JP3245945B2 - ポリエチレンの製造方法 - Google Patents

ポリエチレンの製造方法

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JP3245945B2 JP10015892A JP10015892A JP3245945B2 JP 3245945 B2 JP3245945 B2 JP 3245945B2 JP 10015892 A JP10015892 A JP 10015892A JP 10015892 A JP10015892 A JP 10015892A JP 3245945 B2 JP3245945 B2 JP 3245945B2
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  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体触媒によりポリエ
チレンを製造する方法に関するものである。さらに詳し
くは、ポリエチレンの融点以上の温度条件下において触
媒活性の高い固体触媒のみを用いてエチレンを単独重合
またはエチレンとα−オレフィンを共重合することを特
徴とする新規なポリエチレンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エチレン(共)重合体の製造方法
の一つとしては、遷移金属化合物と有機金属化合物を組
み合わせた、いわゆるチーグラー型触媒の存在下にエチ
レンを重合する方法あるいはエチレンとα−オレフィン
とを共重合する方法が知られている。なかでも、チーグ
ラー型触媒としては触媒活性および得られるポリエチレ
ンの分子量、分子量分布、共重合組成などの面におい
て、チタン、ジルコニウムおよびバナジウムの化合物と
有機アルミニウム化合物とを組み合わせることが有利で
あり、広く工業的に利用されている。
【0003】また、製造方法をプロセスで分類すると、
ポリエチレンの融点未満の温度条件下においてポリマー
を粒子状態に保ったまま重合を行うスラリー重合法、気
相重合法および融点以上の温度条件下に重合を行う溶液
重合法、高温高圧重合法が知られている。これらの重合
プロセスの内、溶液重合法、高温高圧重合法は発熱反応
である重合熱の有効利用ができ、エネルギー的に有利で
ある。これに対し、スラリー重合法や気相重合法は、重
合によって生じる重合熱を除去する必要があり冷却設備
を必須とする事からプロセス的にもエネルギー的にも不
利である。
【0004】加えて、スラリー重合法や気相重合法は、
α−オレフィンとの共重合により製造する低密度ポリエ
チレンにおいて、共重合体の結晶性が低いことから共重
合体粒子を安定状態に保ちにくいことや、高級αーオレ
フィンの反応性が低いことから物性的に優れている高級
α−オレフィン共重合体を製造しにくいなど、工業的に
製造できる製品の範囲に制約がある。これに対し、溶液
重合法や高温高圧重合法は、粒子状態をとらないことや
高温反応によりα−オレフィンの反応性を高めれること
により、前述のような制約がなく高品質の低密度ポリエ
チレンを広い範囲で製造可能である。
【0005】しかしながら、この溶液重合法や高温高圧
法に遷移金属化合物触媒成分と有機金属化合物触媒成分
を併用する従来のチーグラー型触媒を適用した場合、重
合温度が高いため重合時に併用する有機アルミニウム化
合物により遷移金属化合物が過還元を受け、重合活性が
低下することが知られている。
【0006】以上のことから、プロセス的およびエネル
ギー的に有利な生成重合体の融点以上の反応温度でエチ
レンを単独重合、またはエチレンと少なくとも1種のα
−オレフィンを共重合する重合方法において、有機アル
ミニウム化合物による過還元を受けない高活性な触媒が
工業的に要望されている。
【0007】そこで、本発明者らは有機アルミニウム化
合物を重合時に使用しないことにより、溶液重合法や高
温高圧重合法のメリットを生かした高活性重合触媒を開
発すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を見いだすに至
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生成
