JP3232226B2 - 硬化性シリコーンゴム組成物、その硬化物及びそれにより封止された樹脂封止型半導体装置 - Google Patents

硬化性シリコーンゴム組成物、その硬化物及びそれにより封止された樹脂封止型半導体装置

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JP3232226B2
JP3232226B2 JP29772095A JP29772095A JP3232226B2 JP 3232226 B2 JP3232226 B2 JP 3232226B2 JP 29772095 A JP29772095 A JP 29772095A JP 29772095 A JP29772095 A JP 29772095A JP 3232226 B2 JP3232226 B2 JP 3232226B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱伝導性及び電気
絶縁性に優れた硬化物を得ることができる硬化性シリコ
ーンゴム組成物、該硬化物及びそれにより封止された樹
脂封止型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の半導体装置は、パッケージの小型
化、高速化、チップサイズの大型化により、素子の発熱
量が大きくなり、そのため半導体装置に用いる封止剤に
は以前にも増して熱伝導性に優れたものが望まれてい
る。ところで、従来、パワートランジスタ等に用いる放
熱シリコーンゴムシートに熱伝導性や電気絶縁性を付与
するための充填剤として、六方晶窒化硼素粉末が知られ
ている。また、一般に、該シートの原料である硬化前の
シリコーンゴム組成物にこの六方晶窒化硼素粉末を配合
すると、該組成物の粘度が上昇して流動性が悪くなるこ
とも知られている。従って、シリコーンゴム組成物に六
方晶窒化硼素粉末を配合するときには、通常、該組成物
にベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘプタン
等の有機溶剤や、ヘキサメチルシラザン、ジフェニルシ
ランジオール、環状ジメチルシロキサン等の分散剤をと
もに配合する。しかし、このような有機溶剤や分散剤を
配合したシリコーンゴム組成物は、硬化時に発泡し、ま
た硬化するための加熱温度が高いため、半導体素子のコ
ーティングやポッティングに用いる所謂半導体封止用の
硬化性組成物として用いることができない。また、特に
半導体素子のジャンクション部やワイヤーの保護等を目
的に使用した場合、気泡があると信頼性が得られない。
また気泡の存在は熱伝導性を低下させる点でも好ましく
ない。即ち、従来、前記のような有機溶剤や分散剤を含
まなくとも、優れた流動性を示し、かつ良好な熱伝導性
や電気絶縁性を発揮するのに十分な六方晶窒化硼素粉末
を含有する硬化性シリコーンゴム組成物は得られていな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特に
有機溶剤や分散剤を含まなくとも、優れた流動性を示
し、かつ良好な熱伝導性や電気絶縁性を発揮するのに十
分な六方晶窒化硼素粉末を含有する付加反応硬化型シリ
コーンゴム組成物、その硬化物及びそれにより封止され
た樹脂封止型半導体装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、(A)
一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジ
オルガノポリシロキサン 100重量部、 (B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少な
くとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキ
サン 前記(A)成分中のビニル基1モル当たり、
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子が0.5〜
4モルとなる量、 (C)白金族金属系触媒 触媒量、及び (D)エポキシ基又はケイ素原子に結合したビニル基
含有するシランカップリング剤で表面処理した六方晶窒
化硼素粉末 30〜300重量部を含有する硬化性シリコー
ンゴム組成物である。本発明の第二は、前記組成物を硬
化して得られる硬化物である。本発明の第三は、半導体
素子を前記硬化物で封止してなる樹脂封止型半導体装置
である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。(A)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン 本発明の組成物に用いるアルケニル基含有ジオルガノポ
リシロキサンは、一分子中に少なくとも2個のアルケニ
ル基を含有するもので、通常は主鎖部分が基本的にジオ
ルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末
端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のもの
であるのが一般的であるが、これは分子構造の一部に分
枝状の構造を含んだものであってもよく、また環状体で
あってもよいが、硬化物の機械的強度等の物性の点から
直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。該アル
ケニル基は、分子鎖の両末端にのみに存在していても、
或いは分子鎖の両末端及び分子鎖の途中に存在していて
もよい。このようなアルケニル基含有ジオルガノポリシ
ロキサンの代表例としては、例えば、下記一般式
(1):
【0006】
