JP3234109B2 - プロセス制御装置 - Google Patents

プロセス制御装置

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JP3234109B2
JP3234109B2 JP21488394A JP21488394A JP3234109B2 JP 3234109 B2 JP3234109 B2 JP 3234109B2 JP 21488394 A JP21488394 A JP 21488394A JP 21488394 A JP21488394 A JP 21488394A JP 3234109 B2 JP3234109 B2 JP 3234109B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば各種プラントを
制御するプロセス制御装置に係り、特に、そのプロセス
モデルを内包したプロセス制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自己平衡性を持つ長い無駄時間を持つプ
ロセスでは、通常のPID制御ではうまくコントロール
できないことが多い。したがって、従来より、長い無駄
時間を持つプロセスにおいては、サンプルPI制御もし
くはプロセスのモデルを用いる制御によってそのプロセ
スがコントロールされている。
【0003】図6は、サンプルPI制御の制御系を示す
図である。
【0004】サンプルPI制御の制御器31は、操作量
を変更した後、一定時間すなわち操作量を変更してから
制御量の応答が現れるまでの無駄時間の間(制御周
期)、制御を停止する。この無駄時間経過後、プロセス
32からの応答により制御量が変化しているので、制御
器31は、その変化量を用いて、次回の操作量を決定す
る。
【0005】図7は、プロセスモデルを用いる制御の制
御系を示す図である。
【0006】図7(a)は、プロセスモデルを用いる制
御(いわゆるモデル予測制御)の制御系の一般的な概念
を示している。つまり、制御量および設定値に基づか
れ、制御器41によって操作量が算出される。そして、
制御装置内のプロセスモデル42を用いて操作量に対す
る制御量の変化が予測され、さらに、この変化量に基づ
き制御器41内で操作量が算出される。
【0007】図7(b)に示す制御系は、スミスの無駄
時間補償制御と呼ばれる従来のプロセスモデルを用いる
制御方法である。
【0008】スミスの無駄時間補償制御を用いた制御装
置は、制御装置内に制御器43と、無駄時間を除いたプ
ロセスモデル44aと、プロセスモデルの無駄時間部4
4bとを備えている。スミスの無駄時間補償制御を用い
た制御装置は、無駄時間を除いたプロセスモデル44a
を仮の制御対象として操作量に対する制御量がどのよう
に変化するか予測し、その結果を用い、さらに制御器4
3によって操作量を算出する。したがって、無駄時間よ
り短い周期で制御を実施することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】まず、サンプルPI制
御を用いる方法は制御装置の制御周期を長くとる必要が
あるため、制御量が設定値に整定されるまで非常に長い
時間を必要とするという問題点がある。したがって、プ
ロセスに外乱等が入る場合、整定はさらに長いものとな
る。
【0010】次に、従来のプロセスモデルを用いる制御
はプロセスモデルを仮の制御対象として操作量を算出す
るので、制御対象のプロセスモデルが不正確であると、
その不正確部分が制御量の予測値に蓄積されてゆき、制
御が悪化するという問題点がある。また、プロセスは、
運転状態等によってその応答特性(すなわちプロセスモ
デル)が変わってしまうことがあり、このような場合、
制御性が著しく悪化する。特に、外乱が発生する場合、
プロセスモデルに外乱の影響を考慮させることができな
いので、制御性が悪化するという問題点がある。
【0011】さらに、従来のプロセスモデルを用いる制
御は、調整すべきパラメータの数が増えるので(例えば
PIDの各定数およびプロセスモデル)、その調整が困
難であるという問題点がある。
【0012】本発明は、このような実情を考慮してなさ
れたもので、プロセス制御装置において、制御対象のプ
