JP3242738B2 - 部分架橋プロピレン系共重合体粒子およびその製造法 - Google Patents

部分架橋プロピレン系共重合体粒子およびその製造法

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JP3242738B2 JP8381993A JP8381993A JP3242738B2 JP 3242738 B2 JP3242738 B2 JP 3242738B2 JP 8381993 A JP8381993 A JP 8381993A JP 8381993 A JP8381993 A JP 8381993A JP 3242738 B2 JP3242738 B2 JP 3242738B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐衝撃性が改良された部
分架橋プロピレン系共重合体粒子、およびその製造法に
関する。さらに詳しくは、溶融処理されていないプロピ
レン系共重合体粒子の架橋処理による該共重合体粒子の
製造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンに代表されるポリオレフ
ィンは安価で成形加工性が比較的良好であり、耐薬品
性、耐溶剤性、耐候性等の化学的性質、耐熱性、ガス透
過性等の物理的性質に優れることから、自動車部材、家
電部品といった工業部品およびフィルム、シート、容器
等の包材分野に広く用いられている。しかしながら、ポ
リオレフィンは、耐衝撃性、特に低温での衝撃強度など
の機械的特性は必ずしも満足し得るものでなく、エチレ
ン・プロピレンゴム等のエラストマーを配合して衝撃強
度のを改良することがなされている(特公平1−241
75号、同2−12987号公報)。しかし、エラスト
マーのような軟質成分を配合すると耐衝撃性は改良され
るものの剛性の低下、コストの上昇という欠点があっ
た。また、微細なフィラーを配合して衝撃強度を改良す
る試みもなされている(特開平1−165643号、同
1−263137号公報)。しかし、このような微細な
フィラーを使用すると、凝集による分散不良,外観の悪
化、さらには密度の上昇等の問題が生じる。さらに、プ
ロピレンをα-オレフィン類と共重合させることによ
り、得られる共重合体の耐衝撃性が向上することもよく
知られている。これは、該共重合体中に存在する非晶性
成分(以下これを「ゴム成分」ということがある)の働
きによるものと考えられている。共重合反応後の生成共
重合体においては、該ゴム成分は共重合体中に細かな粒
子状で、あるい網目状で分散しているが、共重合後の製
品化に際して通常行われる該共重合体の溶融処理によ
り、例えば溶融押出によるペレット化により該ゴム成分
は凝集して共重合体中に大きなドメインとなるため、剛
性や耐衝撃性の諸物性が溶融前のものより低下してしま
う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プロ
ピレン系共重合体の本来有する良好な成形加工性を保持
したまま、エラストマーやフィラー等の添加をしなくと
も、剛性を低下させることなく低温衝撃性を著しく向上
させる方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、プロピレ
ン系共重合体の溶融処理によるゴム成分の凝集が起こら
ないようにして、ゴム成分を微細な粒子状または網目状
に保持することが、該共重合体の耐衝撃性の向上に寄与
するという着想に基づいて、種々検討を行った結果、プ
ロピレンと不飽和単量体との共重合後に溶融処理が未だ
行われていない共重合体粒子を部分架橋することによ
り、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完
成するに至った。即ち、本発明によれば、溶融処理され
ていないプロピレン系共重合体粒子の架橋処理によって
該共重合体中に存在する非晶性成分が選択的に架橋され
ており、該非晶性成分は溶融処理による凝集が抑制さ
れ、該共重合体中に分散していることを特徴とする部分
架橋プロピレン系共重合体粒子が提供され、さらに該共
重合体粒子は、溶融処理されていないプロピレン系共重
合体粒子および架橋剤を含む水性懸濁液を該架橋剤の分
解が実質的に起こらない温度に維持して、該架橋剤を該
共重合体粒子に含浸させた後、この水性懸濁液を昇温し
て架橋反応を行わせることにより製造される。
【0005】[発明の具体的説明] (1)原材料 (a)プロピレン系共重合体粒子 本発明で用いられる原料重合体は、プロピレンと他の不
飽和単量体の共重合により製造される結晶性プロピレン
系共重合体粒子であり、未だ溶融処理がなされていない
ものである。通常は重合反応終了後、得られた重合体は
溶融処理、例えば溶融押出しされてペレット化または粒
状化され、製品として出荷されるが、本発明においては
このような溶融処理が行われる前の重合体、即ち重合反
応により生成した重合体がそのまま使用される。上記し
たように、溶融処理された重合体では、溶融前に網目状
や微細な粒子状で存在しているゴム成分が溶融状態を経
過することにより凝集して共重合体中にドメインとなる
ために、剛性や耐衝撃性などが低下する。従って、本発
明においては、このような溶融処理による重合体の構造
