JP3239175B2 - 粘土瓦の製造方法 - Google Patents

粘土瓦の製造方法

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JP3239175B2 JP05611998A JP5611998A JP3239175B2 JP 3239175 B2 JP3239175 B2 JP 3239175B2 JP 05611998 A JP05611998 A JP 05611998A JP 5611998 A JP5611998 A JP 5611998A JP 3239175 B2 JP3239175 B2 JP 3239175B2
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勝晴 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、複数枚の瓦素地を加
圧成形して乾燥させ、乾燥後の瓦素地を焼成用台車の棚
板上に水平状態に積み重ねて焼成する粘土瓦の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の一般的な従来の技術は、広く知
られるように瓦素地を加圧成形した後、成形された瓦素
地を水平状態で乾燥させ、乾燥された瓦素地を焼成用台
車の棚板上に多数立設させ、焼成用台車を焼成炉に送り
込み、瓦素地の焼成を行う方法である。
【0003】この方法における焼成は、焼成用台車の棚
板に瓦素地を垂直方向に立設することができるから、棚
板上に多数の瓦素地を載置させて焼成できる特徴を有す
るので、焼成効率の向上化に寄与する。
【0004】ところが、焼成処理に先立って水平状態で
予め乾燥させることにより瓦素地の変形や亀裂を抑制す
るようにしても、瓦素地を立設させて焼成するから、焼
成時に変形や亀裂が発生し、乾燥における変形や亀裂の
抑制を図る意図が無駄になり、いわゆる粘土瓦の生産上
の歩留りの減少を回避できないという基本的問題が残存
した。
【0005】瓦素地の変形や亀裂を抑制する焼成方法と
して、瓦素地の姿勢を水平状態に保って行うことが物理
的に好ましい。
【0006】そこで、瓦素地の姿勢を水平状態に保って
焼成を行う方法として、知られているようにいわゆる匣
鉢と称するものが採用され、匣鉢に瓦素地を水平状態で
詰め込み、瓦素地が詰め込まれた匣鉢を焼成用台車に多
数積み重ねることにより焼成が行われた(たとえば、特
開平8−187716号公報を参照)。
【0007】ところが、この焼成方法では比較的消耗の
激しい匣鉢を多数用意せざるを得ない面倒さがあり、し
かも、匣鉢によって奪われる熱損失を考慮せざるを得な
く、瓦素地の焼成に必要な熱エネルギ−のほかに匣鉢に
よって奪われる熱損失分相当の熱エネルギ−を加える必
要があり、瓦素地1枚当たりに必要な熱エネルギ−が増
加し、焼成効率が低下するという問題があった。また、
匣鉢を多数積み重ねるため、瓦素地を搭載する焼成用台
車のスペ−スに制約を受け、焼成用台車に搭載される瓦
素地の枚数が少なくなる結果、熱効率の低下を招くとい
う問題があった。
【0008】後者の従来例の問題点の解消を示唆する例
として特開昭52−63208号公報に記載された陶磁
質タイルの製造方法がある。
【0009】この従来例は、タイル生地のいわゆる裸焼
きと称されている焼成方法であり、表面の周縁部に全周
縁にわたってクッション部と称されている部分を成形さ
せたタイル生地か、又は前記したクッションの内側に隣
接する微小な山形起伏を有するタイル生地を複数設け、
第1枚目のタイル生地の表面と第2枚目のタイル生地の
裏面とを水平状態に積み重ねることにより、表面のクッ
ション部又はクッション部の内側に隣接する微小な山形
起伏のみが裏面と接触させて締め焼きする方法である。
【0010】しかしながら、このタイルの製造方法を粘