ロセスが長い無駄時間を持ち、この制御対象に対するプ
ロセスモデルを用いてプロセスの制御をおこなうとき
に、プロセスモデルが完全に正確でないとき制御性を悪
化させることなくプロセスを制御することを目的とす
る。
【0013】また、外乱が発生したときやプロセスの応
答特性が変化したときに、制御性を悪化させることなく
プロセスを制御することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に対応する発明は、自己平衡型の長い無駄
時間を有するプロセスから出力される制御量PVに基づ
いて制御部にて操作量MVを演算して前記プロセスへ送
出するプロセス制御装置において、複数の少なくともプ
ロセス変量及び負荷からなるプロセス条件にそれぞれ対
応させた前記プロセスにステップ状の操作量を与えたと
きに出力されるステップ応答値aの時間に対する応答
特性を有するステップ応答モデルからなる複数のプロセ
スモデルを保持するプロセスモデル手段と、前記少なく
ともプロセス変量及び負荷からなるプロセス条件を示す
信号を入力し、該信号入力が予め定めた選択条件を満た
すか否かを判定する切換条件判定手段と、この切換条件
判定手段による選択条件に従って、前記プロセスモデル
手段が保持する複数のプロセスモデルから前記選択条件
に従うプロセスモデルを選択するプロセスモデル選択手
段と、このプロセスモデル選択手段により選択されたプ
ロセスモデルから出力されるステップ応答値aと、前
記制御部から時刻tにて出力されている操作量MVにお
ける時間差分ΔMVとに対して下式に従い、時刻t+1
の制御量として予測される予測制御量に対する増減分で
ある予測増減量ΔPVpを算出する予測量算出手段と、
前記プロセスモデル選択手段によりプロセスモデルが選
択されると、選択後のプロセスモデルに従う前記予測増
減量ΔPVpを前記プロセスからの制御量PVに対して
加算して、時刻t+1における予測制御量PVpを求め
て、この予測制御量PVpを前記制御部に対する制御量
とする制御量加算手段とを具備したことを特徴とするプ
ロセス制御装置である。
【0015】
【数2】
【0016】また、請求項2,3に対応する発明は、請
求項1において、前記プロセスをフィードフォワード制
御するフィードフォワード制御手段を設けると共に、前
記プロセスに外乱が入ったとき前記予測制御量PVpを
用いた制御から前記フィードフォワード制御手段による
制御に切り換え又は前記制御との併用を行うことを特徴
とする。
【0017】さらに、請求項4に対応する発明は、請求
項1乃至3に対応する発明のプロセス制御装置におい
て、予測量算出手段に、予測増減量ΔPVpの上下限値
を設ける上下限制限設定手段を付加したプロセス制御装
置である。
【0018】
【作用】請求項1に対応する発明のプロセス制御装置に
おいては、プロセスモデルから出力されるステップ応答
値aとプロセス制御装置本体から出力される操作量M
Vの時間差分ΔMVに基づかれ、予測量算出手段によっ
て、時刻t+1の制御量として予測される予測制御量に
対する増減分である予測増減量ΔPVpが出力される。
これはいわゆる予測制御量の一部であるが、この値に予
測でない現実の制御量PVを加算手段で加えて予測制御
量PVpとすることにより、制御量PVで補正された現
実的で発散のしにくい予測制御量を得ることができる。
この場合、制御量PVを用いてプロセスを制御するの
で、たとえ無駄時間の長いプロセスであっても短時間で
制御量を目標値に整定でき、且つ安定して制御すること
ができる。
【0019】また、複数のプロセスモデルを有してお
り、切換条件判定手段及びプロセスモデル選択手段によ
って、プロセス変量や負荷といったプロセス条件に適合
するステップ応答モデルを内包したプロセスモデルを前
記複数のプロセスモデルから選択することにより、必要
なステップ応答モデルを変更し、その予測増減値ΔPV
pがバンプレスに切り換えられるようにしたので、条件
によりプロセス特性が変化する場合でも制御性を落とす
ことなく、品質を向上し、操業安全を確保することがで
きる。
【0020】また、請求項2,3に対応する発明のプロ
セス制御装置においては、請求項1に対応する発明と同
