JP3238138B2 - 超音波処置装置 - Google Patents

超音波処置装置

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JP3238138B2
JP3238138B2 JP10931499A JP10931499A JP3238138B2 JP 3238138 B2 JP3238138 B2 JP 3238138B2 JP 10931499 A JP10931499 A JP 10931499A JP 10931499 A JP10931499 A JP 10931499A JP 3238138 B2 JP3238138 B2 JP 3238138B2
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敏彦 橋口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組織を把持しなが
ら超音波振動による摩擦熱によって処置する超音波処置
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、超音波振動のエネルギを利用
して組織の切開や凝固等の処置を行なう各種の超音波処
置装置が知られている。このような超音波処置装置のう
ち、組織を把持しながら超音波振動によって処置する装
置は、例えば米国特許(USP)第5322055号に
開示されている。
【0003】米国特許第5322055号に開示された
超音波処置装置は、長尺な挿入部としてのシースを備え
ている。シースの先端には把持部材としてのジョーが回
動可能に取り付けられている。また、シース内に設けら
れた第1のチャンネルには超音波振動を伝達する振動伝
達部材が挿通されている。振動伝達部材の先端部は、ジ
ョーと対向するようにシースの先端開口から突出されて
おり、ジョーとの間で把持した組織を超音波振動によっ
て処置する超音波プローブとして形成されている。
【0004】ジョーは、シース内の第2のチャンネルに
挿通された操作ロッドと連結されており、操作ロッドの
押し引き操作によって、超音波プローブと対向して当接
する閉位置と超音波プローブから離間する開位置との間
で回動される。
【0005】前記操作ロッドを押し引き操作する機構
は、シースの基端側に位置する操作部に設けられてい
る。すなわち、操作部には、これと一体に形成された固
定ハンドルと、枢支軸を介して操作部(固定ハンドル)
に回動可能に取り付けられた可動ハンドルとが設けられ
ており、可動ハンドルが回動操作されることにより、可
動ハンドルに接続された前記操作ロッドが押し引きされ
るようになっている。また、可動ハンドルの回動支点で
ある枢支軸は、操作力が付与される力点となる可動ハン
ドルの指掛け部と、操作ロッドに対する操作力の入力部
となる作用点(操作ロッドと可動ハンドルとの連結部)
との間に位置されている。また、操作性を考慮して、ジ
ョーは、可動ハンドルを握り込んでこれを固定ハンドル
側に向けて前方に移動させることによって、閉じるよう
になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ジョーは、
操作ロッドの前方への押し出し操作によって閉位置へと
回動される場合と、操作ロッドの手元側への牽引操作に
よって閉位置へと回動される場合とがある。前者の場合
は、ジョーの回動支点の上側すなわちシースの外周側部
分でジョーと操作ロッドとが連結される。後者の場合に
は、ジョーの回動支点の下側すなわちシースの内側部分
でジョーと操作ロッドとが連結される。
【0007】しかし、後者の場合には、ジョーの回動支
点となる支軸が必然的にシースの外周側部分に位置され
るため、ジョーおよびこれを支持するシースの先端部の
強度と耐久性を高く維持することができない。
【0008】そのため、米国特許第5322055号に
開示された技術では、操作ロッドを前方に押し出してジ
ョーを閉じるようにすることにより、ジョーの回動支点
となる支軸をシースの内側部分に位置させて、ジョーお
よびこれを支持するシースの先端部の強度と耐久性を確
保しようとしている。
【0009】しかし、米国特許第5322055号にお
いては、可動ハンドルの回動支点である枢支軸が、操作
力が付与される力点となる可動ハンドルの指掛け部と、
操作ロッドに対する操作力の入力部となる作用点との間
に位置されており、また、可動ハンドルを握り込んでこ
れを固定ハンドル側に向けて前方に移動させることによ
り、操作ロッドを前方に移動させてジョーを閉じようと
しているため、可動ハンドル14の操作方向を操作ロッ
ド52の進退方向に一致させるためのリンク機構が必要
となる。すなわち、可動ハンドル(指掛け部)を前方に
移動させると、可動ハンドルの回動支点に対して指掛け
部と反対側に位置する作用点は後方に移動するため、こ
の後方への移動を前方への移動に変換して操作ロッドに
伝達するためのリンク機構が必要になる。
【0010】このようなリンク機構が存在すると、リン
クの支点およびリンクの両端において力の伝達に伴う摩
擦抵抗が生じる。また、リンクの対偶の数が増加するこ
とにより、動作に必要な隙間を要する部分が増加し、結
果として全体のガタが大きくなる。また、部材の数が増
大することにより弾性変形する部分も多くなり、結果と
して全体の弾性変形量が多くなる等様々な問題が生じ
る。
【0011】本発明は前記事情に着目してなされたもの
であり、その目的とするところは、組織を把持して処置
する把持部側の強度と耐久性を高く維持することができ
るとともに、可動ハンドルの操作方向を操作ロッドの進
退方向に一致させるための機構を設ける必要がない超音
波処置装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の超音波処置装置は、超音波振動を発生する
超音波振動子と、超音波振動子に接続され、超音波振動
子で発生した超音波振動を伝達する振動伝達部材と、振
動伝達部材が挿通されるシースと、シースの先端に回動
可能に取り付けられ、シースの先端から突出する振動伝
達部材の先端部との間で組織を把持する把持部材と、把