重合体の融点以上の反応温度でエチレンを単独重合、ま
たはエチレンと少なくとも1種のα−オレフィンを共重
合する重合方法において、有機アルミニウム化合物を併
用せずに高い重合活性を示し、コモノマー反応性に優
れ、かつ分子量の高いポリエチレンを製造しうる触媒を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、(i)
金属マグネシウムと水酸化有機化合物、マグネシウムの
酸素含有有機化合物およびハロゲン含有化合物からなる
群より選ばれた少なくとも1員と、(ii)チタンおよ
び/またはジルコニウムの酸素含有有機化合物とを含有
する均一溶液に(iii)ハロゲン化有機アルミニウム
化合物を反応させて得られる固体触媒の存在下に、生成
重合体の融点以上の反応温度でエチレンを単独重合また
はエチレンと少なくとも1種のα−オレフィンを共重合
することを特徴とするポリエチレンの製造方法にある。
【0010】
【作用】本発明において使用される反応剤である前記
(i)の金属マグネシウムと水酸化有機化合物およびマ
グネシウムの酸素含有有機化合物としては、以下のもの
があげられる。
【0011】まず、金属マグネシウムと水酸化有機化合
物とを使用する場合において、金属マグネシウムとして
は各種の形状、すなわち粉末、粒子、箔またはリボンな
どのいずれの形状のものも使用でき、また水酸化有機化
合物としては、アルコール類、有機シラノール、フェノ
ール類が適している。
【0012】アルコール類としては、1〜18個の炭素
原子を有する、直鎖または分岐鎖脂肪族アルコール、脂
環式アルコールまたは芳香族アルコールが使用できる。
例としては、メタノール、エタノール、n−ブタノー
ル、n−オクタノール、n−ステアリルアルコール、シ
クロペンタノール、エチレングリコールなどがあげられ
る。
【0013】また、有機シラノールとしては、少なくと
も1個のヒドロキシル基を有し、かつ有機基は1〜12
個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する
アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、
アリール基、アルキルアリール基から選ばれる。例えば
トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリフ
ェニルシラノール、t−ブチルジメチルシラノールなど
をあげることができる。
【0014】さらに、フェノール類としてフェノール、
クレゾール、キシレノール、ハイドロキノンなどがあげ
られる。
【0015】加うるに、金属マグネシウムを使用して本
発明で述べる固体成分を得る場合、反応を促進する目的
から、金属マグネシウムと反応したり、付加化合物を生
成したりするような物質、例えばヨウ素、塩化第2水
銀、ハロゲン化アルキル、有機酸エステルおよび有機酸
などのような極性物質を、単独または2種以上添加する
ことが好ましい。
【0016】マグネシウムの酸素含有有機化合物に属す
る化合物としては、マグネシウムアルコキシド類、例え
ばメチレート、エチレート、イソプロピレート、デカレ
ート、およびシクロヘキサノレート、マグネシウムアル
キルアルコキシド類、例えばエチルエチレート、マグネ
シウムヒドロアルコキシド類、例えばヒドロキシメチレ
ート、マグネシウムフェノキシド類、例えばフェネー
ト、ナフテネート、フェナンスレネートおよびクレゾレ
ート、マグネシウムカルボキシレート類、例えばアセテ
ート、ステアレート、ベンゾエート、フェニルアセテー
ト、アジペート、セバケート、フタレート、アクリレー
トおよびオレエート、酸素含有有機マグネシウム化合物
でさらに窒素を含有するもの、すなわち、マグネシウム
−酸素−窒素−有機基結合をこの順序で有する化合物、
例えばオキシメート類、特にブチルオキシメート、ジメ
チルグリオキシメートおよびシクロヘキシルオキシメー
ト、ヒドロキサム酸塩類、ヒドロキシルアミン塩類、特
にN−ニトロソ−N−フェニル−ヒドロキシルアミン誘
導体、マグネシウムキレート類、すなわちマグネシウム
が少なくとも1個のマグネシウム−酸素−有機基結合を
この順序で有し、さらに少なくとも1個の配位子結合を