様に作用する他、フィードフォワード制御手段によりフ
ィードフォワード制御が可能であり、予め定められた条
件で制御切換手段によって予測制御量PVpを用いた制
御とフィードフォワード制御との併用又は切り換えを行
う。
【0021】したがって、外乱が発生してフィードフォ
ワード制御に適した状況になったとき、予め定められた
条件でこれらを併用又は切り換えることにより、安定し
た制御を継続させることができる。
【0022】さらに、請求項4に対応する発明のプロセ
ス制御装置においては、請求項1又は2に対応する発明
と同様に作用する他、上下限制限設定手段によって、予
測増減量ΔPVpの上下限値が設けられている。
【0023】したがって、予測増減量ΔPVpの絶対値
が非常に大きい場合であっても予測制御量PVpは急激
に変化することなく、安定した制御を継続させることが
できる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0025】図1は、本発明の第1の実施例に係るプロ
セス制御装置の構成を示すブロック図である。
【0026】図1において、制御系は、設定値SVおよ
び制御量PVが入力され操作量MVを出力するプロセス
制御装置1と操作量MVが入力され制御量PVが出力さ
れるプロセス2とからなっている。
【0027】プロセス制御装置1は、設定値SVと制御
量の予測値PVpとの間の偏差を計算する減算部3と、
偏差が入力され操作量MVを出力する制御器4とを備え
ている。
【0028】さらに、プロセス制御装置1内には、制御
器4の制御周期に同期してタイミング信号を発生するタ
イミング発生器5と、タイミング発生器5のタイミング
信号によって操作量の前回出力と今回出力の差を計算す
る差分部6と、プロセス2に対するステップ応答モデル
が設定されている。さらにプロセス制御装置1内には、
タイミング発生器5のタイミング信号に応じてステップ
応答値を出力するプロセスモデル部7と、差分部6およ
びプロセスモデル部7の出力に基づいて1制御周期(1
ステップ)後の予測増減値ΔPVpを算出する予測値算
出部8と、プロセスからの制御量PVに予測増減値ΔP
Vpを加えて制御量の予測値PVpを計算する加算部9
とが備えられている。
【0029】また、プロセスモデル部7には、高周波・
低周波ノイズ除去処理を施して応答波形のノイズを除去
した、例えば図2(a)に示すようなユニットステップ
応答モデル(ステップ入力の高さを高さ1に換算したス
テップ応答)、すなわちプロセスにステップ状の操作量
を与えたときに出力される制御量すなわちステップ応答
値の時間に対する応答特性であるステップ応答モデルが
折れ線の形で入力されている。
【0030】予測値算出部8には、以下に示す予測式
(1)が設定されており、差分部6によって計算される
操作量MVの差ΔMVとユニットステップ応答モデルよ
り得られるステップ応答値aに基づいて予測増減量Δ
PVpが算出される。
【0031】
【数3】
【0032】(1)式の導出および意味については、後
程詳しく説明する。
【0033】次に、以上のように構成された本実施例の
プロセス制御装置の動作について説明する。
【0034】まず、プロセス2からの制御量PVは、予
測値算出部8からの予測増減量ΔPVpを加算部9で加
えられて、制御量の予測値PVpとして、減算部3に入
力される。減算部3は、設定値SVと制御量の予測値P
Vpとの差を求めて制御器4に入力する。
【0035】ここで、制御量PVに予測増減量ΔPVp
が加えられる理由は、無駄時間の長いプロセス2では図
2(a)に示すように操作量を与えてもすぐに応答せ
ず、例えば制御周期が無駄時間よりも短い場合であれば
1制御周期前の操作による変化が制御量PVに反映され
ないからである。
【0036】次に、制御器4からの操作量MVは、プロ
セス2を操作する例えば操作バルブ等の図示しない操作
器に与えられてプロセス2が制御されると共に、当該操
作量MVは差分部6に入力される。
【0037】差分部6は、タイミング発生器5からのタ
イミング信号を受けると、入力された操作量MVとその
1制御周期前の操作量との差がとられ、その差分が予測
値算出部8に入力される。
【0038】一方、タイミング信号はプロセスモデル部
