JP3240891B2 - 防振装置 - Google Patents
防振装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車や鉄道車
両等に用いられる防振装置に関するものである。
両等に用いられる防振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車や鉄道車両等におい
て、剛性部品への振動・衝撃の伝達を防止することを目
的として、各種形態の防振装置が用いられている。上記
防振装置は、取り付け用の金属金具とこれを弾力的に支
受する加硫ゴムとを組み合わせたものが一般的であり、
例えば図3に示すように、内筒金具1と外筒金具2との
間に加硫ゴム3が一体的に接合された筒形防振ゴムがよ
く知られている。上記内筒金具1,外筒金具2と加硫ゴ
ム3との接合は、通常、金具1,2のゴム接合予定部に
所定の接着剤を塗布したのち、上記内筒金具1と外筒金
具2とを、金型内の目的とする配置に位置決めし、未加
硫ゴムを組み込んで加圧加熱等によりゴムを加硫すると
同時にゴムと金具1,2を接着することによって行われ
ている。
て、剛性部品への振動・衝撃の伝達を防止することを目
的として、各種形態の防振装置が用いられている。上記
防振装置は、取り付け用の金属金具とこれを弾力的に支
受する加硫ゴムとを組み合わせたものが一般的であり、
例えば図3に示すように、内筒金具1と外筒金具2との
間に加硫ゴム3が一体的に接合された筒形防振ゴムがよ
く知られている。上記内筒金具1,外筒金具2と加硫ゴ
ム3との接合は、通常、金具1,2のゴム接合予定部に
所定の接着剤を塗布したのち、上記内筒金具1と外筒金
具2とを、金型内の目的とする配置に位置決めし、未加
硫ゴムを組み込んで加圧加熱等によりゴムを加硫すると
同時にゴムと金具1,2を接着することによって行われ
ている。
【0003】このような防振装置において、最近、軽量
化,低コスト化を目的として、金属金具に変えて樹脂成
形体を組み合わせたものが開発されてきている。例えば
図4に示すように、外筒金具2を樹脂製外筒2aにした
ものが提案されている。このものは、まず、従来と同様
の方法で内筒金具1と加硫ゴム2を加硫・接合したの
ち、上記加硫ゴム2の表面(樹脂との接合部)に接着剤
を塗布し、上記金型内の適宜の位置にこれを配置した上
で、加熱溶融した樹脂材料を射出して加硫ゴム2の周囲
に外筒2aとして一体成形することによって得られる。
上記樹脂材料としては、各種エンジニアリングプラスチ
ックが用いられるが、なかでも耐熱性に優れたナイロン
66を用いたものが主流となっている。そして、上記樹
脂製外筒2aと加硫ゴム3の接合に用いられる接着剤と
しては、通常、クロロスルホン化ポリエチレンを主成分
とする接着剤が用いられている。
化,低コスト化を目的として、金属金具に変えて樹脂成
形体を組み合わせたものが開発されてきている。例えば
図4に示すように、外筒金具2を樹脂製外筒2aにした
ものが提案されている。このものは、まず、従来と同様
の方法で内筒金具1と加硫ゴム2を加硫・接合したの
ち、上記加硫ゴム2の表面(樹脂との接合部)に接着剤
を塗布し、上記金型内の適宜の位置にこれを配置した上
で、加熱溶融した樹脂材料を射出して加硫ゴム2の周囲
に外筒2aとして一体成形することによって得られる。
上記樹脂材料としては、各種エンジニアリングプラスチ
ックが用いられるが、なかでも耐熱性に優れたナイロン
66を用いたものが主流となっている。そして、上記樹
脂製外筒2aと加硫ゴム3の接合に用いられる接着剤と
しては、通常、クロロスルホン化ポリエチレンを主成分
とする接着剤が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ナ
イロン66は、分子構造中にあるアミド結合部が親水性
であるため、吸水して物性の低下や寸法変化を招きやす
いという問題がある。また、冬期に散布される融雪剤
(塩化カルシウム)によって劣化し、特にウエルド部を
中心にしてクラックを生じて物性が低下するという問題
