JP3234730B2 - 電子放出素子および電子源基板の製造方法 - Google Patents

電子放出素子および電子源基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面伝導型電子放出素
子、電子源基板、電子源、表示パネル、画像形成装置お
よびそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には
電界放出型(以下、FEと称する)、金属/絶縁層/金
属型(以下、MIMと称する)や、表面伝導型電子放出
素子等がある。
【0003】FE型の例としては、Dykeらの報告(W.
P. Dyke and W. W. Dolan, "Field emission", Advance
in Electron Physics, 8, 89(1956))に記載のもの、S
pindtの報告(C. A. Spindt, "Physical Properties of
thin-film field emission cathodes with molybdeniu
m cones", J. Appl. Phys., 47, 5248(1976))に記載の
もの等が知られている。
【0004】MIM型の例としては、Meadの報告(C.
A. Mead, "The tunnel-emission amplifier", J. Appl.
Phys., 32, 646(1961))に記載のもの等が知られてい
る。
【0005】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
エリンソンの報告(M. I. Elinson,Radio Eng. Electro
n Phys., 10(1965))に記載のもの等がある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。
【0007】この表面伝導型電子放出素子としては、前
記のエリンソンの報告に記載のSnO2薄膜を用いたも
の、Au薄膜によるもの(G. Dittmer, Thin Solid Fil
ms, 9, 317(1972))、In23/SnO2薄膜によるも
の(M. Hartwell and C. G. Fonstad, IEEE Trans. ED
Conf., 519(1975))、カーボン薄膜によるもの(荒木
ら,真空,第26巻,第1号,22頁(1983))な
どが報告されている。
【0008】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のハートウェル(Hartwell)の素
子の構成を図14に示す。同図において、1は基板であ
る。4は導電性薄膜で、H型形状のパターンにスパッタ
で形成された金属酸化物薄膜等からなり、電子放出部形
成用薄膜に後述のフォーミングと呼ばれる通電処理を行
って電子放出部5が形成される。なお、図中の素子間隔
Lは0.5〜1mm、W’は0.1mmで設定されてい
る。なお、電子放出部5の位置および形状については不
明であるので、模式図として示した。
【0009】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行なう前に導電性薄膜4を予め通
電フォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部
5を形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォ
ーミングとは前記の導電性薄膜4の両端に直流電圧ある
いは非常にゆっくりした昇電圧例えば1V/分程度を印
加通電し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変
質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部5を
形成することである。なお、電子放出部5は導電性薄膜
4の一部に亀裂が発生し、その亀裂付近から電子放出が
行なわれる。前記通電フォーミング処理をした表面伝導
型電子放出素子は、上述の導電性薄膜4に電圧を印加
し、素子に電流を流すことによって上述の電子放出部5
より電子を放出せしめるものである。
【0010】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純で製造も容易であることから、大面積にわたって多
数の素子を配列形成できる利点がある。そこで、その特
徴を生かせるような色々な応用が研究されている。例え
ば、荷電ビーム源、表示装置等の画像形成装置が挙げら
れる。
【0011】また、本出願人により前述の2−5682
2号公報に開示されている電子放出素子の構成を図15
に示す。同図において、1は基板、2および3は素子電
極、4導電性薄膜、5は電子放出部である。この電子放
出素子の製造方法としては様々な方法があるが、例えば
基板1に一般的な真空蒸着技術、フォトリソグラフィ技
術により、素子電極2および3を形成する。次いで、導
電性薄膜4は分散塗布法等によって形成する。その後、
素子電極2・3に電圧を印加し通電処理を施すことによ
って、電子放出部5を形成する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような構成の表面伝導型電子放出素子を製造する従来の
方法は、半導体プロセスを主とする方法によるため、現
行の技術では大面積に電子放出素子を形成することが困
難であって、特殊かつ高価な製造装置を必要とし、生産
コストが高いといった欠点があった。
【0013】そこで本発明の目的は、構成の単純な表面
伝導型電子放出素子、その素子を大面積に有する電子源
基板、電子源、表示パネルおよび画像形成装置、ならび
にそれらの低コストでかつ容易な製造方法を提供するこ
とにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべくな
された本発明は、少なくとも、金属元素を含有する溶液
を液滴の状態で基板上の所定の位置に付与して、互いに
対向して配置される2つの素子電極からなる素子電極対
および該素子電極対間に位置する導電性薄膜を、該素子
電極対の膜厚より小さい膜厚で形成する工程、ならびに
該導電性薄膜に通電処理を行って電子放出部を形成する
工程を有して成る電子放出素子の製造方法提供する。
【0015】これらの本発明の製造方法においては、 1)素子電極対および導電性薄膜の膜厚を付与する液滴
1滴の量および液滴数によって制御する、 2)液滴の付与工程をインクジェット方式で行ない、そ
のインクジェット方式としては熱エネルギーによって溶
液内に気泡を形成させて該溶液を液滴として吐出させる
方式か圧電素子によって溶液を液滴として吐出させる方
式とする、等を行うことが好ましい。
【0016】
【0017】
