JP3231994B2 - 電動工具の通風構造 - Google Patents

電動工具の通風構造

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JP3231994B2
JP3231994B2 JP08665096A JP8665096A JP3231994B2 JP 3231994 B2 JP3231994 B2 JP 3231994B2 JP 08665096 A JP08665096 A JP 08665096A JP 8665096 A JP8665096 A JP 8665096A JP 3231994 B2 JP3231994 B2 JP 3231994B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、携帯用あるいは
卓上型の電気マルノコ、グラインダ或いはドライバ等の
電動工具における、モータ冷却用のファンにより発生す
る冷却風の通風構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種の電動工具における冷却
風の通風構造としては、モータハウジング内に配置され
たモータにファンを取り付けて、このファンにより発生
する冷却風がモータ周囲を通ってモータハウジング或い
はそのすぐ下流側のギヤハウジングに設けられた流出口
から外部に流出する構成となっており、従来、このよう
な流出口としては、ファンの回転方向に沿って複数の長
円形の吹き出し窓を設けたものが知られている。しかし
ながら、これらの吹き出し窓からファンの風切音やモー
タ冷却風の吹き出しによる風切音等の騒音が多く発生
し、電動工具の使用感を損なっていた。そのため、上記
騒音の低減を目的として、この吹き出し窓のそれぞれに
多数の仕切り壁を設け、吹き出し窓が通風方向にある程
度の長さを有するスリット状にしたものが知られてい
る。このスリット状の吹き出し窓の構造は仕切り壁の高
さが同じ高さ(ファンに対しその回転軸方向で同じ距
離、或いは回転軸を中心とする半径方向で同じ距離)を
有するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなスリット状
の吹き出し窓を設けた通風構造では、冷却風は吹き出し
窓の前方を横切って流れるため、ファンの回転方向前方
側の吹き出し窓内が負圧となって空気が外部からハウジ
ング内に逆に吸い込まれることとなり、冷却風がスムー
スに排出されず、排出風量が低下してモータの冷却効率
が低下する問題点を有していた。また、このように、フ
ァンの回転方向前方側の吹き出し窓内が負圧となって空
気が外部からハウジング内に吸い込まれるので、吸い込
まれた空気の流れが吹き出し窓前方から到来する空気の
流れに衝突して乱流を生じ、衝突音を発生することとな
っていた。さらに、冷却風が吹き出し窓の前方を横切る
流れにより、仕切り壁において風切り音を生じ、また吹
き出し窓から外部に排出される空気量はファンの回転方
向後方側のものほど多いため、ファンの回転方向後方側
の吹き出し窓においては、これを通過する空気流により
吹き出し音を生ずることとなっていた。
【0004】
【発明の目的】従って、本発明の目的はモータ冷却風の
排出風量を十分にし、モータの冷却効率及びファン性能
を向上しうる電動工具の通風構造の提供にある。また、
本発明のもう一つの目的は冷却風が吹き出し窓に少しず
つ分散されて効率のよい排出が行われ、空気流相互の衝
突音、風切り音、吹き出し音を低減できる電動工具の通
風構造の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため本願発明は、前
記各請求項に記載した構成の通風構造とした。 請求項1
記載の通風構造によれば、吹き出し窓を仕切る仕切壁の
高さがファンの回転方向に向かうものほどファン側に向
けて高くなる部分を有しているので、ファンから流れる
還流状態の冷却風は仕切壁により吹き出し窓に少しずつ
分散されて円滑に流出する。このため十分な排出風量が
得られ、モータの冷却効率及びファン性能が向上する。
また、このような構成によれば、吹き出し窓の上方(フ
ァン側)を還流が通過することによる特にファンの回転
方向前側に位置する吹き出し窓における負圧の発生が抑
制されて吹き出し風の逆流が防止され、このため空気相
互の衝突音がなくなり、また上記円滑な流れにより風切
り音、吹き出し音が低減されるので騒音が全体として減
少する。また、請求項2記載の通風構造によれば、冷却
風は通路部材からブレードケース内に吹き出されるの
で、吹き出された風が作業者に吹き付けられることがな