有しマグネシウム含有複素環を形成する酸素含有有機化
合物、例えばエノレート類、特にアセチルアセトネー
ト、例えばヒドロキシ基に対しオルト位またはメタ位に
電子供与基を有するフェノール誘導体から得られる錯
体、特に8−ヒドロキシキノリネートならびにマグネシ
ウムシラノレート類、すなわち、マグネシウム−酸素−
ケイ素−炭化水素基結合をこの順序で含有する化合物、
例えばトリフェニルシラノレートがあげられる。もちろ
ん、この一連の酸素含有有機化合物は、また次のような
化合物も包含する。
【0017】すなわち、いくつかの異なる有機基を含有
する化合物、例えばマグネシウムメトキシエチレート、
マグネシウムと他の金属との錯アルコキシド類およびフ
ェノキシド類、例えばMg〔Al(OC
およびMg〔Al(OCをも包含す
る。これら酸素含有有機マグネシウム化合物は単独で、
もしくは2種類以上の混合物として使用される。
【0018】ハロゲン含有マグネシウム化合物として
は、無水または水和されたマグネシウムジハイドライド
類、MgCl、MgCl・6HO、MgCl
4HOおよびMgCl・2HO、マグネシウム−
ハロゲン結合のほかに酸素を介してマグネシウムに結合
している無機基、例えばヒドロキシ基を含有する化合
物、例えばMg(OH)ClおよびMg(OH)Br、
マグネシウムハライド類(好ましくはクロライド)の加
水分解生成物でマグネシウム−ハロゲン結合を残してい
るもの、マグネシウムのハロゲン含有化合物と酸素含有
化合物とを含有する混合組成物〔これらの組成物の代表
的な例は塩基性マグネシウムハライド類(好ましくはク
ロライド類)、例えば、MgCl・MgO・HO、
MgCl・3MgO・7HOおよびMgBr・3
MgO・6HOなどである〕をあげることができる。
【0019】これらのハロゲン含有マグネシウム化合物
は単独で、もしくは2種類以上の混合物として使用され
る。
【0020】前記(ii)のチタンおよび/またはジル
コニウムの酸素含有有機化合物において、まずチタン化
合物としては一般式〔TiO(OR
表される化合物が使用される。ただし該一般式において
は炭素数1〜20、好ましくは1〜10の直鎖また
は分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、アリールアル
キル基、アリール基、アルキルアリール基などの炭化水
素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。a、bおよびc
は、a≧0、b>0、4>c≧0でチタンの原子価と相
容れるような数であり、mは整数である。なかんずく、
aが0≦a≦1でmが1≦m≦6であるような酸素含有
有機化合物を使うことが望ましい。
【0021】具体的な例としては、Ti(OC
、Ti(O−n−C、Ti(O−i−C
、Ti(O−n−C、TiO(O
−i−C、Ti(OCCl、T
i(OCCl、などである。いくつかの異な
る炭化水素基を含む酸素含有有機化合物の使用も、本発
明の範囲にはいる。また、これらチタンの酸素含有化合
物を単独で、もしくは2種以上の混合物として使用する
ことも本発明の範囲にはいる。
【0022】ついでジルコニウムの酸素含有化合物とし
ては、一般式〔ZrO(ORで表される化
合物が使用される。ただし、該一般式において、R
炭素数1〜20、好ましくは1〜10の直鎖または分岐
鎖アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキ
ルアリール基などの炭化水素基を表し、dとeとは、d
≧0でe>0でジルコニウムの原子価と相容れるような
数であり、nは整数である。とりわけ、dが0≦d≦1
でnが1≦n≦6である様な酸素含有化合物を使うこと
が望ましい。
【0023】具体的な例は、Zr(O−n−C
、Zr(OC、Zr(OCH)〔OC
(CH、Zr〔OZr(OC
などである。
【0024】また、いくつかの異なる炭化水素基を含
む、酸素含有有機化合物の使用も本発明の範囲にはい
る。これらジルコニウムの酸素含有有機化合物は、単独
で、もしくは2種以上の混合物として使用する。
【0025】前記(iii)のハロゲン化有機アルミニ
ウム化合物としては、一般式AlR 3−tで示さ