7にも入力され、プロセスモデル部8は、タイミング信
号を受信すると設定されたステップ応答モデルの折れ線
からステップ応答値aを読取り、予測値算出部8に入
力する。
【0039】予測値算出部8は、操作量の差分およびス
テップ応答値aを入力されることにより、(1)式に
したがって予測増減値ΔPVpを出力する。
【0040】さらに、実際のプロセス2からの制御量P
Vに予測増減値ΔPVpが加えられ、再び制御量の予測
値PVpとして、減算部3に入力される。
【0041】ここで、予測値算出部8内の式(1)の導
出について詳しく説明し、本実施例における制御量の予
測値PVpの意味するところを解説する。
【0042】まず、図2(a)に示すような高さ1のス
テップ状に変化する操作量を加えると、プロセスが自己
平衡性であれば、制御量の変化量(この場合はステップ
応答値a)は一定時間t=s後に定常値(平衡値)a
に落ち着く。したがって、時間t=s以降は、a
(i≧s)が成り立つ。
【0043】このようにプロセス2がステップ応答モデ
ルで表現できるとき、この応答波形を用いて操作量に対
する制御量の変化を予測することができる。ただし、操
作量が高さ1のステップ信号でないときは操作量のステ
ップ信号の振幅でユニット化した応答波形をステップ応
答モデルとする。
【0044】例えば時刻tに高さΔMV(t)のステッ
プ状操作量をプロセスに与えたときの時刻t+jにおけ
る制御量の変化量ΔPV(t+j)は、 ΔPV(t+j)=aj・ΔMV(t) …(2) となる。したがって、この考え方を拡張して、操作量が
連続的にゼロ次ホールド回路を通してプロセスに加えら
れたものとすると、操作量は図2(b)に示すように複
数のステップ入力を合成したものとみなすことができ
る。
【0045】ここで、時間に対する操作量の差分を dMV(t−k)=ΔMV(t−k)−ΔMV(t−k−1)…(3) とする。
【0046】このとき、例えば過去から現在時刻に至る
までの操作量の差分(dMV(−∞)〜dMV(t))
を合計すると現在の操作量が得られる。これらの差分値
とステップ応答値を用いると現在時刻tからj制御周期
(すなわちjステップ)後の制御量の予測値PVm(t
+j)を求めることができ、(4)式に示すようにな
る。
【0047】
【数4】
【0048】一方、現在時刻tにおいて予測される制御
量PVm(t)は、同様に、
【数5】 と表わされる。
【0049】ここで、ステップ応答値aはi≧sでa
=aとなるので、時刻t+jにおける制御量の予測
値PVm(t+j)は、
【数6】 となる。
【0050】ここで、現在時刻で予想される制御量PV
m(t)は、あくまでステップ応答モデルにより算出さ
れたものであって実際のプロセス2より出力されたもの
ではない。プロセスモデル(ステップ応答モデル)が完
全であり、かつ、外乱が全くなければ(6)式により、
制御量を完全に予測できるが、実際にはプロセスモデル
が完全にプロセスを表現していることは有り得ないし、
外乱が入ることもしばしばある。
【0051】したがって、本実施例は、プロセスモデル
のみを用いて予測を行うのでなく、現在時刻で予想され
る制御量PVm(t)の代わりに、実際に計測される現
在時刻のプロセス2の制御量PV(t)を基準値に用い
て制御量の予測値PVp(t+j)を算出している。こ
のとき、(6)式は次に示す通りとなる。
【0052】
【数7】
【0053】また、本実施例の場合、1ステップ後の予
測値PVp(t+1)がわかれば十分なのでj=1とす
ると、
【数8】 となる。さらに、本実施例のように長い無駄時間を持つ
プロセスの場合、1ステップ後のステップ応答値a
は、図2(a)に示すようにa=0と近似でき、逆
に、本実施例のプロセス制御装置は、制御周期が無駄時
間よりも短い時間であっても制御可能なプロセス制御装
置であり、(8)式においてa=0とすると、
【数9】 が得られる。本実施例の予測算出部8にセットされてい
る(1)式は、(9a)式の右辺右項と(9b)式とに
より成り立っている。
【0054】予測式(9a)は、現在の計測された制御
量PVの項と過去の操作量およびステップ応答波形から
予測される予測増減量の項の和である。(9b)式は操
作量の差分値である。