【作用】以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0018】図1は、本発明の表面伝導型電子放出素子
の1実施態様を示す図であり、図2は図1の素子の本発
明による製造方法の手順を示す図である。
【0019】図1および2において、1は基板、2およ
び3は素子電極であって素子電極対を形成しており、4
は導電性薄膜、5は電子放出部、6は液滴付与装置、7
は液滴である。
【0020】ここで用いられる液滴付与装置6の具体例
を挙げるならば、任意の液滴を形成できる装置であれば
どのような装置を用いてもかまわないが、特に十数ng
〜十数μg程度の範囲で制御が可能でかつ数十ng程度
以上の微小量の液滴が容易に形成できるインクジェット
方式の装置が好適である。そのようなインクジェット方
式の装置としては、圧電素子等を用いたインクジェット
噴射装置、熱エネルギーによって液体内に気泡を形成さ
せてその液体を液滴として吐出させる方式(以下、バブ
ルジェット方式と称する)によるインクジェット噴射装
置などが挙げられる。
【0021】また、素子電極2および3ならびに導電性
薄膜4を形成するために用いる液滴としては、液滴とな
るものであればどのようなものであっても構わないが、
水,溶剤等に所望の材料を分散または溶解した液、有機
金属化合物溶液および有機金属錯体を含有する溶液等が
ある。
【0022】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、SiO2
を表面に形成したガラス基板およびアルミナ等のセラミ
ックス基板等があげられる。
【0023】素子電極2および3、導電性薄膜4の材料
としては、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、I
n、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等
の金属、PdO、SnO2、In23、PbO、Sb2
3等の酸化物、HfB2、ZrB 2、LaB6、CeB6
YB4、GdB4等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、
TaC、SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、H
fN等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン等が
挙げられる。
【0024】素子電極対2・3の間隔Lは、数百Å〜数
百μmである。また、素子電極間に印加する電圧は低い
方が望ましく、再現良く作製することが要求されるた
め、好ましい素子電極間間隔は数百Å〜数μmである。
【0025】電子放出部を含む部位である導電性薄膜4
は、良好な電子放出特性を得るために微粒子で構成され
た微粒子膜が特に好ましく、その膜厚は、素子電極対2
・3間の抵抗値および後述する通電フォーミング条件等
によって適宜設定されるが、好ましくは数Å〜数千Å
で、特に好ましくは10Å〜500Åである。そのシー
ト抵抗値は、103〜107Ω/□である。
【0026】なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の
微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒
子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互い
に隣接あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜を
指しており、微粒子の粒径は、数Å〜数千Å、好ましく
は10Å〜200Åである。
【0027】電子放出部5は導電性薄膜4の一部に形成
された高抵抗の亀裂であり、通電フォーミング等により
形成される。また、亀裂内には数Å〜数百Åの粒径の導
電性微粒子を有することもある。この導電性微粒子は導
電性薄膜4を構成する物質の少なくとも一部の元素を含
んでいる。また、電子放出部5およびその近傍の導電性
薄膜4は、炭素および炭素化合物を有することもある。
【0028】電子放出部5は、導電性薄膜4ならびに素
子電極対2・3が形成されてなる素子に通電フォーミン
グと呼ばれる通電処理を行うことによって形成される。
通電フォーミングは、素子電極対2・3間に不図示の電
源より通電を行い、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形
もしくは変質せしめ、構造を変化させた部位を形成させ
るものである。通電フォーミングの電圧波形の例を図4
に示す。
【0029】電圧波形は特にパルス形状が好ましく、パ
ルス波高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合
(図4(a))と、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合(図4(b))とがある。まず、
パルス波高値が一定電圧とした場合(図4(a))につ
いて説明する。
【0030】図4(a)におけるT1およびT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1μ秒〜10
ミリ秒、T2を10μ秒〜100ミリ秒とし、三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は表面伝導
型電子放出素子の形態に応じて適宜選択し、適当な真空
度、例えば1×10-5Torr程度の真空雰囲気下で、
数秒〜数十分印加する。なお、素子の電極間に印加する
波形は三角波に限定する必要はなく、矩形波など所望の
波形を用いてもよい。
【0031】図4(b)におけるT1およびT2は、図4
(a)の場合と同様であり、三角波の波高値(通電フォ
ーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ
程度ずつ増加させ適当な真空雰囲気下で印加する。
【0032】なお、この場合の通電フォーミング処理
は、パルス間隔T2中に、導電性薄膜4を局所的に破壊
・変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧
で、素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えば1MΩ以
上の抵抗を示した時に通電フォーミング終了とする。
【0033】次に通電フォーミングが終了した素子に活
性化工程と呼ぶ処理を施すことが望ましい。
【0034】活性化工程とは、例えば、10-4〜10-5
程度の真空度で、通電フォーミング同様、パルス波高値
が一定の電圧パルスを繰返し印加する処理のことであ
り、真空中に存在する有機物質に起因する炭素および炭
素化合物を薄膜上に堆積させ素子電流If、放出電流Ie
を著しく変化させる処理である。活性化工程は素子電流