れるものが使用される。ただし、該一般式においてR
は1〜20個の炭化水素基、Xはハロゲンを示し、F、
Cl、Br、またはIである。tは1≦t<3の数であ
る。好ましくはRは直鎖または分岐鎖アルキル、シク
ロアルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルア
リール基から選ばれる。
【0026】上記ハロゲン化有機アルミニウム化合物
は、単独または2種以上の混合物として使用することが
できる。
【0027】ハロゲン化有機アルミニウム化合物の具体
例としては、例えばエチルアルミニウムジクロライド、
n−プロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルア
ルミニウムジクロライド、i−ブチルアルミニウムジク
ロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、セス
キ−i−ブチルアルミニウムクロライド、セスキ−i−
プロピルアルミニウムクロライド、セスキ−n−プロピ
ルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロ
ライド、ジ−i−プロピルアルミニウムクロライド、ジ
−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−i−ブチ
ルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロ
マイド、ジエチルアルミニウムアイオダイドなどがあげ
られる。
【0028】これらの反応は、液体媒体中で行うことが
好ましい。そのため、特にこれらの反応剤自体が操作条
件下で液状でない場合、または液状反応剤の量が不十分
な場合には、不活性有機溶媒の存在下で行うことができ
る。不活性有機溶媒としては、当該技術分野で通常用い
られるものはすべて使用できるが、脂肪族、脂環族、ま
たは芳香族炭化水素類あるいはそのハロゲン誘導体また
は、それらの混合物があげられ、例えばイソブタン、ヘ
キサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、モノクロロベンゼンなどが好ましく用い
られる。
【0029】本発明の特徴の一つである、有機アルミニ
ウム化合物を重合時に使用しないことにより溶液重合法
や高温高圧重合法のメリットを生かした高活性重合触媒
を調製するためには、本発明で用いる反応剤(i)(i
i)(iii)の使用量および反応条件を適切に選択す
る必要がある。この理由は、反応剤(ii)のチタンお
よび/またはジルコニウムの酸素含有有機化合物が反応
剤(iii)のハロゲン化有機アルミニウムにより溶液
重合法や高温高圧重合法においてのみ活性を示す適切な
範囲にアルキル化を受けるためと推測される。
【0030】従って、まず本発明で用いられる反応剤
(i)(ii)(iii)の使用量は、触媒活性を生じ
させるために適切な範囲を選ぶ必要がある。すなわち、
マグネシウム原子(i)とチタンおよび/またはジルコ
ニウム原子(ii)の比は、1:0.01〜1:10、
好ましくは1:0.1〜1:2になるように使用量を選
ぶことが好ましい。マグネシウム原子とハロゲン化有機
アルミニウム化合物(iii)中のアルミニウム原子の
比は、1:0.1〜1:100、好ましくは1:0.5
〜1:20の範囲になるように反応剤の量を選ぶことが
好ましい。特に、1:1〜1:10の範囲が好適であ
る。これらの範囲をはずれた場合、重合活性が低いとい
う結果となる。
【0031】次いで本発明で用いられる反応剤(i)
(ii)(iii)の反応条件は以下の様に適切な範囲
を選ぶ必要がある。すなわち、反応剤(i)、(ii)
により均一溶液を得る際の反応条件は−50〜300
℃、好ましくは0〜200℃なる範囲の温度で、0.5
〜50時間、好ましくは1〜6時間、不活性ガス雰囲気
中で常圧または加圧下で行われる。
【0032】さらに反応剤(iii)の反応の際には−
30〜200℃、好ましくは、0〜100℃なる温度の
範囲で、0.2〜50時間、好ましくは0.5〜5時
間、不活性ガス雰囲気中で、または加圧下で行われる。
【0033】かくして得た固体触媒は、希釈剤として使
