JP3242825B2 - ヒユージブルリンクエレメントのヒユーズ可溶体 - Google Patents

ヒユージブルリンクエレメントのヒユーズ可溶体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大電流ヒユーズ用
として使用するヒユージブルリンクエレメントの可溶体
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等のワイヤーハーネス接続用コネ
クタに適用されるヒユーズ構造体のヒユージブルリンク
エレメントは、例えば、図8において、従来形のヒユー
ジブルリンクエレメントの全体構成が1で示されてお
り、対向する1対の雌端子部分2を有し、該雌端子部分
2の外側の非対向面側に係止片3が上向きに切り起こし
て形成されている。また、各雌端子部分2の非対向面側
からは、上方に延設された比較的幅の広い基部4と、こ
の基部4に続く屈曲部5が形成される。さらに側方突出
部分6が設けられ、それに続いて許容溶断容量に見合っ
て細い幅に設定された可溶片部7が形成される。一方の
上方突出部分9はこの上に置かれたチツプ状のスズ合金
を両側から包み込み、さらにカシメて可溶体8を形成し
ている。この後、スズ合金は、ヒユーズの溶断特性の安
定化を図るために、溶かされて可溶体に溶着させられ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したヒユージブル
リンクエレメントにおいて、チツプ状のスズ合金をカシ
メるという工程はプレス加工々程で行われている。チツ
プ状のスズ合金のごとき柔らかい物体を可溶体に組み付
けると言う工程を可溶体のプレス工程中に同時に行うこ
とは精度の高い技術の使用を必要とする。また、ヒュー
ズ溶断特性の安定化を図るために、このチツプ状のスズ
合金は次いである程度の温度にまで加熱されて可溶体に
溶着させられる。かかる溶着工程はまた過熱によるすず
合金の漏出を避けねばならず、溶融温度管理面において
も比較的高い技術を要し、ヒュージブルリンクエレメン
ト全体の製造面の観点からすると、かかる工程はプレス
工程共々生産性を大きく落とす要因となっている。この
ような工程により完成されたすず合金部分は、さらに表
面が空気中に晒されるために酸化し易いといった恨みも
ある。
【0004】本発明の目的は、可溶体のスズ合金部分の
形成を容易にし、溶融時の漏出を防止してしかもスズ合
金の酸化を防止しかつ生産性においても優れたヒユージ
ブルリンクエレメントの可溶体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、大
電流ヒユーズ用として使用するヒユージブルリンクエレ
メントの可溶体において、前記ヒユージブルリンクエレ
メントの一方又は他方の屈曲部先端部分上に、上部に注
入孔を穿設した密閉箱形構造体を設け、この密閉箱形構
造体中に前記注入孔から溶融したスズ合金を注入し、前
記密閉箱形構造体と注入されたスズ合金とを一体的に固
化させることを特徴とするヒユージブルリンクエレメン
トの可溶体によつて達成される。
【0006】ヒユージブルリンクエレメントの可溶体は
上部に穿設した注入孔を有する密閉箱形構造体内に溶融
したスズを注入し、このスズ合金を密閉箱形構造体と一
体的に固化させることにより形成される。スズ合金が密
閉箱形構造体中に保持されるので、従来の可溶部片への
スズ合金溶着の際に生じるようなスズ合金の漏出がな
く、しかも、密閉箱形構造体中に収容されるので外気と
の直接々触が回避されるので、スズ合金の表面酸化も防
止できる。
【0007】本発明の1つの好ましい実施態様による
と、前記密閉箱形構造体が、予め用意された箱体であ
り、その後、前記ヒユージブルリンクエレメントの一方
又は他方の屈曲部の先端部分上に取り付けられる。この
ように密閉箱形構造体を別付けの形態で先端部分に取り
付けることにより、周囲に熱を発散する溶融スズ合金の
注入工程を別途分離する事が可能となるので作業能率の
向上が得られる。
【0008】さらに、本発明のもう1つの好ましい実施
態様によると、前記密閉箱形構造体が、予め用意された
半完成状態の矩形屈曲片に、前記ヒユージブルリンクエ
レメントの一方又は他方の屈曲部の先端部分に予め一体
的に形成した一対の翼状片を上方に折り曲げて嵌合する
ことにより一体的に組み立てられる。このように密閉箱
形構造を組立式で製造することにより、上記実施態様の
場合と同様に周囲に熱を発散する溶融スズ合金の注入工
程をヒュージブルエレメントの組立作業が終了した後に
