JP3238231B2 - ブラシレスモータの異常検出装置 - Google Patents

ブラシレスモータの異常検出装置

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JP3238231B2
JP3238231B2 JP06921693A JP6921693A JP3238231B2 JP 3238231 B2 JP3238231 B2 JP 3238231B2 JP 06921693 A JP06921693 A JP 06921693A JP 6921693 A JP6921693 A JP 6921693A JP 3238231 B2 JP3238231 B2 JP 3238231B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はブラシレスモータの異常
を検出する装置に関し、特にブラシレスモータの短絡ま
たは断線を検出し得る異常検出装置に係る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ブラシを有しない所謂ブラシ
レスモータとして種々のモータが知られており、例えば
特開平2−17889号公報には、ロータの位置を検出
するホール素子の出力値に応じてコイルの励磁相を切換
えるホールモータが開示されている。同公報において
は、ホール素子からの信号パターンが所定のパターンと
異なった場合や、コイルに励磁電流が流れなかった場合
に、回転を停止し、あるいは報知することとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、上記公報に
記載の装置においては、ホール素子の不具合等を検出し
得るものの、例えばモータの巻線の短絡を検出すること
はできない。また、モータが連続回転している状態で励
磁電流が所定値以下となったときにモータ不良と判定す
るものであるので、モータが回転状態になければ巻線の
断線等を検出することができない。換言すれば、モータ
が停止した状態からでは巻線の断線等を検出できず、従
って当初から巻線が断線している場合は検出不能であ
る。
【0004】そこで、本発明は、ブラシレスモータを実
質的に回転駆動することなく、短絡あるいは断線を確実
に検出し得る異常検出装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は少くとも三相の励磁コイルと、該励磁コイ
ルの励磁状態に応じて回転するモータ軸と、該モータ軸
の回転を検出する回転センサと、前記励磁コイルの各々
の相のハイサイド側及びローサイド側に設けたスイッチ
ング素子と、前記回転センサの出力変化に応じて相切換
信号パターンを切換えて前記スイッチング素子に対し相
切換信号を出力する相切換制御手段とを備え、前記相切
換信号に応じて前記スイッチング素子を駆動し前記励磁
コイルに電流を供給するブラシレスモータの異常検出装
置において、前記ブラシレスモータが停止した状態から
順次何れか一つのスイッチング素子を導通させる導通手
段と、該導通手段の導通毎に前記励磁コイルの電流を検
出する電流検出手段と、該電流検出手段が第1の所定値
以上の電流を検出したとき異常と判定する第1の異常判
定手段とを備えたものである。
【0006】また、本発明は、少くとも三相の励磁コイ
ルと、該励磁コイルの励磁状態に応じて回転するモータ
軸と、該モータ軸の回転を検出する回転センサと、前記
励磁コイルの各々の相のハイサイド側及びローサイド側
に設けたスイッチング素子と、前記回転センサの出力変
化に応じて相切換信号パターンを切換えて前記スイッチ
ング素子に対し相切換信号を出力する相切換制御手段と
を備え、前記相切換信号に応じて前記スイッチング素子
を駆動し前記励磁コイルに電流を供給するブラシレスモ
ータの異常検出装置において、前記ブラシレスモータが
停止した状態から、前記励磁コイルの何れか一つの相の
ハイサイド側に設けたスイッチング素子、及び前記励磁
コイルの他の何れか一つの相のローサイド側に設けたス
イッチング素子を導通して通電する通電手段と、該通電
手段の通電毎に前記ハイサイド側及びローサイド側のス
イッチング素子を介して流れる電流を検出する通電電流
検出手段と、該通電電流検出手段の検出電流が第2の所
定値以下のとき異常と判定する第2の異常判定手段とを
備えたものとしてもよい。
【0007】更に、本発明は、少くとも三相の励磁コイ
ルと、該励磁コイルの励磁状態に応じて回転するモータ
軸と、該モータ軸の回転を検出する回転センサと、前記
励磁コイルの各々の相のハイサイド側及びローサイド側
に設けたスイッチング素子と、前記回転センサの出力変
化に応じて相切換信号パターンを切換えて前記スイッチ
ング素子に対し相切換信号を出力する相切換制御手段と
を備え、前記相切換信号に応じて前記スイッチング素子
を駆動し前記励磁コイルに電流を供給するブラシレスモ
ータの異常検出装置において、前記ブラシレスモータが
停止した状態から、前記励磁コイルの何れか一つの相の
ハイサイド側に設けたスイッチング素子、及び前記励磁
コイルの他の何れか一つの相のローサイド側に設けたス
イッチング素子を導通し、前記ハイサイド側及びローサ
イド側のスイッチング素子に対する最大電流の所定割合
の電流を通電する通電手段と、該通電手段の通電毎に前
記ハイサイド側及びローサイド側のスイッチング素子を
介して流れる電流を検出する通電電流検出手段と、該通
電電流検出手段が第3の所定値以上の電流を検出したと
き又は第4の所定値以下の電流を検出したときに異常と
判定する第3の異常判定手段とを備えたものとすること
もできる。
【0008】
【作用】上記の構成になるブラシレスモータにおいて
は、モータ軸の回転を検出する回転センサの出力変化に
応じて、相切換制御手段により相切換信号パターンが切
換えられる。この相切換信号パターンに従って、相切換
制御手段からスイッチング素子に対し相切換信号が出力
され、この相切換信号に応じてスイッチング素子が駆動
され、励磁コイルに対し電流が供給される。そして、請
求項1に記載の異常検出装置においては、導通手段によ
って、ブラシレスモータが停止した状態から何れか一つ
のスイッチング素子が順次導通され、電流検出手段によ
