JP3243467B2 - トルク検知装置及び方法 - Google Patents

トルク検知装置及び方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トルクを検知する
ための方法及び装置に関し、より特定すると、磁性部材
の飽和状態に応答して、トルクを測定するトルク検知装
置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多くのトルク検知装置は、回転可能なシ
ャフトに固定された磁気弾性リングを有している。トル
クがシャフトの長手軸線の周囲にかかると、シャフトの
捻れ応力が磁気弾性リングに伝わる。捻れ応力は、典型
的には軸線方向における磁気弾性リングの磁気透過率を
変化させる。このリングはまた対応する磁場を提供す
る。多くの従来のトルク検知装置は、リングの磁場又は
磁気透過率を検知するために、センサコイル又は集積回
路センサを使用している。これらのセンサは、典型的に
は、インピーダンスの変化又はリングによって提供され
る磁場によるセンサ構成部品の誘起電圧の変化を検知す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、磁性部材の
飽和状態に応答して、トルクを測定するトルク検知装置
及び方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、長手軸線を有
する細長いシャフトにかかるトルクを検知するためのト
ルク検知装置に関する。磁気弾性部材がシャフトの一部
分に結合されている。この磁気弾性部材はシャフトにか
かるトルクに応答する磁場を提供する。磁性部材が磁気
弾性部材に隣接して位置決めされる。交流電源が磁性部
材を繰り返し磁気飽和状態へと駆動する。磁性部材は、
磁気弾性部材の磁場に応答する飽和状態を有している。
検知回路は磁性部材の飽和状態を検知する。検知回路
は、磁性部材の飽和状態に応答して適用されたトルクを
示す信号を提供する。
【0005】本発明の別の特徴は、細長いシャフトにか
かるトルクを決定する方法に関する。この方法は、磁性
部材を磁気飽和状態へと繰り返し駆動するステップを含
んでいる。磁気弾性部材がシャフトに取り付けられる。
この方法は更に、シャフトにかかったトルクに応答する
磁場を提供することも含んでいる。磁性部材は、磁場に
応答する飽和状態を有している。かかったトルクを示す
信号が磁性部材の飽和状態に応答して提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は、符号10で示された本発
明によるトルク検知装置の一つの実施形態を示してい
る。トルク検知装置10は、長手軸線14を有する細長
いシャフト12を含んでいる。シャフト12は、同シャ
フトがTで示される適用されたトルクに応答するねじれ
を受けるように、固定端部と自由端部とを有している。
シャフト12は、好ましくは低磁気透過率を有する概し
て堅固で弾性的な材料によって作られている。
【0007】円筒形の管状のスリーブとすることができ
る細長い磁気弾性部材16がシャフト12の周囲に結合
されている。磁気弾性部材16は、圧入されるか、溶接
されるか、さもなければシャフト12の外面に固定され
て、磁気弾性部材16とシャフトとの間に滑りがないよ
うにされている。磁気弾性部材16は、シャフト12と
同軸で且つこのシャフトに外接している。好ましくは、
磁気弾性部材16は、シャフトの軸線14に対して直角
に延びている面から約42゜ないし48゜の角度で面取
りされている切頭円錐形の端部18、20を有してい
る。
【0008】磁気弾性部材16は、例えば、異方性のマ
レージング鋼材によって作られる。磁気弾性部材16
は、シャフトの軸線14を中心として所望の周方向に極
性化されている。トルクTによるシャフト12のねじれ
は、磁気弾性部材16に伝達される。磁気弾性部材1
6、同部材の磁気透過率の変化に基本的に比例する適用
されたトルクTに応答する軸線方向の磁場を提供する。
このトルク応答磁場は、磁気弾性部材16の端部18と
20との間に延びている磁力線(図示せず)を有してい
る。
【0009】符号22で示された第1の磁気アセンブリ
が、磁気弾性部材16に隣接して位置決めされている。
磁気アセンブリ22は、入力24と出力26とを有して
いる。磁気弾性部材16の軸線方向の磁場は、適用され
たトルクTに従って磁気アセンブリ22に作用する。磁
気アセンブリ22は、磁気弾性部材16の磁場を検知し
てこれに応答する。
【0010】図1に示すように、磁気アセンブリ22
は、磁性部材の細長いコア28として示されている磁性
部材によって作られている。例えば、磁気アセンブリ2
2は、常磁性材料、強磁性材料、フェリ磁性材料、超常
