JP3239306U - 相変化材が充填された袋および袋を有する食器 - Google Patents

相変化材が充填された袋および袋を有する食器 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた熱の吸収および放出が得られる相変化材が充填された袋を提供する。【解決手段】袋100は、予備成形されている第一壁110と、第二壁120と、を備える。第一壁は、相変化材130を収容する碗状部111と、周辺部112と、を有する。第二壁は、第一壁の周辺部に取り付けられる。袋は内部が1×10-1~1×10-7Paの高真空である。袋は加熱または冷却すべき壁に接して配置されるように構成されている。【選択図】図1

Description

本考案は、相変化材が充填された袋および相変化材が充填された袋を生産するための方法に関する。本考案はさらに、相変化材が充填された袋を有する食器に関する。
蓄熱材として相変化材を使用することが知られている。相変化材は比較的短時間に熱を吸収し、この熱を長い時間にわたって再放出することができる。そのような応用の一例には、熱い食品を提供する皿への相変化材の使用がある。相変化材を利用することによって、皿が直ぐには冷えず、また食品をより長く温かい状態とすることができる。典型的には、皿内に、相変化材が充填される空洞が形成される。
この応用および類似の応用のために用いられる典型的な相変化材は、室温で固体であり、熱を吸収したより高い温度では液相に変化する。相変化材が液相にある場合、相変化材の粒子が皿の微小孔を通って出ていくおそれがある。液相においては、相変化材は皿の運動の影響を受けて空洞内においてさらに自由に移動することになる。そのため、皿への熱の放出が減少することになり、そして皿における相変化材の重量の分布が不規則となるかつ/または変化することになる。
考案の要約
本考案の態様は、蓄熱材としての相変化材の既知の応用と比較してより優れた熱の吸収および放出が得られる相変化材を提供することを目的とする。
本考案の第一面は、予備成形されている第一壁と、第二壁と、を備える、相変化材が充填された袋に関する。第一壁は、相変化材を収容する碗状部と、周辺部と、を有する。第二壁は、第一壁の周辺部に取り付けられる。袋は、内部が高真空である。袋は、加熱または冷却すべき壁に接して配置されるように構成されている。
充填のための袋に相変化材を提供することによって、相変化材の移動の自由度は、袋によって制限される。袋の内部は高真空である、典型的には袋内の圧力は1×10-1~1×10-7Paであるので、断熱性の空気が相変化材と袋の壁との間または相変化材の異なる部分間に留まることを防止することができる。さらに真空の袋内の相変化材を、想定される汚染物質から保護でき、相変化材の想定される劣化に対して保護でき、相変化材の発火が真空状態の袋によって回避できる。碗状部に相変化材を配置できるよう、碗状部および周辺部を有する袋の予備成形されている第一壁を設けることによって、そして袋が真空に引かれた直後に第二壁を第一壁の周辺部に取り付けることによって、袋内の高真空を達成できる。碗状部を有する予備成形されている第一壁の利点は、簡単に袋を真空に引くことができ、二つの平坦な壁間に相変化材を使用する場合と比較してより高い真空を達成できることにある。袋の第一壁と第二壁とを、第一壁の周辺部で、溶着や接着等による種々の方法で互いに取り付けることができる。
好ましい態様において一の相から他の相に転移する際に相変化材が拡張するとき袋が伸びるように、そして逆方向の相転移の際に相変化材が収縮するとき袋が引き締まるように、袋はある程度弾性があり可撓性がある。袋の高真空状態と組み合わせて、袋の可撓性により、相変化材が壁から逃げるまたは壁から離れていくおそれなく、袋内の相変化材と加熱または冷却すべき壁との間で最大で最も効率的な接触面を提供することができる。可能な態様においては、袋の壁は弾性ではなく、加熱または冷却すべき壁から離れている側の袋の壁は相変化材の膨張を可能にする表面積を有する。