土瓦の製造方法に直ちに転用することができない事情が
ある。その理由は、表面の周縁部に全周縁にわたってク
ッション部と称されている部分を成形させた粘土瓦用の
瓦素地か、又は前記したクッションの内側に隣接する微
小な山形起伏を有する粘土瓦用の瓦素地を複数設けるこ
とは、粘土瓦としての機能を明らかに損ねるからであ
る。
【0011】つまり、瓦は家屋への雨水の浸入を防ぐた
めに重ねて葺くことが必要であり、そして互いに瓦が重
なる部分は、頭、尻、桟、差し込みの周縁にすべて存在
する。
【0012】このため、瓦素地の全周縁に亘ってクッシ
ョン部を設けることや、クッション部の内側に山形起伏
を設けることは、とくに頭および桟の重なる部分の機能
の重大な障害となり、前記したタイルの製造方法を粘土
瓦の製造に適用することは不可能であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明が、解決しよ
うとする課題は、成形および乾燥の際に変形や亀裂を抑
制するように瓦素地の姿勢を折角水平状態に保ってその
処理を行っても、焼成用台車に瓦素地を立設して焼成す
るため、変形や亀裂が生ずる点にある。
【0014】また、焼成用台車に瓦素地を立設して焼成
する方法と同じ程度に瓦素地の載置数を設定するために
は、匣鉢を利用する必要があり、大幅に焼成効率が低下
する点などにある。
【0015】さらに、タイルの焼成方法のように互いに
瓦素地を積み重ねて焼成すると、瓦の機能を損なうた
め、タイルの焼成方法を転用できない点である。
【0016】そこで、この発明は、従来例の問題点を解
消しようとするものであって、この発明の目的は、成
形、乾燥および焼成の一連の工程において瓦素地の変形
や亀裂を防止するとともに、瓦としての機能を損なうこ
となく効率的に瓦素地を焼成することのできる粘土瓦の
製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の粘
土瓦の製造方法は、粘土瓦の瓦素地を加圧成形した後、
加圧成形された瓦素地を乾燥させ、乾燥された瓦素地を
焼成用台車の棚板に載置させて焼成する粘土瓦の製造方
法において、屋根葺き時における粘土瓦の裏面の暴露部
に複数の凸部が設けられてなる瓦素地を水平状態で複数
枚成形する工程と、これらの瓦素地を水平状態で乾燥さ
せる工程と、乾燥後の複数枚の瓦素地を互いに同一方向
であってかつ水平状態に積み重ねた瓦素地群となし、瓦
素地の凸部を介して各瓦素地との間に間隙を形成した
上、瓦素地群を焼成する工程とからなり、前記の各工程
を一連に行うことを特徴とするものである。
【0018】ここで、屋根葺き時における粘土瓦の裏面
の暴露部とは、粘土瓦を互いに重ねて屋根に葺いたとき
に重なることなく開放された裏面の部分を意味している
(図2および図7を参照)。
【0019】裏面に成形された凸部とは、点状である場
合、連続的または不連続の突条や帯状である場合、ある
いは点状と突条の組み合わせの場合を含む。
【0020】請求項2記載の発明の粘土瓦の製造方法
は、請求項1記載の発明において、瓦素地がF形粘土瓦
の桟瓦用であることを特徴とするものである。
【0021】請求項3記載の発明の粘土瓦の製造方法
は、請求項1記載の発明において、瓦素地がJ形粘土瓦
の桟瓦用であることを特徴とするものである。
【0022】請求項4記載の発明の粘土瓦の製造方法
は、請求項1、2または3記載の発明において、瓦素地
に引っ掛け部が設けられるとともに瓦素地の裏面に設け
られた凸部の高さを引っ掛け部の高さ以上とすることを
特徴とするものである。
【0023】請求項5記載の発明の粘土瓦の製造方法
は、請求項1、2、3または4記載の発明において、焼
成用台車の棚板に瓦素地群中の最下層に位置する瓦素地
の姿勢を制御する制御機構を設け、瓦素地群を制御機構