磁性材料又は適当な磁気的ふるまいを呈するあらゆる材
料によって作ることができる。コアは、強磁性材料の鋳
造アモルファスワイヤによって作られるのが好ましい。
コア28が磁気弾性部材16と同一の広がりを持って位
置決めされている状態で、コア28の長さは、磁気弾性
部材16の長さに対応している。コア28は、シャフト
の軸線14に平行な長手軸線30を有している。コア2
8の軸線30は、磁気弾性部材16の外面から所定の距
離だけ隔てられている。磁気弾性部材16とコア28の
軸線30との間の距離は、約1.0mmから1.75m
mの範囲である。磁気アセンブリ22より特別にはコア
28は、適用されたトルクTに応答して変化する飽和状
態を有する。
【0011】磁気アセンブリ22はまた、複数の積層と
してコア28の周囲に巻かれた約200以上の外周巻線
であるのが適切である複数のコイル巻線32を有する細
長いワイヤをも含んでいる。ワイヤの一端は磁気アセン
ブリ22の入力24を形成しており、ワイヤの他端は出
力26を形成している。このワイヤは、導電性材料好ま
しくは銅線によって作られる。
【0012】代替的な電力源好ましくは電流源34は、
磁気アセンブリ22の入力24に電流を提供する。コイ
ル巻線32内の電流は、コア28を正及び負の磁気飽和
状態すなわち飽和ヒステリシス状態へと繰り返し駆動す
る。電流源34は、コア28の飽和状態を制御する助け
となるので好ましい。
【0013】磁気コア28の飽和ヒステリシスループ曲
線が図2に示されている。ヒステリシスループの幅は、
コア28の磁化され易さに依存する。例えば、容易に磁
化される材料は、薄いヒステリシスループを有してお
り、一方、硬い磁性材料のヒステリシスループはより大
きい面積を包囲し、従って、より広い幅を有する。磁束
密度(B)は、磁場(H)の関数として示される。ヒス
テリシス現象は、BをHより遅れさせて、磁場を増加さ
せ或いは減少させるための磁化曲線が同じでないように
する。領域Iにおける正の飽和状態においては、Bは、
基本的には、Hの増加に応答して変化しない。同様に、
Bは、基本的には、領域IIIにおける負の飽和状態に
おけるHの減少に応答して変化しない。
【0014】飽和状態においては、基本的には、コア2
8の全ての原子双極子が適用される磁場と整合して、コ
ア28が最大レベルまで磁化される。更に、飽和状態に
おいては、材料の磁気透過率はゼロに近づく。有利なこ
とには、コア28を飽和状態へと駆動することによっ
て、そうでない場合にはコア28の透過率に影響を及ぼ
す温度や応力の如き外的作用を排除する。
【0015】図1及び3の3aを参照すると、交流電流
源34は、好ましくは、入力24に交流ののこぎり波を
付与する。交流電流源34は、所定の周波数で電流を供
給する。この周波数は、実質的には、トルクがかけられ
る速度よりも速くなければならなず、約20kHzが適
切である。シャフト12にトルクがかかっていないと
き、磁気アセンブリの出力26における電流は、入力2
4における電流と本質的に等しい。コア28の飽和特性
は知られている。電流源34の振幅は、ほぼISA T及び
−ISATにおいて示されている最大電流及び最小電流に
おいてコア28を飽和させるように制御されている。特
に、最大電流は、tSATによって示された時間にコア2
8を飽和させる。
【0016】例えば、サイン波、矩形波又はその他のあ
らゆる交流電流の如き他のタイプの交流電流を使用して
も良いことも理解されるであろう。
【0017】トルクTがかかると、磁気弾性部材16
は、磁気アセンブリ22より特別にはそれに関連するコ
ア28に作用する磁場を提供する。かかったトルクTに
よる磁場とコイル巻線32内を流れる電流との和によっ
て、コア28が、電流のみが適用されるときよりも迅速
に飽和する。図3の3bを参照すると、時計方向のトル
クTを適用すると、例えば、出力電流にスパイク電流が
生じる。これにより、コア28は、tSATによって示さ
れた時間に飽和せしめられる。これは、図2の領域Iの
如き領域における正の飽和に対応する。トルクが適用さ
れないときとトルクが適用されるときとの飽和に到達す
る時間の差は、ΔtSATで示されている。ΔtSATの値
は、機能的には、適用されるトルクの大きさに関係す
る。同様に、逆方向にトルクが適用されると、入力電流
がISATに近づくときに、磁気アセンブリ22の出力2
6に負のスパイク電流(図示せず)が生じる。このよう
に、反時計方向のトルクは、図2の領域IIIに示すよ
うなより迅速な負の飽和に到達するのを助ける。
【0018】トルク決定回路36は、磁気アセンブリ2
2の飽和状態を検知するために、磁気アセンブリ22の
出力26に接続されている。図1の実施形態において
は、トルク決定回路36は、コイル巻線32の出力電流
