケーブルがある。しかしながら、この方法で製造されるケーブルは、絶縁体と外部半導電層との界面に凹凸ができやすく、上述した3層押出成形によって製造されるケーブルに比べ、外導水トリーが発生しやすい。このように、従来、外導水トリーの発生の抑制と、外部半導電層の剥離性の向上と、を両立することは困難であった。
本考案は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、外導水トリーの発生の抑制と、外部半導電層の剥離性の向上と、を両立可能なケーブルを提供することにある。
前述した目的を達成するために、本考案に係るケーブルは、
導体と、
前記導体の外周を取り囲むように配置される絶縁体と、
前記絶縁体の外周面に塗布される導電性塗布材と、
前記導電性塗布材を介して前記絶縁体の外周に巻き付けられる半導電層と、
を備えるケーブルであって、
前記導電性塗布材は、
当該ケーブルの全周に亘って前記絶縁体と前記半導電層との間を埋めるように介在する、
ケーブル。
導体と、
前記導体の外周を取り囲むように配置される絶縁体と、
前記絶縁体の外周面に塗布される導電性塗布材と、
前記導電性塗布材を介して前記絶縁体の外周に巻き付けられる半導電層と、
を備えるケーブルであって、
前記導電性塗布材は、
当該ケーブルの全周に亘って前記絶縁体と前記半導電層との間を埋めるように介在する、
ケーブル。
本考案によれば、半導電層が、絶縁体の外周面に塗布される導電性塗布材を介して絶縁体の外周に巻き付けられる。換言すると、絶縁体と半導電層との間に導電性塗布材が介在する。これにより、導電性塗布材が当該ケーブルの全周に亘って絶縁体と半導電層との間を埋めるように介在するため、上記絶縁体と半導電層との間を起点とする外導水トリーの発生が抑制される。また、ケーブルを実際に使用する際、絶縁体からの半導電層及びその外側にある各層の剥離工程において、専用工具等を用いることなくテープを剥がす要領で、絶縁体から半導電層を剥離することができる。このように、本考案によれば、外導水トリーの発生の抑制と、外部半導電層の剥離性の向上と、を両立できる。
以上、本考案について簡潔に説明した。更に、以下に説明される考案を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本考案の詳細は更に明確化されるであろう。
以下、図面を参照しながら、本考案の一実施形態に係るケーブル1について説明する。
ケーブル1は、例えば、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブル)であり、例えば、電力用ケーブルとして、離間して配置された高圧電源と配電盤とを電気的に接続することができる。
図1及び図2に示すように、ケーブル1は、導体2と、導体2を覆う内部半導電層3と、内部半導電層3を覆う絶縁体4と、絶縁体4の外周面に塗布される導電性塗布材5と、導電性塗布材5を介して絶縁体4を覆う外部半導電層6と、外部半導電層6を覆う遮蔽テープ7と、から構成されている。なお、外部半導電層6が本考案における「半導電層」に対応する。
導体2は、導電性を有する金属線材、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の素線(符号略)を複数束ねて構成される。導体2は、ケーブル1の曲がりに追従して曲がるものであることが好ましい。即ち、導体2は、可撓性を有することが好ましい。
内部半導電層3は、導電性を付与した樹脂組成物を導体2の外周に押し出し成形することにより所定の厚さで形成されている。内部半導電層3を形成する導電性を付与した樹脂組成物としては、例えば、ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体などのポリオレフィン系樹脂を基材として、この基材に導電性カーボンを添加したものが挙げられる。
絶縁体4は、絶縁性を有する樹脂を内部半導電層3の外周に押し出し成形することにより所定の厚さで形成されている。上記絶縁性を有する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレンプロピレン共重合体等が挙げられる。
導電性塗布材5は、絶縁体4の外周面に塗布されて、ケーブル1の全周に亘って絶縁体4と外部半導電層6との間を埋めるように介在する導電性の塗布材である。導電性塗布材5としては、例えば、粘性を有する流体(液体)状であってもよいし、ペースト(グリース)状であってもよい。導電性塗布材5としては、例えば、導電性シリコン等が挙げられる。導電性塗布材5がペースト(グリース)状である場合、後述するように絶縁体4と外部半導電層6との間に生じる隙間を埋めるために、混和ちょう度が220以上250以下であることが好ましい。また、同様に理由より、絶縁体4の外周面への導電性塗布材5の塗布後であって外部半導電層6の巻き付け前における導電性塗布材5の厚さは、後述する外部半導電層6の厚さ以上、即ち0.13mm以上であることが好ましい。また、導電性塗布材5の導電率は、後述する外導水トリーの発生の抑制の観点から、外部半導電層6の導電率以下であり、10-4S/m以上102S/m以下であることが好ましい。また、導電性塗布材5は、押出後の絶縁体4の熱による影響を来すことがないように、その耐熱温度(沸点又は融点)が150°以上であることが好ましい。