を介して載置させることにより焼成してなることを特徴
とするものである。
【0024】
【作用効果】請求項1記載の発明の粘土瓦の製造方法
は、上記の構成であるから、成形から焼成に至る一連の
工程において瓦素地を常に統一した水平状態で処理する
から、変形や亀裂が抑制され、歩留まりの向上化を図る
ことができる。
【0025】また、屋根葺き時における粘土瓦の裏面の
暴露部に設けられた凸部を介して各瓦素地を積み重ね、
間隙を有する瓦素地群とした上、焼成用台車に搭載して
焼成するので、瓦としての機能を損なうことのない瓦が
得られるとともに効率的な瓦素地の焼成を行うことがで
きる。
【0026】請求項2または3記載の発明の粘土瓦の製
造方法は、上記の構成であるから、請求項1記載の作用
効果を奏することのほか、従来の製造方法では、とりわ
け焼成中に変形や亀裂が少なくなかったこの種の粘土瓦
について、この発明の工程を採用することにより、変形
や亀裂の抑制を一層図ることができる。
【0027】請求項4記載の発明の粘土瓦の製造方法
は、上記の構成であるから、請求項1、2または3記載
の作用効果を奏することのほか、凸部の高さを引っ掛け
部の高さ以上とすることにより、引っ掛け部によって干
渉されることなく、積み重ねて焼成を実施できる。
【0028】請求項5記載の発明の粘土瓦の製造方法
は、上記の構成であるから、請求項1、2、3または4
記載の作用効果を奏することのほか、瓦素地群の姿勢を
棚板に安定させて焼成することができ、とりわけ、断面
形態が波状を有するJ形桟瓦について姿勢の安定性に寄
与する。
【0029】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図面参照
して以下に説明する。図1は、この発明に採用されたF
形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地の裏面図、図2はF形粘土瓦
の桟瓦を屋根に葺いたときの裏面の状態を示す斜視図、
図3はこの発明の工程を示す工程図、図4は焼成炉内の
焼成用台車の棚板上に複数枚のF形粘土瓦の桟瓦用の瓦
素地を載置させて焼成を行っている状態を示す要部の正
面図、図5は焼成炉内の焼成用台車の棚板上に複数枚の
F形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地を載置させて焼成を行って
いる状態を示す要部の側面図、図6はこの発明に採用さ
れたJ形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地の裏面図、図7はJ形
粘土瓦の桟瓦を屋根に葺いたときの裏面の状態を示す斜
視図、図8は複数枚のJ形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地を焼
成用台車の棚板上に積み重ねて焼成する状態を示す拡大
正面図である。
【0030】この発明の実施の形態に係る粘土瓦の製造
方法は、水分を含んだ粘土原料を加圧成形し、未乾燥の
瓦素地を得る成形工程、未乾燥の瓦素地を水平状態で乾
燥させる乾燥工程、乾燥された瓦素地を焼成用台車に積
み重ねて焼成させる焼成工程から基本的に構成されてい
る。
【0031】そして、この実施の形態においてまずF形
粘土瓦の桟瓦(日本工業規格A5208・図1を参照)
の製造方法をまず説明する。
【0032】成形工程においては、上型12aと下型1
2bからなる成形型12により、F形粘土瓦の桟瓦用の
瓦素地Wfの成形時に瓦素地Wfの裏面の複数箇所に凸
部14を成形できるようにしている。
【0033】瓦素地Wfの裏面の複数箇所に凸部14を
形成するため下型12bに凸部14の数や形状に対応し
た凹部12cが設けられていることはいうまでもない。
【0034】凸部14は瓦素地Wfの裏面に形成される
が、その位置は、粘土瓦を屋根に葺いた際に粘土瓦とし