を検知する。トルク決定回路36はまた、電流源34に
接続されている。従って、回路36は、磁気アセンブリ
22の入力24に付与される入力電流を検知する。入力
電流を制御するためにフィードバックを設けても良い。
トルク決定回路36は、磁気アセンブリ22の入力24
における電流を、磁気アセンブリ22の出力26におけ
る電流と比較して、磁気アセンブリ22の飽和状態の変
化を決定する。
【0019】コア28の飽和特性は、試験によって実験
的に決定し、トルク決定回路36内に記憶しても良い。
入力電流の振幅は、適用されるトルクがない状態におけ
るほぼ最大振幅及び最小振幅においてコア28を飽和状
態へと駆動するように選択される。トルクが適用されな
いときに飽和に到達する時間は、基本的に、図3の3a
におけるISAT及び−ISATで示される交流電流のピーク
に対応する。従って、トルクTの測定は、トルクTが適
用されるときにコア28がどれだけより迅速に正又は負
の磁気飽和状態に到達するかに応答して決定することが
できる。このことは、図3の3bにおいてΔtSATで示
されている。トルク決定回路36は、磁気アセンブリ2
2の検知された飽和状態に応答する適用されたトルクT
を示す信号を提供する。トルク信号は、以下においてよ
り詳細に説明するように、所望の構成部品を制御するた
めにコントローラ38に供給される。
【0020】符号100で示されたトルク検知装置の別
の実施形態が図4に示されている。この実施形態は、長
手軸線104を有する細長いシャフト102を含んでい
る。Tで示されたトルクは、時計方向又は反時計方向に
軸線104を中心にシャフト102に適用されることが
できる。一対の細長い磁気弾性部材106及び108
が、シャフト102の周囲に固定されている。磁気弾性
部材106及び108は、マレージング鋼のような異方
性磁性材料によって作られている。第1の磁気弾性部材
106は、符号110で示された第1の周方向に磁極化
されている。他方の磁気弾性部材108は、符号112
で示された逆の方向に磁極化されている。磁気弾性部材
106及び108は、絶縁スペーサー材料114によっ
て軸線方向において隔置されるのが好ましい。
【0021】磁気アセンブリ116及び118には、各
々の磁気弾性部材106及び108が関連付けられてい
る。図4に示された磁気アセンブリ116は、一対の正
反対の磁気コア120及び122を含んでいる。コア1
20及び122は、磁気弾性部材106に隣接して且つ
同一の広がりで位置決めされている。入力124及び出
力126を有する細長いワイヤが各コア120及び12
2の周囲に巻かれて、直列に接続された各々のコイル巻
線128及び130を形成している。コイル巻線128
は、各コア120及び122の端部間で複数の積層状に
巻かれている。
【0022】同様に、磁気アセンブリ118は、磁気弾
性部材108に隣接して且つ同一の広がりで位置決めさ
れた正反対のコア132及び134を含んでいる。磁気
アセンブリ118もまた、複数の積層として各々のコア
132及び134の周囲に巻かれた複数のコイル巻線1
36及び138をも含んでいる。図4に示されているよ
うに、コイル巻線136及び138は、直列に接続され
た共通のワイヤによって作られている。コイル巻線13
6の入力は、磁気アセンブリ118の入力140を形成
している。コイル巻線136の出力はコイル巻線138
の入力に接続されており、コイル巻線138の出力は磁
気アセンブリ118の出力142を形成している。
【0023】各磁気アセンブリ116及び118は、交
流電流源によって励起されて、各々のアセンブリのコア
120、122及び132、134を正及び負の飽和状
態へと繰り返し駆動する。好ましくは、一対の交流電源
144及び146は、各々、入力124及び140への
入力電流IA及びIBを提供する。各交流電流源は、所定
の周波数を有する矩形波電圧源のような共通のAC電源
によって電力を供給されているが、他の電源でも十分で
あるかもしれない。図1に関して説明したように、各交
流電流源144及び146は、所定の周波数好ましくは
約20kHzの周波数と所定の振幅とを有する、のこぎ
り波電流を提供するのが好ましい。電流IA及びIBは、
各々の磁気アセンブリ116及び118を、ほぼそれら
の最小及び最大振幅で磁気飽和状態へと駆動するように
選択される。磁気アセンブリ116及び118より特別
には各々のコア120、122及び132、134の各
々の飽和状態は、適用されるトルクTに応答して変化す
る。特に、コア120及び122は、トルクTがかけら
れると、異なる入力電流レベル、従って種々の時間に飽
和する。
【0024】符号150で示されているトルク決定回路
は、第1の磁気アセンブリ116の出力126及び第2