り、導通手段の導通毎に励磁コイルの電流が測定され
る。而して、電流検出手段によって第1の所定値以上の
電流が検出されたときには、第1の異常判定手段にて異
常と判定され、例えば巻線の短絡に起因する異常が検出
される。
【0009】また、請求項2に記載の異常検出装置にお
いては、通電手段によって、ブラシレスモータが停止し
た状態から、ハイサイド側及びローサイド側に設けられ
たスイッチング素子が導通されて通電され、通電電流検
出手段により通電毎にスイッチング素子を介して流れる
電流が検出される。而して、通電電流検出手段の検出電
流が第2の所定値以下のときには、第2の異常判定手段
にて異常と判定され、例えば巻線の断線に起因する異常
が検出される。更に、請求項3に記載の異常検出装置に
おいては、通電手段によって、ブラシレスモータが停止
した状態から、ハイサイド側及びローサイド側のスイッ
チング素子に対する最大電流の所定割合の電流が通電さ
れる。この通電手段による通電毎に、通電電流検出手段
によりスイッチング素子を介して流れる電流が検出さ
れ、通電電流検出手段の検出電流が第3の所定値以上の
ときには第3の異常判定手段にて異常と判定され、例え
ば巻線の短絡に起因する異常が検出される。同時に、通
電電流検出手段の検出電流が第4の所定値以下のときに
も第3の異常判定手段にて異常と判定され、巻線の断線
等に起因する異常が検出される。
【0010】
【実施例】以下、本発明のブラシレスモータの異常検出
装置を車両の後輪操舵装置に搭載した実施例について図
面を参照しながら説明する。図1は後輪操舵装置を搭載
した車両の構成を示すもので、前輪13,14は前輪操
舵機構10によりステアリングホイール19の回動操作
に応じて操舵される。前輪操舵機構10には、そのラッ
クの移動量を検出する第1前輪舵角センサ17が設けら
れると共に、ステアリングホイール19が取り付けられ
た操舵軸に、第2前輪舵角センサ20が設けられてお
り、これらのセンサにより前輪の操舵量が検出される。
第1前輪舵角センサ17としては、例えばポテンショメ
ータ等のリニアセンサが用いられ、第2前輪舵角センサ
20としては、回転時にパルスを発するロータリエンコ
ーダ等のステアリングセンサが用いられている。
【0011】後輪15,16には後輪操舵機構11が接
続されており、モータ12の回転に応じて操舵される。
モータ12の端部には、モータ12の回転角度を検出す
る磁極センサ18が設けられている。また、後輪操舵軸
たるラック軸25に後輪舵角センサ21が設けられてお
り、これにより後輪15,16の実際の舵角が検出され
る。この後輪舵角センサ21は後輪操舵機構11に内蔵
することとしてもよい。更に、車両の速度を検出する2
系統の第1車速センサ22、第2車速センサ23、及び
車両のヨーレートを測定するヨーレートセンサ24が設
けられている。上記モータ12は電子制御装置9からの
信号によって制御されるように構成されている。即ち、
電子制御装置9には、第1前輪舵角センサ17、第2前
輪舵角センサ20、磁極センサ18、後輪舵角センサ2
1、第1車速センサ22、第2車速センサ23、ヨーレ
ートセンサ24の各センサ出力が供給され、これらの出
力に応じてモータ12の回転量が設定され、モータ12
に制御信号が供給される。
【0012】本実施例の後輪舵角センサ21は図2に示
すように後輪操舵機構11内に内蔵されている。後輪操
舵機構11のハウジング38にはカバー36が固定され
ており、このカバー36上に、磁極センサ18、モータ
12のモータハウジング40及び後輪舵角センサ21が
一体に設けられている。図2の後輪操舵機構11の背面
からみた部分断面図である図3に明らかなように、ラッ
ク軸25が車両の進行方向に対して直角に設けられてお
り、ラック軸25の両端部はボールジョイント53を介
して後輪のナックルアームに接続されている。ラック軸
25の両端部はブーツ28によって保護されている。ハ
ウジング38の図示右端にはチューブ39が嵌着されて
いる。異なる長さのラック軸25を設ける場合には、チ
ューブ39を交換することにより、ハウジング38を変
更することなく対応することができる。ラック軸25に
はラック26が形成されており、このラック26は、車
両の前後方向に延びるピニオン27と噛合する。そし
て、ラックガイド31がラック26方向に付勢された状
態で、ラックガイドカバー32がハウジング38に固定
され、これによりラック26がピニオン27側に押圧さ
れている。尚、ピニオン27は図4に示すようにギヤ2
9に焼きばめ(圧入)により固定され、ピン37により
相対回転が阻止される。
【0013】図4に示すように、後輪舵角センサ21は
ポテンショメータを内蔵し、ギヤ29の面と平行に設け
られている。軸54には、レバー33を介してピン34
が設けられ、このピン34は、ギヤ29に形成された孔
35に嵌合されている。これにより、ギヤ29が回転す
ると軸54も回転し、この軸54の回転角度が後輪舵角
センサ21によって検出される。一方、軸54の回転角
度即ちギヤ29の回転量はラック軸25の横移動量に比
例する。而して、後輪舵角センサ21により後輪の舵角
量が検出されることとなる。
【0014】図3に示すように、モータ12のモータ軸
41の先端にピニオン30が設けられており、このピニ
オン30にギヤ29が噛合し、ハイポイドギヤを構成し
ている。このハイポイドギヤは、モータ12のモータ軸
41の回転をギヤ29の回転として伝えるが、ラック軸
25(図4)側からギヤ29に回転力が加えられたとき
には、モータ12のモータ軸41が回転しないように逆
効率零になるように設定されている。また、ピニオン3
0とギヤ29は、減速比を大きくとるようにHRH(ハ
イレシオハイポイド)ギヤを構成している。ギヤ比は、
モータ12の極数や、操舵角の分解能等により定められ
るため車両によって異なるが、本実施例では67対1に
設定されている。
【0015】図5に示すように、モータ12のモータ軸
41はモータハウジング40内に回動可能に支持されて
いる。モータ軸41の回りには4極の磁石42が固定さ
れている。また、モータハウジング40には、磁石42
に対向してコア43が固定されており、コア43にはモ
