JP2019218759A - コンクリート構造物における目地部の止水構造及びその止水方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】確実に構造体同士を緩衝しつつ、かつ目地部から雨水が流れ落ちるのを確実に防止するコンクリート構造物における目地部の止水構造を提供する。【解決手段】隣り合う複数の構造体から構成されており、これら前記複数の構造体相互の間に遊間が形成された目地部4を有するコンクリート構造物における目地部の止水構造であって、前記目地部4の少なくとも一部を塞いだ状態で前記複数の構造体の対面間に設けられるバックアップ層5と、前記目地部4の少なくとも一部を塞いだ状態で前記バックアップ層5の上面に伸縮可能に積層されている伸縮層6と、前記目地部4を塞いだ状態で前記伸縮層6の上面に、前記複数の構造体の挙動に対する緩衝作用を有するとともに該複数の構造体への水分の浸入を防ぐ防水層7を積層して備えた。【選択図】図3
Description
本発明は、コンクリート構造物における目地部の止水構造及びその止水方法に関する。
高速道路や一般道路をはじめとする各種のコンクリート構造物は、所定の大きさの構造体を連続的及び/又は並列的に設置して形成するのが一般的である。例えば、橋梁や高架橋というようなコンクリート構造物を作る場合、鉄筋コンクリートで形成された橋脚と橋脚との間に金属製の支承を設け、この支承の上に道路などを形成するための複数の構造体を設置する。コンクリート構造物を作る場合、大型の構造体を一つ設けることは安全面やコスト面の上で行われることは少なく、一般的には所定の大きさの構造体を複数設置しながら一つのコンクリート構造物を作り上げる。
このように、コンクリート構造物は、複数の構造体を設置しながら作り上げていくので、これら構造体同士が干渉し合ったり、ぶつかり合って互いが破損し合うことのないようにするのが一般的である。例えば、コンクリート構造物が道路の高架橋であるような場合には、構造体の表面側には、自動車のような重量のある車両が通過する時や突風が吹くなどのような気象条件が良くない時には構造体が揺れて撓んだり、振動したりすることがある。このような場合には互いに連続的に設置されている構造体同士が互いの端部を接触し合ってしまい、干渉したり、破損させたりすることがある。また、コンクリート構造物が複数の構造体を直列的に設置する構成である場合、例えば高速道路のように構造体同士が連続的に設置されている場合や、高速道路の構造体と橋梁の構造体とが連続的に設置されている場合は、これら直列的に設置された構造体同士が接触し合い、干渉したり破損させたりすることもある。このような問題を解消するために、従来のコンクリート構造物では、互いの構造体の間、即ち継目部分に所定間隔の遊間からなる目地部を設けておき、構造体同士が干渉したり破損しないようにしている。
しかし、このようなコンクリート構造物では、目地部はこれら構造体の動きの干渉を防止するために所定の間隔を有する隙間として形成することが多かった。そのため、雨水などが目地部を通って構造体の下方に流れ落ちるということが発生していた。このとき、構造体は、通常は鉄筋コンクリートを使用して形成しているため、コンクリートの内部に複数本の鉄筋が配置されている。また、コンクリートは水を内部に浸透させることがあるため、目地部を通って落ちる水の一部がコンクリート内部に浸入して、鉄筋を錆びさせて脆くしてしまうおそれがあった。このとき、鉄筋を被覆しているコンクリートは、錆びた鉄筋が膨張することで爆裂し、鉄筋コンクリートが本来有する機能を損なうおそれがあった。さらに、雨水は一般的に酸性であるのに対しコンクリートはアルカリ性であるため、雨水がコンクリートに浸入するとコンクリートが中性化されて脆くなり、コンクリートが所定の強度を維持できなくなるおそれもあった。
従来は、このような問題を解決するために、高分子材料からなる平板状の弾性体をU字形に曲げて目地部に設けることによって水が構造体の下方へ落ちないようにしたり、目地部の間にU字形に設けた平板状弾性体の上に高分子発泡体を充填するようにした目地部の止水部材が知られている(例えば、特許文献1)。
また、道路や橋の継目部の遊間に設けられる止水構造であって、遊間に止水材を設け、該止水材が脱落しないように下から受ける支持部材を備えた道路端継目部の止水構造が知られている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、上記した特許文献1に記載されている目地部の止水部材では、互いに隣接する構造体と構造体の間に板状の弾性部材をU字形にして形成しているので、目地部を通過する雨水は、目地部の止水部材が設置されている位置に溜まり、目地部の止水部材の外部には排出されないという問題がある。また、特許文献1に記載されている目地部の止水部材では、弾性部材が配置されている箇所で溜まった雨水が溢れてコンクリートの内部に浸入し、コンクリート及びこのコンクリートの内部に配置されている鉄筋を脆くしてしまうといった問題があった。
また、特許文献2に記載された防水構造では、上記した特許文献1に記載されている目地部の止水部材が有する問題は解消することができた。しかし、特許文献2に記載されている防水構造では、経年劣化により支持部材が脱落すると、支持部材を失った第2止水材も脱落してしまうという問題があった。
本発明に係るコンクリート構造物における目地部の止水構造は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、確実に構造体同士を緩衝しつつ、かつ目地部から雨水が流れ落ちるのを安全・確実に防止するコンクリート構造物における目地部の止水構造を提供することを目的とする。
また、本発明に係るコンクリート構造物における目地部の止水方法は、より短時間で効率的に目地部の止水構造を形成することのできる方法を提供することを目的とする。
また、本発明に係るコンクリート構造物における目地部の止水方法は、より短時間で効率的に目地部の止水構造を形成することのできる方法を提供することを目的とする。
