JP3235217B2 - 熱交換器のフィン - Google Patents

熱交換器のフィン

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱交換器のフィンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、多数枚のフィンを整列させ、その
整列せられたフィンに上下2段に通水パイプを通した熱
交換器においては、燃焼部に近い側にある下段の通水パ
イプへの吸熱が大となりやすく、このため例えば暖房用
の熱交換器等、通水パイプを通る水を全体として高温に
熱交換する必要がある場合においては、上下における吸
熱度合いのアンバランスから、下段の通水パイプ内にお
いて局部的な沸騰が生じる問題があった。熱交換器のフ
インの発明としては、例えば、従来、実開平3−546 号
公報に記載の発明、実開平3−93360 号公報に記載の発
明が提供されている。前記実開平3−546 号公報に記載
の発明のフィンでは、通水パイプ挿通穴が上下2段に複
数列形成され、この各4つの挿通穴で囲まれた領域の中
心にバーリング穴が形成され、その各バーリング穴の下
方に下縁から比較的小さい切り欠き溝が形成されてい
る。また実開平3−93360 号公報に記載の発明のフィン
では、通水パイプ挿通穴が上下2段に千鳥状に複数列形
成され、下段の通水パイプ挿通穴の上方で各3つの挿通
穴で囲まれた領域の中心にバーリング穴が形成されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記実開平3
−546 号公報に記載の発明のフィンでは、フィン下縁か
らの切り欠き溝の切り欠き深さが小さく、しかもバーリ
ング穴が下段側の挿通穴に近いこと等から、下段側と上
段側での吸熱の均等化が十分でなかった。また上記実開
平3−546 号公報に記載の発明のフィンにおいても、フ
ィン下縁からの切り欠き溝の切り欠き深さが小さく、し
かもバーリング穴が下段の通水パイプ挿通穴の真上にあ
る等から、下段側と上段側での吸熱の均等化が十分でな
かった。
【0004】そこで本発明は、上記従来における熱交換
器のフィンの欠点を解消し、上下2段で複数列に配され
る通水パイプに対して、上段側と下段側での吸熱が均等
化できる熱交換器のフィンの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の熱交換器のフィンは、熱交換用通水パイプの挿通穴
を上下方向には同一直線上に一定の間隔をもって2段に
配すると共に水平方向にも一定間隔をもって複数列に配
したフィンであって、このフィンを複数枚整列した状態
で前記挿通穴に熱交換用通水パイプが挿通されることで
熱交換器を構成するものにおいて、下段にある各挿通穴
の中間部に、下縁から上下の挿通穴の中央高さまで切り
込んだ切り込み溝を形成すると共に、該各切り込み溝の
上方で且つ上段にある各挿通穴の中間部にバーリング穴
を形成したことを特徴としている
【0006】
【作用】上記本発明の特徴によれば、下段にある各挿通
穴の中間部に下縁から上下の挿通穴の中央高さまで切り
込んだ切り込み溝を形成することで、第1の作用とし
て、下方からの熱気の一部はフィンの下部では吸熱され
ることなく切り込み溝を上昇し、切り込み溝の上部、即
ちフィンの中央部以上で吸熱されやすくなる。また前記
深い切り込み溝の縁から下段の熱交換用通水パイプの上
半部側にも伝熱しやすくなる。また第2の作用として、
切り込み溝の上方で且つ上段にある各挿通穴の中間部に
バーリング穴を形成したので、前記切り込み溝を上昇し
てきた熱気がバーリング穴の抵抗により側方へ迂回
、その結果、上段の熱交換用通水パイプに熱気が十分
に当たると共にその付近のフィンへの吸熱が促進され
【0007】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例を示す熱交換器
のフィンの要部の正面図、図2は図1のA−A矢符方向
からみた熱交換器の断面図、図3は図1のB−B矢符方
向からみた熱交換器の断面図、図4は本発明の第2の実
施例を示す熱交換器のフィンの要部の正面図、図5は図
4のA−A矢符方向からみた熱交換器の断面図、図6は
図4のB−B矢符方向からみた熱交換器の断面図であ
る。
【0008】図1から図3において、各フィン10が複数
枚整列され、これに上下2段に熱交換用通水パイプ21、
22が複数列で挿通されることで、熱交換器が構成され
る。各フィン10には前記熱交換器用通水パイプ21、22を
挿通させるために、上下に挿通穴11、12が複数列形成さ
れている。前記上下の挿通穴11、12は上下方向の同一直
線上に一定の間隔をもって形成されている。また各挿通
穴11、12の水平方向の間隔(列間隔)も一定とされてい
る。そしてこの各挿通穴11、12はフランジ11a、12aを
有するバーリング穴に構成されている。各挿通穴11、12
の上部には前記フランジ11a、12aに隣接して通水パイ
プ21、22を挿通、ロウ付けするためのロウ付け穴30が形
成されている。
【0009】前記下段にある各挿通穴12の中間部には、
フィン下縁10bから上下の挿通穴11、12の中央高さまで
切り込んだ切り込み溝40を形成している。この切り込み
溝40の幅は例えば、各挿通穴12間の距離を3分割した程
度の寸法とする。さらに前記各切り込み溝40の上方で上
段にある各挿通穴11の中間部にバーリング穴50を形成し
ている。このバーリング穴50のフランジ50aの高さは例
えば前記各挿通穴11、12のフランジ11a、12aの高さと
同じ寸法とし、各フィン10が整列せられる際にフランジ
50aが隣接のフィン10に接するようにする。また各バー
リング穴50の幅は例えば各挿通穴11間の距離を3分割し
た程度の寸法とする。
【0010】下方の図示しない燃焼室から上昇してくる
熱気は、下段の各通水パイプ22及び各下段の挿通穴12の