【化1】 (式中、R1 は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非
置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル
基であり、nは0又は1以上の整数であり、mは0又は
1以上の整数である)で表されるジオルガノポリシロキ
サンが挙げられる。
【0007】式中、R1 の脂肪族不飽和結合を含有しな
い非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、
ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル
基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシ
リル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、
メチルベンジル基等のアラルキル基;並びにこれらの基
の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部がフ
ッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置
換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチ
ル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオ
ロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル
基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,
6,6−ノナフルオロヘキシル基などが挙げられ、代表
的なものは炭素原子数が1〜10、特に代表的なものは
炭素原子数が1〜6のものであり、好ましくは、メチル
基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエ
チル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノ
エチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアル
キル基及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフ
ェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。
【0008】式中、Xのアルケニル基としては、例え
ば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニ
ル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基
等の通常炭素原子数2〜8程度のものが挙げられ、中で
もビニル基、アリル基等の低級アルケニル基が好まし
い。
【0009】式中、nは0又は1以上の整数であり、m
は0又は1以上の整数である。また、n及びmは、10≦
n+m≦10,000を満たす整数であるのが好ましく、より
好ましくは50≦n+m≦2,000 であり、かつ0 <m/
(n+m)≦0.2 を満足する整数である。
【0010】また、このようなアルケニル基含有ジオル
ガノポリシロキサンは、25℃における粘度が10〜1,00
0,000 cSt、特に100 〜500,000 cSt程度のものが
好ましい。
【0011】(B)オルガノハイドロジェンポリシロキ
サン 本発明の組成物に用いるオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンは、一分子中に少なくとも2個、好ましくは3
個以上のケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH
基)を含有するものであり、直鎖状、分岐状、環状、或
いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。この
ようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの代表例
としては、例えば、下記平均組成式(2): Ha 2 b SiO(4-a-b)/2 (2) (式中、R2 は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非
置換又は置換の1価炭化水素基であり、a及びbは、0
<a <2、0.8 ≦b≦2かつ0.8 <a+b≦3となる数
であり、好ましくは0.3 ≦a≦1、1.5 ≦b≦2かつ1.
8 ≦a+b≦2.7となる数である)で表されるオルガノ
ハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0012】式中、R2 の脂肪族不飽和結合を含有しな
い非置換又は置換の1価炭化水素基としては、前記一般
式(1)のR1 として例示したものと同様のものが挙げ
られ、代表的なものは炭素原子数が1〜10、特に炭素原
子数が1〜7のものであり、好ましくはメチル基等の炭
素原子数1〜3の低級アルキル基、フェニル基、3 、3
、3-トリフルオロプロピル基である。このようなオル
ガノハイドロジェンポリシロキサンの例としては、例え
ば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テト
ラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメ
チルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマ
