JP3245338U - 撥水性にすぐれる樹脂製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本考案は、極めて撥水性にすぐれる樹脂製品を提供することを目的とする。【解決手段】本考案に係る撥水性にすぐれる樹脂製品10は、表面に、一辺がLの多角形からなる複数の突部20が、溝幅Wの間隔で配置された樹脂製品であって、前記Lは2mm~5mm、Wは0.1mm~1mm、前記L:Wは20:1~20:5であり、前記突部の頂面には、微細な凹凸が形成されている。前記L:Wは10:1~10:2とすることができる。前記突部は、五角形以上の多角形であり、各角部は90°超とすることができる。前記突部は、合同凸五角形とすることができる。【選択図】図1
Description
本考案は、極めて撥水性にすぐれる樹脂製品に関するものである。
自動車や家屋、浴室などの内装部品、家電製品などに、樹脂成形品等の樹脂製品が採用されている。これら樹脂製品では、撥水性が要求されることがあり、たとえば特許文献1では、基材となる樹脂製品の表面に撥水性の被膜を形成している。
このような撥水被膜を形成には、樹脂製品に処理液を塗布し、加熱させる成膜工程が必要となる。
一方で、撥水被膜は表面を擦ったり、水分等の付着、光照射、経年劣化などによって剥がれてしまうことがあり、長期に亘って樹脂製品の表面の撥水性を維持できない問題がある。
本考案は、極めて撥水性にすぐれる樹脂製品を提供することを目的とする。
本考案に係る撥水性にすぐれる樹脂製品は、
表面に、一辺がLの多角形からなる複数の突部が、溝幅Wの間隔で配置された樹脂製品であって、
前記Lは2mm~5mm、Wは0.1mm~1mm、
前記L:Wは20:1~20:5であり、
前記突部の頂面には、微細な凹凸が形成されている。
表面に、一辺がLの多角形からなる複数の突部が、溝幅Wの間隔で配置された樹脂製品であって、
前記Lは2mm~5mm、Wは0.1mm~1mm、
前記L:Wは20:1~20:5であり、
前記突部の頂面には、微細な凹凸が形成されている。
前記L:Wは10:1~10:2とすることができる。
前記突部は、五角形以上の多角形であり、各角部は90°超とすることができる。
前記突部は、合同凸五角形とすることができる。
前記突部の頂面の表面粗さRaは、0.5μm~15μmとすることができる。
前記突部は、高さ0.3mm~0.5mmとすることができる。
本考案の樹脂製品によれば、上記の如く規定された突部を形成したことにより、突部表面に付着した水滴は、表面に形成された微細な凹凸により、突部表面で弾かれてなじみ難く、水滴状のまま樹脂製品の表面を転がる。また、突部間の溝を上記の如く規定することで、水滴は溝に引っ掛かることなく、水滴のまま樹脂製品の表面を転がる。従って、樹脂製品は、表面の疎水効果が高く、極めて撥水性にすぐれる。本考案の樹脂製品は、撥水性が極めて良好であるから、早期に排水を行なうことが望まれる浴室の壁面や床面への適用が好適である。
以下、本考案の一実施例について、図面を用いて詳述する。本考案における樹脂製品は、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂などの熱硬化性樹脂から作製することができる。また、樹脂製品の形状や寸法、厚さなどは特に限定されるものではなく、その用途により適宜決定することができる。
樹脂製品10は、図1乃至図3に示すように、複数の突部20を表面に形成している。図1は五角形形状の突部20、図2は、六角形形状の突部20を示している。また、図3は、図1、図2の線A-Aに沿う断面図である。
突部20は、多角形形状としている。多角形形状とは、3角形以上とすることができ、好適には五角形以上である。多角形形状の角部の角度が90°を越える五角形以上の多角形とすることで、水滴が付着した場合であっても水滴が細幅となる鋭角の角部に当たって分離するような現象の発生を防ぎ、突部20の上に水滴状のまま保持して撥水性を確保できるからである。
五角形形状の突部20の場合、図1の如き合同凸五角形を採用できる。もちろん、多角形は合同形状に限らず異形五角形であってもよい。六角形の場合は、図2に示す正六角形の他、平行六角形を例示できる。その他、突部20は、異なる角部数の多角形の組合せであってもよい。
突部20を形成する多角形は、1辺の長さLを2mm~5mmとすることができる。突部20どうしは、0.1mm~1mmの溝幅Wの溝30を挟むように形成され、LとWは、L:Wが20:1~20:5(W/Lが0.05~0.25)となることが好適であり、10:1~10:2(W/Lが0.1~0.2)であることがより望ましい。このように溝幅Wを設定することで、水滴の溝30への侵入を防ぎ、好適な撥水性を具備できる。
突部20の頂面には、撥水性を高めるために、図3に示すように、微細な凹凸22を形成することができる。望ましくは、微細な凹凸は、頂面の表面粗さRaが0.5μm~15μmとすることが好適である。
