JP3240942B2 - 食肉製品の製造方法 - Google Patents

食肉製品の製造方法

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JP3240942B2 JP32289696A JP32289696A JP3240942B2 JP 3240942 B2 JP3240942 B2 JP 3240942B2 JP 32289696 A JP32289696 A JP 32289696A JP 32289696 A JP32289696 A JP 32289696A JP 3240942 B2 JP3240942 B2 JP 3240942B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食肉製品製造の
際、製品の食感、外観等が優れ、しかも製造時に低粘度
や泡消えの良さなどの作業性が向上された食肉製品の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大豆は、良質のたん白質を多く含み、古
くから優れたたん白質給源として利用されてきた。特に
分離大豆たん白は、たん白質含有量が高く且つ乳化性、
ゲル化性、保水性等の様々な機能特性を備えていること
から食品素材として有用であり、食肉製品、水産練り製
品、惣菜等に幅広く用いられている。
【0003】ここに食肉製品としては、食肉ハム、食肉
ソーセージ、食肉ベーコン、その他これに類するもの
(焼豚など)で、更には食肉フライ製品(とんかつ、て
んぷら)等に適用される。
【0004】食肉製品、特にハム製造には、製品の保水
性、抱脂性、結着性、あるいは硬さや弾力性といった食
感の改良等を目的に大豆たん白をはじめ卵白、カゼイン
ナトリウム、乳たん白、血液たん白等の結着材料(たん
白素材)とともに食塩、糖類等の調味料、香辛料、重合
リン酸塩等の結着補強剤、亜硝酸塩等の発色剤、カゼイ
ンナトリウム等の乳化安定剤、アスコルビン酸塩等の酸
化防止剤、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、ソルビ
ン酸カリ等の保存料、甘味料等を配合した所謂ピックル
液(以下、本発明のピックル液と呼ぶ)を肉に混合或い
は注入する方法が採用されている。しかしながら、ピッ
クル液を肉に注入する方法では、たん白素材の配合量を
上げ過ぎるとその粘度が上がる為にインジエクターでの
肉への注入作業が困難となり、逆に配合量を下げ過ぎる
と期待される改良効果が薄れてしまう。
【0005】大豆たん白は前述の改良効果に優れる故、
ピックル液に配合されるものの、大豆たん白自体粘度が
高く、配合量に制限があった。その為、粘度上昇抑制等
の観点からプロテアーゼで酵素分解処理をしたものを用
いる方法として特開平5−328939号公報、或いは
特殊な酵素を用いて分解処理を施す特開平6−4679
9号公報が提案されているが、製品の食感、風味、外観
等が優れ、しかも製造時の作業性、例えば粘度が低くピ
ックル液を肉へ注入する作業が容易であるような食肉製
品製造に適した大豆たん白素材がなお切望されているの
が現状である。
【0006】ところで大豆たん白質は、高分子の複雑な
高次構造を有する各種のたん白質から構成されている。
例えば超遠心の沈降係数の差で分画する方法では、所謂
2S、7S、11S、15S等のたん白質に分けられ、
これらのたん白質は物性においても異なる特徴を有して
いる。そして脱脂大豆から水抽出した豆乳を酸沈殿して
得られる分離大豆たん白では、主に7Sグロブリン(主
としてβ−コングリシニン)と11Sグロブリン(主と
してグリシニン)とから構成されており、各成分は固有
の機能特性を有している。
【0007】これら7Sグロブリン(主としてβ−コン
グリシニン)と11Sグロブリン(主としてグリシニ
ン)を分画する試みは、過去多くの方法が提案されてい
る。例えば、ウォルフ等、タン等の実験室的分画法の研
究・報告例や特開昭48−56843号公報、特開昭4
9−31843号公報、特開昭51−86149号公
報、特開昭55−124457号公報、特開昭55−1
53562号公報、特開昭56−64755号公報、特
開昭57−132844号公報、特開昭58−3634
5号公報、特開昭61−187755号公報等が提案さ
れている。
【0008】一方、プロテアーゼによる酵素分解を利用
した大豆たん白質の機能改良も多くの検討がなされてい
る。例えば特公昭48−24262号公報、特公昭55
−1028号公報、特開昭62−232341号公報、
特公平4−14941号公報等であるが、これらは溶解
性や非ゲル化性等の機能の改変に係わるものであって、