本発明に係るコンクリート構造物における目地部の止水構造は、(1)隣り合う複数の構造体から構成されており、これら前記複数の構造体相互の間に遊間が形成された目地部を有するコンクリート構造物における目地部の止水構造であって、前記目地部の少なくとも一部を塞いだ状態で前記複数の構造体の対面間に設けられるバックアップ層と、 前記目地部の少なくとも一部を塞いだ状態で前記バックアップ層の上面に伸縮可能に積層されている伸縮層と、前記目地部を塞いだ状態で前記伸縮層の上面に、前記複数の構造体の挙動に対する緩衝作用を有するとともに該複数の構造体への水分の浸入を防ぐ防水層を積層して備えたことを特徴とするコンクリート構造物における目地部の止水構造、(2)前記防水層の上面に該防水層を保護する保護層を積層して設けた上記(1)記載のコンクリート構造物における目地部の止水構造、(3)前記バックアップ層、伸縮層、防水層又は保護層の少なくとも一の層と、前記複数の構造体との間に接着層を設けた上記(1)又は(2)記載のコンクリート構造物における目地部の止水構造を要旨とする。
また、本発明に係るコンクリート構造物の目地部の止水方法は、(4)隣り合う複数の構造体から構成されており、これら前記複数の構造体相互の間に遊間が形成された目地部を有するコンクリート構造物における目地部の止水方法であって、前記目地部の少なくとも一部を塞いだ状態で前記複数の構造体の対面間にバックアップ層を設ける第1の工程と、前記目地部の少なくとも一部を塞いだ状態で前記バックアップ層の上面に伸縮可能に伸縮層を積層する第2の工程と、前記目地部を塞いだ状態で前記伸縮層の上面に、前記複数の構造体の挙動に対する緩衝作用を有するとともに該複数の構造体への水分の浸入を防ぐ防水層を積層して備える第3の工程とを備えたことを特徴とするコンクリート構造物における目地部の止水方法、(5)上記(4)の工程の後に、前記防水層の上面に該防水層を保護する保護層を積層して設ける工程を含む上記(4)記載のコンクリート構造物における目地部の止水方法、(6)上記(4)又は上記(5)の工程の前に、前記バックアップ層、伸縮層、防水層又は保護層の少なくとも一の層と、前記複数の構造体との間に接着層を設ける工程を含む上記(4)又は上記(5)記載のコンクリート構造物における目地部の止水方法を要旨とする。
請求項1記載のコンクリート構造体における目地部の止水構造によれば、目地部を塞いだ状態で防水層を設けているので、雨水の目地部への浸入を確実に防止することができる。また、該止水構造は、コンクリート構造体の目地部において、伸縮層の上面に防水層が強固に接着されているので、構造体同士の変位に対する緩衝体として機能する。したがって、構造体同士が変位したとしても、これら構造体同士が互いに接触したり、または破損を生じたりすることを防止でき、構造体の変位による雨水の目地部への浸入を確実に防止することができる。また、伸縮層の下面にバックアップ層が強固に接着されており、バックアップ層の脱落を確実に防止することができる。また、バックアップ層を支えるための支持部材を該構造体の目地部に設ける必要がなく、作業の効率化、安価に施工することができる。
請求項2記載のコンクリート構造体における目地部の止水構造によれば、防水層の上面に保護層が積層されているので、防水層、伸縮層、バックアップ層を雨水、紫外線等の気候変動等から保護することができる。
請求項3記載のコンクリート構造体における目地部の止水構造によれば、バックアップ層、伸縮層、防水層又は保護層の少なくとも一の層と、前記複数の構造体との間に接着層を設けているので、コンクリート構造体とバックアップ層、伸縮層、防水層又は保護層が接着層を介して確実に接合することができる。
また、本発明に係るコンクリート構造体における目地部の止水方法によれば、より効率的に止水構造を形成することができるので、既設の止水構造の改修又は止水構造の新設にも用いることができる。また、非常に安価に止水構造を形成することができる。
本発明に係るコンクリート構造体における目地部の止水構造(以下、単に「止水構造」と言う。)の構成について詳細に説明する。なお、本発明におけるコンクリート構造物は、例えば高速道路や一般道路の高架橋、軌道式鉄道の高架橋、跨線橋、用水路の高架橋などが該当するがこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係るコンクリート構造物の一つの例として高速道路の高架橋を用いた例を示しているが、これに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係るコンクリート構造物における目地部の止水構造の例として、高速道路の高架橋同士の連結部における目地部の止水構造を用いて説明しているが、これに限定されるものではない。
次に、本発明に係るコンクリート構造物102の一つの例として挙げた、高速道路の高架橋101の構成を図1及び図2に基づいて説明する。なお、図1及び図2では本発明に係る止水構造1の構成は省略して説明している。図1に示す高架橋101は、本発明の本実施の形態に係るコンクリート構造物102、支承103及び橋桁104を備えている。橋桁104は、地面から上方に向けて立設されている柱状の構造物であり、高速道路が延伸する方向に沿うように所定間隔を開けて複数基が立設されている。この橋桁104は、本実施の形態では地面から一本の柱部が立設し、上部が道路の幅方向に延びるT字形に形
成されているが、これ以外の形状であってもよい。
成されているが、これ以外の形状であってもよい。
支承103は、橋桁104の上部に設置されている部材である。この支承103は、橋桁104と構造体の間に位置するように配置されており、該支承103の上に位置する構造体の撓みや動きが橋桁104に伝達されないように吸収したりするためのものである。なお、この支承103は従来から公知のものを任意に用いてよく、支承103に用いられる材料も従来から公知のものを任意に選択して適宜用いてよい。
コンクリート構造物102は、第1構造体105a及び第2構造体105b、第1構造体106a及び第2構造体106bを備えている。これら第1構造体105a及び第2構造体105b、第1構造体106a及び第2構造体106bは互いに隣接するようにして配置されている。例えば、第1構造体105a及び第2構造体105bは高速道路における下り線で、第1構造体106a及び第2構造体106bは高速道路における上り線として形成されている。これら第1構造体105a及び第2構造体105b、第1構造体106a及び第2構造体106bは、遊間としての所定間隔の隙間(本実施の形態では例えば80mm)が空くように配置されている。この遊間を有する箇所が目地部となっている。なお、この目地部4における隙間の大きさは上記したものに限定されず、任意に設定してよい。