ー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイ
ドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシ
ロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェ
ンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖
メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シ
ラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジ
ェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイド
ロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子
鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチル
ハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチル
ハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メ
チルハイドロジェンシロキサン共重合体等;R2 (H)
SiO1/2 単位とSiO4/2 単位からなり、任意にR3
SiO1/2 単位、R2 SiO2/2 単位、R(H)SiO
2/2 単位、(H)SiO3/2 単位又はRSiO3/2 単位
を含み得るシリコーンレジン(但し、式中、Rは前記の
1 として例示した非置換又は置換の1価炭化水素基と
同様のものである)などが挙げられ、更には下記式:
【0013】
【化2】 等で表されるものが挙げられる。
【0014】本発明の組成物に用いるオルガノハイドロ
ジェンポリシロキサンは、公知の方法で得ることがで
き、例えば、下記一般式: R2 SiHCl2 及びR2 2 SiHCl (式中、R2 は前記と同じである)から選ばれる少なく
とも1種のクロロシランを共加水分解し、或いは該クロ
ロシランと下記一般式: R2 3 SiCl及びR2 2 SiCl2 (式中、R2 は前記と同じである)から選ばれる少なく
とも1種のクロロシランを組み合わせて共加水分解して
得ることができる。また、オルガノハイドロジェンポリ
シロキサンは、このように共加水分解して得られたポリ
シロキサンを平衡化したものでもよい。
【0015】成分(B)の使用量は、成分(A)のビニ
ル基含有ジオルガノポリシロキサン中のビニル基1モル
当たり、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロ
キサン中の水素原子が、通常0.5 〜4モルとなるような
量、好ましくは1〜2.5 モルとなるような量である。
【0016】(C)白金族金属系触媒 本発明に用いる白金族金属系触媒は、前記の成分(A)
のビニル基と成分(B)のケイ素原子に結合する水素原
子との付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシ
リル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げら
れる。その具体例としては、例えば、白金(白金黒を含
む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2
PtCl4 ・nH2 O、H2 PtCl6 ・nH2 O、N
aHPtCl6 ・nH2 O、KHPtCl6 ・nH
2 O、Na2 PtCl6 ・nH2 O、K2 PtCl4
nH2 O、PtCl4 ・nH2 O、PtCl2 、Na2
HPtCl4 ・nH2 O(但し、式中、nは0〜6の整
数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、
塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金
酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩
化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第
3,159,601号明細書、同第3,159,662
号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白
金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、
カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフ
ィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォ
スフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白
金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキ
サン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレッ
クスなどが挙げられる。
【0017】成分(C)の使用量は、所謂触媒量でよ
く、通常、成分(A)及び成分(B)の合計量に対する
白金族金属の重量換算で、0.1 〜500ppm、特には0.5 〜
200ppm程度でよい。
【0018】(D)六方晶窒化硼素粉末 本発明に用いる六方晶窒化硼素粉末は、エポキシ基又は
ケイ素原子に結合したビニル基を含有するシランカップ