く、またブレードケース内に吹き出される際の風切り音
はこもってしまうことからマルノコの静粛性は高めら
れ、従ってその使用感がよくなる。
【0006】
【実施例】次に、本発明の第1実施例を図1〜図3に基
づいて説明する。本例は本発明を電気マルノコに適用し
た実施例に関するものであり、図1に電気マルノコ1が
示されている。図中2はモータハウジングであり、その
内部には駆動モータ3が内蔵されている。但し、図では
駆動モータ3のアーマチュアのみが示されている。ま
た、図中1aは丸鋸を示している。
【0007】駆動モータ3の出力軸3aにはモータ冷却
用の冷却ファン4が取り付けられている。このため、駆
動モータ3の起動に伴ってこの冷却ファン4も一体で回
転され、これによりモータハウジング2の後端面(図示
右端面)に設けられた吸入口(図示省略)から外気が導
入され、これが駆動モータ3を冷却しつつ図示左方に流
れて、ブレードケース5の背面(図示右側面)に設けら
れたギヤハウジング6内に吹き付けられる。
【0008】ギヤハウジング6は、図示するようにモー
タハウジング2とほぼ同径の円筒形状をなし、その内周
側には冷却ファン4に対面する通路部材6aが形成され
ている。この通路部材6aによりブレードケース5内と
モータハウジング2内がほぼ仕切られた状態となってい
る。この通路部材6aの略中心には駆動モータ3の出力
軸3aを回転支持するための軸受7が取り付けられてい
る。出力軸3aには中間ギヤ11aが噛み合わされ、こ
の中間ギヤ11aは主軸11に取り付けられ、この主軸
11の先端に丸鋸1aが装着されている。従って、駆
動モータ3の回転力は、出力軸3a、中間ギヤ11を経
て主軸11に伝達され、これにより丸鋸1aが回転す
る。なお、主軸11は軸受10a,10bにより回転支
持されている。このように駆動モータ3の回転力を丸鋸
1aに伝達するための伝達機構がギヤハウジング6に
内蔵されている。
【0009】また、図2に示すようにこの通路部材6a
の外周寄りのほぼ半周の範囲には、上記ファン4により
吸入された外気をブレードケース5内に吹き出すための
吹き出し窓8〜8がほぼ同一円周上の並んで設けられて
いる。以下の説明において、ファン4の回転方向(図2
において反時計回り方向)手前側からa〜hの符号を付
して各吹き出し窓8〜8を区別する。なお、本例では、
8個の吹き出し窓8a〜8hを設けた場合を例示した
が、これに限定されるものではなく、吹き出し窓8の個
数は必要に応じて変更すればよい。
【0010】各吹き出し窓8a〜8hはそれぞれ仕切り
壁9a〜9gにより仕切られて形成されている。ここ
で、ギヤハウジング6の通路部材6aは段付き形状をな
しており、中央のD面部が最も浅く(最も高い、図2に
おいて最も手前側)、外周寄りのC面部が最も深くすな
わち最も低くなっている。この最も低いC面部から外周
寄りに沿って冷却ファン4の回転方向へほぼ半周の範囲
に吹き出し窓8a〜8hが形成されている。
【0011】しかも、図3に示すように、上記各仕切り
壁9a〜9gは高さが徐々に変化している。すなわち、
冷却ファン4の回転方向の最も手前側の仕切り壁9a
が、C面部よりは一段高くなっているが最も低く、以下
冷却ファン4の回転方向に向かって仕切り壁9b→9c
→9d→9e→9fの順で段階的に高くなり、回転方向
の最も先端側の仕切り壁9gが最も高く形成されてい
る。但し、この最後の仕切り壁9gは、D面部よりも一
段低くなっている。これにより、C面部から反時計回り
方向に沿ってD面部に至る通風路は、段階的に浅くなる
ように傾斜して設けられている。
【0012】このように高さが徐々に変化している仕切
り壁9a〜9gにより8個の吹き出し窓8a〜8hが形
成されており、各吹き出し窓8a〜8hはそれぞれブレ
ードケース5内に開口している。このため、冷却ファン
4によりギヤハウジング6の通路部材6aに吹き付けら
れた冷却風は、同ギヤハウジング6の内周側を反時計回
り方向に還流しながら、吹き出し窓8a〜8gを経て前
方すなわちブレードケース5内に吹き出される。
【0013】なお、D部の一部であって、C面部から吹
き出し窓8a〜8cに至る経路の側部(図2中、6bの
符号を付した部分)は、通路部材6aの中心から外方に
向けて下る方向に傾斜して形成されており、これにより
同吹き出し窓8a〜8cへの冷却風の流れ込みがよりス
ムーズになされるようになっている。
【0014】このように構成された通風構造によれば、
各吹き出し窓8a〜8hを仕切る仕切り壁9a〜9gが
冷却ファン4の回転方向すなわち冷却風の還流方向に沿
って段階的に高くなっているので、冷却風が各吹き出し
窓8a〜8hに少しずつ分散されて効率よくブレードケ