図1及び図2に示すように、第1構造体105a及び106a、第2構造体105b及び106bは、各々路面110、波状板111、高欄部107、地覆部108及び基部109を備えている。波状板111は、第1構造体105a及び106a、第2構造体105b及び106bの長手方向の両端部に設けられている。
次に、本発明に係るコンクリート構造物102における目地部4の止水構造1について図3に基いて説明する。なお、本明細書では、目地部4の止水構造1の例として第1構造体105aと第2構造体105bの間に形成されている目地部4に適用するものを例に挙げて説明するが、これに限定するものではない。
[目地部4の構成]
図3に示すように、止水構造1は第1構造体105aと第2構造体105bとの相互の間に形成されている目地部4を塞ぐように形成されている。
図3に示すように、止水構造1は第1構造体105aと第2構造体105bとの相互の間に形成されている目地部4を塞ぐように形成されている。
目地部4は、上記した通り、互いに隣接する第1構造体105a及び第2構造体105bの端部同士、即ち第1構造体105aと第2構造体105bとが接触しない程度の幅を有していればよく、本実施の形態では、好ましくは20mmから150mm、より好ましくは70mmから110mm、さらにより好ましくは80mmから100mmの幅を有する隙間である。
[波状板111の構成]
波状板111は、路面110と段差がなくなるように第1構造体105a及び第2構造体105bに設けられている。また、第1構造体105a及び第2構造体105bに設けられた波状板111同士も段差がなくなるように設けられる。波状板111は、その上を走行する自動車等の負荷に耐えることができればよく、その材質は例えば金属製のものであってもよいし、その他のものであってもよい。波状板111の端部形状は、串歯状であり、第1構造体105aが第2構造体105bと対向する部分で一定間隔を隔てて噛合している。波状板111の端部形状は、本実施の形態では串歯状であるが他の形状でもよい。隣り合う波状板111同士一定間隔を隔てた遊間部112を設けたのは、波状板111の熱収縮による変形を避ける等のためである。本実施の形態では、遊間部112は好ましくは10mmから120mm、より好ましくは30mmから100mm、さらにより好ましくは50〜80mmの幅を有する隙間である。
波状板111は、路面110と段差がなくなるように第1構造体105a及び第2構造体105bに設けられている。また、第1構造体105a及び第2構造体105bに設けられた波状板111同士も段差がなくなるように設けられる。波状板111は、その上を走行する自動車等の負荷に耐えることができればよく、その材質は例えば金属製のものであってもよいし、その他のものであってもよい。波状板111の端部形状は、串歯状であり、第1構造体105aが第2構造体105bと対向する部分で一定間隔を隔てて噛合している。波状板111の端部形状は、本実施の形態では串歯状であるが他の形状でもよい。隣り合う波状板111同士一定間隔を隔てた遊間部112を設けたのは、波状板111の熱収縮による変形を避ける等のためである。本実施の形態では、遊間部112は好ましくは10mmから120mm、より好ましくは30mmから100mm、さらにより好ましくは50〜80mmの幅を有する隙間である。
[端面部2の構成]
端面部2は、第1構造体105a及び第2構造体105bにおける車道の進行方向両端部に表れる表面が垂直方向の端面である。第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2は目地部4を隔てて略平行に設けられている。端面部2表面は、第1構造体105a及び第2構造体105bを成型して同じ材質であるコンクリートを用いても良いし、金属製等の板状体を取り付けても良い。
端面部2は、第1構造体105a及び第2構造体105bにおける車道の進行方向両端部に表れる表面が垂直方向の端面である。第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2は目地部4を隔てて略平行に設けられている。端面部2表面は、第1構造体105a及び第2構造体105bを成型して同じ材質であるコンクリートを用いても良いし、金属製等の板状体を取り付けても良い。
[接着層3の構成]
接着層3は、端面部2の表面側から該端面部2を覆うように密着して設けられている。接着層3は、後述するバックアップ層5、伸縮層6、防水層7及び保護層8と端面部2を接着するために設けられる。接着層3の材質は、バックアップ層5、伸縮層6、防水層7及び保護層8と端面部2との接着が充分なものが用いられる。例えば、コンクリート製のものや金属製のものであってもよいし、又は樹脂製のものであってもよいし、これら以外のものであってもよい。特に、これらの材質のものの中ではコストを低く抑える観点から樹脂製のものであることが好ましく、樹脂製のものの中ではポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。さらには、一液湿気硬化型塗料を用いると、刷毛又はローラーで塗装するのみで施工が容易であり、養生時間が短くて済む。接着層3は、バックアップ層5、伸縮層6、防水層7及び保護層8と端面部2が接着する全面又は一部に設けられる。また、バックアップ層5、伸縮層6、防水層7及び保護層8と端面部2の接着が充分な場合、接着層3は設けなくてもよい。接着層3に樹脂製の塗料を用いた場合では、塗布量は好ましくは30g/m2から150g/m2、より好ましくは70g/m2から130g/m2、さらにより好ましくは90g/m2から110g/m2である。塗布量に対する接着層3の厚さは、塗布量30g/m2で厚さ6μm、塗布量150g/m2で厚さ30μmである。防水層7と第1構造体105a及び第2構造体105bとの付着力(間に、接着層3を設ける場合及び接着層3を設けない場合を含む)は、好ましくは1.0〜5.0N/mm2、より好ましくは1.2〜4.0N/mm2、更により好ましくは1.5〜3.0N/mm2である。