持部材を、振動伝達部材の先端部と当接する閉位置と前
記先端部から離間する開位置との間で回動させる操作手
段とを具備し、前記操作手段は、シースの基端側に設け
られた固定ハンドルと、固定ハンドルに回動可能に取り
付けられ且つシースの先端側に向かう前方への回動によ
って固定ハンドル側に接近する可動ハンドルと、可動ハ
ンドルと把持部材とを接続し且つシース内に挿通された
操作ロッドとを備え、可動ハンドルから操作ロッドに対
して操作力が入力される作用点は、可動ハンドルの回動
支点と、操作力が付与される力点となる可動ハンドルの
指掛け部との間に位置され、前記操作ロッドは、前記操
作力によりシース内で先端側に押し出し操作されること
によって把持部材が前記閉位置へと回動するように、把
持部材に対して連結されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態について説明する。
【0014】図1〜図12は本発明の一実施形態を示し
ている。図1および図2に示されるように、本実施形態
の超音波処置装置1は、ハンドルユニット2と、プロー
ブユニット3と、振動子ユニット4とから構成されてい
る。
【0015】図2および図6に示されるように、振動子
ユニット4はハンドピース41として構成されている。
ハンドピース41は把持部を形成する円筒状のカバー4
2を有しており、カバー42内には超音波振動子43と
ホーン44とが設けられている。振動子ユニット4の基
端からはハンドピースコード45が延びており、ハンド
ピースコード45の端部にはハンドピースプラグ46が
設けられている(図1参照)。このハンドピースプラグ
46が図示しない超音波発振装置に電気的に接続される
とともに超音波発振装置から超音波振動子43に電力が
供給されることによって、超音波振動子43が振動され
る。
【0016】ホーン44は、超音波振動子43に結合さ
れ、超音波振動子43で発生した超音波振動を増幅させ
てその振幅を第1の段階まで拡大する。ホーン44の先
端には、プローブユニット3が取り付けられる雌ネジが
形成されている。
【0017】カバー42の先端には連結部材47が捩じ
込んで取り付けられている。この連結部材47は、振動
子ユニット4をこれに組み付けられるプローブユニット
3とともにハンドルユニット2に連結する。具体的に
は、連結部材47には断面が半月状の係合リング(C字
型のリング)48が設けられており、この係合リング4
8がハンドルユニット2の後述する振動子接続部11の
係合溝11aに弾性的に係合されることにより、振動子
ユニット4がハンドルユニット2に連結される。
【0018】図2および図9に示されるように、プロー
ブユニット3は、超音波振動子43で発生した超音波振
動を伝達する棒状の振動伝達部材51として形成されて
いる。振動伝達部材51の基端には、振動子ユニット4
のホーン44の先端に形成された雌ネジに捩じ込まれる
雄ネジ51eが形成されている。振動伝達部材51は、
ホーン44によって増幅された超音波振動の振幅をさら
に第2の段階まで拡大する基端側ホーン51dと、基端
側ホーン51dの先端側に位置する中間部51cと、中
間部51cの先端側に位置し且つ基端側ホーン51dに
よって増幅された超音波振動の振幅を最終段階まで拡大
する先端側ホーン51bと、先端側ホーン51bの先端
側(振動伝達部材51の先端)に位置する円柱状の先端
部51aとからなる。
【0019】先端部51aには各ホーン44,51d、
51bによって増幅された超音波振動子43からの超音
波振動が伝達され、これにより先端部51aが振動す
る。また、先端部51aは、ハンドルユニット2の後述
する先端作用部5とともに超音波処置装置1の処置部1
0を構成する。
【0020】図9に詳しく示されるように、中間部51
cには、その長手方向に沿って、フランジ状の支持体5
1fが複数個設けられている。各支持体51fは、弾性
材によって形成されており、振動伝達部材51によって
伝達される超音波振動の節の位置に配置されている。ま
た、図9の(b)に示されるように、各支持体51f
は、中間部51cの外周面に形成された浅い溝18内に
位置して設けられ、その断面形状が山形(頂角が鈍角の
略二等辺三角形)をなして中間部51cの外面から径方
向外側に僅かに張り出している。すなわち、各支持体5
1fは、その外径が中間部51cのそれよりも僅かに大
きく設定されている。これにより、各支持体51fは、
振動伝達部材51がハンドルユニット2の後述する挿入
シース部31の主チャンネル管21(図3参照)内に挿
通された状態では、その頂点でのみ主チャンネル管21
の内面と弾性的に押圧接触して、振動伝達部材51を主
チャンネル管21の中心部に保持するとともに、振動伝
達部材51と主チャンネル管21(挿入シース部31)
との接触を防止する(図6,10,11等参照)。な
お、各支持体51fの麓部分51gは、その外径が中間
部51cのそれと略同一に設定された円筒状に形成され
ている。
【0021】図2に示されるように、ハンドルユニット
2は、操作部6と、操作部6に回転可能に取り付けられ
た長尺な外套管20から成る挿入シース部31と、挿入
シース部31の先端に設けられた先端作用部5とを備え
ている。
【0022】操作部6は、操作部本体12と、操作部本
体12と一体に形成された固定ハンドル13と、可動ハ
ンドル14とを有している。挿入部本体12の基端に
は、振動子ユニット4が着脱自在に接続される振動子接
続部11が設けられている。可動ハンドル14は、ハン
ドル枢支軸17を介して、操作部本体12(固定ハンド
ル13)に回動可能に取り付けられている。この場合、
ハンドル枢支軸17は、挿入シース部31の長手中心軸
に対して固定ハンドル13と逆側に位置して設けられて
いる。すなわち、可動ハンドル14は、挿入シース部3
1の長手中心軸よりも上側に位置する支点を中心に回動
される。また、可動ハンドル14は、挿入シース部31
の長手中心軸上もしくはその近傍に、操作部本体12内
の後述する伝達部材58(図6参照)と係合する係合ピ
ン19を有している。
【0023】図6および図7に詳しく示されるように、