ース5内に吹き出され、これによりその吹き出し音が一
層低減されるとともに、モータ3の冷却効率および冷却
ファン4の性能がそれぞれ向上する。
【0015】この点、例えば各仕切り壁を同じ高さで形
成した場合を想定すると、従来技術の欄で説明したよう
に、冷却風は吹き出し窓の前方を横切って流れるため、
ファンの回転方向前方側の吹き出し窓内が負圧となって
空気が外部からハウジング内に逆に吸い込まれることと
なり、冷却風がスムースに排出されず、排出風量が低下
してモータの冷却効率が低下するのである。より詳しく
は、各仕切り壁を同じ高さで形成すると、冷却風の還流
が仕切り壁に吹き当たることが少なくなることから、吹
き出し窓を経て吹き出される風量は低下し、従って吹き
出されることなくそのまま還流する風が多くなり、その
結果、部分的(特に、先端側の吹き出し窓8g,8hの
入口付近)に負圧が発生して、逆にブレードケース内か
ら吹き出し窓を経て外気が吸入(風の逆流)されること
も考えられるのである。
【0016】また、本例の通風構造によれば、冷却風は
モータハウジング2の側部から吹き出されるのではな
く、ブレードケース5内に吹き出されるので、風切り音
(冷却風の吹き出し音)はブレードケース5内でこもっ
てしまい、直接外部に吹き出す構成に比して騒音は大幅
に低減され、当該電気マルノコ1の静粛性は大幅に改善
され、ひいてはその使用感がよくなる。また、ブレード
ケース5内に冷却風が吹き出されるので、冷却風が作業
者に吹き付けられることがなく、この点でも当該電気マ
ルノコ1の使用感がよくなる。
【0017】以上説明したように、本例の通風構造によ
れば、冷却風の還流方向に沿って仕切り壁9a〜9gが
段階的に高くなっているので、冷却風がバランスよく分
散して各仕切り壁9a〜9gに吹き当てられ、これによ
り各吹き出し窓8a〜8hを経て冷却風がスムーズにブ
レードケース5内に吹き出され、これにより電気マルノ
コ1の静粛性が一層高まる。
【0018】なお、以上説明した第1実施例には種々変
更を加えて実施することが可能であり、例えばギヤハウ
ジングとブレードケースは一体構成に限らず、別体であ
ってもよく、またギヤハウジングあるいはモータハウジ
ングは二つ割り構成であってもよい。
【0019】次に、本発明をグラインダに適用した第2
実施例を以下図4〜図6を参照して説明する。
【0020】図4に要部を示したグラインダ51は駆動
モータ53を収容するモータハウジング52を有し、駆
動モータ53の出力軸53aにはモータ冷却用のファン
54が取り付けられている。またモータハウジング52
の後部には図示しないエア吸入口が設けられている。モ
ータハウジング52の前部にはギヤハウジング55が取
り付けられており、このギヤハウジング55は駆動モー
タ53の出力軸53aをベアリング56を介して支持し
ている。
【0021】ギヤハウジング55の下部にはベアリング
ボックス57が取り付けられており、これらの内部には
スピンドル58が上下方向すなわち駆動モータ53の出
力軸53aと直角方向で配置されている。スピンドル5
8は上端をギヤハウジング55によりベアリンング59
を介してまた中央部をベアリングボックス57によりベ
アリング60を介してそれぞれ支持されて、下端がベア
リングボックス57から下方に突出している。このスピ
ンドル58の下端には砥石61がナット62及びフラン
ジ63により取り付けられ、ベアリングボックス55の
下部には砥石61を部分的に露出した状態で覆うホイー
ルカバー64が取り付けられている。
【0022】また、ギヤハウジング55の内部において
出力軸53aの先端部には傘歯車65がキー固定され、
またスピンドル58には傘歯車65と噛み合う、これよ
りも歯数の多い傘歯車66がキー固定されている。
【0023】ここで、ギヤハウジング55において、駆
動モータ53の出力軸53aを支持するベアリング56
の取付部はファン54と軸方向に対面する通路部材67
となっており、この通路部材67には図5に示すように
円周方向ほぼ90°の範囲で吹き出し窓68a〜68c
群が出力軸53aに関し上下一対で対称配置されてい
る。吹き出し窓68a〜68cはファン54の回転方向
(図中時計方向)に68a,68b,68cの順で並ん
でおり、吹き出し窓68aと68bは仕切り壁69aに
より、吹き出し窓68bと68cは仕切り壁69bによ
り仕切られている。吹き出し窓68aの前方及び吹き出
し窓68cの後方には通路部材67の壁面67aが位置
しており、壁面67aの吹き出し窓68cに隣接する部
位には仕切り壁69cが設けられている。なお、図4に
おいて通路部材67は図5のE−E断面で示されている
ものである。