接着層3は、端面部2の表面側から該端面部2を覆うように密着して設けられている。接着層3は、後述するバックアップ層5、伸縮層6、防水層7及び保護層8と端面部2を接着するために設けられる。接着層3の材質は、バックアップ層5、伸縮層6、防水層7及び保護層8と端面部2との接着が充分なものが用いられる。例えば、コンクリート製のものや金属製のものであってもよいし、又は樹脂製のものであってもよいし、これら以外のものであってもよい。特に、これらの材質のものの中ではコストを低く抑える観点から樹脂製のものであることが好ましく、樹脂製のものの中ではポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。さらには、一液湿気硬化型塗料を用いると、刷毛又はローラーで塗装するのみで施工が容易であり、養生時間が短くて済む。接着層3は、バックアップ層5、伸縮層6、防水層7及び保護層8と端面部2が接着する全面又は一部に設けられる。また、バックアップ層5、伸縮層6、防水層7及び保護層8と端面部2の接着が充分な場合、接着層3は設けなくてもよい。接着層3に樹脂製の塗料を用いた場合では、塗布量は好ましくは30g/m2から150g/m2、より好ましくは70g/m2から130g/m2、さらにより好ましくは90g/m2から110g/m2である。塗布量に対する接着層3の厚さは、塗布量30g/m2で厚さ6μm、塗布量150g/m2で厚さ30μmである。防水層7と第1構造体105a及び第2構造体105bとの付着力(間に、接着層3を設ける場合及び接着層3を設けない場合を含む)は、好ましくは1.0〜5.0N/mm2、より好ましくは1.2〜4.0N/mm2、更により好ましくは1.5〜3.0N/mm2である。
[バックアップ層5]
バックアップ層5は、第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2間に形成される目地部4を塞ぐように設けられる。バックアップ層5は、後述する伸縮層6、防水層7及び保護層8を支えるために設けられる。バックアップ層5の材質は、伸縮層6、防水層7及び保護層8を下支えできるものが用いられる。例えば、コンクリート製のものや金属製のものであってもよいし、又は樹脂製のものであってもよいし、これら以外のものであってもよい。特に、これらの材質のものの中では施工の容易さの観点から発砲樹脂製のものであることが好ましく、樹脂製のものの中では発泡ウレタン樹脂又は発泡スチロール樹脂を用いることが好ましい。バックアップ層5は、伸縮層6、防水層7及び保護層8を支持できるように、目地部4の全体又は一部を塞ぐように設けられる。素材は作業性、加工性の点から軟質発泡ウレタンが望ましい。用いられる樹脂の性状(圧縮強度、密度、厚さ)は、適宜変更可能である。目地部4へは、目地部4より大きい該樹脂を圧縮した状態で嵌め込むと、該樹脂の膨張により、該樹脂は第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2間に固定される。また、既設の止水構造の改修の場合、既設のバックアップ層が利用できるときはそれを用いる。
バックアップ層5は、第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2間に形成される目地部4を塞ぐように設けられる。バックアップ層5は、後述する伸縮層6、防水層7及び保護層8を支えるために設けられる。バックアップ層5の材質は、伸縮層6、防水層7及び保護層8を下支えできるものが用いられる。例えば、コンクリート製のものや金属製のものであってもよいし、又は樹脂製のものであってもよいし、これら以外のものであってもよい。特に、これらの材質のものの中では施工の容易さの観点から発砲樹脂製のものであることが好ましく、樹脂製のものの中では発泡ウレタン樹脂又は発泡スチロール樹脂を用いることが好ましい。バックアップ層5は、伸縮層6、防水層7及び保護層8を支持できるように、目地部4の全体又は一部を塞ぐように設けられる。素材は作業性、加工性の点から軟質発泡ウレタンが望ましい。用いられる樹脂の性状(圧縮強度、密度、厚さ)は、適宜変更可能である。目地部4へは、目地部4より大きい該樹脂を圧縮した状態で嵌め込むと、該樹脂の膨張により、該樹脂は第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2間に固定される。また、既設の止水構造の改修の場合、既設のバックアップ層が利用できるときはそれを用いる。
[伸縮層6]
伸縮層6は、第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2間に形成される目地部4の少なくとも一部を塞ぐように設けられる。伸縮層6は、第1構造体105a及び第2構造体105bの接着層3同士を架橋して、目地部4の一部又は全部を塞ぐように設けられる。伸縮層6の下側にはバックアップ層5を接着して、バックアップ層5が落下することを防止することができる。また、伸縮層6の上側には後述する防水層7を接着して設けられているので、防水層7がバックアップ層5へ漏洩することを防止することができる。
伸縮層6は、第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2間に形成される目地部4の少なくとも一部を塞ぐように設けられる。伸縮層6は、第1構造体105a及び第2構造体105bの接着層3同士を架橋して、目地部4の一部又は全部を塞ぐように設けられる。伸縮層6の下側にはバックアップ層5を接着して、バックアップ層5が落下することを防止することができる。また、伸縮層6の上側には後述する防水層7を接着して設けられているので、防水層7がバックアップ層5へ漏洩することを防止することができる。
伸縮層6は、バックアップ層5及び防水層7への追従性に優れている。第1構造体105a及び第2構造体105b同士の間において生じる揺れや振動に伴うバックアップ層5及び防水層7が変形した場合であっても伸縮層6がそれに伴って伸縮する。それにより、伸縮層6とバックアップ層5及び防水層7との接着面に無理な負担がかからないため、該接着面が剥離することがなく、また、バックアップ層5及び防水層7が破断・亀裂することこともない。すなわち、バックアップ層5及び防水層7がそれぞれ第1構造体105a及び第2構造体105bの二点で接着しているような効果を得ることができる。
伸縮層6の材質は、バックアップ層5を上支えし、防水層7及び保護層8を下支えでき、且つ、バックアップ層5と防水層7の変形にも剥離しない接着性のあるものが用いられる。また、バックアップ層5と防水層7の変形に追従できる伸縮性のあるものが用いられる。