ての機能を損なわないよう屋根葺き時における粘土瓦の
裏面の暴露部13である。
【0035】ここで、屋根葺き時における粘土瓦の裏面
の暴露部13とは、粘土瓦を互いに重ねて屋根に葺いた
ときに開放された裏面の部分を意味しており、図2にお
いてハッチングにより表された部分のことである。
【0036】F形粘土瓦の桟瓦Wfは頭に垂れ20を備
え、尻に引っ掛け部22を備えている。また桟瓦Wfを
屋根に葺いたときに桟瓦Wfの幅方向について互いに重
なる部分があるが(F形粘土瓦の桟瓦と桟瓦用の瓦素地
の符号は便宜上共通の符号により表してある。以下J形
粘土瓦の桟瓦と桟瓦用の瓦素地の符号についても同様に
便宜上共通の符号により表してある)、アンダ−ラップ
部21とオ−バ−ラップ部23によるものである(図1
および図2を参照)。
【0037】図1に示されるF形粘土瓦の桟瓦用の瓦素
地Wfの場合では、一定の間隔毎にかつ点状に9個の凸
部14が形成されているが、もとより凸部14の個数は
制限されない。
【0038】瓦素地Wfの裏面に形成された凸部14は
点状である場合のほか、連続的または不連続の突条の場
合、あるいは点状と突条の組み合わせの場合を含む。
【0039】図面上、省略してあるが、点状の凸部14
に代えて瓦素地Wfの頭寄りと尻寄りに2本の突条が一
定の間隔を隔てて形成することにより凸部14としても
よい。
【0040】これらの凸部14は前記したとおり、屋根
葺き時における粘土瓦の裏面の暴露部13に設けられる
ことを必須とするが、要すれば、凸部14を備えた瓦素
地Wfの裏面を別の瓦素地Wfの表面に水平状態で載置
させたときに、その両者間に焼成時の燃焼ガスが流通す
るよう間隙15の高さを一定に設けることと、互いに水
平状態に積み重ねられた多数の瓦素地Wfからなる瓦素
地群Mfを焼成用台車26に載置したときに瓦素地Wf
の安定性を目的としているものであるから、この目的を
達成できるならば、その形状、位置、数は制約されな
い。
【0041】もっとも、瓦素地Wfの頭や尻に裏面に向
けていわゆる垂れ20や引っ掛け部22と称されるもの
を設けられることが一般的であるが、これらの垂れ20
や引っ掛け部22が存在する場合では、瓦素地Wfを載
置した際に垂れ20や引っ掛け部22が障害とならない
ようにするため、垂れ20や引っ掛け部22の高さに比
較して多少高い凸部14を設けることが好ましい。
【0042】他方、引っ掛け部22に凸部14の機能を
持たせるようにするため引っ掛け部22の高さを凸部1
4の高さに等しくなるように調整し、引っ掛け部22と
凸部14との組み合わせることも発明者は予定してい
る。
【0043】前記した構成による成形型12により水分
を含んだ粘土原料を加圧成形して水平状態の瓦素地Wf
を得る。そして、成形された未乾燥の瓦素地Wfを水平
状態に保って乾燥工程へ送り込み、乾燥工程において乾
燥させる。
【0044】この場合、この発明の水分を含んだ柔軟性
の高い瓦素地Wfの変形や亀裂を抑制して乾燥させるた
めに、瓦素地Wfを乾燥用受具24に水平状態で1枚毎
に載置して乾燥を行う。
【0045】この実施の形態において、乾燥用受具24
の表面には瓦素地Wfの裏面に形成された凸部14に干
渉しないように、凸部14が乾燥用受具24に埋没する
通孔25が設けられている。
【0046】このようにして乾燥された瓦素地Wfは水
平状態を保って乾燥されているため、乾燥による変形や
亀裂が抑制されている。
【0047】次に、乾燥された複数枚の瓦素地Wfは水
平状態を保ちつつ互いに同一方向に積み重ねられて瓦素
地群Mfを形成する。ここに瓦素地群Mfとは、少なく
とも二枚の瓦素地Wfを意味している。
【0048】この実施の形態では、瓦素地Wfを10枚
積み重ねることにより瓦素地群Mfの高さを一定の高さ
に設定することが意図されているが、焼成炉28内の天
井の高さを考慮した例である。