操作部本体12内には筒状の内挿部材12bが挿入され
て嵌め付けられている。この場合、内挿部材12bの先
端部は、操作部本体12の先端部に嵌め込まれたナット
12dと、内挿部材12bの先端部に挿入されて嵌め付
けられた筒状の回転部材12cとの間で挟持される。ま
た、内挿部材12bの内側には筒状の伝達部材(ロー
タ)58が配設されている。この伝達部材58の内孔に
は、振動伝達部材51が挿通されるとともに、組立状態
では振動伝達部材51の基端側ホーン51dおよびその
基端側部分が配置される。また、伝達部材58の外周面
には係合溝62が形成されている。この係合溝62に
は、操作部本体12および内挿部材12bに形成された
通孔12aを貫通する可動ハンドル14の係合ピン19
が係合している。
【0024】内挿部材12bの基端部内周面には環状の
振動子接続部11が螺合して取り付けられている。振動
子接続部11の内周面には係合溝11aが形成されてい
る。この係合溝11はその基端側に円錐状の係合面11
bを有している。この係合面11bは、振動子ユニット
4の連結部材47に設けられた係合リング48の外周の
曲面と適合するようになっている。
【0025】ナット12dには、筒状の回転ノブ32
が、ナット12dに形成されたV溝と先端が円錐形の剣
先止めねじとによって、取り付けられている。回転ノブ
32の孔内には挿入シース部31の外套管20の基端部
が挿入されている。回転ノブ32の孔内に位置する外套
管20の基端部外周には末端部材20aが取り付けられ
ている。末端部材20aの外周には連結筒20bの先端
部が被嵌されて接着固定されている。連結筒20bの先
端部外周面にはネジ部24が形成されており、このネジ
部24には回転ノブ32の孔内に延びる回転部材12c
の先端部が螺合している。また、連結筒20bの基端側
は、回転部材12cの内孔に挿入され、前後に移動可能
な状態で回転部材12cと伝達部材58の先端部との間
で挟持されている。回転部材12c内における連結筒2
0bの位置調整(前後移動)は、連結筒20bのネジ部
24に螺合され且つ回転部材12cの先端と当接するナ
ット20cを回転させることによって行なわれる。な
お、連結筒20bはその基端に係合溝20dを有してお
り、伝達部材58に突出して設けられた位置決めピン2
0eが係合溝20dに係合することにより、伝達部材5
8に対する連結筒20bの回転が規制される。
【0026】図1および図2に示されるように、先端作
用部5は、外套管20の先端部に取り付けられた保持部
材70と、保持部材70に枢支軸74を介して回動可能
に取り付けられた片開き型の開閉部材75とからなり、
プローブユニット3の振動伝達部材51の先端部51a
とともに超音波処置装置1の処置部10を構成する。
【0027】開閉部材75は、振動伝達部材51の先端
部51aとの間で生体組織を把持することによって、超
音波振動する先端部51aに生体組織を押し付けて、先
端部51aから生体組織への振動エネルギの伝達を可能
にする。また、開閉部材75は、生体組織を剥離する剥
離鉗子としても機能する。
【0028】図3〜図5、図10、図11の(a)
(b)(c)にそれぞれ示されるように、開閉部材75
は、互いに対向する一対の側壁75a,75bと、側壁
75a,75bの基端側の上端部同士を接続する基端側
接続部75cと、側壁75a,75bの先端部同士を接
続する先端側接続部75dと、各側壁75a,75bの
基端部から下方に延びる取付け部75e,75eとによ
って構成されている。
【0029】側壁75a,75b間にはスリット34が
形成され、このスリット34には、振動伝達部材51と
ともに生体組織を把持する把持部材82が揺動可能に配
置されている。具体的には、把持部材82は、ジョー7
8を挟み込むようにして筒状のカラー部材77aにより
ジョー78と一体的に連結されるとともに、スリット3
4内に配置されたその取付け部分82aが枢支ピン77
により開閉部材75に対して揺動可能に取り付けられて
いる。この場合、カラー部材77aは、スリット34内
に配置される把持部材82の取付け部分82aとジョー
78とを貫通しており、また、枢支ピン77はカラー部
材77a内に挿通されている。また、スリット34の幅
はここに挿入配置される把持部材82の取付け部分82
aの幅よりも大きく設定されている。すなわち、図5の
(a)に詳しく示されるように、把持部材82の取付け
部分82aと各側壁75a,75bとの間には所定のク
リアランスXが形成されており、把持部材82は枢支ピ
ン77に沿ってこれと平行な方向にクリアランスXの量
だけ移動できる。開閉部材75の開動作によって把持部
材82の先端部(基端部)とジョー78の先端部(基端
部)とが互いに離れてしまうことを防止するために、把
持部材82の先端部(基端部)とジョー78の先端部
(基端部)は固定ピン84によって互いに連結されてい
る。
【0030】把持部材82は、開閉部材75の各側壁7
5a,75bの下側で側方に張り出す張り出し部82d
を有している。また、把持部材82(張り出し部82
d)の下面は、振動伝達部材51の先端部51aとの間
で組織を把持する円弧状の把持面82bを形成している
(図11の(a)(b)参照)。把持面82bの曲率半
径は、振動伝達部材51の円柱状の先端部51aの半径
よりも大きく設定されている。把持面82bの両端に
は、把持面82bの長手方向に沿って複数の歯81が形
成されている。
【0031】開閉部材75の取付け部75e,75e
は、保持部材70の先端に形成されたスロット70aに
挿入され、枢支軸74を介して保持部材70に回動可能
に取り付けられている(図5および図11の(c)参
照)。保持部材70の十分な強度を確保するため、スロ
ット70aは保持部材70を上下に貫通することなく保
持部材70の上側でのみ開口している。すなわち、スロ
ット70aが形成された保持部材70の部位の断面形状
はU字型を成している。
【0032】保持部材70には、プローブユニット3の
振動伝達部材51が挿通される主チャンネル孔70b
と、操作ロッド52が挿通される副チャンネル孔70c
とが形成されている。主チャンネル孔70bには、摩擦