Ifと放出電流Ieを測定しながら、例えば、放出電流I
eが飽和した時点で終了する。また、印加する電圧パル
スは動作駆動電圧で行うことが好ましい。
【0035】なお、ここで炭素および炭素化合物とは、
グラファイト(単結晶および多結晶の両方を指す。)非
晶質カーボン(非晶質カーボンおよび多結晶グラファイ
トの混合物を指す)であり、その膜厚は500Å以下が
好ましく、より好ましくは300Å以下である。
【0036】こうして作製した電子放出素子は、通電フ
ォーミング工程、活性化工程における真空度よりも高い
真空度の雰囲気下に置いて動作駆動させるのがよい。ま
た、さらに高い真空度の雰囲気下で、80℃〜150℃
の加熱後に動作駆動させることが望ましい。
【0037】なお、通電フォーミング工程、活性化処理
した真空度より高い真空度とは、例えば約10-6以上の
真空度であり、より好ましくは超高真空系であり、新た
に炭素および炭素化合物が導電薄膜上にほとんど堆積し
ない真空度である。こうすることによって、素子電流I
f、放出電流Ieを安定化させることが可能となる。
【0038】図5は、電子放出特性を測定するための測
定評価装置の概略構成図である。図5において、81は
素子に素子電圧Vfを印加するための電源、80は素子
電極対2・3間の導電性薄膜4を流れる素子電流Ifを
測定するための電流計、84は素子の電子放出部より放
出される放出電流Ieを測定するためのアノード電極、
83はアノード電極84に電圧を印加するための高圧電
源、82は素子の電子放出部より放出される放出電流I
eを測定するための電流計、85は真空装置、86は排
気ポンプである。
【0039】次に、本発明の画像形成装置について説明
する。
【0040】画像形成装置に用いられる電子源基板は複
数の表面伝導型電子放出素子を基板上に配列することに
より形成される。
【0041】表面伝導型電子放出素子の配列の方式に
は、表面伝導型電子放出素子を並列に配置し、個々の素
子の両端を配線で接続するはしご型配置(以下、はしご
型配置電子源基板と称する)や、表面伝導型電子放出素
子の一対の素子電極のそれぞれX方向配線、Y方向配線
を接続した単純マトリクス配置(以下、マトリクス型配
置電子源基板と称する)が挙げられる。なお、はしご型
配置電子源基板を有する画像形成装置には、電子放出素
子からの電子の飛翔を制御する電極である制御電極(グ
リッド電極)を必要とする。
【0042】以下、この原理に基づいて作製した電子源
の構成について、図6を用いて説明する。図中、91は
電子源基板、92はX方向配線、93はY方向配線、9
4は表面伝導型電子放出素子、95は結線である。な
お、表面伝導型電子放出素子94は前述した平面型ある
いは垂直型のどちらであってもよい。
【0043】同図において、電子源基板91に用いる基
板は前述したガラス基板等であり、用途に応じて形状が
適宜設定される。
【0044】m本のX方向配線92は、Dx1、Dx2、
・・・Dxmからなり、Y方向配線93はDy1、Dy
2、・・・Dynのn本の配線よりなる。
【0045】また多数の表面伝導型電子放出素子にほぼ
均等な電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線幅は
適宜設定される。これらm本のX方向配線92とn本の
Y方向配線93間は不図示の層間絶縁層により電気的に
分離されてマトリクス配線を形成する(m、nはともに
正の整数)。
【0046】不図示の層間絶縁層は、X方向配線92を
形成した電子源基板91の全面あるいは一部の所望の領
域に形成される。X方向配線92とY方向配線93はそ
れぞれ外部端子として引き出される。
【0047】さらに表面伝導型電子放出素子94の素子
電極(不図示)がm本のX方向配線92とn本のY方向
配線93と結線95によって電気的に接続されている。
【0048】また表面伝導型電子放出素子は基板あるい
は不図示の層間絶縁層上のどちらに形成してもよい。
【0049】また詳しくは後述するが、前記X方向配線
92にはX方向に配列する表面伝導型電子放出素子94
の行を入力信号に応じて走査するための走査信号を印加
するための不図示の走査信号発生手段と電気的に接続さ
れている。
【0050】一方、Y方向配線93には、Y方向に配列
する表面伝導型電子放出素子94の列の各列を入力信号
に応じて変調するための変調信号を印加するための不図
示の変調信号発生手段と電気的に接続されている。
【0051】さらに、表面伝導型電子放出素子の各素子
に印加される駆動電圧はその素子に印加される走査信号
と変調信号の差電圧として供給されるものである。
【0052】上記構成において、単純なマトリクス配線
だけで個別の素子を選択して独立に駆動可能になる。
【0053】次に、以上のようにして作製した単純マト
リクス配線の電子源を用いた画像形成装置について、図
7、図8および図9を用いて説明する。図7は画像形成
装置の基本構成を示す図であり、図8は蛍光膜、図9は
NTSC方式のテレビ信号に応じて表示をするための駆
動回路のブロック図であり、その駆動回路を含む画像形
成装置を表す。
【0054】図7において、91は電子放出素子を基板
上に作製した電子源基板、1081は電子源基板91を
固定したリアプレート、1086はガラス基板1083
の内面に蛍光膜1084とメタルバック1085等が形
成されたフェースプレート、1082は支持枠であり、
これらの部材によって外囲器1088が構成される。
【0055】94は電子放出素子であり、92および9
3は表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続さ
れたX方向配線およびY方向配線である。
【0056】外囲器1088は、上述のごとくフェース
プレート1086、支持枠1082、リアプレート10
81で構成されているが、リアプレート1081は主に
電子源基板91の強度を補強する目的で設けられるた
め、電子源基板91自体で十分な強度を持つ場合は、別
体のリアプレート1081は不要であり、電子源基板9
1に直接支持枠1082を接合し、フェースプレート1
086、支持枠1082および電子源基板91にて外囲
器1088を構成してもよい。
【0057】図8中、1092は蛍光体である。蛍光体
1092はモノクロームの場合は蛍光体のみからなる
が、カラーの蛍光膜の場合は蛍光体の配列によりブラッ
クストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれ
る黒色導電材1091と蛍光体1092とで構成され
る。ブラックストライプ(ブラックマトリクス)が設け
られる目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍
光体の各蛍光体1092間の塗り分け部を黒くすること
で混色等を目立たなくすることと、蛍光膜1084にお
ける外光反射によるコントラストの低下を抑制すること