【0049】一般的には瓦素地群Mfの高さは焼成用台
車26上で瓦素地群Mfが転倒しない程度とすればよ
い。
【0050】既存設備の焼成炉28や焼成用台車26の
高さは、一般的に瓦素地を立設させて焼成することを普
通としているから、瓦素地群Mfの高さを瓦素地Wfの
長さ程度にすることにより、既存の焼成炉28や焼成用
台車26を変更や改造することなく利用できる。
【0051】したがって、この発明の方法に変更しても
既存の焼成炉28や焼成用台車26を変更し、また大幅
な改造を必要としないため焼成炉28や焼成用台車26
の有効活用を図ることができる。
【0052】この実施の形態における焼成炉28は、多
数の焼成用台車26が連続的に走行できるトンネル式の
ものであるが、バッチ式の焼成炉でもよく焼成炉の種類
に制限を受けない。
【0053】焼成用台車26は従来から知られているも
のであり、焼成用台車26上には瓦素地Wfの幅にほぼ
対応する棚板30が焼成用台車26の搬送方向に連続し
て配設されて列を形成し、棚板30の列が焼成用台車2
6の幅方向に亘って多数列設されている。
【0054】とくに、焼成炉28の燃焼ガスが瓦素地群
Mfの周囲に均等に及ぶように、棚板30の列の間は、
一定の間隔を保たれている。
【0055】そして、瓦素地群Mfは焼成用台車26の
棚板30上に載置され、瓦素地群Mfを満載した焼成用
台車26が焼成炉28へ送り込まれる。
【0056】焼成炉28へ送り込まれた瓦素地群Mf
は、先に説明したように瓦素地Wfの間には、焼成時の
燃焼ガスが流通するように間隙15が形成されるから、
焼成炉28内の燃焼ガスが瓦素地Wfの間にも行き届
く。
【0057】したがって、成形、乾燥、焼成までの一連
の工程中、瓦素地Wfは常に水平状態の姿勢に保たれる
ので、各工程において変形や亀裂を最小限に抑制でき、
とくに焼成工程では、瓦素地Wfの凸部14を介して各
瓦素地Wfとの間に間隙15を備えた瓦素地群Mfとな
し、焼成用台車26の棚板30上で瓦素地群Mfを焼成
することから、粘土瓦の機能を損なうことなく効率的な
瓦素地Wfの焼成を実現できる。
【0058】とりわけ、近時普及化が促進されている板
状の形態のF形粘土瓦の桟瓦Wfについては、変形や亀
裂のおそれが少なくなかったが、この種の形態のF形粘
土瓦の桟瓦Wfの製造に対してとくに有利である。
【0059】次にF形粘土瓦の桟瓦の瓦素地Wfに代え
てJ形粘土瓦の桟瓦(日本工業規格A5208・図5を
参照)の瓦素地Wjの製造方法について発明の実施の形
態を説明する。
【0060】J形粘土瓦の桟瓦の製造工程は、先に説明
したF形粘土瓦の桟瓦の製造工程と基本的に同一である
ため、大部分の説明を援用し、相違点について原則的に
説明する。
【0061】J形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地Wjは、成形
型を用いた加圧成形により得られるが、J形粘土瓦の桟
瓦用の瓦素地Wjの成形時に瓦素地Wjの裏面の複数箇
所に凸部44が形成され、凸部44は瓦素地Wjの裏面
に形成されるが、その位置は屋根に葺いた際に粘土瓦と
しての機能を損なわないように、屋根葺き時における粘
土瓦の裏面の暴露部53である(図7を参照)。図7に
おいてハッチングにより表れた部分が裏面の暴露部53
である。
【0062】図6および図7に示されるように、一定の
間隔毎にかつ点状に6個の凸部44が配設されている。
【0063】次に瓦素地Wjを水平状態に保つつ乾燥工
程に送り込み、瓦素地Wfと同様に乾燥用受具を用いて
水平状態で乾燥する。
【0064】次に、乾燥された複数枚の瓦素地Wjは水
平状態を保ちつつ互いに同一方向に積み重ねられて瓦素
地群Mjを形成する。
【0065】この実施の形態は、瓦素地群Mjの高さを
瓦素地Wjを5枚積み重ねた高さとしている。