ータ巻線44が巻回されている。図5のA−A断面を示
す図6に明らかなように、コア43には中心方向に延出
する12本の突起43aが形成されており、モータ巻線
44はこの突起43aに巻回される。モータ巻線44の
結線は、磁極センサ18側からモータ巻線44を見た図
7に示すように、巻線44aと44d,44bと44
e,44cと44fの一端はそれぞれ端子U,V,Wに
接続されている。巻線44a,44b,44c,巻線4
4d,44e,44fの他端は電気的に接続されてい
る。モータ巻線44はそれぞれの系統ごとにターミナル
45を介してワイヤーハーネス46に接続されている。
【0016】モータハウジング40の一端は開口端とな
っており、ここに磁極センサ18が取付けられる。磁極
センサ18の基板49は、ホルダ47(図9に示す)に
よって、モータハウジング40の開口端に固定され、こ
の開口端にカバー48が設けられる。一方、モータ12
のモータ軸41の端部にはロータ52が固定されてお
り、このロータ52には磁石51が設けられている。磁
石51は、図8に示すように、4極の円板状に形成され
ている。基板49には、図9に示すように、3個のホー
ルIC50が、それぞれ60度ずつずれて配置されてい
る。これら3個のホールIC50の出力は、後述の電子
制御装置9において、磁極センサ信号HA,HB,HC
として使用される。
【0017】即ち、モータ軸41が回転すると、図10
に「磁石51回転状態」として示すように、ホールIC
(図示HA,HB,HC)に対して相対的に磁石51が
回転し、磁極センサ18の三つの出力である磁極センサ
信号HA,HB,HCが図示のようにハイレベル(H)
とローレベル(L)間で変化する。図10はモータ12
が時計回り(CW)に回転している状態を示す。モータ
12が反時計回り(CCW)に回転するときには図示右
から左へ向かう方向に磁極センサ18の磁極センサ信号
HA,HB,HCが切り換わる。而して、この磁極セン
サ信号HA,HB,HCの切り換わりに同期してモータ
巻線44の巻線電流を切換えればモータ12が回転す
る。尚、図10に示したモータ12の回転時の巻線電流
の方向については後述する。
【0018】図11は電子制御装置9の構成を示すもの
で、電子制御装置9には車載のバッテリ59が接続され
ている。即ち、バッテリ59が、ヒューズ及び電源端子
PIGAを介してモータドライバ5に接続されると共
に、ヒューズ、イグニッションスイッチIGSW及び電
源端子IGAを介してモータドライバ5及び定電圧レギ
ュレータ55に接続されている。この定電圧レギュレー
タ55から定電圧Vcc1が出力される。
【0019】電子制御装置9は、制御手段であるマイク
ロプロセッサ1を有し、このマイクロプロセッサ1は定
電圧Vcc1により作動する。前述の第1前輪舵角セン
サ17、第2前輪舵角センサ20、第1車速センサ2
2、第2車速センサ23、ヨーレートセンサ24、磁極
センサ18及び後輪舵角センサ21の出力が、インター
フェース57を介してマイクロプロセッサ1に入力され
る。ここでは、第1前輪舵角センサ17の出力をθf
1、第2前輪舵角センサ20の出力をθf2、第1車速
センサ22の出力をV1、第2車速センサ23の出力を
V2、ヨーレートセンサ24の出力をγ、磁極センサ1
8の三つの出力信号をHA,HB,HC、そして後輪舵
角センサ21の出力をθrとしている。尚、電子制御装
置9に接続されるモータは、前述の機構では12で表し
たが、図11以後の回路図においてはモータをMで表わ
す。モータMの各相の端子U,V,Wは電子制御装置9
のモータドライバ5に接続されている。モータドライバ
5に対しては電源端子PIGA及びIGAから電力が供
給される。そして、モータドライバ5には、マイクロプ
ロセッサ1から出力された信号である相切換信号群L1
(L1は相切換信号LA11,LB11,LC11,L
A21,LB21,LC21からなる信号群)及びパル
ス幅変調(Pulse Width Modulation)信号PWM1が入
力される。
【0020】モータドライバ5は図12に示すように構
成されており、上述の相切換信号群L1及びパルス幅変
調信号PWM1により制御される。ハイサイド側を制御
するための相切換信号LA11,LB11,LC11は
異常電流制限回路88を介してゲート駆動回路G11に
入力される。通常は、これらの入力信号が異常電流制限
回路88を介してそのまま出力側から出力される。ゲー
ト駆動回路G11はパワーMOSFETのトランジスタ
TA11,TB11,TC11をオン−オフ駆動する回
路である。また、ゲート駆動回路G11は昇圧も行な
い、トランジスタTA11,TB11,TC11のゲー
トに昇圧した電圧を与えると共に、昇圧電圧を昇圧電圧
値RV1として出力する。トランジスタTA11,TB
11,TC11は、電源端子PIGAからパターンヒュ
ーズPH、チョークコイルTC及び抵抗Rsを介して得
られる高電圧が、それぞれモータMの三相の各端子U,
V,Wに供給されるように接続されている。尚、トラン
ジスタTA11,TB11,TC11,TA21,TB
21,TC21のゲートとソース間には、ツェナーダイ
オードが挿入されており、パワーMOSFETの保護に
供されている。即ち、電源電圧が何らかの原因で20V
を越えると、パワーMOSFETのゲート−ソース間電
圧が20Vを越え、パワーMOSFETが破壊されるの
で、これを防ぐためにツェナーダイオードが配設されて
いる。
【0021】一方、ローサイド側を制御するための相切
換信号LA21,LB21,LC21は、パルス幅変調
信号合成回路89及び異常電流制限回路88を介してゲ
ート駆動回路G21に接続されている。パルス幅変調信
号合成回路89は相切換信号LA21,LB21,LC
21をそれぞれパルス幅変調信号PWM1と合成する回
路である。ゲート駆動回路G21はMOSFETのトラ
ンジスタTA21,TB21,TC21をオン−オフ駆
動する回路であり、これらのトランジスタTA21,T
B21,TC21は、モータMの三相の各端子U,V,
Wとバッテリ59のグランド間が接続されるように配置
されている。トランジスタTA11,TB11,TC1
1,TA21,TB21,TC21の各々には保護用の