大豆たん白質の特定成分のみを分取或いは特定成分のみ
を分解することは出来ていない。更には、大豆たん白質
の特定成分或いは大豆たん白質の特定成分のみが分解さ
れた大豆たん白質分解物を食肉製品の製造において使用
されることはなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の実情に鑑み、本
発明は食肉製品製造の際、製品の食感、外観等が優れ、
しかも製造時の作業性が向上された食肉製品の製造方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に特願
平8−74434で大豆たん白質の主要構成成分のβ−
コングリシニンが選択的に分解された大豆たん白質分解
物及びその製造方法を提供することを課題として、大豆
たん白質にたん白質分解酵素を作用させて大豆たん白質
中のβ−コングリシニンを選択的に分解させて得られる
β−コングリシニン低含量大豆たん白質分解物、及び大
豆たん白質にたん白分解酵素を50〜90℃、好ましく
は60〜80℃の下で作用させることによりβ−コング
リシニン低含量大豆たん白質分解物を得ることを特徴と
するβ−コングリシニン低含量大豆たん白質分解物の製
造法を提案した。その具体条件として、低変性の大豆、
脱脂大豆の水抽出液に塩酸等を加えpH4.5で酸沈澱
カードを得てカセイソーダ等で中和した大豆たん白質の
水性懸濁液に対し、60〜80℃の下でたん白質分解酵
素(パパイン、ブロメライン、フィシン等)を作用させ
ることによりβ−コングリシニン低含量大豆たん白質分
解物を得ることを特徴とする製造方法であった。これに
よってグリシニン/β−コングリシニンの比率が1.5
以上(望めば3.0以上)の大豆たん白質が得られるこ
とになり、食品分野への利用拡大の絵が描ける背景があ
る。
【0011】本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭
意研究した結果、大豆たん白質中のグリシニン/β−コ
ングリシニンの比率が1.5以上好ましくは3.0以上
である大豆たん白質を原料肉に混合または注入する、或
いは当該大豆たん白質を含有するピックル液を原料肉に
混合または注入することで前記課題を解決することがで
きることを見出し本発明を完成したものである。
【0012】この大豆たん白質は次の様にして得られる
何れのものであってもよい。即ち、β−コングリシニン
低含量大豆たん白質を得る方法として、在来の大豆由来
の大豆たん白質の分画によるものや、たん白質分解酵素
反応処理によるもの、育種により改変したもの、更に
は、遺伝子組み換え技術の応用によるもの、なども含め
て対象とすることが出来る。
【0013】即ち、本発明は、グリシニン/β−コング
リシニンの比率が1.5以上好ましくは3.0以上であ
る大豆たん白質を原料肉に混合または注入することを特
徴とする食肉製品の製造方法であって、その大豆たん白
質はトリクロル酢酸可溶たん白質の全たん白質に対する
割合が4〜20%好ましくは5〜15%である大豆たん
白質分解物を好適に用いることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】特にハム等の製造の際、採用され
ているピックル液を原料肉に注入する方法に於いて大豆
たん白質の利用で最も製品の品質改良や作業性の向上が
得られる。本発明で大豆たん白質は、例えばピックル液
中に含有させて用いることができ、ピックル液中に大豆
たん白質を2〜15重量%、好ましくは4〜10%含有
し、必要に応じて他のたん白素材や通常のピックル液に
含まれる食塩、糖類、重合リン酸塩、亜硝酸塩、調味料
等を含むことができる。
【0015】本発明に適用される大豆たん白質は、グリ
シニン/βーコングリシニンの比率が1.5以上好まし
くは3.0以上であること、更にトリクロル酢酸可溶た
ん白質の全たん白質に対する割合(以下 T.C.A. 可溶
N.%と言う)が、4〜20%好ましくは5〜15%であ
る。 T.C.A. 可溶 N.%は、0.22Mトリクロル酢酸可
溶たん白質をケルダール窒素を測定する等の方法によ
り、また、大豆たん白質中のグリシニン/β−コングリ
シニンの比率は、大豆たん白質をSDS−電気泳動法に
より各成分を分離し、クマシーブルー染色したバンドの
濃淡をデンシトメーター等の分析機器で定量することが
出来る。本発明の実施に当たっては、大豆たん白質の調
製方法は特に限定されないが、例えば酵素分解して調製
する場合は以下のように行うことができる。
【0016】酵素分解に用いる大豆たん白は全脂豆乳、
脱脂豆乳、濃縮大豆たん白、分離大豆たん白等であり、
たん白変性を伴わない加工処理を行った大豆たん白加工