【0066】次に、瓦素地群Mjを焼成用台車26の棚
板30に積み込むが、棚板30の載置面が平面であるこ
とが一般的であることと、J形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地
Wjが有する形状により、瓦素地群Mjを棚板30に直
ちに載置することが困難である。
【0067】すなわち、J形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地W
jの形状は桟から差し込みにかけて断面が波状を呈して
おり、瓦素地Wjの裏面に設けられた凸部44も瓦素地
Wjの裏面の形態に則して設けられており、瓦素地群M
jを平面を形成する棚板30に直接載置すると、瓦素地
群Mjが傾斜するなど安定性に欠けるなどのおそれがあ
る。
【0068】そこで、焼成用台車26の棚板30に瓦素
地群Mj中の最下層に位置する瓦素地Mjの姿勢を制御
する制御機構を設け、瓦素地群Mjを制御機構を介して
支持させることにより焼成することが好ましい。
【0069】瓦素地Mjの姿勢を制御する制御機構とし
て次の例が予定される。この実施の形態においては瓦素
地群Mj用の支持部材32を棚板30上に載置し、瓦素
地群Mj用の支持部材32を介して瓦素地群Mjを棚板
30に載置する工夫が図られている。
【0070】この実施の形態における瓦素地群Mj用の
支持部材32は下面が平面を呈しており、また瓦素地W
jの裏面に設けられた凸部44に対応し、瓦素地Wjの
裏面に設けられた凸部44を介して瓦素地群Wjを水平
状態に支持することができるように瓦素地群Mj用の支
持部材32の上面に支持部34が設けられている。
【0071】この実施の形態の瓦素地群Mj用の支持部
材32では、瓦素地Wjに引っ掛け部42が設けられて
いることから、引っ掛け部42が干渉しないよう凹陥部
36が設けられ、さらに瓦素地群Mjの位置ずれ防止の
リブ38が設けられている。
【0072】瓦素地群Mj用の支持部材32を介して瓦
素地群Mjを棚板30上に載置させることにより、棚板
30上の瓦素地群Mjの安定性を確保することができ
る。
【0073】このように、成形、乾燥、焼成までの一連
の工程中、瓦素地Wjは常に水平状態の姿勢に保たれる
ので、各工程において変形や亀裂を最小限に抑制でき、
とくに焼成においては、瓦素地Wjの凸部44を介して
各瓦素地Wjとの間に間隙45を形成する瓦素地群Mj
となし、焼成用台車26の棚板30上に瓦素地群Mj用
の支持部材32を介在させ、瓦素地群Mjを瓦素地群M
j用の支持部材32に載置して焼成をすることから、瓦
素地Wjを水平状態を安定させることができ、粘土瓦の
機能を損なうことなく効率的な瓦素地Wjの焼成を実現
できる。
【0074】なお、この実施の形態においては、瓦素地
群Mj用の支持部材32を用いたが、棚板30の上面を
瓦素地Wjの裏面に設けられた凸部44に対応させて形
成し、瓦素地群Mj用の支持部材32と同等の機能を備
えさせ、瓦素地群Mj用の支持部材32を使用しない場
合を発明者は予定している。
【0075】姿勢を制御する制御機構の適用例としてJ
形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地Wjを挙げたが、J形粘土瓦
の桟瓦用の瓦素地Wj以外の粘土瓦の瓦素地についても
適用できることはいうまでもない。
【0076】また、瓦素地Wjの引っ掛け部42の高さ
を調整して設け、凸部44の機能を有する引っ掛け部4
2と凸部44とを組み合わせることも発明者は予定して
いる。
【0077】さらに、瓦素地群Mjの高さを瓦素地Wj
の長さ程度にすることも発明者は予定しており、このこ
とから瓦素地を焼成用台車26に立設して焼成する焼成
方法からこの発明の方法に変更しても、既存の焼成炉2
8や焼成用台車26を変更または大幅な改造を必要とし