【0055】(9)式は制御量の予測値PVp(t+
1)の基準量((9a)式右辺左項)としてプロセスに
おける現実の現在制御量PVを用い、なおかつ、(9
a)式右辺右項の予測増減量は過去にすでに算出された
操作量を用いている。また、この各操作量はその時点で
の現在制御量を基準量として用いて算出されたものであ
る。
【0056】このように、本実施例のプロセス制御装置
1では、操作量の差分値を求める差分部6と、ステップ
応答モデルを設定したプロセスモデル部7と、予測量算
出部8とを設け、操作量の差分値とステップ応答値とか
ら予測量算出部8において(1)式((9a)式右辺右
項)による予測増減量ΔPVpを求め、これに制御量P
Vを加えて制御量の予測値PVpを得ている(すなわち
(9)式を実現している)ので、操作量計算に用いられ
る制御量の予測値PVpが常に現実の値PVで補正さ
れ、かつ、予測増減量ΔPVpに用いられる値もその直
前までの現実の値(制御量および操作量)により補正さ
れたものが用いられている。
【0057】したがって、従来のプロセスモデルを用い
る制御はプロセスモデルを仮の制御対象として操作量を
算出するので、プロセスモデルが不正確であるとその不
正確な部分が制御量の予測値の中に蓄積されて制御性が
悪化していくが、本実施例では上述したように制御量の
予測値PVpが実際の制御対象からの出力により常に補
正され、プロセスモデルの不正確さが蓄積されることが
ないので、ある程度プロセスモデルが不正確であっても
制御性が悪化することはない。
【0058】また、同じ理由により、外乱が発生した場
合でも、制御性が著しく悪化することはない。
【0059】しかも、その制御周期は無駄時間よりも短
い時間に設定されるので、本実施例のプロセス制御装置
は長い無駄時間を持つプロセスであっても制御量を早く
整定させることができる。
【0060】さらに、本実施例のプロセス制御装置は、
プロセスモデルからの情報として、ステップ応答値を用
いるだけなので、複雑なプロセスモデル(いわゆる動特
性モデル)を導出する必要がなく簡便である。また、こ
のステップ応答モデルの折れ線を表示させることによ
り、オペレータは、プロセスの応答パターンを直観的に
把握することができ、プロセス状態を正確に認識するこ
とができるので、必要に応じて適確な対応を取ることが
できる。
【0061】図3は、本発明の第2の実施例に係るプロ
セス制御装置の構成を示すブロック図である。図1と同
一部分には同一符号を付して説明を省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0062】図3において、上下限制限設定器10は、
予測量算出部8で算出された予測増減量ΔPVpの上下
限値を設定している。
【0063】予測増減値が上限値あるいは下限値を越え
る場合、予測増減値ΔPVpとして上下限値が与えられ
る。
【0064】このように本実施例によるプロセス制御装
置は、第1の実施例の構成の他、上下限制限設定器10
を設けて、予測増減量ΔPVpの上下限値を制限したの
で、第1の実施例と同様な効果の他、プロセスの特性が
変わって予測算出部8の出力値が不適切なものとなって
もかけ離れた制御量の予測値PVpを出力せず、操業上
の安全が確保される。
【0065】図4は、本発明の第3の実施例に係るプロ
セス制御装置の構成を示すブロック図である。図1と同
一部分には同一符号を付して説明を省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0066】プロセス制御装置1cには、第1の実施例
のプロセス制御装置1に、それぞれ同様の機能を有する
プロセスモデル部7bと、予測値算出部8bと、加算部
9bとが付加され、さらに、プロセスモデル選択手段で
ある切換条件判定器11と、入切スイッチ12a,12
bとが付加されている。
【0067】ただし、プロセスモデル部8bには、プロ
セスモデル部8とは異なるプロセスモデルが設定されて
いる。これは、プロセス変量、負荷等が一定条件を満足
されると、プロセス2がプロセスモデル部8のステップ
応答モデルとは異なったステップ応答モデルに従うとわ
かっているときのそのステップ応答モデルである。