である。ブラックストライプの材料としては、通常良く
使用される黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電性
があり、光の透過および反射が少ない材料であれば使用
可能である。
【0058】ガラス基板1093に蛍光体を塗布する方
法としては、モノクロームであるかカラーであるかによ
らず、沈殿法や印刷法が用いられる。
【0059】また、蛍光膜1084(図7)の内面側に
は通常メタルバック1085(図7)が設けられる。メ
タルバックの目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光
をフェースプレート1086側へ鏡面反射することによ
り輝度を向上させること、電子ビーム加速電圧を印加す
るための電極として作用すること、外囲器内で発生した
負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体の保護等で
ある。メタルバックは蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表
面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行
い、その後Alを真空蒸着等で堆積することで作製でき
る。
【0060】フェースプレート1086にはさらに、蛍
光膜1084の導電性を高めるため、蛍光膜1084の
外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0061】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対向させなくてはならず、十
分な位置合わせを行う必要がある。
【0062】外囲器1088は不図示の排気管を通じ1
-7Torr程度の真空度にされ、封止が行われる。ま
た、外囲器1088の封止後の真空度を維持するために
ゲッター処理を行う場合もある。これは、外囲器108
8の封止を行う直前あるいは封止後の所定の位置(不図
示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する
処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、そ
の蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5Torr
〜1×10-7Torrの真空度を維持するものである。
なお、表面伝導型電子放出素子の通電フォーミング以降
の工程は適宜設定される。
【0063】次に、単純マトリクス配置型基板を有する
電子源を用いて構成した画像形成装置について、NTS
C方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示を行うた
めの駆動回路概略構成を図9のブロック図を用いて説明
する。1101は前記表示パネルであり、また1102
は走査回路、1103は制御回路、1104はシフトレ
ジスタ、1105はラインメモリ、1106は同期信号
分離回路、1107は変調信号発生器、VxおよびVaは
直流電圧源である。
【0064】以下、各部の機能を説明する。
【0065】まず表示パネル1101は端子Dox1〜D
oxm、端子Doy1〜Doynおよび高圧端子Hvを介して
外部の電気回路と接続している。このうち、端子Dox1
〜Doxmには、前記表示パネル内に設けられている電子
源、すなわちm行n列の行列状にマトリクス配線された
表面伝導型電子放出素子群を一行(n個の素子)ずつ順
次駆動していくための走査信号が印加される。
【0066】一方、端子Dy1〜Dynには前記走査信号
により選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素
子の出力電子ビームを制御するための変調信号が印加さ
れる。また、高圧端子Hvには直流電圧源Vaより、例え
ば10kVの直流電圧が供給されるが、これは表面伝導
型電子放出素子より出力される電子ビームに蛍光体を励
起するのに十分なエネルギーを付与するための加速電圧
である。
【0067】次に、走査回路1102について説明す
る。同回路は内部にm個のスイッチング素子を備えるも
ので(図中、S1〜Smで示されている)、各スイッチン
グ素子は直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0(V)
(グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示パネ
ル1101の端子Dx1ないしDxmと電気的に接続する
ものである。S1〜Smの各スイッチング素子は制御回路
1103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作する
ものであるが、実際には例えばFETのようなスイッチ
ング素子を組み合せることにより構成することが可能で
ある。
【0068】なお、前記直流電圧源Vxは前記表面伝導
型電子放出素子の特性(電子放出閾値電圧)に基づき走
査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出閾
値以下となるような一定電圧を出力するよう設定されて
いる。
【0069】また、制御回路1103は外部より入力す
る画像信号に基づいて適切な表示が行われるように各部
の動作を整合させる働きを持つものである。次に説明す
る同期信号分離回路1106より送られる同期信号Tsy
ncに基づいて各部に対してTscan、TsftおよびTmryの
各制御信号を発生する。
【0070】同期信号分離回路1106は外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離するための回路で周波数分離(フィ
ルター)回路を用いれば構成できるものである。同期信
号分離回路1106により分離された同期信号は、良く
知られるように、垂直同期信号と水平同期信号より成る
が、ここでは説明の便宜上、Tsync信号として図示し
た。一方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信
号成分を便宜上DATA信号と表すが、同信号はシフト
レジスタ1104に入力される。
【0071】シフトレジスタ1104は時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を画像の1ラインご
とにシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路1103より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(すなわち、制御信号Tsftは、シフトレジス
タ1104のシフトクロックであると言い換えてもよ