係数の小さい例えばテフロンからなる筒状のスペーサ6
6が挿入されて取り付けられている。副チャンネル孔7
0cには後述する副チャンネル管22が挿入されて取り
付けられている。スペーサ66は、振動伝達部材51を
通じて伝達される超音波振動の最も先端側の節の位置に
配置されており、処置部10で組織が把持された際に振
動伝達部材51の先端側を下側から支持することによ
り、振動伝達部材51の先端側が把持部材82から受け
る力によって下方へ大きく撓むことを防止する第1の支
持部材として機能する。
【0033】図11の(e)(f)に詳しく示されるよ
うに、保持部材70の基端側の外面には、副チャンネル
孔70cに連通する第1の溝70dと、主チャンネル孔
70bに連通する第2の溝70eとが互いに反対側に位
置して対向して設けられている。第1の溝70内では、
副チャンネル孔70cに挿入された副チャンネル管22
が接着材55によって保持部材70に固定されている
(図11の(e)参照)。また、第1の溝70dは、そ
の基端側で主チャンネル孔70bと連通し、保持部材7
0を2つに分断している(図11の(f)参照)。すな
わち、保持部材70は、主チャンネル孔70bに連通す
る2つの溝70d、70eによって、その基端側が2つ
に分断されている。また、この分断位置では、副チャン
ネル管22とスペーサ66とが接した状態で接着材55
により固定されている。なお、保持部材70の外周面に
被嵌される外套管20の部位の外径(肉厚)は可能な限
り小さく設定されている。
【0034】図3〜図5、図10、図11にそれぞれ示
されるように、挿入シース部31の外套管20内には、
プローブユニット3の振動伝達部材51が挿通される主
チャンネル管21と、操作ロッド52が挿通されるロッ
ドチャンネルとしての副チャンネル管22とが配設され
ている。この場合、主チャンネル管21は、その断面形
状が円形であり、保持部材70の主チャンネル孔70b
に挿入されてスペーサ66に接続されている。また、副
チャンネル管22は、その断面形状が操作ロッド52の
それと異なるように形成されており、前述したように保
持部材70の副チャンネル孔70cに挿入されている。
【0035】図12に示されるように、操作ロッド52
は、基本的には断面が円形の棒状部材(本体部)からな
る。操作ロッド52の先端には、円形断面の棒状部材
(本体部)を横方向に押し潰して成る扁平形状の先端連
結部52aが形成されている。この先端連結部52aに
は軸穴52bが設けられている。操作ロッド52の先端
側には、先端連結部52aに隣接して、弾性的に容易に
湾曲し得る弾性部52cが所定の長さにわたって形成さ
れている。この弾性部52cは、円形断面の棒状部材
(本体部)を縦方向に押し潰すことによって扁平形状に
形成されており、その平面部の延在方向が先端連結部5
2aの平面部の延在方向と直交している。なお、この弾
性部52cの張り出し幅は副チャンネル管22の長径よ
りも若干小さく設定されている。
【0036】操作ロッド52の基端には、円形断面の棒
状部材(本体部)を縦方向に押し潰して成る扁平形状の
基端連結部52eが形成されている。この基端連結部5
2eには係合孔52fが設けられている。弾性部52c
と基端連結部52eとの間には、複数の張り出し部52
dが互いに所定の間隔をもって設けられている。本実施
形態では、振動伝達部材51によって伝達される超音波
振動の各節の位置にそれぞれ張り出し部52dが設けら
れている。これらの張り出し部52dは、円形断面の棒
状部材(本体部)を縦方向に押し潰すことによって扁平
形状に形成されている。なお、この張り出し部52dの
張り出し幅は副チャンネル管22の長径よりも若干小さ
く設定されている。
【0037】このような構成の操作ロッド52は、副チ
ャンネル管22内に挿通された状態では、断面が円形の
本体部分のみが副チャンネル管22の内面と接し、弾性
部52cおよび張り出し部52dが副チャンネル管22
と接触することなく副チャンネル管22内に浮いた状態
で保持される。一方、副チャンネル管22は、その断面
形状が操作ロッド52の本体部のそれと異なる形状、具
体的には、断面が円形の管を縦方向に押し潰すことによ
って横方向に長い扁平形状に形成されているため、副チ
ャンネル管22と操作ロッド52との間には、副チャン
ネル管22の全長にわたって、十分大きな隙間からなる
流通路が確保される。
【0038】操作ロッド52の先端連結部52aは、開
閉部材75の基端部に連結されている。具体的には、開
閉部材75の基端側接続部75cに形成されたスロット
33内に先端連結部52aが挿入され、その状態で、側
壁75a,75bおよび基端側接続部75cに形成され
た係合孔76と先端連結部52aに形成された軸孔52
bとに枢支ピン73が挿通されることにより、操作ロッ
ド52と開閉部材75とが枢支軸74の上側で回動可能
に連結される。したがって、操作ロッド52を押し引き
操作すると、開閉部材75が枢支軸74を中心に回動
(開閉)する。なお、枢支ピン73の両側には、スロッ
ト70aが形成された保持部材70の部位の内面が対向
して位置しており、この対向する内面によって枢支ピン
73の抜けが防止される。
【0039】操作ロッド52の基端連結部52eは、弾
性を有する円弧状のCリング53を介して、可動ハンド
ル14と係合ピン19によって接続された伝達部材58
の先端に連結されている。具体的には、図6〜図8に示
されるように、伝達部材58の先端にはスロット58a
が形成されており、このスロット58a内には操作ロッ
ド52の基端連結部52eが挿入されている。また、伝
達部材58の先端部外周面には環状の係合溝58bが形
成されており、この係合溝58bにはCリング53が嵌
め付けられている。係合溝58bの底部にはスロット5
8aに達する貫通孔58cが形成されており、この貫通
孔58cにはCリング53の一端部53aが挿入されて
いる。この一端部53aは、Cリング53の円弧の中心
に向けて折り曲げられており、スロット58a内に挿入
された操作ロッド52の基端連結部52eの係合孔52
fに係合されている。なお、Cリング53は、その曲率