的変化のない状態の重合体を、下記する部分架橋に付す
ことが極めて重要である。
【0006】前記プロピレン系共重合体を構成するプロ
ピレン以外の不飽和単量体としては、エチレン、ブテン
−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4
−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン類の1種ま
たは2種以上、および該α−オレフィンと非共役ジエン
類、例えばジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエ
ン、シクロオクタジエン、ジシクロオクタジエン、メチ
レンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2
−ノルボルネン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、
7−メチル−1,6−オクタジエン、1,8−ノナジエ
ンおよび1,9−デカジエン等の少なくとも1種を挙げ
ることができる。該共重合体の具体例を挙げれば、プロ
ピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共
重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、
プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体、プロピ
レン−エチレン−ヘプテン−1共重合体、プロピレン−
7−メチル−1,6−オクタジエン共重合体、プロピレ
ン−エチレン−7−メチル−1,6−オクタジエン共重
合体等が代表的なものである。これら共重合体はブロッ
ク型およびランダム型のいずれでも良いが、ブロック型
のものが好ましく、中でもプロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体が剛性と
耐衝撃性のバランスの点で好ましい。
【0007】プロピレン系共重合体は、プロピレンを主
成分とし、上記不飽和単量体を0.1〜70重量%、好
ましくは1〜50重量%含有するものである。また、該
共重合体は非晶性成分を20〜99重量%、殊に30〜
80重量%含有することが好ましい。なお、非晶性成分
の量は、示差走査熱量計により測定される結晶部(重
量)を該共重合体(重量)から除いた残りの量をいう。
共重合体粒子の平均粒径は、通常のプロピレンとα−オ
レフィン類の共重合により得られる重合体粒子の粒径、
通常は10〜3000μ程度であるが、これに限定され
るものではない。
【0008】(b)架橋剤 部分架橋に使用される架橋剤としては、汎用のものを使
用することができるが、後に記載する好ましい部分架橋
方法との関係で、分解温度が50℃以上であって、かつ
油溶性であるものが好ましい。ここで「分解温度」と
は、ベンゼン1リットル中に架橋剤0.1モルを添加し
て、ある温度で10時間放置したときに架橋剤の分解率
が50%となるときの温度である。いわゆる「10時間
の半減期を得るための分解温度」を意味する。この分解
温度が低いものを用いると、共重合体中に十分に架橋剤
が含浸されない状態で架橋剤が分解してしまい粒子中で
効果的に架橋反応が進行しないという欠点がある。
【0009】このような架橋剤としては、例えば2,4
−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイ
ド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオ
キサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、2,5
−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサ
ン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチ
ル−ジパーオキシフタレート、メチルエチルケトンパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)等のアゾ化合物等がある。
【0010】これらの架橋剤のなかで、油溶性液状のも
のはそのまま使用することが可能であるが、共重合体粒
子への効果的な含浸を図る上で、該共重合体と親和性の
良好な溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素溶媒;ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭
化水素溶媒;テトラクロロエタン、クロロベンゼン等の
塩素系溶媒等に溶解して用いることが好ましい。一方、
固体状の架橋剤は同様に該共重合体と親和性の良好な上
記の溶媒に溶解して用いることが好ましい。架橋剤の使
用量は、共重合体中の非結晶性部分が適度に(溶融処理
による該部分の凝集が抑制され且つゴム的性質が完全に
は失われない程度に)架橋される量が選択されるが、通
常は共重合体粒子中に存在する非晶性成分の量に対して
0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%の