品が好ましく、品種、産地等には限定されない。一般的
には、n−ヘキサンを抽出溶剤として低温抽出処理を行
った脱脂大豆、特にNSI(窒素可溶係数)が60以
上、好ましくは80以上の低変性脱脂大豆が良く、この
ような低変性脱脂大豆から水抽出された脱脂豆乳や濃縮
大豆たん白、分離大豆たん白にたん白質分解酵素を添加
し、60〜80℃に於いて反応し、製造することができ
る。
【0017】たん白質分解酵素は、60〜80℃に於い
てたん白質分解活性を有する酵素剤であることが好まし
く植物や動物臓器或いは微生物起源の市販酵素剤等その
起源は特に限定されないが、パパイン、ブロメライン、
フィシン等が好適に使用される。
【0018】例えば低変性脱脂大豆を水抽出し、オカラ
と豆乳に分離し、豆乳中のたん白質を等電点沈殿させ、
水不溶性画分(カ−ド)と水溶性画分(ホエー)に分離
して酸沈殿カードを得て、該カードの水性懸濁液にたん
白質分解酵素を該水性懸濁液の固形分に対して、0.0
01〜0.5%、好ましくは0.01〜0.2%の範囲
で添加し、一般にpH=4〜9、好ましくは、pH=5
〜8の範囲で、通常5分〜2時間、好ましくは、10〜
30分程度酵素反応を実施すればよく、固定化酵素を充
填したカラムに通液することで連続処理も可能である。
そして、必要があれば、分解物に油脂及び/又は乳化剤
を殺菌工程の前または殺菌工程の後、あるいは乾燥工程
の後に添加することも任意である。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明の実施様態を具体
的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例にその
技術範囲が限定されるものではない。
【0020】実施例1 (大豆たん白質分解物の調製)n−ヘキサンを抽出溶剤
として用いて得られた低変性脱脂大豆(窒素可溶指数;
NSI>80)10kgに10倍量の水を加え、室温、
pH=7において1時間抽出後、遠心分離し、脱脂豆乳
95kgを得た。この脱脂豆乳95kgに塩酸を加え、
pH=4.5とし、遠心分離してホエー画分を除き酸沈
殿カード10kgを得た。該酸沈殿カード10kgに加
水し、カセイソーダで中和後、該水性懸濁液の温度を7
0℃に調整し、対乾物量当たり0.1%のパパイン(ナ
ガセ生化学工業社製)を加え、30分酵素反応を行っ
た。酵素反応物を140℃,15秒加熱殺菌した溶液を
噴霧乾燥し、大豆たん白質分解物3.5kgを得た。
【0021】比較例1 実施例1と同様に調製した酸沈殿カードに加水し、カセ
イソーダで中和後、該水懸濁液の温度を50℃に調整
し、対乾物量当たり0.1%のプロチン(商品名,大和
化成社製)を加え、30分酵素反応を行った。酵素反応
物を140℃,15秒加熱殺菌した溶液を噴霧乾燥し、
大豆たん白質分解物を調製した。
【0022】実施例1と比較例1で調製した各大豆たん
白質分解物のT.C.A.可溶N.%及びグリシニン/β−コン
グリシニンの比率を以下の表1に示す。
【0023】
【表1】 ───────────────────────────────── 実施例1 比較例1 ───────────────────────────────── グリシニン/β−コングリシニン 7.9 1.3 の比率( 倍) T.C.A.可溶 N.% 7 7 ─────────────────────────────────
【0024】実施例2 実施例1で調製した大豆たん白質分解物を用いて、表2
に示す組成でピックル液を調製した。そしてこのピック
ル液100重量部を豚ロース肉100重量部に対してイ
ンジェクターで注入し、ロータリーマッサージ機で低温
下にて15時間タンブリング(回転攪拌)した後、ケー
シングに充填した。65℃で30分加熱後、乾燥させ7
5℃で30分スモーク(燻製)し、78℃で蒸煮し、冷
却してハムを調製した。
【0025】
【表2】 ─────────────────────────── 原 材 料 組 成(重量%) ─────────────────────────── 大豆たん白質分解物 5.0 乾燥卵白 5.0 カゼインNa 2.0 食塩 2.8 亜硝酸Na 0.02 L−アスコルビン酸Na 0.06 重合リン酸塩 0.7 コーンシロップ粉末 5.0 コハク酸Na 0.02 調味料 0.3 色素 0.2 水 78.9 ─────────────────────────── 合 計 100.0 ───────────────────────────
【0026】調製したピックル液の粘度は、一夜冷蔵後
B型粘度計で測定した。調製したハムの破断荷重は、厚
さ2mmのサンプルをレオナー(株式会社山電製)で測
定し、保水力は調製ハムのサンプル(厚さ5mm)に1