【0068】また、タイミング発生器5bのタイミング
信号は、プロセスモデル部7bにも入力される。さら
に、差分部6の出力値は予測値算出部8または8bのい
ずれか一方のみに入力されており、いずれに入力される
かの切換は切換条件判定器11によって決められる。
【0069】この切換条件判定器11には、プロセス変
量、負荷等のモデルを切り換えるための信号が入力され
ており、これらの信号によりプロセスモデル切換条件が
満たされると、差分部6bから予測値算出部8または8
bへの出力は入切スイッチ12a,12bをオンオフす
ることで一方から他方へ切り換えられる。
【0070】次に、以上のように構成された本実施例の
プロセス制御装置の動作について説明する。
【0071】まず、入切スイッチ12a,12bのう
ち、オンになっている側では差分部6bからの出力がそ
のまま予測値算出部8または8bに入力される。一方、
オフになっている側では操作量の差分値として「0」が
予測値算出部8または8bに入力されている。
【0072】したがって、入切スイッチ12a,12b
がオンになっている側では、予測増減値ΔPVpが第1
の実施例で説明した通りに算出され、制御量PVに加算
される。一方、入切スイッチ12a,12bがオフにな
っている側では、操作量の差分値として「0」が入力さ
れているので、予測増減量ΔPVpは「0」が出力され
ている。この「0」出力は、制御量PVまたはすでに予
測増減量ΔPVpの加算された制御量の予測値PVpに
加算される。
【0073】次に、プロセスモデル切換条件が満たさ
れ、切換条件判定器11により差分部6bからの出力先
が切り換えられると、予測増減量ΔPVpを算出する予
測値算出器が切り換えられる。このとき、当該予測値算
出器における前ステップまでの操作量の差分値は「0」
であるので、切り換えはバンプレスに行われる。
【0074】一方、それまで予測演算を行っていた予測
算出器では、差分部6bからの入力は「0」となるが、
切り換えまでの差分値が「0」でないので、しばらく、
予測増減値が出力され続ける。しかし、時間経過(ステ
ップ進行)と共に、係数a1+t−aが「0」に近付
いていくので、当該予測増減値出力ΔPVpも徐々に小
さくなり最終的には「0」となる。
【0075】このように本実施例によるプロセス制御装
置は、第1の実施例の構成の他、プロセスモデル部7b
と、予測値算出部8bと、加算部9bと、さらに、切換
条件判定器11と、入切スイッチ12a,12bを設
け、プロセスモデル切換条件によって、必要なステップ
応答モデルを変更し、その予測増減値ΔPVpがバンプ
レスに切り換えられるようにしたので、第1の実施例と
同様な効果の他、条件によりプロセス特性が変化する場
合でも制御性を落とすことなく、品質を向上し、操業安
全を確保することができる。
【0076】なお、本実施例ではプロセスモデル(ステ
ップ応答モデル)が2つの場合で説明したが、3つ以上
の場合でも適応可能であり、2つの場合と同様に処理す
ることができる。
【0077】図5は、本発明の第4の実施例に係るプロ
セス制御装置の構成を示すブロック図である。図1と同
一部分には同一符号を付して説明を省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0078】プロセス制御装置1dには、第1の実施例
のプロセス制御装置1に、外乱13が発生した時に動作
するフィードフォワードモデルが内蔵されているフィー
ドフォワード制御器14と、フィードフォワード制御器
14からの操作量を受け、制御器4を停止するか否か判
定する制御切換手段であるフィードバック制御停止判定
器15と、フィードフォワード制御器14からの操作量
を加算する加算部16とが付加されている。ここに、フ
ィードフォワード制御は、出力変数に影響を与える外乱
を予測して入力変数に対して前記外乱を補償するような
変化を発生させる制御方式である。
【0079】さらに、プロセス制御装置1dには、外乱
13の外乱モデルが設定され、外乱による予測増減量を
算出する外乱モデル部17と、この予測増減量をプロセ
ス2からの出力に加算する加算部18とが付加されてい
る。
【0080】次に、以上のように構成された本実施例の
プロセス制御装置の動作について説明する。