例えば、樹脂製のものであってもよいし、これら以外のものであってもよい。特に、これらの材質のものの中では施工の容易さの観点からゴム製のものであることが好ましく、ゴム製のものの中ではブチルゴムを用いることが好ましい。用いられるゴムの性状は、比重が1.1〜2.1、好ましくは1.3〜1.9、より好ましくは1.5〜1.7である。伸び率は、好ましくは200%以上、より好ましくは250%以上、さらにより好ましくは300%以上である。密度は、好ましくは0.8〜2.0Kg/m3、より好ましくは1.0〜1.8Kg/m3、さらにより好ましくは1.2〜1.6Kg/m3である。厚さは、2〜10mmのものが好ましい。
例えば、樹脂製のものであってもよいし、これら以外のものであってもよい。特に、これらの材質のものの中では施工の容易さの観点からゴム製のものであることが好ましく、ゴム製のものの中ではブチルゴムを用いることが好ましい。用いられるゴムの性状は、比重が1.1〜2.1、好ましくは1.3〜1.9、より好ましくは1.5〜1.7である。伸び率は、好ましくは200%以上、より好ましくは250%以上、さらにより好ましくは300%以上である。密度は、好ましくは0.8〜2.0Kg/m3、より好ましくは1.0〜1.8Kg/m3、さらにより好ましくは1.2〜1.6Kg/m3である。厚さは、2〜10mmのものが好ましい。
[防水層7]
防水層7は、第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2間に形成される目地部4を塞ぐように設けられる。防水層7は、第1構造体105a及び第2構造体105bの接着層3同士を架橋して、伸縮層6の上面に接着して目地部4の全部を塞ぎ、路面110、波状板111等から水が目地部4に漏れないよう設けられる。また、防水層7は、第1構造体105a及び第2構造体105bとの間における緩衝体としての効果、即ち第1構造体105a及び第2構造体105b同士の間において生じる揺れや振動に伴う第1構造体105a及び第2構造体105b同士の位置ズレを吸収することができるように構成されている。防水層7の上側には後述する保護層8が接着して設けられている。
防水層7は、第1構造体105a及び第2構造体105bの各端面部2間に形成される目地部4を塞ぐように設けられる。防水層7は、第1構造体105a及び第2構造体105bの接着層3同士を架橋して、伸縮層6の上面に接着して目地部4の全部を塞ぎ、路面110、波状板111等から水が目地部4に漏れないよう設けられる。また、防水層7は、第1構造体105a及び第2構造体105bとの間における緩衝体としての効果、即ち第1構造体105a及び第2構造体105b同士の間において生じる揺れや振動に伴う第1構造体105a及び第2構造体105b同士の位置ズレを吸収することができるように構成されている。防水層7の上側には後述する保護層8が接着して設けられている。
防水層7の材質は、防水性が高く、第1構造体105a及び第2構造体105b同士の位置ズレを吸収できる耐久性の高いもの用いられる。例えば、コンクリート製のものや金属製のものであってもよいし、又は樹脂製のものであってもよいし、これら以外のものであってもよい。特に、これらの材質のものの中では施工の容易さの観点からゴム製のものであることが好ましく、ゴム製のものの中ではウレタンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム等好ましく、その中でもウレタンゴムが加工容易性、防水性、耐久性の点でより好ましい。用いられるゴムの性状について、防水層7と第1構造体105a及び第2構造体105bとの付着力(間に、接着層3を設ける場合及び接着層3を設けない場合を含む)との関係で定まるが、例えば、引張強度は、好ましくは0.4〜4.9N/mm2、より好ましくは0.7〜3.5N/mm2、更により好ましくは1.0〜2.3N/mm2である。比重は0.5〜1.5、粘度は5,000〜100,000mPa・s(25℃)、伸び率は600〜1200%が好ましく、厚さは、20〜50mmのものが好ましい。また、防水層7の第1構造体105a及び第2構造体105bの付着力(間に、接着層3を設ける場合及び接着層3を設けない場合を含む)に対して、防水層7の引張強度を小さくすると、第1構造体105a及び第2構造体105bと防水層7の剥離防止に好ましい。特に、0.4<(引張強度/付着力)<1.0が好ましく、0.5<(引張強度/付着力)<0.9がより好ましく、0.6<(引張強度/付着力)<0.8が更により好ましい。
防水層7は、流動性のある材料を用いれば、伸縮層6の上に流し込み、硬化時間が経過すれば平滑な防水層7を構成することができる(セルフレベリング)。当該材料としては、ポリウレタン樹脂を主剤とし、反応触媒を硬化剤としたものを所定の配合量で混合させたもの等が挙げられる。
[保護層8]
保護層8は、防水層7の表面側に積層されるように形成されている。保護層8は、耐候性に優れており、紫外線や雨水等による劣化を効果的に防止することができるように形成されている。したがって、保護層8を設けることによって、その下の防水層7や伸縮層6、バックアップ層5に対する紫外線の影響など、各層が劣化することを防止することができる。保護層8は、防水層7を雨水等から保護するために、防水層7の上面を全て覆うように設けるのが好ましいが、防水層7のうち対候性が必要な部分にのみ設けても良い。また、保護層8は、第1構造体105a及び第2構造体105b同士の位置ズレを吸収できるような耐久性が高く、弾性の高いものが用いられる。例えば、樹脂製のものが挙げられるが、これ以外のものであってもよい。特に、これらの材質のものの中では施工の容易さの観点から樹脂製のものであることが好ましく、樹脂製のものの中ではウレタンゴム、アクリルウレタンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム等好ましく、その中でもアクリルウレタン樹脂系の塗料が好ましい。アクリルウレタン樹脂系の塗料は、防水層7を形成する際に用いる塗料に比べて、塗料中における溶媒の量が少ない塗料を用いて形成されている。このように溶媒の量が少ない塗料を用いることで、塗布後の乾燥を迅速に行うことができるようになるとともに、乾燥して塗料が硬化する際におけるボリュームの減少を抑えることもできる。