相変化材が充填された袋の好ましい態様において、第一壁および第二壁は厚さが少なくとも40μmであり、好ましくは50μm~150μmである。このような厚さの壁によって、袋の保護および強度の程度を高くできる。また、このような壁厚により、袋の第一壁および/または第二壁を予備成形することができ、そして相変化材を配置することができる碗状部を第一壁に設けることができる。第一壁と第二壁とを互いに異なる厚さとできることは当業者には明らかであろう。加熱または冷却すべき部分への良好な熱伝導を保証するよう、好ましくは、第二壁は厚くしすぎない。
相変化材が充填された袋の例示的な態様において、第一壁は第一フィルムであり、第二壁は第二フィルムである。第一フィルムと第二フィルムとは厚さを同じでもよいし、互いに異なる厚さであってもよい。異なる材料特性を一のフィルムにおいて合わせ持つことができるよう、フィルムを好適に積層構造とすることには利点がある。第一壁における碗状部は、フィルムの場合には、好ましくは熱成形により形成される。
相変化材が充填された袋の例示的な態様において、第一壁および第二壁は複数の層を有する。第一壁および第二壁は同じ層を有してもよいが、第一壁および第二壁は互いに異なる層を有してもよい。袋の応用に応じて、第一壁の材料特性が第二壁の材料特性とは異なることが有用である場合もある。したがって、例えば、袋の、加熱または冷却すべき壁に接して配置することを意図していない、したがって、加熱または冷却すべき壁から離れている壁には、追加の断熱層を設けることが有用であろう。
相変化材が充填された袋の好ましい態様において、第一壁および第二壁は、溶着層およびバリア層を有しており、第一壁の溶着層は第二壁の溶着層に溶着される。
特に相変化材が液体になる高い温度で相変化材の分子が通過できないよう、バリア層は選択される。簡単に溶着可能、第一壁の周辺部で第一壁と第二壁とを互いに溶着できるよう、溶着層は選択される。
例示的な態様において、溶着層はポリプロピレンを備えており、バリア層はポリアミドを備えている。
相変化材が充填された袋の例示的な態様において、第一壁および/または第二壁は、アルミニウムから形成される層を備える。
相変化材が充填された可撓性の袋の例示的な態様において、第一壁および/または第二壁は、射出成形されたピースまたは射出成形された一つピースの部分である。これらを例えばシリコーンから形成できる。
好ましい態様において、袋は、第二壁が加熱または冷却すべき壁に接して配置されるように構成される。第一壁は、第二壁より断熱特性が優れている。
第二壁が加熱または冷却すべき壁に接して配置される場合、第二壁は、相変化材による熱の吸収および放出に対する影響を可能な限り小さくし、熱交換を可能な限り促進することが有利である。一方、加熱または冷却すべき壁に接して配置されない第一壁は、加熱または冷却すべき壁の方向からの熱損失を可能な小さくすることができ、可能な限り断熱であることが好ましい。
好ましい態様において、袋には、カプセルに収容されない相変化材が充填される。
マイクロ・カプセルまたはマクロ・カプセルに収容された相変化材の使用が知られている。しかしながら、カプセルに収容された同じ量の材料と比較して、より高い熱容量が、カプセルに収容されない相変化材の使用によって得られる。これは、多くの場合空気がカプセル間に存在し、これにより断熱効果が生じるからである。さらにカプセルに収容されない相変化材は、適切な形の袋内に簡単に配置でき、このため、カプセルに収容された相変化材と比較して、熱交換に関してより効率的な接触面が得られる。
相変化材が充填された袋の例示的な態様において、第二壁は所定の形状の壁である。第二壁を加熱または冷却すべき壁に効率的に接して配置可能とするよう、例えば第二壁を、好適には、加熱または冷却すべき壁の形状に適応させることができる。コーヒーまたは茶のカップの場合には、予備成形されている第二壁を有する袋を、好適には、加熱すべき部分の底部と加熱すべき部分の立ち上がり側部とに同時に接して配置することができる。任意の形状の加熱または冷却すべき壁にも同じ原理を適用できることは当業者には明らかであろう。すなわち、袋は、袋の第二壁と加熱または冷却すべき壁との間で良好な接触が行われるよう対応する形状を有する予備成形されている第二壁を有することができる。