【0081】第1,2および3の実施例の装置は、自ル
ープの操作量変更に対する制御量変更量の予測演算を実
施するものである。したがって、プロセスの特性に影響
を与えないような外乱が入ってくる場合、外乱信号によ
り制御量が変動してから操作量を演算するという通常
(モデル予測制御でない)のフィードバック制御の動作
と見掛上同じ動作をする。
【0082】したがって、第1,2および3の実施例の
プロセス制御装置は、モデル予測制御を行う制御装置で
ありながらフィードフォワード制御を組み込むことが可
能となる。
【0083】その構成は、上述した通りであり、その動
作として、まず、外乱がない場合、フィードフォワード
制御器14は動作しておらず、外乱モデル部17の出力
は「0」または無出力である。
【0084】次に、外乱が発生すると、フィードフォワ
ード制御器14は内設された外乱フィードフォワードモ
デルにより、フィードフォワード量(操作量)を算出
し、出力する。
【0085】出力された操作量は、加算部16で制御器
4からの操作量に加算されてプロセス2に入力されると
共に、フィードバック制御停止判定器15に入力され
る。フィードバック制御停止判定器15は、フィードフ
ォワード量の絶対値が一定値以上になったら、制御器4
のフィードバック動作によりフィードフォワード量が打
ち消されないように制御器4の動作を停止する。
【0086】したがって、外乱の影響が一定の大きさを
越えている間は、プロセス2はフィードフォワード制御
器により制御される。フィードフォワード量の絶対値が
一定値以下になり、かつ、フィードフォワード制御の効
果が現れる無駄時間が経過すると、フィードバック制御
停止判定器15は、制御器4を再び動作させ、フィード
バック制御を再開させる。
【0087】一方、制御器4が停止している間、予測量
算出部8による予測増減量ΔPVpは算出されていない
ので、その代わりに外乱モデル部17の外乱モデルに基
づいて予測増減量を算出しプロセス2の出力に加算して
おく。このように制御量の予測値に相当するものを制御
器4系に与え続けておくことより、フィードバック制御
停止判定器15が制御器4を再び動作させたとき、制御
器4,予測量算出部8等を含むフィードバック制御系
は、スムーズ(バンプレスに近い形で)に制御を再開さ
せることができる。
【0088】このように本実施例によるプロセス制御装
置は、第1の実施例の構成の他、フィードフォワード制
御器14とフィードバック制御停止判定器15と外乱モ
デル部17とを設け、外乱が入った場合、フィードフォ
ワード制御を加え、あるいは一定条件間、フィードフォ
ワード制御のみに切り換えられるようにしたので、第1
の実施例と同様な効果の他、外乱が入った場合でも制御
量の変動を最小限に押さえることができる。
【0089】また、外乱モデル部17からの出力をプロ
セス2からの出力に加算しているので、フィードフォワ
ード制御のみに切り換えた後、制御器4を再び動作させ
たとき、フィードバック制御をスムーズ(バンプレスに
近い形で)に再開させることができる。
【0090】なお、本実施例は、第1の実施例にフィー
ドフォワード制御を適用させたが、同様にして、第2,
第3の実施例にフィードフォワード制御を適用できるこ
とはいうまでもない。
【0091】
【発明の効果】以上詳記したように本発明のプロセス制
御装置によれば、制御対象のプロセスが長い無駄時間を
持ち、この制御対象に対するプロセスモデルを用いてプ
ロセスの制御をおこなうときに、プロセスモデルが完全
に正確でないとき制御性を悪化させることなくプロセス
を制御することができ、外乱が発生したとき制御性を悪
化させることなくプロセスを制御でき、プロセスの応答
特性が変化したとき制御性を悪化させることなくプロセ
スを制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るプロセス制御装置
の構成を示すブロック図。
【図2】ステップ応答と操作量のステップ信号への分解
についての説明図。
【図3】本発明の第2の実施例に係るプロセス制御装置
の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第3の実施例に係るプロセス制御装置