【0024】図6に示すように、仕切り壁69a〜69
cは上記第1実施例の仕切り壁9a〜9gと同様に、フ
ァン54の回転方向に向かって仕切り壁69a→69b
→69cの順で段階的に高くなっている。
【0025】なお、本実施例において、吹き出し窓68
a〜68cのファン54と対向する側と反対側は外気に
直接通じている。
【0026】本実施例ではモータ53の起動によりファ
ン54が回転すると、エアが吸入口よりモータハウジン
グ52内に導入され、モータ53を冷却した後に吹き出
し窓68a〜68cを通って外部に排気される。ここ
で、吹き出し窓68a〜68cは、上記第1実施例と同
様、ファン54の回転方向に向かって高くなる壁69a
〜69cを備えているため、冷却風が各吹き出し窓68
a〜68cに少しずつ分散されて外部に効率良く吹き出
され、これにより吹き出し音を低減し、モータ53の冷
却効率及びファン54の性能が向上する。また、本実施
例では吹き出し窓68a〜68c群が通路部材67に上
下一対設けてあるので、通風面積が大きくなり、上記効
果がさらに高められる利点を有するものである。
【0027】以上、第1実施例においてはマルノコに本
発明を適用した例を、第2実施例においてはグラインダ
に本発明を適用した例を示したが、モータをファンで冷
却する構成の電動工具であれば、例えばドライバのよう
な他のいかなる電動工具にも本発明を適用できる。ま
た、第2実施例においてはエアを直接外部に排出する構
成としたが、ホイールカバーを通じて排出する構成とし
ても良く、これにより、第1実施例においてブレードケ
ースを通じて排出したと同様な効果が得られる。また、
以上の実施例において吹き出し窓の貫通方向はいずれも
ファンの軸方向と平行な方向としたが、仕切り壁を傾斜
状に形成することでファンの回転方向に若干傾斜させて
も良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示し、電気マルノコの一
部破断側面図である。
【図2】図1のA−A線断面矢視図であって、ギヤハウ
ジングの平面図である。
【図3】図2のB−B線展開図であって、吹き出し窓の
縦断面図である。
【図4】本発明の第2実施例を示し、グラインダの要部
の一部破断側面図である。
【図5】図4のG−G線断面矢視図であって、ギヤハウ
ジングの平面図である。
【図6】図5のF−F線展開図であって、吹き出し窓の
縦断面図である。
【符号の説明】
1…電気マルノコ 2…モータハウジング 3…駆動モータ、3a…出力軸 4…冷却ファン 5…ブレードケース 6…ギヤハウジング、6a…通路部材 8(8a〜8h)…吹き出し窓 9(9a〜9g)…仕切り壁 C面部…最も深い面、D面部…最も浅い面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−223435(JP,A) 特開 昭51−91052(JP,A) 実開 平6−17813(JP,U) 実開 昭62−47870(JP,U) 米国特許2989995(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27B 9/00 B23D 45/16 B23D 47/00 B23D 59/00 - 59/04 B23Q 11/00 B25F 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータにより回転駆動される冷却用のフ
    ァンを備え、前記モータ及び前記ファンを経て外部に至
    る空気の流れを生じさせる通風路を備えた電動工具にお
    ける通風構造であって、 前記通風路は、前記ファンの下流側に配置されて前記通
    風路の一部を形成する通風部材を有し、 該通風部材は、前記ファンの回転方向に沿って配置され
    た複数の吹き出し窓と、これらの吹き出し窓を互いから
    仕切る複数の仕切壁を備え、該通風部材と前記ファンと
    の間では該ファン回りの還流が発生され、前記仕切壁の
    高さが、該還流の下流側に向けて順次前記ファン側に向
    けて高くなる部分を有することを特徴とする、電動工具
    における通風構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の通風構造であって、当該
    電動工具は鋸刃を収容するブレードケースを備えた電気
    マルノコであり、前記通風路は前記通風部材より前記ブ
    レードケース内部を経て外部に至っていることを特徴と
    する通風構造。
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