本考案の第一面にかかる相変化材が充填された袋の上述した態様に関連する方策および利点は、以下に説明する本考案の第二面および第三面にかかる、相変化材が充填された可撓性の袋を有する食器および相変化材が充填された袋を生産する方法にも当てはまる。
本考案の第二面では、上述した態様のいずれかにかかる袋を有する食器を提供する。袋は、食器内に配置される。袋は、加熱または冷却すべき食器の一部分に接して配置される。ここでは、第二壁は、加熱または冷却すべき食器の一部分に、好ましくは陶器、磁器またはガラス等のセラミック材料の食器に接して配置される。皿の場合には、この皿は、加熱または冷却すべき上側の壁と、下側の壁と、を有する二重壁の構造である。この場合、袋は、下側の壁と上側の壁との間に好ましくは配置される。第二壁は、加熱または冷却すべき上側の壁に接して配置されており、第一壁は、下側の壁が加熱されないようまたはほとんど加熱されないよう、下側の壁から距離を空けて配置される。
本考案の第三面は、相変化材が充填された袋を生産する方法に関する。
方法は、
第一壁が碗状部と周辺部とを有するように袋の第一壁を形成する工程と、
形成された第一壁の碗状部内に相変化材を配置する工程と、
相変化材が第一壁と第二壁との間に配置されるとともに袋の内部が高真空となるよう、袋の第二壁を形成された第一壁の周辺部に取り付ける工程と、
を含む。
碗状部を有する第一壁を備えることによって、相変化材を碗状部に容易に配置することができる。そして、第二壁を、第一壁に接続されるカバーとして配置することができる。これにより、簡単に信頼性高く全体を封止することができる。
相変化材が充填された袋を生産するための方法の例示的な態様において、袋の第一壁を形成する工程は、袋の第一壁を、熱を用いて予備成形する工程を含む。この場合、例えば、第一壁は、熱を用いて予備成形されるフィルムとできる。
他の態様において、袋の第一壁を形成する工程は、加圧下で、型で、袋の第一壁を予備成形する工程を含む。
他の例示的な態様において、第一壁を形成する工程は、第一壁を射出成形する工程を含む。
相変化材が充填された袋を生産するための方法の好ましい態様において、第二壁を形成された第一壁の周辺部に取り付ける工程は、
第二壁を第一壁の周辺部に取り付け可能に第一壁および第二壁を互いに対して位置決めする工程と、
第一壁と第二壁との間の空間を真空引きする工程と、
第一壁の周辺部において袋を封止する工程と、
を含む。
碗状部を有する第一壁を備えることによって、相変化材を碗状部に容易に配置することができる。そして、第二壁を、第一壁に接続されるカバーとして配置することができる。これにより、簡単に信頼性高く全体を真空引きすることができる。
例示的な態様において、第一壁の周辺部において袋を封止する工程は、第二壁を第一壁の周辺部に溶着または接着する工程を含む。
例示的な態様において、形成された第一壁の碗状部内に相変化材を配置する工程は、相変化材を溶融する工程と、溶融させた相変化材を型に投入する工程と、冷却後に、硬くなった相変化材を碗状部に配置する工程と、を含む。これにより、第一壁と第二壁との間の空間に真空状態を簡単に生じさせることができる。
例示的な態様において、相変化材が充填された袋を生産するための方法は、取り付け前に袋の第二壁を形成する工程を含む。こうして、第二壁が接するよう配置すべき部分の形状に適合する形状を、第二壁に与えることができる。
例示的な態様において、第二壁を形成する工程は、第二壁を射出成形するまたは第二壁を熱を用いて予備成形する工程を含む。
他の態様において、袋の第二壁を形成する工程は、加圧下で、型で、袋の第二壁を予備成形する工程を含む。
本考案の上述したおよび他の有用な特性ならびに目的は、以下の添付図面を参照して説明する以降の詳細な説明からより明瞭となり本考案をより理解できよう。