もある。このため、上記ナイロン66を用いた防振装置
を長期使用すると、防振装置取り付け部に歪みや破損を
生じるおそれがあり、危険である。
イロン66は、分子構造中にあるアミド結合部が親水性
であるため、吸水して物性の低下や寸法変化を招きやす
いという問題がある。また、冬期に散布される融雪剤
(塩化カルシウム)によって劣化し、特にウエルド部を
中心にしてクラックを生じて物性が低下するという問題
もある。このため、上記ナイロン66を用いた防振装置
を長期使用すると、防振装置取り付け部に歪みや破損を
生じるおそれがあり、危険である。
【0005】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、耐水性および耐塩化カルシウム性に優れた防
振装置の提供をその目的とする。
たもので、耐水性および耐塩化カルシウム性に優れた防
振装置の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の防振装置は、加硫ゴム成形体と合成樹脂
成形体とが一体的に接合された防振装置であって、上記
合成樹脂成形体が、ポリアミドとポリプロピレンとを混
合してなる混合樹脂によって形成され、かつ上記加硫ゴ
ム成形体と合成樹脂成形体とが、ウレタンプレポリマー
を主成分とする接着剤からなる接着層を介して接合され
ているという構成をとる。
め、この発明の防振装置は、加硫ゴム成形体と合成樹脂
成形体とが一体的に接合された防振装置であって、上記
合成樹脂成形体が、ポリアミドとポリプロピレンとを混
合してなる混合樹脂によって形成され、かつ上記加硫ゴ
ム成形体と合成樹脂成形体とが、ウレタンプレポリマー
を主成分とする接着剤からなる接着層を介して接合され
ているという構成をとる。
【0007】なお、上記「加硫ゴム成形体」とは、加硫
ゴムのみからなる成形体だけでなく、その一部に金属金
具等の別部材を組み込んで加硫と同時に接着一体化した
成形体も含む趣旨で用いている。
ゴムのみからなる成形体だけでなく、その一部に金属金
具等の別部材を組み込んで加硫と同時に接着一体化した
成形体も含む趣旨で用いている。
【0008】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態に
ついて説明する。
ついて説明する。
【0009】まず、この発明の防振装置の一例を図1に
示す。この筒状防振ゴムは、金属製の内筒金具1が一体
的に接合された加硫ゴム成形体3と、合成樹脂成形体4
と、この両者3,4を接着する接着層5(厚みは誇張し
て示している)とを備えている。
示す。この筒状防振ゴムは、金属製の内筒金具1が一体
的に接合された加硫ゴム成形体3と、合成樹脂成形体4
と、この両者3,4を接着する接着層5(厚みは誇張し
て示している)とを備えている。
【0010】上記内筒金具1付の加硫ゴム成形体3は、
従来公知の方法で加硫成形されるものであり、内筒金具
1の材質や加硫ゴム成形体を形成するためのゴム組成物
は、特に限定されるものではない。そして、上記内筒金
具1と加硫ゴム成形体3とを接合するために用いられる
接着剤も、従来から用いられているどのようなものであ
っても差し支えはない。
従来公知の方法で加硫成形されるものであり、内筒金具
1の材質や加硫ゴム成形体を形成するためのゴム組成物
は、特に限定されるものではない。そして、上記内筒金
具1と加硫ゴム成形体3とを接合するために用いられる
接着剤も、従来から用いられているどのようなものであ
っても差し支えはない。
【0011】一方、上記合成樹脂成形体4は、ポリアミ
ドとポリプロピレンとを混合してなる混合樹脂によって
形成されたものでなければならない。すなわち、上記特
殊な混合樹脂は、耐水性および耐塩化カルシウム性に優
れ、防振装置の剛性部分として用いるのに最適であるか
らである。そして、上記ポリアミド(PA)としては、
ナイロン6,ナイロン66,ナイロン11,ナイロン1
2等があげられるが、耐熱性,耐水性等の観点から、ナ
イロン66を用いることが好適である。また、上記ポリ
プロピレン(PP)の配合割合が樹脂全体に対し30〜