別の場所で行えると言った作業能率の向上が得られる。
【0009】以下に、本発明によるヒュージブルリンク
エレメントの可溶体の一実施例を、該ヒユージブルリン
クエレメントが装着されるヒユーズ構体と共に示した分
解斜視図である図1を参照してより詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1において、自動車等のワイヤ
ーハーネス接続用コネクタに適用されるヒユーズ構体は
ヒユージブルリンクエレメント10、これを収納するハ
ウジング11、および該ハウジング11の上部開口を密
閉するハウジングカバー12により構成される。
【0011】ヒユーズ構体のヒユージブルリンクエレメ
ント10は対向する1対の雌端子部分13を有し、該雌
端子部分13の外側の非対向面側に係止片14が斜め上
向きに切り起こして形成されている。また、各雌端子部
分13の非対向面側からは、上方に延設された比較的幅
の広い基部15と、この基部15に続く左右対称の屈曲
部16aおよび16bが形成される。さらに、一方の屈
曲部16aの先端部には左右に伸びる翼状の放熱板17
が延設されている。また、他方の屈曲部分16bの先端
部分との接続部分には、許容溶断容量に見合って細い幅
に設定された溶断部18が形成されている。他方の屈曲
部分16bから延びる先端部分には、この上に密閉箱形
構造体19が一体的に設けられており、この密閉箱形構
造体内に注入されたスズ合金により可溶体20を形成し
ている。溶融状態で注入されたスズ合金は、ヒユーズの
溶断特性の安定化を図るために冷され、密閉箱形構造体
19内でこの内部と一体的に固化される。
【0012】密閉箱形構造体19は溶融されたスズ合金
を注入する注入孔19aおよびガス抜き孔19bを備え
ている。かかる密閉箱形構造体19においては、例え
ば、図2に略示されるごとく、注入孔21aおよびガス
抜き孔21bを備えた、予め形成された箱体21が図1
のヒユージブルリンクエレメント10と同様に他方の屈
曲部16bの先端部分上に取着される。この先端部分に
図3に示された如く該先端部分の伸延方向に対して左右
に延びる一対の爪片22および23(図3)が一体的に
打ち抜きプレス加工により配設される。これらの爪片2
2および23は、箱体21を取り囲むごとく折り曲げら
れて他方の屈曲部16bから延びる先端部分上に箱体2
1を固定するようになされる。なお、かかる爪片は必ず
しも一対乃至左右に延びるものでなくても良く、別途製
造された箱体21の周囲に絡め或いは係止されるもので
さえあれば良いのである。
【0013】また、前記密閉箱形構造体19は、この実
施例の構成要素をそれぞれ示す図4ないし図7における
ごとく、2本の脚部24a、注入孔24bおよびガス抜
き孔24cを備える矩形屈曲片24(図4)を作って置
き、図1のヒユージブルリンクエレメント10と同様に
他方の屈曲部16bの先端部分の両側に、前記屈曲片2
4の長さおよび高さに対応する大きさの左右に突出する
翼状片25(図5)を設け、この翼状片25を図6に断
面形状で示すごとく上方に内向するまで屈曲して矩形断
面と成し、この屈曲形状の壁間に矩形屈曲片24を挿入
することにより図7の方形断面形状を有する箱体が形成
される。この密閉箱形構造体19は翼状片25の弾性に
より係止し、矩形屈曲片24を把持している。
【0014】更に、密閉箱型構造体19の機械的強度を
増すために、矩形屈曲片24は、中央横方向に張り出し
た左右一対の突出片24dを備えており、また、翼状片
25は、前記突出片24dを嵌挿するために、小孔25
bを穿けたその伸延方向中央部分において左右に張り出
す一対の係止片25aを備えており、これら突出片およ
び係止片の箱体を形成した際の係合状態は、横断面図に
よって図7に示されている。
【0015】上記いずれかの密閉箱形構造体19を有す
るヒユージブルリンクエレメント10は次いで密閉箱形
構造体19中に溶融されたスズ合金が注入孔(19a,
21a,24b)から注入される。この注入孔からの溶
融されたスズ合金の注入には、図示してない、加熱ヒー
タ付きのデイスペンサが使用される。
【0016】また、上記した実施例に関わらず、密閉箱
形構造体19は一方の屈曲部16aの先端部分に配置す
ることも当然可能である事は言うまでもないことであ
る。
【0017】
【発明の効果】叙上のごとく、本発明は、大電流ヒユー
ズ用として使用するヒユージブルリンクエレメントの可
溶体において、上部に注入孔を設けた密閉箱形構造体を
形成し、この密閉箱形構造体中に前記注入孔から溶融し