本考案にかかる相変化材が充填された袋の例示的な実施形態の断面を示す。 本考案にかかる、第一壁および第二壁が複数の層を有する、相変化材が充填された袋の例示的な実施形態の断面を示す。 本考案にかかる、袋の第一壁の断熱特性が袋の第二壁より優れている、相変化材が充填された袋の他の実施形態の断面を示す。 本考案にかかる、袋の第二壁が所定の形状の壁である、相変化材が充填された袋の例示的な実施形態の断面を示す。 相変化材が充填された袋を有する一の食器の例示的な実施形態の簡略的な図を示す。 相変化材が充填された袋を有する一品の食器の例示的な実施形態の簡略的な図を示す。 本考案にかかる相変化材が充填された袋を生産する方法の実施形態の概略的な全体図を示す。 相変化材が充填された袋を製造する方法のより詳細な実施形態の工程を概略的に示す。 相変化材が充填された袋を製造する方法のより詳細な実施形態の工程を概略的に示す。 相変化材が充填された袋を製造する方法のより詳細な実施形態の工程を概略的に示す。 相変化材が充填された袋を製造する方法のより詳細な実施形態の工程を概略的に示す。
本考案にかかる相変化材が充填された袋の第一実施形態を図1に示す。この形態は相変化材130が充填された袋100である。袋100は、予備成形されている第一壁110と、第二壁120と、を備える。第一壁は、相変化材130を収容する碗状部111と、周辺部112と、を備える。第二壁120は、第一壁110の周辺部112に取り付けられる。碗状部111を、図面においては角張って概略的に示しているが、実際的な形態においては碗状部111を「丸く(ラウンド状に)」できることは当業者には明らかであろう。取り付け場所を、第一壁110の周辺部112におけるストリップ115で図1に簡易的に示す。第一壁110と第二壁120とを種々の方法で互いに取り付けることもできる。壁110,120は、互いに対して接着、溶着、締め付け固定できる。袋100は内部が高真空である。袋100は、加熱または冷却すべき壁に接して配置されることを意図している。高真空状態にある袋内の圧力は1×10-1~1×10-7Paである。相変化材はあらゆる既知の相変化材とできる。用途に応じて、特定の相変化材が他の相変化材よりも好ましい場合がある。したがって、相変化材を例えばその融点に基づいて選択することができる。融点の高低が液体または食品の最適な加熱または冷却に関して有利になりうるからである。パラフィンをベースとした有機相変化材は、本考案の実施形態にかかる相変化材130が充填される袋100における使用に特に適している。
袋100には、好ましくは、カプセルに収容されない相変化材130が充填される。非カプセル化相変化材、いわゆる純粋な相変化材を、例えば粒状の態様の相変化材を所望の形状へと溶融させることにより、得ることができる。マイクロ・カプセルまたはマクロ・カプセルに収容される相変化材130の使用が知られているが、これには、カプセル間に断熱空気層が存在することになるという欠点がある。カプセルに収容されない相変化材130を使用することによって、カプセルに収容された同じ量の相変化材と比較して、より高い熱容量を得ることができる。さらにカプセルに収容されない相変化材130は、袋内に適切な形で簡単に配置でき、このため、カプセルに収容された相変化材と比較して、袋と加熱すべき壁と間の熱交換に関してより効率的な接触面が得られる。
壁110,120が相変化材130を収容しておくことができる限り、袋100の壁110,120は種々の材料を有することができる。相変化材130の移動の自由度は、このように、袋100によって制限される。好ましくは、相変化材130が固相から液相に転移する際に拡張するとき袋100が伸びるように、そして逆方向の相転移の際に相変化材130が収縮するときには袋100が引き締まるように、袋は、ある程度弾性的であり可撓性がある。
相変化材130が充填された袋100の好ましい態様において、第一壁110および第二壁120は厚さが少なくとも40μmであり、好ましくは50μm~150μmである。このような厚さの壁110,120によって、袋100の保護および強度の程度を高くできる、および/または、袋100を十分に可撓性とすることができる。また、このような壁厚により、袋の第一壁110および/または第二壁120を、熱を用いて予備成形すること(サーマル・プレフォーミング)ができ、相変化材130を配置することができる碗状部111を第一壁110に提供することができる。第一壁110と第二壁120とは互いに異なる厚さを有することができる。