用される溶媒に不溶性の粒子あるいはコロイド状であ
る。この固体触媒は、濾過または傾斜法により残存する
未反応物および副生物を除去洗浄後、あるいは触媒粒子
をより微細化するためにα−オレフィンを少量加えて反
応させた後に洗浄を行い使用することができる。
【0034】固体触媒は、不活性溶媒中に懸濁して使用
する。また洗浄後単離し常圧または減圧下で溶媒を除去
したものも使用できる。
【0035】本発明の重合は、エチレンの単独重合また
はエチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとの共重
合である。エチレンとの共重合に用いられるα−オレフ
ィンとしては、炭素数3〜20のものが好ましく、具体
例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、
4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン
等およびそれらの混合物が用いられる。
【0036】エチレンの重合は、固体触媒のアルキル化
度合いに応じるが、生成重合体の融点以上の温度、好ま
しくは130〜300℃の温度範囲で行う。融点未満の
温度では、本発明の固体触媒のアルキル化が不足するた
め重合活性を示さない。
【0037】エチレンの重合方法は、重合媒体としては
不活性溶媒を用いる溶液重合法または単量体自身を重合
溶媒として用いる高温高圧重合法を用いることができ
る。
【0038】不活性溶媒を使用する溶液重合において
は、重合溶媒としてヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノ
ナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等の脂肪族炭化水
素およびその混合物、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂
環式炭化水素などが使用される。重合圧力は1〜200
Kg/cm、好ましくは10〜50Kg/cmであ
り、滞留時間は1分〜6時間、好ましくは4分〜3時間
の範囲である。
【0039】また、重合媒体として単量体自身が用いら
れる高温高圧重合においては、一般にエチレンの高圧ラ
ジカル重合装置などが使用でき、重合圧力200〜25
00Kg/cm、好ましくは400〜1500Kg/
cm、滞留時間5〜600秒、好ましくは10〜15
0秒の範囲で行われる。
【0040】また、本発明において、重合体の分子量は
反応温度の調節によっても制御しうるが、重合帯域に水
素を存在させることによって容易に制御できる。水素の
量は、重合条件や所望とするエチレン重合体の分子量等
によって相違するので適宜調節することが必要である。
【0041】
【実施例】以下に本発明を実施例により示すが、本発明
はその要旨を超えない限りこれらの実施例によってなん
ら限定されるものではない。
【0042】実施例中、MIはメルトインデックスを表
わし、JIS K−6760に基づき、190℃、荷重
2.16Kgの条件下で測定したものである。密度は、
JIS K−6760に従い測定した。
【0043】重合活性は、固体触媒1g当たりの重合体
生成量(Kg)、および固体触媒中の遷移金属成分1g
当たりの重合体生成量(Kg)を表わす。
【0044】実施例1 〔固体触媒の調製〕攪拌装置、還流冷却器、滴下管、温
度計を備えた1lのフラスコに、金属マグネシウム粉末
7g(0.29mol)を入れ、これにヨウ素0.35
g、ブタノール42.9g(0.60mol)およびチ
タンテトラブトキシド39.2g(0.115mol)
を加えた後、90℃まで昇温し、発生する水素ガスを排
除しながら窒素シール下で2時間攪拌した。引き続き1
40℃まで昇温して2時間反応を行い、その後ヘキサン
490mlを加えマグネシウムとチタンを含む均一溶液
を得た。
【0045】ついで、得られた溶液のMg換算0.10
molを別途用意した1lのフラスコに入れ、45℃に
おいてi−ブチルアルミニウムジクロライドの50%ヘ
キサン溶液223ml(0.60mol)を加えた後、
60℃まで上昇させ1時間攪拌を行い、固体触媒を得
た。
【0046】この固体触媒をヘキサンにより液中にチタ