ダイオードD3乃至D8が接続されている。トランジス
タTA11,TB11,TC11に供給される電圧は、
同時に電圧PIGM1として出力される。
【0022】この電圧PIGM1と、ゲート駆動回路G
11の昇圧電圧値RV1との差が2V程度に下がると、
MOSFETのトランジスタTA11,TB11,TC
11,TA21,TB21,TC21のオン抵抗が増
え、異常発熱をおこす場合がある。従って、電圧PIG
M1と昇圧電圧値RV1との差が所定値以下となった場
合には全トランジスタTA11,TB11,TC11,
TA21,TB21,TC21をオフさせるようにする
とよい。尚、トランジスタTA21,TB21,TC2
1のソースには大電流が流れるので、マイクロプロセッ
サ等の弱電回路部のグランドは、これらのグランドとは
別系統の配線とすることが望ましい。
【0023】抵抗Rsの両端には電流検出回路86が接
続されており、抵抗Rsに流れる電流値が検出される。
電流検出回路86は、抵抗Rsに流れる電流値が18A
以上のとき過電流と判定し、出力信号MOC1として過
電流信号を出力すると共に、パルス幅変調信号合成回路
89に過電流信号を与え、ローサイド側で制限をかけ
る。また、電流検出回路86は抵抗Rsに流れる電流値
が25A以上のとき異常電流と判定し、出力信号MS1
として異常電流信号を出力する。異常電流が発生した場
合には、異常電流制限回路88に異常電流信号を与え、
ハイサイド及びローサイド側で制限をかける。この場
合、全てのトランジスタTA11,TB11,TC1
1,TA21,TB21,TC21を異常電流検出時か
ら一定時間オフさせてやればよい。この一定時間は、予
想される最大電流に対してFETの安全動作領域内とな
るように設定するとよい。電流検出回路86にて検出さ
れた電流値はピークホールド回路101に与えられ、ピ
ークホールド回路101から電流値のピーク値がピーク
信号MI1として出力される。このピークホールド回路
101はリセット信号DR1が切り替わるタイミングで
リセットされる。
【0024】次に、図10を参照してモータMの回転動
作について説明する。磁極センサ信号HA,HB,HC
の状態に応じて、相切換信号のパターンを表1のように
設定することによりモータMが回転する。時計方向の回
転(CW)は右切り、反時計方向の回転(CCW)は左
切りに設定してある。先ず、表1における右回転の順1
のように、磁極センサ信号が(HA,HB,HC)=
(H,L,H)の場合には、相切換信号は(LA11,
LB11,LC11,LA21,LB21,LC21)
=(H,L,L,L,H,L)として出力される。この
状態は図10の図示Aの範囲の状態に対応し、三つのホ
ールICに対する磁石51の相対的回転位置関係から明
らかなように、磁極センサ信号HA及びHCがハイレベ
ル(H)となっている。巻線電流の方向はU相からV相
となり、モータMの回転に伴い磁石51は図示時計方向
に回転する。磁石51が30度程回転すると、磁極セン
サ信号HAがハイレベルからローレベルに切り換わる。
これに応じ、相切換信号が(LA11,LB11,LC
11,LA21,LB21,LC21)=(L,L,
H,L,H,L)に切換えられ、モータMは更に30度
回転し、磁極センサ信号HBがハイレベルとなる。この
ようにして、図10の左方の状態から右方の状態に進
み、モータMが連続して回転することとなる。而して、
モータMに対し時計方向の回転(CW)又は反時計方向
の回転(CCW)を与えるには、表1の上段又は下段の
順に従って相切換信号のパターンを切換えればよい。
【表1】
【0025】マイクロプロセッサ1は、図13に示すよ
うに、目標舵角演算部60、モータサーボ制御部61、
相切換制御部62、磁極センサ異常判定部63、オープ
ン制御部64、短絡・断線異常判定部65及びスイッチ
SW1を有する。目標舵角演算部60はヨーレート値
γ、車速V及びステアリング角θsから目標舵角値AG
LAを求める。図13には示していないが、車速Vは第
1及び第2車速センサ22,23の出力値V1,V2に
基づいて演算される。このとき、二つの車速値の平均を
車速Vとしてもよいし、二つの車速値の内最大値を車速
Vとしてもよい。このように車速を2系統で検出するこ
とにより、車速センサの異常を検出することができる。
また、図13には示していないが、前輪舵角θsは第1
及び第2前輪舵角センサ17,20の出力値θf1,θ
f2に基づいて演算される。この場合において、通常は
第1前輪舵角センサ17としてポテンショメータが用い
られるが、ポテンショメータは精度が荒い。一方、第2
前輪舵角センサ20としてロータリエンコーダを用いる
と、舵角量を精度よく検出できるものの、初期舵角量を
検出することができない。そこで、第1前輪舵角センサ
17で第2前輪舵角センサ20の出力の絶対値を求める
こととし、絶対値を求めた後は第2前輪舵角センサ20
の出力をステアリング角θsとしている。
【0026】図14はモータサーボ制御部61の制御ブ
ロック図を示すもので、微分部90において目標舵角値
AGLAが微分されて微分値SAGLAが求められ、微
分ゲイン設定部91にて目標舵角値の微分値SAGLA
の絶対値に基づき微分ゲインYTDIFGAINが求め
られる。微分値SAGLAの絶対値が4(deg/se
c)以下の場合には微分ゲインは0に、微分値SAGL
Aの絶対値が12(deg/sec)以上の場合には微
分ゲインは4に設定され、微分値SAGLAの絶対値が
4乃至12(deg/sec)の場合には微分ゲインは
0乃至4の値になる。
【0027】一方、モータMの回転角度θmが磁極セン
サ18の出力に基づいて演算される。図14には示して
いないが、モータMの回転角度θmは磁極センサ18の
出力値HA,HB,HC及び後輪舵角センサ21の出力
値θrに基づいて求められる。通常は、後輪舵角センサ
21としてポテンショメータが用いられるが、ポテンシ
ョメータは精度が荒く、磁極センサ18は舵角量を精度
よく検出できるが、初期舵角量を検出することができな
い。そこで、後輪舵角センサ21で磁極センサ18の絶
対値を求め、絶対値を求めた後は磁極センサ18の出力
変化からモータMの回転角度θmを求めることとしてい