なお、図1は寸法通りには描いていないことを記載しておく。典型的な実施形態では、碗状部111の深さdは1mm~20mmとなり、碗状部111の底部の寸法aを何倍にも大きくでき、典型的には、袋の対象である食器に適合させることができる。大皿では、寸法aを例えば25cm~40cmとできる。
相変化材130が充填された袋の例示的な実施形態において、第一壁110は第一フィルムであり、第二壁120は第二フィルムである。第一フィルムと第二フィルムとは厚さを同じとできるし、互いに異なる厚さとすることもできる。第一壁110がフィルムである場合、第一壁110が碗状部111および周辺部112を有するよう、第一壁110をサーマル・プレフォーミングで予備成形できる。異なる材料特性を一のフィルムにおいて合わせ持つことができるよう、フィルムを好適な積層構造とすることには利点がある。壁またはフィルム110,120が異なる層を備える、相変化材130が充填された袋の実施形態を、図2を参照してより詳細に説明する。
袋100の予備成形されている第一壁110および/または第二壁120は、フィルムである必要はなく、例えば射出成形されたピースとすることもできる。例えば、第一壁110が碗状部111および周辺部112を有するよう、第一壁110を特定の形に射出成形することができる。このように袋100の第一壁110および/または第二壁120は、例えば射出成形されたシリコーンまたは他のプラスチックで構成できる。
図2は、第一壁210および第二壁220が複数の層210a,210b,220a,220bを有する、相変化材230が充填された袋200の例示的な実施形態を示す。同じ壁内の層を、図2において破線を用いて、互いに分けて示す。第一壁210および第二壁220は、同一材料の層を備えることができるが、第一壁および第二壁は、互いに異なる材料層210a,210b,220a,220bを備えることもできる。袋200の用途に応じて、第一壁210の材料特性が第二壁220の材料特性と異なることが有用である場合もある。そのため、例えば、加熱または冷却すべき壁に接して配置することを意図していない、したがって加熱または冷却のための壁から離れている袋200の壁には、追加の断熱層を提供することが有用である場合もある。
相変化材230が充填された袋200の好ましい実施形態において、第一壁210および第二壁210は、溶着層210b,220bおよびバリア層210a,220aを有し、第一壁210の溶着層210bは第二壁220の溶着層220bに溶着される。特に相変化材230が液体になる高い温度で相変化材230の分子が通過できないよう、バリア層210a,220aは選択される。簡単に溶着可能であり、第一壁の周辺部212で第一壁210と第二壁220とを互いに溶着できるよう、溶着層210b,220bは選択される。溶着層210b,220bとして特に適切な材料は、高い溶着性から、ポリプロピレンである。バリア層210a,220aとして特に適切な材料は、相変化材に対する透過性の低さと高温における耐性とから、ポリアミドである。好ましい実施形態では、溶着層210b,220bとバリア層210a,220aとを合わせた厚さは、それぞれの壁210,220当たり60μm~100μmである。この範囲内の厚さにおいては、壁210,220は切断に対する耐性が高い。このことは、例えば袋200が皿等の食器に用いられる場合、有用である。切断に対する耐性が高いので、例えば皿が割れたときに皿の破片に対する保護を提供でき、相変化材230を袋200内に元の状態に留めておくことができるからである。
相変化材230が充填された袋200の例示的な態様において、第一壁210および/または第二壁220は、アルミニウムから形成される層を有する。このように、たとえば、袋を、例えばアルミ箔が積層されたポリプロピレンの溶着層で好適に形成することができる。アルミ箔によって、分子を実質的に通さない袋とできる。