ないため、焼成炉28や焼成用台車26の有効活用を図
ることができる点も瓦素地Wfの場合と相違しない。
【0078】また、別の実施の形態として予め瓦素地群
Mf、Mjを形成してから、焼成用台車26に瓦素地群
Mf、Mjを一括して載置させることなく、瓦素地W
f、Mjを一枚毎に焼成用台車26に積み重ねることに
より、爾後、瓦素地群Mf、Mjを形成することも発明
者は予定している。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に採用されたF形粘土瓦の桟瓦用の瓦
素地Wfの裏面図である。
【図2】F形粘土瓦の桟瓦を屋根に葺いたときの裏面の
状態を示す斜視図である。
【図3】この発明の工程を示す工程図である。
【図4】焼成炉内の焼成用台車の棚板上に複数枚のF形
粘土瓦の桟瓦用の瓦素地を載置させて焼成を行っている
状態を示す要部の正面図である。
【図5】焼成炉内の焼成用台車上に複数枚のJ形粘土瓦
の桟瓦用の瓦素地を載置させて焼成を行っている状態を
示す要部の側面図である。
【図6】この発明に採用されたJ形粘土瓦の桟瓦用の瓦
素地の裏面図である。
【図7】J形粘土瓦の桟瓦を屋根に葺いたときの裏面の
状態を示す斜視図である。
【図8】複数枚のJ形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地を焼成用
台車に積み重ねて焼成する状態を示す拡大正面図であ
る。
【符号の説明】
14 凸部 15 間隙 13 暴露部 22 引っ掛け部 26 焼成用台車 30 棚板 32 瓦素地群用の支持部材 44 凸部 53 暴露部 Wf F形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地 Wj J形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地 Mf F形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地の瓦素地群 Mj J形粘土瓦の桟瓦用の瓦素地の瓦素地群

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘土瓦の瓦素地を加圧成形した後、加圧
    成形された瓦素地を乾燥させ、乾燥された瓦素地を焼成
    用台車の棚板に載置させて焼成する粘土瓦の製造方法に
    おいて、 屋根葺き時における粘土瓦の裏面の暴露部に複数の凸部
    が設けられてなる瓦素地を水平状態で複数枚成形する工
    程と、これらの瓦素地を水平状態で乾燥させる工程と、 乾燥後の複数枚の瓦素地を互いに同一方向であってかつ
    水平状態に積み重ねた瓦素地群となし、瓦素地の凸部を
    介して各瓦素地との間に間隙を形成した上、瓦素地群を
    焼成する工程とからなり、前記の各工程を一連に行う
    とを特徴とする粘土瓦の製造方法。
  2. 【請求項2】 瓦素地がF形粘土瓦の桟瓦用であること
    を特徴とする請求項1記載の粘土瓦の製造方法。
  3. 【請求項3】 瓦素地がJ形粘土瓦の桟瓦用であること
    を特徴とする請求項1記載の粘土瓦の製造方法。
  4. 【請求項4】 瓦素地に引っ掛け部が設けられるととも
    に瓦素地の裏面に設けられた凸部の高さを引っ掛け部の
    高さ以上とすることを特徴とする請求項1、2または3
    記載の粘土瓦の製造方法。
  5. 【請求項5】 焼成用台車の棚板に瓦素地群中の最下層
    に位置する瓦素地の姿勢を制御する制御機構を設け、瓦
    素地群を制御機構を介して載置させることにより焼成し
    てなることを特徴とする請求項1、2、3または4記載
    の粘土瓦の製造方法。
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