たスズ合金を注入し、前記密閉箱形構造体と注入された
スズ合金とを一体的に固化させる構成としたので、可溶
体のスズ部分の形成を容易にし、不安定な状態である液
体のスズ合金を箱内部に密閉状態で充填し、溶融時の漏
出を防止すると同時に表面の酸化を防止するヒユージブ
ルリンクエレメントの可溶体を提供することができ、溶
断特性の経時変化が回避され、外的条件に関わらず長期
使用に耐えられると言った効果が得られる。
【0018】また、従来のヒユージブルリンクエレメン
トの可溶体のごとく、チップ状のスズ合金を可溶部片に
カシメるという手間のかかるプレス加工およびすず合金
溶着における溶融温度管理を必要としないので、また、
発熱作業を別の工程に分ける事が可能であるので、作業
能率すなわち生産性を向上すると言った経済的効果も得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるヒユージブルリンクエレメントの
可溶体を使用するヒユーズ構体を示す分解斜視図であ
る。
【図2】密閉箱形構造体を形成する箱体の実施例を示す
概略図である。
【図3】ヒユージブルリンクエレメントの他方の屈曲部
分の先端部分に図2の箱体を係止する方法を示す概略図
である。
【図4】他の密閉箱形構造体を形成する箱体の一方の部
分を構成する屈曲片を示す概略図である。
【図5】図4の密閉箱形構造体を形成する箱体の他方の
部分を構成する翼状片との使用に適するヒユージブルリ
ンクエレメントの他方の屈曲部の先端部分の構造を示す
概略図である。
【図6】図5の先端部分に形成された翼状片を上向きに
折り曲げた状態を示す断面図である。
【図7】図4の矩形屈曲片を図6の折り曲げられた翼状
片に嵌合した状態を示す概略断面図である。
【図8】従来のヒユージブルリンクエレメントの可溶部
片の構造を説明する概略斜視図である。
【符合の説明】
10 ヒユージブルリンクエレメント 11 ハウジング 12 ハウジングカバー 13 雌端子部分 14 係止片 15 基部 16a 一方の屈曲部 16b 他方の屈曲部 17 放熱板 18 溶断部 19 密閉箱形構造体 19a 注入孔 19b ガス抜き孔 20 可溶体 21 箱体 21a 注入孔 21b ガス抜き孔 22 爪片 23 爪片 24 矩形屈曲片 24a 脚部 24b 注入孔 24c ガス抜き孔 24d 突出片 25 翼状片 25a 係止片 25b 小孔
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−66329(JP,A) 特開 平1−241728(JP,A) 特開 平8−22762(JP,A) 特開 平8−17328(JP,A) 実開 昭59−66844(JP,U) 実開 昭62−1349(JP,U) 実開 平3−97851(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 85/08 H01H 69/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大電流ヒユーズ用として使用するヒユー
    ジブルリンクエレメントの可溶体において、 前記ヒユージブルリンクエレメント(10)の一方又は
    他方の屈曲部(16a,16b)先端部分上に、上部に
    注入孔(19a)を穿設した密閉箱形構造体(19)を
    設け、この密閉箱形構造体中に前記注入孔(19a)か
    ら溶融したスズ合金を注入し、前記密閉箱形構造体と注
    入されたスズ合金とを一体的に固化させることを特徴と
    するヒユージブルリンクエレメントの可溶体。
  2. 【請求項2】 前記密閉箱形構造体(19)が、予め用
    意された箱体であり、その後、前記ヒユージブルリンク
    エレメント(10)の一方又は他方の屈曲部(16a,
    16b)先端部分上に取り付けられることを特徴とする
    請求項1に記載のヒユージブルリンクエレメントの可溶
    体。
  3. 【請求項3】 前記密閉箱形構造体(19)が、予め用
    意された半完成状態の矩形屈曲片(24)に、前記ヒユ
    ージブルリンクエレメント(10)の一方又は他方の屈
    曲部の先端部分に予め一体的に形成した一対の翼状片
    (25,25)を上方に折り曲げて嵌合することにより
    一体的に組み立てられることを特徴とする請求項1に記
    載のヒユージブルリンクエレメントの可溶体。
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