の磁気アセンブリ118の出力142に電気的に接続さ
れている。トルク決定回路150はまた、各AC電流源
144及び146にも接続されている。電流源144及
び146への接続によって、入力電流を示す信号が調節
回路150に提供される。トルク決定回路150はま
た、各々の入力電流IA及びIBの周波数及び/又は振幅
を制御するために電流源144及び146へのフィード
バックをも提供することができる。トルク決定回路15
0は、第1及び第2の磁気アセンブリ116及び118
の飽和状態の変化に応答して適用されたトルクTを測定
するような構成とされたマイクロコンピュータを含んで
いるのが好ましい。トルク決定回路150はまた、集積
回路、別個の構成部品又は所望の検知及び信号処理機能
を実行するような構成とされた集積回路と別個の部品と
の組み合わせを含むこともできる。
【0025】トルク決定回路150内の部品は、トルク
決定回路150によってなされる機能の概要を図表によ
って示す。トルク決定回路150の信号入力は、アナロ
グ−デジタル(A/D)コンバータ152によって適切
にデジタル化される。A/Dコンバータ152は、図示
のように回路150内に配置される代わりに、回路15
0の外部に配置しても良い。これらの信号はまた、適用
されたトルクTを決定する際に望ましくない周波数要素
を除去するために、適当なデジタル又はアナログフィル
タ(図示せず)によって適当に濾波されるべきである。
【0026】磁気アセンブリ116の出力126におけ
るデジタル化された信号は、比較機能154において、
電流源144からの入力電流IAと比較される。比較機
能154からの信号は、チャネルAのための飽和決定機
能156に提供される。飽和決定機能156は、適用さ
れたトルクTに応答して磁気アセンブリ116の飽和状
態の変化を決定する。コア120及び122の飽和状態
の変化によって、磁性部材106によって提供される磁
場に応答して、飽和におけるスパイク電流の如き検知さ
れた出力電流に対応する変化を生ずる。チャネルAのた
めの飽和決定機能156は、磁気アセンブリ116及び
118のコア120及び122が適用されたトルクTに
応答して磁気飽和状態に達する時間と、トルクがかから
ないときにこれらが飽和状態に達する時間との間の時間
差を決定する。これは、図3の3bに関して図示され且
つ説明されているΔtSATに対応している。トルクがか
からない場合には、飽和決定機能156は飽和状態に変
化がないことを示すであろう。
【0027】別の比較機能158は、磁気アセンブリ1
18の出力142のデジタル化された信号を入力電流I
Bと比較する。比較機能158の出力は、チャネルBの
別の飽和決定機能160に付与される。飽和決定機能1
60は、磁気アセンブリ118の飽和状態の変化を決定
する。特に、飽和機能160は、コア132及び134
が適用されたトルクTに応答して磁性部材108によっ
て提供される磁場によって磁気飽和状態に達する時間
と、トルクが適用されないときにこれらが飽和状態に達
する時間との時間差を決定する。
【0028】飽和決定機能156及び160の出力は、
各々のトルク決定機能162及び164に付与される。
トルク決定回路のルックアップテーブル166は、複数
の飽和状態のためのトルクの測定値を提供する。種々の
飽和状態のためのトルクの対応する測定値を、実験的な
試験によって決定し、ルックアップテーブル166に記
憶しても良い。
【0029】チャネルAのためのトルク決定機能162
は、ルックアップテーブル166の内容に従って、磁気
アセンブリ116の飽和状態の変化に応答して適用され
たトルクTの測定値を決定する。同様に、チャネルBの
ためのトルク決定機能164は、磁気アセンブリ118
の飽和条件の変化に応答して適用されたトルクTの測定
値を決定する。磁気弾性部材106及び108は逆方向
に極性化されているので、関係する磁気アセンブリ11
6及び118からのトルクの測定は、本質的に反対であ
り又は差信号(differential signa
l)である。差のトルク信号は、機能ブロック168内
で比較され且つ平均化されて、適用されたトルクTの角
度方向を含む測定値を決定する。機能ブロック168
は、機能ブロック170で示された適用トルクTの大き
さ及び方向を示す出力信号を提供する。回路150は、
トルク信号を適当なコントローラ172の出力へ付与す
る。
【0030】図5を参照すると、符号200によって示
されているトルク検知装置の好ましい実施形態が、車両
のステアリング装置と組み合わせて図示されている。手
動のステアリングホイール210は、入力シャフト21
2に結合されている。ピニオンギヤ214が出力シャフ
ト216に結合されている。入力シャフト212は、ト