50重量%(以下「%」と略す)、より好ましくは35
〜45%に設定されたものが好適である。すなわち、P
Pの割合が30%未満では得られる成形体の耐水性およ
び耐塩化カルシウム性が低下する傾向がみられ、逆に5
0%を超えると耐熱性および接着強度が低下する傾向が
みられるからである。
ドとポリプロピレンとを混合してなる混合樹脂によって
形成されたものでなければならない。すなわち、上記特
殊な混合樹脂は、耐水性および耐塩化カルシウム性に優
れ、防振装置の剛性部分として用いるのに最適であるか
らである。そして、上記ポリアミド(PA)としては、
ナイロン6,ナイロン66,ナイロン11,ナイロン1
2等があげられるが、耐熱性,耐水性等の観点から、ナ
イロン66を用いることが好適である。また、上記ポリ
プロピレン(PP)の配合割合が樹脂全体に対し30〜
50重量%(以下「%」と略す)、より好ましくは35
〜45%に設定されたものが好適である。すなわち、P
Pの割合が30%未満では得られる成形体の耐水性およ
び耐塩化カルシウム性が低下する傾向がみられ、逆に5
0%を超えると耐熱性および接着強度が低下する傾向が
みられるからである。
【0012】また、上記混合樹脂は、成形体を形成する
前の、材料の段階において混合状態でなければならな
い。このような混合品としては、PAとポリオレフィン
が互いに粉末で混合状態になっているもの、ラテックス
状態で混合されたもの、融解状態で混合されたもの、溶
液で混合されたもの等、各種の形態のものがあげられ
る。
前の、材料の段階において混合状態でなければならな
い。このような混合品としては、PAとポリオレフィン
が互いに粉末で混合状態になっているもの、ラテックス
状態で混合されたもの、融解状態で混合されたもの、溶
液で混合されたもの等、各種の形態のものがあげられ
る。
【0013】さらに、上記混合樹脂には、ガラス繊維,
炭素繊維,各種ウィスカー等の補強材や、炭酸カルシウ
ム,タルク等の無機フィラー等を添加して用いることも
できる。
炭素繊維,各種ウィスカー等の補強材や、炭酸カルシウ
ム,タルク等の無機フィラー等を添加して用いることも
できる。
【0014】そして、上記接着層5は、ウレタンプレポ
リマーを主成分とする接着剤によって形成することが必
要である。ここで、上記「ウレタンプレポリマーを主成
分とする」とは、接着剤において上記ウレタンプレポリ
マーの配合割合が最も高いという意味ではなく、その接
着特性が上記ウレタンプレポリマーの挙動によって特徴
づけられるという意味である。
リマーを主成分とする接着剤によって形成することが必
要である。ここで、上記「ウレタンプレポリマーを主成
分とする」とは、接着剤において上記ウレタンプレポリ
マーの配合割合が最も高いという意味ではなく、その接
着特性が上記ウレタンプレポリマーの挙動によって特徴
づけられるという意味である。
【0015】すなわち、上記合成樹脂成形体4を構成す
る、PAとPPを混合してなる混合樹脂(以下「PA/
PPアロイ」と略す)は、耐水性および耐塩化カルシウ
ム性に優れている反面、難接着性樹脂であるPPを含有
しているため、従来と同様の接着剤(クロロスルホン化
ポリエチレンを主成分とする接着剤)を用いたのでは、
樹脂成形体と加硫ゴムとの接着が不充分となり、樹脂成
形体から加硫ゴム部分が脱落するおそれがある。そこ
で、この発明では、従来から防振装置に用いられてきた
クロロスルホン化ポリエチレン系接着剤に比べてPPに
対し非常に高い接着強度を示す、上記ウレタンプレポリ
マー系の接着剤を用いることが好適である。
る、PAとPPを混合してなる混合樹脂(以下「PA/
PPアロイ」と略す)は、耐水性および耐塩化カルシウ
ム性に優れている反面、難接着性樹脂であるPPを含有
しているため、従来と同様の接着剤(クロロスルホン化
ポリエチレンを主成分とする接着剤)を用いたのでは、
樹脂成形体と加硫ゴムとの接着が不充分となり、樹脂成
形体から加硫ゴム部分が脱落するおそれがある。そこ
で、この発明では、従来から防振装置に用いられてきた