る。回転角度θmはバッファ100を介して実舵角値R
AGLとして減算部92に供給される。
【0028】減算部92においては目標舵角値AGLA
から実舵角値RAGLが減算され、舵角偏差ΔAGLが
求められる。この舵角偏差ΔAGLは偏差舵角不感帯付
与部93を介して処理される。偏差舵角不感帯付与部9
3は、舵角偏差ΔAGLの絶対値が所定値E2PMAX
以下の場合に舵角偏差値ETH2を0として処理するも
のであり、舵角偏差ΔAGLの値が小さいときには制御
を停止させるものである。得られた舵角偏差値ETH2
は比例部96及び微分部94に送られる。比例部96で
は舵角偏差値ETH2を所定の比例ゲインだけ積算し、
比例項PAGLAを得る。また、微分部94では舵角偏
差値ETH2を微分し、舵角偏差微分値SETH2を得
る。この舵角偏差微分値SETH2と前述の微分ゲイン
YTDIFGAINとが積算部95にて積算され、微分
項DAGLAが得られる。そして、比例項PAGLAと
微分項DAGLAが加算部97にて加算され、舵角値H
PIDが得られる。
【0029】舵角値HPIDは偏差舵角リミッタ98に
より舵角制限がかけられる。偏差舵角リミッタ98は、
舵角値HPIDに比例して制御量ANGを設定すると共
に、制御量ANGが1.5deg以上または−1.5d
eg以下にならないように設定するものである。制御量
ANGはパルス幅変調変換部99にてパルス幅変調信号
に変換され、モータドライバ5に供給される。モータド
ライバ5はパルス幅変調信号に応じてモータMを回転さ
せるもので、これによりモータMがサーボ制御される。
また、舵角偏差はPD制御される。この内、微分項の微
分ゲインは目標舵角値の微分値に応じて変更される。微
分ゲインは目標舵角値の微分値が小さいときには0とな
り、この場合の制御は比例項のみによって行なわれる。
尚、上記PD制御に積分項を追加することとしてもよ
い。また、モータMの回転角度θmは電源電圧の変動に
よっても変化するので、バッテリ電圧を測定し、バッテ
リ電圧に応じて制御量ANGを補正するようにしてもよ
い。
【0030】図15に示すように、マイクロプロセッサ
1の割込み端子と通常入力端子が磁極センサ信号HA,
HB,HCの入力用に供されている。磁極センサ信号H
A,HBはイクスクルーシブOR回路EXOR1に入力
し、磁極センサ信号HCとイクスクルーシブOR回路E
XOR1の出力信号はイクスクルーシブOR回路EXO
R2に入力するように接続されている。而して、磁極セ
ンサ信号HA,HB,HCの内の何れか一つに変化があ
ると、イクスクルーシブOR回路EXOR2の出力が変
化する。
【0031】上述のように磁極センサ信号HA,HB,
HCの内の何れか一つに変化があると、図13の磁極セ
ンサ異常判定部63において、図16に示す磁極センサ
信号エッジ割り込みルーチンが実行される。ここでは、
割り込みがある度に、磁極センサ信号の状態が判別さ
れ、今回値として記憶されると共に、これまで記憶され
ていた今回値が前回値として更新される。即ち、ステッ
プ201にて、これまで記憶されていた磁極センサ信号
が前回値として更新される。次に、ステップ202に
て、磁極センサ信号HA,HB,HCの入力端子の状態
が読み込まれ、今回値として記憶される。次に、ステッ
プ203にて、表2に示すマップから前回予測値が読み
だされる。後述するように、磁極センサ18は磁極セン
サ信号HA,HB,HCのうち何れか一つが順に変化す
るよう構成されている。従って、前回値と今回値に対し
て、HA,HB,HCのうちの何れか一つの極性が変化
したものになるはずである。
【表2】
【0032】表2のマップの前回予測値には今回値に対
してありうる状態の全てが記憶されている。具体的に
は、今回値が(HA,HB,HC)=(L,L,H)で
あったとき、前回予測値は(H,L,H)または(L,
H,H)となる。図16のステップ204ではこの前回
予測値と実際の前回値とが比較される。磁極センサ18
が正常に機能しておれば、前回予測値と前回値は一致す
るはずである。従って、前回予測値と前回値が一致して
おれば、ステップ205にて磁極センサ異常フラグFa
bnがクリア(0)され、前回予測値と前回値が一致し
ていなければ、ステップ207にて磁極センサ異常フラ
グFabnがセット(1)され、この磁極センサ信号エ
ッジ割り込みルーチンが終了し、以後の処理においては
磁極センサ18に異常有と判定される。
【0033】図13の相切換制御部62においては、図
17に示すように処理される。先ず、ステップ210に
おいて、後述の短絡異常フラグFsab及び断線異常フ
ラグFcabが0か否かが判定され、何れかがセットさ
れておれば(1であれば)、以下の処理は行なわれな
い。即ち、短絡・断線異常判定部65において短絡ある
いは断線が検出されたときには相切換制御信号LA11
乃至LC21は全てローレベル(L)にセットされる。
続いて、ステップ211にて、前述の磁極センサ信号の
エッジ割り込みがあったか否かが判定される。割り込み
があった場合には、ステップ212乃至214にて、時
計方向の回転をすべきであれば方向フラグDIに値CW
がセットされ、反時計方向の回転をすべきであれば方向
フラグDIに値CCWがセットされる。回転方向は前述
の舵角値HPIDが正か負かで判断可能であり、HPI
D>0であれば方向フラグDI=CCWとされ、HPI
D<0であれば方向フラグDI=CWとされる。
【0034】次に、ステップ215にて、下記の表3の
マップに基づき相切換信号パターンがセットされる。相
切換信号は6ビット信号であり、各ビットはハイレベル
「H」又はローレベル「L」を取り、下記の表4のよう
に定められている。ステップ215では、今まで出力し
ていた相切換信号パターンと方向フラグDIの状態に基
づき次回の相切換信号パターンが設定される。例えば、
現状値が(LA11,LB11,LC11,LA21,
LB21,LC21)=(H,L,L,L,H,L)で
あって、DI=CW(時計方向の回転)であれば、次回
値として(H,L,L,L,L,H)が設定される。設
定された相切換信号パターンはマイクロプロセッサ1に
おいては相切換信号群L1として演算される。制御サイ
クルが早い場合には、この相切換制御のルーチンを前述