い)。
【0072】シリアル/パラレル変換された画像1ライ
ン分(電子放出素子n素子分の駆動データに相当するも
の)のデータは、Id1〜Idnのn個の並列信号として
前記シフトレジスタ1104より出力される。
【0073】ラインメモリ1105は、画像1ライン分
のデータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置で
あり、制御回路1103より送られる制御信号Tmryに
従って適宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶された
内容はId1〜Idnとして出力され、変調信号発生器1
107に入力される。
【0074】変調信号発生器1107は、前記画像デー
タId1〜Idnの各々に応じて表面伝導型電子放出素子
の各々を適切に駆動変調するための信号源で、その出力
信号は端子Doy1〜Doynを通じて表示パネル1101
内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0075】前述したように、本発明に関わる電子放出
素子は、放出電流Ieに対して以下の基本特性を有して
いる。すなわち、前述したように電子放出には明確な閾
値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ
電子放出が生じる。
【0076】また、電子放出閾値以上の電圧に対しては
素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化してい
く。なお、電子放出素子の材料や構成、製造方法を変え
ることによって、電子放出閾値電圧Vthの値や印加電圧
に対する放出電流の変化の度合が変わる場合もあるが、
いずれにしても以下のようなことが言える。
【0077】すなわち、本素子パルス状電圧を印加する
場合、例えば電子放出閾値以下の電圧を印加しても電子
放出は生じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加する
場合には電子ビームが出力される。その際、第一にはパ
ルスの波高値Vmを変化させることにより、出力電子ビ
ームの強度を制御することが可能である。第二には、パ
ルスの幅Pwを変化させることにより出力される電子ビ
ームの電荷の総量を制御することが可能である。
【0078】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方
式等が挙げられ、電圧変調方式を実施するには変調信号
発生器1107としては一定の長さの電圧パルスを発生
するが入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値を
変調するような電圧変調方式の回路を用いる。
【0079】またパルス幅変調方式を実施するには、変
調信号発生器1107としては、一定波高値の電圧パル
スを発生するが入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用い
るものである。
【0080】以上に説明した一連の動作により、本発明
の画像表示装置は表示パネル1101を用いてテレビジ
ョンの表示を行える。なお、上記説明中特に記載してな
かったが、シフトレジスタ1104やラインメモリ11
05はデジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でもいずれでも差し支えなく、要は画像信号のシリアル
/パラレル変換や記録が所定の速度で行われればよい。
【0081】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路1106の出力信号DATAをデジタル信号
化する必要があるが、これは1106の出力部にA/D
変換器を備えれば可能である。また、これと関連してラ
インメモリ1105の出力信号がデジタル信号かアナロ
グ信号かにより、変調信号発生器1107に用いられる
回路が若干異なったものとなる。
【0082】まず、デジタル信号の場合について述べ
る。電圧変調方式においては変調信号発生器1107に
は、例えば良く知られるD/A変換回路を用い、必要に
応じて増幅回路などを付け加えればよい。
【0083】また、パルス幅変調方式の場合、変調信号
発生器1107は、例えば高速の発振器および発振器の
出力する波数を計数する計数器(カウンタ)および計数
器の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コ
ンパレータ)を組み合せた回路を用いることにより構成
できる。必要に応じて比較器の出力するパルス幅変調さ
れた変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にま
で電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0084】次に、アナログ信号の場合について述べ
る。電圧変調方式においては、変調信号発生器1107
には、例えば良く知られるオペアンプなどを用いた増幅
回路を用いればよく、必要に応じてレベルシフト回路な
どを付け加えてもよい。またパルス幅変調方式の場合に
は、例えば良く知られた電圧制御型発振回路(VCO)
を用いればよく、必要に応じて表面伝導型電子放出素子
の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加え
てもよい。
【0085】以上のように完成した画像表示装置におい
て、こうして各電子放出素子には、容器外端子Dox1〜
DoxmおよびDoy1〜Doynを通じ、電圧を印加するこ
とにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタル
バック1085、あるいは透明電極(不図示)に高圧を
印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜に衝突させ、励起
・発光させることで画像を表示することができる。
【0086】以上述べた構成は、表示等に用いられる好
適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述の内容に
限られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよ
う適宜選択する。また、入力信号例として、NTSC方
式を挙げたが、これに限定するものではなく、PAL、
SECAM方式などの諸方式でもよく、また、これより
も多数の走査線から成るTV信号(例えばMUSE方式
をはじめとする高品位TV)方式でもよい。
【0087】次に、前述のはしご型配置電子源基板およ
びそれを用いた画像表示装置について図10および図1
1を用いて説明する。
【0088】図10において、1110は電子源基板、