クロロスルホン化ポリエチレン系接着剤に比べてPPに
対し非常に高い接着強度を示す、上記ウレタンプレポリ
マー系の接着剤を用いることが好適である。
【0016】上記ウレタンプレポリマーを主成分とする
接着剤としては、使用に先立って主剤(ウレタンプレポ
リマー)と硬化剤(水酸基をもつポリマー+硬化促進
剤)とを混合する2液性のものと、混合不要の1液性の
ものとがあり、また、上記1液性のものには、溶剤が蒸
発して硬化する溶剤型のものと、加熱により硬化する無
溶剤型のものとがある。このような接着剤の市販品とし
ては、LORD社製の、タイライト7411(1液
性),タイライト7525A(2液性),タイライト7
525B(2液性),タイライト7617(1液性)等
があげられ、なかでも、ポリエーテル系のタイライト7
411が好適である。
接着剤としては、使用に先立って主剤(ウレタンプレポ
リマー)と硬化剤(水酸基をもつポリマー+硬化促進
剤)とを混合する2液性のものと、混合不要の1液性の
ものとがあり、また、上記1液性のものには、溶剤が蒸
発して硬化する溶剤型のものと、加熱により硬化する無
溶剤型のものとがある。このような接着剤の市販品とし
ては、LORD社製の、タイライト7411(1液
性),タイライト7525A(2液性),タイライト7
525B(2液性),タイライト7617(1液性)等
があげられ、なかでも、ポリエーテル系のタイライト7
411が好適である。
【0017】上記筒状防振ゴムは、例えばつぎのように
して得ることができる。すなわち、まず、従来公知の適
宜の方法により、内筒金具1付の加硫ゴム成形体3を得
る。つぎに、上記加硫ゴム成形体3の、樹脂との接合予
定部(この場合、その外周面)を塩素化処理によって粗
面化する。そして、この粗面化された加硫ゴム成形体3
の外周面に、上記ウレタンプレポリマーを主成分とする
接着剤を塗布したのち、上記加硫ゴム成形体3を射出成
形機の金型内に組み込み、その金型を閉じて上記樹脂材
料の溶融液を射出して成形する。このようにして、加硫
ゴム成形体3の周囲に合成樹脂成形体4が一体的に接合
された筒状防振ゴムを得ることができる。
して得ることができる。すなわち、まず、従来公知の適
宜の方法により、内筒金具1付の加硫ゴム成形体3を得
る。つぎに、上記加硫ゴム成形体3の、樹脂との接合予
定部(この場合、その外周面)を塩素化処理によって粗
面化する。そして、この粗面化された加硫ゴム成形体3
の外周面に、上記ウレタンプレポリマーを主成分とする
接着剤を塗布したのち、上記加硫ゴム成形体3を射出成
形機の金型内に組み込み、その金型を閉じて上記樹脂材
料の溶融液を射出して成形する。このようにして、加硫
ゴム成形体3の周囲に合成樹脂成形体4が一体的に接合
された筒状防振ゴムを得ることができる。
【0018】このようにして得られた筒状防振ゴムは、
耐塩化カルシウム性および耐水性に優れ、物性の低下や
寸法変化がなく、冬期に融雪剤に頻繁に触れてもクラッ
クを生じることがない。また、耐熱性にも優れ、熱劣化
による物性低下が殆どみられない。さらに、合成樹脂成
形体4と加硫ゴム成形体3との接合が強固で、両者が剥
離することがなく、長期にわたって良好に防振効果を発
揮する。そして、従来から樹脂材料として用いられてき
たナイロン66に比べ、この発明で用いる合成樹脂の方
が比重が軽いため、装置全体をより一層軽量化すること
ができる。
耐塩化カルシウム性および耐水性に優れ、物性の低下や
寸法変化がなく、冬期に融雪剤に頻繁に触れてもクラッ
クを生じることがない。また、耐熱性にも優れ、熱劣化
による物性低下が殆どみられない。さらに、合成樹脂成
形体4と加硫ゴム成形体3との接合が強固で、両者が剥
離することがなく、長期にわたって良好に防振効果を発
揮する。そして、従来から樹脂材料として用いられてき
たナイロン66に比べ、この発明で用いる合成樹脂の方
が比重が軽いため、装置全体をより一層軽量化すること
ができる。
【0019】なお、上記製法における塩素化処理は、従
来から加硫ゴム成形体3の表面を粗面化するために用い
られている方法で、加硫ゴム成形体を次亜塩素酸ナト