の磁極センサ信号エッジ割り込みルーチン内で行なうと
よい。尚、方向フラグ設定時に舵角値HPIDがゼロと
なった場合には、相切換はストップモードとされ、(L
A11,LB11,LC11,LA21,LB21,L
C21)=(L,L,L,L,L,L)とされる。
【表3】
【表4】
【0035】図13のオープン制御部64においては、
図18に示すように処理される。先ず、ステップ220
において、前述の磁極センサ異常フラグFabnが1か
否かが判定され0となっていれば以下の処理は行なわれ
ない。即ち、磁極センサ18が正常であるときにはオー
プン制御ルーチンは実行されない。図13の磁極センサ
異常判定部63の判定結果に応じスイッチSW1が切換
えられ、正常時には相切換制御部62が機能し上述の相
切換制御ルーチンが実行され、異常時にはオープン制御
部64側に切換られオープン制御ルーチンが実行され
る。このオープン制御ルーチンにおいては、オープン制
御実行中フラグFop及びタイマTが使用される。タイ
マTに所定時間がセットされると、その後タイマTは次
第にデクリメントされ、所定時間後に0となる。オープ
ン制御実行中フラグFopは初期状態で0とされてい
る。
【0036】ステップ221では、オープン制御実行中
フラグFopの状態が判定され、オープン制御実行中フ
ラグFopが0であると、次にステップ222にて、タ
イマTが所定時間(例えば1秒)にセットされる。そし
て、タイマTが0以下になるまでの間、ステップ224
にて、相切換信号パターンにモータブレーキパターンが
セットされる。モータブレーキパターンは、(LA1
1,LB11,LC11,LA21,LB21,LC2
1)=(L,L,L,H,H,H)、(LA12,LB
12,LC12,LA22,LB22,LC22)=
(L,L,L,H,H,H)に設定される。所定時間を
経過すると、ステップ225にて、オープン制御実行中
フラグFopがセット(1)される。この状態でタイマ
Tは0以下であるので、ステップ227にて表5に示す
マップから次回の相切換信号パターンがセットされる。
次に、ステップ228にてタイマTが再びセットされ
る。ステップ226ではタイマTが0以下のときのみス
テップ227を実行させるので、ステップ227はタイ
マTに設定された所定時間毎に実行される。
【0037】ステップ227において、次回値は現状の
相切換信号パターン及び後輪舵角センサ21の出力する
後輪舵角値θrと所定値A1との比較結果に応じて設定
される。A1は零に近い値(例えば0.5度)に設定し
てある。例えば、現状の相切換信号パターンが(LA1
1,LB11,LC11,LA21,LB21,LC2
1)=(H,L,L,L,H,L)であり、後輪舵角値
θrが−1度であった場合には、次回の相切換信号パタ
ーンは(H,L,L,L,L,H)となる。表5のマッ
プは、後輪舵角値が負の場合は右回転するように、後輪
舵角値が正の場合は左回転するように、設定されてい
る。いずれの場合にも後輪舵角の絶対値が零に近づくよ
うに作用する。後輪舵角の絶対値が所定値A1以下とな
ると、相切換信号パターンは(L,L,L,L,L,
L)となり、モータ12は停止する。よって、オープン
制御ルーチンでは、後輪舵角が零になり中立復帰するよ
うに相切換信号パターンが制御される。
【表5】
【0038】図13の短絡・断線異常判定部65におい
ては、先ず短絡異常判定として、スイッチング素子たる
トランジスタTA11,TB11,TC11,TA2
1,TB21,TC21が、表6に従って順次一つずつ
導通(ON)され、モータMに対し電流I(n) が供給さ
れ得る状態となる。
【表6】 尚、この場合に供給され得る電流I(n) としては所定値
α以上であればよく、各トランジスタの導通順序も必ず
しも表6のとおりとする必要はない。この短絡・断線異
常判定部65における短絡異常判定処理を図19を参照
して以下に説明する。
【0039】図19において、先ずステップ301にて
トランジスタTA11が導通され、電流I(n) が供給さ
れ得る状態となる。巻線Uが正常であれば電流は流れ
ず、従って検出電流Isは所定値αを下回るが、例えば
短絡している場合には検出電流Isは所定値α以上とな
る。従って、ステップ302において検出電流Isが所
定値αを下回ると判定されれば、ステップ303に進
み、トランジスタTA11が遮断され、代ってトランジ
スタTB11が導通される。これに対し、所定値α以上
の検出電流Isが検出された場合には、ステップ314
に進み短絡異常フラグFsabがセット(1)される。
以下、上記の処理が各トランジスタについて順次実行さ
れ、トランジスタTC21について検出電流Isが所定
値αを下回ると判定されると、ステップ313にて短絡
異常フラグFsabがクリア(0)され、あるいはクリ
アされた状態が維持される。尚、各トランジスタが導通
され異常と判定される毎に短絡異常フラグがセットされ
るようにしてもよい。
【0040】次に、断線異常判定の場合には、表7に従
ってハイサイド側とローサイド側のトランジスタが順次
導通され、モータMに対し電流I(n) が通電される。こ
の電流I(n) は通常使用される範囲の値(例えばデュー
ティ比100%の値)とされる。
【表7】 尚、表7の通電順序は一例であり、前述の相切換信号の
通電パターンとは無関係に、どのような順序としてもよ
い。図20は断線異常判定の処理の一例を示すもので、
先ずステップ401にてハイサイド側のスイッチング素
子たるトランジスタTA11及びローサイド側のスイッ
チング素子たるトランジスタTB21が導通(ON)さ
れ、巻線U,Vに電流I(n) が通電される。このときの
検出電流Icは、図22に示すように正常であれば所定
値β以上の値となるが、例えば断線している場合には検
出電流Icは所定値βを下回ることになる。従って、ス
テップ402において検出電流Icが所定値β以上と判
定されれば、ステップ403に進み、ハイサイド側のト
ランジスタTA11及びローサイド側のトランジスタT
C21が導通するように切換えられる。これに対し、所
定値βを下回る検出電流Icが検出された場合には、ス
テップ414に進み断線異常フラグFcabがセット
(1)される。以下、上記の処理が各相毎に順次実行さ