kg/cm2で30分荷重した時に離水した量を元の重量
に対する割合(%)で圧出離水率として表した。また、
ハムの外観及び官能評価を熟練したパネラー5名に5点
評価法(5点良い、4点やや良い、3点普通、2点やや
悪い、1点悪い)で行い、その平均点を採った結果を表
3に示す。
【0027】比較例2 比較例1で調製した大豆たん白質分解物を用いて、実施
例2と同様に表2に示す組成でピックル液を調製し、ハ
ムを試作した。物性測定及びパネラー評価を実施例2と
同様に行った結果を表3に示す。
【0028】
【表3】 ────────────────────────────────── 実施例2 比較例2 ────────────────────────────────── ・ピックル液 粘度(センチポイズ:C P) 35 60 泡消え 良好 やや悪い ・ハム評価 破断荷重(gf) 890 710 圧出離水率(%) 11 15 外観評価(点) 4.8 3.8 官能評価(点) 4.8 3.6 ──────────────────────────────────
【0029】実施例1で調製した大豆たん白質分解物を
用いたピックル液の粘度は低く、泡消えも良好でインジ
ェクターでの注入作業性に優れていた。また、調製され
たハム(実施例2)の破断荷重は高く、圧出離水率が低
いことから保水性にも優れていた。外観評価ではピック
ル液溜まり等が無く好ましいハムであり、官能評価でも
咀嚼感、風味的にも良好であった。一方、比較例1で調
製した大豆たん白質分解物のピックル液は、やや粘度が
高く、泡消えもやや悪かった。調製されたハム(比較例
2)の外観評価では若干のピックル液溜まりがあり、官
能評価でも若干の柔らかさが感じられた。
【0030】実施例3、4及び5 実施例1で調製した大豆たん白質分解物を用いて、表4
に示す組成で実施例2と同様にピックル液及びハムを調
製した(実施例3)。また、実施例1の調製工程でパパ
インの添加量を0.05%及び0.2%とした以外は実
施例1と同様にして、それぞれ調製した大豆たん白質分
解物(実施例4;グリシニン/β−コングリシニン=
3.1, T.C.A. 可溶 N.%=5、実施例5;グリシニン
/β−コングリシニン=5.3, T.C.A. 可溶 N.%=1
4)を用いて、表4に示す組成で実施例2と同様にピッ
クル液及びハムをそれぞれ調製した(実施例4及び
5)。物性測定及びパネラー評価を実施例2と同様に行
った結果を表5に示す。
【0031】
【表4】 ─────────────────────────── 原 材 料 組 成(重量%) ─────────────────────────── 大豆たん白質分解物 6.0 乾燥卵白 4.0 カゼインNa 2.0 食塩 2.8 亜硝酸Na 0.02 L−アスコルビン酸Na 0.06 重合リン酸塩 0.7 コーンシロップ粉末 5.0 コハク酸Na 0.02 調味料 0.3 色素 0.2 水 78.9 ─────────────────────────── 合 計 100.0 ───────────────────────────
【0032】比較例3、4及び5 比較例1で調製した大豆たん白質分解物を用いて、表4
に示す組成で実施例2と同様にピックル液及びハムを調
製した(比較例3)。また、比較例1の調製工程でプロ
チンの添加量を0.05%及び0.2%とした以外は比
較例1と同様にして、それぞれ調製した大豆たん白質分
解物(比較例4;グリシニン/β−コングリシニン=
1.3, T.C.A. 可溶 N.%=5、比較例5;グリシニン
/β−コングリシニン=1.4, T.C.A. 可溶 N.%=2
2)を用いて、表4に示す組成で実施例2と同様にピッ
クル液及びハムをそれぞれ調製した(比較例4及び
5)。物性測定及びパネラー評価を実施例2と同様に行
った結果を表6に示す。
【0033】
【表5】 ────────────────────────────────── 実施例3 実施例4 実施例5 ────────────────────────────────── ・ピックル液 粘度(cp) 44 48 38 泡消え 良好 良好 良好 ・ハム評価 破断荷重(gf) 1450 1580 1280 圧出離水率(%) 12 11 13 外観評価(点) 4.6 4.4 4.0 官能評価(点) 4.4 4.4 3.8 ──────────────────────────────────
【0034】