リウムと塩酸の水溶液中に浸漬処理する方法,加硫ゴ
ム成形体を塩素ガス雰囲気に晒して処理する方法,塩
素を与える有機化合物を、有機溶剤に溶かした溶液を加
硫ゴム成形体に塗布する方法、等が知られている。なか
でも、上記の方法が安全性,接着効果等の点で好適で
ある。より具体的にいうと、塩素を与える有機化合物と
してトリクロロイソシアヌル酸を用い、これを3.5±
0.5%濃度の酢酸エチル溶液として、加硫ゴム成形体
表面に塗布する方法が好適である。この場合、その塗布
量は、塗布によって液がゴム内部に浸透して形成される
処理層の厚みが1〜3μm程度になるよう設定すること
が好適である。ただし、樹脂とゴムの組み合わせによっ
ては、接着剤を塗布するだけでも充分に接着する場合が
あり、その場合は塩素化処理を必ずしも行う必要はな
い。
来から加硫ゴム成形体3の表面を粗面化するために用い
られている方法で、加硫ゴム成形体を次亜塩素酸ナト
リウムと塩酸の水溶液中に浸漬処理する方法,加硫ゴ
ム成形体を塩素ガス雰囲気に晒して処理する方法,塩
素を与える有機化合物を、有機溶剤に溶かした溶液を加
硫ゴム成形体に塗布する方法、等が知られている。なか
でも、上記の方法が安全性,接着効果等の点で好適で
ある。より具体的にいうと、塩素を与える有機化合物と
してトリクロロイソシアヌル酸を用い、これを3.5±
0.5%濃度の酢酸エチル溶液として、加硫ゴム成形体
表面に塗布する方法が好適である。この場合、その塗布
量は、塗布によって液がゴム内部に浸透して形成される
処理層の厚みが1〜3μm程度になるよう設定すること
が好適である。ただし、樹脂とゴムの組み合わせによっ
ては、接着剤を塗布するだけでも充分に接着する場合が
あり、その場合は塩素化処理を必ずしも行う必要はな
い。
【0020】また、上記の方法において、接着剤の塗布
量は、塗膜の厚みが5〜40μm、なかでも10〜20
μmになるよう設定することが好適である。
量は、塗膜の厚みが5〜40μm、なかでも10〜20
μmになるよう設定することが好適である。
【0021】そして、これまでの説明は、図1に示すよ
うな筒状防振ゴムを例にして述べたが、この発明の防振
装置は、上記筒状防振ゴムの外、加硫ゴム成形体と合成
樹脂成形体の接合部を備えた各種の形状,形態の防振装
置に適用することができる。
うな筒状防振ゴムを例にして述べたが、この発明の防振
装置は、上記筒状防振ゴムの外、加硫ゴム成形体と合成
樹脂成形体の接合部を備えた各種の形状,形態の防振装
置に適用することができる。
【0022】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
明する。
【0023】
【実施例1〜7、比較例1,2】まず、後記の表1およ
び表2に示す、組成の異なる9種類の樹脂材料(a〜
i)を得た。
び表2に示す、組成の異なる9種類の樹脂材料(a〜
i)を得た。
【0024】そして、これらの樹脂材料(a〜i)と、
下記の組成のゴム組成物を加硫成形した加硫ゴム成形体
(内筒金具付)を用い、前述の製法に従って筒状防振ゴ
ム(実施例品および比較例品)を作製した。なお、製品
成形のための具体的条件をつぎに示しておく。
下記の組成のゴム組成物を加硫成形した加硫ゴム成形体
(内筒金具付)を用い、前述の製法に従って筒状防振ゴ
ム(実施例品および比較例品)を作製した。なお、製品
成形のための具体的条件をつぎに示しておく。
【0025】〔ゴム組成〕 天然ゴム 100重量部 酸化亜鉛 5 〃 ステアリン酸 1 〃 カーボンブラックHAF 30 〃 アロマオイル 5 〃 加硫促進剤CZ 1 〃 硫黄 2 〃
【0026】〔製品成形条件〕 成形機 :インラインスクリュー式射出成形機 樹脂温度:290℃ 金型温度: 80℃ 射出圧力:1000kgf/cm2 塩素化処理 処理液:トリクロロイソシアヌル酸の酢酸エチル3.5
%溶液 塗布量:処理層の厚み 3μm 接着剤 種類 :タイライト7411(1液性,LORD社製) 塗布量:塗布膜の厚み15μm