下方にあるフィン領域に接して伝熱するが、一方、熱気
の一部は各挿通穴12の中間を上昇し、切り込み溝40に沿
って、伝熱することなく上昇し、切り込み溝40の上部、
即ちフィンの中央部以上でフィンに吸熱される。これに
よって、下段側の通水パイプ22に対するフインを介して
の伝熱度合いが低下せられる。と同時に切り込み溝の上
部、即ちフィンの中央部以上で吸熱されやすくなる。勿
論、下段の通水パイプ22自身についても、該下段の通水
パイプ22の下半部側への伝熱比率が減り、切り込み溝40
の縁から下段の通水パイプ22の上半部側への伝熱比率が
増加するので、局部加熱度合いが減少せられる。前記各
挿通穴12(各下段の通水パイプ22)間を上昇してきた熱
気は、前記バーリング穴50のフランジ50aが抵抗とな
り、そのまま上方へ排出されるのが妨げられ、側方へ迂
回せられて上段の通水パイプ21に熱気が十分に当たると
共にその付近のフィン領域への吸熱が促進される。
【0011】図4から図6において、第2の実施例を説
明する。複数枚整列されたフィン10に上下2段の熱交換
用通水パイプ21、22が複数列で挿通されて熱交換器が構
成され、各フィン10には上下2段に挿通穴11、12が複数
列形成され、上下の挿通穴11、12は上下方向の同一直線
上に一定の間隔をもって形成され、各挿通穴11、12の水
平方向の間隔(列間隔)も一定とされ、各挿通穴11、12
はフランジ11a、12aを有するバーリング穴に構成さ
れ、フランジ11a、12aに隣接してロウ付け穴30が形成
されている。さらに下段にある各挿通穴12の中間部に
は、下縁から上下の挿通穴11、12の中央高さまで切り込
んだ切り込み溝40を形成している。この切り込み溝40の
幅は各挿通穴12間の距離を3分割した程度としている。
以上は第1の実施例と同様である。
【0012】第2実施例では、各切り込み溝40の上方で
且つ上段の各挿通穴11の中間の上方にあるフィン上縁10
aにフランジ60a付の円弧状切り込み60を形成してい
る。該円弧状切り込み60のフランジ60aの高さは例えば
前記各挿通穴11、12のフランジ11a、12aの高さと同じ
寸法とし、各フィン10が整列せられる際にフランジ60a
が隣接のフィン10に接するようにする。また各フランジ
60aの幅は例えば各挿通穴11間の距離に相当する寸法と
する。
【0013】前記切り込み溝40の形成による作用効果は
上記第1の実施例において説明した作用効果と同様であ
る。また本実施例では、フィン上縁10aにフランジ60a
付の円弧状切り込み60を形成することで、下方から上段
の通水パイプ21に接することなくその間を上方へ抜けよ
うとする熱気はフランジ60aによって確実に通路を遮ら
れ、上段の通水パイプ21付近で停滞すると共に上段の通
水パイプ21の周方向にガイドされ、通水パイプ21に接し
ながら通水パイプ21の真上方向へ排出される。よって上
段の通水パイプ21への直接的伝熱及び上段の挿通穴11付
近のフィン領域への伝熱が増大し、その結果、上段の通
水パイプ21が全周に渡って十分加熱され、また上下段の
通水パイプ21、22への伝熱量の均一化が達成される。
【0014】
【発明の効果】本発明は以上の構成、作用よりなり、請
求項1に記載の熱交換器のフィンによれば、下段にある
各挿通穴の中間部に、下縁から上下の挿通穴の中央高さ
まで切り込んだ切り込み溝を形成すると共に、該各切り
込み溝の上方で且つ上段にある各挿通穴の中間部にバー
リング穴を形成したので、下段側の通水パイプへの伝熱
量を減らすと共に上段側の通水パイプへの伝熱量を増や
すことができ、上下段の通水パイプ間における吸熱量を
均一化することができる。また下段の通水パイプに対す
る上半部と下半部での伝熱量の差を減じて均一化するこ
とができる。よってこれらより、通水パイプ内での局部
的な沸騰も防止することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す熱交換器のフィン
の要部の正面図である。
【図2】図1のA−A矢符方向からみた熱交換器の断面
図である。
【図3】図1のB−B矢符方向からみた熱交換器の断面
図である。
【図4】本発明の第2の実施例を示す熱交換器のフィン
の要部の正面図である。
【図5】図4のA−A矢符方向からみた熱交換器の断面
図である。
【図6】図4のB−B矢符方向からみた熱交換器の断面
図である。
【符号の説明】
10 フィン 11、12 挿通穴 11a、12a フランジ 21、22 通水パイプ 40 切り込み溝 50 バーリング穴 50a フランジ 60 円弧状切り込み 60a フランジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−38595(JP,A) 実開 平3−546(JP,U) 実開 平4−8045(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F28F 1/00 - 1/42 F24H 9/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱交換用通水パイプの挿通穴を上下方向
    には同一直線上に一定の間隔をもって2段に配すると共
    に水平方向にも一定間隔をもって複数列に配したフィン
    であって、このフィンを複数枚整列した状態で前記挿通
    穴に熱交換用通水パイプが挿通されることで熱交換器を
    構成するものにおいて、下段にある各挿通穴の中間部
    に、下縁から上下の挿通穴の中央高さまで切り込んだ切
    り込み溝を形成すると共に、該各切り込み溝の上方で
    上段にある各挿通穴の中間部にバーリング穴を形成し
    たことを特徴とする熱交換器のフィン。
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