半径が係合溝58bの環状の底部のそれよりも小さく設
定されており、弾性的に拡径された状態で係合溝58b
にガタつくことなく装着される。
【0040】図10および図11の(h)に示されるよ
うに、主チャンネル管21の先端側部内には、スペーサ
67が挿入されて嵌め付け固定されている。このスペー
サ67は、振動伝達部材51を通じて伝達される超音波
振動の節の位置、具体的には、先端から2番目の節の位
置に配置されている。すなわち、スペーサ67は、スペ
ーサ66が配置された最先端の節と隣り合う節に設けら
れている。また、このスペーサ67は、処置部10で組
織が把持された際に振動伝達部材51の先端側を上側か
ら支持することにより、最先端の節の位置近傍(スペー
サ66による支持点)を支点とする振動伝達部材51の
上側への移動を規制する第2の支持部材として機能す
る。また、スペーサ67は、スペーサ67と主チャンネ
ル管21とを貫通する両側の2つの固定ピン23,23
によって、主チャンネル管21に対して位置決め固定さ
れている。この場合、2つの固定ピン23,23は、互
いに周方向に180度離間して水平方向で対向してい
る。なお、図11の(g)(h)(i)に示されるよう
に、外套管20と主チャンネル管21と副チャンネル管
22は、保持部材70よりも基端側においては、互いに
接した状態で配置されている。
【0041】次に、上記構成の超音波処置装置1の作用
について説明する。
【0042】超音波処置装置1を用いて組織を処置する
場合には、まず、ハンドルユニット2の先端の把持部材
82と振動伝達部材51の先端部51aとの間に組織を
位置させる。次に、その状態で、固定ハンドル13を握
るとともに、可動ハンドル14をハンドル枢支軸17を
中心に回動させて固定ハンドル13側に向けて前方に移
動させる。可動ハンドル14が前方に回動されると、図
6に破線で示されるように、可動ハンドル14に設けら
れた係合ピン19がハンドル枢支軸17を中心とした円
弧を描くように前方に移動し、係合ピン19と係合する
伝達部材58が操作部本体12内で前方にスライドす
る。これにより、Cリング53を介して伝達部材58に
連結された操作ロッド52が副チャンネル管22内で前
方に押し出される。
【0043】この場合、操作ロッド52は、その長手方
向に沿って張り出し部52dと断面が円形の本体部分と
が交互に連接された構造を成し、本体部分が副チャンネ
ル管22の内面に接するとともに、張り出し部52dが
副チャンネル管22と略同様の偏平形状を成している
(張り出し部52dの張り出し幅は副チャンネル管22
の長径よりも若干小さく設定されている)。すなわち、
操作ロッド52は、その長手方向にわたって副チャンネ
ル管22の内面により適度に支持され、第1の座屈規制
部である断面が円形の本体部分が副チャンネル管22と
接触することにより上下方向の移動が規制されるととも
に、第2の座屈規制部である張り出し部52dが副チャ
ンネル管22の長径方向に張り出すことにより左右方向
の移動が規制される(言い換えると、偏平形状の副チャ
ンネル管22内において座屈し易い断面が円形の本体部
分の長さを短くするために、操作ロッド52の長手方向
にわたって適当な間隔で偏平形状の張り出し部52dが
設けられている)。したがって、操作ロッド52は、前
方に押し出されても座屈することはない。なお、操作ロ
ッド52の弾性部52cも副チャンネル管22の長径方
向に張り出しており、張り出し部52dと同様の座屈防
止機能を果たす。
【0044】以上のようにして操作ロッド52が座屈す
ることなく前方に押し出されると、操作ロッド52の先
端に連結された開閉部材75が枢支軸74を中心に下側
(振動伝達部材51の先端部51aに接近する方向)に
回動し、開閉部材75に揺動可能に取り付けられた把持
部材82と振動伝達部材51の先端部51aとの間で組
織が把持される。この時、振動伝達部材51の先端部5
1aは図4に示されるように把持部材82から受ける力
によって下方へ撓むが、これに伴って把持部材82が枢
支ピン77を中心に開閉部材75に対して揺動するた
め、把持部材82は先端部51aに対して常に垂直に押
し付けられる。また、この時、先端部51aは把持部材
82の把持面82bの常に中心部に位置決めされる。す
なわち、本実施形態においては、先端部51aが円柱状
に形成されるとともに把持面82bが円弧状に形成さ
れ、しかも、把持面82bの曲率半径が先端部51aの
半径よりも大きく設定されている。また、把持部材82
の取付け部分82aと開閉部材75の側壁75a,75
bとの間には所定のクリアランスXが形成されており、
把持部材82は枢支ピン77に沿ってクリアランスXの
量だけ移動できる。したがって、振動伝達部材51の先
端部51aは、把持部材82との間で組織を把持した際
に傾いたり偏心した場合には、把持操作力によって円弧
状の把持面82bに沿って移動され、把持面82bの常
に中心部に位置決めされる。また、先端部51aの偏心
が円弧状の面同士の接触によって矯正しきれない場合に
は、把持部材82が把持操作力により枢支ピン77に沿
って平行に移動して先端部51aを把持面82bの中心
部に位置決めする。
【0045】なお、把持部材82の揺動は、把持部材8
2の張り出し部82dの上面が開閉部材75の各側壁7
5a,75bの下面に当接することにより規制される。
これにより、揺動角は好ましくは10°以下に設定され
る。
【0046】また、把持部材82と振動伝達部材51の
先端部51aとの間で組織を把持した際の先端部51a
の撓みは、2つのスペーサ66,67によって抑制され
る。すなわち、超音波振動の最先端の節の位置に配置さ
れたスペーサ66は、処置部10で組織が把持された際
に振動伝達部材51の先端側を下側から支持して上向き
の反力を発生させることにより、先端部51aの下方へ
の撓みを抑制する。一方、超音波振動の先端から2番目
の節の位置に配置されたスペーサ67は、処置部10で
組織が把持された際に振動伝達部材51の先端側を上側
から支持して下向きの反力を発生させることにより、振
動伝達部材51がスペーサ66による支持点の基端側で
