JP3240942B2 - 食肉製品の製造方法 - Google Patents
食肉製品の製造方法Info
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Description
際、製品の食感、外観等が優れ、しかも製造時に低粘度
や泡消えの良さなどの作業性が向上された食肉製品の製
造方法に関する。
くから優れたたん白質給源として利用されてきた。特に
分離大豆たん白は、たん白質含有量が高く且つ乳化性、
ゲル化性、保水性等の様々な機能特性を備えていること
から食品素材として有用であり、食肉製品、水産練り製
品、惣菜等に幅広く用いられている。
ソーセージ、食肉ベーコン、その他これに類するもの
(焼豚など)で、更には食肉フライ製品(とんかつ、て
んぷら)等に適用される。
性、抱脂性、結着性、あるいは硬さや弾力性といった食
感の改良等を目的に大豆たん白をはじめ卵白、カゼイン
ナトリウム、乳たん白、血液たん白等の結着材料(たん
白素材)とともに食塩、糖類等の調味料、香辛料、重合
リン酸塩等の結着補強剤、亜硝酸塩等の発色剤、カゼイ
ンナトリウム等の乳化安定剤、アスコルビン酸塩等の酸
化防止剤、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、ソルビ
ン酸カリ等の保存料、甘味料等を配合した所謂ピックル
液(以下、本発明のピックル液と呼ぶ)を肉に混合或い
は注入する方法が採用されている。しかしながら、ピッ
クル液を肉に注入する方法では、たん白素材の配合量を
上げ過ぎるとその粘度が上がる為にインジエクターでの
肉への注入作業が困難となり、逆に配合量を下げ過ぎる
と期待される改良効果が薄れてしまう。
ピックル液に配合されるものの、大豆たん白自体粘度が
高く、配合量に制限があった。その為、粘度上昇抑制等
の観点からプロテアーゼで酵素分解処理をしたものを用
いる方法として特開平5−328939号公報、或いは
特殊な酵素を用いて分解処理を施す特開平6−4679
9号公報が提案されているが、製品の食感、風味、外観
等が優れ、しかも製造時の作業性、例えば粘度が低くピ
ックル液を肉へ注入する作業が容易であるような食肉製
品製造に適した大豆たん白素材がなお切望されているの
が現状である。
高次構造を有する各種のたん白質から構成されている。
例えば超遠心の沈降係数の差で分画する方法では、所謂
2S、7S、11S、15S等のたん白質に分けられ、
これらのたん白質は物性においても異なる特徴を有して
いる。そして脱脂大豆から水抽出した豆乳を酸沈殿して
得られる分離大豆たん白では、主に7Sグロブリン(主
としてβ−コングリシニン)と11Sグロブリン(主と
してグリシニン)とから構成されており、各成分は固有
の機能特性を有している。
グリシニン)と11Sグロブリン(主としてグリシニ
ン)を分画する試みは、過去多くの方法が提案されてい
る。例えば、ウォルフ等、タン等の実験室的分画法の研
究・報告例や特開昭48−56843号公報、特開昭4
9−31843号公報、特開昭51−86149号公
報、特開昭55−124457号公報、特開昭55−1
53562号公報、特開昭56−64755号公報、特
開昭57−132844号公報、特開昭58−3634
5号公報、特開昭61−187755号公報等が提案さ
れている。
した大豆たん白質の機能改良も多くの検討がなされてい
る。例えば特公昭48−24262号公報、特公昭55
−1028号公報、特開昭62−232341号公報、
特公平4−14941号公報等であるが、これらは溶解
性や非ゲル化性等の機能の改変に係わるものであって、
大豆たん白質の特定成分のみを分取或いは特定成分のみ
を分解することは出来ていない。更には、大豆たん白質
の特定成分或いは大豆たん白質の特定成分のみが分解さ
れた大豆たん白質分解物を食肉製品の製造において使用
されることはなかった。
発明は食肉製品製造の際、製品の食感、外観等が優れ、
しかも製造時の作業性が向上された食肉製品の製造方法
を提供することにある。
平8−74434で大豆たん白質の主要構成成分のβ−