ーションバー218を介して出力シャフト216に作動
可能に結合されている。トーションバー218は、図1
及び4に関して既に述べたシャフトに対応している。ト
ーションバー218は、符号Tで示された適用されたス
テアリングトルクに応答して捻れて、入力シャフト21
2と出力シャフト216との間の相対的な回転を許容す
る。トーションバー218は、所定のばね定数を有して
いる。適用されたトルクTに応答する入力シャフト21
2と出力シャフト216との間の相対的な回転量は、ト
ーションバー218のばね定数と機能的に関係してい
る。ピニオンギヤ214は、ステアリングラック部材2
20上に配設されたラック歯とかみ合い係合する。ステ
アリングラック部材220は、公知の方法で車両の操舵
可能な車輪222及び224に結合されている。手動の
ステアリングホイール210の回転は、車輪222及び
224の操舵動作を生じる。
【0031】このステアリング装置はまた、ステアリン
グラック部材220を包囲する電動モーター226をも
含んでいる。好ましくは、電動モーター226は、リラ
ックタンス可変モーターであるが、他のタイプのモータ
ーを使用しても良い。電動モーター226は、例えば、
ボールナット駆動アセンブリ(図示せず)によって、ス
テアリングラック部材220に駆動可能に結合されてい
る。許容可能なボールナット駆動アセンブリは、Dru
tchasに付与された米国特許第4,415,054
号に示され且つ説明されている。他の駆動アセンブリも
また使用しても良い。電動モーター226は、ある種の
車両条件下で軸線方向の操舵力を提供する。
【0032】電動モーター226は、電源スイッチ23
0のバンクを介してモーター制御回路228に接続され
ている。スイッチ230は、コントローラ228によっ
て、公知の方法でパルス幅変調されている。必要とされ
る補助操舵力の方向及び量に従って、コントローラ22
8によるパルス幅変調によってモーター226に電流が
提供される。コントローラ228は、トルク決定回路2
32に接続されている。トルク決定回路232は、適用
されるステアリングトルクTの大きさ及び方向を示すト
ルク信号をコントローラ228に提供する。更に、モー
ターコントローラ228は、リラクタンス可変の電動モ
ーター226のローターの位置を検知するローター位置
センサ234に接続されている。ローター位置センサ2
34は、ローターの位置を示す信号を提供する。コント
ローラ228はまた、符号236によって示されるその
他の入力をも受け取る。その他の入力236は、例え
ば、車両速度、電動モーター26の温度だけでなく、円
滑発進制御回路を含んでも良い。トルク信号、ローター
位置信号及びその他の入力を含む入力に応答して、コン
トローラ228は、電動モーター226を制御して、車
輪222及び224の回転を支援する。
【0033】トルク検知回路200は、上記のような形
態で構成されているものとして示されている。一対の交
流電流源242及び244は、一対の磁気アセンブリ2
46及び248を、正及び負の磁気飽和状態から及び磁
気飽和状態へと、すなわち飽和ヒステリシス内へと繰り
返し駆動する。一対の磁気弾性部材250及び252が
トーションバー218に沿って固定されている。トーシ
ョンバー218が適用されたトルクTに応答して捻れる
ときに、ねじれが各磁気弾性部材250及び252に基
本的に均等に伝わる。磁気弾性部材250及び252
は、周方向で反対方向に極性化されている。従って、ト
ルクTが適用されたときに、磁気弾性部材250及び2
52は、本質的に反対方向に延びる磁束を備えた軸線方
向の磁場を提供する。
【0034】磁気アセンブリ246及び248は、各々
の磁気弾性部材250及び252に隣接して且つ同一の
広がりで配置されている。各磁気アセンブリ246及び
248は、一対の正反対の磁気コア部材254、256
及び258、260と、各々これらに関連するコイル巻
線262、264及び266、268と、によって形成
されている。磁気アセンブリ246及び248或いはよ
り特定すると各々のコア部材254、256及び25
8、260は、所定の飽和状態を有している。各磁気ア
センブリの飽和状態は、トルクTが適用されたときに磁
気弾性部材によって形成される磁場に応答して変化す
る。トルク決定回路232は、上記したような磁気アセ
ンブリ246及び248の飽和状態の変化に応答して適
用されたトルクTの大きさ及び方向を決定する。トルク
決定回路232は、トルク信号をコントローラ228に
付与する。コントローラ228は、手動のステアリング
ホイール210の回転によって生じるステアリングトル
クTに応答して、電動モーター226にホイール222
及び224の回転を支援させる。
【0035】上記の本発明の説明から、当業者は、改