範囲内で、架橋剤の種類、反応条件により適宜加減す
る。使用量がこの量未満では部分架橋反応が円滑に進ま
ず、一方この量超過では過度に架橋反応が進行してしま
い、得られた部分架橋体の流動性が極端に低下してしま
うという欠点がある。また、上記架橋剤に加えて架橋助
剤を使用することも有効な手段である。架橋助剤の具体
例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ
アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、
ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリメチロールプロパノール
ジアクリレート、トリメチロールプロパノールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げら
れる。架橋助剤の使用量は、用いる共重合体粒子中に存
在する非晶性成分の量に対して0〜10重量%程度の範
囲内で適宜使用される。
【0011】(2)部分架橋体の製造 これらの各原料成分を部分架橋反応に付して部分架橋体
を製造するのであるが、以下に説明する水性懸濁手法に
よって部分架橋することが、重合後の共重合体粒子が本
来有するゴム成分の網目状、または粒子状構造を保持し
たまま架橋し得る点で好ましい方法である。即ち、共重
合体粒子および架橋剤を含む水性懸濁液を、該架橋剤の
分解が実質的に起こらない温度で、該架橋剤を該共重合
体粒子に含浸させた後、この水性懸濁液を昇温させて部
分架橋反応を完結させる方法が好ましく、この方法につ
いて説明する。
【0012】共重合体粒子への架橋剤の含浸:水性媒体
中で共重合体粒子に架橋剤を含浸させる代表的な好まし
い方法としては、共重合体粒子の水性懸濁液に架橋剤
(及び必要に応じて溶媒および架橋助剤)を加えて撹拌
するか、または、架橋剤の水性分散液に共重合体粒子を
加えて撹拌する方法によって始まる。含浸工程では、工
業的には含浸時間を短くするために上記架橋剤が実質的
に分解しない温度に昇温して、効率よく含浸が行われる
べきであり、一般的には室温から100℃、特に60〜
90℃で操作するのが好ましい。この工程で、遊離架橋
剤の量が架橋剤使用量の80重量%以下となるように架
橋剤を含浸させる。含浸時間は2〜8時間程度が普通で
ある。
【0013】水性分散液中の共重合体の含量は、水10
0重量部に対して5〜100重量部程度であるのが普通
である。このような水性分散液は、単に撹拌を十分に行
うだけでも安定に分散状態を維持することができるが、
適当な懸濁安定剤を使用すればより容易かつ安定に懸濁
分散液を調製することができる。この場合の懸濁安定剤
としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロ
ース、ヒドロキシセルロース等の水溶性高分子;アルキ
ルベンゼンスルホネート等のような陰イオン性界面活性
剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン
性界面活性剤;あるいは酸化マグネシウム、リン酸カル
シウム等の水不溶性の無機塩等が単独あるいは混合し
て、水に対して0.01〜10重量%程度の量で使用さ
れる。
【0014】架橋反応 このようにして調製した水性懸濁液を昇温して、使用し
た架橋剤が適当な速度で分解する温度以上にすれば、含
浸された架橋剤の働きにより部分架橋物が生成する。架
橋反応進行中の水性懸濁液は、適当に撹拌することが好
ましい。架橋温度は一般的に50〜150℃の範囲で適
宜選択すべきであるが、架橋反応工程を通じて一定であ
る必要はない。架橋反応は2〜10時間程度であるのが
普通である。圧力は常圧〜10kg/cm2程度が普通であ
る。反応終了後、通常のビニル単量体(例えばスチレ
ン)の水性懸濁重合の後処理と同様の後処理を行えば、
直ちに成形用材料として使用することができる部分架橋
された共重合体粒子が得られる。
【0015】(3)部分架橋された共重合体粒子の構造
および物性 上記のようにして部分架橋された共重合体粒子は、結晶
性重合体のマトリックスに、その溶融流動性が消失しな
い程度に架橋された非晶性成分の微細な粒子状または網
目状で分散している構造を示し、該共重合体粒子を溶融
処理しても該非晶性成分が凝集して大きなドメインを形
成することはない。得られる部分架橋共重合体粒子のゲ
ル分率は0.1〜70重量%のものである。この範囲未
満では、部分架橋の効果が十分に発現することができ
ず、また該範囲超過では流動性が極端に低下してしまう
という欠点がある。なお、ゲル分率は下記の方法により
測定したものである。ゲル分率 :部分架橋されたサンプルを、溶媒としてキシ
レンを用いソックスレー型抽出器により18時間沸点温
度にて抽出し、下記式により抽出残の重量を百分率で表
示したものである。 ゲル分率(%)=[抽出残重量(g)]/[抽出前のサンプル
重量(g)]×100
【0016】(4)部分架橋体の成形 上記のようにして製造された部分架橋共重合体は、その
ままでも成形用材料として使用することができるが、ハ
ンドリングの点を考慮すると溶融押出機等を用いて粒径
3〜7mmのペレット状にすることが好ましい。この