リング剤で表面処理したものである。このようにシラン
カップリング剤で表面改質した六方晶窒化硼素粉末は、
該粉末を含むシリコーンゴム組成物の流動性を適度に維
持しながら、該組成物の硬化物に熱伝導性及び電気絶縁
性を付与する。
【0019】 エポキシ基又はケイ素原子に結合した
ビニル基を含有するシランカップリング剤 前記のシランカップリング剤としては、エポキシ基又は
ケイ素原子に結合したビニル基を有するケイ素化合物で
あれば特に制限はなく、例えば、下記一般式(3): SiR3 i4 j5 k (3) (式中、R3 はビニル基、或いはエポキシ基を含有する
1価有機基であり、R4は1価加水分解性基又は加水分
解性原子であり、R5 はアルキル基であり、iは1〜3
の整数であり、jは1〜3の整数、好ましくは2又は3
であり、kは0〜2の整数である。但し、i+j+k=
4である)で表されるオルガノシランが挙げられる。
【0020】式中、R3 のエポキシ基を含有する1価有
機基としては、例えば、 Z−(CH2 p − (式中、Zは、
【0021】
【化3】 で表される基であり、pは0〜4の整数である)で表さ
れる基、具体的には、例えば、3,4−エポキシシクロ
ヘキシル基、3,4−エポキシシクロヘキシルアルキル
基、グリシジル基、グリシドキシ基、グリシドキシアル
キル基、特にγ−グリシドキシプロピル基、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等が挙げられ
る。
【0022】式中、R4 の1価加水分解性基又は加水分
解性原子としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、
ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアル
コキシ基;β−メトキシエトキシ基、β−エトキシエト
キシ基等のアルコキシアルキルオキシ基;塩素原子;ジ
メチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等
のケトオキシム基;アセトキシ基、プロピオノキシ基等
のアシルオキシ基;イソプロペニルオキシ基、イソブテ
ニルオキシ基等のアルケニルオキシ基などが挙げられ
る。
【0023】式中、R5 のアルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチ
ル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等の、通常炭
素原子数1〜10程度のものが挙げられる。
【0024】このようなシランカップリング剤の具体例
としては、例えば、下記式: Cl3 SiCH=CH2 、(CH3 O)3 SiCH=C
2 、(C2 5 O)3 SiCH=CH2 、(CH3
2 4 O)3 SiCH=CH2
【0025】
【化4】 等で表されるものが挙げられる。
【0026】 六方晶窒化硼素粉末 表面処理に供する六方晶窒化硼素粉末は、公知のものを
用いることができ、通常、平均粒子径が1〜30μm 程
度のものでよく、好ましくは平均粒子径が5〜20μm
のものである。なお、平均粒子径が小さすぎると、凝集
粒が多くなって組成物中に均一に分散させるのが困難に
なる場合がある。そのうえ組成物を硬化した場合に、該
硬化物中に六方晶窒化硼素の粒界が多量に発生し、十分
な放熱特性が得られない場合がある。これとは逆に、平
均粒径が大きすぎると硬化物の表面が平滑にならず該表
面に凹凸が生じる場合がある。また、六方晶窒化硼素粉
末は、窒化硼素の純度(表面処理前のもの)が95重量
%以上、特に98重量%以上であるものが好ましい。な
お、この純度が低すぎると、該粉末を配合した組成物を
硬化したときに、該粉末の不純物の影響で硬化物の熱伝
導性及び電気絶縁性が低下する場合がある。また、六方
晶窒化硼素粉末は、結晶化が発達したものが好ましく、
学振炭素材料117委員会法に準拠して測定したLc値
が500Å以上、特に700Å以上のものが好ましい。
なお、このLc値が小さすぎる所謂非晶質の粉末を配合
した組成物は、得られる硬化物の熱伝導性及び電気絶縁
性が不十分な場合がある。
【0027】 表面処理 表面処理の方法としては、公知の湿式処理法又は乾式処
理法を使用することができる。このような表面処理法の
具体例としては、例えば、前記のシランカップリング剤
をアルコールに溶解した後、この溶液に水及び酢酸並び
にSn等の加水分解触媒を添加し、次いで、前記の六方
晶窒化硼素粉末を配合して混合した後、乾燥する方法が
挙げられる。前記のアルコールとしては、例えば、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノ
ール等が挙げられる。シランカップリング剤の使用量
は、六方晶窒化硼素粉末の比表面積やその他の性状に合
わせて適宜に調節できるが、通常、六方晶窒化硼素粉末
100重量部当たり、0.1〜10重量部程度でよい。
このような表面処理により、前記の六方晶窒化硼素粉末
の表面にビニル基又はエポキシ基を含むシロキサン被膜
を形成する。このシロキサン被膜を有する六方晶窒化硼
素粉末は、成分(A)や成分(B)のようなオルガノポ
リシロキサンとの親和性に優れる。従って、このように
表面処理した六方晶窒化硼素粉末を含む硬化性シリコー
ンゴム組成物は、表面が未処理のものを含む組成物と比
較して粘度が低く、流動性が優れる。
【0028】表面処理した六方晶窒化硼素粉末の使用量
は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロ
キサン100重量部当たり、通常、30〜300重量
部、好ましくは80〜200重量部である。この使用量
が少なすぎると得られる硬化物の熱伝導性、電気絶縁性