外部半導電層6は、例えば、導電性を付与した繊維質(布)テープである半導電テープを、導電性塗布材5を介して絶縁体4の外周に巻き付けることにより所定の厚さで形成されている。導電性塗布材5を介して絶縁体4の外周に巻き付けられた後の外部半導電層6の厚さは、0.13mm程度であることが好ましい。外部半導電層6の形成にあたり、絶縁体4の外周に半導電テープがテープ巻きされることにより、ケーブル1を曲げた際のケーブル1の可撓性に影響を来すことがなくなる。
遮蔽テープ7は、例えば、銅テープ等の金属テープにて形成されている。遮蔽テープ7は、外部半導電層6の外周に上記銅テープ等の金属テープを巻き付けることにより所定の厚さで形成されている。遮蔽テープ7の形成にあたり、外部半導電層6の外周に金属テープがテープ巻きされることにより、ケーブル1を曲げた際のケーブル1の可撓性に影響を来すことがなくなる。ケーブル1は、遮蔽テープ7を備えることから、シールド性能を得ることができる。
ここで、ケーブル1の製造手順は、例えば、以下の通りである。まず、導体2を覆うように、内部半導電層3、及び絶縁体4をこの順に2層押出成形する。この押出成形は、順次に行ってもよいが、耐水トリーの観点から、上述したように2層押出成形することが好ましい。
次いで、絶縁体4の外周面に導電性塗布材5を塗布する。この塗布は、機械的な作業によって行われてもよいし、人為的な作業によって行われてもよい。ただし、絶縁体4の外周面に導電性塗布材5を均一に塗布することを考えると、機械的な作業による塗布が好ましい。また、上記塗布の方法としては、一定の厚さで絶縁体4の外周面に導電性塗布材5を押し出して吐出するように行われてもよいし、噴霧によって行われてもよい。ただし、導電性塗布材5の粘度を考慮すると、導電性塗布材5を押し出して吐出するように塗布することが好ましい。
次いで、導電性塗布材5を介して絶縁体4の外周に外部半導電層6を巻き付ける。この巻き付けは、通常、ケーブル1の軸を中心とした螺旋状のテープ巻き(いわゆる螺旋巻き)が行われる。なお、上記巻き付けは、機械的な作業によって行われてもよいし、人為的な作業によって行われてもよい。
次いで、外部半導電層6の外周に、遮蔽テープ7を巻き付けることで、ケーブル1が得られる。なお、このケーブル1の径方向外側には、例えば、押さえ巻きテープ(図示略)やシース(図示略)等が積層されていてもよい。
ここで、導電性塗布材5による作用・効果について説明する。一般に、テープ状の外部半導電層を絶縁体の外周に螺旋巻きすると、外部半導電層には部分的に螺旋巻きによる重ね目が生じ、この重ね目に起因して絶縁体と外部半導電層との間に隙間が生じる(即ち、絶縁体と外部半導電層との界面に凹凸が生じる)。この結果、従来ケーブルは、上記隙間を起点とする外導水トリーが発生する場合があった。
しかしながら、本実施形態においては、絶縁体4の外周に外部半導電層6を巻き付ける際、絶縁体4の外周面に塗布された導電性塗布材5が上記隙間に入り込む。これにより、絶縁体4と外部半導電層6との間に生じる隙間が導電性塗布材5によって埋められるため、外導水トリーの発生が抑制される。また、本実施形態においては、導電性塗布材5が上述したように所定範囲内の導電率であることで、絶縁体と外部半導電層との間で径方向に沿って導電率が段階化されるため、コロナ放電に起因する電界が緩和されて外導水トリーの発生が抑制される。
ところで、本実施形態のケーブル1を実際に使用する際、ケーブル1の端部において外部半導電層6及びその外側にある各層を絶縁体4から剥離した上で、接続相手先への終端接続処理等を行うことになる。本実施形態においては、この剥離工程の際、専用工具等を用いることなくテープを剥がす要領で、絶縁体4から外部半導電層6を剥離することができる。
なお、一般に、上記剥離工程の後であって終端接続処理等の前後いずれかに、絶縁体の外周面を拭く工程がある。本実施形態においては、この拭き工程の際、絶縁体4の外周面に塗布された導電性塗布材5が拭き取られるため、導電性塗布材5を絶縁体4から除去するための新たな工程を追加する必要がない。即ち、本実施形態によれば、ケーブル1を実際に使用する際の各種作業工程において余計な工数が掛からない。
以上、本考案は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本考案を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