ンおよびアルミニウムが検出されなくなるまで十分に洗
浄を行った後、40℃にて窒素気流下に乾燥を行い固体
触媒を取りだした。固体触媒中に含まれるチタンは、
6.8%であった。
【0047】得られた固体触媒0.5g を、炭素数10
〜11のイソパラフィンを主成分とする溶媒(出光石油
化学社製IP−1620)100mlに分散して触媒ス
ラリーを調製した。
【0048】〔エチレン重合〕内容積1lのステンレス
スチール製誘導撹拌機付オートクレーブを窒素置換し、
IP−1620を600mlを加え攪拌しながら200
℃に昇温した。溶媒の蒸気圧で系内は約1.0Kg/c
Gになるが、エチレンを全圧7.0Kg/cm
になるまで張り込み、上記固体触媒のスラリー(固体触
媒10mg、チタン原子が0.014mmol相当)を
投入し重合を開始した。エチレンを連続的に導入し、全
圧を一定に保ちながら4分間重合を行ったところ、2
8.3gのポリマーを得た。固体触媒当りの重合活性は
2.83kg/g触媒であり、遷移金属成分当たりの活
性は41.6kg/gに相当した。MIは、0.16g
/10分であり、重合体の融点は135℃であった。
【0049】比較例1 〔エチレン重合〕実施例1で調製した固体触媒を用いて
重合体の融点未満である80℃で重合を行った。
【0050】すなわち、内容積2lのステンレススチー
ル製電磁撹拌式オートクレーブ内を十分窒素で置換し、
ヘキサン1.2lを仕込、内温を80℃に調節した。そ
の後、実施例1で得た固体触媒30mgを含有するスラ
リーを順次添加した。オートクレーブ内圧を1kg/c
Gに調節した後、オートクレーブ内圧が11.0k
g/cmGになるようにエチレンを加え1.5時間撹
拌を行った。その後、未反応ガスを追い出し、濾過によ
り溶媒を分離したが、重合体はまったく得られなかっ
た。
【0051】比較例2 本発明以外の調製方法により遷移金属化合物を含む固体
触媒を調製し、有機金属化合物を用いることなくエチレ
ンの重合を実施した。
【0052】すなわち、直径4mmのステンレス製ボー
ル1.2Kg入った内容積420mlのステンレス製ポ
ットにマグネシウム成分として無水塩化マグネシウム1
0gおよびチタン成分として三塩化チタン(TiCl
・1/3AlCl)8.5gを窒素雰囲気下で封入
し、振動ミルで12時間共粉砕した。粉砕後得られた固
体触媒のうち1.0gを溶媒(IP−1620)100
mlに分散して触媒スラリーとした。
【0053】実施例1と同様の重合装置を用い、前記で
得られた触媒スラリー2.0ml(固体触媒20mg)
を用いる以外は実施例1と同様の条件で重合実験を実施
した。しかしながら、重合体はまったく得られなかっ
た。
【0054】比較例3 比較例2において粉砕により得られた固体触媒をさらに
ハロゲン化有機アルミニウム成分と反応させることによ
り触媒成分を調製し、有機金属化合物を用いることなく
エチレンの重合を実施した。
【0055】すなわち、比較例1の粉砕により得た固体
成分のうち2.0gを1lのフラスコに入れ、ヘキサン
100mlを加えて懸濁し、45℃においてi−ブチル
アルミニウムジクロライドの50%ヘキサン溶液223
ml(0.60mol)を加えた後、60℃まで上昇さ
せ1時間攪拌を行い、固体触媒を得た。
【0056】この固体触媒をヘキサンにより液中にアル
ミニウムが検出されなくなるまで十分に洗浄を行った
後、40℃にて窒素気流下に乾燥を行い固体触媒を取り
だした。固体触媒中に含まれるチタンは、4.7%であ
った。
【0057】得られた固体触媒1.0gを溶媒(IP−
1620)100mlに分散して触媒スラリーを調製し
た。
【0058】実施例1と同様の重合装置を用い、前記で
得られた触媒スラリー2.0mlを用いる以外は実施例
1と同様の条件で重合実験を実施した。しかしながら、
重合体はまったく得られなかった。
【0059】実施例2〜5 実施例1で調製したマグネシウムとチタンを含む均一溶
液を用い、反応剤(iii)の種類および使用量を表1
に示すようにした以外は実施例1と同様の方法により固
体触媒を調製し、エチレンの重合を実施した。重合の結
果も表1に併せて示した。
【0060】実施例6 〔固体触媒の調製〕攪拌装置、還流冷却器、滴下管、温
度計を備えた3lのフラスコに、金属マグネシウム粉末