良、変更及び変形を想到するであろう。当業者が想到で
きる範囲に含まれるこのような改良、変更及び変形は、
特許請求の範囲によって保護されることを意図してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるトルク検知装置の構成図である。
【図2】図1の装置の動作特性を示しているヒステリシ
ス曲線である。
【図3】3aは、図1の装置への入力電流の電流対時間
のグラフである。3bは、図1の装置にかかるトルクに
応答する出力電流の電流対時間のグラフである。
【図4】本発明によるトルク検知装置の別の実施形態の
構成図である。
【図5】本発明に従って、ステアリング装置と組み合わ
せられたトルク検知装置の実施形態の構成図である。
【符号の説明】
10 トルク検知装置、 12 シャフト、 16
磁気弾性部材、22 磁気アセンブリ、 24 入
力、 26 出力、28 コア、 32 巻線、
34 電流源、36 トルク決定回路、 38 コ
ントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−62987(JP,A) 特開 平5−126654(JP,A) 特表 平9−511832(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01L 3/10 G01L 5/22 B62D 5/04

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手軸線を有する細長いシャフトに適用
    されたトルクを検知するためのトルクセンサであって、 前記シャフトの一部分の周囲に結合されており、同シャ
    フトに適用されたトルクに応答する磁場を発生する第1
    の磁気弾性部材と、第1の磁性体を含む第1の磁気アセンブリであって、前
    第1の磁気弾性部材に隣接して併設され、前記第1の
    磁気弾性部材によって発生される磁場と当該第1の磁気
    アセンブリに入力される電流とによって前記磁性体が飽
    和状態まで磁化されるようになされた、第1の磁気アセ
    ンブリと、 前記第1の磁気アセンブリ電流を入力する第1の電流
    と、 前記第1の磁気アセンブリの出力に接続され、同第1の
    磁気アセンブリの磁性体が飽和状態となるときの同第1
    の磁気アセンブリから出力される電流に基づいて前記
    ャフトに適用されたトルクを示す信号を提供する検知回
    路と、を含むトルクセンサ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のセンサであって、 前記第1の磁気弾性部材によって発生される前記磁場が
    前記第1の磁気アセンブリに作用するセンサ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のセンサであって、 前記第1の磁気アセンブリが、前記第1の磁気弾性部材
    によって発生される前記磁場を検知するセンサ。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のセンサであって、 前記第1の電流源が、所定の周波数の交流を前記第1の
    磁気アセンブリに入力するセンサ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のセンサであって、 前記検知回路が、前記第1の磁気アセンブリに入力され
    電流を、同第1の磁気アセンブリから出力される電流
    と比較して、前記第1の磁気アセンブリの飽和状態の変
    化を決定するセンサ。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のセンサであって、 前記第1の磁気アセンブリの飽和状態の前記変化が、前
    記適用されたトルクを示すセンサ。
  7. 【請求項7】 ステアリング支援措置と組み合わせられ
    た請求項1に記載のセンサであって、前記検知回路によって提供された前記トルクを示す 信号
    に応答して制御信号を提供するために、前記検知器に作
    動可能に接続されたコントローラと、 制御信号に応答してステアリング支援を提供するため
    のステアリング支援手段と、を含むセンサ。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載のセンサであって、前記シャフトの一部分の周囲に前記第1の磁気弾性部材
    に隣接して取り付けられ、 前記適用されたトルクに応答
    する磁場を発生する第2の磁気弾性部材と、磁性体を含む第2の磁気アセンブリであって、前記第2