上側に移動することを規制し、結果的に、スペーサ66
と協働して先端部51aの下方への撓みを抑制する。
【0047】以上のようにして、把持部材82と振動伝
達部材51の先端部51aとの間で組織が把持された
ら、図示しない超音波発振装置から超音波振動子43に
電力を供給し、超音波振動子43を振動させる。超音波
振動子43で発生した超音波振動は、ホーン44によっ
て増幅され、ホーン44に接続された振動伝達部材51
に伝達される。振動伝達部材51に伝達された超音波振
動は、さらに各ホーン44,51d、51bによって増
幅された後、先端部51aへと伝達される。
【0048】この場合、振動伝達部材51は、その外周
面に複数の支持体51fを有し、これらの支持体51f
が主チャンネル管21の内面に弾性的に押圧接触するこ
とにより、主チャンネル管21の中心部に保持されて主
チャンネル管21との接触が防止される。したがって、
振動エネルギは損失なく先端部51aに伝達される。特
に、本実施形態では、支持体51fが山形の断面形状を
成し且つ超音波振動の節の位置に配置されているため、
支持体51fと主チャンネル管21との接触面積が小さ
く、主チャンネル管21の内面と支持体51fとの間で
振動による摩擦熱が殆ど発生しない。したがって、振動
エネルギは略損失なく先端部51aに伝達される。
【0049】また、組織把持時に先端部51aが撓むこ
とによって振動伝達部材51と接触する各スペーサ6
6,67は、振動の節の位置に設けられ且つテフロン等
の摩擦係数の小さい材料によって形成されているため、
振動伝達部材51の超音波振動を阻害しない。すなわ
ち、スペーサ66,67と振動伝達部材51との間で振
動による摩擦熱が殆ど発生しない。したがって、振動エ
ネルギは略損失なく先端部51aに伝達される。
【0050】以上のようにして超音波振動が略損失なく
先端部51aに伝達されて先端部51aが振動される
と、先端部51aと接触する把持組織が超音波振動によ
る摩擦熱によって凝固もしくは切開される。この場合、
把持部材82が前述した揺動によって先端部51aに対
して垂直に押し付けられるため、把持部材82の全長に
わたって組織が確実に凝固・切開される。また、把持面
82bと先端部51aとが互いに円弧状の面をもって狭
い面積で接触するため、単位面積当たりの荷重が大きく
なり、摩擦のための垂直抗力が大きくなる。したがっ
て、摩擦熱が効果的に発生し、凝固・切開能力が向上す
る。
【0051】なお、処置中、必要に応じて挿入シース部
31を操作部6に対して回転させることができる。すな
わち、回転ノブ32を回転操作すると、これに連結され
た回転部材12cと、回転部材12cと螺合する連結筒
20bに位置決めピン20eを介して回り止め固定され
た伝達部材58と、連結筒20bに固定された外套管2
0とがそれぞれ一体となって回転する。この場合、伝達
部材58に連結された操作ロッド52も伝達部材58
(外套管20)とともに回転するため、操作ロッド52
が外套管20内で捩じられることが防止される。また、
一般に、挿入シース部31を操作部6に対して回転させ
ると、振動伝達部材51の先端部51aが偏心または傾
斜している場合には、先端部51aと把持部材82の把
持面82bとの当接部が回転前と後とで異なってしま
い、組織の把持状態が変化してしまう。しかしながら、
本実施形態では、前述したように先端部51aが把持部
材82の把持面82bの中心部に常に位置決めされるた
め、組織を安定且つ効率良く処置することができる。ま
た、開閉部材75は、生体組織を剥離する剥離子として
使用することもできる。この場合、開閉部材75とジョ
ー78と把持部材82の各背面(上面)に組織が接する
ため、把持部材82の揺動が剥離操作に影響を及ぼすこ
とはない。
【0052】以上のようにして組織の処置が完了した
ら、可動ハンドル14を手元側に回動操作して、操作ロ
ッド52を手元側に牽引操作する。これにより、開閉部
材75は、枢支軸74を中心として上側(振動伝達部材
51の先端部51aから離間する方向)に回動し、先端
部51aに対する押し付け力を解放する。この時、操作
ロッド52の先端連結部52aは円弧を描いて下方に移
動する。この移動は操作ロッド52全体を下方に引き付
けるが、弾性部52cが弾性変形によって湾曲するた
め、操作ロッド52の先端部近傍のみが移動するに留ま
る。また、この場合、弾性部52cは副チャンネル管2
2と干渉しない。これは、弾性部52cが偏平な形状を
成し副チャンネル管22との間に十分な隙間を形成して
いるためである。
【0053】一方、使用済みの超音波処置装置1を洗滌
する場合には、図2に示されるように、超音波処置装置
1をハンドルユニット2とプローブユニット3と振動子
ユニット4とに分解する。この場合、ハンドルユニット
2からプローブユニット3と振動子ユニット4とを一体
として取り外した後、プローブユニット3と振動子ユニ
ット4とを分離する。
【0054】主チャンネル管21の洗滌は、ハンドルユ
ニット2の操作部6からプローブユニット3を取り外す
ことによって開放された主チャンネル管21内に洗滌液
を流したり、主チャンネル管21内にブラシを挿入する
ことによって行なわれる。また、ハンドルユニット2か
らプローブユニット3を取り外すと、副チャンネル管2
2も開放されるため、副チャンネル管22内に洗滌液を
流せば、副チャンネル管22の洗滌も可能となる。この
場合、副チャンネル管22内には操作ロッド52が挿入
されたままの状態となっているが、操作ロッド52は、
断面が円形の本体部分のみが偏平形状の副チャンネル管
22の内面と接し、弾性部52cおよび張り出し部52
dが副チャンネル管22と接触することなく副チャンネ
ル管22内に浮いた状態で保持されているため、副チャ
ンネル管22と操作ロッド52との間には、副チャンネ
ル管22の全長にわたって、洗滌するには十分な隙間か
らなる流通路が確保される。したがって、副チャンネル
管22内に導入された洗滌液は、副チャンネル管22の
全長にわたって流れ、副チャンネル管22を確実に洗滌
する。
【0055】以上説明したように、本実施形態の超音波
処置装置1では、操作ロッド52と開閉部材75とが開