保護層8は、防水層7の表面側に積層されるように形成されている。保護層8は、耐候性に優れており、紫外線や雨水等による劣化を効果的に防止することができるように形成されている。したがって、保護層8を設けることによって、その下の防水層7や伸縮層6、バックアップ層5に対する紫外線の影響など、各層が劣化することを防止することができる。保護層8は、防水層7を雨水等から保護するために、防水層7の上面を全て覆うように設けるのが好ましいが、防水層7のうち対候性が必要な部分にのみ設けても良い。また、保護層8は、第1構造体105a及び第2構造体105b同士の位置ズレを吸収できるような耐久性が高く、弾性の高いものが用いられる。例えば、樹脂製のものが挙げられるが、これ以外のものであってもよい。特に、これらの材質のものの中では施工の容易さの観点から樹脂製のものであることが好ましく、樹脂製のものの中ではウレタンゴム、アクリルウレタンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム等好ましく、その中でもアクリルウレタン樹脂系の塗料が好ましい。アクリルウレタン樹脂系の塗料は、防水層7を形成する際に用いる塗料に比べて、塗料中における溶媒の量が少ない塗料を用いて形成されている。このように溶媒の量が少ない塗料を用いることで、塗布後の乾燥を迅速に行うことができるようになるとともに、乾燥して塗料が硬化する際におけるボリュームの減少を抑えることもできる。
この保護層8は、例えば、主剤と硬化剤とを所定の配合量で混合させたものを塗料として用いており、耐候性及びゴム弾性のいずれをも有する塗料として構成されている。また、保護層に用いられる塗料は溶媒の量が少ないものであるため、所定の膜厚を得るために必要な塗料の量を少なくすることができる。これは、溶媒の多い塗料の場合には、塗布してから硬化するまでの間に揮発する溶媒の量が多いため、硬化後に保護層8として残存する塗料の量が低減されているのに対し、本実施の形態の保護層8に用いる塗料は溶媒の量が少ないので硬化後に残存する塗料の量が多いことによる。
また、保護層8となる塗料を防水層7の表面に塗布することにより、経年における表面の劣化を防ぎ耐久性を付与する。保護層8に用いられる樹脂の性状は、引張強度が好ましくは0.5〜30N/mm2、より好ましくは1〜20N/mm2、さらにより好ましくは2〜15N/mm2である。また、比重は0.5〜1.5、粘度は2,000〜50,000mPa・s(25℃)、伸び率が300〜700%が好ましく、厚さは、0.5〜3mmのものが好ましい。
[コンクリート構造物102における目地部4の止水方法]
次に、本発明に係るコンクリート構造物102における目地部4の止水方法(以下、単に「止水方法」と言う。)について説明する。
次に、本発明に係るコンクリート構造物102における目地部4の止水方法(以下、単に「止水方法」と言う。)について説明する。
まず、本発明に係る止水方法により止水構造1を形成する前に、すでに何らかの止水構造がある場合には、その止水構造を撤去する。この止水構造の撤去は、例えば既に設置されている止水構造に用いられていた所定の金属部材やシーリング材をはじめとする各種の部材等を撤去する。その後、各種の部材等を撤去した箇所のコンクリートの状態を確認し、コンクリートが脆くなっていて弱いところ(ケレン)を補修し、次回の止水構造を形成した後も所定の止水性能を維持できるようにする。
次に、第1構造体105aの端面部2や第2構造体105bの端面部2が粗い場合、即ち端面部2の凹凸が大きい時は不陸調整を行い、これら端面部2を平滑化処理して接着層3を形成する。この不陸調整には、ポリウレタン樹脂を用いて行うことが好ましい。ポリウレタン樹脂は、例えばゴムベラ等によって第1構造体105aや第2構造体105bの表面に対して平滑に塗り付けられる。そして、このポリウレタン樹脂を塗り付けることによって端面部2に形成されている凹凸のうちの凹部が埋められて接着層3を形成することができる。接着層3の厚さは20μmである(塗布量の場合、100g/m2)。環境温度と乾燥養生時間の目安は、0〜10℃の場合約40分〜2時間、10〜20℃の場合約30分〜2時間、20〜30℃の場合約20分〜1時間である。
次に、目地部4より大きめの発泡ウレタン樹脂を圧縮した状態で、目地部4の上側又は下側から嵌め込むと、該樹脂が膨張して第1構造体105aと第2構造体105bの各端部面2間に固定されて、バックアップ層5が設けられる(第1の工程)。バックアップ層5は伸縮層6、防水層7及び保護層8を下支えできればよく、目地部4の全体又は一部を塞ぐように設けられる。
次に、バックアップ層5の上面に、目地部4の少なくとも一部を塞いだ状態で伸縮層6を設ける(第2の工程)。伸縮層6の材質として自在に変形するゴム製のものを用いると、バックアップ層5の上にテープ状のゴムを張り付けるだけでバックアップ層5上面に積層でき、伸縮層6が形成されるため、作業を簡単に行うことができる。第1構造体105a及び第2構造体105b同士の間において生じる揺れや振動に伴うバックアップ層5及び防水層7が変形した場合は伸縮層6がそれに伴って伸縮するように構成される。
次に、伸縮層6の上面に、目地部4を塞いだ状態で防水層7を設ける(第3の工程)。防水層7の材質としてゴム製のものを用いると、伸縮層6の上に溶融したゴムを流し込むだけでゴムが伸縮層6上面に広がり、防水層7が形成される。セルフレベリング(自己水平)性があるので、刷毛などで均す必要がなく作業を簡単に行うことができる。防水層7は、第1構造体105a及び第2構造体105bの接着層3同士を架橋して、伸縮層6の上面を目地部4の全部を塞ぐので、路面110、波状板111等から水が目地部4に漏れることがない。また、防水層7は、第1構造体105a及び第2構造体105bとの間における緩衝体としての効果、即ち第1構造体105a及び第2構造体105b同士の間において生じる揺れや振動に伴う第1構造体105a及び第2構造体105b同士の位置ズレを吸収することができるように構成されている。
次に、防水層7の上面に、保護層8を積層して設ける。保護層8の材質として、アクリルウレタン樹脂系の塗料を用いると、防水層7の上に該塗料を塗布するだけで保護層8を形成することができる。該塗料として、例えば、主剤と硬化剤とを所定の配合量で混合させたものが用いられ、硬化すると耐候性及びゴム弾性のいずれをも有する層として構成される。該塗料は防水層7の表面全体に塗布するものであるが、防水層7のうち対候性が必要な部分にのみ塗布してもよい。
以上、本発明に係る止水構造及び止水方法について説明したが、上記したのは本発明に係る止水構造及び止水方法に関する一つの例を示したに過ぎず、上記したもので限定されることはない。したがって、本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において適宜変更してもよい。