%溶液 塗布量:処理層の厚み 3μm 接着剤 種類 :タイライト7411(1液性,LORD社製) 塗布量:塗布膜の厚み15μm
【0027】このようにして得られた9種類の筒状防振
ゴムについて、つぎの手順で耐塩化カルシウム性と耐水
性(寸法安定性)を評価した。その結果を後記の表1お
よび表2に併せて示す。
ゴムについて、つぎの手順で耐塩化カルシウム性と耐水
性(寸法安定性)を評価した。その結果を後記の表1お
よび表2に併せて示す。
【0028】〔耐塩化カルシウム性〕120℃雰囲気
中、4kgf/cm2 の負荷をかけた状態で10%濃度
の塩化カルシウム水溶液を15分ごとに塗布する。そし
て、樹脂成形体部分にクラックを生じるまでの塗布回数
によって評価する。
中、4kgf/cm2 の負荷をかけた状態で10%濃度
の塩化カルシウム水溶液を15分ごとに塗布する。そし
て、樹脂成形体部分にクラックを生じるまでの塗布回数
によって評価する。
【0029】〔耐水性〕50℃,95%RHにコントロ
ールされた恒温恒湿槽内に1000Hr放置し、その前
後における樹脂成形体部分の軸方向の長さ寸法を、マイ
クロメータにより測定し、寸法変化率を算出した。
ールされた恒温恒湿槽内に1000Hr放置し、その前
後における樹脂成形体部分の軸方向の長さ寸法を、マイ
クロメータにより測定し、寸法変化率を算出した。
【0030】また、樹脂成形体の耐熱性を評価するため
に、前記9種類の樹脂材料(a〜i)を用い、ASTM
D638に従ってタイプIのダンベルを射出成形した
のち、150℃×1000Hrの熱に晒し、その前後に
おける引っ張り強度を測定して熱劣化後の引っ張り強度
保持率を算出した。その結果を、下記の表1および表2
に併せて示す。
に、前記9種類の樹脂材料(a〜i)を用い、ASTM
D638に従ってタイプIのダンベルを射出成形した
のち、150℃×1000Hrの熱に晒し、その前後に
おける引っ張り強度を測定して熱劣化後の引っ張り強度
保持率を算出した。その結果を、下記の表1および表2
に併せて示す。
【0031】
【表1】 *:重量部(以下の表も同じ)
【0032】
【表2】
【0033】
【実施例8〜21、比較例3〜7】つぎに、上記と同様
のゴム組成物と9種類の樹脂材料(a〜i)を用い、上
記と同様の製法により、図2に示すようなテストピース
を作製した。このテストピースは、円板状の加硫ゴム成
形体3を、上下から合成樹脂成形体4で挟持したもの
で、上記と同様、加硫ゴム成形体3に合成樹脂を射出成
形する際、その接合予定面に、塩素化処理と接着剤塗布
を行った。ただし、用いる接着剤の種類およびその塗布
量は後記の表3〜表6に示すようにした。なお、上記合
成樹脂成形体4の直径Lは45mmで、加硫ゴム成形体
3と合成樹脂成形体4の接着面の面積が10cm2 にな
るよう設定されている。
のゴム組成物と9種類の樹脂材料(a〜i)を用い、上
記と同様の製法により、図2に示すようなテストピース
を作製した。このテストピースは、円板状の加硫ゴム成
形体3を、上下から合成樹脂成形体4で挟持したもの
で、上記と同様、加硫ゴム成形体3に合成樹脂を射出成
形する際、その接合予定面に、塩素化処理と接着剤塗布
を行った。ただし、用いる接着剤の種類およびその塗布
量は後記の表3〜表6に示すようにした。なお、上記合
成樹脂成形体4の直径Lは45mmで、加硫ゴム成形体
3と合成樹脂成形体4の接着面の面積が10cm2 にな
るよう設定されている。
【0034】
【実施例22】また、塩素化処理を行わずに直接接着剤
を塗布して成形する以外は実施例12と同様にして、異
なるテストピースを作製した。
を塗布して成形する以外は実施例12と同様にして、異
なるテストピースを作製した。
【0035】これらのテストピースを用い、下記の手順
でそのゴム−樹脂間の接着性を評価した。その結果を後
記の表3〜表6に併せて示す。
でそのゴム−樹脂間の接着性を評価した。その結果を後
記の表3〜表6に併せて示す。
【0036】〔接着性〕 室温中で、上記テストピースを上下方向に100mm/
分の速度で引っ張り、ゴムを破壊もしくは剥離させた。
接着力が弱いとゴムが樹脂から剥離して樹脂剥離面が現