れ、トランジスタTC11,TB21導通時の検出電流
Icが所定値β以上と判定されると、ステップ413に
て断線異常フラグFcabがクリア(0)され、あるい
はクリアされた状態が維持される。尚、上記の判定で異
常と判定される毎に断線異常フラグがセットされるよう
にしてもよい。
【0041】上記の断線異常判定と同様の処理を行なう
ことにより、短絡異常判定を行なうこともできる。即
ち、通電電流I(n) を、モータMが回転し得ない程度の
値(最大電流に対し所定割合の値、例えばデューティ比
50%)の電流とすることにより、所定値λ以上の電流
Isが検出されたときに短絡異常が発生していると判定
することができる。即ち、前述の表7に従ってハイサイ
ド側とローサイド側のトランジスタが導通され、モータ
Mに対しデューティ比50%の電流I(n) が通電され
る。図21はこの短絡異常判定の処理を示すもので、先
ずステップ501にてハイサイド側のトランジスタTA
11及びローサイド側のトランジスタTB21が導通
(ON)され、巻線U,Vに電流I(n) が通電される。
このときの検出電流Isは、正常であれば図23に示す
ように所定値λを下回るが、短絡している場合には検出
電流Isは所定値λ以上となる。この場合において、本
実施例では電流I(n) は最大電流に対しデューティ比5
0%の電流が通電されるに過ぎないので、モータMが回
動することはない。
【0042】而して、ステップ502において、検出電
流Isが所定値λを下回ると判定されれば、ステップ5
03に進み、トランジスタTA11及びトランジスタT
C21が導通される。これに対し、所定値λ以上の検出
電流Isが検出された場合には、ステップ514に進み
短絡異常フラグFsabがセット(1)される。以下、
上記の処理が各相毎に順次実行され、トランジスタTC
11,TB21導通時の検出電流Isが所定値λを下回
ると判定されると、ステップ513にて短絡異常フラグ
Fsabがクリア(0)され、あるいはクリアされた状
態が維持される。あるいは、図23に示すように検出電
流Isを所定値δと比較し、検出電流Isがこの所定値
δ以下のときに断線と判定し断線異常フラグをセットす
ることとしてもよい。
【0043】以上のように、本実施例においては、短絡
・断線異常判定部65を有しており、図20の断線異常
判定時にはモータMが若干(30°)回動するものの連
続回転ではなく、また図19及び図21の短絡異常判定
時には、モータMを回転させることなく所期の異常判定
を行なうことができる。尚、上記の短絡及び断線異常判
定は適宜組合せて行なうことができ、例えば図20と図
21の処理を組合せれば通電電流I(n) の値を変更する
ことにより同様の手順で行なうことができる。しかも、
例えばモータ12(M)の巻線の短絡や断線のみなら
ず、モータ12(M)を駆動する回路中に短絡あるいは
断線が生じた場合には、確実にこれらの異常を検出する
ことができる。よって、その後のモータ12(M)の停
止処理を確実に行なうことができる。尚、本実施例にお
いては、ブラシレスモータの回転センサとして、磁極セ
ンサ18を使用しているが、発光ダイオードを利用した
光パルス式のセンサ等のエンコーダを用いることとして
もよい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
発明においては、ブラシレスモータが停止した状態から
何れか一つのスイッチング素子が順次導通されると共
に、導通毎に励磁コイルの電流が測定され、第1の所定
値以上の電流が検出されたときに異常と判定されるよう
に構成されているので、ブラシレスモータを回転させる
ことなく巻線の短絡等を確実に検出することができる。
【0045】また、請求項2に記載の発明においては、
ブラシレスモータが停止した状態から、ハイサイド側及
びローサイド側に設けられたスイッチング素子が導通さ
れて通電されると共に、通電毎に、スイッチング素子を
介して流れる電流が検出され、その検出電流が第2の所
定値以下のときには異常と判定されるように構成されて
いるので、ブラシレスモータが停止した状態からでも巻
線の断線等を確実に検出することができる。
【0046】更に、請求項3に記載の発明においては、
ブラシレスモータが停止した状態から、ハイサイド側及
びローサイド側のスイッチング素子に対する最大電流の
所定割合の電流が通電されると共に、通電毎に、スイッ
チング素子を介して流れる電流が検出され、その検出電
流が第3の所定値以上のとき又は第4の所定値以下の電
流を検出したときには異常と判定されるように構成され
ているので、ブラシレスモータを回転させることなく巻
線の短絡等を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施例に使用する後輪操舵機構の正
面図である。
【図3】図2の後輪操舵機構の部分断面図である。
【図4】図2の後輪操舵機構の断面図である。
【図5】本発明の一実施例に使用するモータの断面図で
ある。
【図6】本発明の一実施例に使用するモータの断面図で
ある。
【図7】図5,6のモータの巻線説明図である。
【図8】本発明の一実施例に使用する磁石の正面図であ
る。
【図9】本発明の一実施例に使用する磁極センサの基板
の正面図である。
【図10】本発明の一実施例に係るブラシレスモータの
作動説明図である。
【図11】本発明の一実施例に使用する電子制御装置の
回路構成図である。
【図12】図11の電子制御装置のドライバの回路構成
図である。
【図13】図11の電子制御装置のマイクロプロセッサ
の機能ブロック図である。
【図14】図13のマイクロプロセッサのモータサーボ
制御部の機能ブロック図である。
【図15】図11の電子制御装置の磁極センサ入力回路
の回路構成図である。
【図16】図13の磁極センサ異常判定部のフローチャ
ートである。
【図17】図13の相切換制御部のフローチャートであ
る。
【図18】図13のオープン制御部のフローチャートで
ある。
【図19】図13の短絡・断線異常判定部における短絡
異常判定のフローチャートである。
【図20】図13の短絡・断線異常判定部における断線
異常判定のフローチャートである。
【図21】図13の短絡・断線異常判定部における短絡