[実施例1]以下、この発明の構成を歩道橋の目地部に施工した実施例について、図面を参照して説明する。
まず、歩道橋の歩道120と歩道橋の欄干121の目地部4にある既設の止水構造を撤去した。本実施例では、既設のバックアップ層5を利用した。各種の部材等を撤去した箇所のコンクリートの状態を確認し、コンクリートが脆くなっていて弱いところ(ケレン)を補修した。歩道橋の歩道120の端面部2や歩道橋の欄干121の端面部2の凹凸をコンクリート研磨機で削り不陸調整を行った。コンクリートの粉塵と取り除き、これら端面部2にポリウレタン樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFウレタンプライマー50)を塗布して接着層3を形成した。塗布量は100g/m2で、接着層3の厚さは20μmである。乾燥養生時間は、23℃で約1時間である。
まず、歩道橋の歩道120と歩道橋の欄干121の目地部4にある既設の止水構造を撤去した。本実施例では、既設のバックアップ層5を利用した。各種の部材等を撤去した箇所のコンクリートの状態を確認し、コンクリートが脆くなっていて弱いところ(ケレン)を補修した。歩道橋の歩道120の端面部2や歩道橋の欄干121の端面部2の凹凸をコンクリート研磨機で削り不陸調整を行った。コンクリートの粉塵と取り除き、これら端面部2にポリウレタン樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFウレタンプライマー50)を塗布して接着層3を形成した。塗布量は100g/m2で、接着層3の厚さは20μmである。乾燥養生時間は、23℃で約1時間である。
次に、バックアップ層5の上面に、目地部4を塞ぐ状態でテープ状のブチルゴム(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト テープ300)を張り付けた。張り付けたブチルゴムをヘラや指で均して伸縮層6を設けた(第2の工程)。塗布量は約8kg/m2で、伸縮層6の厚さは5mmである。乾燥養生時間は、特に必要はない。本実施例で用いたブチルゴムの性状は、比重が1.6、伸び率が300%以上である。
次に、伸縮層6の上面に、目地部4を塞ぐ状態で溶融したポリウレタン樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト ベース2000)を流し込んだ。流し込んだポリウレタン樹脂はセルフレベリング性により伸縮層6上面に水平に広がり防水層7が形成された。本実施例で使用した「KFシールテクト ベース2000」は2液型樹脂で、硬化剤には反応硬化促進剤を使用している。その配合比は、主剤:硬化剤=100:2である。また、該樹脂の比重は1.3、粘度は約80,000mPa・s(25℃)、引張強度は1.6N/mm2、伸び率は600%である。タックフリータイム(指触乾燥時間)は1.5時間である。防水層7の厚さは2cmである。
次に、防水層7が硬化した後に、防水層7の上面にアクリルポリオール樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト 33−3グレー)を塗布した。塗布したアクリルポリオール樹脂が硬化して保護層8が形成された。本実施例で使用した「KFシールテクト 33−3グレー」は2液型樹脂であり、主剤がアクリルポリオール樹脂、硬化剤がポリイソシアネート樹脂である。その配合比は、主剤:硬化剤=13:2である。また、該樹脂の比重は1.1、粘度は約8000mPa・s(25℃)、引張強度は12.6N/mm2、伸び率は370%である。タックフリータイム(指触乾燥時間)は12時間以内である。保護層8の厚さは2mmである。
完成した上記コンクリート構造体における目地部の止水構造によれば、雨水の目地部への浸入を長時間にわたり防止することができた。また、構造体同士が変位しても、これら構造体同士が互いに接触したり、または破損を生じたりすることはなかった。さらに、短時間で安価に施工することができた。
[実施例2]以下、この発明の構成を実験室レベルで行った実施例について、図5に基づいて説明する。
20mm×70mm×70mmのモルタル板(JIS R 5201 ISO基準砂)2枚(105a,105b)の各々一側面を100番手(#100)のサンドペーパーで平滑処理を行った。モルタルの粉塵を取り除き接着層3を形成した。モルタル板の間隔を2cmとって目地部4を設けて、以下の試験体を作成して比較実験を行った。試験体1が本願発明の実施例であり、試験体2が従来技術の実施例である。
(試験体1)
図5(a)に示す通り、目地部4を塞ぐ状態で2mm厚のフレキシブル板(商品名:FS−N)を接着層3に接着してバックアップ層5を設けた。次に、バックアップ層5の上面に、目地部4を塞ぐ状態でテープ状のブチルゴム(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト テープ300)を張り付け、5mm厚の伸縮層6を設けた。次に、伸縮層6の上面に、目地部4を塞ぐ状態で溶融したポリウレタン樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト ベース2000)を流し込んで10mm厚の防水層7を形成した。次に、防水層7が硬化した後に、防水層7の上面にアクリルポリオール樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト 33−3グレー)を塗布した。塗布したアクリルポリオール樹脂が硬化して1mm厚の保護層8が形成され、試験体1が完成した。
(試験体2)
図5(b)に示す通り、目地部4を塞ぐ状態で2mm厚のフレキシブル板(商品名:FS−N)を接着層3に接着してバックアップ層5を設けた。次に、バックアップ層5の上面に、目地部4を塞ぐ状態で溶融したポリウレタン樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト ベース2000)を流し込んで10mm厚の防水層7を形成した。次に、防水層7が硬化した後に、防水層7の上面にアクリルポリオール樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト 33−3グレー)を塗布した。塗布したアクリルポリオール樹脂が硬化して1mm厚の保護層8が形成され、試験体2が完成した。