ここで、上述した本考案の実施形態の特徴を下記に簡潔に纏めて列記する。
[1]
導体(2)と、
前記導体(2)の外周を取り囲むように配置される絶縁体(4)と、
前記絶縁体(4)の外周面に塗布される導電性塗布材(5)と、
前記導電性塗布材(5)を介して前記絶縁体(4)の外周に巻き付けられる半導電層(外部半導電層6)と、
を備えるケーブル(1)であって、
前記導電性塗布材(5)は、
当該ケーブル(1)の全周に亘って前記絶縁体(4)と前記半導電層(外部半導電層6)との間を埋めるように介在する、
ケーブル(1)。
導体(2)と、
前記導体(2)の外周を取り囲むように配置される絶縁体(4)と、
前記絶縁体(4)の外周面に塗布される導電性塗布材(5)と、
前記導電性塗布材(5)を介して前記絶縁体(4)の外周に巻き付けられる半導電層(外部半導電層6)と、
を備えるケーブル(1)であって、
前記導電性塗布材(5)は、
当該ケーブル(1)の全周に亘って前記絶縁体(4)と前記半導電層(外部半導電層6)との間を埋めるように介在する、
ケーブル(1)。
上記[1]の構成によれば、半導電層が、絶縁体の外周面に塗布される導電性塗布材を介して絶縁体の外周に巻き付けられる。換言すると、絶縁体と半導電層との間に導電性塗布材が介在する。これにより、導電性塗布材が当該ケーブルの全周に亘って絶縁体と半導電層との間を埋めるように介在するため、上記絶縁体と半導電層との間を起点とする外導水トリーの発生が抑制される。また、ケーブルを実際に使用する際、絶縁体からの半導電層及びその外側にある各層の剥離工程において、専用工具等を用いることなくテープを剥がす要領で、絶縁体から半導電層を剥離することができる。このように、本構成によれば、外導水トリーの発生の抑制と、外部半導電層の剥離性の向上と、を両立できる。
[2]
上記[1]に記載のケーブル(1)であって、
前記導電性塗布材(5)は、粘性を有する、
ケーブル(1)。
上記[1]に記載のケーブル(1)であって、
前記導電性塗布材(5)は、粘性を有する、
ケーブル(1)。
上記[2]の構成によれば、導電性塗布材が粘性を有することで、絶縁体の外周に半導電層を巻き付ける際、絶縁体と半導電層との間に生じ得る隙間に導電性塗布材が入り込み易くなり、導電性塗布材によって絶縁体と半導電層との間をより確実に埋めることができる。
[3]
上記[1]に記載のケーブル(1)であって、
前記導電性塗布材(5)は、ペースト状であり、
前記導電性塗布材(5)の混和ちょう度は、220以上250以下である、
ケーブル(1)。
上記[1]に記載のケーブル(1)であって、
前記導電性塗布材(5)は、ペースト状であり、
前記導電性塗布材(5)の混和ちょう度は、220以上250以下である、
ケーブル(1)。
上記[3]の構成によれば、導電性塗布材がペースト状であり、その混和ちょう度が220以上250以下であることで、絶縁体の外周に半導電層を巻き付ける際、絶縁体と半導電層との間に生じ得る隙間に導電性塗布材が入り込み易くなり、導電性塗布材によって絶縁体と半導電層との間をより確実に埋めることができる。
[4]
上記[1]から上記[3]の何れか一つに記載のケーブル(1)であって、
前記導電性塗布材(5)の導電率は、前記半導電層(外部半導電層6)の導電率以下である、
ケーブル(1)。
上記[1]から上記[3]の何れか一つに記載のケーブル(1)であって、
前記導電性塗布材(5)の導電率は、前記半導電層(外部半導電層6)の導電率以下である、
ケーブル(1)。
上記[4]の構成によれば、導電性塗布材の導電率が半導電層の導電率以下であることで、絶縁体と外部半導電層との間で導電率が段階化されるため、コロナ放電に起因する電界が緩和されて外導水トリーの発生が抑制される。
1 ケーブル
2 導体
3 内部半導電層
4 絶縁体
5 導電性塗布材
6 外部半導電層
7 遮蔽テープ
2 導体
3 内部半導電層
4 絶縁体
5 導電性塗布材
6 外部半導電層
7 遮蔽テープ
Claims (4)
- 導体と、
前記導体の外周を取り囲むように配置される絶縁体と、
前記絶縁体の外周面に塗布される導電性塗布材と、
前記導電性塗布材を介して前記絶縁体の外周に巻き付けられる半導電層と、
を備えるケーブルであって、
前記導電性塗布材は、
当該ケーブルの全周に亘って前記絶縁体と前記半導電層との間を埋めるように介在する、
ケーブル。 - 請求項1に記載のケーブルであって、
前記導電性塗布材は、粘性を有する、
ケーブル。 - 請求項1に記載のケーブルであって、
前記導電性塗布材は、ペースト状であり、
前記導電性塗布材の混和ちょう度は、220以上250以下である、
ケーブル。 - 請求項1から請求項3の何れか一項に記載のケーブルであって、
前記導電性塗布材の導電率は、前記半導電層の導電率以下である、
ケーブル。
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