図3は、第二壁320が加熱または冷却すべき壁に接して配置されるように構成されている袋300であって、第一壁310の断熱特性が第二壁320より優れている、相変化材330が充填された袋300の好ましい実施形態を示す。第二壁320が加熱または冷却すべき壁に接して配置される場合、第二壁320は、相変化材330による熱の吸収および放出に対する影響を可能な限り小さくし、熱交換を可能な限り促進できることが有利である。一方、加熱または冷却すべき壁に接して配置されない第一壁310は、加熱または冷却すべき壁の方向からの熱の損失を可能な小さくすることができ、したがって可能な限り断熱できることが好ましい。図3は、第一壁310が二つの層308,309を有する例を示している。層308は、例えば上述の層または材料の一つに対応する。層309は、追加の断熱層とできる。第一壁310の断熱特性が第二壁320より優れている第一壁を、複数の層でもまたは一の層のみでも構成できることは当業者には明らかであろう。
図4は、第二壁420が予備形成された壁である、相変化材430が充填された袋400の例示的な実施形態を示す。第二壁420を加熱または冷却すべき壁に効率的に接して配置できるよう、例えば第二壁を、好適には、加熱または冷却すべき壁の形状に適合させることができる。図示の例示的な実施形態において、第二壁420は皿(ディッシュ)の形状に形成される。この形状は、図5Aに簡略的に示す通り、加熱または冷却すべきカップまたはマグの底壁部分に第二壁420を効率的に接して配置することができる利点がある。なお、予備形成された第二壁420は、用途に応じて他の形状を有することもできる。あらゆる形状の加熱または冷却すべき壁にも同じ原理を適用でき、袋の第二壁と加熱または冷却すべき壁との間で良好な接触が行われるよう、袋が対応する形状を有する予備成形されている第二壁を有することができることは当業者には明らかであろう。第二壁320が予備成形されず図3に示すような平坦な壁である場合、袋は、例えば、図5Bにおいて簡略的に示す皿またはオーブン・ディッシュの平坦な壁すなわち平面壁に面して第二壁320を配置するのに特に適している。予備成形されている第一壁110,210,310,410および/または予備成形されている第二壁420の図示の形状は例であり、所定の形状の第一壁110,210,310,410および所定の形状の壁420は他の形状を有することもできることは、当業者には明らかであろう。予備成形されている第一壁110,210,310,410は、袋100,200,300,400を高真空状態とすることができる。
図5Aおよび図5Bは、前述の実施形態のうちのいずれかにかかる相変化材530が充填された袋510を有する食器500a,500bの例示的な実施形態を示す。袋510は、食器500a,500b内に配置される。袋510は、食器500a,500bの加熱または冷却すべき壁521に接して配置される。図5Aおよび図5Bは、簡略的な図であり、食器500a,500bにおける袋510の使用を示している。
図5Aは特に、熱いまたは冷たい飲料540を受けるよう構成されるカップまたはマグ500aを示す。カップ500aは二重壁であり、相変化材530が充填された袋510は二つの壁の間の空間に配置される。カップ500aの加熱または冷却すべき壁521は、袋510と飲料540との間に位置する。図5Aに示す袋510は、第二壁420が予備成形される図4に示す実施形態に対応する。所定の形状に成形された第二壁420によって、袋510がカップの底部だけでなく立ち上がっている内壁の少なくとも一部とも接触するよう、袋510を加熱または冷却すべき壁521にぴったり合わせて面するように配置することができる。こうして、相変化材530が充填された袋510は、加熱すべき壁521の底部を介してだけでなく、立ち上がっている側部に沿っても熱を放出し、これにより、熱い飲料540を、より長い時間熱い状態に維持できる。
図5Bは、特に、食品を提供するまたは差し出すための加熱または冷却すべき壁521を有する皿500bを示す。皿500bは二重壁であり、相変化材530が充填された袋510は皿の二つの壁の間の空間520に配置される。このように、袋510は、加熱または冷却すべき皿500bの壁521の内側に配置される。図5Bに示す袋510は、図1、図2または図3に示す第二壁120,220,230が平坦である実施形態に対応する。