が不十分になる場合があり、逆に多すぎると得られる硬
化性シリコーンゴム組成物の粘度が上昇して流動性が悪
くなる場合がある。
【0029】その他の成分 本発明の組成物には、前記成分(A)、成分(B) 、成
分(C)及び成分(D)以外に、必要に応じて、例え
ば、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補
強性無機充填剤;炭酸カルシウム、けい酸カルシウム、
二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補
強性無機充填剤などを添加することができる。これらの
無機充填剤の使用量は、通常、該無機充填剤を除く成分
の合計量100重量部当たり、通常、0〜200重量部
である。
【0030】硬化性シリコーンゴム組成物及びその硬化
本発明の組成物は、通常の硬化性シリコーンゴム組成物
と同様に、例えば、成分(A)及び成分(C)、並びに
成分(B) 及び成分(D)というように前記の成分を2
液に分け、使用時にこの2液を混合して硬化させる所謂
2液型の組成物でもよい。また、前記の各成分を混合
し、この組成物に少量の硬化抑制剤(例えばアセチレン
アルコール等)などを添加した所謂1液型の組成物でも
よい。また、組成物の接着性を向上させる目的で前記成
分以外にエポキシ基含有ポリシロキサン化合物やエステ
ルシロキサン化合物を必要により配合することができ
る。このようにして得られる本発明の組成物は、流動性
が良好である。そして、本発明の硬化物は、前記組成物
を硬化して得られたものである。硬化条件としては、公
知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物と同様でよ
く、例えば常温でも十分硬化するが必要に応じて加熱し
てもよい。このような本発明の硬化物は熱伝導性、電気
特性に優れる。
【0031】樹脂封止型半導体装置 本発明の半導体装置は、半導体素子を本発明の硬化性シ
リコーンゴム組成物の硬化物で封止したものである。こ
のような半導体装置は、公知の方法で製造することがで
き、例えば、半導体素子の所定の箇所を硬化性シリコー
ンゴム組成物を用いてコーティング又はポッティング
し、該組成物を硬化して得ることができる。 前記の半
導体素子としては、例えば、集積回路、トランジスタ、
サイリスタ、ダイオード等が挙げられるが特に限定され
るものではない。このような本発明の半導体装置は、放
熱性及び電気絶縁性に優れる。
【0032】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を
さらに具体的に説明する。実施例1 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2重量部
を、メタノール50重量部に溶解した溶液に、水100
重量部、次いで60重量%酢酸水溶液20重量部を順次
に混合した。次に、この混合液に1時間超音波振動を施
してシラン溶液を調製した。このシラン溶液に六方晶窒
化硼素粉末[信越化学工業(株)製、KBN(h)-10
(商品名)、平均粒径:10μm、純度:99.7%、Lc
値:1000Å以上]100重量部を加えてプラネタリーミ
キサーで3時間混合した後、130℃の真空中で該混合
物を10時間乾燥して表面処理した六方晶窒化硼素粉末
を得た。次に、下記式:
【0033】
【化5】 (式中、nは、該シロキサンの25℃における粘度が40
0 cStとなるような数である)で表される、分子鎖両
末端がジメチルビニルシリル基で封鎖された直鎖状ジメ
チルポリシロキサン100重量部と、前記の表面処理後
の六方晶窒化硼素粉末100重量部とをプラネタリーミ
キサーで1時間混合後、さらに3本ロールで混練した。
次に、この混練物に、メチルハイドロジェンシロキサン
(ケイ素原子に結合する水素原子の含有量:0.8モル
/100g)5.1重量部及び塩化白金酸のオクチルア
ルコール変性溶液(白金含有量2重量%)0.02重量
部を加えて攪拌し、硬化性シリコーンゴム組成物を得
た。該組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定した
結果、21000cPであった。次に、該組成物を15
0mm×100mm×2mmの金型に流し込み、これを真空脱
泡した後、150℃で4時間加熱してシート状の硬化物
を得た。得られた硬化物について、下記の基準で熱伝導
率、体積抵抗率、絶縁破壊電圧、誘電率及び誘電正接を
測定した。結果を表1に示す。
【0034】熱伝導率[λ:(cal/(cm・sec ・℃)] 直径5.0mm 厚さ9mmの試験片を上部ヒータ板(低温側)
と下部ヒータ板(加熱側)の間に圧着する。温度が一定
になった後、放熱シリコーンゴム両面間の温度差及び熱
流速Q/A[但し、Qは伝電量(cal/sec )であり、A
は試験片の断面積(cm2 )である]を測定し、次式より
算出した。
【0035】
【数1】 [式中、Q及びAは前記と同じであり、Lは試験片の長
さ(cm)であり、ΔTは試験片両面間の温度差(℃)で
ある]
【0036】体積抵抗率 JIS C 2123に準じて測定した。
【0037】絶縁破壊電圧 JIS C 2123に準じて測定した。
【0038】誘電率 JIS C 2123に準じて測定した。
【0039】誘電正接 JIS C 2123に準じて測定した。
【0040】実施例2 実施例1において、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランに代えて、ビニルトリス(β−メトキシエト
キシ)シラン2重量部を使用した以外は実施例1と同様
にして硬化性シリコーンゴム組成物を得た。該組成物の
粘度をB型回転粘度計を用いて測定した結果、26400 c
Pであった。そして、実施例1と同様にして得た硬化物