1111は電子放出素子、1112のDx1〜Dx10は
前記電子放出素子に接続する共通配線である。電子放出
素子1111は、基板1110上に、X方向に並列に複
数個配置される(これを素子行と呼ぶ)。この素子行を
複数個基板上に配置し、はしご型電子源基板となる。各
素子行の共通配線間に適宜駆動電圧を印加することで、
各素子行を独立に駆動することが可能になる。すなわ
ち、電子ビームを放出させる素子行には、電子放出閾値
以上の電圧の電子ビームを、放出させない素子行には電
子放出閾値以下の電圧を印加すればよい。また、各素子
行間の共通配線Dx2〜Dx9を、例えばDx2、Dx3を
同一配線とするようにしてもよい。
【0089】図11は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置の構造を示す図である。1120はグリッ
ド電極、1121は電子が通過するための空孔、112
2はDox1、Dox2・・・Doxよりなる容器外端子、1
123はグリッド電極1120と接続されたG1、G2
・・・Gnからなる容器外端子、1124は前述のよう
に各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基板で
ある。なお、図7、図10と同一の符号は同一の部材を
示す。前述の単純マトリクス配置の画像形成装置(図
7)との違いは、電子源基板1110とフェースプレー
ト1086の間にグリッド電極1120を備えているこ
とである。
【0090】基板1110とフェースプレート1086
の中間には、グリッド電極1120が設けられている。
グリッド電極1120は、表面伝導型電子放出素子から
放出された電子ビームを変調することができるもので、
はしご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ
状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応
して1個ずつ円形の開口1121が設けられている。グ
リッドの形状や設置位置は必ずしも図11のようなもの
でなくともよく、開口としてメッシュ状に多数の通過口
を設けることもあり、また例えば表面伝導型電子放出素
子の周囲や近傍に設けてもよい。
【0091】容器外端子1122およびグリッド容器外
端子1123は、不図示の制御回路と電気的に接続され
ている。
【0092】本画像形成装置では、素子行を1列ずつ順
次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に
画像1ライン分の変調信号を同時に印加することによ
り、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1
ラインずつ表示することができる。
【0093】また、本発明によればテレビジョン放送の
表示装置のみならずテレビ会議システム、コンピュータ
等の表示装置に適した画像形成装置を提供することがで
きる。さらには感光性ドラム等で構成された光プリンタ
ーとしての画像形成装置として用いることもできる。
【0094】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0095】(実施例1)フォトリソグラフィー法によ
りマトリクス状に配線された基板(図12)に、表面伝
導型電子放出素子を作製した。表面伝導型電子放出素子
の構成としては、図1に示したものであり、その製造手
順は図2に示したものである。
【0096】以下、図2に示した手順に従って、本発明
の素子製造方法を説明する。
【0097】(1)基板1として石英基板を用い、それ
を洗剤、純水および有機溶剤によって十分に洗浄した
後、その基板1上に有機パラジウム含有溶液(奥野製薬
(株)製CCP−4230)を液滴付与装置6として圧
電素子を用いたインクジェット噴射装置を用い、素子電
極対2・3および導電性薄膜4の幅W1が300μm、
素子電極対2・3の電極間間隔L1が10μm、素子電
極対2・3の厚さが1000Å、導電性薄膜4の厚さt
が100Åとなるように、液滴を付与した(図2
(a))
【0098】この時、1液滴量(1ドット)を60μm
3とし、素子電極2および3の部分を形成する際は、1
0回の液滴付与を導電性薄膜4の部分については1回の
液滴付与を行った。
【0099】(2)次に、300℃で10分間の加熱処
理を行って、酸化パラジウム(PdO)微粒子からなる
微粒子膜を形成し、導電性薄膜4と素子電極対2・3と
した(図2())。
【0100】(3)次に、電極対2・3の間に電圧を印
加し、導電性薄膜4を通電処理(通電フォーミング)す
ることにより、電子放出部5を形成した(図2
))。
【0101】こうして作製された表面伝導型電子放出素
子が基板上に多数形成された電子源基板を用いて、前述
したようにフェースプレート1086、支持枠108
2、リアプレート1081とで外囲器1088を形成
し、封止を行って表示パネル、さらには図9に示すよう
なNTSC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示
を行うための駆動回路を有する画像形成装置を作製し
た。その結果、問題のない良好な画像を形成する装置を
得ることができた。
【0102】以上のように、上記の本実施例で示した製
造方法で作製した電子放出素子は何ら問題のない良好な
特性を示したばかりか、液滴を付与し、素子電極対2・
3、導電性薄膜4を形成することにより、素子電極対2
・3および導電性薄膜4のパターン形成の工程を行わず
に素子を形成することができた。また、パターン形成す
る領域に対してのみ液滴付与を行うことができることか
ら、原料となる溶液の無駄を省くことができ、コスト的
に有利である。
【0103】さらに、本実施例で得られた電子源基板、
電子源、表示パネルおよび画像形成装置はそれぞれ良好
な特性を示した。
【0104】(実施例2)実施例1と同様の方法で、素
子電極幅(W1)600μm、素子電極対間隔(L1)2
μm、素子電極部分の厚さ1000Åの表面伝導型電子
放出素子がはしご状に形成され、配線された電子源基板
(図13)を用い、実施例1と同様な方法でフェースプ
レート1086、支持枠1082、リアプレート108
1とで外囲器1088を形成し、封止を行なって表示パ
ネル、さらには図9に示すようなNTSC方式のテレビ
信号に基づきテレビジョン表示を行うための駆動回路を
有する画像形成装置を作製した。その結果、実施例1と
同様の良好な画像形成装置を得ることができた。
【0105】(実施例3)マトリクス状に配線を形成し
た基板(図12)を用い、バブルジェット方式のインク
ジェット装置を用い、実施例1と同様に表面伝導型電子
放出素子を作製して電子源基板を得た。得られた電子源
基板を用いて、実施例1と同様な方法でフェースプレー
ト1086、支持枠1082、リアプレート1081と
で外囲器1088を形成し、封止を行ない表示パネル、