    の磁気弾性部材に隣接して併設され、前記第2の磁気弾
    性部材によって発生される磁場と当該第2の磁気アセン
    ブリに入力される電流とによって前記磁性体が飽和状態
    まで磁化されるようになされた、 第2の磁気アセンブリ
    と、 前記第2の磁気アセンブリ電流を入力する第2の電流
    と、 前記第1の磁気アセンブリ及び第2の磁気アセンブリ
    出力に接続され、前記第1の磁気アセンブリ及び前記第
    2の磁気アセンブリにおける磁性体が飽和状態となると
    きに前記第1の磁気アセンブリ及び前記第2の磁気アセ
    ンブリから出力される電流に基づいて前記シャフトに適
    用されたトルクを示す信号を提供する前記検知回路と、
    を更に含むセンサ。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のセンサであって、 前記検知回路が、前記第1の磁気アセンブリの前記飽和
    状態と前記第2の磁気アセンブリの前記飽和状態とを比
    較して、前記シャフトに適用されたトルクの大きさ及び
    角度方向を示す信号を提供するセンサ。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載のセンサであって、 前記第1の磁気弾性部材が第1の周方向に磁気極性化さ
    れ、前記第2の磁気弾性部材が第1の周方向と反対の周
    方向に磁気極性化されているセンサ。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載のセンサであって、 前記第1の磁気アセンブリが、前記第1の磁気弾性部材
    のほぼ対向側部に隣接して併設された第1及び第2の
    性体を更に含んでいるセンサ。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のセンサであって、 前記第1及び第2の磁性体が、前記第1の磁気アセンブ
    リの入力と出力との間に電気的に接続されており、同第
    1の磁性体及び第2の磁性体の各々は、入力された電流
    と前記第1の磁気弾性部材によって発生された磁場との
    両方に応じた飽和状態を有し、前記検知回路は、前記第
    1及び第2の磁性体が飽和状態になるときの前記第1の
    磁気アセンブリから出力される電流に基づいて前記シャ
    フトに適用されたトルクを示す信号を提供するセンサ。
  13. 【請求項13】 長手軸線を有する細長いシャフトに適
    用されるトルクを検知するためのトルク検知装置であっ
    て、 前記シャフトの一部分に結合され、同シャフトに適用さ
    れたトルクに応答する磁場を発生する第1の磁気弾性部
    材と、同第1の磁気弾性部材に併設して配置された第1の磁性
    体と、 第1の磁性体を飽和状態へと繰り返し磁化する交流電
    源であって、前記第1の磁性体は、当該交流電源によっ
    て入力される電流と前記第1の磁気弾性部材によって発
    生される磁場とによって飽和状態まで磁化されるように
    なされた、交流電源と、 前記第1の磁性体飽和状態を検知し、第1の磁性体
    が飽和状態となるときの同第1の磁性体から出力される
    電流に基づいて、前記シャフトに適用されるトルクを示
    す信号を提供する検知器回路と、を含む装置。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の装置であって、 前記第1の磁性体が、前記第1の磁気弾性部材に併設さ
    且つ同一の広がりで配置された強磁性材料からなる細
    長いコアであって、前記第1の磁気弾性部材の磁場に応
    じた飽和状態を有するコアを含む、装置。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の装置であって、 第1及び第2の端部を有する細長い線と、同線の前記第
    1の端部と第2の端部との中間で前記コアの周囲に巻か
    れている複数の巻線とを更に含み、前記交流電源が、当
    細長い線の前記第1の端部に交流を付与し、それによ
    って、前記コアを飽和状態へと繰り返し磁化するように
    なされた細長い線と、 前記細長い線の前記第2の端部に結合されて、前記コア
    前記飽和状態になるときの前記第1の磁気アセンブリ
    から出力される電流に基づいて前記シャフトに適用され
    たトルクを測定するための前記検知器回路と、を更に含
    む装置。
  16. 【請求項16】 ステアリング支援措置と組み合わせら
    れた請求項13に記載の装置であって、 前記検知器回路の信号に応答して制御信号を提供するた