コングリシニンが選択的に分解された大豆たん白質分解
物及びその製造方法を提供することを課題として、大豆
たん白質にたん白質分解酵素を作用させて大豆たん白質
中のβ−コングリシニンを選択的に分解させて得られる
β−コングリシニン低含量大豆たん白質分解物、及び大
豆たん白質にたん白分解酵素を50〜90℃、好ましく
は60〜80℃の下で作用させることによりβ−コング
リシニン低含量大豆たん白質分解物を得ることを特徴と
するβ−コングリシニン低含量大豆たん白質分解物の製
造法を提案した。その具体条件として、低変性の大豆、
脱脂大豆の水抽出液に塩酸等を加えpH4.5で酸沈澱
カードを得てカセイソーダ等で中和した大豆たん白質の
水性懸濁液に対し、60〜80℃の下でたん白質分解酵
素(パパイン、ブロメライン、フィシン等)を作用させ
ることによりβ−コングリシニン低含量大豆たん白質分
解物を得ることを特徴とする製造方法であった。これに
よってグリシニン/β−コングリシニンの比率が1.5
以上(望めば3.0以上)の大豆たん白質が得られるこ
とになり、食品分野への利用拡大の絵が描ける背景があ
る。
意研究した結果、大豆たん白質中のグリシニン/β−コ
ングリシニンの比率が1.5以上好ましくは3.0以上
である大豆たん白質を原料肉に混合または注入する、或
いは当該大豆たん白質を含有するピックル液を原料肉に
混合または注入することで前記課題を解決することがで
きることを見出し本発明を完成したものである。
何れのものであってもよい。即ち、β−コングリシニン
低含量大豆たん白質を得る方法として、在来の大豆由来
の大豆たん白質の分画によるものや、たん白質分解酵素
反応処理によるもの、育種により改変したもの、更に
は、遺伝子組み換え技術の応用によるもの、なども含め
て対象とすることが出来る。
リシニンの比率が1.5以上好ましくは3.0以上であ
る大豆たん白質を原料肉に混合または注入することを特
徴とする食肉製品の製造方法であって、その大豆たん白
質はトリクロル酢酸可溶たん白質の全たん白質に対する
割合が4〜20%好ましくは5〜15%である大豆たん
白質分解物を好適に用いることができる。
ているピックル液を原料肉に注入する方法に於いて大豆
たん白質の利用で最も製品の品質改良や作業性の向上が
得られる。本発明で大豆たん白質は、例えばピックル液
中に含有させて用いることができ、ピックル液中に大豆
たん白質を2〜15重量%、好ましくは4〜10%含有
し、必要に応じて他のたん白素材や通常のピックル液に
含まれる食塩、糖類、重合リン酸塩、亜硝酸塩、調味料
等を含むことができる。
シニン/βーコングリシニンの比率が1.5以上好まし
くは3.0以上であること、更にトリクロル酢酸可溶た
ん白質の全たん白質に対する割合(以下 T.C.A. 可溶
N.%と言う)が、4〜20%好ましくは5〜15%であ
る。 T.C.A. 可溶 N.%は、0.22Mトリクロル酢酸可
溶たん白質をケルダール窒素を測定する等の方法によ
り、また、大豆たん白質中のグリシニン/β−コングリ
シニンの比率は、大豆たん白質をSDS−電気泳動法に
より各成分を分離し、クマシーブルー染色したバンドの
濃淡をデンシトメーター等の分析機器で定量することが
出来る。本発明の実施に当たっては、大豆たん白質の調
製方法は特に限定されないが、例えば酵素分解して調製
する場合は以下のように行うことができる。
脱脂豆乳、濃縮大豆たん白、分離大豆たん白等であり、
たん白変性を伴わない加工処理を行った大豆たん白加工
品が好ましく、品種、産地等には限定されない。一般的
には、n−ヘキサンを抽出溶剤として低温抽出処理を行
った脱脂大豆、特にNSI(窒素可溶係数)が60以
上、好ましくは80以上の低変性脱脂大豆が良く、この
ような低変性脱脂大豆から水抽出された脱脂豆乳や濃縮
大豆たん白、分離大豆たん白にたん白質分解酵素を添加
し、60〜80℃に於いて反応し、製造することができ
る。
てたん白質分解活性を有する酵素剤であることが好まし
く植物や動物臓器或いは微生物起源の市販酵素剤等その
起源は特に限定されないが、パパイン、ブロメライン、