【表6】 ────────────────────────────────── 比較例3 比較例4 比較例5 ────────────────────────────────── ・ピックル液 粘度(cp) 94 128 58 泡消え 非常に悪い 非常に悪い 非常に悪い ・ハム評価 破断荷重(gf) 1390 1410 880 圧出離水率(%) 14 15 18 外観評価(点) 3.4 3.2 2.8 官能評価(点) 3.2 3.4 2.0 ──────────────────────────────────
【0035】実施例3〜5のピックル液の粘度は低く、
泡消えも良好でインジェクターでの注入作業性も良好で
あり、調製されたハムの外観評価、官能評価共に良好で
あった。一方、比較例3〜4のピックル液は粘度が高
く、泡消えも非常に悪い為、インジェクターでの注入作
業が非常に困難であった。調製されたハムの外観評価で
はピックル液の溜まりがあり、官能評価でも脆さが感じ
られた。比較例5のピックル液は若干粘度は低いが、泡
消えは非常に悪い為、インジェクターでの注入作業が非
常に困難であった。更に調製されたハムの外観評価では
ピックル液の溜まりがあり、官能評価では非常に脆さが
感じられた。
【0036】実施例6及び対照例6 実施例1で用いた低変性脱脂大豆1重量部に10倍量の
水及び亜硫酸水素ナトリウム0.014重量部にを加
え、室温、pH=7.5において1時間抽出後、遠心分
離し、脱脂豆乳を得た。この脱脂豆乳に塩酸を加え、p
H=6.3とし、5℃以下(氷冷)に1時間放置後、遠
心分離して沈澱画分を分離し、加水し、カセイソーダで
中和後、140℃、15秒加熱殺菌した溶液を噴霧乾燥
した。この大たん白質粉末製品(グリシニン/β−コン
グリシニン=5.1,T.C.A.可溶 N.%=4)を用
いて表7に示す組成でソーセージを調製した。対照例6
として、大豆たん白質5.0%を使用せずにその5%分
を主原料(豚肉、豚脂、水)に比例配分し加算した。
【0037】
【表7】 ──────────────────────────────── 原 材 料 組 成(重量%) 実施例6 対照例6 ──────────────────────────────── 豚肉 41.8 44.0 豚脂 18.0 19.0 水 32.46 34.26 大豆たん白質粉末製品 5.0 0 食塩 1.7 1.7 亜硝酸Na 0.01 0.01 L−アスコルビン酸Na 0.03 0.03 ピロリン酸Na 0.3 0.3 砂糖 0.3 0.3 ソルビン酸K 0.1 0.1 調味料 0.3 0.3 ──────────────────────────────── 合 計 100.0 100.0
【0038】調製したソーセージの破断荷重は、厚さ2
mmのサンプルをレオナー(株式会社山電製)で測定し
た。また、ソーセージの外観及び官能評価を熟練したパ
ネラー5名に5点評価法(5点良い、4点やや良い、3
点普通、2点やや悪い、1点悪い)にて実施し、その平
均点を採った結果を表8に示す。
【0039】
【表8】 ───────────────────────────────── 実施例6 対照例6 ───────────────────────────────── 破断荷重(gf) 285 235 外観評価(点) 4.8 4.3 官能評価(点) 4.6 4.1 ─────────────────────────────────
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により食肉
製品製造の際、製品の食感、外観等が優れ、しかも製造
時の作業性が向上された食肉製品の製造が可能となった
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 工藤 透 茨城県筑波郡谷和原村絹の台4丁目3番 地 不二製油株式会社つくば研究開発セ ンター内 審査官 鈴木 恵理子 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/31 - 1/318 A23J 3/16 - 3/34 JICSTファイル(JOIS) JAFICファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリシニン/β−コングリシニンの比率が
    1.5以上である大豆たん白質を原料肉に混合または注
    入することを特徴とする食肉製品の製造方法。
  2. 【請求項2】大豆たん白質はトリクロル酢酸可溶たん白
    質の全たん白質に対する割合(重量%)が4〜20%で
    ある請求項1記載の食肉製品の製造方法。
JP32289696A 1996-03-28 1996-12-03 食肉製品の製造方法 Expired - Lifetime JP3240942B2 (ja)

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