さらには図9に示すようなNTSC方式のテレビ信号に
基づきテレビジョン表示を行うための駆動回路を有する
画像形成装置を作製した。その結果、実施例1と同様の
良好な画像形成装置を得ることができた。
【0106】(実施例4)図13のようなはしご状配線
の基板を用い、バブルジェット方式のインクジェット装
置を用い、実施例1と同様に表面伝導型電子放出素子お
よび電子源基板を作製した。得られた電子源基板を用い
て、実施例1と同様な方法でフェースプレート108
6、支持枠1082、リアプレート1081とで外囲器
1088を形成し、封止を行ない表示パネル、更にはN
TSC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示を行
うための駆動回路を有する画像形成装置を作製した。実
施例3と同様の良好な画像形成装置を得ることができ
た。
【0107】(実施例5)本実施例は、素子電極対2・
3、導電性薄膜4を形成する溶液として酢酸Pdを水に
0.05wt%含有した溶液を用いた以外は実施例1と
同様にして表面伝導型電子放出素子および電子源基板を
得た。その結果、金属含有溶液が異なっているにもかか
わらず、実施例1と同様の特性の優れた素子を配列した
電子源基板を得ることができた。
【0108】得られた電子源基板を用いて、実施例1と
同様な方法でフェースプレート1086、支持枠108
2、リアプレート1081とで外囲器1088を形成
し、封止を行ない表示パネル、さらには図9に示すよう
なNTSC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示
を行うための駆動回路を有する画像形成装置を作製し
た。その結果、実施例1と同様の良好な画像形成装置を
得ることができた。
【0109】(実施例6)本実施例では、図1に示した
導電性薄膜4の幅W1を100μmとした以外は、実施
例1と同様にして表面伝導型電子放出素子および電子源
基板を作製した。その結果、実施例1と同様良好な表面
伝導型電子放出素子および電子源基板が得られた。
【0110】得られた電子源基板を用いて、実施例1と
同様な方法でフェスプレート1086、支持枠108
2、リアプレート1081とで外囲器1088を形成
し、封止を行ない表示パネル、さらには図9に示すよう
なNTSC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示
を行うための駆動回路を有する画像形成装置を作製し
た。その結果、実施例1と同様の良好な画像形成装置を
得ることができた。
【0111】(実施例7) 本実施例では、1液量(1ドット)を30μm3
し、素子電極対2・3の部分を形成する液付与回数を
20回、導電性薄膜4を形成する際の回数を2回とした
以外は実施例1と同様に表面伝導型電子放出素子および
電子源基板を作製した。その結果、実施例1と同様良好
な表面伝導型電子放出素子および電子源基板が得られ
た。
【0112】得られた電子源基板を用いて、実施例1と
同様な方法でフェスプレート1086、支持枠108
2、リアプレート1081とで外囲器1088を形成
し、封止を行ない表示パネル、さらには図9に示すよう
なNTSC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示
を行うための駆動回路を有する画像形成装置を作製し
た。その結果、実施例1と同様の良好な画像形成装置を
得ることができた。
【0113】(実施例8) 本実施例では、図3に示したように、素子電極対2・3
を焼成によって形成(図3())した後に、導電性薄
膜4を焼成によって形成(図3())した以外は実施
例1と同様にして表面伝導型電子放出素子および電子源
を作製した。
【0114】その結果、素子電極対2・3と導電性薄膜
4の形成を別個に行ったにもかかわらず、実施例1と同
様の良好な表面伝導型電子放出素子および電子源基板が
得られた。
【0115】得られた電子源基板を用いて、実施例1と
同様な方法でフェスプレート1086、支持枠108
2、リアプレート1081とで外囲器1088を形成
し、封止を行ない表示パネル、さらには図9に示すよう
なNTSC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示
を行うための駆動回路を有する画像形成装置を作製し
た。その結果、実施例1と同様の良好な画像形成装置を
得ることができた。
【0116】(実施例9:参考例) 本実施例では、素子電極対2・3と薄膜4とを同じ膜厚
(図1のt=1000Å)で形成した以外は実施例1と
同様にして表面伝導型電子放出素子および電子源を作製
した。
【0117】その結果、素子電極対2・3と導電性薄膜
4の形成を別個に行ったにもかかわらず、実施例1と同
様の良好な表面伝導型電子放出素子および電子源基板が
得られた。
【0118】得られた電子源基板を用いて、実施例1と
同様な方法でフェスプレート1086、支持枠108
2、リアプレート1081とで外囲器1088を形成
し、封止を行ない表示パネル、さらには図9に示すよう
なNTSC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示
を行うための駆動回路を有する画像形成装置を作製し
た。その結果、実施例1と同様の良好な画像形成装置を
得ることができた。
【0119】
【発明の効果】以上述ベてきたように、本発明によれ
ば、素子電極対および導電性薄膜の材料となる金属元素
含有液を、液滴の状態で所望の量だけ基板の所望の位置
に付与することができることから、製造工程を減らすこ
とができ、素子電極対と導電性薄膜の膜厚を所望に応じ
て制御することができ、良好な表面伝導型電子放出素子
を大面積に形成することができ、特性の優れた電子源、
電子源基板、表示パネルおよび画像形成装置を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面伝導型電子放出素子の構成を示す
模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図であ
る。
【図2】図1の素子を製造する本発明の素子製造方法の
手順を示す工程図である。
【図3】本発明の素子製造方法の別の実施態様の手順を
示す工程図である。
【図4】通電フォーミングの電圧波形の1例を示すグラ
フであり、(a)はパルス波高値一定の場合、(b)は
パルス波値高が増加する場合を示す。
【図5】電子放出特性を測定するための測定評価装置の
概略構成図である。
【図6】本発明の単純マトリクス配置の電子源の1例を
示す模式的部分平面図である。
【図7】本発明の画像形成装置の1例の概略構成図であ
る。
【図8】蛍光膜の構成を示す模式的部分図であり、
(a)はブラックストライプの設けられたもの、(b)
はブラックマトリクスの設けられたものの図である。