50g(2.06mol)を入れ、これにヨウ素2.5
g、ブタノール320g(4.33mol)およびチタ
ンテトラブトキシド350g(1.03mol)を加え
た後、90℃まで昇温し、発生する水素ガスを排除しな
がら窒素シール下で2時間攪拌した。引き続き140℃
まで昇温して2時間反応を行い、その後ヘキサン100
0mlを加えマグネシウムとチタンを含む均一溶液を得
た。
【0061】ついで、得られた溶液を別途用意した10
lの反応器に入れ、ヘキサン2400mlを加えた後、
45℃においてi−ブチルアルミニウムジクロライドの
50%ヘキサン溶液3.8Kg(12.4mol)を加
えた後、60℃まで上昇させ1時間攪拌を行い、固体触
媒を得た。
【0062】この固体触媒を実施例1と同様にヘキサン
により十分に洗浄を行った。得られた固体触媒の一部を
取り出し、窒素気流下に乾燥を行いチタン含有量を測定
したところ6.7%であった。
【0063】得られた固体触媒のヘキサンスラリーにヘ
キセン370mlを加えて8時間撹拌を行い重合用触媒
スラリーを調製した。
【0064】〔エチレン重合〕撹拌機付き縦型円筒状反
応器に固体触媒とエチレンと1−ヘキセンを連続的に供
給し、重合器内の温度を180℃、圧力を800バール
に保ちながら重合を実施した。重合器内の平均滞留時間
は50秒、エチレンと1−ヘキセンのモル比率は65/
35、触媒供給は1時間当たり1.3gで8時間重合を
行った。その結果、1時間当たり21.6kgのエチレ
ン共重合体が得られた。固体触媒当りの重合活性は1
6.6kg/g触媒であり、遷移金属成分当たりの活性
は248kg/gに相当した。MIは、2.2g/10
分であり、重合体の融点は123℃で密度は0.924
g/cmであった。
【0065】実施例7〜9 実施例6で調製した固体触媒を用いて重合条件を表2に
示すようにした以外は実施例6と同様の方法によりエチ
レンとヘキセンの共重合の重合を実施した。重合の結果
も表2に併せて示した。
【0066】実施例10 〔固体触媒の調製〕攪拌装置、還流冷却器、滴下管、温
度計を備えた1lのフラスコに、無水塩化マグネシウム
27.6g(0.29mol)を入れ、チタンテトラブ
トキシド39.2g(0.115mol)を加えた後、
140℃まで昇温して2時間反応を行い、その後ヘキサ
ン490mlを加えマグネシウムとチタンを含む溶液を
得た。
【0067】ついで、得られた溶液のMg換算0.10
molを別途用意した1lのフラスコに入れ、45℃に
おいてi−ブチルアルミニウムジクロライドの50%ヘ
キサン溶液223ml(0.60mol)を加えた後、
60℃まで上昇させ1時間攪拌を行い、固体触媒を得
た。
【0068】この固体触媒をヘキサンにより実施例1と
同様に十分に洗浄を行った後、40℃にて窒素気流下に
乾燥を行い固体触媒を取りだした。固体触媒中に含まれ
るチタンは、10.7%であった。
【0069】得られた固体触媒0.5gを、炭素数10
〜11のイソパラフィンを主成分とする溶媒(出光石油
化学社製IP−1620)100mlに分散して触媒ス
ラリーを調製した。
【0070】実施例1と同様の重合方法により、前記で
得られた触媒スラリー(固体触媒11mg、チタン原子
が0.022mmol相当)を投入し重合をおこなっ
た。その結果、18.4gのポリマーを得た。固体触媒
当たりの重合活性は1.67kg/g触媒であり、遷移
金属成分当たりの活性は15.6kg/gに相当した。
MIは、0.27g/10分であった。
【0071】実施例11 〔固体触媒の調製〕攪拌装置、還流冷却器、滴下管、温
度計を備えた1lのフラスコに、金属マグネシウム粉末
7g(0.29mol)を入れ、これにヨウ素0.35
g、ブタノール42.9g(0.60mol)およびチ
タンテトラブトキシド19.6g(0.058mol)
とジルコニウムテトラブトキシド22.1g(0.05
8mol)を加えた後、90℃まで昇温し、発生する水
素ガスを排除しながら窒素シール下で2時間攪拌した。
引き続き140℃まで昇温して2時間反応を行い、その
後ヘキサン490mlを加えマグネシウムとチタンを含
む均一溶液を得た。ついで、得られた溶液のMg換算
0.10molを別途用意した1lのフラスコに入れ、
