JP3235184U - ジョイント止水構造 - Google Patents

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雄治 箱崎
光政 丸田
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中井商工株式会社
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Abstract

【課題】耐久性及び止水性能を向上することが可能なジョイント止水構造を提供する。【解決手段】ジョイント止水構造1は、道路基盤2の端面となるウエブ面14が対向した遊間4に、バックアップ材6が配設され、このバックアップ材6上に止水材7が充填され、止水材7の上面が遊間4上端よりも低く形成された構成を有する。前記止水材7は、バックアップ材6上面を覆う充填部71と、充填部71上部のウエブ面14全体を覆うように充填部71の両側部から連続して該ウエブ面14に沿って立ち上がったタッチアップ部72とを有し、全体として凹状に形成されている。前記止水材7は、シリコーンシール材により形成されている。【選択図】図2

Description

本考案は、高架道路や橋梁等の道路基盤の伸縮を許容するジョイント部におけるジョイント止水構造に関する。
高速道路等の高架道路や橋梁等の道路基盤の継ぎ目には、季節の温度変化による伸縮を許容するため、道路基盤の端面となるウエブ面が対向した遊間にジョイント部が設けられている。ジョイント部には、雨水が道路基盤内に浸入しないように止水構造が設けられてる。図6に示すように、従来のジョイント部3の止水構造101は、遊間4にバックアップ材106が配設され、このバックアップ材106上に止水材107が充填された構成を有する。
実用新案登録第3155525号公報
前記従来のジョイント部3は、上面に串歯状のフェースプレートを設けないジョイント部であり、遊間4上部が道路面に露出している。止水材107は、夏季に遊間4が狭くなったときに圧縮されて道路面よりも上方に突出して走行車両によって損傷を受けないように遊間4上端より低く形成されて凹溝状となっており、止水材107上部のウエブ面14が外部にさらされている。このジョイント部3の凹溝には、砂埃等の異物が溜まりやすい。そのため、異物等によって止水材107上部のウエブ面14が劣化されやすく、また、止水材107とウエブ面14との間の接着性が低下しやすい構造であった。
本考案は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、耐久性及び止水性能を向上することが可能なジョイント止水構造を提供することを目的とする。
本考案に係るジョイント止水構造は、
道路基盤の伸縮を許容するジョイント部の止水構造であって、
道路基盤の端面となるウエブ面が対向した遊間に、バックアップ材が配設され、このバックアップ材上に止水材が充填され、止水材の上面が遊間上端よりも低く形成された構成を有し、
前記止水材は、バックアップ材上面を覆う充填部と、充填部上部のウエブ面全体を覆うように充填部の両側部から連続して該ウエブ面に沿って立ち上がったタッチアップ部とを有し、全体として凹状に形成されているものである。
前記止水材は、シリコーンシール材により形成することができる。
前記ウエブ面は、道路基盤に設けられた鋼材の金属面にタッチアップ塗装層とシリコーン系塗料によるプライマー塗装層とがこの順に形成されており、
前記止水材のタッチアップ部は、前記プライマー塗装層上に形成された構成とすることができる。
前記止水材における充填部とタッチアップ部との間のコーナ部表面は、R状の曲面形状に形成された構成とすることができる。
以上のように、本考案に係るジョイント止水構造によれば、止水材において充填部の両側部から連続して充填部上部のウエブ面を覆うタッチアップ部を形成することにより、ジョイント部の伸縮を妨げることなく、止水材の耐久性及び止水性能を向上することができる。
実施形態における道路基盤のジョイント部を示す斜視図である。 実施形態によるジョイント止水構造を示す断面図である。 充填部とタッチアップ部との間のコーナ部を示す拡大断面図である。 タッチアップ部を形成するための一施工例を示す施工図である。 実施形態における止水材の引張試験の様子を示した写真である。 従来のジョイント止水構造を示す断面図である。
以下に、本考案の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、実施形態によるジョイント止水構造1は、高速道路等の高架道路や橋梁等の道路基盤2の伸縮を許容するジョイント部3における止水構造1である。このジョイント部3は、上面に串歯状のフェースプレート(フィンガープレートとも呼ばれる。)が設置されていない簡易鋼製ジョイントである。ジョイント部3は、道路基盤2の継ぎ目における端面同士が対向し離間した遊間4を有する。道路基盤2の端面は、鉛直に立ち上がったウエブ面14を構成する。遊間4は、波形の凹溝状に形成され、遊間4上部が波形を呈して道路面に露出されている。ジョイント部3を構成する道路基盤2の端部には、道路基盤2を形成するコンクリートに鋼材5が埋設され、鋼材5の金属面51が道路基盤2の端面に配設されている。