異常判定の他の例のフローチャートである。
【図22】図13の短絡・断線異常判定部における断線
異常判定を説明するグラフである。
【図23】図13の短絡・断線異常判定部における図2
1の短絡異常判定を説明するグラフである。
【符号の説明】
1 マイクロプロセッサ 5 モータ
ドライバ 9 電子制御装置 12 モータ
(ブラシレスモータ) 17,20 第1,第2前輪舵角センサ 18 磁極センサ(回転センサ) 21 後輪舵
角センサ 22,23 第1,第2車速センサ 55 定電圧
レギュレータ 57 インターフェース 59 バッテ
リ 60 目標舵角演算部 61 モータ
サーボ制御部 62 相切換制御部 63 磁極セ
ンサ異常判定部 64 オープン制御部 65 短絡・断線異常判定部(異常判定手段) 86 電流検出回路 88 異常電
流制限回路 89 パルス幅変調信号合成回路 90,94
微分部 91 微分ゲイン設定部 92 減算部 93 偏差舵角不感帯付与部 95 積算部 96 比例部 97 加算部 98 偏差舵角リミッタ 99 パルス
幅変調変換部 100 バッファ 101 ピー
クホールド回路 AGLA 目標舵角値 HA,HB,
HC 磁極センサ信号 L1 相切換信号群 LA11,LB11,LC11,LA21,LB21,
LC21 相切換信号 M モータ(ブラシレスモータ) PWM1 パルス幅変調信号 U,V,W
端子 V 車速 γ ヨーレー
ト値 θs ステアリング角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 和孝 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 松本 只一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 塚 秀守 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−54394(JP,A) 特開 平1−198294(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 6/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少くとも三相の励磁コイルと、該励磁コ
    イルの励磁状態に応じて回転するモータ軸と、該モータ
    軸の回転を検出する回転センサと、前記励磁コイルの各
    々の相のハイサイド側及びローサイド側に設けたスイッ
    チング素子と、前記回転センサの出力変化に応じて相切
    換信号パターンを切換えて前記スイッチング素子に対し
    相切換信号を出力する相切換制御手段とを備え、前記相
    切換信号に応じて前記スイッチング素子を駆動し前記励
    磁コイルに電流を供給するブラシレスモータの異常検出
    装置において、前記ブラシレスモータが停止した状態か
    順次何れか一つのスイッチング素子を導通させる導通
    手段と、該導通手段の導通毎に前記励磁コイルの電流を
    検出する電流検出手段と、該電流検出手段が第1の所定
    値以上の電流を検出したとき異常と判定する第1の異常
    判定手段とを備えたことを特徴とするブラシレスモータ
    の異常検出装置。
  2. 【請求項2】 少くとも三相の励磁コイルと、該励磁コ
    イルの励磁状態に応じて回転するモータ軸と、該モータ
    軸の回転を検出する回転センサと、前記励磁コイルの各
    々の相のハイサイド側及びローサイド側に設けたスイッ
    チング素子と、前記回転センサの出力変化に応じて相切
    換信号パターンを切換えて前記スイッチング素子に対し
    相切換信号を出力する相切換制御手段とを備え、前記相
    切換信号に応じて前記スイッチング素子を駆動し前記励
    磁コイルに電流を供給するブラシレスモータの異常検出
    装置において、前記ブラシレスモータが停止した状態か
    ら、前記励磁コイルの何れか一つの相のハイサイド側に
    設けたスイッチング素子、及び前記励磁コイルの他の何
    れか一つの相のローサイド側に設けたスイッチング素子
    を導通して通電する通電手段と、該通電手段の通電毎に
    前記ハイサイド側及びローサイド側のスイッチング素子
    を介して流れる電流を検出する通電電流検出手段と、該
    通電電流検出手段の検出電流が第2の所定値以下のとき
    異常と判定する第2の異常判定手段とを備えたことを特
    徴とするブラシレスモータの異常検出装置。
  3. 【請求項3】 少くとも三相の励磁コイルと、該励磁コ
    イルの励磁状態に応じて回転するモータ軸と、該モータ
    軸の回転を検出する回転センサと、前記励磁コイルの各
    々の相のハイサイド側及びローサイド側に設けたスイッ
    チング素子と、前記回転センサの出力変化に応じて相切
    換信号パターンを切換えて前記スイッチング素子に対し
    相切換信号を出力する相切換制御手段とを備え、前記相
    切換信号に応じて前記スイッチング素子を駆動し前記励
    磁コイルに電流を供給するブラシレスモータの異常検出
    装置において、前記ブラシレスモータが停止した状態か
    ら、前記励磁コイルの何れか一つの相のハイサイド側に
    設けたスイッチング素子、及び前記励磁コイルの他の何
    れか一つの相のローサイド側に設けたスイッチング素子
    を導通し、前記ハイサイド側及びローサイド側のスイッ
    チング素子に対する最大電流の所定割合の電流を通電す
    る通電手段と、該通電手段の通電毎に前記ハイサイド側
    及びローサイド側のスイッチング素子を介して流れる電
    流を検出する通電電流検出手段と、該通電電流検出手段
    が第3の所定値以上の電流を検出したとき又は第4の所
    定値以下の電流を検出したときに異常と判定する第3の
    異常判定手段とを備えたことを特徴とするブラシレスモ
    ータの異常検出装置。
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