45℃においてi−ブチルアルミニウムジクロライドの
50%ヘキサン溶液297ml(0.80mol)を加
えた後、60℃まで上昇させ1時間攪拌を行い、固体触
媒を得た。
【0072】この固体触媒をヘキサンにより実施例1と
同様に十分に洗浄を行った後、40℃にて窒素気流下に
乾燥を行い固体触媒を取りだした。固体触媒中に含まれ
るチタンは、3.5%、ジルコニウムは6.7%であっ
た。
【0073】得られた固体触媒0.5gを、炭素数10
〜11のイソパラフィンを主成分とする溶媒(出光石油
化学社製IP−1620)100mlに分散して触媒ス
ラリーを調製した。
【0074】実施例1と同様の重合方法により、前記で
得られた触媒スラリー(固体触媒10mg、チタン原子
が0.007mmol相当)を投入し重合を行ったとこ
ろ、20.4gのポリマーを得た。固体触媒当たりの重
合活性は2.04Kg/g触媒であり、遷移金属成分当
りの活性は20.0Kg/gに相当した。MIは、0.
09g/10分であった。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】本発明の効果は、有機金属化合物を用い
ることなく固体触媒のみを使用して、ポリエチレンの製
造を遷移金属当りおよび固体触媒当りの重合活性が極め
て高く行えることである。
【0078】この効果により、まず重合プロセンにおい
て、有機金属化合物を供給する装置やシステムおよび触
媒除去を目的とする脱灰工程が不要となり工業的に有利
に重合体を製造することができる。また、有機金属化合
物を使用しないことからも製造コストの低減が可能であ
る。さらに、製品においては重合体の着色・着臭などが
なく、高品質なポリエチレンを製造可能である。
【0079】本発明の第2の効果は、有機金属化合物を
用いないことから高温反応においても過還元が生ぜず、
触媒の熱安定性が優れることである。従って、従来のチ
ーグラー型触媒に比べ高温においても比較的高活性で活
性寿命も長く、プロセス条件を従来法より広い範囲から
選ぶことができる。
【0080】本発明の第3の効果は、得られる共重合体
の分子量を高くできる点にある。従って、中空成形用、
フィルム成形用に適した重合体を得ることができ、成形
品の表面性状も良好になる。
【0081】本発明の第4の効果は、過還元を生じない
ことからエチレン以外のα−オレフィン(コモノマー)
に対する反応性が高く共重合性が良好であり、コモノマ
ーの重合転化率を他の触媒系に比べて高くできる。すな
わち、共重合するα−オレフィンの使用量を少量にする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における触媒調製図(フローチャート)
を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)金属マグネシウムと水酸化有機化合
    物、マグネシウムの酸素含有有機化合物およびハロゲン
    含有化合物からなる群より選ばれた少なくとも1員と、 (ii)一般式〔TiO a (OR 1 b c m (ただし該
    一般式においてR 1 は炭素数1〜20の炭化水素基を表
    し、Xはハロゲン原子を表す。a、bおよびcは、a≧
    0、b>0、4>c≧0でチタンの原子価と相容れるよ
    うな数であり、mは整数である。)で表されるチタンの
    酸素含有有機化合物および/または一般式〔ZrO
    d (OR 2 e n (ただし、該一般式において、R 2 は炭
    素数1〜20の炭化水素基を表し、dとeとは、d≧0
    でe>0でジルコニウムの原子価と相容れるような数で
    あり、nは整数である。)で表されるジルコニウムの酸
    素含有有機化合物とを含有する均一溶液に (iii)ハロゲン化有機アルミニウム化合物を反応さ
    せて得られる固体触媒の存在下に、有機アルミニウム化合物を重合時に使用せず、 生成重合
    体の融点以上の反応温度でエチレンを単独重合またはエ
    チレンと少なくとも1種のα−オレフィンを共重合する
    ことを特徴とするポリエチレンの製造方法。
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