    めに、前記検知器回路に作動可能に結合されたコントロ
    ーラと、 前記制御信号に応答してステアリング支援を提供するた
    めのステアリング支援手段と、を含む装置。
  17. 【請求項17】 請求項13に記載の装置であって、 前記第1の磁気弾性部材に隣接して前記シャフトの一部
    分に取り付けられ、前記シャフトに適用されたトルクに
    応答し磁場を発生する第2の磁気弾性部材と、 前記第2の磁気弾性部材に隣接して併設された第2の
    性体と、を更に含み、 前記交流電源は、前記第2の磁性体を飽和状態へと繰り
    返し磁化し、同第2の磁性体は、同交流電源によって入
    力される電流と前記第2の磁気弾性部材によって発生さ
    れる磁場とによって飽和状態まで磁化されるようになさ
    れ、 前記検知器回路は、前記第1及び第2の磁性体各々が
    飽和状態となるときの同第1及び第2の磁性体から出力
    される電流に基づいて、前記シャフトに適用されるトル
    クを示す信号を提供する、ようになされた装置。
  18. 【請求項18】 ステアリング支援装置と組み合わせら
    れた請求項17に記載の装置であって、 前記検知器回路に作動可能に結合されて、前記検知器回
    によって提供された信号に応じて制御信号を提供する
    コントローラと、 制御信号に応じてステアリング支援を提供するための
    ステアリング支援手段と、を含む装置。
  19. 【請求項19】 請求項13に記載の装置であって、 前記第1の磁性体が、前記第1の磁気弾性部材に併設
    て同第1の磁気弾性部材の両側に沿って配置された強磁
    性材料からなる第1及び第2の細長いコアを更に含み、
    同コアの各々は、入力された電流及び前記第1の磁気弾
    性部材によって発生された磁場に応じた飽和状態を有す
    る装置。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の装置であって、 前記検知器回路が、前記各々のコア前記飽和状態に
    るときの前記第1の磁性体から出力される電流に基づい
    て、前記シャフトに適用されたトルクを示す信号を提供
    する装置。
  21. 【請求項21】 細長いシャフトにかかるトルクを測定
    するための方法であって、前記細長いシャフトの周囲に 第1の磁気弾性部材を結合
    して同シャフトにトルクが適用されたときに同トルクに
    応答する磁場を発生させるステップと、 磁性体を含む第1の磁気アセンブリを前記第1の磁気弾
    性部材 に隣接して併設するステップと、 前記第1の磁気弾性部材によって発生される磁場と、前
    記第1の磁気アセンブリに入力される電流とによって前
    記磁性体を飽和状態まで繰り返し磁化するステップと、 前記第1の磁気アセンブリの磁性体が飽和状態となると
    きに同第1の磁気アセンブリから出力される電流に基づ
    いて 前記シャフトに適用されたトルクを示す信号を提供
    するステップと、を含む方法。
  22. 【請求項22】 請求項21に記載の方法であって、 前記第1の磁性体の飽和状態の変化を測定するステップ
    を更に含む方法。
  23. 【請求項23】 請求項21に記載の方法であって、 前記第1の磁気弾性部材に隣接して前記シャフトに第2
    の磁気弾性部材を取り付けるステップと、 磁性体を含む第2の磁気アセンブリを前記第2の磁気弾
    性部材に隣接して併設するステップと、 前記第2の磁気弾性部材によって発生される磁場と前記
    第2の磁気アセンブリに入力される電流とによって前記
    第2の磁気アセンブリの磁性体 を飽和状態まで繰り返し
    磁化するステップと、 前記第1の磁気アセンブリ及び第2の磁気アセンブリ
    出力に接続され、前記 第1の磁気アセンブリ及び前記第
    2の磁気アセンブリにおける磁性体が飽和状態となると
    きに前記第1の磁気アセンブリ及び前記第2の磁気アセ
    ンブリから出力される電流に基づいて前記シャフトに適
    用されたトルクを示す信号を提供するステップと、を更
    に含む方法。
  24. 【請求項24】 請求項21に記載の方法であって、前記第1の磁気アセンブリの磁性体の飽和状態及び第2
    の磁気アセンブリの 磁性体の飽和状態を比較するステッ
    プを更に含む方法。
  25. 【請求項25】 請求項21に記載の方法であって、 前記比較ステップに応答して前記シャフトに適用された
    トルクの大きさ及び角度方向を示す信号を提供するステ
    ップを更に含む方法。
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