フィシン等が好適に使用される。
と豆乳に分離し、豆乳中のたん白質を等電点沈殿させ、
水不溶性画分(カ−ド)と水溶性画分(ホエー)に分離
して酸沈殿カードを得て、該カードの水性懸濁液にたん
白質分解酵素を該水性懸濁液の固形分に対して、0.0
01〜0.5%、好ましくは0.01〜0.2%の範囲
で添加し、一般にpH=4〜9、好ましくは、pH=5
〜8の範囲で、通常5分〜2時間、好ましくは、10〜
30分程度酵素反応を実施すればよく、固定化酵素を充
填したカラムに通液することで連続処理も可能である。
そして、必要があれば、分解物に油脂及び/又は乳化剤
を殺菌工程の前または殺菌工程の後、あるいは乾燥工程
の後に添加することも任意である。
的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例にその
技術範囲が限定されるものではない。
として用いて得られた低変性脱脂大豆(窒素可溶指数;
NSI>80)10kgに10倍量の水を加え、室温、
pH=7において1時間抽出後、遠心分離し、脱脂豆乳
95kgを得た。この脱脂豆乳95kgに塩酸を加え、
pH=4.5とし、遠心分離してホエー画分を除き酸沈
殿カード10kgを得た。該酸沈殿カード10kgに加
水し、カセイソーダで中和後、該水性懸濁液の温度を7
0℃に調整し、対乾物量当たり0.1%のパパイン(ナ
ガセ生化学工業社製)を加え、30分酵素反応を行っ
た。酵素反応物を140℃,15秒加熱殺菌した溶液を
噴霧乾燥し、大豆たん白質分解物3.5kgを得た。
イソーダで中和後、該水懸濁液の温度を50℃に調整
し、対乾物量当たり0.1%のプロチン(商品名,大和
化成社製)を加え、30分酵素反応を行った。酵素反応
物を140℃,15秒加熱殺菌した溶液を噴霧乾燥し、
大豆たん白質分解物を調製した。
白質分解物のT.C.A.可溶N.%及びグリシニン/β−コン
グリシニンの比率を以下の表1に示す。
に示す組成でピックル液を調製した。そしてこのピック
ル液100重量部を豚ロース肉100重量部に対してイ
ンジェクターで注入し、ロータリーマッサージ機で低温
下にて15時間タンブリング(回転攪拌)した後、ケー
シングに充填した。65℃で30分加熱後、乾燥させ7
5℃で30分スモーク(燻製)し、78℃で蒸煮し、冷
却してハムを調製した。
B型粘度計で測定した。調製したハムの破断荷重は、厚
さ2mmのサンプルをレオナー(株式会社山電製)で測
定し、保水力は調製ハムのサンプル(厚さ5mm)に1
kg/cm2で30分荷重した時に離水した量を元の重量
に対する割合(%)で圧出離水率として表した。また、
ハムの外観及び官能評価を熟練したパネラー5名に5点
評価法(5点良い、4点やや良い、3点普通、2点やや
悪い、1点悪い)で行い、その平均点を採った結果を表
3に示す。
例2と同様に表2に示す組成でピックル液を調製し、ハ
ムを試作した。物性測定及びパネラー評価を実施例2と
同様に行った結果を表3に示す。
用いたピックル液の粘度は低く、泡消えも良好でインジ
ェクターでの注入作業性に優れていた。また、調製され
たハム(実施例2)の破断荷重は高く、圧出離水率が低
いことから保水性にも優れていた。外観評価ではピック
ル液溜まり等が無く好ましいハムであり、官能評価でも
咀嚼感、風味的にも良好であった。一方、比較例1で調
製した大豆たん白質分解物のピックル液は、やや粘度が
高く、泡消えもやや悪かった。調製されたハム(比較例
2)の外観評価では若干のピックル液溜まりがあり、官
能評価でも若干の柔らかさが感じられた。
に示す組成で実施例2と同様にピックル液及びハムを調
製した(実施例3)。また、実施例1の調製工程でパパ
インの添加量を0.05%及び0.2%とした以外は実
施例1と同様にして、それぞれ調製した大豆たん白質分
解物(実施例4;グリシニン/β−コングリシニン=
3.1, T.C.A. 可溶 N.%=5、実施例5;グリシニン
/β−コングリシニン=5.3, T.C.A. 可溶 N.%=1
4)を用いて、表4に示す組成で実施例2と同様にピッ
クル液及びハムをそれぞれ調製した(実施例4及び