(比較実験)
試験体1及び試験体2について、2枚のモルタル板を50mm/分の速度で引張強度の試験を行った。
試験体1の引張強度は、伸び率が192%、引張り強さが0.95N/mm2であった。一方、試験体2の引張強度は、伸び率が72%、引張り強さが1.01N/mm2であった。
以上の結果から、バックアップ層5と防水層7の間に伸縮層6を設けることにより、本発明目地部の止水構造の伸縮性が大きく向上することが確認できた。
20mm×70mm×70mmのモルタル板(JIS R 5201 ISO基準砂)2枚(105a,105b)の各々一側面を100番手(#100)のサンドペーパーで平滑処理を行った。モルタルの粉塵を取り除き接着層3を形成した。モルタル板の間隔を2cmとって目地部4を設けて、以下の試験体を作成して比較実験を行った。試験体1が本願発明の実施例であり、試験体2が従来技術の実施例である。
(試験体1)
図5(a)に示す通り、目地部4を塞ぐ状態で2mm厚のフレキシブル板(商品名:FS−N)を接着層3に接着してバックアップ層5を設けた。次に、バックアップ層5の上面に、目地部4を塞ぐ状態でテープ状のブチルゴム(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト テープ300)を張り付け、5mm厚の伸縮層6を設けた。次に、伸縮層6の上面に、目地部4を塞ぐ状態で溶融したポリウレタン樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト ベース2000)を流し込んで10mm厚の防水層7を形成した。次に、防水層7が硬化した後に、防水層7の上面にアクリルポリオール樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト 33−3グレー)を塗布した。塗布したアクリルポリオール樹脂が硬化して1mm厚の保護層8が形成され、試験体1が完成した。
(試験体2)
図5(b)に示す通り、目地部4を塞ぐ状態で2mm厚のフレキシブル板(商品名:FS−N)を接着層3に接着してバックアップ層5を設けた。次に、バックアップ層5の上面に、目地部4を塞ぐ状態で溶融したポリウレタン樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト ベース2000)を流し込んで10mm厚の防水層7を形成した。次に、防水層7が硬化した後に、防水層7の上面にアクリルポリオール樹脂(商品名:KFケミカル株式会社製 KFシールテクト 33−3グレー)を塗布した。塗布したアクリルポリオール樹脂が硬化して1mm厚の保護層8が形成され、試験体2が完成した。
(比較実験)
試験体1及び試験体2について、2枚のモルタル板を50mm/分の速度で引張強度の試験を行った。
試験体1の引張強度は、伸び率が192%、引張り強さが0.95N/mm2であった。一方、試験体2の引張強度は、伸び率が72%、引張り強さが1.01N/mm2であった。
以上の結果から、バックアップ層5と防水層7の間に伸縮層6を設けることにより、本発明目地部の止水構造の伸縮性が大きく向上することが確認できた。
1 止水構造
2 端面部
3 接着層
4 目地部
5 バックアップ層
6 伸縮層
7 防水層
8 保護層
102 コンクリート構造物
103 支承
104 橋桁
105a 第1構造体
105b 第2構造体
106a 第1構造体
106b 第2構造体
107 高欄部
108 地覆部
109 基部
110 路面
111 波状板
112 遊間部
2 端面部
3 接着層
4 目地部
5 バックアップ層
6 伸縮層
7 防水層
8 保護層
102 コンクリート構造物
103 支承
104 橋桁
105a 第1構造体
105b 第2構造体
106a 第1構造体
106b 第2構造体
107 高欄部
108 地覆部
109 基部
110 路面
111 波状板
112 遊間部
Claims (6)
- 隣り合う複数の構造体から構成されており、これら前記複数の構造体相互の間に遊間が形成された目地部を有するコンクリート構造物における目地部の止水構造であって、
前記目地部の少なくとも一部を塞いだ状態で前記複数の構造体の対面間に設けられるバックアップ層と、
前記目地部の少なくとも一部を塞いだ状態で前記バックアップ層の上面に伸縮可能に積層されている伸縮層と、
前記目地部を塞いだ状態で前記伸縮層の上面に、前記複数の構造体の挙動に対する緩衝作用を有するとともに該複数の構造体への水分の浸入を防ぐ防水層を積層して備えたことを特徴とするコンクリート構造物における目地部の止水構造。 - 前記防水層の上面に該防水層を保護する保護層を積層して設けた請求項1記載のコンクリート構造物における目地部の止水構造。
- 前記バックアップ層、伸縮層、防水層又は保護層の少なくとも一の層と、前記複数の構造体との間に接着層を設けた請求項1又は2記載のコンクリート構造物における目地部の止水構造。
- 隣り合う複数の構造体から構成されており、これら前記複数の構造体相互の間に遊間が形成された目地部を有するコンクリート構造物における目地部の止水方法であって、
前記目地部の少なくとも一部を塞いだ状態で前記複数の構造体の対面間にバックアップ層を設ける第1の工程と、
前記目地部の少なくとも一部を塞いだ状態で前記バックアップ層の上面に伸縮可能に伸縮層を積層する第2の工程と、
前記目地部を塞いだ状態で前記伸縮層の上面に、前記複数の構造体の挙動に対する緩衝作用を有するとともに該複数の構造体への水分の浸入を防ぐ防水層を積層して備える第3の工程とを備えたことを特徴とするコンクリート構造物における目地部の止水方法。 - 請求項4の工程の後に、前記防水層の上面に該防水層を保護する保護層を積層して設ける工程を含む請求項4記載のコンクリート構造物における目地部の止水方法。
- 請求項4又は請求項5の工程の前に、前記バックアップ層、伸縮層、防水層又は保護層の少なくとも一の層と、前記複数の構造体との間に接着層を設ける工程を含む請求項4又は5記載のコンクリート構造物における目地部の止水方法。
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A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
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