閉部材75の回動支点である枢支軸74の上側で回動可
能に連結され、操作ロッド52が前方に押し出されるこ
とにより、開閉部材75が下方に回動されて、処置部1
0が閉じる。すなわち、操作ロッド52の前方への押し
出し操作によって開閉部材75が下方に回動されるよう
に処置部10のリンク機構が構成されている。したがっ
て、枢支軸74を挿入シース部31(保持部材70)の
外周部ではなく内部側に位置させて支持することがで
き、先端作用部5の強度と耐久性を高く維持することが
できるとともに、リンクの長さを十分に確保することが
できる。
【0056】また、本実施形態では、操作ロッド52を
進退させるための機構として可動ハンドル14が設けら
れ、可動ハンドル14の回動支点であるハンドル枢支軸
17と、操作力が付与される力点となる可動ハンドル1
4の指掛け部16との間に、操作ロッド52に対する操
作力の入力部(係合ピン19と伝達部材58との係合
部)となる作用点が位置されている。具体的には、挿入
シース部31の長手中心軸よりも上側にハンドル枢支軸
17が設けられ、挿入シース部31の長手中心軸上もし
くはその近傍に伝達部材58と係合する係合ピン19が
可動ハンドル14に固定して設けられ、可動ハンドル1
4が挿入シース部31の下側に向かって延びて指掛け部
16を形成している。したがって、可動ハンドル14を
前進させると、可動ハンドル14に設けられた係合ピン
19がハンドル枢支軸17を中心とした円弧を描くよう
に前方に移動し、それに伴って、操作ロッド52が副チ
ャンネル管22内で前方に押し出される。そのため、可
動ハンドル14の操作方向を操作ロッド52の進退方向
に一致させるためのリンク機構を設ける必要がなくな
る。これにより、リンクの支点およびリンクの両端にお
いて力の伝達に伴う摩擦抵抗が存在しない。また、リン
クの対偶の数が減少することにより、動作に必要な隙間
を要する部分が減り、結果として全体のガタが小さくな
る。また、部材の数が減ることにより弾性変形する部分
も少なくなり、結果として全体の弾性変形量が少なくな
る。これらの作用効果は、ハンドル操作と先端の処置部
10の動作との対応を正確にし、操作感の向上に寄与す
る。また、可動ハンドル14の全長が梃子の支点から力
点までの距離に相当するため、限られたハンドル14の
長さを有効に利用して大きな操作力(回転トルク)を発
生させることができる。あるいは、ハンドル14を小型
化しても十分な操作力を発生させることが可能となるた
め、処置中にハンドル14が患者の体と干渉することが
少なくなり、操作性および安全性の向上を図ることがで
きる。また、可動ハンドル14の回動操作時における指
掛け部16の旋回軌跡は、大きい半径の円弧となって直
線運動する手の指の動きと略合致するため、違和感なく
ハンドル操作を行なうことができる。
【0057】また、このような可動ハンドル14の特性
は、超音波処置装置1に対して有利に働く。すなわち、
超音波処置装置は、不可避的に、可動ハンドル14の後
方に振動子ユニット4が突き出す構造となる。したがっ
て、可動ハンドル14の旋回支点が振動子ユニット4の
下側に位置していると、可動ハンドル14を大きく開い
た時に可動ハンドル14が振動子ユニット4に接近して
術者の手と振動子ユニット4とが干渉し易くなる。これ
に対し、本実施形態の構成では、可動ハンドル14が大
きい半径の円弧を描いて後方に移動する動作を行なうた
め、可動ハンドル14と振動子ユニット4との間隔がさ
ほど減少しない。したがって、術者の手が振動子ユニッ
ト4と干渉することが少なくなり、操作性が良くなる。
【0058】図13は操作ロッドの変形例を示してい
る。なお、図13および以下の説明において、前述した
実施形態と同一の構成部分については、同一符号を付し
てその説明を省略する。
【0059】図13に示されるように、この変形例に係
る操作ロッド52Aは帯状の板材93からなる。開閉部
材75に連結される先端連結部52aを形成するため
に、板材93の先端部は90度捻じ曲げられている。板
材93の先端側の幅は先端連結部52aの幅と同一に設
定され、先端側を除く板材93の部位の幅は、伝達部材
58に連結される基端連結部52eの幅と同一に設定さ
れている。このような構成によれば、前述した実施形態
における操作ロッド52と同様の作用効果を得ることが
できるとともに、構造が簡単になるため、製造コストを
低く抑えることが可能となる。
【0060】図14は先端作用部の変形例を示してい
る。なお、図14および以下の説明において、前述した
実施形態と同一の構成部分については、同一符号を付し
てその説明を省略する。
【0061】図14の(a)(b)に示されるように、
この変形例に係る先端作用部5Aにおいて、開閉部材7
5の基端側接続部75cは、枢支ピン77の近傍まで延
びている。また、図14の(c)に示されるように、把
持部材82の取付け部分82aは、一対のジョー78に
よって挟持されつつ、開閉部材75のスリット34内に
挿入されている。このような構成によれば、枢支ピン7
7の近傍まで延びる基端側接続部75cによって、枢支
ピン77が支持される開閉部材75の部位の強度が増
す。そのため、図11の(b)に示されるようなカラー
部材77aが不要となり、加工も容易となる。
【0062】図15は主チャンネル管21に対するスペ
ーサ67の取付け形態の第1の変形例を示している。な
お、図15および以下の説明において、前述した実施形
態と同一の構成部分については、同一符号を付してその
説明を省略する。
【0063】図15の(b)に示されるように、この変
形例に係る主チャンネル管21Aには、その外周面の一
部にU字型の切り込み90を入れることによって、舌状
の係止片21aが形成されている。この係止片21a
は、弾性的に付勢されて内側に曲げられている。一方、
スペーサ67の外周面には、図15の(a)に示される
ように、環状の係合溝67aが形成されている。
【0064】主チャンネル管21にスペーサ67を取付
ける場合には、まず、主チャンネル管21内にスペーサ
67を挿入する。係止片21aが形成されている主チャ