図5Aおよび図5Bは予備成形されている第一壁を有する、相変化材530が充填された袋510を備えるカップ500aおよび皿500bだけを示しているが、本考案の原理を、加熱または冷却すべき壁を有する種々のタイプの食器に、例えばオーブン・ディッシュ、カップ、デザート皿、スープ・ボウル、デザート・クープ、ピザ皿、スプーン等にも適用できることは当業者には明らかであろう。本考案にかかる、予備成形されている第一壁を有する、相変化材530が充填された袋510を、例えば浴槽やスイミング・プールの場合等の壁を冷却または加熱する必要がある他の応用にも用いることができる。
図6は、本考案にかかる相変化材が充填された袋を製造する方法600のフローチャートを示す。方法600は、
第一壁が碗状部と周辺部とを備えるよう袋の第一壁を形成する工程610と、
形成された第一壁の碗状部内に相変化材を配置する工程620と、
相変化材が第一壁と第二壁との間に配置されるとともに袋の内部が高真空となるよう、袋の第二壁を形成された第一壁の周辺部に取り付ける工程630と、
を含む。
第一壁の形成は、種々の方法で行うことができる。相変化材が充填された袋を生産するための方法600の例示的な実施形態において、袋の第一壁を形成する工程610は、袋の第一壁を、熱を用いて予備成形する工程を含む。第一壁がフィルムである場合、第一壁を特に熱を用いた予備成形(サーマル・プレフォーミング)を用いて形成することができる。予備成形されている第一壁は種々の形状を有することができる。袋の用途に応じて、特定の形状が他の形状より好ましい。さらに寸法を、用途に適応させることができる。第一壁を形成する他の方法は、第一壁の射出成形によって行われる。このように、第一壁を、シリコーンまたは他の適切なプラスチックで射出成形することができる。
例示的な実施形態において、方法600の工程620は、相変化材を溶融する工程と、溶融させた相変化材を型に投入する工程と、冷却後に、相変化材を、例えば円板形に硬化した相変化材を碗状部に配置する工程と、を含む。初めに、例えば粒状の相変化材を溶融させることにより、溶融させた相変化材を所望の対応する型に投入することによって、相変化材を所望の形状とすることができる。冷却に続いて、成形された相変化材を第一壁の碗状部にその後配置することができ、そして相変化材を袋の第一壁と第二壁との間に高真空状態で包装することができる。
好ましい実施形態において、方法600の工程630は以下の工程を含む。第一工程の際に、第二壁を第一壁の周辺部に取り付けできるよう、第一壁および第二壁を互いに対して位置決めする。第一壁および第二壁を定位置に取り付けるとき、第一壁と第二壁との間の空間は真空引きされ、真空とした概ね直後に、袋は第一壁の周辺部で封止される。例えば空間を真空に引く管を第一壁と第二壁との間に配置することによって、第一壁と第二壁との間の空間を真空引きすることができる。なお、袋を真空に引きするために種々の方法を用いることができることは当業者には明らかであろう。
第一壁の周辺部において袋を封止する工程を、種々の方法で行うことができる。一の実施形態では、袋は、第二壁を第一壁に、第一壁の周辺部において溶着することにより封止される。他の実施形態では、袋は、第二壁を第一壁に、第一壁の周辺部において接着することにより封止される。袋を封止するために他の方法を用いることができることは当業者には明らかであろう。
例示的な実施形態において、相変化材が充填された袋を生産するための方法600は、取り付けの前に袋の第二壁を形成する工程を含む。第二壁の形成は、種々の方法で行うことができる。例示的な実施形態において、袋の第二壁を形成する工程は、袋の第二壁を、熱を用いて予備成形する工程を含む。第二壁がフィルムである場合、第二壁を特にサーマル・プレフォーミングを用いて形成することができる。予備成形される第二壁は、種々の形状を有することができる。袋の用途に応じて、特定の形状は、他の形状より好ましい。第二壁を形成する他の方法は、第二壁を射出成形することによって行われる。このように、第二壁を、シリコーンまたは他の適切なプラスチックで射出成形することができる。