際、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難
燃剤、無機充填剤、他の熱可塑性樹脂等をブレンドして
成形材料として利用することも可能である。
【0017】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。 [原料プロピレン系共重合体の製造例] (1) 固体触媒成分の調製 窒素置換した内容積500mlのガラス製三つ口フラスコ
に75mlの精製ヘプタン、75mlのチタンテトラブトキ
シド及び10gの無水塩化マグネシウムを加えた。その
後、該フラスコを90℃の温度にまで昇温し、この温度
で2時間撹拌して塩化マグネシウムを完全に溶解させ
た。次に、該フラスコを40℃の温度にまで冷却し、メ
チルハイドロジエンポリシロキサン15mlを添加するこ
とにより、塩化マグネシウム・チタンテトラブトキシド
錯体を析出させた。この析出物を精製ヘプタンで洗浄し
て、灰白色の固体を得た。窒素置換した内容積が300
mlのガラス製三つ口フラスコに、上記で得た析出固体2
0gを含むヘプタンスラリー65mlを導入した。次い
で、四塩化珪素8.7mlを含むヘプタン溶液25mlを室
温で30分かけて加えて、更に30℃の温度で30分間
反応させた後、更に90℃の温度で1時間反応させた。
反応終了後、該反応生成物を精製ヘプタンで洗浄し、こ
れに塩化フタロイル1.6mlを含むヘプタン溶液50ml
を加えて、50℃の温度で2時間反応させた。その後、
この生成物を精製ヘプタンで洗浄し、更に四塩化チタン
25mlを加えて、90℃の温度で2時間反応させた。こ
れを更に精製ヘプタンで洗浄して、チタン含有固体触媒
成分を得た。該チタン含有固体成分中のチタン含量は
3.22重量%であった。
【0018】(2) プロピレン共重合体の製造 (i) 内容積が200Lの撹拌式オートクレーブ内をプロ
ピレンで十分に置換した後、脱水及び脱酸素したn−ヘ
プタン60Lを導入し、トリエチルアルミニウム15.
0g、前記チタン含量固体触媒成分3.0g及び第三ブ
チルメチルジメトキシシラン4.3gを70℃の温度で
プロピレン雰囲気下で導入した。第1段重合は、オート
クレーブを75℃の温度に昇温した後、水素濃度を13
%(容量)に保ちながら、プロピレンを9kg/時間の
速度で導入することにより開始した。228分後プロピ
レンの導入を止めて、更に重合を75℃の温度で90分
間継続させた。気相部のプロピレンが0.2kg/cm2Gと
なるまでパージした。次にn−ブタノール4.9gを添
加し、オートクレーブを60℃の温度にまで降温させた
後、第2段重合をプロピレン0.2kg/時間、エチレ
ン2.8kg/時間の速度で53分間フィードすること
により実施した。このようにして得られたスラリーを濾
過し、乾燥して粉末状のプロピレン−エチレンブロック
共重合体[A]を得た。 (ii) 第2段重合におけるプロピレンのフィード速度を
1.5kg/時間に、エチレンのフィード速度を1.5
kg/時間に変えた以外は、上記と同様に重合を行い、
プロピレン−エチレンブロック共重合体[B]を得た。
【0019】実施例1 50リットル容量のオートクレーブに水20kg、懸濁
剤の第三リン酸カルシウム0.1kg、およびドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gを混入して水性
媒体とし、これに上記製造例で得られた粒径300〜5
00μのプロピレン−エチレンブロック共重合体[A]
(MFR:1.2/10分,エチレン含量:15.6重量
%,ゴム成分含量:50重量%,ゲル分率:0重量%)
12kgを加え、撹拌して懸濁させた。さらに、架橋剤
としてベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製“ナイ
パーBMT”)60gを先の懸濁系に添加し、オートク
レーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2に加圧し
た。次いでオートクレーブ内を60℃に昇温し、この温
度で撹拌しながら3時間放置して架橋剤を全量プロピレ
ン−エチレンブロック共重合体粒子中に含浸させた。こ
の懸濁液を95℃に昇温し、この温度で撹拌しながら6
時間維持して架橋反応を終了した。冷却後、固形物を取
り出して水洗し、部分架橋共重合体粒子12kgを得
た。得られた粒子のMFRは0.3g/10分、ゲル分
率は21重量%であった。
【0020】この粒子10kgにテトラキス[メチレン
−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]メタン5gおよび1,3,5−ト
リス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−
メチルベンジル)イソシアヌレート5gを添加しL/D
=28の単軸押出機を用いペレット化した。この粒子の
電子顕微鏡写真(倍率:15000)を図1に示す。このペ
レットをインラインスクリュウタイプ射出成形機(名機
製作所製:“M-40-A-SJ”)を用い、射出温度230℃
で試験片を成形した。この試験片を用いて曲げ弾性率
(JIS−K7203)およびアイゾット衝撃強度(J
IS−K7110)を測定した。その結果を表1に示