れる。このとき要した最大荷重を接着力とし、破壊面
(または剥離面)全体に対しゴムが破壊されて生じた破
壊面のみの面積の割合(R)を測定して破壊モードとし
て示し、接着性の優劣を評価した。
分の速度で引っ張り、ゴムを破壊もしくは剥離させた。
接着力が弱いとゴムが樹脂から剥離して樹脂剥離面が現
れる。このとき要した最大荷重を接着力とし、破壊面
(または剥離面)全体に対しゴムが破壊されて生じた破
壊面のみの面積の割合(R)を測定して破壊モードとし
て示し、接着性の優劣を評価した。
【0037】
【表3】 *1:単位はkgf/cm2 ・ウレタンプレポリマーA:タイライト7411(1液性溶剤型、LORD社製) ・ウレタンプレポリマーB:タイライト7525A(2液性、LORD社製) ・クロロスルホン化PE :ケムロック252 (LORD社製) (これらは以下の表においても同じ)
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【発明の効果】以上のように、この発明の防振装置は、
合成樹脂成形体を形成するための樹脂材料として特殊な
ものを組み合わせて用いている。したがって、この発明
の防振装置は、耐塩化カルシウム性および耐水性に優
れ、物性の低下や寸法変化がなく、冬期に融雪剤に頻繁
に触れてもクラックを生じることがない。また、耐熱性
にも優れ、熱劣化による物性低下が殆どみられない。そ
して、特に接着剤としてウレタンプレポリマーを主成分
とするものを用いているため、合成樹脂成形体と加硫ゴ
ム成形体との接合が強固で、両者が剥離することがな
く、長期にわたって良好に防振効果を発揮する。しか
も、従来から樹脂材料として用いられてきたナイロン6
6に比べ、この発明で用いる合成樹脂形成体の方が比重
が軽いため、装置全体をより一層軽量化することができ
る。また、従来の防振装置が、主としてウエルド部にお
いてクラックが発生しやすかったため、多少のクラック
が生じても問題ないよう、ウエルド部のくる位置を設計
において配慮する必要があったが、この発明の防振装置
では、そのような配慮が不要となり、設計の自由度が大
きくなるという利点を有する。そして、上記防振装置に
おいて、樹脂材料として、特にPPを30〜50重量%
含有するものを用いた場合に特に優れた効果が得られ
る。また、加硫ゴム成形体の表面に接着層を形成するに
先立ち、その面を塩素化処理によって粗面化しておく
と、より一層の優れた接着効果が得られる。
合成樹脂成形体を形成するための樹脂材料として特殊な
ものを組み合わせて用いている。したがって、この発明
の防振装置は、耐塩化カルシウム性および耐水性に優
れ、物性の低下や寸法変化がなく、冬期に融雪剤に頻繁
に触れてもクラックを生じることがない。また、耐熱性
にも優れ、熱劣化による物性低下が殆どみられない。そ
して、特に接着剤としてウレタンプレポリマーを主成分
とするものを用いているため、合成樹脂成形体と加硫ゴ
ム成形体との接合が強固で、両者が剥離することがな
く、長期にわたって良好に防振効果を発揮する。しか
も、従来から樹脂材料として用いられてきたナイロン6
6に比べ、この発明で用いる合成樹脂形成体の方が比重
が軽いため、装置全体をより一層軽量化することができ
る。また、従来の防振装置が、主としてウエルド部にお
いてクラックが発生しやすかったため、多少のクラック
が生じても問題ないよう、ウエルド部のくる位置を設計
において配慮する必要があったが、この発明の防振装置
では、そのような配慮が不要となり、設計の自由度が大
きくなるという利点を有する。そして、上記防振装置に
おいて、樹脂材料として、特にPPを30〜50重量%
含有するものを用いた場合に特に優れた効果が得られ
る。また、加硫ゴム成形体の表面に接着層を形成するに
先立ち、その面を塩素化処理によって粗面化しておく
と、より一層の優れた接着効果が得られる。
【図1】この発明の防振装置の一例を示す縦断面図であ
る。
る。
【図2】ゴムと樹脂との接着性を評価ために作製したテ
ストピースの縦断面図である。
ストピースの縦断面図である。