について熱伝導率、体積抵抗率、絶縁破壊電圧、誘電率
及び誘電正接を実施例1と同様にして測定した。結果を
表1に示す。
【0041】比較例1 実施例1において、表面処理を行った六方晶窒化硼素粉
末に代えて、表面処理を行っていない六方晶窒化硼素粉
末[信越化学工業(株)製 KBN(h)-10(前
出)]100重量部を用いた以外は実施例1と同様にし
て、硬化性シリコーンゴム組成物を得た。該組成物は、
高粘度、高チクソトロピー性であり、該組成物の粘度を
B型回転粘度計を用いて測定した結果、60000cP
であった。また、実施例1と同様にして、金型に該組成
物を流し込み真空脱泡を試みたが十分に脱泡するのが困
難であった。そこで、該組成物にトルエンを添加して希
釈(該組成物含有量:50重量%)してから脱泡した。
そして、組成物に含まれるトルエンを飛散させた後、1
50℃で4時間加熱してシート状の硬化物を得た。そし
て、得られた硬化物について実施例1と同様にして熱伝
導率、体積抵抗率、絶縁破壊電圧、誘電率及び誘電正接
を測定した。結果を表1に示す。
【0042】比較例2 実施例1において、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランに代えて、N−(β−アミノエチル)γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン2重量部を使用した以
外は実施例1と同様にして硬化性シリコーンゴム組成物
を得た。該組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定
した結果、37000cPであった。そして、実施例1
と同様にして該組成物の硬化を試みたが、アミノ基によ
る触媒毒作用により該組成物は硬化しなかった。
【0043】比較例3 実施例1において、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランに代えて、γ−メタクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン2重量部を使用した以外は実施例
1と同様にして硬化性シリコーンゴム組成物を得た。該
組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定した結果、
49000cPであった。そして、実施例1と同様にし
て得た硬化物について熱伝導率、体積抵抗率、絶縁破壊
電圧、誘電率及び誘電正接を実施例1と同様にして測定
した。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】評価 表1に示すとおり、本発明の組成物(実施例1及び実施
例2参照)は、表面処理を行っていない六方晶窒化硼素
粉末を含む組成物(比較例1参照)と比較して、粘度が
著しく低く、流動性に優れる。また硬化後の熱伝導率、
電気特性も良好である。また、本発明の成分(D)以外
のシランカップリング剤で表面処理した六方晶窒化硼素
粉末を含む組成物(比較例2及び比較例3参照)は、粘
度の低減も小さく、特にアミノ基含有のシランカップリ
ング剤を用いた組成物(比較例2参照)は、触媒毒作用
による硬化阻害が発生している。
【0046】
【発明の効果】本発明の組成物は、流動性が良好であ
り、本発明の硬化物は熱伝導性及び電気絶縁性に優れ
る。また、本発明の樹脂封止型半導体装置は、放熱性及
び電気絶縁性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鷲尾 友一 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 精密機能材料研究所 内 (72)発明者 進藤 敏彦 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 精密機能材料研究所 内 (56)参考文献 特開 平1−221454(JP,A) 特開 平7−215705(JP,A) 特開 平2−97559(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 83/07 C08K 3/38 C08L 83/05 H01L 23/29 H01L 23/31

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一分子中に少なくとも2個のアル
    ケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン 100重
    量部、 (B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少な
    くとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキ
    サン 前記(A)成分中のビニル基1モル当たり、
    (B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子が0.5〜
    4モルとなる量、 (C)白金族金属系触媒 触媒量、及び (D)エポキシ基又はケイ素原子に結合したビニル基
    含有するシランカップリング剤で表面処理した六方晶窒
    化硼素粉末 30〜300重量部を含有する硬化性シリコー
    ンゴム組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の組成物を硬化して得ら
    れる硬化物。
  3. 【請求項3】 半導体素子を請求項2に記載の硬化物で
    封止してなる樹脂封止型半導体装置。
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