5)。物性測定及びパネラー評価を実施例2と同様に行
った結果を表5に示す。
に示す組成で実施例2と同様にピックル液及びハムを調
製した(比較例3)。また、比較例1の調製工程でプロ
チンの添加量を0.05%及び0.2%とした以外は比
較例1と同様にして、それぞれ調製した大豆たん白質分
解物(比較例4;グリシニン/β−コングリシニン=
1.3, T.C.A. 可溶 N.%=5、比較例5;グリシニン
/β−コングリシニン=1.4, T.C.A. 可溶 N.%=2
2)を用いて、表4に示す組成で実施例2と同様にピッ
クル液及びハムをそれぞれ調製した(比較例4及び
5)。物性測定及びパネラー評価を実施例2と同様に行
った結果を表6に示す。
泡消えも良好でインジェクターでの注入作業性も良好で
あり、調製されたハムの外観評価、官能評価共に良好で
あった。一方、比較例3〜4のピックル液は粘度が高
く、泡消えも非常に悪い為、インジェクターでの注入作
業が非常に困難であった。調製されたハムの外観評価で
はピックル液の溜まりがあり、官能評価でも脆さが感じ
られた。比較例5のピックル液は若干粘度は低いが、泡
消えは非常に悪い為、インジェクターでの注入作業が非
常に困難であった。更に調製されたハムの外観評価では
ピックル液の溜まりがあり、官能評価では非常に脆さが
感じられた。
水及び亜硫酸水素ナトリウム0.014重量部にを加
え、室温、pH=7.5において1時間抽出後、遠心分
離し、脱脂豆乳を得た。この脱脂豆乳に塩酸を加え、p
H=6.3とし、5℃以下(氷冷)に1時間放置後、遠
心分離して沈澱画分を分離し、加水し、カセイソーダで
中和後、140℃、15秒加熱殺菌した溶液を噴霧乾燥
した。この大たん白質粉末製品(グリシニン/β−コン
グリシニン=5.1,T.C.A.可溶 N.%=4)を用
いて表7に示す組成でソーセージを調製した。対照例6
として、大豆たん白質5.0%を使用せずにその5%分
を主原料(豚肉、豚脂、水)に比例配分し加算した。
mmのサンプルをレオナー(株式会社山電製)で測定し
た。また、ソーセージの外観及び官能評価を熟練したパ
ネラー5名に5点評価法(5点良い、4点やや良い、3
点普通、2点やや悪い、1点悪い)にて実施し、その平
均点を採った結果を表8に示す。
製品製造の際、製品の食感、外観等が優れ、しかも製造
時の作業性が向上された食肉製品の製造が可能となった
ものである。
Claims (2)
- 【請求項1】グリシニン/β−コングリシニンの比率が
1.5以上である大豆たん白質を原料肉に混合または注
入することを特徴とする食肉製品の製造方法。 - 【請求項2】大豆たん白質はトリクロル酢酸可溶たん白
質の全たん白質に対する割合(重量%)が4〜20%で
ある請求項1記載の食肉製品の製造方法。
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US08/828,939 US6126973A (en) | 1996-03-28 | 1997-03-27 | Soybean protein hydrolysate, process for producing the same, and meat products and drinks using the same |
DE69703311T DE69703311T2 (de) | 1996-03-28 | 1997-03-27 | Sojaproteinhydrolysat, Verfahren zur Herstellung und Fleischprodukte und Getränke unter Verwendung derselben |
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-
1996
- 1996-12-03 JP JP32289696A patent/JP3240942B2/ja not_active Expired - Lifetime
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