【図3】従来の防振装置の一例を示す縦断面図である。
【図4】上記防振装置の改良例を示す縦断面図である。
3 加硫ゴム成形体 4 合成樹脂成形体 5 接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−88339(JP,A) 特開 平4−293957(JP,A) 特開 平6−287401(JP,A) 特開 平1−74264(JP,A) 特開 昭61−91251(JP,A) 特開 昭62−28535(JP,A) 特開 平3−155901(JP,A) 特開 平1−245075(JP,A) 特開 平6−125595(JP,A) 特開 平2−84310(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 F16F 1/36 - 1/54 F16F 15/00 - 15/36
Claims (3)
- 【請求項1】 加硫ゴム成形体と合成樹脂成形体とが一
体的に接合された防振装置であって、上記合成樹脂成形
体が、ポリアミドとポリプロピレンとを混合してなる混
合樹脂によって形成され、かつ上記加硫ゴム成形体と合
成樹脂成形体とが、ウレタンプレポリマーを主成分とす
る接着剤からなる接着層を介して接合されていることを
特徴とする防振装置。 - 【請求項2】 上記ポリプロピレンが、樹脂全体に対し
30〜50重量%含有されている請求項1記載の防振装
置。 - 【請求項3】 上記加硫ゴム成形体の、接着層が形成さ
れた面が塩素化処理により粗面化されている請求項1ま
たは2に記載の防振装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25252695A JP3240891B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | 防振装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25252695A JP3240891B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | 防振装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0994918A JPH0994918A (ja) | 1997-04-08 |
JP3240891B2 true JP3240891B2 (ja) | 2001-12-25 |
Family
ID=17238602
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25252695A Expired - Fee Related JP3240891B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | 防振装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3240891B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1163109A (ja) * | 1997-08-21 | 1999-03-05 | Marugo Rubber Kogyo Kk | 防振装置及びその製造方法 |
WO2003016028A1 (en) * | 2001-08-10 | 2003-02-27 | Nok Corporation | Process for production of vulcanized rubber-resin composites |
-
1995
- 1995-09-29 JP JP25252695A patent/JP3240891B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0994918A (ja) | 1997-04-08 |
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