【図9】本発明の画像形成装置の1例における駆動回路
であって、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行
うための駆動回路のブロック図である。
【図10】はしご配置の電子源の模式的部分平面図であ
る。
【図11】本発明の画像形成装置の別の例の概略構成図
である。
【図12】実施例1で用いたマトリクス状配線と素子電
極を有する基板の模式的平面図である。
【図13】実施例2で用いたはしご状配線と素子電極を
有する基板の模式的平面図である。
【図14】従来の表面伝導型電子放出素子の1例の模式
的平面図である。
【図15】従来の表面伝導型電子放出素子の別の1例の
概観斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2、3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 6 液滴付与装置 7 液滴 80 電流計 81 電源 82 電流計 83 高圧電源 84 アノード電極 85 真空装置 86 排気ポンプ 91 電子源基板 92 X方向配線 93 Y方向配線 94 表面伝導型電子放出素子 95 結線 1081 リアプレート 1082 支持枠 1083 ガラス基板 1084 蛍光膜 1085 メタルバック 1086 フェースプレート 1087 高圧端子 1088 外囲器 1091 黒色導電材 1092 蛍光体 1093 ガラス基板 1101 表示パネル 1102 走査回路 1103 制御回路 1104 シフトレジスタ 1105 ラインメモリ 1106 同期信号分離回路 1107 変調信号発生器 1110 電子源基板 1111 電子放出素子 1112 共通配線 1120 グリッド電極 1121 空孔 1122 容器外端子 1123 容器外端子 1124 電子源基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−296532(JP,A) 特開 昭64−5095(JP,A) 特開 昭62−181490(JP,A) 特開 昭63−20041(JP,A) 特開 昭64−64290(JP,A) 特開 平4−121702(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H05K 3/10 - 3/12 H01B 13/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、金属元素を含有する溶液を
    インクジェット方式により液滴の状態で基板上の所定の
    位置に付与して、互いに対向して配置される2つの素子
    電極からなる素子電極対および該素子電極対間に位置す
    る導電性薄膜を、該素子電極対の膜厚より該導電性薄膜
    の膜厚が小さくなるように形成する工程、ならびに該導
    電性薄膜に通電処理を行って電子放出部を形成する工程
    を有して成る電子放出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記素子電極対および前記導電性薄膜の
    膜厚を、付与する液滴1滴の量および液滴数によって制
    御する請求項1記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記インクジェット方式が、熱エネルギ
    ーによって溶液内に気泡を形成させて該溶液を液滴とし
    て吐出させる方式である請求項1記載の電子放出素子の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記インクジェット方式が、圧電素子に
    よって溶液を液滴として吐出させる方式である請求項1
    記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも、金属元素を含有する溶液を
    インクジェット方式により液滴の状態で基板上の所定の
    位置に付与して、互いに対向して配置される2つの素子
    電極からなる素子電極対および該素子電極対間に位置す
    る導電性薄膜を、該素子電極対の膜厚より該導電性薄膜
    の膜厚が小さくなるように複数個形成する工程、ならび
    に該導電性薄膜に通電処理を行って電子放出部を形成す
    る工程を行って複数個の電子放出素子を形成する電子源
    基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記素子電極対および前記導電性薄膜の
    膜厚を、付与する液滴1滴の量および液滴数によって制
    御する請求項5記載の電子源基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記インクジェット方式が、熱エネルギ
    ーによって溶液内に気泡を形成させて該溶液を液滴とし
    て吐出させる方式である請求項5記載の電子源基板の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記インクジェット方式が、圧電素子に
    よって溶液を液滴として吐出させる方式である請求項5
    記載の電子源基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも、金属元素を含有する溶液を
    インクジェット方式により液滴の状態で基板上の所定の
    位置に付与して、互いに対向して配置される2つの素子
    電極からなる素子電極対および該素子電極対間に位置す
    る導電性薄膜を、該素子電極対の膜厚より該導電性薄膜
    の膜厚が小さくなるように複数個形成する工程、ならび
    に該導電性薄膜に通電処理を行って電子放出部を形成す
    る工程を行って複数個の電子放出素子を形成する工程、
    それらの素子を配線によって接続する工程を有してなる
    電子源基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記素子電極対および前記導電性薄膜
    の膜厚を、付与する液滴1滴の量および液滴数によって
    制御する請求項9記載の電子源基板の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記インクジェット方式が、熱エネル
    ギーによって溶液内に気泡を形成させて該溶液を液滴と
    して吐出させる方式である請求項9記載の電子源基板の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記インクジェット方式が、圧電素子
    によって溶液を液滴として吐出させる方式である請求項
    9記載の電子源基板の製造方法。
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