す。
【0021】実施例2 架橋剤を300gとした以外は実施例1と同様にして部
分架橋共重合体粒子を製造した。得られた粒子のMFR
は0.3g/10分、ゲル分率は41重量%であった。
実施例1と同様にその物性を測定し、その結果を表1に
示す。
【0022】実施例3 上記製造例と同様の方法で製造したプロピレン−エチレ
ンブロック共重合体粒子[B](MFR:10g/10
分,エチレン含量:13重量%,ゴム成分含量:55重
量%,ゲル分率:0重量%)を用いた以外は実施例1と
同様にして部分架橋共重合体粒子を製造した。得られた
粒子のMFRは1.3g/10分、ゲル分率は15重量
%であった。実施例1と同様にその物性を測定し、その
結果を表1に示す。
【0023】実施例4 上記製造例と同様の方法で製造したプロピレン−エチレ
ンブロック共重合体粒子[B](MFR:10g/10
分,エチレン含量:13重量%,ゴム成分含量:55重
量%,ゲル分率:0重量%)を用いた以外は実施例2と
同様にして部分架橋共重合体粒子を製造した。得られた
粒子のMFRは2.3g/10分、ゲル分率は31重量
%であった。実施例1と同様にその物性を測定し、その
結果を表1に示す。
【0024】比較例1 架橋剤を使用しない以外は実施例1と同様にして共重合
体粒子を製造した。得られた粒子のMFRは1.2g/
10分、ゲル分率は0重量%であった。実施例1と同様
にその物性を測定し、その結果を表1に示す。
【0025】比較例2 上記製造例で得られた共重合体を溶融押出によりペレッ
ト状したプロピレン−エチレンブロック共重合体[A]
(MFR:1.2g/10分,エチレン含量:15.6重
量%,ゴム成分含量:50重量%,ゲル分率:0重量
%)を用いた以外は実施例1と同様にして架橋共重合体
粒子を製造した。得られた粒子のMFRは0.3g/1
0分、ゲル分率は16重量%であった。この粒子を実施
例1と同様に単軸押出機によりペレット化した。このペ
レットの電子顕微鏡写真(倍率:7,500)を図2に示
す。また、実施例1と同様にその物性を測定し、その結
果を表1に示す。
【0026】比較例3 架橋剤を使用しない以外は実施例3と同様にして共重合
体粒子を製造した。得られた粒子のMFRは10g/1
0分、ゲル分率は0重量%であった。実施例1と同様に
その物性を測定し、その結果を表1に示す。
【0027】比較例4 溶融押出によりペレット状とされたプロピレン−エチレ
ンブロック共重合体[B](MFR:10g/10分,
エチレン含量:13重量%,ゴム成分含量:55重量
%,ゲル分率:0重量%)を用いた以外は実施例3と同
様にして架橋共重合体粒子を製造した。得られた粒子の
MFRは5g/10分、ゲル分率は16重量%であっ
た。実施例1と同様にその物性を測定し、その結果を表
1に示す。
【0028】比較例5 溶融押出によりペレット化する際に、エチレン−プロピ
レンゴム(JSR社製EP07P、プロピレン含量27
重量%)1.76kgを配合した以外は比較例1と同様
にして共重合体粒子を製造した。得られた粒子のMFR
は1.0g/10分、ゲル分率は0重量%であった。実
施例1と同様にその物性を測定し、その結果を表1に示
す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明の部分架橋共重合体は、エラスト
マー、フィラー等を添加しなくても、その剛性、耐衝撃
性に優れており、各種工業部品や包装材料、さらに日用
品分野へと応用範囲は広く工業的に極めて有用なもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた部分架橋プロピレン共重合
体の電子顕微鏡写真である。
【図2】比較例1で得られたプロピレン共重合体の電子
顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 非晶性成分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/00 - 3/28 C08L 1/00 - 101/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融処理されていないプロピレン系共重
    合体粒子の架橋処理によって該共重合体中に存在する非
    晶性成分が選択的に架橋されており、該非晶性成分は溶
    融処理における凝集が抑制され該共重合体中に分散して
    いることを特徴とする部分架橋プロピレン系共重合体粒
    子。
  2. 【請求項2】 溶融処理されていないプロピレン系共重
    合体粒子および架橋剤を含む水性懸濁液を該架橋剤の分
    解が実質的に起こらない温度に維持して、該架橋剤を該
    共重合体粒子に含浸させた後、この水性懸濁液を昇温し
    て架橋反応を行わせることを特徴とする請求項1記載の
    部分架橋プロピレン系共重合体粒子を製造する方法。
  3. 【請求項3】 架橋剤が、溶融処理されていないプロピ
    レン系共重合体中に存在する非晶性成分の重量当たり
    0.01〜10重量%の量で使用される請求項2に記載
    の方法。
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