の構成を示すブロック図。
【図5】本発明の第4の実施例に係るプロセス制御装置
の構成を示すブロック図。
【図6】従来のサンプルPI制御の制御系を示す図。
【図7】従来のプロセスモデルを用いる制御の制御系を
示す図。
【符号の説明】
4…制御器、5…タイミング発生器、6,6b…差分
部、7,7b…プロセスモデル部、8,8b…予測値算
出部、10…上下限制限設定器、11…切換条件判定
器、14…フィードフォワード制御器、15…フィード
バック制御停止判定器、17…外乱モデル部。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−204102(JP,A) 特開 昭59−41004(JP,A) 特開 平2−264302(JP,A) 特開 平4−309101(JP,A) 大嶋正裕、「モデル予測制御」、化学 工学展望シリーズ第5回「プロセス制御 技術1989」、化学工学会関西支部、平成 元年、P.94−112 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 11/00 - 13/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己平衡型の長い無駄時間を有するプロ
    セスから出力される制御量PVに基づいて制御部にて操
    作量MVを演算して前記プロセスへ送出するプロセス制
    御装置において、 複数の少なくともプロセス変量及び負荷からなるプロセ
    ス条件にそれぞれ対応させた前記プロセスにステップ状
    の操作量を与えたときに出力されるステップ応答値a
    の時間に対する応答特性を有するステップ応答モデルか
    らなる複数のプロセスモデルを保持するプロセスモデル
    手段と、 前記少なくともプロセス変量及び負荷からなるプロセス
    条件を示す信号を入力し、該信号入力が予め定めた選択
    条件を満たすか否かを判定する切換条件判定手段と、 この切換条件判定手段による選択条件に従って、前記プ
    ロセスモデル手段が保持する複数のプロセスモデルから
    前記選択条件に従うプロセスモデルを選択するプロセス
    モデル選択手段と、 このプロセスモデル選択手段により選択されたプロセス
    モデルから出力されるステップ応答値aと、前記制御
    部から時刻tにて出力されている操作量MVにおける時
    間差分ΔMVとに対して下式に従い、時刻t+1の制御
    量として予測される予測制御量に対する増減分である予
    測増減量ΔPVpを算出する予測量算出手段と、 前記プロセスモデル選択手段によりプロセスモデルが選
    択されると、選択後のプロセスモデルに従う前記予測増
    減量ΔPVpを前記プロセスからの制御量PVに対して
    加算して、時刻t+1における予測制御量PVpを求め
    て、この予測制御量PVpを前記制御部に対する制御量
    とする制御量加算手段とを具備したことを特徴とするプ
    ロセス制御装置。 【数1】
  2. 【請求項2】 前記プロセスに外乱が入ったとき、前記
    予測制御量PVpを用いた制御と共に前記プロセスをフ
    ィードフォワード制御するフィードフォワード制御手段
    を具備したことを特徴とする請求項1記載のプロセス制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記プロセスをフィードフォワード制御
    するフィードフォワード制御手段と、前記プロセスに外
    乱が入ったとき前記予測制御量PVpを用いた制御から
    前記フィードフォワード制御手段による制御に切り換え
    る制御切換手段とを具備したことを特徴とする請求項1
    記載のプロセス制御装置。
  4. 【請求項4】 前記予測量算出手段に、予測増減量ΔP
    Vpの上下限値を設ける上下限制限設定手段を付加した
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の
    プロセス制御装置。
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