また、突部20は、図3に示すように高さHが0.3mm~0.5mmとすることが好適である。
突部20は、樹脂製品10の表面全体に設けることができる。もちろん、突部20は、樹脂製品10の一部又は複数箇所に設けることもできる。撥水性能が樹脂製品10の一部のみに要求される場合には、当該箇所にのみ突部20を形成してもよい。
上記の如き突部20は、樹脂製品10の射出成形やブロー成形により作製することができる。この場合、金型に、突部20に対応する凹凸を形成することで成形を行なう。なお、微細な凹凸22の形成は、エッチングやサンドブラスト等であってもよく、レーザー加工を採用してもよい。
樹脂製品10は、上記した1辺がLの多角形形状の突部20であって、頂面に微細な凹凸を形成した突部20を溝幅Wで設けたことにより、付着した水滴は突部20の頂面で弾かれてなじみ難く、水滴状の形態を維持し、溝30に引っ掛かることなく、水滴のまま樹脂製品10の表面を極めてスムーズに転がる。このとき、水滴は溝30にほとんど侵入することもない。これにより、樹脂製品10の表面の疎水性を高められ、撥水性を向上させることができる。特に、本考案では、突部20の横断面形状を角部の角度が90°超の多角形とすることで、他の形状、たとえば三角形や矩形、円形の場合に比して、水滴等の滞留を防止でき、排水効果を高めることができる。突部20の表面の微細な凹凸22は、水滴等が広がることを防止し、撥水性を向上に寄与する。
本考案の樹脂製品10は、特に、排水効果を高めたい箇所、たとえば、浴室の壁面や床面への適用が好適である。
突部20の配置を模様化することで、極めてすぐれた撥水性且つ排水性を具備しながら、樹脂製品10の意匠性を高めることもできる。
図1に示す突部20を形成した樹脂製品10(本考案例)と、比較例とを夫々作製し、その親水性の度合いを「良い、普通、悪い」の三段階で評価した。
本考案例の樹脂製品10は、ABS樹脂から構成され、表面に1辺Lが3mmの合同凸五角形からなる突部20を溝幅Wが0.45mm、高さHが0.45mmとなるように板状に形成した。突部20の頂面の表面粗さRaは2μmである。
また、比較例の樹脂製品は、ABS樹脂から構成され、表面に1辺Lが3mの合同凸五角形からなる突部20を溝幅Wが3mmとなるように板状に形成した。突部20の頂面の表面粗さRaは0.1μmである。
親水性の比較試験は、図4に示す器具50を用いて行なった。図に示す器具50は、台座52から上方に延びる柱体54に支持板56が形成されており、支持板56に樹脂製品10の一端を載せて、樹脂製品10が30°傾くように支持したものである。
板材40には、約1mL~2mLの水滴58を垂らし、水滴58が50mmの距離を流れ落ちる時間を比較した。
本考案例は、水滴58が突部20に当たるが、広がることなく液滴形状を保ったまま、50mmを約1秒で滑り落ちた。一方、比較例は、水滴58が突部に当たって広がり、本考案例よりも遅いその50mmを約3秒で流れ落ちた。
本考案の樹脂製品10によれば、表面に上記規定された突部20を上記規定された溝幅Wで形成した結果、撥水効果を高めることができた。
上記実施例の説明は、本考案を説明するためのものであって、実用新案登録請求の範囲に記載の考案を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本考案の各部構成は上記実施例に限らず、実用新案請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
10 樹脂製品
20 突部
22 凹凸
30 溝
20 突部
22 凹凸
30 溝
Claims (6)
- 表面に、一辺がLの多角形からなる複数の突部が、溝幅Wの間隔で配置された樹脂製品であって、
前記Lは2mm~5mm、Wは0.1mm~1mm、
前記L:Wは20:1~20:5であり、
前記突部の頂面には、微細な凹凸が形成されている、
ことを特徴とする撥水性にすぐれる樹脂製品。 - 前記L:Wは10:1~10:2である、
請求項1に記載の撥水性にすぐれる樹脂製品。 - 前記突部は、五角形以上の多角形であり、各角部は90°超である、
請求項2に記載の撥水性にすぐれる樹脂製品。 - 前記突部は、合同凸五角形である、
請求項3に記載の撥水性にすぐれる樹脂製品。 - 前記突部の頂面の表面粗さRaは、0.5μm~15μmである、
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の撥水性にすぐれる樹脂製品。 - 前記突部は、高さ0.3mm~0.5mmである、
請求項5に記載の撥水性にすぐれる樹脂製品。
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2023
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