図7A、図7B、図7Cおよび図7Dは、相変化材が充填された袋を製造する方法のより詳細な実施形態の工程を概略的に示す。第一工程(図7A)において、第一壁は円形状の第一フィルム710の態様で提供される。第二工程(図7B)において、第一壁が碗状部712と周辺部711とを有するよう、第一フィルム710は熱を用いて予備成形される。第三工程(図7C)において、ここでは予備成形されている円板形の相変化材730が、成形された第一フィルム710の碗状部712に配置される。予備成形されている円板730の形状および寸法は、好ましくは、碗状部712の形状および寸法に概ね対応する。第四工程(図7D)において、空間を真空に引くための管750を第一フィルム710と第二フィルム720との間に挟むよう、円形状の第二フィルム720がカバーとして第一フィルム710上に配置される。袋を形成するために、成形された第一フィルム710の周辺部712が第二フィルム720の周辺部722に対して溶着されると同時に、管750が引き抜かれる。
本考案は上記の実施形態には限定されず、そして添付の特許請求の範囲の請求項によってのみ定義される本考案の範囲内で多くの変更および変形を実現可能であることは当業者には理解されよう。

Claims (12)

  1. 相変化材が充填された袋であって、
    予備成形されている第一壁と、第二壁と、を備え、
    前記第一壁は、前記相変化材を収容する碗状部と、周辺部と、を有し、
    前記第二壁は、前記第一壁の前記周辺部に取り付けられ、
    前記袋は、内部が1×10-1~1×10-7Paの高真空であり、
    前記袋は加熱または冷却すべき壁に接して配置されるように構成されている、
    袋。
  2. 前記第一壁および前記第二壁は厚さが少なくとも40μmである、
    請求項1に記載の袋。
  3. 前記第一壁は第一フィルムであり、前記第二壁は第二フィルムである、
    請求項1または2に記載の袋。
  4. 前記第一壁の前記碗状部は、前記第一フィルムを熱成形することにより形成される、
    請求項3に記載の袋。
  5. 前記第一壁および前記第二壁は、それぞれ、溶着層およびバリア層を有し、
    前記第一壁の前記溶着層は、前記第二壁の前記溶着層に溶着される、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の袋。
  6. 前記溶着層はポリプロピレンを含み、前記バリア層はポリアミドを含む、
    請求項5に記載の袋。
  7. 前記第一壁および/または前記第二壁は、アルミニウムで形成された層を含む、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の袋。
  8. 前記第一壁および/または前記第二壁は、射出成形によって形成される、
    請求項1または2に記載の袋。
  9. 前記袋は前記第二壁が加熱または冷却すべき部分に接して配置されるように構成されており、
    前記第一壁は、前記第二壁より高い断熱特性を有する、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の袋。
  10. 前記袋には、カプセルに収容されていない相変化材が充填される、
    請求項1から9のいずれか1項に記載の袋。
  11. 前記第二壁は、予備成形されている壁である、
    請求項1から10のいずれか1項に記載の袋。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の袋を有する食器であって、
    前記袋は、前記食器内に配置されており、
    前記袋は、前記第二壁が加熱または冷却すべき前記食器の壁に接して配置されるよう構成されている、
    食器。
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