図2、図3に示すように、ジョイント部3の止水構造1は、道路基盤2の遊間4に配設されたバックアップ材6と止水材7とによって形成される。バックアップ材6は、長尺な円柱状のスポンジ材により形成されている。バックアップ材6のスポンジ材として、例えば、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタン等が使用される。バックアップ材6は、遊間4の上部に空間を有するように配設される。このバックアップ材6は、ウエブ面14には接着されず、遊間4に嵌め込まれているだけである。遊間4が広がったときにバックアップ材6が下方に落下して所定位置に配設されなくなり得るが、止水材7が遊間4に配設されている限り、ジョイント部3の止水性能に影響することはない。
止水材7は、バックアップ材6の上面から両側のウエブ面14を覆うように全体として凹状に形成される。止水材7の上面は、遊間4上端よりも低く形成されている。これにより、夏季に道路基盤2が延びて遊間4が狭くなったときに、止水材7が圧縮されて道路面よりも上方に突出して走行車両によって損傷を受けることはない。
また、止水材7は、多くがポリブタジエン系シール材で形成されていたが、本実施形態の止水材7は、シリコーンシール材により形成される。シリコーンシール材は、シロキサン化合物の架橋体を主成分とする合成高分子化合物である。シリコーンシール材は、2液硬化型の材料を用いることができる。シリコーンシール材で形成した止水材7は、熱や日光や雨水等に対して高い耐久性及び耐候性を持つことができる。シリコーンシール材の止水材7は、ポリブタジエン系シール材の止水材7よりも、高い引張伸び率を有し、且つ、ウエブ面14に対する接着力を高めることができる。これにより、ジョイント部3が伸縮を繰り返すことで止水材7がウエブ面14から剥がれたりき裂や破損等が発生することを抑制できる。従って、シリコーンシール材で形成した止水材7によれば、耐久性、耐候性、止水性能に優れた止水構造1を実現できる。本考案者は、本実施形態のジョイント止水構造1(図2)の止水材7をシリコーンシール材(DOWSIL 902RCS、東レ・ダウコーニング社製)で形成したものについて引張試験を行ったところ、図5に示す写真を参照して、引張率1100%でも止水材7の剥がれ、き裂、破損等が見られず、ウエブ面14に接着した状態にあることを確認した。
また、バックアップ材6は、止水材7を形成するシリコーンシール材と接着し難い材質である発泡ポリエチレンのスポンジ材を用いるのが好ましい。これにより、バックアップ材6が止水材7に強固に接着して止水材7の伸縮を妨げることがない。
止水材7は、バックアップ材6上面を覆う充填部71と、対向する各ウエブ面14に付着させたタッチアップ部72とが連続した構成を有する。
充填部71は、充填部71上面が略水平な状態となってバックアップ材6の上面を完全に覆い、所定の強度が確保される厚さに形成されている。また、充填部71は、遊間4におけるバックアップ材6の上部空間の全部に充填形成されるのではなく、充填部71上面が遊間4上端よりも低く形成されている。これにより、遊間4が狭くなっても止水材7が道路面から上方に突出することがない。例えば、充填部71の厚さは、充填部71上面からバックアップ材6の最上端までの厚さを10mm程度とし、充填部71の上部空間は、遊間4上端から充填部71上面までの距離が20mm程度の空間を設ける。
タッチアップ部72は、充填部71の両側部から連続してウエブ面14に沿って略垂直に立ち上がり、充填部71上部のウエブ面14全体を覆うように形成されている。このタッチアップ部72によって、道路面に露出する充填部71上部のウエブ面14が保護される。これにより、ウエブ面14の錆や劣化や破損等が抑制されウエブ面14の耐久性が向上する。また、タッチアップ部72を形成することで、ウエブ面14に対する止水材7の接着面積が増える。これにより、止水材7とウエブ面14との接着性が高められ、止水材7による止水性能が向上し、且つ、ウエブ面14からの止水材7の剥がれが抑制され、止水材7の耐久性が向上する。従って、ジョイント部3の止水性能を長期間持続することができ、ジョイント部3の耐用年数を延ばすことができる。よって、ジョイント部3の補修工事の頻度を少なくすることができる。また、タッチアップ部72は、ウエブ面14上に所定の厚さで層状に形成したものであるから、ジョイント部3の伸縮に伴った充填部71の伸縮性を妨げることもない。
また、図3に示すように、充填部71とタッチアップ部72との間のコーナ部73表面は、R状の曲面形状に形成されている。これにより、止水材7のコーナ部73には、ジョイント部3の伸縮によって応力が集中せず分散される。従って、止水材7のコーナ部73でのき裂や破損等の発生が抑制され、止水材7の耐久性が向上する。