ンネル管21内の部位までスペーサ67が挿入される
と、スペーサ67の外周面によって係止片21aが径方
向外側に付勢されて押し出されるが、係合溝67aが係
止片21aと合致する位置までスペーサ67が挿入され
ると、係止片21aが係合溝67aに弾性的に係合し
て、スペーサ67が主チャンネル管21内で軸方向に位
置決めされる。なお、係止片21aと係合溝67aとの
係合部に接着剤またはシール剤が充填されることによ
り、主チャンネル管21内が外部に対してシールされ
る。
【0065】このような構成によれば、主チャンネル管
21に対するスペーサ67の組み付けが容易になる。
【0066】図16は主チャンネル管21に対するスペ
ーサ67の取付け形態の第2の変形例を示している。な
お、図16および以下の説明において、前述した実施形
態と同一の構成部分については、同一符号を付してその
説明を省略する。
【0067】本変形例においても、スペーサ67は、前
述した実施形態と同様、スペーサ67と主チャンネル管
21とに形成された係合孔67bを貫通する2つの固定
ピン23,23によって、主チャンネル管21に対して
位置決め固定されている。この場合、2つの固定ピン2
3,23(係合孔67b,67b)は、主チャンネル管
21の中心軸よりも上側の位置で、互いに周方向に90
度離間した状態で設けられている。また、本変形例にお
いて、各固定ピン23,23の頭部は、前述した実施形
態よりも大きく形成されており、外套管20の内面と接
している。
【0068】このような構成によれば、固定ピン23が
大きく形成されているため、固定ピン23の加工や取り
扱いが容易となる。また、外套管20、主チャンネル管
21、副チャンネル管22の位置決めに固定ピン23を
使用することもできる(この点は前述した実施形態にお
いても同じ)ため、組立性が向上する。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超音波処
置装置によれば、組織を把持して処置する把持部側の強
度と耐久性を高く維持することができるとともに、可動
ハンドルの操作方向を操作ロッドの進退方向に一致させ
るための機構を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波処置装置の組
立時の側面図である。
【図2】図1の超音波処置装置の分解時の側面図であ
る。
【図3】図1の超音波処置装置の挿入シース部の先端側
の側断面図である。
【図4】図1の超音波処置装置の処置部の閉状態を示す
側面図である。
【図5】(a)は図1の超音波処置装置の先端側の一部
断面を含む平面図(上面図)、(b)は図1の超音波処
置装置の先端側の側断面図である。
【図6】図1の超音波処置装置の操作部側の縦断面図で
ある。
【図7】図1の超音波処置装置の操作部側の横断面図で
ある。
【図8】図6のA−A線に沿う断面図である。
【図9】(a)は図1の超音波処置装置を構成する振動
伝達部材の側面図、(b)は(a)の振動伝達部材の支
持体の部位の拡大断面図である。
【図10】図1の超音波処置装置の挿入シース部の側断
面図である。
【図11】(a)は図10のB−B線に沿う断面図、
(b)は図10のC−C線に沿う断面図、(c)は図1
0のD−D線に沿う断面図、(d)は図10のE−E線
に沿う断面図、(e)は図10のF−F線に沿う断面
図、(f)は図10のG−G線に沿う断面図、(g)は
図10のH−H線に沿う断面図、(h)は図10のI−
I線に沿う断面図、(i)は図10のJ−J線に沿う断
面図である。
【図12】図1の超音波処置装置を構成する操作ロッド
の平面図、(b)は(a)の操作ロッドの側面図であ
る。
【図13】変形例に係る操作ロッドの平面図、(b)は
(a)の操作ロッドの側面図である。
【図14】(a)は変形例に係る先端作用部の断面図、
(b)は(a)の先端作用部の側面図、(c)は(a)
のK−K線に沿う断面図である。
【図15】(a)は主チャンネル管に対するスペーサの
取付け形態の第1の変形例に係る挿入シース部の断面図
(図10のI−I線での断面位置に相当)、変形例に係
る主チャンネル管の断面図である。
【図16】主チャンネル管に対するスペーサの取付け形
態の第2の変形例に係る挿入シース部の断面図(図10
のI−I線での断面位置に相当)である。
【符号の説明】
1…超音波処置装置 13…固定ハンドル 14…可動ハンドル 16…指掛け部 17…ハンドル枢支軸 19…係合ピン 20…外套管 31…挿入シース部 43…超音波振動子 51…振動伝達部材 51a…先端部 52…操作ロッド 75…開閉部材 82…把持部材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波振動を発生する超音波振動子と、 超音波振動子に接続され、超音波振動子で発生した超音
    波振動を伝達する振動伝達部材と、 振動伝達部材が挿通されるシースと、 シースの先端に回動可能に取り付けられ、シースの先端
    から突出する振動伝達部材の先端部との間で組織を把持
    する把持部材と、 把持部材を、振動伝達部材の先端部と当接する閉位置と
    前記先端部から離間する開位置との間で回動させる操作
    手段とを具備し、 前記操作手段は、シースの基端側に設けられた固定ハン
    ドルと、固定ハンドルに回動可能に取り付けられ且つシ
    ースの先端側に向かう前方への回動によって固定ハンド
    ル側に接近する可動ハンドルと、可動ハンドルと把持部
    材とを接続し且つシース内に挿通された操作ロッドとを
    備え、 可動ハンドルから操作ロッドに対して操作力が入力され
    る作用点は、可動ハンドルの回動支点と、操作力が付与
    される力点となる可動ハンドルの指掛け部との間に位置
    され、 前記操作ロッドは、前記操作力によりシース内で先端側
    に押し出し操作されることによって把持部材が前記閉位
    置へと回動するように、把持部材に対して連結されてい
    ることを特徴とする超音波処置装置。
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