また、道路基盤2の端面となるウエブ面14は、鋼材5の金属面51に、タッチアップ塗装層81とプライマー塗装層82とがこの順に形成されている。タッチアップ部72を含む止水材7は、ウエブ面14のプライマー塗装層82上に形成されている。タッチアップ塗装層81は、例えば、アクリルウレタン樹脂系塗料などにより塗布形成される。プライマー塗装層82は、シリコーン系塗料により塗布形成される。タッチアップ塗装層81によって、金属面51で形成するウエブ面14を保護し、ウエブ面14の耐久性を向上することができる。プライマー塗装層82によって、ウエブ面14と止水材7のタッチアップ部72との接着性を向上することができる。特に、プライマー塗装層82と止水材7とをシリコーン系の素材で形成することにより、ウエブ面14と止水材7のタッチアップ部72との接着力を高めることができる。従って、止水材7による止水性能、耐久性を向上することができる。
以上の構成の止水材7を形成するには、遊間4にバックアップ材6を嵌め込んだ後、止水材7となる2液硬化型の液状のシリコーンシール材をバックアップ材6の上に流し込む。なお、バックアップ材6を嵌め込む前に鋼材5の金属面51にはタッチアップ塗装層81を塗布形成し、バックアップ材6を嵌め込んだ後にタッチアップ塗装層81上にプライマー塗装層82を塗布形成しておく。補修工事の場合は、既設の止水材及びバックアップ材を取り除いた後、金属面51に対してケレンを行ってからタッチアップ塗装層81を塗布形成する。
止水材7を形成するためのシリコーンシール材の充填作業は、図4に示すように、充填用ガンによって液状のシリコーンシール材を遊間4上端からウエブ面14に沿って垂らすように流す。これにより、液状のシリコーンシール材が高い粘度を有するので、ウエブ面14には十分な厚さを有するタッチアップ部72が形成される。このようにして対向する各ウエブ面14に沿って液状のシリコーンシール材を流し込み、ウエブ面14に付着するタッチアップ部72と、バックアップ材6の上面全体を覆う充填部71とを形成することができる。なお、必要に応じて、バックアップ材6の中央部に、充填用ガンで液状のシリコーンシール材を流し込んで充填部71を形成するようにしてもよい。その後、一定時間放置して、液状のシリコーンシール材が自然乾燥し硬化することで、充填部71及びタッチアップ部72を有する凹状の止水材7の形成が完了する。タッチアップ部72と充填部71が乾燥硬化するのに要する時間は短い。従って、止水構造1の工事時間が長くなることもなく、タッチアップ部72を形成しない従来の止水構造の工事時間とあまり変わりなく、一晩のうちに工事を完了させることも可能である。よって、既設のジョイント部3の補修工事として、本考案のジョイント止水構造1に取り換える場合でも、工事時間が長くなることはなく、また、本考案のジョイント止水構造1では耐用年数を延ばすことができ、補修工事の頻度を少なくできるメリットが得られる。
以上のように本実施形態に係るジョイント止水構造1によれば、止水材7には充填部71上部のウエブ面14にタッチアップ部72を形成することにより、ジョイント部3の伸縮を妨げることなく、止水材7の耐久性、耐候性及び止水性能を向上することができる。
なお、本考案は、前記実施形態に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲内で様々な変更を施すことが可能である。例えば、遊間4上端部とタッチアップ部72の上端部とを覆うように保護層又は防錆剤による防錆層を形成するようにしてもよい。これにより、遊間4上端部におけるウエブ面14の損傷や錆の発生等が抑制され、タッチアップ部72上端の剥がれを抑制できる。
1 ジョイント止水構造
2 道路基盤
3 ジョイント部
4 遊間
5 鋼材
6 バックアップ材
7 止水材
14 ウエブ面
51 金属面
71 充填部
72 タッチアップ部
73 コーナ部
81 タッチアップ塗装層
82 プライマー塗装層

Claims (4)

  1. 道路基盤の伸縮を許容するジョイント部の止水構造であって、
    道路基盤の端面となるウエブ面が対向した遊間に、バックアップ材が配設され、このバックアップ材上に止水材が充填され、止水材の上面が遊間上端よりも低く形成された構成を有し、
    前記止水材は、バックアップ材上面を覆う充填部と、充填部上部のウエブ面全体を覆うように充填部の両側部から連続して該ウエブ面に沿って立ち上がったタッチアップ部とを有し、全体として凹状に形成されているジョイント止水構造。
  2. 前記止水材は、シリコーンシール材により形成されている請求項1に記載のジョイント止水構造。
  3. 前記ウエブ面は、道路基盤に設けられた鋼材の金属面にタッチアップ塗装層とシリコーン系塗料によるプライマー塗装層とがこの順に形成されており、
    前記止水材のタッチアップ部は、前記プライマー塗装層上に形成されている請求項1又は2に記載のジョイント止水構造。
  4. 前記止水材における充填部とタッチアップ部との間のコーナ部表面は、R状の曲面形状に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のジョイント止水構造。

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